説明

カップホルダ

【課題】サポート部材の構成自体が単純であり、サポート部材を脱着させることで異径の飲料容器を収容可能なカップホルダを提供する。
【解決手段】ケース体15の短手方向内部両側の側面に、対向する側面側に突出する第2の段差部26と、第2の段差部26の上面26Aに形成された支持部29と、第2の段差部26間に形成される溝部27とが設けられ、サポート部材17が支持部29に嵌入可能とされるとともに、サポート部材17を90度水平面内で回転させて溝部27に嵌入可能とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用カップホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
車室内に設けられるカップホルダとして、サポート部材を脱着させるものが知られている。簡単に説明すると、カップホルダは飲料容器を収容するケース体とサポート部材とで構成されている。そして、ケース体にサポート部材を装着した場合には、サポート部材の両側に飲料容器を収容可能な空間が形成され、サポート部材をケース体から外した場合には、飲料容器より大きなものを収容可能な空間が形成される構成とされている。
【0003】
ところで、飲料容器としては、缶容器やペットボトル、紙パック、紙コップ等がある。これらはいずれも径が異なるため、カップホルダに異径の飲料容器を収容かつ保持できることが望ましい。この観点から、例えば特許文献1に示すカップホルダが提案されている。特許文献1のカップホルダは、図14(A)、(B)に示されるように、飲料容器を収容するケース体201と、そのケース体201の支持部203に脱着可能に取り付けられるサポート部材205とを有する。そして、そのサポート部材205には容器保持部207が設けられ、展開付勢部材によって容器保持部207が退避位置P1と展開位置P2との間を移動する構成とされている。したがって、ケース体201にサポート部材205を装着させた場合、容器保持部207を退避位置P1まで移動させれば大きめの飲料容器2個を収容可能な空間が形成される。また、容器保持部207を展開位置P2まで移動させれば退避位置P1の状態に比べて径の小さな飲料容器2個を収容可能な空間が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−320492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のカップホルダではサポート部材に付勢手段が設けられているので、サポート部材の構成自体が複雑になる。
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、サポート部材の構成自体が簡素であり、サポート部材を脱着させることで異径の飲料容器を収容可能なカップホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係るカップホルダは、内部に容器収容空間が形成され、内部の短手方向両側面に少なくとも1つずつ設けられるとともに、対向する側面側に突出する突出部を有するケース体と、平面視で見た場合において嵌入方向の中心を通る短手方向が前記ケース体の長手方向と一致する第1の状態と、前記第1の状態から水平面内で回転させて、前記中心を通る長手方向が前記ケース体の長手方向と一致する第2の状態と、からそれぞれ前記突出部へ嵌入可能とされるとともに、前記第1の状態から前記突出部に嵌入させた場合に、第1の径を有する飲料容器を前記容器収容空間に収容可能とし、前記第2の状態から前記突出部に嵌入させた場合に、前記第1の径より小さい第2の径を有する飲料容器を前記容器収容空間に収容可能とするサポート部材と、を含んで構成されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、ケース体内部の短手方向両側面に少なくとも1つずつ突出部が形成され、この突出部にサポート部材を嵌入できるとともに、サポート部材を水平面内で回転させた場合にもこのサポート部材を突出部に嵌入できる。したがって、新設部品を必要とせず従来のようにサポート部材が一部材から構成される。また、サポート部材は、平面視で嵌入方向の中心を通る短手方向と長手方向とを備える形状とされているので、第1の状態と第2の状態とからそれぞれケース体に嵌入させた場合、サポート部材の両側に形成される容器収容空間の開口部の大きさが異なる。
【0009】
請求項2記載の発明に係るカップホルダは、請求項1に記載のカップホルダにおいて、前記サポート部材を前記第1の状態から前記突出部に嵌入させた場合に、前記サポート部材の稜線と、該サポート部材の両側に形成される容器収容空間を区画する前記ケース体の内部側面の稜線またはその延長線とが平面視で連続していることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、第1の状態からサポート部材をケース体の突出部へ嵌入させた場合に、ケース体とサポート部材との間に形成された容器収容空間の開口部の稜線またはその延長線が連続する。
【0011】
請求項3記載の発明に係るカップホルダは、請求項1または請求項2に記載のカップホルダにおいて、前記サポート部材を前記第2の状態から前記突出部に嵌入させた場合に、前記サポート部材の稜線と、該サポート部材の両側に形成される容器収容空間を区画する前記ケース体の内部側面の稜線またはその延長線とが平面視で不連続でかつ、前記サポート部材の稜線は、前記内部側面の稜線の延長線と干渉する方向へ突出されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、第2の状態からサポート部材をケース体の突出部に嵌入させた場合に、平面視で、サポート部材の稜線は、ケース体内部に設けられた容器収容空間を区画する内部側面の延長線よりも長手方向外側に位置する。したがって、ケース体とサポート部材との間に形成された容器収容空間の開口部は、ケース体とサポート部材との間に形成された容器収容空間の開口部の稜線またはその延長線が連続している場合に比べて小さくなる。
【0013】
請求項4記載の発明に係るカップホルダは、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のカップホルダにおいて、前記突出部の間には、前記ケース体の長手方向両側に形成された容器収容空間を連通する溝部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、サポート部材をケース体から取り外した場合に、ケース体の短手方向中央部を通って長手方向に溝部を含む収容空間が形成される。
【0015】
請求項5記載の発明に係るカップホルダは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のカップホルダにおいて、前記突出部は、前記ケース体の底面と前記ケース体の内部の短手方向側面とを結び、前記第2の状態から前記サポート部材に嵌入される棚部と、前記棚部の一部に形成され、前記第1の状態から前記サポート部材に嵌入される支持部とを含んで構成されていることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、第1の状態からケース体の支持部とサポート部材とが嵌合される。また、第2の状態からケース体の棚部とサポート部材とが嵌合される。
【0017】
請求項6記載の発明に係るカップホルダは、請求項5に記載のカップホルダにおいて、前記棚部の少なくとも一方の短手方向側面には、前記サポート部材を前記第2の状態から前記突出部に嵌入させた場合に前記サポート部材に係合する第1の係合部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、第1の係合部とサポート部材とが係合される。したがって、サポート部材の支持点が増える。
【0019】
請求項7記載の発明に係るカップホルダは、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のカップホルダにおいて、前記ケース体の内部の短手方向側面の少なくとも一方には、前記サポート部材に係合する第2の係合部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、第2の係合部とサポート部材の一部とが係合される。したがって、サポート部材の支持点が更に増える。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係るカップホルダは、サポート部材の構成自体が簡素であり、サポート部材を脱着させることで異径の飲料容器を収容できるという優れた効果を有する。
【0022】
また、請求項2記載の本発明に係るカップホルダは、外観品質を良好に保つことができるという優れた効果を有する。さらに、サポート部材の稜線が飲料容器の外周に沿う略円弧の形状であれば、飲料容器を安定して収容することができるという優れた効果を有する。
【0023】
また、請求項3記載の本発明に係るカップホルダは、ケース体とサポート部材との間に形成された容器収容空間の開口部の稜線またはその延長線が連続している場合に比べて、小さな飲料容器を収容することができるという優れた効果を有する。さらに、サポート部材の稜線が飲料容器の外周に沿う略円弧の形状であれば、飲料容器を安定して収容することができるという優れた効果を有する。
【0024】
また、請求項4記載の本発明に係るカップホルダは、取手等の凸部を有する飲料容器(例えばマグカップ)を収容することができるという優れた効果を有する。
【0025】
また、請求項5記載の本発明に係るカップホルダは、従来のケース体を使用できるので、サポート部材のみを変更すればよく、コストを抑えることができる。
【0026】
また、請求項6記載の本発明に係るカップホルダは、サポート部材を係合させることができ、サポート部材のガタツキが抑えられるという優れた効果を有する。
【0027】
さらに、請求項7記載の本発明に係るカップホルダは、サポート部材を係合させることができ、サポート部材のガタツキが抑えられるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態に係るカップホルダの概略斜視図である。
【図2】図1に示されるケース体の斜視図である。
【図3】図1に示されるサポート部材の斜視図である。
【図4】図2に示されるケース体に図3に示されるサポート部材を嵌入させる状態を示した分解斜視図である。
【図5】第1の径を有する飲料容器を収容可能とするカップホルダの斜視図である。
【図6】(A)は図5のカップホルダの平面図であり、(B)はその正面図である。
【図7】第1の径より小さな径を有する飲料容器を収容可能とするカップホルダの斜視図である。
【図8】(A)は図7のカップホルダの平面図であり、(B)は嵌入方向の中心を通る短手方向の断面図である。
【図9】第1の実施形態に係るカップホルダの変形例を示す概略斜視図である。
【図10】第2の実施形態に係るカップホルダを構成するケース体の概略斜視図である。
【図11】図10に示されるケース体に嵌入されるサポート部材の斜視図である。
【図12】図10に示されるケース体に図11に示されるサポート部材を嵌入させた場合の平面図である。(A)は第1の径を有する飲料容器を収容可能な場合、(B)は第1の径より小さな径を有する飲料容器を収容可能な場合である。
【図13】図12(A)において、第2の係合部が設けられたカップホルダの平面図である。
【図14】異径飲料容器を収容可能な、従来のカップホルダの斜視図である。(A)はケース体の斜視図、(B)はサポート部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態およびその変形例について図1乃至図9を参照して説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印Frは車両前後方向前方側を示しており、矢印Upは車両上下方向上方側を示しており、矢印Lは車幅方向左側を示している。また、対称性に応じて、各図において符号を省略している。
【0030】
図1に示されるように、本実施形態におけるカップホルダ11は車両の運転席と助手席との間のコンソールボックス12内に設けられている。カップホルダ11は、プッシュオープン式のドア13を押し開くことで使用可能とされ、図1にはドア13が押し開かれた状態が示されている。このカップホルダ11は、飲料容器等を収容するケース体15と、このケース体15に対して脱着可能とされるサポート部材17とを含んで構成され、これらはいずれも樹脂製とされている。ケース体15の長手方向(車両前後方向)長さは、第1の径φ1を有する飲料容器V1(図6(A)参照)が間隔をあけて配置可能な長さとされている。また、ケース体15の短手方向(車幅方向)長さは、第1の径φ1を有する飲料容器V1の直径程度の長さとされている。ここで、第1の径φ1とは直径でおよそ8.5センチメートルであり、第1の径φ1を有する飲料容器V1は、市販されている紙コップLサイズの飲料容器とされている。また、ケース体15の車両上下方向深さ(長さ)は、第2の径φ2を有する飲料容器V2(図8(A)参照)の高さより小さい長さとされている。ここで、第2の径φ2とは直径でおよそ6.5センチメートルであり、第2の径φ2を有する飲料容器V2は、市販されているペットボトルとされている。そして、第2の径φ2は第1の径φ1に比べて小さく設定されている。
【0031】
なお、図6(A)および図8(A)に示されるように、ケース体15の平面形状は、その長手方向中心位置を通って短手方向に延びる軸X1に対して線対称形状とされている。また、ケース体15の平面形状は、その短手方向中心位置を通って長手方向に延びる軸Y1に対して線対称形状とされている。そして、サポート部材17の平面形状は、その長手方向中心を通って短手方向に延びる軸X2を中心に線対称形状とされている。また、サポート部材17の平面形状は、短手方向中心を通って長手方向に延びる軸Y2に対して線対称形状とされている。
【0032】
図2に示されるように、ケース体15は上面側が開放された略箱状をなしており、その内部の長手方向両側に設けられて飲料容器を収容する一対の主収容部19と、一対の主収容部19を車両前後方向に連通する連通収容部21とで構成されている。なお図2は、図1のケース体15において主収容部19の一部と連通収容部21の一部とを拡大した図であり、ケース体15の長手方向両側はカットされている。また、ケース体15が車幅方向に対称であることから片方側のみが示されている。
【0033】
主収容部19を区画する内部側面19Aは平面視で略円弧をなし、車両上下方向に延びて形成されている。内部側面19Aの車両上端部には稜線19Bが形成されている。さらに、主収容部19の底面の内径は、主収容部19の上端側開口部の内径より小さく設定され、主収容部19の垂直断面形状は略台形形状とされている。すなわち、主収容部19は円錐台形状の空間とされている。なお、主収容部19の底面の内径は、第1の径φ1と略同一とされている。
【0034】
連通収容部21は、ケース体15の長手方向中央部の短手方向両側面に設けられると共に対向する側面に向かって突出している段差部24と、双方の段差部24の間に形成された溝部27とによって区画されている。
【0035】
段差部24は、ケース体15の車両上下方向上方側に設けられる第1の段差部25と、ケース体15の車両上下方向下方側に設けられて第1の段差部25よりもケース体15内部に突出する棚部としての第2の段差部26とで構成されている。
【0036】
第1の段差部25は、プッシュオープン式のドア13が閉じられた状態でドア13の下面に対向する上面25Aと、垂直断面で見た場合に上面25Aから車両上下方向下方へ延びる短手方向側面25Bとで構成されている。なお、第1の段差部25の短手方向はケース体15の短手方向と同様の方向である。
【0037】
第2の段差部26は、第1の段差部25の短手方向側面25Bから屈曲して形成される上面26Aと、垂直断面で見た場合に上面26Aから車両上下方向下方へ延びる短手方向側面26Bと、ケース体15の内部に設けられた主収容部19を区画する内部側面19Aの一部とされている長手方向側面26Cとで構成されている。なお、第2の段差部26の長手方向はケース体15の長手方向と同様の方向である。
【0038】
第1の段差部25の深さ(高さ)は、ケース体15の高さの95パーセント程度とされ、第2の段差部26の深さ(高さ)は、ケース体15の高さの25パーセント程度とされている。また、第1の段差部25を垂直断面で見た場合、短手方向側面25Bは車両上方から車両下方に向かってケース体15の短手方向外側から内側に傾斜している(図6(B)参照)。また、第2の段差部26を垂直断面で見た場合、短手方向側面26Bは車両上方から車両下方に向かってケース体15の短手方向外側から内側に傾斜している(図6(B)参照)。
【0039】
図2に示されるように、第2の段差部26の上面26Aには板状の支持部29が一体形成されている。この支持部29は、車両前方から見て略L字状とされ、車両上下方向延伸部29Aと、車両水平方向延伸部29Bとで構成されている。車両上下方向延伸部29Aは、第1の段差部25の短手方向側面25Bに設けられている。また、車両水平方向延伸部29Bは、第1の段差部25の短手方向側面25Bと、第2の段差部26の上面26Aとに設けられている。そして、車両水平方向延伸部29Bの長手方向(ケース体15の短手方向)が広幅とされている。また、支持部29はケース体15の長手方向中心位置を通って短手方向に伸びる軸X1(図6(A)参照)に対して線対称に配置されている。すなわち、支持部29は対向する第2の段差部26の上面26Aにも同様に配設され、この支持部29はそれぞれの第2の段差部26に1箇所ずつの計2箇所に設けられている。そして、後述する、第1の状態からサポート部材17をケース体15に嵌合させた場合に示された状態において、支持部29は、サポート部材17(図3参照)の長手方向両側の側面43Aの下端に設けられた切り欠き53と嵌合される(図5参照)。
【0040】
また、図2に示されるように、第2の段差部26の短手方向側面26Bには、対向する側面に向かって突出する第1の係合部としてのリブ31が一体形成されている。このリブ31は、車両前方から見て斜辺が第2の段差部26の短手方向側面26Bに設けられた直角三角形状とされている。また、リブ31はケース体15の長手方向中心位置を通って短手方向に伸びる軸X1(図6(A)参照)に対して対称に配置されている。リブ31は対向する第2の段差部26の短手方向側面26Bにも同様に配設され、このリブ31はそれぞれの第2の段差部26に2箇所ずつの計4箇所に設けられている。さらに、後述する、第2の状態からサポート部材17をケース体15に嵌合させた場合に示された状態において、リブ31は、サポート部材17(図3参照)の短手方向両側の側面43Bに設けられた切り欠き63の外周の一部を形成している第2の鉛直部65Dおよび第2の水平部65E(図6(B)参照)と当接される(図3と図8(A)参照)。
【0041】
さらに、図2に示されるように、ケース体15における主収容部19と連通収容部21との境界部付近、詳しくは主収容部19を区画する内部側面19Aと第1の段差部25の短手方向側面25Bとの境界部には、その全長にわたって第2の係合部としての凸部23が設けられている。この凸部23は、ケース体15の短手方向内側すなわち対向する側面に向かって隆起する部分として構成されており、平面形状が略半円状とされている。この凸部23は、主収容部側部23Aと連通収容部側部23Bとがそれぞれ略円弧面として出会うことにより半円状の膨らみ部として構成されている。また、主収容部側部23Aは、主収容部19を区画する内部側面19Aの一部とされている。
【0042】
サポート部材17は、図3に示されるように、平面視で4辺が内側に略円弧状に湾曲されるとともに4辺の角が外側にアールを有する頂部41と、頂部41を構成する4辺から車両下方へ向かって頂部41の内部方向に傾斜して平面視で略円弧状をなす側部43とを含んで構成されている。平面視では、頂部41の各4辺のうち対向する2辺を形成する円弧の半径は等しく設定されている。また、サポート部材17の頂部41の長手方向両側の2辺45を形成する円弧の半径は、短手方向両側となる2辺47を形成する円弧の半径より小さく設定されている。
【0043】
ここで、図6(A)に示されるように、サポート部材17の頂部41の短手方向両側となる2辺47は、主収容部19を区画する内部側面19Aの上端に形成された稜線19Bと同様の略円弧形状とされている。そして、後述する、第1の状態からサポート部材17をケース体15に嵌合させた場合において、サポート部材17の頂部41の短手方向両側となる2辺47と、ケース体15の内部に設けられた主収容部19を区画する内部側面19A(図2参照)の上端に形成された稜線19Bの延長線とが平面視で連続する構成とされる。
【0044】
さらに、図8(A)に示されるように、サポート部材17の頂部41の長手方向両側となる2辺45は、第2の径φ2を有する飲料容器V2の外周面に沿う形状とされている。そして、後述する、第2の状態からサポート部材17をケース体15に嵌合させた場合において、サポート部材17の頂部41の長手方向両側となる2辺45と、サポート部材17の両側に形成される空間を区画する内部側面19A(図2参照)の上端に形成された稜線19Bの延長線とが平面視で不連続とされる。また、後述する、第2の状態からサポート部材17をケース体15に嵌合させた場合において、サポート部材17の頂部41の長手方向両側となる2辺45は、内部側面19Aの上端に形成された稜線19Bの延長線と干渉する方向へ突出される構成とされる。すなわち、サポート部材17の頂部41の長手方向両側となる2辺45は、稜線19Bの延長線よりケース体15の長手方向外側に突出される。そして、サポート部材17の長手方向長さは第2の段差部26の長手方向長さより長く、第2の段差部26はサポート部材17によって挟持される。
【0045】
図3に示されるように、サポート部材17の長手方向両側の側部43Aを正面から見ると、その形状は、頂部41を構成する1辺となる上底45と、上底45に対向して側部43Aの車両上下方向下部となり、後述するように一部が切り欠かれている下底51とを含んで形成される略台形形状とされている。ここで、下底51の長さは上底45の長さより短く設定されている。また、サポート部材17の長手方向両側の側部43Aは、上底45から下底51に向かってサポート部材17の中央を内側として内側に傾斜されている(図8(A)参照)。さらに、下底51の中央部には上底45側に向かって略長方形状の切り欠き53が形成されている。この切り欠き53の幅は、支持部29の幅(ケース体15の長手方向と同じ方向の長さ、図2参照)より長く設定されている。なお、サポート部材17の長手方向両側の側部43Aは、下底51の中央部と上底45の中央部とを結ぶ線を中心に線対称形状とされている。
【0046】
図3に示されるように、サポート部材17の短手方向両側の側部43Bを正面から見ると、その形状は、頂部41を構成する1辺となる上底47と、上底47に対向して側部43Bの車両上下方向下部となる下底61とから形成される略台形形状とされている。ここで、下底61の長さは上底47の長さより短く設定されている。また、上底47の両端から下底61の両端にかけては、下底61の中央部を内側として内側に向かう傾斜状態とされている(図8(A)参照)。また、側部43Bには、下底61の中央部を残して、その左右に所定形状の切り欠き63が形成されている。この切り欠き63は、詳しくは図6(B)に示されるように、その外周65が、下底61の中央部から上底47側へ延在する第1の鉛直部65Aと、第1の鉛直部65A上端からサポート部材17の長手方向外側に延在する第1の水平部65Bと、第1の水平部65Bの長手方向外側端部から上底47かつサポート部材17の長手方向外側へ傾斜する傾斜部65Cと、傾斜部65C上端から上底47側へ延在する第2の鉛直部65Dと、第2の鉛直部65Dの上端からサポート部材17の長手方向外側に延在する第2の水平部65Eと、第2の水平部65Eの長手方向外側端部から下底61側へ延在する第3の鉛直部65Fとで構成されている。なお、サポート部材17の短手方向両側の側部43Bは、下底61の中央部と上底47の中央部とを結ぶ線を中心に線対称形状とされている。
【0047】
次に、ケース体15にサポート部材17を嵌入させる方法について説明する。
【0048】
図4に示されるように、平面視でサポート部材17の嵌入方向の中心(以降、嵌入中心)Gを通る短手方向とケース体15の長手方向とが一致するように、サポート部材17をケース体15の上方に配置する。ここで、サポート部材17の頂部41の中心(詳しくは、頂部41の対角線の交点)がケース体15の中心の上方にくるように配置する。以下、この状態を「第1の状態」と称する。そして、この第1の状態からサポート部材17を下方に下ろして、サポート部材17とケース体15とを嵌合させる。
【0049】
一方で、平面視でサポート部材17の嵌入中心Gを通る長手方向とケース体15の長手方向とが一致するように、サポート部材17をケース体15の上方に配置する。ここで、サポート部材17の頂部41の中心(詳しくは、頂部41の対角線の交点)がケース体15の中心の上方にくるように配置する。以下、この状態を「第2の状態」と称する。そして、この第2の状態からサポート部材17を下方に下ろして、サポート部材17とケース体15とを嵌合させる。
【0050】
よって第1の状態からサポート部材17を下方に下ろして、サポート部材17とケース体15とを嵌合させた状態から、サポート部材17を上方に持ち上げてケース体15から取り外し、サポート部材17の頂部41の中心を回転中心として、その中心を通る鉛直軸を回転軸として水平方向に90度サポート部材17を回転させて嵌入可能とされている状態が、第2の状態となっている。
【0051】
次に、サポート部材17をケース体15に嵌入させた場合の作用について説明する。
【0052】
(第1の状態からサポート部材17をケース体15に嵌合させた場合)
まず、第1の状態からケース体15にサポート部材17を嵌合させて第1の径φ1を有する飲料容器V1を収容させた場合の作用について説明する。
【0053】
図5に示されるのは、第1の状態からケース体15にサポート部材17を嵌合させた状態におけるカップホルダの斜視図である。また、図5の平面図が図6(A)であり、図5の正面図が図6(B)である。なお、図5および図6においては、ケース体15の長手方向両端がカットされている。
【0054】
図5または図6に示されるように、ケース体15とサポート部材17とは、ケース体15の長手方向とサポート部材17の短手方向とが一致するように嵌合されている。詳しくは、サポート部材17は、ケース体15の上方から支持部29に向けて嵌入され、ケース体15の段差部24に設けられた支持部29と、サポート部材17の長手方向両側の側部43Aに設けられた切り欠き53(図3参照)とが嵌合されている。したがって、ケース体15の連通収容部21がサポート部材17によって区切られ、ケース体15とサポート部材17との間に容器収容空間(主収容部19)が形成される。そのため、その容器収容空間に飲料容器を収容することができる。また、ケース体15の内部に設けられた主収容部19の底面の内径は第1の径φ1と略同一とされている。したがって、第1の径φ1を有する飲料容器V1を収容することができる。また、主収容部19の底面の内径は、主収容部19の上端側開口部の内径より小さく設定され、主収容部19の垂直断面形状は、略台形形状とされている。したがって、内部側面19Aは傾斜しているので、飲料容器収容時に飲料容器が内部側面19Aの途中にあたっても、飲料容器を円滑に収容することができるとともに、第1の径φ1を有する飲料容器V1を安定して収容することができる。さらに、ケース体15の内部に設けられた主収容部19を区画する内部側面19Aの上端に形成された稜線19Bが略円弧をなし、サポート部材17の頂部41の短手方向両側となる2辺47は、内部側面19Aの上端に形成された稜線19Bの延長線と同様の略円弧形状とされている。したがって、ケース体15にサポート部材17が嵌合された状態で、ケース体15の内部側面19Aの車両上方側の稜線19Bの延長線と、サポート部材17の頂部41の短手方向両側となる2辺47とが連続する。その結果、主収容部19の開口側の稜線の延長線が連続する。よって、外観品質を良好に保つことができる。
【0055】
なお、ここで使用している連続とは、ケース体15にサポート部材17が嵌合された状態で、ケース体15の内部側面19Aの車両上方側の稜線19Bの延長線と、例えばサポート部材17の頂部41の短手方向両側となる2辺47とが一致せず、例えば1ミリメートルずれている場合も含まれる。すなわち、本発明の効果が得られる範囲であればずれていてもよい。
【0056】
また、ケース体15とサポート部材17とが嵌合された状態では、サポート部材17に第1の径φ1を有する飲料容器V1が当接してサポート部材17が移動しても、凸部23がサポート部材17の移動を防ぐストッパーの役割を果たす。そのため、サポート部材17のガタツキを抑制することができる。
【0057】
なお、切り欠き53(図3参照)の短辺の長さは、支持部29(図2参照)の幅より長いので、嵌入しやすくされている。しかし、サポート部材17のガタツキを抑えるには、切り欠き53の幅と、支持部29の幅との差を小さくすればよい。あるいは、切り欠き53と支持部29との接触面積を増やせばよい。また、凸部23は全長にわたって設けられていなくてもよい。
【0058】
(第2の状態からサポート部材17をケース体15に嵌合させた場合)
次に、第2の状態からケース体15にサポート部材17を嵌合させて第2の径φ2を有する飲料容器V2を収容させた場合の作用について説明する。
【0059】
図7に示されるのは、第2の状態におけるカップホルダの斜視図である。また、図7の平面図が図8(A)であり、図8(A)においてX1、X2方向の断面図が図8(B)である。なお、図7および図8においては、ケース体15の長手方向両端がカットされている。
【0060】
図7または図8に示されるように、ケース体15とサポート部材17とは、ケース体15の長手方向とサポート部材17の長手方向とが一致するように嵌合されている。詳しくは、ケース体15の第2の段差部26間に形成されている溝部27(図2参照)に、サポート部材17の短手方向両側の側部43Bが嵌合されている。したがって、ケース体15の連通収容部21(図2参照)がサポート部材17によって区切られ、ケース体15とサポート部材17との間に容器収容空間(主収容部19)が形成される。そのため、その空間に飲料容器を収容することができる。また、第2の段差部26は、サポート部材17の長手方向両側の側部43Aの一部によって挟まれている。そして、サポート部材17の頂部41の長手方向両側となる2辺45と、ケース体15の主収容部19を区画する内部側面19Aの上端に形成された稜線19Bの延長線とが平面視で不連続とされ、サポート部材17の頂部41の長手方向両側となる2辺45は、内部側面19Aの上端に形成された稜線19Bの延長線と干渉する方向へ突出されている。したがって、ケース体15とサポート部材17との間には、上記第1の状態からサポート部材17をケース体15に嵌合させた場合に形成される容器収容空間よりも小さい容器収容空間が形成される。よって、第1の径φ1より小さな径を有する飲料容器を収容することができる。さらに、サポート部材17の頂部41の長手方向両側となる2辺45は、第2の径φ2を有する飲料容器V2の外周面に沿う形状とされているので、第2の径φ2を有する飲料容器V2を安定して収容することができる。
【0061】
ここで、図7または図8(A)に示されるように、第2の段差部26の角26Dすなわち短手方向側面26Bと長手方向側面26Cとの境界部近傍は、平面視で、サポート部材17の頂部41の短手方向両側面43Bにより覆われている。すなわち、図8(A)において、第2の段差部26の角26Dは、サポート部材17の短手方向両側の下底61よりもケース体15の内側に位置している。そして、サポート部材17の短手方向両側側部43Bに設けられた切り欠き63(図3参照)の第2の水平部65E(図6(B)参照)と、第2の段差部26の角26Dとが、詳しくは、第2の水平部65Eと、第2の段差部26の角26Dの上面とが当接されている。また、第2の段差部26の短手方向側面26Bと、サポート部材17の短手方向側部43Bとの間には、第2の段差部26の角26Dを除いて隙間Sが形成されている。また、主収容部19に対向して配置されているリブ31の内側側面部31Aとサポート部材17の切り欠き63の第2の鉛直部65D(図6(B)参照)とが当接し、リブ31の上面部31Bと切り欠き63の第2の水平部65Eとが当接されている。すなわち、サポート部材17の短手方向両側に設けられた切り欠き63の第2の水平部65E間の距離は、第2の段差部26の側面26Bに設けられた2つのリブ31の間の距離と略均等とされている。したがって、サポート部材17の支持点が増えて、サポート部材のガタツキを抑制し、安定させることができる。
【0062】
さらに、サポート部材17の短手方向側部43Bに設けられた切り欠き63(図3参照)の外周には傾斜部65C(図6(B)参照)が設けられている。したがって、ケース体15にサポート部材17を嵌入させるときには、その傾斜部65Cがリブ31の上面31Bに当接してから、リブ31間にサポート部材17が嵌入されやすい。
【0063】
なお、サポート部材17のガタツキをより抑えたい場合は、サポート部材17とケース体15との接触面積を増やせばよい。
【0064】
(マグカップを収容させる場合)
次に、マグカップを収容させる場合の作用について説明する。
【0065】
マグカップを収容させる場合、図5または図7においてサポート部材17はケース体15から取り外される(図2参照)。その結果、ケース体15の短手方向中央部を通って長手方向に溝部27を含む空間が形成される。したがって、ケース体15の内部に設けられた主収容部19にマグカップを収容すると、マグカップの取手は、溝部27および溝部27より車両上方側の空間を含む連通収容部21に収容される。よって、マグカップの配置によっては、マグカップの取手が第2の段差部26の短手方向側面26Bまたはリブ31に当接可能とされる。そのため、車両の旋回時にマグカップが移動した時でも、取手が第2の段差部26の短手方向側面26Bまたはリブ31に当接して、マグカップの移動(回転)が抑制される。したがって、マグカップが安定して配置される。
【0066】
以上上記第1の実施形態によれば、サポート部材17を90度水平面内で回転させることで異なる径の飲料容器が収容可能となる。よって、従来のようにサポート部材に付勢手段を設ける構成に比べて、簡素な構成とすることができる。また、サポート部材17をケース体15の支持部29あるいは溝部27に嵌合させる構成とされている。よって、ケース体15は従来のままでサポート部材17のみを替えればよく、製造コストを抑えることができる。さらに、溝部27を有するので、マグカップのような取手を有する飲料容器を収容できる。
【0067】
なお、凸部23は、ケース体の短手方向両側面のうち一方側にのみ設けられていてもよい。
【0068】
<第1の実施形態の変形例>
例えば図9に示されるように、ケース体35には第2の係合部としての凸部は設けられず、サポート部材37は頂部39の4角にアールを有さない形状でもよい。
【0069】
なお、上記第1の実施形態およびその変形例において、ケース体15内部の短手方向両側面に設けられた段差部24間に溝部27は形成されず、段差部24間をつなぐ壁部が設けられていてもよい。また、ケース体15に第1の係合部としてのリブ31はなくてもよいし、リブ31は2箇所に限る必要はない。
【0070】
<第2の実施形態>
次に、図10乃至図13を用いて本発明の第2の実施形態およびその変形例について説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、ここではその説明を省略する。
【0071】
図10乃至図13に示されるように、第2の実施形態におけるカップホルダは、ケース体85の短手方向両側面に一つずつ突出部91が設けられるとともに、ケース体85を平面視で見た場合に、突出部91は、後述するサポート部材93の嵌入方向の中心(以降、嵌入中心)G4(図13参照)に対して点対称の位置に配置されている点に特徴がある。ここで、突出部91は第1の実施形態における支持部29の幅とほぼ同様の板厚を有する。なお、突出部91の突出長さ(ここでは平面視における、ケース体85の短手方向と同じ方向の長さ)については後述する。
【0072】
図10に示されるように、ケース体85は、上面側が開放された略箱状をなしており、その内部の長手方向両側の内部側面が平面視で略半円をなして形成されている。この略半円の形状は、第1の径φ1を有する飲料容器V1(図12(A)参照)の外周に沿う形状とされている。ケース体85は、長手方向両側に形成された前後一対の主収容部87と、一対の主収容部87を連通する連通収容部89とで構成されている。ケース体85の短手方向両側面には、対向する側面に向かって突出する矩形平板状の突出部91が一体形成されている。ケース体85の短手方向両側面のいずれか一方の側面に設けられた突出部91と、他方の側面に設けられた突出部91とは、平面視で、後述するサポート部材93の嵌入中心G4に対して点対称に配置されている。なお、ケース体85は、突出部91を除けば、平面視で、サポート部材93の嵌入中心G4(図13参照)を通る短手方向の軸X3(図13参照)に対して対称とされている。また、ケース体85は、突出部91を除けば、平面視で、サポート部材93の嵌入中心をG4通る長手方向の軸Y3(図13参照)に対して対称とされている。
【0073】
図11に示されるように、サポート部材93は、平面視で4辺それぞれの一部が内側に略円弧状に湾曲されている頂部95と、頂部95を構成する4辺から車両下方へ向かって頂部95の各辺と略垂直な面を形成して平面視で辺の一部が略円弧状をなす側部97とを含んで構成されている。ここで、頂部95は平面視で、正方形の対向する2組の2辺を異なる半径の円で切り欠いた形状とされている。また、平面視では、頂部95の各4辺のうち対向する2辺を形成する円弧の半径は等しく設定されている。以降では、サポート部材93の頂部95が大きな半径の円で切り欠かれた2辺99を両側とする方向を短手方向、小さな半径の円で切り欠かれた2辺101を両側とする方向を長手方向と称する。
【0074】
サポート部材93の頂部95の短手方向両側となる2辺99の一部を形成する円弧の形状は、主収容部87を区画する内部側面87A(図10参照)の外周面に沿う形状とされるとともに、第1の径φ1を有する飲料容器V1(図12(A)参照)の外周面に沿う形状とされている。また、サポート部材93の頂部95の長手方向両側となる2辺101の一部を形成する円弧の形状は、第2の径φ2を有する飲料容器V2(図12(B)参照)の外周面に沿う形状とされている。なお、サポート部材93の短手方向両側の側部97Aは、下底103の中央部と上底99の中央部とを結ぶ線を中心に線対称とされている。また、サポート部材93の長手方向両側の側部97Bは、下底105の中央部と上底101の中央部とを結ぶ線を中心に線対称とされている。
【0075】
サポート部材93の短手方向両側部97Aおよび長手方向両側部97Bには、突出部91と嵌合させるための切り欠き107が設けられている。この切り欠き107は、サポート部材93の各側部97を正面から見た場合に略長方形状とされている。また、サポート部材93の側部97を正面から見た場合において、切り欠き107は1つであるとともに、この切り欠き107はサポート部材93の4隅93A、93B、93C、93Dに1つずつ設けられている。切り欠き107の高さは、突出部91の高さに等しく、切り欠き107の幅は、突出部91の板厚よりも少し幅広に設定されている。
【0076】
次に、サポート部材93をケース体85に嵌入させた場合の作用について図12を参照して説明する。なお、サポート部材93を90度水平面内で回転させて嵌入させる点については第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0077】
図12(A)に示されるように、第1の状態からサポート部材93をケース体85の突出部91に嵌入させて第1の径φ1を有する飲料容器V1を収容させる場合は、ケース体85とサポート部材93とは、ケース体85の長手方向とサポート部材93の短手方向とが一致するように嵌合されている。詳しくは、ケース体85の突出部91に、ケース体85の上方からサポート部材93の長手方向両側の側部97Bに設けられた切り欠き107A、107Cが嵌合されている。なお、サポート部材93の頂部95と対向する底面部と、ケース体85の底面とが当接されている。また、サポート部材93の長手方向両側の側部97Bの一部と、ケース体85の短手方向側面とが当接されている。
【0078】
一方図12(B)に示されるように、第2の状態からサポート部材93をケース体85の突出部91に嵌入させて第2の径φ2を有する飲料容器V2を収容させる場合は、ケース体85とサポート部材93とは、ケース体85の短手方向とサポート部材93の短手方向とが一致するように嵌合されている。詳しくは、ケース体85の突出部91に、ケース体85の上方からサポート部材93の短手方向両側の側部97Aに設けられた切り欠き107B、107Dが嵌合されている。なお、サポート部材93の頂部95と対向する底面部と、ケース体85の底面とが当接されている。また、サポート部材93の短手方向両側の側部97Aの一部と、ケース体85の短手方向側面とが当接されている。
【0079】
上記構成によれば、サポート部材93を90度水平面内で回転させてケース体85に嵌入させることで、異なる径の飲料容器を収容することができる。よって、従来のようにサポート部材に付勢手段を設ける構成に比べて、簡素な構成とすることができる。また、サポート部材93の頂部95の短手方向両側となる2辺99の一部を形成する円弧の形状は、主収容部87を区画する内部側面87A(図10参照)の外周面に沿う形状とされるとともに、第1の径φ1を有する飲料容器V1(図12(A)参照)の外周面に沿う形状とされている。よって、飲料容器を安定させて収容することができる。また、第1の状態からサポート部材93をケース体85に設けられた矩形平板状の突出部91に嵌入させた場合に、サポート部材93の両側に形成される飲料容器収容空間の開口部の稜線の延長線が連続して、外観品質を良好に保つことができる。
【0080】
さらに、上記構成によれば、矩形平板状の突出部91が設けられているので、第1の実施形態と比較して、容器収容空間(主収容部87と連通収容部89とで構成される空間)が広くなる。したがって、サポート部材93を取り外した場合、例えば飲料容器に加えて小物など、より多く物を収容することができる。また、第1の状態および第2の状態からサポート部材93をケース体85に嵌入させた場合、突出部91がサポート部材93に覆い隠されるので、外観がよくなるとともに、サポート部材93とケース体85の長手方向中央部両側面との間の空間A1、A2に、小物などを収容することができる。
【0081】
ここで、突出部91の長さ(ケース体85の対向する短手方向側面に向かう突出部91の長さ)L(図10参照)は、以下のように設定されている。すなわち、突出部91の先端が、図12(A)(B)に示される斜線部内に位置する長さに設定されている。この斜線部は、第1の状態からサポート部材93をケース体85に嵌合させた場合の頂部95と、第2の状態からサポート部材93をケース体85に嵌合させた場合の頂部95との重複部に相当する。
【0082】
<第2の実施形態の変形例1>
第2の実施形態におけるケース体85において、図13に示される位置に、第2の係合部としての凸部109が設けられていてもよい。この凸部109は以下の位置に設定されている。すなわち、第1の状態からサポート部材93をケース体85に嵌合させた場合において、サポート部材93の短手方向両側部97Aの一部に当接する位置でかつ、第2の状態からサポート部材93をケース体85に嵌合させた場合において、サポート部材93の長手方向両側部97Bの一部に当接する位置に、ケース体85の内部側面から突出して一体形成されている。
【0083】
上記構成によれば、サポート部材93の支持点が更に増えるので、サポート部材93のガタツキを抑制することができる。また、突出部91をケース体85の内部側面の車両上下方向下方側に、第2の係合部としての凸部109をケース体85の内部側面の車両上下方向上方側に設ければ、よりガタツキを抑制することができる。なお、この凸部109は図13では2箇所に設けられているが、いずれか一方の1箇所にのみ設けられていてもよい。ただし、この場合はサポート部材93が長手方向両側のいずれかの方向にガタつく可能性があるが、問題ない。
【0084】
なお、上記第2の実施形態およびその変形例1ではケース体85に突出部91が2箇所に設けられ、サポート部材93が嵌合されているが、平面視で、嵌入中心G4に対して点対称かつ線対称の4箇所に設けて嵌合させる構成としてもよい。この場合では、サポート部材93の各側部97を正面から見た場合において、切り欠きは2つであるとともに、この切り欠きはサポート部材の4隅に2つずつ設けられる。上記構成によれば、サポート部材の支持点が更に増え、サポート部材のガタツキを抑制することができる。また、上記第2の実施形態の変形例1では、ケース体85に凸部109が2箇所に設けられているが、平面視で嵌入中心G4に対して点対称かつ線対称の4箇所に設けられていてもよい。上記構成によれば、サポート部材の支持点が更に増え、サポート部材のガタツキを抑制することができる。
【0085】
<第2の実施形態の変形例2>
上記第2の実施形態の変形例1では、ケース体85に突出部91と第2の係合部としての凸部109が設けられていたが、上記構成において突出部91が設けられず、第2の係合部としての凸部109のみが設けられていてもよい。この場合、サポート部材93に切り欠き107を設ける必要ない。上記構成によれば、サポート部材93に切り欠き107を設ける必要がないので、サポート部材93に切り欠きを設ける工程を省くことができ、コスト削減を図ることができる。なお、凸部109は、平面視で嵌入中心G4に対して点対称かつ線対称の4箇所に設けられていてもよい。
【0086】
以上第1および第2の実施形態、それらの変形例について説明したが、本発明の実施形態はこれらの実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。すなわち、上記実施形態ではカップホルダは、ケース体が一部材から構成されているが、コンソールボックス内に設けられた略箱状の凹空間に収容されるカップホルダであって、ケース体が凹空間から脱着可能に構成されていてもよい。また、カップホルダは、後席シート中央のシートバックを車両前方側へ倒して形成されるアームレストに配置される構成であってもよい。さらに、上記実施形態では、車両前後方向前後に並んで飲料容器が配置される構成とされているが、車幅方向左右に並んで飲料容器が配置される構成とされていてもよい。また、サポート部材の両側のうち片側のみに容器収容空間が形成され、もう片側には容器を収容可能な空間が形成されていなくてもよい。また、上記実施形態では、第1の径φ1を有する飲料容器V1および第2の径φ2を有する飲料容器V2について、直径および容量について具体的数値を示したが、第1の径φ1が第2の径φより大きければ、任意である。適宜その径の大きさおよび容量に応じてケース体およびサポート部材の形状を変更すればよい。また、飲料容器は円筒飲料容器に限らず、紙パック等角型の飲料容器に対しても適用可能である。すなわち、サポート部材およびケース体の側面に凹みが設けられて、紙パックを収容できる形状であってもよい。さらに、サポート部材の頂部の4辺の少なくとも一部は略円弧状とされているが、飲料容器の外周に接する直線部を有する形状とされていてもよい。飲料容器の外周形状に沿う形状ではなくて、飲料容器をカップホルダに収容した場合に、飲料容器とサポート部材との間に隙間が形成されていてもよい。なお、サポート部材の水平面内での回転角度は90度から多少ずれていてもよい。
【符号の説明】
【0087】
11 カップホルダ
15 ケース体
19B 稜線
23 凸部(第2の係合部)
24 段差部(突出部)
25 第1の段差部
26 第2の段差部(棚部)
29 支持部
27 溝部
31 リブ(第1の係合部)
17 サポート部材
45 長手方向両側の2辺の上底(稜線)
47 短手方向両側の2辺の上底(稜線)
53 切り欠き
63 切り欠き
G 嵌入方向の中心
35 ケース体
37 サポート部材
85 ケース体
91 突出部
93 サポート部材
99 短手方向外側の両辺の上底(稜線)
101 長手方向外側の両辺の上底(稜線)
107 切り欠き
109 凸部(第2の係合部)
G4 嵌入方向の中心
φ1 第1の径
φ2 第2の径(第1の径より小さい)
V1 第1の径を有する飲料容器
V2 第2の径を有する飲料容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に容器収容空間が形成され、内部の短手方向両側面に少なくとも1つずつ設けられるとともに、対向する側面側に突出する突出部を有するケース体と、
平面視で見た場合において嵌入方向の中心を通る短手方向が前記ケース体の長手方向と一致する第1の状態と、前記第1の状態から水平面内で回転させて、前記中心を通る長手方向が前記ケース体の長手方向と一致する第2の状態と、からそれぞれ前記突出部へ嵌入可能とされるとともに、前記第1の状態から前記突出部に嵌入させた場合に、第1の径を有する飲料容器を前記容器収容空間に収容可能とし、前記第2の状態から前記突出部に嵌入させた場合に、前記第1の径より小さい第2の径を有する飲料容器を前記容器収容空間に収容可能とするサポート部材と、
を含んで構成されていることを特徴とするカップホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のカップホルダにおいて、前記サポート部材を前記第1の状態から前記突出部に嵌入させた場合に、前記サポート部材の稜線と、該サポート部材の両側に形成される容器収容空間を区画する前記ケース体の内部側面の稜線またはその延長線とが平面視で連続していることを特徴とするカップホルダ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカップホルダにおいて、前記サポート部材を前記第2の状態から前記突出部に嵌入させた場合に、前記サポート部材の稜線と、該サポート部材の両側に形成される容器収容空間を区画する前記ケース体の内部側面の稜線またはその延長線とが平面視で不連続でかつ、前記サポート部材の稜線は、前記内部側面の稜線の延長線と干渉する方向へ突出されていることを特徴とするカップホルダ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のカップホルダにおいて、前記突出部の間には、前記ケース体の長手方向両側に形成された容器収容空間を連通する溝部が形成されていることを特徴とするカップホルダ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のカップホルダにおいて、前記突出部は、前記ケース体の底面と前記ケース体の内部の短手方向側面とを結び、前記第2の状態から前記サポート部材に嵌入される棚部と、前記棚部の一部に形成され、前記第1の状態から前記サポート部材に嵌入される支持部とを含んで構成されていることを特徴とするカップホルダ。
【請求項6】
請求項5に記載のカップホルダにおいて、前記棚部の少なくとも一方の短手方向側面には、前記サポート部材を前記第2の状態から前記突出部に嵌入させた場合に前記サポート部材に係合する第1の係合部が形成されていることを特徴とするカップホルダ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のカップホルダにおいて、前記ケース体の内部の短手方向側面の少なくとも一方には、前記サポート部材に係合する第2の係合部が形成されていることを特徴とするカップホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−20632(P2011−20632A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169043(P2009−169043)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】