説明

オートコリメータ

【課題】オートコリメータ自身の発光光に対して光軸を表示する機能を、視野内スケールの組立精度を変えることなく実現する。
【解決手段】対物レンズから平行光を出射して被測定面の平面度を光学的に非接触で測定するオートコリメータにおいて、
前記平行光を出射する対物レンズと被測定面の間にコーナキューブを配置し、オートコリメータの視野にオートコリメータ自身の光軸位置を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオートコリメータに関し、オートコリメータ自身の光軸を測定視野内に表示するようにしたオートコリメータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オートコリメータは光を用いた角度測定器で、光を反射する測定対象に対する平面間の相対的な物理角度を測定する測定器である。
図2は一般的なオートコリメータの一例を示す構成図である。図2において、1はタングステンランプ等からなる光源、2は集光レンズ(コンデンサレンズ)、3はハーフミラー、ハーフプリズム(半透明プリズム)等のビームスプリッタ、4はコリメータレンズ、5はオートコリメータの光軸に配置された被測定対象である。
【0003】
上記ビームスプリッタ3によってコリメータレンズ4の焦点面はビームスプリッタ3の透過側の接眼側焦点面51の他に、反射側(この例では光源側)にも照明側焦点面52の2つの焦点面が形成される。
【0004】
6は例えば透明ガラス板の片面に十字線及び目盛り等のスケールが刻印され、そのスケール面が接眼側焦点面51と一致するように設置された接眼側焦点板、7はピンホールもしくは十字線が刻印された照明用焦点板で、光源1及び集光レンズ2によって照明され、そのスケール面が照明用焦点面52に一致するように設置された照明側焦点板、8は接眼側焦点板6のスケール面を拡大観察するための接眼レンズである。
【0005】
光源からの光はコリメータレンズ4の焦点距離位置に設置されており、ビームスプリッタ3で反射してコリメータレンズ4を介して平行光化され、被測定対象5に照射され、被測定対象5からの反射光が、オートコリメータに戻ってきて、コリメータレンズ4を介して、焦点距離に結像する。
【0006】
結像する位置dは、コリメータレンズ4の焦点距離fとオートコリメータ自身が発光した、平行光光軸と被測定対象5の平面のなす90度の角度からずれた物理角度θradから
d=2fθrad
の関係式から得られるd分だけ移動することを利用して角度が測定される。
被測定対象は結像前にスリットを通過し結像位置では、輝線として現れ、結像位置をスケールで読むことにより、被測定対象間の物理的相対角度が測定される。
【0007】
前記オートコリメータを用いて、被測定対象の検査を行う場合、予めコリメータレンズ4と接眼側焦点板6の中心を結ぶ光軸に垂直に定盤(図示省略)を設け、その定盤上に反射面を有する正確な平行平面板を載置し、この反射面より反射される光によって接眼側焦点板6上に結像する照明側焦点板7の十字線の像が、接眼側焦点板6の十字線と一致するように調整しておく。
【0008】
次に定盤上に被測定対象5を載置し、この被測定対象5の上面より反射する反射光によって接眼焦点板6上に結像する照明側焦点板7の像を接眼レンズ8によって観察する。
このとき照明側焦点板7の十字線像と接眼側焦点板6の十字線とが一致すれば被測定対象の表裏の面は平行であり、両者が一致しないでずれているときは表裏の面は平行度不良で傾斜しており、そのずれ量とコリメータレンズ4の焦点距離から傾斜角度を求めることができる。
【0009】
また、照明側焦点板7の十字線像が鮮明に歪まずに見えれば平面度及び面の粗さが良好であり、また、十字線像が歪んで見える場合は平面度が不良であり、コントラストが低く不明瞭である場合は面の粗さが大であることを知ることができる。
【0010】
図3(a)は図2に示すオートコリメータ10と被測定対象5および光源(ここでは光源からの光を光ファイバ11を介してオートコリメータ10内に導入している)1の関係を概略表示したものである。aは測定光で、オートコリメータ10から出射した光が測定対象間で反射している状態を示している。
【0011】
図3(b)はオートコリメータ10の視野を示し、視野の中心にスケールcが表示されている。図3(c)は視野内に測定光dが表示された場合を示している。一般的に視野内のスケール交点は、オートコリメータ自身の光軸位置とは一致していない。従って、オートコリメータ自身の光軸位置は不明である。
(オートコリメータは、被測定対象5の相対角度を測定する機器なので、オートコリメータ自身の光軸は知る必要がない)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平3−65682号公報
【特許文献2】特開平7−140391号公報
【特許文献3】特開平3−226618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上述の従来技術においては、オートコリメータが発光した光を反射する被測定対象の相対的な角度差しか直読測定することは出来ない。外来光(オートコリメータ自身が発光した光ではない平行光)を同時に測定することには不便であった。
【0014】
なぜなら、オートコリメータ自身の光軸位置が表示されない(装置として意識されていない)ので、オートコリメータの光軸に対して角度0という位置がわからないからである。
そのため、外来光が入った場合の角度比較が面倒であった。
【0015】
オートコリメータ視野内スケールの交点を、オートコリメータ自身の発光光光軸に合わせるには組立調整精度を上げなければならず、生産工数の増加につながるため、現在のオートコリメータには自発光の光軸は表示されていない。外来光は本来、オートコリでは扱わない光である。
【0016】
しかし、干渉計の組立などにおいては、干渉計光源から来る外来光(オートコリメータにとって)も同時に扱って光軸角度を測定する場合がある。使い方を間違わなければ、外来光も同時に計れる構成となっている。
外来光と自発光とでは、スケールを同じに読めないことと、スケールの交点つまり0位置は、必ずしも、オートコリメータの光軸とは一致していないという問題がある。
これは、製造上の問題でオートコリメータの光軸とスケールの交点、つまり0をぴったり合わせるように製作することは非常に難しい、という問題もあった。
【0017】
従って本発明は、オートコリメータ自身の発光光に対して光軸を表示する機能を、視野内スケールの組立精度を変えることなく実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、請求項1に記載のオートコリメータにおいては、
対物レンズから平行光を出射して被測定面の平面度を光学的に非接触で測定するオートコリメータにおいて、
前記平行光を出射する対物レンズと被測定面の間にコーナキューブを配置し、オートコリメータの視野にオートコリメータ自身の光軸位置を表示することを特徴とする。
【0019】
請求項2の発明においては、請求項1に記載のオートコリメータにおいて、
前記コーナキューブはオートコリメータを構成する外筐にネジや接着剤などにより取り付けた取付台に固定したことを特徴とする。
【0020】
請求項3においては、請求項1または2に記載のオートコリメータにおいて、
前記コーナキューブは取付取り外し自在としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1によれば、平行光を出射する対物レンズと被測定面の間にコーナキューブを配置し、オートコリメータの視野にオートコリメータ自身の光軸位置を表示するので、被測定対象とオートコリメータとの正対が確認できるようになる。また、被測定対象と外来光の光軸合わせが出来るようになり、外来光の正対、及びずれの角度測定が容易になる。
【0022】
更に、オートコリメータ自身の光軸が視野内に表示されているので被測定対象や外来光の付け替えなどのときに確実なメモリーになる。
また、請求項2,3によれば、コーナキューブはオートコリメータを構成する外筐の取付台に固定し取付取り外し自在としたので、外来光測定時と従来と同様の使用方法のいずれかを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のオートコリメータの実施形態の一例を示す構成図である。
【図2】従来のオートコリメータの一例を示す構成図である。
【図3】従来のオートコリメータの視野の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明のオートコリメータの概略構成図(a)及びオートコリメータの視野を示す説明図(b)である。
図3(a)とは測定対象5との間にコーナキューブ20を設けた点及び外来光bが入射している点のみが異なっている。
【0025】
取付台12はオートコリメータの外筐にネジや接着剤などにより取り付けられており、コーナキューブ20は取付台12の先端付近に固定されるものであり、ステイを鏡筒などから設置する。このコーナキューブ20はオートコリメータの対物レンズ外側のオートコリメータ自身の平行光光路内に設置される。なお、コーナキューブの大きさは例えば平行光光路の直径の数分の1程度の大きさのものとする。
【0026】
上述の構成によれば、コーナキューブ20によりオートコリメータ10の発光した平行光に平行に光を戻すことでオートコリメータ視野に自身の光軸位置(角度0)の位置を表示することができようになる。
また、コーナーキューブ20は取付台(ステイ)12から取り外せるようになっているので、従来の使い方と、外来光測定時の使い方が両方選べるようになる。
【0027】
図1(b)はオートコリメータ10の視野を示し、cで示すスケール、測定光dの他にオートコリメータの光軸e及び外来光の測定光fが表示されている。
一般的に視野内のスケール交点は、オートコリメータ自身の光であり、オートコリメータ視野内の角度スケールである。
【0028】
測定光は被測定対象に反射し、オートコリメータの光軸との90度からの角度ズレ分の2倍の角度(反射角=入射角の原理にて)でオートコリメータに戻る。
【0029】
dは測定光を示し、複数の被測定対象、または一つの被測定対象の角度変化により輝線の位置が異なり、スケールから角度が測定される。
bはオートコリメータ視野内の外来光であり、平行な外来光ならオートコリメータで光軸角度を測定できる。fは外来光測定光を示している。
【0030】
オートコリメータ光軸eからの距離でスケール表示角度の1/2を読みとるることにより、光軸角度ずれを測定することが出来る。
【0031】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
従って本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形を含むものである。
【符号の説明】
【0032】
1 光源
2 集光レンズ
3 ビームスプリッタ
4 コリメータレンズ(対物レンズ)
5 被測定対象
6 接眼側焦点板
7 照明側焦点板
8 接眼レンズ
10 オートコリメータ
11 光ファイバ
12 取付台(ステイ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズから平行光を出射して被測定面の平面度を光学的に非接触で測定するオートコリメータにおいて、
前記平行光を出射する対物レンズと被測定面の間にコーナキューブを配置し、オートコリメータの視野にオートコリメータ自身の光軸位置を表示することを特徴とするオートコリメータ。
【請求項2】
前記コーナキューブはオートコリメータを構成する外筐に取り付けた取付台に固定したことを特徴とする請求項1に記載のオートコリメータ。
【請求項3】
前記コーナキューブは取付取り外し自在としたことを特徴とする請求項1または2に記載のオートコリメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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