説明

オープニングトリムウエザストリップ

【課題】ドア閉力が小さく、シール性が確保できる自動車用オープニングトリムウエザストリップを提供する。
【解決手段】オープニングトリムウエザストリップ10は、取付基部20と中空シール部30を有する。中空シール部30は、第1側部シール壁31と第2側部シール壁32とを有する。第2側部シール壁32は、車外側側壁21から延設されソリッド材又は微発泡材で形成される第2側部シール壁根元部37と、第2側部シール壁根元部37から一体的に延設される第2側部シール壁屈曲部38と、第2側部シール壁屈曲部38から円弧状に延設される第2側部シール壁円弧部39から形成される。第1側部シール壁31は、中空シール部30の内部方向に凸に形成される。第2側部シール壁屈曲部38、第2側部シール壁円弧部39及び第1側部シール壁31はスポンジ材で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドアと車体開口部周縁との間をシールする自動車用のオープニングトリムウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のドアと車体開口部周縁との間のシールは、図3に示すように、ドアのドアフレーム2の内周のチャンネル3に取付けられるガラスラン40と、車体開口部周縁6の開口付近に取り付けられた開口部ウエザストリップ50と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられたオープニングトリムウエザストリップ110とによりなされる。
【0003】
図3及び図4に示すように、オープニングトリムウエザストリップ110は、1本の押出成形で成形され、車体の車体開口部周縁6のほぼ全周に取付けられて、ドアを閉めると、ドアフレーム2又はドアパネルの外周に当接してシールする。図5に示すように、車体開口部周縁6にはフランジ7が設けられ、フランジ7にオープニングトリムウエザストリップ110が取付けられ、フランジ7は、インナーパネル8とアウターパネル9の先端が溶接により固着されて形成されている。
【0004】
オープニングトリムウエザストリップ110は、図5に示すように、中空シール部130と断面略U字形の取付基部(トリム部)120を有し、取付基部(トリム部)120により上記のフランジ7に取付けられる。このトリム部120は、車外側側壁121、車内側側壁122及び底壁123から形成された断面略U字形に形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
図5に示すように、車外側側壁121および車内側側壁122の断面略U字形のそれぞれの内面には、フランジ7を把持するために、車外側保持リップ124と車内側保持リップ125が形成されている。フランジ7がトリム部120に挿入されると、車外側保持リップ124と車内側保持リップ125の先端が撓んで、フランジ7のそれぞれの側面に圧接されてフランジ7を保持し、オープニングトリムウエザストリップ110を取付けることができる。
【0006】
そして、中空シール部130は、フランジ7の根元側の側壁を構成する第1側部シール壁131と、フランジ7の先端側の側壁を構成する第2側部シール壁132とから構成される。中空シール部130は、ドア閉時にドアフレーム2に当接して、ドアと車体開口部周縁6との間をシールするが、ドア閉力を軽減させるために、第2側部シール壁132に屈曲部133が形成されている。
【0007】
このため、図5に示すように、ドアフレーム2が中空シール部130に当接すると、屈曲部133が折り畳まれるように屈曲して、中空シール部130が撓むことができる。
しかしながら、オープニングトリムウエザストリップ110は、車体開口部周縁6の全周に亘り取り付けられるが、取り付けられる位置により、ドア閉時にドアの当接する方向が異なる。
【0008】
中空シール部130はスポンジゴムで形成されるため、ドアの閉じる方向が第1側部シール壁131方向から斜めに当接すると、中空シール部130はドアフレーム2に引っ張られて、アウターパネル9の方向に倒れることとなる。中空シール部130がアウターパネル9に当接すると、ドア閉力が増加するとともに、中空シール部130とドアフレーム2との間のシール性が低下することとなる。
このため、アウターパネル9と中空シール部130との間の隙間を大きくとることが求められているが、車体1の構造的に充分な空間をとることが困難な場合がある。
【0009】
そこで、図6に示すように、トリム部220と中空シール部230を有するオープニングトリムウエザストリップ210において、中空シール部230の第1側部シール壁231と第2側部シール壁232とを連結するブリッジ233を設けるとともに、第1側部シール壁231に第1屈曲点234を設け、第2側部シール壁232に。第2屈曲点235と第3屈曲点236を設けたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0010】
しかし、この場合には、形状が複雑となり、製造に手間がかかるとともに、第2側部シール壁232が折り畳まれて重なり合うため、ドアフレーム2と車体1との隙間のバラツキにより、第2側部シール壁232の重なり合いによりドア閉力が増大してしまう場合がある。
【0011】
また、図7に示すように、トリム部320と中空シール部330を有するオープニングトリムウエザストリップ310において、中空シール部330の第1側部シール壁331を設けるとともに、第1側部シール壁331に第1屈曲点334を設け、第2側部シール壁232に。第2屈曲点335を設けたものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0012】
この場合には、ドアフレーム2が中空シール部330に当接したときに、第1屈曲点334がアウターパネル9の方向に屈曲してしまうため、上記のように、アウターパネル9と中空シール部330の間に空間を必要とすることとなる。空間が少ない場合には、第1屈曲点334がアウターパネル9に当接して、ドア閉力が増加してしまうこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開昭59−70224号公報
【特許文献2】特開2005−119350号公報
【特許文献3】特開2010−30445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このため、本発明は、ドア閉力が小さく、シール性が確保できる自動車用オープニングトリムウエザストリップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体開口部周縁に形成されたフランジに取付けられ自動車ドアと車体開口部周縁との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
オープニングトリムウエザストリップは、フランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、自動車ドアのドアフレーム又はドアパネルの外周に当接して自動車ドアと車体開口部周縁との間をシールする中空シール部を有し、
取付基部は、ソリッド材又は微発泡材で形成されるとともに、車外側側壁、車内側側壁及び底壁から構成される断面略U字形に形成され、
中空シール部は、車外側側壁から一端が延設されフランジの根元側の側壁を構成する第1側部シール壁と、車外側側壁から一端が延設されフランジの先端側の側壁と上記ドアフレームに当接する側壁とを構成するとともに、先端が第1側部シール壁の先端と接続して中空部を形成する第2側部シール壁とを有し、
第2側部シール壁は、車外側側壁から延設されソリッド材又は微発泡材で形成される第2側部シール壁根元部と、第2側部シール壁根元部から一体的に延設される第2側部シール壁屈曲部と、第2側部シール壁屈曲部から円弧状に延設される第2側部シール壁円弧部から形成され、
第1側部シール壁は、中空シール部の内部方向に凸に形成され、
第2側部シール壁屈曲部、第2側部シール壁円弧部及び第1側部シール壁はスポンジ材で形成されたことを特徴とするオープニングトリムウエザストリップである。
【0016】
請求項1の本発明では、フランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、自動車ドアのドアフレーム又はドアパネルの外周に当接して自動車ドアと車体開口部周縁との間をシールする中空シール部を有する。このため、取付基部がフランジに取付けられると、シール部がドアフレーム又はドアパネルの外周に当接してドアフレーム又はドアパネルの外周と車体開口部周縁との間をシールすることができる。
取付基部は、ソリッド材又は微発泡材で形成されるとともに、車外側側壁、車内側側壁及び底壁から構成される断面略U字形に形成される。このため、フランジを車外側側壁と車内側側壁で強硬に挟持することができる。
【0017】
中空シール部は、車外側側壁から一端が延設されフランジの根元側の側壁を構成する第1側部シール壁と、車外側側壁から一端が延設されフランジの先端側の側壁とを構成するとともに、先端が第1側部シール壁の先端と接続して中空部を形成する第2側部シール壁とを有する。このため、ドア閉時に、中空シール部が撓んで、第2側部シール壁の先端の接続部分から第2側部シール壁の部分がドアフレーム又はドアパネルの外周に当接してシールすることができる。
【0018】
第2側部シール壁は、車外側側壁から延設されソリッド材又は微発泡材で形成される第2側部シール壁根元部と、第2側部シール壁根元部から一体的に延設される第2側部シール壁屈曲部と、第2側部シール壁屈曲部から円弧状に延設される第2側部シール壁円弧部から形成される。このため、中空シール部にドアフレーム又はドアパネルの外周が当接するときに、ソリッド材又は微発泡材で形成される第2側部シール壁根元部の剛性が大きく、第2側部シール壁が倒れにくいため、中空シール部の内部の空間を確保し、中空シール部が大きくアウターパネル側に倒れることがなく、後述する第1側部シール壁が屈曲して中空内部に進入するスペースを確保することができる。
【0019】
さらに、中空シール部にドアフレーム又はドアパネルの外周が当接するときに、第2側部シール壁屈曲部が屈曲するため、中空シール部の撓み荷重を低減することができ、ドア閉力を軽減することができる。
また、円弧状に延設される第2側部シール壁円弧部に、ドアフレームの膨出部又はドアパネルの外周が当接して、当接を維持しつつスムースに中空シール部が撓むことができるとともに、確実にシールすることができる。
【0020】
第1側部シール壁は、中空シール部の内部方向に凸に形成されたため、ドアフレーム又はドアパネルの外周が中空シール部に当接したときに、第1側部シール壁は中空シール部の内部方向に突出するように撓むことができる。そのため、中空シール部をアウターパネルに近接して取り付けても、アウターパネルと接触することがなく、ドア閉力を増加させることがない。
【0021】
第2側部シール壁屈曲部、第2側部シール壁円弧部及び第1側部シール壁はスポンジ材で形成されたため、ドアフレーム又はドアパネルの外周が中空シール部に当接したときに柔軟に撓むことができるとともに、オープニングトリムウエザストリップの重量を軽減して、車両の軽量化に貢献することができる。
【0022】
請求項2の本発明は、第2側部シール壁円弧部は、第2側部シール壁屈曲部から離れるにつれて肉厚に形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0023】
請求項2の本発明では、第2側部シール壁円弧部は、第2側部シール壁屈曲部から離れるにつれて肉厚に形成されたため、ドアフレームが当接するときに、第2側部シール壁屈曲部が確実に屈曲するとともに、第2側部シール壁円弧部がドアフレーム又はドアパネルの外周に当接するときや、車体のコーナー部に取り付けられたときに座屈したり異常変形したりすることがなく、第2側部シール壁円弧部の広い面積でシールすることができ、シール性に優れている。
【0024】
請求項3の本発明は、第2側部シール壁屈曲部は、第2側部シール壁において最も薄肉に形成されるか、又は、略く字形に屈曲して形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0025】
請求項3の本発明では、第2側部シール壁屈曲部は、第2側部シール壁において最も薄肉に形成されるか、又は、略く字形に屈曲して形成されたため、ドアフレーム又はドアパネルの外周が当接するときに、第2側部シール壁屈曲部が確実に屈曲することができ、第2側部シール壁円弧部がドアフレーム又はドアパネルの外周に確実に当接して、シールすることができる。
【0026】
請求項4の本発明は、第2側部シール壁根元部は、車外側側壁から垂直方向に若干延設され、さらに屈曲して車外側側壁の延長方向に階段状に形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0027】
請求項4の本発明では、第2側部シール壁根元部は、車外側側壁から垂直方向に若干延設され、さらに屈曲して車外側側壁の延長方向に階段状に形成されたため、中空シール部の内部の空間を大きくすることができ、第1側部シール壁が撓んでも、第2側部シール壁の内面に当接することがなく、ドア閉力を低くすることができる。
コーナー部に取付けたときも、ドア閉時にも第2側部シール壁の根元の部分の変形が少なく、中空シール部の異常変形を防止して、第2側部シール壁を確実にドアフレームの膨出部又はドアパネルの外周に当接させることができる。
【0028】
請求項5の本発明は、第1側部シール壁は、中空シール部の内部方向に円弧状に湾曲して形成されるか、又は、略く字形に屈曲して形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0029】
請求項5の本発明では、第1側部シール壁は、中空シール部の内部方向に円弧状に湾曲して形成されるか、又は、略く字形に屈曲して形成されたため、ドアフレーム又はドアパネルの外周が中空シール部に当接したときに、円弧状に湾曲した中央付近又は略く字形に屈曲した部分で第1側部シール壁が確実に屈曲することができ、ドア閉力を低減することができる。
【0030】
請求項6の本発明は、第1側部シール壁と第2側部シール壁のそれぞれの先端と連続する中空シール部の先端から第2側部シール壁円弧部の延長方向に延出された当接リップが形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0031】
請求項6の本発明では、第1側部シール壁と第2側部シール壁のそれぞれの先端と連続する中空シール部の先端から、第2側部シール壁円弧部の延長方向に延出された当接リップが形成された。このため、ドア閉時に第1側部シール壁と第2側部シール壁が撓んで、第2側部シール壁と当接リップが確実にドアフレーム又はドアパネルの外周に当接して、第2側部シール壁と当接リップの広い面積でシールすることができ、シール性に優れている。
【0032】
請求項7の本発明は、第1側部シール壁は、第2側部シール壁円弧部より薄肉に形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0033】
請求項7の本発明では、第1側部シール壁は、第2側部シール壁円弧部より薄肉に形成されたため、ドア閉時に第1側部シール壁が確実に撓んで、第2側部シール壁根元部と第2側部シール壁円弧部により第1側部シール壁が撓む空間を確保することができ、ドア閉力を低減することができる。
【0034】
請求項8の本発明は、第1側部シール壁の上記中空シール部の内部方向に湾曲して最も内部に位置する部分は、第2側部シール壁屈曲部と車外側側壁に対して略平行な位置に設けられたオープニングトリムウエザストリップである。
【0035】
請求項8の本発明では、第1側部シール壁の上記中空シール部の内部方向に湾曲して最も内部に位置する部分は、第2側部シール壁屈曲部と車外側側壁に対して略平行な位置に設けられた。このため、第1側部シール壁が撓んだときに、第1側部シール壁の撓んだ先端が中空シール部の最も深い部分まで進入することができ、ドア閉力を低減することができる。
【発明の効果】
【0036】
第1側部シール壁は、中空シール部の内部方向に湾曲して形成されたため、ドアフレームが中空シール部に当接したときに、第1側部シール壁は中空シール部の内部方向に突出するように撓むことができる。そのため、中空シール部をアウターパネルに近接して取り付けても、アウターパネルと接触することがなく、ドア閉力を増加させることがない。
【0037】
第2側部シール壁は、ソリッド材又は微発泡材で形成される第2側部シール壁根元部を有するため、その剛性が大きく、中空シール部の内部の空間を確保し、第1側部シール壁が屈曲して中空内部に進入するスペースを確保することができる。
さらに、中空シール部にドアフレームが当接するときに、第2側部シール壁屈曲部が屈曲するため、中空シール部の撓み荷重を低減することができ、ドア閉力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップをフランジに取付けた状態の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップをフランジに取付け、ドア閉時のドアフレームとオープニングトリムウエザストリップとの関係を示す断面図である。
【図3】自動車のドアを開いた状態における後方から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態であるドアオープニングトリムウエザストリップの正面図である。
【図5】従来のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口部周縁に取付けた状態における断面図である。
【図6】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口部周縁に取付けた状態における断面図である。
【図7】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口部周縁に取付けた状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施の形態を、図1〜図4に基づき説明する。
図3に示すように、自動車の車体1は、ドア開口部を有し、そのドア開口部は、開閉部材であるドアにより開閉される。ドア開口部の周囲は、車体開口部周縁6を形成し、車体開口部周縁6には、車体1を構成するアウターパネル9とインナーパネル8等の先端が溶接されたフランジ7(図1、2参照)を備えている。フランジ7は、車体1の車体開口部周縁6の部位により、溶接されるパネルの数が2枚〜8枚程度まで変化する。
【0040】
このドアと車体開口部周縁6との間のシールは、図2に示すように、ドアのチャンネル3に取り付けられ、ドアガラス5とドアフレーム2の内周との間をシールするガラスラン40と、車体開口部周縁6の開口側をシールする開口部ウエザストリップ50と、フランジ7取り付けられ、開口部ウエザストリップ50よりも車内側をシールするオープニングトリムウエザストリップ10により行われる。
【0041】
本発明は、このオープニングトリムウエザストリップ10に関するものである。オープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により直線状に成形される。この直線状に形成された1本のオープニングトリムウエザストリップ10は、図4に示すように、車体開口部周縁6の形状に沿って、環状となるようにフランジ7に装着される。装着は、オープニングトリムウエザストリップ10の一方の端末から順次、フランジ7に装着され装着が完了すると、他方の端末が一方の端末と接合することとなる。この端末は、接続部11により型接合されて環状に形成されていてもよい。
また、オープニングトリムウエザストリップ10の端末同士を装着前に接着剤で接着して環状にしてもよい。
【0042】
オープニングトリムウエザストリップ10は、図1及び図2に示すように、フランジ7に取付けられる、断面略U字形のトリム部(取付基部)20と、トリム部20から一体的に形成され、ドアフレーム2の膨出部2aに当接して、ドアと車体開口部周縁6との間をシールする中空状の中空シール部30を有する。本発明の実施の形態をドアフレーム2に当接するオープニングトリムウエザストリップ10を例にとり説明する。
本発明は、トリム部20の車外側側壁21の外面に、中空シール部30が一体的に設けられている。トリム部20については後述する。
【0043】
トリム部20の車外側側壁21の外面には、中空シール部30が一体的に形成されている。中空シール部30は、第1側部シール壁31、第2側部シール壁32及び当接リップ35から構成される。当接リップ35は、省略することができる。第1側部シール壁31は、トリム部20の車外側側壁21のフランジ7の根元側外面から一端が延設され、他端は第2側部シール壁32の一端と接続して形成され、中空シール部30の側壁を構成する。
【0044】
第1側部シール壁31は、スポンジ材で形成され、中空シール部30の内部方向に凸に形成されている。本実施の形態では、円弧状に湾曲して第1側部シール壁中央部36が最も奥に位置するように形成されているが、第1側部シール壁中央部36が略く字形に屈曲して形成されてもよい。内部方向に凸に形成されているため、ドアフレーム2が中空シール部30に当接したときに、第1側部シール壁31は、アウターパネル9とは反対方向である中空シール部30の内部方向に突出するように撓むことができる。そのため、中空シール30部をアウターパネル9に近接して取り付けても、第1側部シール壁31がアウターパネル9と接触することがなく、ドア閉力を増加させることがない。
【0045】
本実施の形態では、第1側部シール壁31は、略全長にわたり同じ肉厚で形成され、第2側部シール壁円弧部39より薄肉に形成されている。このため、ドア閉時に第1側部シール壁中央部36が確実に撓んで、第2側部シール壁32が確保した空間に、第1側部シール壁31が撓むことができ、第1側部シール壁中央部36が第2側部シール壁32と接触することがないため、ドア閉力を低減することができる。
【0046】
次に第2側部シール壁32について説明する。
第2側部シール壁32は、トリム部20の車外側側壁21から延設されソリッド材又は微発泡材で形成される第2側部シール壁根元部37と、その第2側部シール壁根元部37から一体的に延設されスポンジ材で形成される第2側部シール壁屈曲部38と、第2側部シール壁屈曲部38から円弧状に延設されスポンジ材で形成される第2側部シール壁円弧部39から形成される。第2側部シール壁円弧部39の先端は、第1側部シール壁31の先端と連結して、中空シール部30の中空部を形成する。
【0047】
中空シール部30にドアフレーム2が当接するときに、ソリッド材又は微発泡材で形成される第2側部シール壁根元部37の剛性が大きく、変形しにくい。そのため、車体開口部周縁6への取り付け位置により、ドアフレーム2が斜め方向から当接して、中空シール部30を引っ張っても、第2側部シール壁32が倒れにくい。
【0048】
それにより、中空シール部30が大きくアウターパネル9側に倒れることや、中空シール部30が異常変形することがなく、その内部の空間を確保することができる。したがって、ドアフレーム2の当接により、第1側部シール壁31が撓んでも、第1側部シール壁31が屈曲して中空シール部30の内部に進入するスペースを確保することができる。
【0049】
本実施の形態では、第2側部シール壁根元部37は、車外側側壁21から垂直方向に若干延設され、さらに屈曲して車外側側壁21の延長方向(平行な方向)に階段状に形成されている。このため、第2側部シール壁屈曲部38と第2側部シール壁円弧部39が後述するトリム部20の底壁23付近から延設されることができ、中空シール部30の内部の空間を大きくすることができる。
【0050】
このため、第1側部シール壁31が撓んでも、第2側部シール壁32の内面に当接することがなく、第1側部シール壁31の当接によるドア閉力の増加を防ぎ、ドア閉力を低くすることができる。
さらに、オープニングトリムウエザストリップ10を車体開口部周縁6のコーナー部に取付けたときも、ドア閉時にも第2側部シール壁32の根元の部分の変形が少なく、中空シール部30の異常変形を防止して、第2側部シール壁32を確実にドアフレーム2の膨出部2aに当接させることができる。
【0051】
第2側部シール壁根元部37に連続して一体的に第2側部シール壁屈曲部38がスポンジ材で形成されている。第2側部シール壁屈曲部38は、第2側部シール壁32において最も薄肉に形成されるか、又は、略く字形に屈曲して形成され、中空シール部30にドアフレーム2が当接したときに屈曲しやすいように形成される。本実施の形態では、薄肉に形成されている。
【0052】
ドアフレーム2が中空シール部30に当接したときに第2側部シール壁屈曲部38が屈曲するため、中空シール部30の撓み荷重を低減することができ、ドア閉力を軽減することができるとともに、第2側部シール壁円弧部39が円弧状のまま、異常変形せずに、ドアフレーム2に確実に当接して、シールすることができる。また、第2側部シール壁屈曲部38が第1側部シール壁31に対して、中空シール部30の最も深い位置に相当する。
【0053】
本実施の形態では、第2側部シール壁屈曲部38と第1側部シール壁31の中空シール部の内部方向に凸に最も内部に位置する部分である第1側部シール壁中央部36は、車外側側壁21に対して略平行な同じ高さの位置に設けられている。このため、第1側部シール壁31が撓んだときに、第1側部シール壁31の撓んだ先端が中空シール部30の最も深い部分まで進入することができ、ドア閉力を低減することができる。
【0054】
第2側部シール壁屈曲部38に連続して一体的に第2側部シール壁円弧部39が形成されている。第2側部シール壁円弧部39は、第2側部シール壁屈曲部38から離れるにつれて肉厚が徐々に増加するように形成されている。このため、中空シール部30にドアフレーム2が当接するときに、第2側部シール壁屈曲部38が確実に屈曲するとともに、第2側部シール壁円弧部39がドアフレーム2に当接するときや、車体のコーナー部に取り付けられたときに座屈したり異常変形したりすることがない。また、第2側部シール壁円弧部39の緩やかな円弧状の広い面積でドアフレーム2に当接して、シールすることができ、シール性に優れている。
【0055】
第2側部シール壁円弧部39のドアフレーム2に当接する部分の肉厚は、第1側部シール壁31と第2側部シール壁32の他の部分よりも厚く形成されている。このため、ドア閉時にドアフレーム2の膨出部2aに当接したときに、第2側部シール壁円弧部39が変形することなくドアフレーム2の膨出部2aに当接することができ、シール性を向上させることができる。
【0056】
第1側部シール壁31と第2側部シール壁32のそれぞれの先端と連続する中空シール部30の先端から第2側部シール壁円弧部39の延長方向(アウターパネル9の方向)に当接リップ35を形成することができる。この場合は、ドア閉時にドアフレーム2に中空シール部30が当接して、第1側部シール壁31と第2側部シール壁32が撓んで、第2側部シール壁円弧部39と当接リップ35が確実にドアフレーム2の膨出部2aに当接する。そのため、第2側部シール壁32と当接リップ35の広い面積でシールすることができ、シール性に優れている。
【0057】
第1側部シール壁31、第2側部シール壁屈曲部38、第2側部シール壁円弧部39及び当接リップ35は、スポンジ材で形成されているため、中空シール部30がドアフレーム2に当接したときに、柔軟にドアフレーム2の膨出部2aに当接して、シール性を確保できる。第2側部シール壁根元部37はソリッド材又は微発泡材で形成されているため、ドア閉時にドアフレーム2が当接して、中空シール部30を曲げた場合にも、中空シール部30が潰れ変形することも防止することができる。
【0058】
つぎにトリム部20の構成を説明する。
トリム部20は、車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23からなり、断面略U字形に形成されている。トリム部20の内部には、フランジ7を把持する強度を増加させるために、インサート部材27が埋設されている。インサート部材27は、板金や硬質樹脂で形成され、コーナー部に取付けられるときの柔軟性を確保するため、梯子状や、魚の骨状、ジグザグ状等に形成されている。トリム部20はソリッド材又は微発泡材で形成されている。
【0059】
車外側側壁21と車内側側壁22の内面にはそれぞれ長手方向に延設され、フランジ7を挟持する車外側保持リップ24と車内側保持リップ25が形成される。このため、車外側保持リップ24と車内側保持リップ25のそれぞれの先端がフランジ7の両側の側面にそれぞれ当接して、フランジ7を強固に保持する。このため、トリム部20が倒れることがなく、中空シール部30がドアフレーム2に確実に当接して、シール性を確保することができる。
【0060】
本実施の形態における車外側保持リップ24は、押出成形後では、3本短く形成され、車内側保持リップ25は、長く1本で断面略U字形の内部に斜め方向に突出形成されている。このため、フランジ7は車外側側壁21の内面側に位置して、3本の車外側保持リップ24で安定して保持されている。さらに、車内側保持リップ25により、フランジ7が車外側側壁21側に押圧されて、フランジ7を安定して保持することができる。また、フランジ7の凹凸や曲がりに対しても確実に追従しフランジ7に当接し、シール性を確保することができる。
車内側側壁22と底壁23の連続部分から車内方向にカバーリップ28が延設され、ガーニッシュ60の先端を覆っている。
【0061】
次に、オープニングトリムウエザストリップ10の製造方法を説明する。
このオープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により成形され、トリム部20を構成するソリッドゴム又は微発泡材、インサート部材27と中空シール部30を構成するスポンジゴムを押出成形機で一体に押出すことができる。
その後、通常の方法により加硫を行い、その後、1本分の所定長さに切断される。
【符号の説明】
【0062】
2 ドアフレーム
6 ドア開口部周縁
7 フランジ
10 ドアオープニングトリムウエザストリップ
20 トリム部(取付基部)
30 中空シール部
31 第1側部シール壁
32 第2側部シール壁
35 当接リップ
37 第2側部シール壁根元部
38 第2側部シール壁屈曲部
39 第2側部シール壁円弧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体開口部周縁に形成されたフランジに取付けられ自動車ドアと車体開口部周縁との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
該オープニングトリムウエザストリップは、上記フランジに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に設けられ、自動車ドアのドアフレーム又はドアパネルの外周に当接して上記自動車ドアと上記車体開口部周縁との間をシールする中空シール部を有し、
上記取付基部は、ソリッド材又は微発泡材で形成されるとともに、車外側側壁、車内側側壁及び底壁から構成される断面略U字形に形成され、
該中空シール部は、上記車外側側壁から一端が延設され上記フランジの根元側の側壁を構成する第1側部シール壁と、上記車外側側壁から一端が延設され上記フランジの先端側の側壁を構成するとともに、先端が上記第1側部シール壁の先端と接続して中空部を形成する第2側部シール壁とを有し、
該第2側部シール壁は、上記車外側側壁から延設されソリッド材で形成される第2側部シール壁根元部と、該第2側部シール壁根元部から一体的に延設される第2側部シール壁屈曲部と、該第2側部シール壁屈曲部から円弧状に延設される第2側部シール壁円弧部から形成され、
上記第1側部シール壁は、上記中空シール部の内部方向に凸に形成され、
上記第2側部シール壁屈曲部、上記第2側部シール壁円弧部及び上記第1側部シール壁はスポンジ材で形成されたことを特徴とするオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項2】
上記第2側部シール壁円弧部は、上記第2側部シール壁屈曲部から離れるにつれて肉厚に形成された請求項1に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項3】
上記第2側部シール壁屈曲部は、上記第2側部シール壁において最も薄肉に形成されるか、又は、略く字形に屈曲して形成された請求項1又は請求項2に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項4】
上記第2側部シール壁根元部は、上記車外側側壁から垂直方向に若干延設され、さらに屈曲して車外側側壁の延長方向に階段状に形成された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項5】
上記第1側部シール壁は、上記中空シール部の内部方向に円弧状に湾曲して形成されるか、又は、略く字形に屈曲して形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項6】
上記第1側部シール壁と第2側部シール壁のそれぞれの先端と連続する中空シール部の先端から上記第2側部シール壁円弧部の延長方向に延出された当接リップが形成された請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項7】
上記第1側部シール壁は、上記第2側部シール壁円弧部より薄肉に形成された請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項8】
上記第1側部シール壁の上記中空シール部の内部方向に湾曲して最も内部に位置する部分は、上記第2側部シール壁屈曲部と上記車外側側壁に対して略平行な位置に設けられた請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−189880(P2011−189880A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59289(P2010−59289)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】