説明

カテプシンBの阻害剤

本発明は、式(I)で表される化合物を使用してカテプシンBを阻害する方法に関する。具体的には、本発明の化合物は、腫瘍浸潤、転移、アルツハイマー症、関節症、炎症性疾患、例えば慢性及び急性膵炎、炎症性気道疾患、並びに骨粗鬆症、変形性関節症、関節リウマチ等を含む骨及び関節の機能不全、乾癬、並びに他の自己免疫疾患、HCVに関連する肝線維症を含む肝線維症、全てのタイプの脂肪変性(非アルコール性脂肪性肝炎を含む)、及びアルコール関連性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、特発性肺線維症を含む肺線維症の形態、肺生検に続く間質性肺炎の病理的診断、腎線維症、心線維症、網膜血管新生、並びに眼球内の線維症/グリオーシス、硬皮症、並びに全身性硬化症を処置する治療剤として有用である。式(I)で表される化合物は、哺乳類におけるHCV及び線維症、特に肝線維症の両方に罹患した対象、並びにHCV及び肝線維症に罹患しているものと断定的に診断され、又はそのおそれがある対象を処置するのにも有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年2月7日に出願された米国予備出願第61/027,007号の利益を主張し、該出願は、その全てが本出願中で参照により援用される。
【0002】
連邦支援の研究又は開発の下でなされた発明の権利に関する陳述
該当無し
【0003】
コンパクトディスクで提出された、添付の「配列表」、表、又はコンピュータープログラム表の参照
該当無し
【背景技術】
【0004】
本発明は、リソソームシステインプロテアーゼのカテプシンBを阻害する方法に関する。
【0005】
カテプシンB、H、K、L、O及びS等のシステインプロテアーゼは、酵素の触媒部位中のシステイン残基の存在を特徴とするペプチダーゼのクラスを構成する。システインプロテアーゼは、タンパク質の通常の分解及びプロセシングに関与する。しかしながら、発現の増大や活性の亢進等により引き起こされるシステインプロテアーゼの異常活性は、病理的帰結をもたらす。この関連で、特定のシステインプロテアーゼは、関節炎、筋ジストロフィー、炎症、腫瘍浸潤、糸球体腎炎、歯周病、及び異染性白質ジストロフィーを含む、多くの症状に関与する。例えば、カテプシンBのレベルの増大及び酵素の再分配が腫瘍で見出されていることから、腫瘍浸潤及び転移における該酵素の一定の関与が示される。加えて、カテプシンB活性の異常は、アルツハイマー症、関節炎、炎症性疾患、例えば慢性及び急性膵炎、炎症性気道弛緩、並びに骨粗鬆症、変形性関節症、関節リウマチを含む骨及び関節の機能不全、乾癬並びに他の自己免疫不全等の症状において示唆される。
【0006】
また、カテプシンBは、HCVに関連する肝線維症を含む肝線維症、全てのタイプの脂肪変性(非アルコール性脂肪性肝炎を含む)、及びアルコール関連性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、特発性肺線維症を含む肺線維症の形態、肺生検に続く間質性肺炎の病理的診断、腎線維症、心線維症、網膜血管新生、並びに眼球内の線維症/グリオーシス、硬皮症、並びに全身性硬化症にも関与する。
【0007】
カテプシンBの通常の活性又は発現の増大に関する疾患又は症状の数を考慮すると、該酵素のプロテアーゼ活性又は発現を阻害することが可能な化合物が有用であり得る。
【0008】
2006年6月28日に出願された米国特許出願第2007/0054864号及び米国特許出願整理番号第60/878,544号に開示された化合物(これらの完全な開示は、本明細書中に参照により援用される)は、HCV複製を阻害する能力を有することから、C型肝炎の処置に有用であることが示された。
【0009】
驚くべきことに、発明者らは、これらの化合物及びこれらの化合物の類似体も、システインプロテアーゼのカテプシンBの阻害因子として有用であることを見出した。従って、そのような化合物は、腫瘍転移、アルツハイマー症、関節炎、炎症性疾患、例えば慢性及び急性膵炎、炎症性気道疾患並びに骨粗鬆症、変形性関節症、関節リウマチ等の骨及び関節の機能不全、乾癬並びに他の自己免疫性疾患、HCVに関連する肝線維症を含む肝線維症、全てのタイプの脂肪変性(非アルコール性脂肪性肝炎を含む)、及びアルコール関連性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、特発性肺線維症を含む肺線維症の形態、肺生検に続く間質性肺炎の病理的診断、腎線維症、心線維症、網膜血管新生、並びに眼球内の線維症/グリオーシス、硬皮症、並びに全身性硬化症を処置する治療剤として有用である。
【0010】
慢性HCVを含むHCVウイルスは、炎症及び肝臓の損傷を促進するものであるから、単一の化合物で哺乳類中のHVC複製及びカテプシンBの両方を阻害するという能力が有利な性質であることは明白である。この炎症及び肝臓の損傷の直接の結果として、HCVは、進行性の肝線維症を引き起こし、多くの慢性HCV感染の患者は、最終的には肝硬変を発症する。慢性HCV感染が関与する大抵の重症の合併症は、肝硬変の発症に起因する。HCV複製を阻害し、直接線維性疾患を減少させる能力を有する化合物で対象を処置することにより、臨床的な転帰が改善され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの側面において、本発明は、哺乳類においてカテプシンBの活性を阻害する方法に関し、該方法は、有効量の式(I)
【化1】

で表される化合物、又はその医薬として許容される塩を哺乳類に投与することを含む。
【0012】
ここで、Eは、−COCONR、−COCFCONR、−COCFC(O)OR、−COCOR、−COCF、−COR、−COCOOR10、−CONR1112、及び−B(OR13からなる群から選択され、ここでR、R、R、R、R10、R11、R12及び各R13は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立して選択され、Rは、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、ここでE中の脂肪族、脂環式及び芳香族基は、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アシルアミノ、アミノカルボニル、ハロ、及びシアノから独立して選択される1つ、2つ又は3つのRで任意に置換され、そして更にR中の芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボキシ、及びカルボキシアルキルから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換され;並びに任意で、R及びR、並びにR11及びR12は、窒素と共に互いに連結して5〜7員環を形成する。
【0013】
は、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキルからなる群から選択され、ここでRにおける脂肪族、脂環式及び芳香族基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミノカルボニル、ハロ、及びシアノから独立して選択される1つ又は2つのRで任意に置換され、そして更に、Rにおける芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、カルボキシ、及びカルボキシアルキルから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換される。
【0014】
Xは、−O−、−NR14−、−S−、−SO−、及び−SO−からなる群から選択される。
【0015】
は、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキルからなる群から選択され、ここでRにおけるの脂肪族、脂環式及び芳香族基は、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミノカルボニル、ハロ、及びシアノから独立して選択される1つ又は2つのRで任意に置換され、そして更に、Rにおける芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボキシ、及びカルボキシアルキルから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換される。
【0016】
Yは、−C(O)NH−、−OC(O)NH−、−NR14−C(O)NH−、並びに−NR14C(O)O−からなる群から選択される。X及びYのそれぞれにおいて、各R14は、存在する場合は、水素及びアルキルから選択され、ここでアルキルは、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルで任意に置換され、そして各アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、ハロ及びアルキルから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換される。
【0017】
は、ヘテロアリール及び−CO−(縮合(fused)ヘテロシクリル)環からなる群から選択され、ここで該ヘテロアリール及び縮合ヘテロシクリル環は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルチオ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、アリール、アラルキル、アリールスルホニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルスルホニル、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、アミノ、一置換アミノ、及び二置換アミノから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのRで任意に置換され、又は2つのRが隣接する炭素原子上にあるとき、それらは該炭素原子と共に連結して、窒素、酸素、硫黄、及び−SO−から選択される1つ又は2つのヘテロ原子を含む、4、5又は6員ヘテロシクリル環を形成し、ここで該ヘテロシクリル環は、1つ又は2つのアルキルで任意に置換され;そして更に、Rにおけるいずれかの芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルコキシカルボニルアミノ、シクロアルキルアルキルオキシカルボニルアミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、及びウレイドから独立して選択される1つ、2つ又は3つのRで任意に置換され、ここでRにおけるシクロアルキル及びシクロアルキルアルキルは、1つ、2つ又は3つのアルキルで任意に置換される。
【0018】
は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルからなる群から選択され;ここでRにおけるいずれかの芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、アリール、アラルキル、アリールスルホニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルスルホニル、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、一置換アミノ、及び二置換アミノから独立して選択される1つ、2つ又は3つのRで任意に選択され、ここでRにおける芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、一置換アミノ、二置換アミノ、及びアシルアミノから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換される。
【0019】
明確を期するため、Y基とR基との接続のポイントは、以下:RC(O)NH−、ROC(O)NH−、RNR14−C(O)NH−、又はRNR14C(O)O−であることを指摘する。
【0020】
第二の側面において、本発明は、哺乳類においてカテプシンBの活性を阻害する方法に関し、該方法は、有効量の式(I)で表される化合物、又はその医薬として許容される塩を、1つ以上の医薬として許容される賦形剤と混合して、哺乳類に投与することを含む。
【0021】
第三の側面において、本発明は、HCV及び線維症の両方に罹患しているものと診断された対象を処置する方法に関し、HCV及び線維症の両方を処置するのに適した有効量の式(I)で表される化合物を前記哺乳類に投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】細胞活性に基づくプローブアッセイにおける、化合物1及び化合物2として特定される化合物の能力の測定を示す。
【0023】
【図2】化合物1として特定される化合物が、肝繊維症のモデルにおいて血漿ALT及びASTを減少させることを示す。
【0024】
【図3】化合物1として特定される化合物が、肝繊維症のモデルにおいて肝臓ヒドロキシプロリンレベルを減少させることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
定義
特段言及していない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される以下の用語は、本出願を目的として定義され、そして以下の意味を有する。
【0026】
本明細書中で定義されるとき、「脂環」は、例えばシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル環等の、閉環非芳香環構造中の炭素原子の配置により特徴付けられる部分を意味する。
【0027】
本明細書中で定義されるとき、「脂肪族」は、アルキル、アルケニル、又はアルキニル基を意味する。
【0028】
「アルキル」は、直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族基を意味し、特段の示唆が無い限り、1〜8つの炭素原子を含み、例えばアルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル等を含む。
【0029】
「アルキルカルボニルアミノ」は、−NHC(O)R基を指し、ここでRは上記で定義したアルキル基であり、例えば、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0030】
特段の示唆が無い限り、「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族の、二価の基を意味し、例えば、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、トリメチレン(−CHCHCH−)テトラメチレン(−CHCHCHCH−)、2−メチルテトラメチレン(−CHCH(CH)CHCH−)、ペンタメチレン(−CHCHCHCHCH−)等が挙げられる。
【0031】
「アルケニル」は、1つ又は2つの二重結合を含む、2〜6個の炭素原子の直鎖一価炭化水素基、又は3〜6個の炭素原子を含む分岐一価炭化水素基を意味し、例えば、エテニル、プロぺニル(全ての異性体を含む)、1−メチルプロペニル、ブテニル(全ての異性体を含む)、又はペンテニル(全ての異性体を含む)等が挙げられる。
【0032】
「アルケニルオキシカルボニル」は、−C(O)OR基を指し、ここでRは上記で定義したアルケニル基であり、例えば、3−プロペン−1−イルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0033】
「アルケニルアミノカルボニル」は、−C(O)NHR基を指し、ここでRは上記で定義されたアルケニル基であり、例えば3−プロペン−1−イルアミノカルボニル等が挙げられる。
【0034】
「アルキニル」は、1つ又は2つの三重結合を有する、2〜6個の炭素原子を有する直鎖一価炭化水素基、又は3〜6個の炭素原子を有する分岐鎖一価炭化水素基を意味し、例えば、エチニル、プロピニル(全ての異性体を含む)、1−メチルプロピニル、ブチニル(全ての異性体を含む)、又はペンチニル(全ての異性体を含む)等が挙げられる。
【0035】
「歩きにルオキシカルボニル」は、−C(O)OR基を指し、ここでRは上記で定義されたアルキニル基であり、例えば3−プロピン−1−イルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0036】
「アルキルチオ」は、−SR基を意味し、ここでRは本明細書中で定義されたアルキルであり、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、又はブチルチオ等が挙げられる。
【0037】
「アルキルスルホニル」は、−SOR基を意味し、ここでRは本明細書中で定義されたアルキルであり、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル等が挙げられる。
【0038】
「アルコキシ」は、−OR基を指し、ここでRは上記で定義されたアルキル基であり、例えばメトキシ、エトキシ等が挙げられる。
【0039】
「アルコキシカルボニルアミノ」は、−NHC(O)OR基を指し、ここでRは上記で定義されたアルキル基であり、例えばメトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0040】
「アルコキシアルキル」は、1つ以上、好ましくは1つ又は2つの上記で定義されたアルコキシ基で置換された、1〜6個の炭素原子を有する直鎖一価炭化水素基、又は3〜6個の炭素を有する分岐鎖炭化水素基を意味し、例えば、2−メトキシエチル、1−、2−、又は3−メトキシプロピル、2−エトキシエチル等が挙げられる。
【0041】
「アルコキシカルボニル」は、−C(O)OR基を指し、ここでRは上記で定義されたアルキル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。
【0042】
「アミノ」は、−NH基を意味する。
【0043】
「アルキルアミノ」は、−NHR基を意味し、ここでRは上記で定義されたアルキルであり、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、n−、iso−プロピルアミノ、n−、iso−、tert−ブチルアミノ等が挙げられる。
【0044】
「アミノアルキル」は、1つ以上、好ましくは1つ又は2つの−NRR’で置換された、1〜6個の炭素原子を有する直鎖一価炭化水素基、又は3〜6個の炭素を有する分岐鎖一価炭化水素基を意味し、ここでRは、水素、本明細書中で定義されるアルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、そしてR’は、水素、本明細書中で定義されるアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノカルボニル、又はアミノスルホニルであり、例えば、アミノメチル、メチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル、1,3−ジアミノプロピル、アセチルアミノプロピル等が挙げられる。
【0045】
「アシル」は、−COR基を指し、ここでRは、水素、本明細書中で定義されるアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、又はヘテロシクリルであり、例えば、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、ピペラジン−1−イルカルボニル等が挙げられる。Rがアルキルであるとき、本出願中では、アルキルカルボニルと称される。Rがアリールであるとき、本出願中では、アリールカルボニルと称される。Rがヘテロアリールであるとき、本出願中では、ヘテロアリールカルボニルと称される。Rがヘテロシクリルであるとき、本出願中では、ヘテロシクリルカルボニルと称される。
【0046】
「アシルアミノ」は、−NRCOR’基を指し、ここで、Rは水素又は本明細書中で定義されるアルキルであり、R’は水素、本明細書中で定義されるアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、又はヘテロシクリルあり、例えば、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、ピペラジン−1−イルカルボニル等が挙げられる。
【0047】
「アミノカルボニル」は、−CONRR’基を意味し、ここで、R及びR’は、水素、本明細書中で定義されるアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、若しくはヘテロシクリルアルキルから独立して選択され、又はR及びR’は、窒素原子と共に連結され、本明細書中で定義されるヘテロシクロアミノを形成する。
【0048】
「アミノスルホニル」は、−SONRR’基を意味し、ここでR及びR’は、水素、本明細書中で定義されるアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、若しくはヘテロシクリルアルキルから独立して選択され、又はR及びR’は、窒素原子と共に連結され、本明細書中で定義されるヘテロシクロアミノを形成する。
【0049】
「動物」は、ヒト、非ヒト動物(例えばイヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シカ等)、及び非哺乳類(例えば鳥類等)を含む。
【0050】
「芳香族」は、構成原子が不飽和環系を形成し、その環系の全ての分子がsp混成(hybridized)をとり、パイ電子の合計が4n+2に等しい部分を指す。
【0051】
「アリール」は、6〜10個の炭素原子を有する単環又は縮合した二環式環の集合であり、各環は芳香族であり、例えばフェニル又はナフチル等が挙げられる。
【0052】
「アリールオキシ」は、−O−R基を指し、ここでRは、上記で定義されたアリールであり、例えばフェノキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
【0053】
「アリールオキシカルボニル」は、−C(O)OR基を指し、ここでRは、上記で定義されたアリールであり、例えば、フェにルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0054】
「アラルキル」は、−(アルキレン)−R基を指し、ここでRは上記で定義されたアリールであり、例えばベンジル、フェネチル等が挙げられる。
【0055】
「アリールチオ」は、−SR基を意味し、ここでRは本明細書中で定義されるアリールであり、例えばフェニルチオ又はナフチルチオが挙げられる。
【0056】
「アリールスルホニル」は、−SOR基を意味し、ここでRは本明細書中で定義されるアリールであり、例えばフェニルスルホニル又はナフチルスルホニルが挙げられる。
【0057】
「カルボキシ」は、−C(O)OH基を指す。
【0058】
「カルボキシルアルキル」は、1つ以上、好ましくは1つ又は2つの−C(O)OH基で置換された、本明細書中で定義されるアルキル基を意味し、例えばカルボキシメチル、カルボキシエチル、1−、2−、又は3−カルボキシプロピル等が挙げられる。
【0059】
「シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を含む一価飽和単環式環を指し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロフェニル、シクロヘキシル等が挙げられる。
【0060】
「シクロアルキルアルキル」は、−(アルキレン)−R基を指し、ここでRは、上記で定義されたシクロアルキルであり、例えばシクロプロピルメチル、シクロブチルエチル、シクロブチルメチル等が挙げられる。
【0061】
「シクロアルキルオキシ」は、−OR基を指し、ここでRは、上記で定義されたシクロアルキルであり、例えばシクロプロピルオキシ、シクロフェニルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0062】
「シクロアルキルオキシカルボニルアミノ」は、−NHC(O)OR基を指し、ここでRは上記で定義されたシクロアルキルであり、例えばシクロプロピルオキシカルボニルアミノ、シクロフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0063】
「シクロアルキルアルキルオキシカルボニルアミノ」は、−NHC(O)OR基を指し、ここでRは、上記で定義されたシクロアルキルアルキルを指し、例えばシクロプロピルメチルオキシカルボニルアミノ、シクロフェニルメチルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0064】
「疾患」は、特に、動物の任意の不健康な状態又はその部分を含み、そして動物に適用された医学的又は獣医学的処置により引き起こされ、又はこれに起因し得る不健康な状態を含む。
【0065】
「ジアルキルアミノ」は、−NRR’基を意味し、ここでR及びR’は、独立して、本明細書で定義されるアルキルであり、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N,N−メチルプロピルアミノ、又はN,N−メチルエチルアミノ等が挙げられる。
【0066】
「二置換アミノ」は、− NRR’基を意味し、ここでR及びR’は、本明細書で定義される、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルキルから独立して選択され、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N,N−メチルプロピルアミノ、又はN,N−メチルエチルアミノ、メチルフェニルアミノ等が挙げられる。ジアルキルアミノは、二置換アミノのサブグループである。
【0067】
「縮合ヘテロシクリル」は、本明細書中で定義されるアリール又はヘテロアリールと縮合した、本明細書中で定義されるヘテロシクリル基を意味し、例えば、2,3−ジヒドロイソインドール−1−居る、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−イル等が挙げられる。
【0068】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを指す。
【0069】
「ハロアルキル」は、1つ以上、好ましくは1〜7つの、本出願中で定義される「ハロ」原子で置換された、上記で定義されたアルキルを指す。ハロアルキルは、モノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、ペルハロアルキル等が含まれ、例えばクロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロメチル、ペルフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジクロロエチル等が含まれる。
【0070】
「ハロアルコキシ」は、−OR基を指し、ここでRは上記で定義されたハロアルキル基であり、例えばトリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、ジフルオロメトキシ等が挙げられる。
【0071】
「ヘテロアリール」は、基又は基の部分として、5〜10個の原子を含む芳香族単環式又は二環式部分を指し、ここで環を構成する原子の1つ以上、好ましくは1つ、2つ、又は3つが、窒素、酸素又は硫黄から選択され、残りの原子が炭素である。各ヘテロアリール環は、限定されないが、ピロリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、チエノピリジニル、例えばチエノ[3,2−b]ピリジニル、チエノ[2,3−b]ピリジニル等、チエノピリミジニル、例えばチエノ[3,2−d]ピリミジニル、又はチエノ[2,3−d]ピリミジニル等を含む。
【0072】
「ヘテロアリールオキシ」は、−O−R基を指し、ここでRは、上記で定義されたヘテロアリールであり、例えばフラニルオキシ、ピリジニルオキシ、インドリルオキシ等が挙げられる。
【0073】
「ヘテロアリールオキシカルボニル」は、−C(O)O−R基を指し、ここでRは上記で定義されたヘテロアリールであり、例えばピリジニルオキシカルボニル、ピリミジニルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0074】
「ヘテロアラルキル」は、−(アルキレン)−R基を指し、ここでRは上記で定義されたヘテロアリールであり、例えばピリジニルメチル、1−又は2−フラニルエチル、イミダゾリルメチル等が挙げられる。
【0075】
「ヘテロアラルキルオキシカルボニルは、−C(O)O−R基を指し、ここでRは上記で定義されたヘテロアラルキルであり、例えばピリジニルメチルオキシカルボニル、ピリミジニルメチルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0076】
「ヘテロアリールチオ」は、−SR基を意味し、ここでRは、本明細書中で定義されるヘテロアリールであり、例えば等がピリジニルチオ、フラニルチオ、チエニルチオ等が挙げられる。
【0077】
「ヘテロアリスルホニル(heteroarysulfonyl)」は、−SORを意味し、ここでRは本明細書中で定義されるヘテロアリールであり、例えばピリジニルスルホニル、チエニルスルホニル等が挙げられる。
【0078】
「ヘテロシクリル」は、4、5、6、又は7個の炭素原子を含む、飽和又は部分的に不飽和の単環又は二環基を指し、ここで、1つ以上、好ましくは1、2、又は3個の炭素原子が、−N=、−N−、−O−、−S−、−SO−、又は−S(O)−から選択されるヘテロ原子で置換され、更に1つ又は2つの炭素原子がケト(−CO−)基で任意に置換される。ヘテロシクリル環は、本明細書中で定義されるシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールと任意に縮合する。代表例として、限定されないが、イミダゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリノ−1−オキシド、チオモルホリノ−1,1−ジオキシド、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−オキソ−テトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキソテトラチオ−ピラニル、インドリニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピロリジニル、ピロリニル、キノクリジニル、3,4−ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリル等が含まれる。ヘテロシクリル基が1つ以上の窒素環原子を含むとき、本明細書中では「ヘテロシクロアミノ」と称し、これは、上記で定義されたヘテロシクリルのサブセットである。
【0079】
「ヘテロシクリルアルキル」は、−(アルキレン)−R基を指し、ここでRは上記で定義されたヘテロシクリルであり、例えばピロリジニルメチル、テトラヒドロフラニルエチル、ピリジニルメチル、ピペリジニルメチル等が挙げられる。
【0080】
「ヘテロシクリルオキシカルボニル」は、−C(O)OR基を指し、ここでRは上記で定義されたヘテロシクリルであり、例えばピペリジニルオキシカルボニル、テトラヒドロフランオキシカルボニル等が挙げられる。
【0081】
「ヘテロシクリルスルホニル」は、−SOR基を意味し、ここでRは本明細書中で定義されるヘテロシクリルであり、例えばピペリジン−1−イルスルホニル、ピロリジン−1−イルスルホニル等が挙げられる。
【0082】
「ヒドロキシ」は、−OH基を意味する。
【0083】
「ヒドロキシアルキル」は、1つ又は2つのヒドロキシ基で置換された、1〜6個の炭素原子を有する直鎖一価炭化水素基、又は3〜6この炭素を有する分岐鎖一価炭化水素基を意味し、ヒドロキシ基が2つ存在する場合、それらは同一の炭素分子上にない。代表例として、限定されないが、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル及び2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルが挙げられ、好ましくは2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、及び1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0084】
「異性体」は、分子式は同一であるが、原子の結合の本質若しくは配列、又は空間内の原子の配置が異なる、式(I)で表される化合物を意味する。空間内の原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と定義される。他方に対し鏡像ではない立体異性体は「ジアステレオマー」と定義され、重ね合わせることが出来ない(nonsuperimposable)鏡像である立体異性体を「エナンチオマー」、場合によっては「光学異性体(optical isomer)」と定義する。4つのことなる置換基が結合した炭素原子は「キラル中心」と称される。反対のキラリティーの2つのエナンチオマー形態を有する1つのキラル中心を有する化合物を、「ラセミ混合物」と称する。2つ以上のキラル中心を有する化合物は、2n−1個のエナンチオマーペアを有し、ここでnは、キラル中心の数である。2つ以上のキラル中心を有する化合物は、単一のジアステレオマーとして、又は複数のジアステレオマーの混合物の「ジアステレオマー混合物」として存在し得る。1つのキラル中心が存在するとき、立体異性体は、そのキラル中心の絶対配置により特徴付けられ得る。絶対配置とは、キラル中心に接続する置換基の空間中の配置を指す。エナンチオマーは、キラル中心の絶対配置により特徴付けられ、Cahn, Ingold and PrelogのR−及びS−配列規則(sequencing rule)により記載される。立体化学の命名法の慣習により、立体化学の決定及び立体異性体の分離の手段は、当業者に周知である(例えば、‘Advanced Organic Chemistry’, 4th edition, March, Jerry, John Wiley & Sons, New York, 1992を参照されたい)。式(I)で表される化合物を記載するために本出願中で使用される名称及び図は、それらの全ての可能な立体異性体を意味するものとして理解される。
【0085】
「一置換アミノ」は、−NHR基を意味し、ここでRは、本明細書中で定義されるアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルキルから選択され、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ等が挙げられる。
【0086】
「任意な」若しくは「任意に」、又は「〜であり得る」という言葉は、その次に記載されるイベント又は状況が起こるか否かが不確定であることを意味し、そしてその記載は、そのイベント又は状況が起こる場合の例と起こらない場合の例を含む。例えば、「R中の芳香環は、アルキルから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意に置換される」という文章は、発明の範囲内であるために、その芳香環がアルキルで置換されてもされなくてもよいことを意味する。
【0087】
また、本発明は、式(I)で表される化合物のN−オキシド誘導体を含む場合もある。N−オキシド誘導体は、窒素原子が酸化状態にある(即ち(N−>O)、式(I)で表される化合物を意味し、例えばピリジンN−オキシドが挙げられ、所望の薬理的活性を有するものである。
【0088】
疾患の「病理(Pathology)」は、疾患の基本的性質、原因及び発達、並びに疾患進行に起因する構造的及び機能的変化を意味する。
【0089】
「医薬として許容される」とは、一般的に安全であり、無毒であり、生物学的にも、又は他の観点からも望ましくないものではない医薬組成物を調製するのに有用であることを意味し、ヒト用医薬としての使用だけでなく獣医学的使用にも許容されるものも含む。
【0090】
「医薬として許容される塩」は、上記で定義されたように医薬として許容される、所望の薬理活性を有する式(I)で表される化合物の塩を意味する。そのような塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機塩;又は酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o−(ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メチルスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリルスルホン酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等の有機酸を用いて形成される酸付加塩が含まれる。
【0091】
また、医薬として許容される塩は、存在する酸性プロトンが無機塩基又は有機塩基と反応できるときに形成され得る塩基付加塩を含む。許容される無機塩基には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、及び水酸化カルシウムが含まれる。許容される有機塩基には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等が含まれる。
【0092】
また、本発明は、式(I)で表される化合物のプロドラッグを含む。プロドラッグとは、代謝的過程(例えば加水分解)によりインビボで式(I)で表される化合物に変換し得る化合物を意味する。例えば、ヒドロキシ基を含む式(I)で表される化合物のエステルは、加水分解によりインビボで親分子に変換し得る。あるいは、カルボキシ基を含む式(I)で表される化合物のエステルは、加水分解によりインビボで親分子に変換し得る。適切なヒドロキシ基を含む式(I)で表される化合物のエステルとして、例えば、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、オキサロ酸、サリチル酸、プロピオン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、メチレン−ビス−βb−ヒドロキシナフトエ酸、ゲンチシン酸、イセチオン酸、ジ−p−トルオイル酒石酸、メチルスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸及びキナ酸等のエステルが挙げられる。適切なカルボキシ基を含む式(I)で表される化合物のエステルとして、例えば、Leinweber, FJ. Drug Metab. Res., 1987, 18の379ページに記載されるものが挙げられる。ヒドロキシ基を含む式(I)で表されるエステルの特に有用なクラスは、Bundgaard et al, J. Med. Chem., 1989, 32, pp 2503−2507に記載される中から選択される酸部分から形成され得て、置換(アミノメチル)−安息香酸エステル、例えばジアルキルアミノ−メチル安息香酸エステルで、2つのアルキル基が連結し、及び/又は酸素原子、若しくは任意に置換された窒素原子、例えばアルキル化窒素原子をはさむもの、より具体的には(モルホリノ−メチル)安息香酸エステル、例えば3−又は4−(モルホリノメチル)−安息香酸エステル、及び(4−アルキルピペラジン−1−イル)安息香酸エステル、例えば3−又は4−(4−アルキルピペラジン−1−イル)安息香酸等が挙げられる。式(I)で表される化合物を記載するために本出願において使用される名称及び図は、それらの全ての可能なプロドラッグを意味するものと理解される。
【0093】
「保護誘導体(Protected derivative)」は、反応部位が保護基で遮蔽された式(I)で表される化合物の誘導体を意味する。式(I)で表される化合物の保護誘導体は、式(I)で表される化合物の調製に有用であり、又はそれ自体が活性カテプシンS阻害剤であり得る。適切な保護基の総覧は、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc. 1999において見られる。所望の式(I)で表される化合物を記載するために本出願中で使用される名称及び図は、それらの全ての可能な保護誘導体を意味するものと理解される。
【0094】
「治療的に有効な量」は、疾患を治療するために動物に投与される場合に、該疾患を治療する効果を奏するのに十分な量を意味する。
【0095】
「処置」又は「処置する」は、本発明の化合物の任意の投与を意味し:
(1)疾患の素因を有するがその疾患の病理又は兆候を未だ経験又は発現していない動物の罹患を防ぎ、
(2)疾患の病理又は兆候を経験又は発現した動物の疾患を阻害し(即ち病理及び/又は兆候の更なる発達を停止させる)、又は
(3)疾患の病理又は兆候を経験又は発現した動物の疾患を改善する(即ち病理及び/又は兆候を回復させる)
ことを含む。
【0096】
「ウレイド」は、−NHCONRR’基を意味し、ここでRは、本明細書中で定義される水素又はアルキルであり、そしてR’は、水素、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルである。
【0097】
本発明の化合物の名称は、ChemBioDraw Ultra, Version 11により作成された。
【0098】
上記のように、式(I)で表される化合物は、哺乳類、特にヒトの対象においてHCV及びカテプシンBにより誘導される症状を処置するのに有用である。炎症及び肝臓傷害の結果、慢性HCV感染は、進行性肝線維症を、最終的には肝硬変を引き起こす場合があり、HCVに感染した患者は、進行性線維性肝疾患の発生のリスクを有することが留意されるべきである。従って、HCVウイルスを阻害する化合物は、肝臓の更なる線維症を阻害するはずである。しかしながら、そのような化合物は線維症自体を治療するものではなく単に更なる肝臓傷害の発生源を減少させるものに過ぎない。一方で本発明の化合物は、カテプシンBの活性を阻害する能力により、HCVだけでなく関連するHCV感染により予め誘導されている肝臓の既存の線維症の重症度をも変換又は低下させ、これは明らかに有利である。カテプシンBを阻害する能力のために、そしてHCVウイルス複製のみを阻害する化合物と異なり、本発明の化合物は、HCV感染に関連せず、他の慢性肝臓傷害、例えば、限定されないが、肝臓の脂肪変性等に関連する肝線維症の処置にも有利であり得る。また、本発明の化合物は、HCV及び肝臓の線維症に罹患しているものと断定的に診断された対象のみならず、線維症の遺伝的マーカー又は生化学的代理マーカー(surrogate marker)を用いて、肝線維症の発生のおそれが認められる対象を処置するのにも有用である。
【0099】
発明の好ましい態様
一つの態様において、本発明は、哺乳類においてカテプシンBの活性を阻害する方法に関し、該方法は、治療的に有効な量の式(I)で表される化合物、特にRがヘテロアリールであり、ここでRが窒素、酸素及び硫黄から選択される1つ、2つ又は3つのヘテロ原子を含む9又は10員二環式ヘテロアリール基であるものを含み、特にここで該二環式環は、アルキル、アルコキシ、又はヘテロアリールで任意に置換される、前記化合物を投与することを含む。
【0100】
前記群の中で、好ましいサブグループは、Eが−C(O)C(O)NRであり、特にRが水素であり、Rがアルキル又はシクロアルキルであり、特にRがシクロプロピル又はシクロブチルである前記化合物を含む。
【0101】
第二の好ましいサブグループは、Rが水素、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルであり、特にRがメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、又はシクロブチルメチルである前記化合物を含む。
【0102】
第三の好ましいサブグループは、Rが水素、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルであり、特にRがメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、又はtert−ブチルである前記化合物を含む。
【0103】
第四の好ましいサブグループは、Xが酸素であり、Yが−NR14C(O)NH−であり、特にR14が水素である前記化合物を含む。
【0104】
第五の好ましいサブグループは、Rがアルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり、特にRがメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、又はシクロブチルメチルであり、特にRがtert−ブチルである前記化合物を含む。
【0105】
第二の側面において、本発明は、HCV及び線維症の両方を罹患しているものと診断された対象を処置する方法であり、該哺乳類に、HCV及び線維症の両方を治療するのに適切な有効量の式(I)で表される化合物を投与することを含む。特に、該線維症は、肝線維症である。該処置の方法は、HCV及び肝線維症の両方に罹患しているものと断定的に診断され、又はそのおそれがある対象を処置するのにも有用である。好ましい態様において、式(I)で表される化合物は、上記で好ましい態様として特定された態様から選択される。
【0106】
本発明において、特に好ましい化合物として:
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘプタン−3−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(5−(ピリジン−2−イル)チエノ[3,2−b]ピリジン−7−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(1,3−ジメチル1Η−ピラゾール−5−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−1−((S)−2−(3−シクロプロピルメチル)ウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;及び
(2S,4R)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−1−((S)−3,3−ジメチル2−(3− ネオペンチルウレイド)ブタノイル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド
が含まれる。
【0107】
一般的な合成スキーム
本発明の化合物は、以下に示す反応スキームにおいて描写される方法により作製され得る。
【0108】
これらの化合物を調製するのに使用される出発材料及び試薬は、Aldrich Chemical Co., (Milwaukee, Wis.)、Bachem (Torrance, Calif.)、又はSigma (St. Louis, Mo.)等のメーカーから入手可能であるか、又はFieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, Volumes 1−17 (John Wiley and Sons, 1991); Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds, Volumes 1−5 and Supplemental (Elsevier Science Publishers, 1989); Organic Reactions, Volumes 1−40 (John Wiley and Sons, 1991); March’s Advanced Organic Chemistry, (John Wiley and Sons, 4th Edition);及びLarock’s Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc., 1989)等の文献に記載された当業者に周知の手順により調製される。これらのスキームは、本発明の化合物を合成する方法の幾つかを説明するものに過ぎないが、これらのスキームには、この開示を参考にした当業者により、様々な改変が加えられ得る。
【0109】
出発材料及び反応の中間体は、必要に応じて、確立された技術、例えば限定されないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離及び精製され得る。そのような材料は、確立された手段、例えば物理定数及びスペクトルデータ等を使用して特定され得る。
【0110】
特段言及されていない限り、本明細書中に記載の反応は、大気圧下で、約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0℃〜約135℃の温度範囲で、最も好ましくは概ね室温(又は常温)、例えば約20℃で行われる。
【0111】
以下に記載される反応において、反応性の官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオ又はカルボキシ基の保護が必要な場合があり、これらは、最終生産物において、反応中に望ましくない沈殿が生じるのを防ぐのに必要である。標準的な実施においては、確立された保護基が使用され得る。例えば、T. W. Greene and P. G. M. Wuts in ‘Protective Groups in Organic Chemistry’ John Wiley and Sons, 1999を参照されたい。
【0112】
Yが−OC(O)NH−であり、Eが−COCONRであり、そしてX、R、R、R、及びRが上記発明の概要に記載されたものである、式(I)で表される化合物は、以下の反応スキーム1に従い調製され得る。
【化2】

【0113】
PGが適切なカルボキシ保護基、好ましくはアルキルであり、そしてX及びRが発明の概要に記載されたものである、式1で表されるピロリジン化合物において、アミノ保護基PG、例えばtert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等が脱保護(Deprotection)されることで、式2で表される化合物が得られる。該アミノ保護基において採用される反応条件は、その保護基の性質に依存する。例えば、PGがtert−ブトキシカルボニルであるとすると、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中の塩酸等の酸で式1で表される化合物を処理することにより、脱保護が行われる。他の適切な窒素保護基を付加又は離脱させる反応条件は、Greene, T.W.; and Wuts, P. G. M.; Protecting Groups in Organic Synthesis; John Wiley & Sons, Inc. 1999に記載されている。式1で表される化合物は、当該技術分野で周知の方法により調製され得る。そのような方法の幾つかは、US 2003191067、US 6608027、US 6268207、US 6404397、US 6268207、及びWO 2005/028501に記載されており、これらの開示は、本明細書中で、それらの全てが、参照により援用される。
【0114】
式2で表される化合物を、ペプチドカップリング反応条件下で、Rが発明の概要で定義されたものである式3で表されるアミノ酸で処理することで、Yが−0−C(O)NH−で、Rがアルキルである式4で表される化合物が得られる。該反応は、典型的には、例えばベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP(登録商標))、0−ベンゾトリアゾール−1−イル−N’,N’,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボキシイミドヒドロクロライド(EDC)、又は1,3−ジシクロヘキシル−カルボキシイミド(DCC) 等の適切なカップリング剤の存在下で、任意で1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(HOBT)、及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン等の塩基等の存在下で実行される。該反応は、典型的には20〜30℃で、好ましくは約25℃で行われる。適切な反応溶媒は、不活性有機溶媒、例えばハロゲン化有機溶媒(塩化メチレン、クロロホルム等)、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、エーテル溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等、又はそれらの混合物等である。式3で表されるアミノ酸は、市販のものであり、又はそれらは当業者に周知の方法により調製され得る。
【0115】
水性塩基性加水分解反応条件下で、化合物4(PG=アルキル)中のエステル基を加水分解することにより、式5で表される化合物が得られる。該反応は、典型的には、塩化セシウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等を用いて、メタノール、エタノール等の水性アルコール中で行われる。
【0116】
式5で表される化合物を、上記ペプチドカップリング条件下で、式6で表されるα−ヒドロキシアンモカルボキサミドで処理することにより、式7で表される化合物が得られる。式6で表される化合物は当該技術分野で周知の方法により調製され得る。該方法の幾つかは、下記参照A及びBの実施例において詳細に記載されている。また、化合物6は、化合物17(合成スキームを下記スキーム3に示す)からも調製され得る。要するに、アミノ基の適切な保護(例えばt−Bocカルバメート)の後、化合物17のエステル基は、塩基性加水分解条件下で除去され、対応するα−ヒドロキシ酸が形成される。この酸を、カップリング条件下で、NHRで表されるアミンで処理して、それからアミン保護基の酸触媒加水分解を行い、式6で表される化合物が得られる。
【0117】
あるいは、上記カップリング工程は、最初に5番の化合物を活性の酸誘導体、例えば酸ハロゲン化物、スクシンイミドエステル等に変換し、そしてそれを式6のα−ヒドロキシケトアミドと反応させて実行され得る。この反応に使用される条件は、活性酸誘導体の性状に依存する。例えば、5番の化合物の酸塩化物が使用されるとすると、反応は適切な塩基(例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等)の存在下で実行される。適切な反応溶媒は、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、又はそれらの任意の適切な混合物等の、極性有機溶媒である。化合物8中のヒドロキシ基を、Dess Martin Periodinane等の適切な酸化剤の存在下で酸化することにより、式(I)で表される化合物が得られる。
【0118】
Yが−NHC(O)NH−であり、Eが−COCONRであり、そしてX、R、R、R、及びRが発明の概要で定義されたものである、式(I)で表される化合物は、以下の反応スキーム2に従い調製され得る。
【化3】

【0119】
酸加水分解の条件下で、化合物4のBoc基を除去することにより、式9で表されるアミノ化合物が得られる。これが、アルキルイソシアネートと反応して、式10で表されるウレイド化合物が得られる。該反応は、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基の存在下で、及びジクロロメタン等の適切な有機溶媒中で実行され得る。前記ウレイド化合物は、化合物9とカルバモイルハライドとの反応等、当該技術分野で周知の他の方法によっても調製され得る。そして、化合物10は、上記スキーム1に従って、式(I)で表される化合物に変換される。同様に、Rがアルキルではない式(I)で表される化合物は、アルキルイソシアネートを、アリール−、ヘテロアリール−、若しくはアラルキルイソシアネート、又はカルバミルハライドと置換することにより調製され得る。
【0120】
同様に、Yが−CONH−、又は−SONH−である式(I)で表される化合物は、当該技術分野で周知の条件下で、化合物9をそれぞれアシル化剤又は式RCOLと反応させることにより調製され得る。
【0121】
あるいは、式(I)で表される化合物は、化合物4の酸保護基を脱保護することにより調製され得て、対応する酸がもたらされる。この酸は、α−ヒドロキシアミノカルボキシアミド6と反応し、その後最終生成物においてBoc[アルキルOC(O)−]が除去され、遊離アミノ化合物がもたらされる。該アミノ化合物をイソシアネート又はカルバミルハライドと反応させることで化合物12がもたらされ、そしてこれは、上記の如く水酸基が酸化されることで、式(I)で表される化合物に変換される。
【0122】
Eが−COCOOR10であり、X、Y、R、R、R、R、及びR10が発明の概要で定義されたものである式(I)で表される化合物は、下記スキーム3に従い調製され得る。
【化4】

【0123】
式13で表されるN−Boc−保護アミノ酸化合物を、当該技術分野で周知の条件下で、N,O−ジメチルアミンで処理することで、式14で表されるワインレブ(Weinreb)アミド化合物が得られる。式13で表される化合物は、市販のアミノ酸を、当該技術分野で周知の条件下で、tert−ブトキシカルボニル無水物と反応させることにより調製され得る。他の適切なアミノ保護基も同様に利用され得る。化合物14を、テトラヒドロフラン等の適切な有機溶媒中で、リチウムアルミニウム水素化物等の適切な還元剤で処理することにより、式15で表される対応するアルデヒドが得られる。化合物15をアセトンシアノヒドリンで処理することで、化合物16が得られ、これを、R10が発明の概要で定義されたものである式R10OHで表されるヒドロキシル化合物中の酸ハロゲン化物と反応させることで、式17で表されるアルファヒロドキシルエステル化合物が得られる。
【0124】
化合物17を、上記ペプチドカップリング条件下で、式5で表される化合物で処理して、そして最終生成物においてヒドロキシル基が酸化され、Yが−OC(O)NH−でありRがアルキルである式(I)で表される化合物が得られる。Yが−OC(O)NH−でありRがアルキルである式(I)で表される化合物は、上記の如く、Y及びRが発明の概要で定義されたものである式(I)で表される他の化合物に変換され得る。
【0125】
Eが−CONR1112であり、X、Y、R、R、R、R、R11及びR12が発明の概要で定義されたものである式(I)で表される化合物は、下記反応スキーム4に従い調製され得る。
【化5】

【0126】
化合物13を、上記カップリング条件下で、式NHR1112のアミンで処理することにより、式18で表される化合物が得られる。酸加水分解反応条件下でBoc基を除去して化合物19を得て、これを、上記の如く、式(I)で表される化合物に変換する。
【0127】
Eが−CORであり、X、Y、R、R、R、R、及びRが発明の概要で定義されたものである式(I)で表される化合物は、下記反応スキーム5に従い調製され得る。
【化6】

【0128】
式15で表される化合物を、Rが発明の概要で定義されたものであるそれぞれ式RLi又はRMgXで表される有機リチウム又はグリニャール試薬で処理することにより、式20で表される化合物が得られる。該反応は、典型的には、−78℃等の低温で行われ、そしてテトラヒドロフラン等の有機溶媒中で行われる。Boc基を除去することで化合物21が得られ、これを上記カップリング反応条件下で化合物5と反応させることで、式22で表される化合物が得られる。そして、ヒドロキシル基の酸化により、Yが−OC(O)NH−でありRがアルキルである式(I)で表される化合物が得られる。Y及びRが発明の概要で定義された基ではない式(I)で表される化合物は、上記の如く調製され得る。
【0129】
Eが−CHOであり、X、Y、R、R、R、R、及びRが発明の概要で定義されたものである式(I)で表される化合物は、下記反応スキーム6に従い調製され得る。
【化7】

【0130】
酸性化水分解反応条件下で化合物23のアミノ保護基を除去した後、得られたアミノ化合物を式5で表される化合物とカップリングすることにより、式24で表される化合物が得られる。そして、化合物24は、上記方法A又はBに示したように反応を進め、Eが−CHOである式(I)で表される化合物に変換される。
【0131】
方法Aにおいて、塩基加水分解条件下でのエステル基の加水分解により式25で表される化合物が得られ、これが、式26のワインレブアミドに変換される。化合物26中のアミド基を、リチウムアルミニウム水素化物等の適切な還元剤を用いて還元することで、Eが−CHOであり、Yが−OC(O)NH−である式(I)で表される化合物が得られる。
【0132】
あるいは、化合物24中のエステル基は、リチウムアルミニウム水素化物等の適切な還元剤を用いて還元されて式27で表される対応するアルコールが得られ、これを酸化剤で処理して、Eが−CHOであり、Yが−OC(O)NH−である式(I)で表される化合物が得られる。Yが−OC(O)NH−以外の式(I)で表される化合物は、上記のようにして調製される。
【0133】
【化8】

化合物32又は33の標的化合物への変換は、その全ての開示が本明細書中で参照により援用されるUSSN 11/478,337の、Example 14に概説される手順を使用して達成され得る。
【0134】
同様の手段において、反応スキーム8は、ヘテロアリール置換ピリジノチオフェン35の調製並びにその中間体36及び37への変換を図示する。
【化9】

【0135】
上記のように、化合物37の標的化合物への変換は、その全ての開示が本明細書中で参照により援用されるUSSN 11/478,337の、Example 14に概説される手順を使用して達成され得る。
【0136】
異性体のピリミジノチオフェン中間体の調製は、反応スキーム9に示される。
【化10】

【0137】
反応スキーム10は、ピラゾール置換ピリミジノチオフェン44の調製、並びにそのプロリン誘導体とのカップリングによる、中間体45及び46の形成を図示する。
【化11】

【0138】
反応スキーム11は、ピリジン置換ピリミジノチオフェン50の調製、並びにこれをプロリン誘導体と反応させることによる、最終分子に取り込まれる、スキーム10の化合物45及び46に類似する中間体の形成を示す。
【化12】

【0139】
反応スキーム12は、WO99/24440及び米国特許第6,492,383号に記載の方法に従い調製され、スキーム1中に示される最終分子中に取り込ませるのに使用される中間体52を示す。
【化13】

【0140】
反応スキーム13は、オキサゾール置換ピリミジノチオフェン56を調製して、これをプロリン中間体と反応させることにより、反応スキーム10に示される化合物45及び46に類似の中間体を形成し、これを最終分子中に取り込ませるスキームを示す。
【化14】

【0141】
式(I)で表される化合物は、他の式(I)で表される化合物に変換され得る。
【0142】
例えば、式(I)で表される化合物は、ヒドロキシ基を含む場合、アルコキシ/ベンジルオキシ置換基の脱アルキル化/脱ベンジル化により;酸基を含む場合、エステル基の加水分解により;そしてシアノを含む場合、対応する式(I)で表される化合物上の臭素原子の置き換えにより調製され得る。シアノ基を含む式(I)で表される化合物は、シアノ基の加水分解により、対応するカルボキシを含む化合物に変換される。該カルボキシ基は、更にエステル基に変換され得る。
【0143】
式(I)で表される化合物は、遊離塩基形態の該化合物を、医薬として許容される無機又は有機酸と反応させることにより、医薬として許容される酸付加塩として調製され得る。あるいは、式(I)で表される化合物の医薬として許容される塩基付加塩は、遊離酸形態の該化合物を、医薬として許容される無機又は有機塩基と反応させることにより調製され得る。式(I)で表される化合物の医薬として許容される塩を調製するのに適した無機及び有機の酸及び塩基は、本出願の定義の項に記載されている。あるいは、式(I)で表される化合物の塩形態は、出発化合物又は中間体の塩を用いて調製される場合もある。
【0144】
式(I)で表される化合物の遊離酸又は遊離塩基形態は、対応する塩基付加塩又は酸付加塩から調製され得る。例えば、酸付加塩形態の式(I)で表される化合物は、適切な塩基(例えば水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウム等)で処理することにより、対応する遊離塩基に変換され得る。塩基付加塩中の式(I)で表される化合物は、適切な酸(例えば塩酸等)で処理することにより、対応する遊離酸に変換され得る。
【0145】
式(I)で表される化合物のN−オキシドは、当業者に知られる方法により調製され得る。例えば、N−オキシドは、式(I)で表される化合物の未酸化(unoxidized)形態を、約0℃の適切な不活性有機溶媒(例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素等)中で、酸化剤(例えば、トリフルオロ過酢酸、過マレイン酸、過安息香酸、過酢酸、メタ−クロロペルオキシ安息香酸等)で処理することにより調製され得る。あるいは、式(I)で表される化合物のN−オキシドは、適切な出発材料のN−オキシドから調製される場合もある。
【0146】
未酸化形態の式(I)で表される化合物は、式(I)で表される化合物のN−オキシドを、0〜80℃の適切な不活性有機溶媒(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサン等)中で、還元剤(例えば硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化リン等)で処理することにより調製され得る。
【0147】
式(I)で表される化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に知られる方法(例えば、詳細は、Saulnier et al.(1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照されたい)により調製され得る。例えば、適切なプロドラッグは、式(I)で表される誘導体化されていない化合物を、適切なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルボノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカルボネート等)と反応させることにより調製され得る。
【0148】
式(I)で表される化合物の保護誘導体は、当業者に知られる手段により調製され得る。保護基の設計及びそれらの除去に利用される技術の詳細な記載は、T. W. Greene, Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc. 1999に見られる。
【0149】
本発明の化合物は、本発明のプロセスの過程で、溶媒和物(例えば水和物)として、簡便に調製又は形成され得る。本発明の化合物の水和物は、ジオキシン、テトラヒドロフラン又はメタノール等の有機溶媒を使用して、水性/有機性溶媒混合物から再結晶化することにより、簡便に調製され得る。
【0150】
式(I)で表される化合物は、ジアステレオマーとして調製され得て、それらの異なる物理的特性(例えば融点、沸点、溶解度、反応性等)を利用して、容易に分離することが出来る。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーにより、又は好ましくは、溶解度の相異に基づく分離/分画(resolution)技術により分離され得る。そして、光学的に純粋な異性体が、そのキラル中心のラセミ化をもたらさない任意の実用的な手段により回収される。ラセミ混合物から化合物の立体異性体を分画するのに利用可能な技術のより詳細な記載は、Jean Jacques Andre Collet, Samuel H. Wilen, Enantiomers, Racemates and Resolutions, John Wiley & Sons, Inc. (1981)に見られる。
【0151】
薬理学及び有用性
本発明の化合物は、リソソームシステインプロテアーゼであるカテプシンBの阻害剤であるので、例えば腫瘍浸潤、転移、アルツハイマー症、関節炎、炎症性疾患、例えば慢性及び急性膵炎、炎症性気道疾患、並びに骨粗鬆症、変形性関節症、関節リウマチ等を含む骨及び関節の機能不全、乾癬、並びに他の自己免疫疾患、HCVに関連する肝線維症を含む肝線維症、全てのタイプの脂肪変性(非アルコール性脂肪性肝炎を含む)、及びアルコール関連性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、特発性肺線維症を含む肺線維症の形態、肺生検に続く間質性肺炎の病理的診断、腎線維症、心線維症、網膜血管新生、並びに眼球内の線維症/グリオーシス、硬皮症、並びに全身性硬化症等の、カテプシンBの清浄な活性又は発現増大に関連する病態を処置するのに有用である。本発明の化合物は、単独で、又は任意で1つ以上の抗ウイルス剤と共に使用され得る。
【0152】
式(I)で表される化合物の阻害活性は、当業者に知られる方法により決定され得る。本発明の化合物がカテプシンBを阻害する能力を測定するのに適切なインビトロアッセイは、下記の生物学的実施例1に記載されており、そしてヒト細胞中のカテプシンBの阻害を測定する方法は、生物学的実施例2に記載されている。
【0153】
一つの態様において、本発明の化合物は、例えばHCVに関連する肝線維症等の肝線維症を含む線維症の処置に、並びにHCV及び肝線維症の両方に罹患した対象、又は肝脂肪変性等のHCVに関連しない慢性肝損傷に罹患した対象の処置に特に有用である。そのような活性は、例えば本発明の化合物の投与後の、肝臓に損傷を有するマウス中における血漿中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の測定等の、当業者に周知の方法により決定される。特に、生物学的実施例3においてそのような手順がより詳細に記載されており、そのような試験の結果が提示されている。
【0154】
化合物が肝線維症の減少に効果的であるか否かを判定する、他の確立した方法が幾つか存在する。肝線維症の減少は、肝生検試料を解析することにより判定される。肝生検の解析は:重症度の測定及び進行中の疾病の活性の尺度として「等級」により評価される壊死炎症(necroinflammation)、並びに長期間の疾患の進行を反映するものとして「ステージ」により評価される線維症及び実質又は血管のリモデリングの病変の2つの主要な構成要素の評価を含む。例えば、Brunt (2000) Hepatol. 31:241−246;及びMETAVIR (1994) Hepatology 20:15−20を参照されたい。肝生研の解析に基づき、スコアが与えられる。多くの標準化されたスコアリングシステムが存在し、それらは、線維症の程度及び重症度の定量的評価を提供する。これらは、METAVIR、Knodell、Scheuer、Ludwig、及びIshakスコアリングシステムを含む。
【0155】
投与及び医薬組成物
一般的に、式(I)で表される化合物は、単独で、又は1つ以上の治療剤と組み合わせて、当該技術分野で知られる任意の有用かつ許容される方式により、治療的に有効な量が投与され得る。治療的に有効な量は、疾患の重症度、対象の年齢及び相対的な健康状態、使用される化合物の効能並びに他の要素に依存して、広く変化し得る。例えば、式(I)で表される化合物の治療的に有効な量は、約10μg/体重kg/日〜約100mg/体重kg/日の範囲内であり、典型的には、約100μg/体重kg/日〜約10mg/体重kg/日の範囲内である。従って、体重80kgのヒト患者の治療に有効な量は、約1mg/体重kg/日〜約8g/体重kg/日の範囲内であり、典型的には、約1mg/体重kg/日〜約800mg/体重kg/日の範囲内である。一般的に、個人的知識及び本出願の開示に従い実施する当業者は、所定の疾患を処置するのに式(I)で表される化合物の治療的に有効な量を確認することが出来る。
【0156】
式(I)で表される化合物は、経口、全身(例えば経皮、鼻腔内又は坐薬等)、非経口(例えば筋肉内、静脈内又は皮下等)の経路の1つを経る、医薬組成物として投与される。組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、半固体、粉末、徐放製剤、液体、懸濁物、エリキシル剤、エアロゾル、又は任意の他の適切な組成物の形態をとり、一般に、1つ以上の医薬として許容される賦形剤と組み合わせて、式(I)で表される化合物が含まれる。許容される賦形剤は、無毒性で、投与を補助するもので、有効成分の治療的利益に不利な影響を与えない。そのような賦形剤は、任意の固体、液体、半固体であってもよく、又はエアロゾル組成物の場合は、当該技術分野で一般的に入手可能な気体賦形剤であってもよい。
【0157】
固体医薬賦形剤は、澱粉、セルロース、滑石、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト(malt)、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク等を含む。液体及び半固体賦形剤は、水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、及び様々な油、例えば石油、動物性、植物性、又は合成油脂(例えばラッカセイ油、ダイズ油、ミネラルオイル、ゴマ油等)等から選択され得る。好ましくは注射可能な溶液用の好ましい液体担体として、水、生理食塩水、水性デキストロース及びグリコールが含まれる。
【0158】
前記組成物中の式(I)で表される化合物の量は、製剤の種類、投与単位のサイズ、賦形剤の種類、及び薬学の当業者に知られる他の要素に依存して、広く変化し得る。一般に、所定の疾患を処置するための式(I)で表される化合物の組成物は、0.01%w〜90%w、好ましくは5%w〜50%wの有効成分を含み、あとは1つ以上の賦形剤である。好ましくは、該医薬組成物は、継続的な処置において単一の投与単位で投与され、又は症状の緩和が具体的に要求されるときは、自由に(ad libitum)単一の投与単位で投与される。式(I)で表される化合物を含有する代表的な医薬製剤を、以下に記載する。
【実施例】
【0159】
本発明は、限定されないが、本発明の式(I)で表される化合物の調製を描写する以下の実施例により、更に例示される。
【0160】
参考A
tert−ブチル(3S)−1−(シクロプロピアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバメートの合成
【化15】

【0161】
工程1
N−メチルモルホリン(34.9g、0.35mol)を、Boc−Nva−OH(25g、0.115mol)、N,O−ジメチルヒドロキシアミンヒドロクロライド(12.34g、0.127mol)、1(3ジメチルアミノプロピル)−3エチルカルボジイミドヒドロクロライド(EDC)(33.07g、0.173mol)、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(22.9g、0.35mol)のジクロロエタン中混合物(300mL)にゆっくりと添加し、30分間攪拌した。この反応物を室温で2時間放置し、そして2000mLの酢酸エチルで希釈し、炭酸水素ナトリウム、水、ブライン(brine)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。減圧下で溶媒を除去して、無色の油として、(S)−tert−ブチル1−メトキシ(メチル)アミノ)−1−オキソペンタン−2−イルカルバメートを得た。
【0162】
工程2
−78℃のアルゴン大気下で、(S)−tert−ブチル1−メトキシ(メチル)アミノ)−1−オキソペンタン−2−イルカルバメートの無水テトラヒドロフラン溶液(100mL)に、水素化リチウムアルミニウム(テトラヒドフラン中に1M、27.7mL)を、ゆっくりと添加した。2時間後、この反応混合物を1NのHClを添加して滴定し、そして室温まで温めた。この反応混合物を酢酸エチル(600mL)で希釈し、1NのHCl、HO、それからブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。減圧下で溶媒を除去し、油として、(S)−tert−ブチル1−オキソペンタン−2−イルカルバメート(4.8g)を得た。
【0163】
工程3
0℃で、酢酸(2.28g、38mmol)を、シクロプロピルイソニトリル(1.91g、28.5)、(S)−tert−ブチル1−オキソペンタン−2−イルカルバメート(3.8g、19mmol)の塩化メチレン溶液(100mL)に添加した。全て添加した後、この反応混合物を25℃まで温め、そして6時間攪拌した。この反応混合物を、酢酸エチル(200ml)で希釈し、そして炭酸水素ナトリウムの飽和溶液及びブライン(30ml)で洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。この溶媒を減圧下で除去して、白色の固体としてtert−ブチル(3S)−1(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバメート(4.8g)を得た。
【0164】
工程4
室温で、水酸化ナトリウム水溶液(1N、22mL)を、tert−ブチル(3S)−1(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバメート(4.8g、14.6mmol)のメタノール溶液(50ml)に添加した。2時間後、減圧下でメタノールを除去し、そして該濃縮物を、酢酸エチル(300mL)で抽出した。酢酸エチルの相をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。減圧下での溶媒の除去の後、該残余物(residue)を、100mlの酢酸エチル及びヘキサン(v/v=3/1)から結晶化して、白色の固体としてtert−ブチル(3S)−1−(シクロプロピアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバメート(3.5g)を得た。
【0165】
参考B
tert−ブチル(2S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3−ヒドロキシ−4−オキソブタン−2−イルカルバメートの合成
【化16】

【0166】
工程1
Boc−L−シクロブチルアラニン(10.33g、30mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシアミンヒドロクロライド(3.22g、33mmol)、1(3ジメチルアミノプロピル)−3エチルカルボジイミドヒドロクロライド(EDC)(8.63g、45mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(5.52g、36mmol)のジクロロメタン中混合物(200ml)に、N−メチルモルホリン(9.11g、90mmol)を、攪拌しながら30分以上かけてゆっくりと添加した。2時間後、該反応混合物を酢酸エチル(1000ml)で希釈し、炭酸水素ナトリウム、水、そしてブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。減圧下で溶媒を除去して、無色の油として、(S)−tert−ブチル3−シクロブチル−1−(メトキシ(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(7.1g)を得た。
【0167】
工程2
(S)−tert−ブチル3−シクロブチル−1−(メトキシ(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(4.3g、15mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液(100ml)に、アルゴン大気中、−78℃で、リチウムアルミニウム水素化物(テトラヒドロフラン中に1M、15ml、15mmol)をゆっくりと添加した。2時間後、この反応混合物を1MのHCL(15ml)でゆっくり添加することにより滴定し、そして添加し終えてから、この反応混合物を室温まで温めた。この反応混合物を酢酸エチル(500ml)で希釈し、1NのHCl、水、そしてブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。減圧下で溶媒を除去して、油として、(S)−tert−ブチル1−シクロブチル−3−オキソプロパン−2−イルカルバメート(2.95g)を得た。
【0168】
シクロプロピルイソニトリル(1.21g、18mmol)、(S)−tert−ブチル1−シクロブチル−3−オキソプロパン−2−イルカルバメート(2.95g、13mmol)の塩化メチレン溶液(20ml)に、0℃で酢酸(1.56g、25mmol)を添加した。添加の後、該反応混合物を25℃まで温め、そして更に4時間攪拌した。該反応混合物を200mlの酢酸エチルで希釈し、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液及びブリンで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。溶媒を減圧下で除去し、該粗生成物を、50mlの酢酸エチル及びヘキサン(v/v=1/1)から結晶化し、白色の固体として、(3S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−シクロブチル−1−(シクロプロピルアミノ)−1−オキソブタン−2−イルアセテート(3.8g)を得た。
【0169】
工程4
(3S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−シクロブチル−1−(シクロプロピルアミノ)−1−オキソブタン−2−イルアセテート(3.8g、10.7mmol)のメタノール溶液(50ml)に、水酸化ナトリウム水溶液(1N、15ml)を、室温で添加した。その2時間後、減圧下でエタノールを除去し、該濃縮物を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルをブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。減圧下で溶媒を除去し、そして残余物を、100mlの酢酸エチル及びヘキサン(v/v=3/1)から結晶化し、白色の固体として、tert−ブチル(2S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3−ヒドロキシ−4−オキソブタン−2−イルカルバメート(2.9g)を得た。
【0170】
実施例1
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル]−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドの合成
【化17】

【0171】
工程1
0℃の市販のN−tert−Boc−cis−4S−ヒドロキシ−L−プロリンメチルエステル(370mg、1.51mmol)及び7−メトキシ−2−ピラゾール−1−イル−キノリン−4−オール(PCT出願公開WO 2000059929号)(400mg、1.66mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液(15ml)に、トリフェニルホスフィン(594mg、2.27mmol)を添加して、その後N大気下で、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD) (0.36mL、1.81mmol)をゆっくりと添加する。該反応混合物を室温まで加熱し、そして18時間攪拌した。この粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィーにより濃縮及び精製し、69%の収量で、(2S,4R)−1−tert−ブチル−2−メチル−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレートを得た。
【0172】
工程2
(2S,4R)−1−tert−ブチル−2−メチル−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(200mg、0.43mmol)のジクロロメタン溶液(1ml)に、4.0MのHClのジオキサン溶液(3.0ml)を添加した。1時間後、該反応混合物を濃縮及び乾燥し、白色の固体として、(2S,4R)−メチル−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−ジカルボキシレートヒドロクロライドを得た。
【0173】
(2S,4R)−メチル−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−ジカルボキシレートヒドロクロライド(67mg、0.165mmol)のジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(1:1)溶液(2.0mL)に、Boc−L−tert−Leu−OH(38.1mg、0.165mmol)、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(69mg、0.182mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.5mmol)を添加し、そして該混合物を室温で攪拌した。16時間後、該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1NのHCl、飽和炭酸水素ナトリウム、及びブラインで洗浄した。一まとめにした酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして減圧下の蒸発により乾燥させ、定量的収率(quantitative yield)で、(2S,4R)−メチル−1−((S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−ジカルボキシレートを得た。
【0174】
粗(2S,4R)−メチル−1−((S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−ジカルボキシレートのジクロロメタン溶液(1ml)に、4.0MのHClのジオキサン溶液(3.0ml)を添加した。1時間後、該反応混合物を濃縮及び乾燥させ、白色の固体として、(S)−1−((2S,4R)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)−2−(メトキシカルボニル)ピロリジン−1−イル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸ヒドロクロライドを得た。これは、更なる精製をせずに、次の工程に使用された。
【0175】
工程5
(S)−1−((2S,4R)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)−2−(メトキシカルボニル)ピロリジン−1−イル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸ヒドロクロライド(0.165mmol)のジクロロメタン溶液(3.0ml)に、トリエチルアミン(0.06ml、0.413mmol)及びtert−ブチルイソシアネート(0.02ml、0.165mmol)を添加し、該反応混合物を、室温で攪拌した。16時間後、該反応混合物をジクロロメタンで希釈し、1NのHCl、飽和炭酸水素ナトリウム、及びブラインで洗浄した。そして、形成されたジクロロメタンの相を蒸発により乾燥させ、(2S,4R)−メチル−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキシレートを得た。
【0176】
工程6
(2S,4R)−メチル−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキシレートを、メタノール(6.0ml)、テトラヒドロフラン(3.0ml)、及び1Nの水酸化ナトリウム(6ml)で処理した。室温で1時間置いた後、該反応混合物を濃縮し、1NのHClで酸性化し、そして酢酸エチルで抽出した。一まとめにした酢酸エチルの相をブリンで洗浄し、そして脱水した(MgSO)。該酢酸エチルの相を濾過し、蒸発により乾燥させ、(2S,4R)−メチル−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸を得た。
【0177】
工程7
tert−ブチル−(3S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソ−3−イルカルバメート(48mg、0.165mmol)をジクロロメタン(3.0ml)に溶解し、トリフルオロ酢酸(3ml)を添加した。室温で1時間攪拌した後、該反応混合物を蒸発により乾燥し、白色の固体として、(3S)−3−アミノ−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシヘキサンアミドトリフルオロ酢酸塩を得た。(2S,4R)−メチル−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸のジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド溶液(1:1、6.0ml)を、前記(3S)−3−アミノ−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシヘキサンアミドトリフルオロ酢酸塩に添加して、それからO(7アザベンゾトリアゾール 1 イル)1,1,3,3テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(75mg、0.198mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.7mmol)を添加した。室温で24時間置いた後、該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そして1NのHCl、炭酸水素ナトリウム、及びブラインで洗浄した。酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥した。そして、該粗生成物を無水ジクロロメタン(10.0ml)に溶解して、そしてデスマーチンペルヨージナン(Dess−Martin periodinane)(112mg、0.264mmol)を添加した。室温で2時間攪拌した後、該反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム中の0.26Mチオ硫酸ナトリウムで滴定し、そして酢酸エチルで抽出した。そして一まとめにした酢酸エチルの相を飽和炭酸水素ナトリウム及びブラインで洗浄した。調製HPLCにより精製し、HPLCによる純度が99%を超える、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドを得た。
【0178】
1Η NMR:(DMSOd)δ8.76−8.70(m,2Η);8.22(d,J=6.8Hz,1H);8.11(d,J=9.6Hz,1H);7.87(d,J=1.2Hz,1H);7.45(s,1H);7.27(d,J=2.4Hz,1H);7.00−6.97(dd,J=2.8及び9.6Hz,1H);6.64−6.62(m,1H);5.92(brs,1H);5.49(brs,1H);5.00−4.96(m,1H);4.55−4.49(m,2H);4.18(d,J=5.6Hz,1H);3.90(s,3H);3.91−3.82(m,1H);3.54(brs,1H);2.75−2.72(m,1H);2.54−2.51(m,1H);2.17−2.14(m,1H);1.69−1.66(m,1H);1.40−1.34(m,3H);1.13(m,9H);0.93(m,9H);0.90−0.82(m,3H);0.65−0.53(m,4H)。MS(M+1)733。
【0179】
実施例2
(2S,4R)−1−((S)−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル))−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)−キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドの合成
【化18】

【0180】
tert−ブチル−(2S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3−ヒドロキシ−4−オキソブタン−2−イルカルバメート(51mg、0.165mmol)を、ジクロロメタン(3.0ml)に添加し、そしてトリフルオロ酢酸(3.0ml)を添加した。室温で1時間攪拌した後、該反応混合物を蒸発により乾燥し、白色の固体として(3S)−3−アミノ−4−シクロブチル−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−ブタンアミド−トリフルオロ酢酸塩を得た。(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル))−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸のジクロロメタン/N,N−ジメチるるホルムアミド(1:1、6.0ml)溶液を、前記(3S)−3−アミノ−4−シクロブチル−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−ブタンアミド−トリフルオロ酢酸塩に添加し、そして0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(75mg、0.198mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.7mmol)を添加した。室温で24時間置いた後、該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そして1NのHCl、飽和炭酸水素ナトリウム、及びブラインで洗浄した。酢酸エチルの相を脱水(硫酸マグネシウム)し、濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥させた。そして該粗生成物を無水ジクロロメタン(10.0ml)に溶解し、そして1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン−(デスマーチンペルヨージナン(Dess−Martin periodinane)試薬、112mg、0.264mmol)を加えた。室温で2時間攪拌した後、該反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム中の0.26Mのチオ硫酸ナトリウムで滴定し、そして酢酸エチルで抽出した。一まとめにした酢酸エチルの相を飽和炭酸水素ナトリウム及びブラインで洗浄した。調製HPLCにより精製して、HPLCの純度が99%を超える、(2S,4R)−1−((S)−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル))−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)−キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドを得た。
【0181】
H NMR: (DMSO−d)δ8.76−8.69(m,2H);8.19(d,J=8.0Hz,1H);8.10(d,J=8.0Hz,1H);7.87−7.86(m,1H);7.45(s,1H);7.27(d,J=2.8Hz,1H);7.00−6.97(dd,J=2.8及び9.6Hz,1H);6.64−6.62(m,1H);5.93(brs,1H);5.48(brs,1H);5.00−4.96(m,1H);4.53−4.49(m,2H);4.18(d,J=9.2Hz,1H);3.90(s,3H);3.91−3.82(m,1H);3.42(brs,2H);2.75−2.72(m,1H);2.54−2.51(m,1H);2.17−2.14(m,1H);1.96−1.89(m,2H);1.78−1.50(m,6H);1.13(m,9H);0.94(m,9H);0.65−0.53(m,4H)。MS(M+l)759。
【0182】
実施例3
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル))−4−−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ−3,4−時オキソブタン−2−イル))ピロリジン−2−カルボキサミドの合成
【化19】

市販のt−Boc−(2S,4R)−ヒドロキシプロリン(1mmol)のジメチルスルホキシド溶液に、カリウムtert−ブトキシドを、23℃で、少しずつ15分かけて添加した。該混合物を23℃で30分攪拌し、そして0℃まで冷却し、その後、2,5−ジクロロピリジン(1.1mmol)を、少しずつ10分かけて添加した。該反応混合物を、23℃で16時間攪拌した。得られた懸濁物を5%クエン酸水溶液に加え、そして酢酸エチルで抽出した。一まとめにした酢酸エチルの相をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。有機部分を濾過し、そして減圧下で濃縮して、白色の固体を得た。該固形物を4.0MのHClのジオキサン溶液(10mL)中に溶解した。1時間後、該反応混合物を減圧下で濃縮及び乾燥し、塩酸塩として、(2S,4R)−メチル−4−(5−クロロピリジン−2−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシレートを得た。
【0183】
工程1
(2S,4R)−メチル−4−(5−クロロピリジン−2−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシレートヒドロクロライド(242mg、0.829mmol)のジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(10ml、1:1)溶液に、Boc−L−tert−Leu−OH(192mg、0.829mmol)、O(7アザベンゾトリアゾール 1 イル)1,1,3,3テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオリホスフェート(HATU)(347mg、0.912mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.37mL、2.07mmol)を添加し、該反応混合物を室温で攪拌した。16時間後、該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム及びブラインで洗浄した。酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥させ、定量的収率の(2S,4R)−メチル−1−((S)−2−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキシレートを得た。
【0184】
(2S,4R)−メチル−1−((S)−2−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキシレートを、メタノール(5.0ml)、テトラヒドロフラン(3.0ml)及び1Nの水酸化ナトリウム(5.0ml)で処理した。室温で2時間置いた後、該反応混合物を濃縮し、1NのHClで酸性化し、そして酢酸エチルで抽出した。一まとめにした酢酸エチルの相をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。該酢酸エチルの相を濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥させ、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸を得た。
【0185】
工程3
(3S)−3−アミノ−4−シクロブチル−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシブタンアミド(214mg、0.83mmol)に、4.0MのHClのジオキサン溶液(11.0mL)を添加した。1時間後、該反応混合物を濃縮し、そして乾燥して、白色の固体として(3S)−3−アミノ−4−シクロブチル−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−ブタンアミドのHCl塩を得た。この塩に、ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(1:1、10.0mL)中の(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸、1(3 ジメチルアミノプロピル)−3 エチルカルボジイミドヒドロクロライド(EDCI)(238mg、1.24mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(HOBT)(190mg、1.24mmol)、及びN−メチルモルホリン(0.6mL、3.32mmol)を添加した。室温で16時間置いた後、該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム及びブリンで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。酢酸エチルの相を濾過し、減圧下で濃縮し、そして残余物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、58%の収率で、tert−ブチル(2S)−1−((2S,4R)−4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−2−((2S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3−ヒドロキシ−4−オキソブタン−2−イルカルバモイル)ピロリジン−1−イル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメートを得た。
【0186】
工程4
tert−ブチル(2S)−1−((2S,4R)−4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−2−((2S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3−ヒドロキシ−4−オキソブタン−2−イルカルバモイル)ピロリジン−1−イル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメートに、ジオキサン(3.0ml)中の4.0MのHClを添加した。一時間後、該反応混合物を減圧下で濃縮し、乾燥して、白色の固体として、(2S,4R)−1−((S)−2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−((2S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3−ヒドロキシ−4−オキソブタン−2−イル)ピロリジン−2−カルボキサミドのHCl塩を得た。
【0187】
(2S,4R)−1−((S)−2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−((2S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3−ヒドロキシ−4−オキソブタン−2−イル)ピロリジン−2−カルボキサミドのHCl塩(45mg、0.077mmol)のジクロロメタン溶液(3.0ml)に、トリエチルアミン(0.02mL、0.154mmol)を添加した。室温で5分置いた後、tert−ブチルイソシアネート(0.01mL、0.077mmol)を添加し、そして該反応混合物を室温で攪拌した。16時間後、該反応混合物をジクロロメタンで希釈して1NのHCl、飽和炭酸水素ナトリウム、及びブラインで洗浄した。ジクロロメタンの相を減圧下で蒸発により乾燥し、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−((2S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3−ヒドロキシ−4−オキソブタン−2−イル)ピロリジン−2−カルボキサミドを得た。
【0188】
工程6
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−((2S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3−ヒドロキシ−4−オキソブタン−2−イル)ピロリジン−2−カルボキサミドを、無水ジクロロメタン(4.0ml)に溶解し、そしてデスマーチンペルヨージナン(44mg、0.103mmol)を添加した。室温で2時間攪拌した後、該反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム中の0.26Mのチオ硫酸ナトリウムで滴定し、そして酢酸エチルで抽出した。一まとめにした酢酸エチル相を飽和炭酸水素ナトリウム及びブラインで洗浄し、該有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、そして溶媒を減圧下で除去した。調製HPLCで残余物を精製して、HPLCによる純度が90%を超える、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)ピロリジン−2−カルボキサミドを得た。
【0189】
E NMR:(DMSO)8.91−8.73(m,1H);8.30−8.24(m,2H);7.92−7.7.80(m,1H);6.94−6.84(m,1H);5.97(brs,1H);5.50(s,1H);5.00−4.95(m,1H);4.54−4.52(m,1H);4.17−3.88(m,3H);2.75−2.72(m,1H);2.54−2.51(m,1H);2.40−2.32(m,1H);2.17−1.60(m,10H);1.13(m,9H);0.91(m,9H);0.67−0.58(m,4H)。MS(M+l)648。
【0190】
実施例4
tert−ブチル(S)−1−((2S,4R)−2−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−1−イル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメートの合成
【化20】

同様に、工程4及び5を除いた上記実施例1の手順を経て、tert−ブチル(S)−1−(2S,4R)−2−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−1−イル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメートを得た。MS:734(M+l)。
【0191】
実施例5
tert−ブチル(S)−1−((2S,4R)−2−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−1−イル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメートの合成
【化21】

同様に、7−メトキシ−ピラゾール−1−イル−キノリン−4−オールを7−メトキシ−2−フェニル−キノリン−4−オールで置き換えた上記実施例4の手順を経て、tert−ブチル(S)−1−(2S,4R)−2−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−1−イル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメートを得た。MS:744(M+l)。
【0192】
実施例6
tert−ブチル(S)−1−((2S,4R)−4−(5−クロロピリジン−2−イルオキシ)−2−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イルカルバモイル)ピロリジン−1−イル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメートの合成
【化22】

【0193】
同様に、4R−(7−メトキシ−2−ピラゾール−1−イル−キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2S−カルボン酸メチルエステルヒドロクロライドを、4R−(5−クロロピリジン−2−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステルヒドロクロライドで置き換えた上記実施例4の手順を経て、表記化合物を得た。MS:622(M+l)。
【0194】
実施例7
tert−ブチル−1−((2S,4R)−4−(5−クロロピリジン−2−イルオキシ)−2−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソヘキサン−2−イルカルバモイル)ピロリジン−1−イル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバメートの合成
【化23】

【0195】
同様に、4R−(7−メトキシ−2−ピラゾール−1−イル−キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2S−カルボン酸メチルエステルヒドロクロライドを、4R−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステルヒドロクロライドで置き換え、そして(1S−シクロブチルメチル−2−シクロプロピルカルバモイル−2−ヒドロキシエチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを[1S−(シクロプロピルカルバモイルヒドロキシメチル)ブチル]カルバミン酸tert−ブチルエステルに代えた上記実施例4の手順を経て、表記化合物を得た。MS:648(M+1)。
【0196】
実施例8
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル]−4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル0ピロリジン−2−カルボキサミドの合成
【化24】

【0197】
同様に、(1S−シクロブチルメチル−2−シクロプロピルカルバモイル−2−ヒドロキシエチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを、[1S−(シクロプロピル−カルバモイルヒドロキシメチル)ブチル]カルバミン酸tert−ブチルエステルに置き換えた上記実施例3の手順を経て、表記化合物を得た。MS:621(M+1)。
【0198】
実施例9
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミドの合成
【化25】

【0199】
工程1
3−メトキシ桂皮酸(5.3g、29.7mmol)及びトリエチルアミン(8.3mL、59.4mmol)のアセトン溶液(35ml)に、クロロ蟻酸エチル(4.3mL、44.5mmol)を0℃で滴下した。0℃で1時間置いた後、アジ化ナトリウム水溶液(3.1g、47.5mmol、16mL)を滴下し、そして該反応溶液を、16時間23℃で攪拌した。該混合物に水(50ml)を添加し、そして減圧下で揮発成分を除去した。得られたスラリーをトルエン(3x25ml)で抽出し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで脱水した。脱水した溶液を濾過し、ジフェニルメタン(25ml)及びトリブチルアミン(14.2ml、59.4mmol)の溶液に190℃で滴下した。添加するときに、トルエンは蒸発して除去される。添加を終えた後、反応温を210℃まで上げて2時間置いた。冷却後、沈殿した生成物を濾過により回収して、ヘキサンで洗浄し、そして真空下で乾燥し、6−メトキシイソキノリン−1(2H)−オン(1.7g、9.7mmol、収率33%)を得た。MS m/z 176 (M+H)。
【0200】
工程2
6−メトキシイソキノリン−1−(2H)−オン(900mgs、5.1mmol)のオキシ塩化リン(POCl、4mL)懸濁液を、110℃で3時間加熱した(加熱すると透明な溶液が得られる)。3時間後、該反応混合物を減圧下で濃縮した。残余物を氷冷水(10ml)中に注ぎ、3Nの水酸化ナトリウムでpHを10に調製し、そして、該混合物を、クロロホルム(3x25ml)で抽出した。得られたクロロホルム相をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。そして有機相を濾過し、減圧下で濃縮し、更にフラッシュクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、白色の固体として、1−クロロ−6−メトキシイソキノリン(720mgs、3.7mmol、収率73%)を得た。H NMR(CDOD):8.23(d,1H,J=8.8Hz);8.11(d,1H,J=6.0Hz);7.69(d,1H,J=6.0Hz);7.37−7.33(m,2H);3.97(s,3H)。MSm/z194(M+H)。
【0201】
工程3
市販のジメチルスルホキシド(20ml)中のN−t−Boc−(2S,4R)−ヒドロキシプロリン(684mg、2.96mmol)に、23℃で、カリウムtert−ブトキシド(887mg、8.88mmol)を、15分かけて少しずつ添加した。該混合物を23℃で30分攪拌し、そして0℃まで冷却した。1−クロロ−6−メトキシイソキノリン(600mg、3.11mmol)を少しずつ10分かけて添加した。該反応混合物を23℃で16時間攪拌した。得られた懸濁物を5%クエン酸水溶液(100ml)中に加え、酢酸エチル(3x50ml)で抽出した。酢酸エチルの相をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。この有機相を濾過し、減圧下で濃縮して、白色の固体として(2S,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(6−メトキシ−イソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸(1.04g、2.68mmol、収率91%)を得た。MS m/z 389 (M+H)。この材料は、更なる精製をせずに粗生成物のまま次の工程に使用された。
【0202】
工程4
tert−ブチル−(3S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソ−ヘキサン−3−イルカルバメート(100mg、0.35mmol)に、ジオキサン中の4.0M HCl(10ml)を添加した。1時間後、該反応混合物を濃縮及び脱水して、白色の固体として対応するHCl塩を得た。ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(8:3、11.0ml)中の上記アミンHCl塩に、(2S,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(6−メトキシ−イソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸(136mg、0.35mmol)、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(160mg、0.42mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(0.2mL、1.05mmol)を添加した。室温で2時間反応させた後、該混合物を酢酸エチルで希釈し、1NのHCl(2x)、炭酸水素ナトリウム(1x)、及びブライン(1x)で洗浄した。酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥させ、(2S,4R)−tert−ブチル−2−((3S)−1−シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−4−(6−メトキシ−イソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0203】
工程5
上記粗化合物に、ジオキサン(10ml)中の4.0M HClを添加した。1時間後、該反応混合物を濃縮及び乾燥して、対応するHCl塩を白色の固体として得た。ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(8:3、11.0ml)中の上記アミンHCl塩に、2S−(3−tert−ブチル−ウレイド)−3,3−ジメチル−酪酸(81.0mg、0.35mmol)、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(160mg、0.42mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.2ml、1.05mmol)を添加した。室温で16時間置いた後、該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そして1NのHCl(2x)、炭酸水素ナトリウム(1x)、及びブライン(1x)で洗浄した。酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥させた。
【0204】
工程6
前記粗生産物を、無水ジクロロメタン(10.0ml)中に溶解し、そしてデスマーチンペルヨージナン(223mg、0.525mmol)を添加した。室温で2時間攪拌した後、該反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム中の0.26M チオ硫酸ナトリウムで滴定し、そして、酢酸エチルで抽出した(3x)。酢酸エチルの相を飽和炭酸水素ナトリウム(2x)及びブライン(1x)で洗浄した。調製HPLCにより精製して、HPLCによる純度が95%を超える、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミドを得た。H NMR:(DMSO−d)8.74(d,1H,J=4.8Hz);8.28(d,1H,J=7.2Hz);8.15(d,1H,J=9.2Hz);7.97(d,1H,J=6.0Hz);7.34−7.32(m,2H);7.11−7.08(m,1H);5.94(brs,1H);5.72−5.70(m,1H);5.04−5.00(m,1H);4.58(t,1H,J=8.4Hz);4.34−4.22(m,2H);3.91(s,3H);3.90−3.86(m,1H);2.79−2.74(m,1H);2.54−2.51(m,1H);2.18−2.11(m,1H);1.77−1.70(m,1H);1.48−1.38(m,3H);1.15(m,9H);0.91(m,9H);0.90−0.86(m,3H);0.69−0.56(m,4H)。MSm/z667(M+H)、689(M+Na)、665(M−H)。
【0205】
実施例10
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミドの合成
【化26】

【0206】
工程1
ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(5:1.5、6.5mL)中の(3S)−3−アミノ−N−ジシクロプロピル−2−ヒドロキシ−ブタンアミドのHCl塩(47mg、0.2mmol)に、(2S,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸(78mg、0.2mmol)、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU) (91mg、0.4mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.6mmol)を添加した。室温で16時間置いた後、該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1NのHCl(2x)、炭酸水素ナトリウム(1x)、及びブライン(1x)で洗浄した。酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥させ、(2S,4R)−tert−ブチル)−2−((2S)−1−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−3−ヒドロキシ−4−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0207】
工程2
上記粗化合物に、ジオキサン(5.0ml)中の4.0M HClを添加した。1時間後、該反応混合物を濃縮及び脱水し、白色の固体として対応するHCl塩を得た。ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(7:3、11.0ml)中の上記アミンHCl塩に、S−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチル酪酸(46mg、0.2mmol)、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(91mg、0.24mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.6mmol)を添加した。室温で3時間反応させた後、該混合物を酢酸エチルで希釈し、1NのHCl(2x)、炭酸水素ナトリウム(1x)、及びブライン(1x)で洗浄した。酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥させた。
【0208】
工程3
粗生成物を無水ジクロロメタン(8.0mL)に溶解し、そしてデスマーチンペルヨージナン(127mg、0.3mmol)を添加した。室温で2時間攪拌した後、該反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム中の0.26Mのチオ硫酸ナトリウムで滴定し、そして酢酸エチルで抽出した。一まとめにした酢酸エチル相を飽和炭酸水素ナトリウム(2x)及びブライン(1x)で洗浄した。調製HPLCで残余物を精製して、HPLCによる純度が90%を超える、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミドを得た。MS m/z679(M+H)、701(M+Na)、677(M−H)。
【0209】
実施例11
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミドの合成
【化27】

【0210】
工程1
クロロ蟻酸エチル(4.3mL、44.5mmol)を、0℃で、アセトン(35ml)中の3−エトキシ桂皮酸(5.71g、29.7mmol)及びトリエチルアミン(8.3mL、59.4mmol)に滴下した。0℃で1時間置いた後、アジ化ナトリウム水溶液(3.1g、47.5mmol、16mL)を滴下し、そして該反応溶液を、16時間23℃で攪拌した。該混合物に水(50ml)を添加し、そして減圧下で揮発成分を除去した。得られたスラリーをトルエン(3x25ml)で抽出し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで脱水した。脱水した溶液を濾過し、ジフェニルメタン(25ml)及びトリブチルアミン(14.2ml、59.4mmol)の溶液に190℃で滴下した。添加するときに、トルエンは蒸発して除去される。添加を終えた後、反応温を210℃まで上げて2時間置いた。冷却後、沈殿した生成物を濾過により回収して、ヘキサンで洗浄し、そして真空下で乾燥し、6−エトキシ−2H−イソキノリン−1−オン(1.92g、10.2mmol、収率34%)を得た。MS m/z190(M+H)。
【0211】
工程2
6−メトキシ−2H−イソキノリン−1−オン(896mgs、4.74mmol)のオキシ塩化リン(POCl、4mL)懸濁液を、110℃で3時間加熱した(加熱すると透明な溶液が得られる)。3時間後、該反応混合物を減圧下で濃縮した。残余物を氷冷水(10ml)中に注ぎ、3Nの水酸化ナトリウムでpHを10に調製し、そして、該混合物を、クロロホルム(3x25ml)で抽出した。得られたクロロホルム相をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。そして有機相を濾過し、減圧下で濃縮して、黄褐色の固体として、1−クロロ−6−エトキシ−イソキノリン(886mg、4.18mmol、収率88%、純度90%超)を得た。MS m/z 208(M+H)。
【0212】
工程3
市販のジメチルスルホキシド(20ml)中のN−t−Boc−(2S,4R)−ヒドロキシプロリン(531mg、2.30mmol)に、23℃で、カリウムtert−ブトキシド(774mg、6.9mmol)を、15分かけて少しずつ添加した。該混合物を23℃で30分攪拌し、そして0℃まで冷却した。0℃で、1−クロロ−6−エトキシイソキノリン(500mgs、2.41mmol)を少しずつ10分かけて添加した。該反応混合物を23℃で16時間攪拌した。得られた懸濁物を水中に加え、該混合物をエーテル(2x)及び酢酸エチル(2x)で洗浄した。酢酸エチルの相をブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。水相を1NのHCl水溶液で約pH4で酸性化し、そしてジクロロメタン(3x)で抽出した。ジクロロメタンの相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。そして有機相を濾過し、減圧下で濃縮して、(2S,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸(粗wt=1.18g、純度90%超)を得た。MS m/z 403(M+H)、401 (M−H)、303 (M−Boc)。この材料は、更なる精製をせず、粗生成物のまま次の工程に使用された。
【0213】
ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(10:3、13mL)中の(3S)−3−アミノ−N,4−ジシクロプロピル−2−ヒドロキシブタンアミドのHCl塩(66mg、0.28mmol)に、(2S,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸(114mg、0.28mmol)、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU) (128mg、0.34mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.15mL、0.84mmol)を添加した。室温で1時間置いた後、該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1NのHCl(2x)、炭酸水素ナトリウム(1x)、及びブライン(1x)で洗浄した。酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥させ、(2S,4R)−tert−ブチル−2−((2S)−1−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−3−ヒドロキシ−4−オキソブタン−2−イルカルバモイル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0214】
工程5
上記粗化合物に、ジオキサン中の4.0M HCl(10ml)を添加した。1時間後、該反応混合物を濃縮及び脱水して、白色の固体として対応するHCl塩を得た。ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(10:3、13ml)中の上記アミンHCl塩に、2S−(3−tert−ブチル−ウレイド)3,3−ジメチル−酪酸(64mg、0.28mmol)、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(128mg、0.34mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(0.15mL、0.84mmol)を添加した。室温で1時間反応させた後、該混合物を酢酸エチルで希釈し、1NのHCl(2x)、炭酸水素ナトリウム(1x)、及びブライン(1x)で洗浄した。酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥させた。
【0215】
前記粗生産物を、無水ジクロロメタン(10.0ml)中に溶解し、そしてデスマーチンペルヨージナン(154mg、0.364mmol)を添加した。室温で1時間攪拌した後、該反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム中の0.26M チオ硫酸ナトリウムで滴定し、そして、酢酸エチルで抽出した(3x)。酢酸エチルの相を飽和炭酸水素ナトリウム(2x)及びブライン(1x)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。有機相を濾過し、減圧下で濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(65%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、白色の固体として、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド(80.7mg、0.116mmol、収率42%)を得た。H NMR:(DMSO)8.67(d,1H,J=5.6Hz);8.26(d,1H,J=6.8Hz);8.06(d,1H,J=8.8Hz);7.89(d,1H,J=5.6Hz);7.24−7.22(m,1H);7.01−6.98(dd,1H,J=2.4,8.8Hz);5.90−5.85(m,2H);5.65−5.62(m,1H);5.06−5.01(m,1H);4.53(t,1H,J=8.0Hz);4.26−4.23(m,1H);4.16−4.08(m,3H);3.84−3.80(m,1H);2.69−2.65(m,1H);2.11−2.04(m,1H);1.64−1.57(m,1H);1.35−1.29(m,3H);1.15(m,9H);0.91(m,9H);0.89−0.81(m,3H);0.61−0.48(m,4H);0.36−0.27(m,2H)。MS m/z 693(M+H),715(M+Na),691(M−H)。
【0216】
実施例12
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミドの合成
【化28】

工程1
tert−ブチル−(3S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1−オキソヘキサン−3−イルカルバメート(75mg、0.26mmol)に、ジオキサン中の4.0M HCl(6.0ml)を添加した。1時間後、該反応混合物を濃縮及び脱水して、白色の固体として(3S)−3−アミノ−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシヘキサンアミドのHCl塩を得た。ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(10:3、13.0ml)中の上記塩に、(2S,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸(106mg、0.26mmol)、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(119mg、0.31mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(0.15mL、0.78mmol)を添加した。室温で1時間反応させた後、該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1NのHCl(2x)、炭酸水素ナトリウム(1x)、及びブライン(1x)で洗浄した。酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥させ、(2S,4R)−1−(tert−ブチル−2−((3S)−1−シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0217】
工程2
上記粗化合物に、ジオキサン(10ml)中の4.0M HClを添加した。1時間後、該反応混合物を濃縮及び乾燥して、対応するHCl塩を白色の固体として得た。ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(10:3、13ml)中の上記HCl塩に、(S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチル酪酸(60mg、0.26mmol)、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(128mg、0.34mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.15ml、0.84mmol)を添加した。室温で1時間置いた後、該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そして1NのHCl(2x)、炭酸水素ナトリウム(1x)、及びブライン(1x)で洗浄した。酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして蒸発により乾燥させた。
【0218】
工程3
粗生成物を無水ジクロロメタン(10.0mL)に溶解し、そしてデスマーチンペルヨージナン(143mg、0.338mmol)を添加した。室温で1時間攪拌した後、該反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム中の0.26Mのチオ硫酸ナトリウムで滴定し、そして酢酸エチルで抽出した。一まとめにした酢酸エチル相を飽和炭酸水素ナトリウム(2x)及びブライン(1x)で洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。有機相を濾過し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(65%酢酸/ヘキサン)で濃縮及び精製して、白色の固体として、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド(28)(75.7mg、0.11mmol、収率43%)を得た。H NMR:(DMSO−d)8.75(d,1H,J=4.8Hz);8.28(d,1H,J=7.2Hz);8.13(d,1H,J=8.8Hz);7.96(d,1H,J=6.0Hz);7.31−7.29(m,2H);7.10−7.06(dd,1H,J=2.4,9.2Hz);5.94−5.92(m,2H);5.72−5.70(m,1H);5.04−5.00(m,1H);4.58(t,1H,J=7.6Hz);4.34−4.30(m,1H);4.23−4.17(m,3H);3.90−3.86(m,1H);2.79−2.74(m,1H);2.54−2.51(m,1H);2.18−2.11(m,1H);1.77−1.70(m,1H);1.48−1.38(m,3H);1.15(m,9H);0.91(m,9H);0.89−0.86(m,3H);0.69−0.59(m,4H)。MS m/z 681(M+H)。703(M+Na)。679(M−H)。
【0219】
実施例13
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘプタン−3−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミドの合成
【化29】

工程1
ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(10:3、13mL)中の(3S)−3−アミノ−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシヘプタミドのHCl塩(96mg、0.40mmol)に、(2S,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(6−メトキシ−イソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸(157mg、0.40mmol)、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(200mg、0.53mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.35mL、2.0mmol)を添加した。室温で1時間置いた後、該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1NのHCl(2x)、炭酸水素ナトリウム(1x)、及びブライン(1x)で洗浄した。酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥させ、(2S,4R)−tert−ブチル−2−((3S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキヘプタン−3−イルカルバモイル)−4−(6−メトキシ−イソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートを得た。MS m/z 571(M+H)、593(M+Na)、569(M−H)、471(M−Boc)。
【0220】
工程2
上記粗化合物に、ジオキサン(10ml)中の4.0M HClを添加した。室温で1時間置いた後、該反応混合物を濃縮及び乾燥して、対応するHCl塩を白色の固体として得た。ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(10:3、13ml)中の上記塩に、(S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチル酪酸(93mg、0.40mmol)、0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(200mg、0.53mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.35ml、2.0mmol)を添加した。室温で1時間置いた後、該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そして1NのHCl(2x)、炭酸水素ナトリウム(1x)、及びブライン(1x)で洗浄した。酢酸エチルの相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして減圧下で蒸発により乾燥させた。MS m/z 683(M+H)、705(M+Na)、681(M−H)。
【0221】
粗生成物を無水ジクロロメタン(10.0mL)に溶解し、そしてデスマーチンペルヨージナン(223mg、0.53mmol)を添加した。室温で2時間攪拌した後、該反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム中の0.26Mのチオ硫酸ナトリウムで滴定し、そして酢酸エチル(3x)で抽出した。一まとめにした酢酸エチル相を飽和炭酸水素ナトリウム(2x)及びブライン(1x)で洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。有機相を濾過し、減圧下で濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(45%酢酸/ヘキサン)で精製して、白色の固体として、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘプタン−3−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド(30)(83.5mg、0.12mmol、収率31%)を得た。H NMR:(DMSO)8.74(d,1H,J=4.8Hz);8.27(d,1H,J=7.2Hz);8.15(d,1H,J=9.2Hz);7.97(d,1H,J=6.0Hz);7.33−7.31(m,2H);7.10−7.08(dd,1H,J=2,8.8Hz);5.96(s,1H);5.94(d,1H,J=9.6Hz);5.71−5.69(m,1H);5.02−4.98(m,1H);4.60(t,1H,J=8.4Hz);4.34−4.22(m,1H);4.23(d,1H,J=9.2Hz);3.91(s,3H);3.90−3.87(m,1H);2.78−2.73(m,1H);2.54−2.51(m,1H);2.17−2.11(m,1H);1.77−1.72(m,1H);1.43−1.33(m,5H);1.20(m,9H);0.95(m,9H);0.88−0.85(m,5H);0.69−0.58(m,4H).MS m/z 681(M+H)、703(M+Na)、680(M−H)。
【0222】
実施例14
【化30】

工程1
3−シクロプロピル−6−メトキシイソキノリン
テトラヒドロフラン(17ml)中の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(1.0g;7.0mmol)にn−BuLi(ヘキサン中1.6M;7.0mmol)を−15℃で滴下して反応させることにより、リチウムテトラメチルピペリジンを調製した。−15℃で15分置いたあと、N−(4−メトキシ−2−メチルベンジリデン)−シクロへキサミド(660mg;2.86mmol)のテトラヒドロフラン(3ml)溶液を滴下して、紫色の溶液を得た。該反応混合物を0℃で20分間保温し、そしてN−メチル−N−メトキシシクロプロパンカルボキサミド(630mg:4.4mmol)のテトラヒドロフラン(2ml)溶液を、0℃で一まとめに添加した。該反応混合物を室温で30分維持し、そして飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した。該溶液をジエチルエーテルで抽出し、そして有機相をブラインで洗浄し、減圧下で乾燥及び濃縮した。
【0223】
前記の残余物を濃縮アンモニア(15ml)に溶解し、酢酸(1ml)で処理し、そして加熱により還流させた。該混合物を水で希釈し、得られた溶液をジエチルエーテルで抽出した。該エーテル抽出物を水及びブリンで洗浄し、そして減圧下で乾燥及び濃縮した。クロマトグラフィー(SiO;4:1ヘキサン/酢酸エチル)により、160mg(28%)の3−シクロプロピル−6−メトキシイソキノリンを得た。1.5gのイミンを使用するプロセスでは、400mg(30%)の3−シクロプロピル−6−メトキシイソキノリンを得た。
【0224】
工程2
1−クロロ−3−シクロプロピル−6−メトキシ−イソキノリン
3−シクロプロピル−6−メトキシイソキノリンをジクロロメタンに溶解して、0℃まで冷却した。この溶液を、m−クロロ過安息香酸(mCPBA;412mg;2.4mmol)のジクロロメタン(8ml)溶液で処理し、更にこの混合物を室温で2時間攪拌した。該反応混合物をジメチルスルフィド(100μL)で滴定し、更に15分間攪拌した。該混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(20ml)で処理し、そして相を分離した。水相をジクロロメタンで抽出し、一まとめにした有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で濃縮し、そしてクロマトグラフィー(SiO;メチレンクロライド中メタノール10%)にかけ、405mg(94%)の3−シクロプロピル−6−メトキシイソキノリンのN−オキシドを得た。
【0225】
前記N−オキシドをジクロロメタン(5ml)中に溶解し、1mlのオキシ塩化リンを添加した。該混合物を還流しながら2時間加熱し、冷却して、氷上に注いだ。該混合物を水酸化アンモニウムで処理してpHを8に整え、得られた溶液を酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、減圧下で脱水及び濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィー(SiO;ヘキサン/酢酸エチル、4:1)で精製して、310mg(全量66%)の1−クロロ−3−シクロプロピル−6−メトキシ−イソキノリンを得た。
【0226】
工程3
(2S,4R)−tert−ブチル4−(3−シクロプロピル−6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−2−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボキシレート
N−BOC−4−ヒドロキシ−L−プロリン(192mg;830μmol)を室温でジメチルスルホキシド(5ml)中に溶解し、そしてカリウムt−ブトキシド(270mg;2.4mmol)を添加した。得られた溶液を室温で1.5時間攪拌し、そして1−クロロ−3−シクロプロピル−6−メトキシイソキノリン(4;192mg;820μmol)を添加した。得られた溶液を一昼夜攪拌し、15mlのクエン酸5%水溶液で希釈し、そして酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、減圧下で乾燥及び濃縮し、375mgのN−BOC−4−ヒドロキシ−L−プロリンの粗アリールエーテルを得た。
【0227】
上記粗アリールエーテルをN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)に溶解し、そして(O−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(O(7アザベンゾトリアゾール 1 イル)1,1,3,3テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU);380mg;830μmol)を添加し、続いて3(S)−アミノ−2−(RS)−ヒドロキシへキサノン酸−N−シクロプロピルカルボキシアミドヒドロクロライド(190mg;830μmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(800μl)を加えた。得られた混合物を一昼夜攪拌し、そして水で希釈した。得られた沈殿を濾過し、水で洗浄し、そして乾燥させ、460mg(93%)の(2S,4R)−tert−ブチル4−(3−シクロプロピル−6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−2−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0228】
工程4
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(3−シクロプロピル−6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イル)ピロリジン−2−カルボキシアミド
【0229】
工程3の化合物を1,4−ジオキサン(2ml)中の4N HCl中に溶解して、室温で1時間攪拌した。該反応混合物を減圧下で濃縮し、残余物をN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)中に溶解した。該溶液を、(S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタン酸(100mg;440μmol)、O(7アザベンゾトリアゾール 1 イル)1,1,3,3テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(200mg;520μmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(800ml)で処理した。該反応混合物を水で希釈し、得られた沈殿を濾過し、水で洗浄し、そして乾燥させて、250mg(80%)の対応する2−ヒドロキシカルボキサミドを得た。該固体をジクロロメタン(20ml)中に溶解し、そして1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン(220mg;660μmol)で処理した。該反応混合物を室温で2時間攪拌した。該溶液をジエチルエーテル(40ml)で希釈し、続いて飽和したチオ硫酸ナトリウム水溶液(10ml)及び10mlの炭酸水素ナトリウム水溶液(10ml)を添加した。該二相混合物を10分間攪拌し、そして相を分離させた。有機相をブラインで洗浄し、減圧下で乾燥及び濃縮した。残余物をクロマトグラフィー(SiO;ヘキサン/酢酸エチル、1:1)で精製し、そして単離された材料をアセトニトリル及び0.01%HCl水溶液から凍結乾燥して、150mg(46%)の(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(3−シクロプロピル−6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イル)ピロリジン−2−カルボキシアミドを得た。Mass Spec (M+Na)705。
【0230】
実施例15
【化31】

工程1
4−アセチル−6−メトキシイソクロマン−1,3−ジオン
文献の手順(Ind. J. Chem. Sec. B, 1986, 25B, 640−643)に従い、2−カルボキシメチル−4−メトキシ安息香酸(1.0g;4.8mmol)を、ピリジン(1.4ml)及び無水酢酸(8.6ml;9.3g;91mmol)の混合物中に溶解し、3時間攪拌した。この過程で固体が形成された。該懸濁物をジエチルエーテルで希釈し、濾過し、該濾過ケーキをジエチルエーテルで洗浄した。905mgの収量(81%)で、4−アセチル−6−メトキシイソクロマン−1,3−ジオンを得た。
【0231】
工程2
6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1(2H)−オン
工程1の環状無水物(405mg;1.73mmol)を水酸化アンモニウム水溶液中に溶解し、還流で1.5時間加熱した。該混合物を室温まで冷まし、固体を濾過し、更に一昼夜乾燥させて、270mg(74%)の6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1(2H)−オンを得た。
【0232】
工程3
1−クロロ−6−メトキシ−3−メチルイソキノリン
工程2のイソキノリンをオキシ塩化リン(2.5ml)中に溶解し、還流で1時間過熱した。過剰のオキシ塩化リンを減圧下で除去し、そして残余物をクロロホルムに溶解した。得られた溶液を、1N水酸化ナトリウム、水及びブラインで洗浄した。減圧下で溶媒を蒸発させて、粗1−クロロ−6−メトキシ−3−メチルイソキノリンを得た。これを、次の工程で直接使用した。
【0233】
工程4
(2S,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸
N−BOC−4−ヒドロキシ−L−プロリン(A;281mg;1.21mmol)を、室温でジメチルスルホキシド(3ml)に溶解し、カリウムt−ブトキシド(270mg;2.4mmol)を添加した。得られた溶液を室温で2時間攪拌し、そして0℃で冷却した。該冷却された溶液に1−クロロ−6−メトキシ−3−メチルイソキノリンのジメチルスルホキシド溶液(3ml)を滴下し、続いてt−BuOKを滴下し、該混合物を室温まで温めた。該溶液を16時間攪拌した。該反応混合物を、5%クエン酸水溶液でpH4まで酸性化した。該溶液を酢酸エチルで抽出し、有機相を水で洗浄し、続いてブラインで洗浄した。有機相を減圧下で濃縮して、(2S,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸を得た。
【0234】
工程5
(2S,4R)−tert−ブチル2−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−4−(6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート
上記反応スキーム14の工程3で記載したように、工程4で生産した化合物(196mg;487μmol)を、3−(S)−アミノ−2−(RS)−ヒドロキシヘキサン酸−N−シクロプロピルカルボキサミドヒドロクロライドと反応させることにより、(2S,4R)−tert−ブチル2−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−4−(6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレートに変換させて、(2S,4R)−tert−ブチル2−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イルカルバモイル)−4−(6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート(210mg;収率77%)を得た。これを、更に精製せずに、次の工程に使用した。
【0235】
工程6
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド
上記のように、工程5において生産した化合物(210mg;368μmol)を、対応するHCl塩に変換した。上記と同じ条件を用いて、(S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタン酸及びO(7アザベンゾトリアゾール 1 イル)1,1,3,3テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)と反応させることにより、該HCl塩をトリペプチドに変換した。そして、上記のように、生産した化合物を、ジクロロメタン中のデスマーチンペルヨージナン試薬を用いて、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドに転換した。クロマトグラフィー(SiO;ヘキサン中45%酢酸エチル)により粗生成物を精製して、85mgの(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド(34%)を得た。Mass Spec (M+)680。
【0236】
実施例16
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド(62)の合成
【化32】

【0237】
工程1
ジクロロメタン(2ml)中で、ジオキサン中の4.0M HClと反応させることにより、(2S,4R)−1−tert−ブチル2−メチル4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(8)(1mmol、反応スキーム8及びWO 2006/043145に記載されるようにして調製される)を、(57)に転換した。1時間後、該反応混合物を蒸発により乾燥させて、(2S,4R)−メチル−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシレートヒドロクロライド(57)を得た。
【0238】
工程2
0.165mmolの(2S,4R)−メチル−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシレートヒドロクロライド(57)を、ジクロロメタン/ジメチルホルムアミド(2.0ml、1:1)中に溶解し、Boc−L−tert−Leu−OH(0.165mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(O(7アザベンゾトリアゾール 1 イル)1,1,3,3テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU))(0.182mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.5mmol)を添加し、そして該混合物を室温で16時間攪拌することにより、(57)を(58)に転換した。該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そして1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム、及びブラインで洗浄し、酢酸エチル相を分離し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、蒸発により乾燥させて、(2S,4R)−メチル1−((S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシレート(58)を単離した。
【0239】
工程3
まず工程2で調製した粗生成物を、ジクロロメタン(2ml)中でジオキサン(3.0ml)中の4.0M HClで処理してt−Boc基を除去し、続いて減圧下で溶媒を蒸発させて、得られた粗生成物を、ジクロロメタン(3.0ml)中で、トリエチルアミン(0.413mmol)及びtert−ブチルイソシアネート(0.165mmol)と室温で16時間反応させることにより、(2S,4R)−メチル1−((S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシレート(58)を(59)に転換した。水性/有機性ワークアップ(ジクロロメタンで希釈し、1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム、及びブラインで洗浄した)し、そして減圧下で蒸発により乾燥させて、(2S,4R)−メチル1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシレート(59)を単離した。
【0240】
メタノール(6.0ml)、テトラヒドロフラン(3.0ml)、及び1N水酸化ナトリウムで、(2S,4R)−メチル1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシレート(59)を、1時間室温で処理することにより、(60)に転換した。水性/有機性ワークアップ(前記反応混合物を濃縮し、1N塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、そして減圧下で蒸発により乾燥させた)することにより、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸(60)を単離した。
【0241】
工程5
ジクロロメタン及びN,N−ジメチルホルムアミド中の0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(1.2mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(4mmol)の存在下で、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸(60)(1mmol)を、(3S)−3−アミノ−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシへキサミド(1mmol、参考Aの如く調製した)とカップリングさせて、水性/有機性抽出ワークアップ(extractive work up)を経て、粗固形物として、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((3S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド(61)を得た。
【0242】
工程6
無水ジクロロメタン中のデスマーチンペルヨージナン(1.2mmol)で(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((3S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド(61)を酸化させて、水性/有機性ワークアップ及び粗生成物のシリカゲルクロマトグラフィー精製を経て、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド(62)を得た。
【0243】
実施例17
同様に、実施例16の手順を経て、出発化合物とした(2S,4R)−tert−ブチル2−メチル4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(39)(反応スキーム9及びWO 2006/043145の記載に従い調製される)を(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド(63)に変換した。
【化33】

【0244】
実施例18
同様に、実施例16の手順を経て、出発化合物とした(2S,4R)−1−tert−ブチル2−メチル4−(2−(1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(45)(反応スキーム10及びWO 2006/043145の記載に従い調製される)を(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド(64)に変換した。
【化34】

【0245】
実施例19
同様に、実施例16の手順を経て、出発化合物とした(2S,4R)−1−tert−ブチル2−メチル4−(5−(ピリジン−2−イル)チエノ[3,2−b]ピリジン−7−イルオキシ)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(33)(反応スキーム7及びWO 2006/043145の記載に従い調製される)を、工程5の(3S)−3−アミノ−4−シクロブチル−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシブタンアミド(参考Bに従い調製される)を用いて、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(5−(ピリジン−2−イル)チエノ[3,2−b]ピリジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド(65)に変換した。
【化35】

【0246】
生物学的実施例
生物学的実施例1
カテプシンBの阻害を判定するのに使用される生化学アッセイプロトコール
式(I)で表される試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、アッセイ緩衝液で希釈した。8点の用量応答曲線を作製して、カテプシンB酵素活性の阻害のIC50を評価した(IC50は、最大酵素活性の50%を阻害する濃度と定義される)。本アッセイプロトコールは、Barrett, 1980に基づく。ヒト肝臓カテプシンBをアッセイ緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、pH5.5、1mMジチオスレイトール(DTT)、2mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)中でインキュベートし、これにペプチド基質(Boc−Leu−Arg−Arg−AMC)と、更にDMSOストックから希釈した前記化合物又はDMSOビヒクルのみのいずれかを加えた。本アッセイにおいて、最終DMSO濃度は1%であった。前記試験化合物を、25℃、15分間、予め前記酵素とインキュベーションした。基質の添加により反応を開始させ、これを25℃で30分間続けた。メチルクーマリルアミド(AMC)の基質の蛍光分光的定量により、基質の開裂をモニタリングした。
【0247】
参照
Barrett AJ (1980). Fluorimetric assays for Cathepsin B and Cathepsin H with methylcoumarylamide substrates. Biochem J. 187:909−912.
【0248】
Canbay A et al. (2003). Cathepsin B inactivation attenuates hepatic injury and fibrosis during cholestasis. J. Clin. Invest. 112: 152−159.
【0249】
Guicciardi ME et al. (2001). Cathepsin B Knockout mice are resistant to tumor necrosis factor−alpha−mediated hepatocyte apoptosis and liver injury. Amer J Pathology 159:2045−2054.
【0250】
Baskin−Bey ES et al. (2005). Cathepsin B inaactivation attenuates hepatocyte apoptosis and liver damage in steatotic livers after cold ischemia−warm reperfusion injury. Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol. 288:G396−G402.
【0251】
結果
【化36】

(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
【0252】
カテプシンB IC50:27nM:
【0253】
【化37】

(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50:56nM:
【0254】
【化38】

(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50:49nM:
【0255】
【化39】

(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50:45nM:
【0256】
【化40】

(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50:28nM:
【0257】
【化41】

(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50:<500nM:
【0258】
【化42】

(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50:32nM:
【0259】
【化43】

(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50:<500nM:
【0260】
【化44】

(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50:33nM:
【0261】
【化45】

(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(5−(ピリジン−2−イル)チエノ[3,2−b]ピリジン−7−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50:86nM:
【0262】
【化46】

(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50:45nM:
【0263】
【化47】

(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50:72nM:
【0264】
【化48】

(2S,4R)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−1−((S)−2−(3−シクロプロピルメチル)ウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50:83nM:
【0265】
【化49】

(2S,4R)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−1−((S)−3,3−ジメチル−2−(3−ネオペンチルウレイド)ブタノイル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
カテプシンB IC50: 61 nM:
【0266】
生物学的実施例2
ヒト細胞中のカテプシンBの阻害を判定するのに使用される生物学的アッセイプロトコール
試験化合物がヒト細胞中で強力なカテプシンB阻害剤として機能することを実証し、そして細胞中のカテプシンB活性を50%阻害するのに必要な濃度(細胞IC50)を決定した。細胞内カテプシンBの活性は、全細胞酵素占有(enzyme occupancy)アッセイにおいて、活性依存的放射性プローブを使用することにより測定した。この方法は、細胞内環境中のカテプシンBに対する化合物の特異的作用を判定するのに使用された。使用されるプローブは、カテプシンBを含むカテプシンと強力に又は不可逆的に結合するジアゾメチルケトンペプチドであった。この細胞浸透性プローブは活性カテプシンBと結合し、そしてこの結合を定量することにより、細胞内のカテプシンB活性のレベルを決定した。阻害剤と結合した細胞内のカテプシンB酵素は活性を有さず、そのため活性依存性プローブが結合し得ない。
【0267】
本方法を使用して、細胞における、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドのIC50は19nMと決定され、そして(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドのIC50は24nMと決定された。アッセイデータを、下記の図に示す。データから、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド及び(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)−キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドが、細胞内環境中で強力なカテプシンB阻害剤であることが示される。また、本データは、インビボでカテプシンBを阻害する治療効果を奏するのに必要な濃度を予測することも可能とする。
【0268】
アッセイ手法
使用される手法は、公知の手法の改変に基づく(Falgueyret J− P, et al. 2004. Anal. Biochem. 335:218−227)。ヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)を、標準的な増殖条件下で24ウェルプレート内で増殖させた。実験当日に、血清を添加せず2% Nutridoma−HUを添加した、無血清培地のHUVEC増殖培地で、細胞を2回洗浄した。細胞を適切に希釈した化合物で処理し、4時間置いた。1つのウェルは、薬剤不添加対照として、無処理のままにされた。この薬物処理を、無血清培地中で行った。
【0269】
試験化合物による4時間のインキュベーションの後、活性依存性プローブを添加した。使用したプローブは、125IとコンジュゲートしたZ−Tyr−Ala−ジアゾメチルケトンで、2000Ci/mmolの特異的活性を有し、125I−DMKと称される。125I−DMKは、ウェルあたり4μlの量が各試料ウェルに添加された。細胞を組織培養インキュベーターに戻し、更に1時間置いた。細胞をPBSで洗浄し、氷冷リシス緩衝液(RIPA等)で可溶化した。ライセートをチューブに移し、等量の1X SDS−PAGEゲル還元試料ローディング緩衝液を添加した。
【0270】
プローブに標識したタンパク質を解析するために、試料を5分間ボイルし、そしてSDS−PAGEにより解析した。14C−メチル化タンパク質分子量マーカーを加えて、分子量を可視化した。ゲルを洗浄し、そしてデステイン(50mlメタノール、50ml酢酸、400ml水)中で、40分間、ローテーティングシェーカー上で静かに固定し、Whatman紙の上に置き、そして真空ゲルドライヤー上で、70Fで2時間乾燥させた。乾燥させたゲルを−80℃でフィルムにあて、オートラジオグラフィーにより処理した。オートラジオグラフ上のバンド強度を判定した。オートラジオグラフを、Microtek ScanMakeri900スキャナーを使用して走査し、BioRadイメージングプログラムのQuantityOne又はImageJ等のプログラムを利用して、バンドを定量した。化合物の強度は、阻害剤不添加の対照に対する%として計算され、そしてIC50値は、用量応答曲線から、GraphPad Prism等の適切なプログラムを使用して推定された。
【0271】
図1は、細胞活性依存性プローブアッセイにおける、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド(化合物1)、及び(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)−キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド(化合物2)の性能を示す。
【0272】
生物学的実施例3
肝線維症の阻害を判定するのに使用される生化学アッセイプロトコール
方法
28日間(0〜28日)、5日おきに四塩化炭素を腹腔内投与して、マウスに肝線維症を誘導した。11日目に、血漿アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のレベルを代表のマウスにおいて測定して、肝臓へのダメージを確認した。
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1− (シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドを、12日目から開始して、毎日、約4週間、治療的に投与した。33日目に、末梢血漿AST及びALT、肝臓ヒドロキシプロリン、PK/PD、並びに組織構造を評価した。
【0273】
結果
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(7−メトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドは、血漿AST及びALT(図2A及び2B)、並びにヒドロキシプロリン(図3)を、評価されたいずれの用量においても(250mg/kg及び50mg/kg)低下させた。
【0274】
医薬組成物の例
式(I)で表される化合物を含む代表的な医薬製剤を、以下に示す。
経口製剤
式(I)で表される化合物 10−100mg
クエン酸モノハイドレート 105mg
水酸化ナトリウム 18mg
調味水 適量、100mL以下
静脈内製剤
式(I)で表される化合物 0.1−10mg
デキストロースモノハイドレート 適量、等張にする
クエン酸モノハイドレート 1.05mg
水酸化ナトリウム 0.18mg
注射用水 適量、1.0mL以下
錠剤製剤
式(I)で表される化合物 1%
微結晶セルロース 73%
ステアリン酸 25%
コロイドシリカ 1%
【0275】
以上の発明は、発明の明確化及び理解のために、解説及び例証により、幾分詳細に記載された。当業者にとって、添付した特許請求の範囲の範囲内で、本発明の変更及び改変がなされ得ることは、明白である。故に、上記の記載は、発明の解説を意図するものであり、限定を意図するものではないことを理解されたい。よって、本発明の範囲は、上記記載を参照して決定されるべきではなく、添付した特許請求の範囲に従い、そして特許請求の範囲が享有する全ての範囲の相当物に沿って決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類においてカテプシンBにより誘導される疾患を処置する方法であり、哺乳類に、治療的に有効な量の式(I):
【化1】

[式中、
Eは、−COCONR、−COCFCONR、−COCFC(O)OR、−COCOR、−COCF、−COR、−COCOOR10、−CONR1112、及び−B(OR13からなる群から選択されるメンバーであり、ここでR、R、R、R、R10、R11、R12及び各R13は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立して選択され、Rは、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、ここでE中の脂肪族、脂環式及び芳香族基は、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アシルアミノ、アミノカルボニル、ハロ、及びシアノから独立して選択される1つ、2つ又は3つのRで任意に置換され、そして更にR中の芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、カルボキシ、及びカルボキシアルキルから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換され;並びに任意で、R及びR、並びにR11及びR12は、窒素と共に互いに連結して5〜7員環を形成し;
は、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキルからなる群から選択されるメンバーであり、ここでRにおける脂肪族、脂環式及び芳香族基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミノカルボニル、ハロ、及びシアノから独立して選択される1つ又は2つのRで任意に置換され、そして更に、Rにおけるいずれかの芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、カルボキシ、及びカルボキシアルキルから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換され;
Xは、−O−、−NR14−、−S−、−SO−、及び−SO−からなる群から選択されるメンバーであり;
は、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキルからなる群から選択されるメンバーであり、ここでRにおけるいずれかの脂肪族、脂環式及び芳香族基は、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミノカルボニル、ハロ、及びシアノから独立して選択される1つ又は2つのRで任意に置換され、そして更に、Rにおけるいずれかの芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボキシ、及びカルボキシアルキルから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換され、
Yは、−C(O)NH−、−OC(O)NH−、−NR14−C(O)NH−、並びに−NR14C(O)O−からなる群から選択されるメンバーであり、各R14は、水素及びアルキルから選択され、ここでアルキルは、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルで任意に置換され、そして各アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、ハロ及びアルキルから選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換され;
は、ヘテロアリール及び−CO−(縮合(fused)ヘテロシクリル)からなる群から選択され、ここで該ヘテロアリール及び縮合ヘテロシクリル環は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルチオ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、アリール、アラルキル、アリールスルホニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルスルホニル、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、アミノ、一置換アミノ、及び二置換アミノから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのRで任意に置換され、又は2つのRが隣接する炭素原子上にあるとき、それらは該炭素原子と共に連結して、窒素、酸素、硫黄、及び−SO−から選択される1つ又は2つのヘテロ原子を含む、4、5又は6員ヘテロシクリル環を形成し、ここで該ヘテロシクリル環は、1つ又は2つのアルキルで任意に置換され;そして更に、Rにおけるいずれかの芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルコキシカルボニルアミノ、シクロアルキルアルキルオキシカルボニルアミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、及びウレイドから独立して選択される1つ、2つ又は3つのRで任意に置換され、ここでRにおけるシクロアルキル及びシクロアルキルアルキルは、1つ、2つ又は3つのアルキルで任意に置換され;並びに
は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;ここでRにおけるいずれかの芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、アリール、アラルキル、アリールスルホニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルスルホニル、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、一置換アミノ、及び二置換アミノから独立して選択される1つ、2つ又は3つのRで任意に選択され、ここでRにおけるいずれかの芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、一置換アミノ、二置換アミノ、及びアシルアミノから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換される]
で表される化合物;あるいはその医薬として許容される塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記Xが酸素で、Rがヘテロアリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Rが、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1つ、2つ又は3つのヘテロ原子を含む、9又は10員の二環式ヘテロアリール基である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記9又は10員の二環式ヘテロアリール基が、アルキル、アルコキシ、ハロ、及び単環式ヘテロアリールからなる群から選択される1つ、2つ又は3つの基で任意に置換される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記Eが−C(O)C(O)NRである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記Rが水素であり、Rがアルキル又はシクロアルキルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記Rがシクロプロピル又はシクロブチルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
が水素、アルキル、シクロアルキル、及びシクロアルキルアルキルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記Rが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、及びシクロブチルメチルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記Rが、水素、アルキル、シクロアルキル、及びシクロアルキルアルキルであり、並びにRが、アルキル、シクロアルキル、及びシクロアルキルアルキルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記Rが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、及びtert−ブチルであり、Rが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、及びシクロブチルメチルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記Yが−NR14C(O)NH−であり、そしてRがアルキル又はシクロアルキルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記R及びRのいずれもtert−ブチルであり、そしてR14が水素である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記Rが、アルコキシ及びヘテロアリールで任意に置換されたキノリル又はイソキノリルである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記Rが、メトキシ及びピラゾリルで置換されたキノリル又はイソキノリルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記式(I)で表される化合物が:
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−エトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘプタン−3−イル)−4−(6−メトキシイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(6−メトキシ−3−メチルイソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(5−(ピリジン−2−イル)チエノ[3,2−b]ピリジン−7−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(ピリジン−2−イル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(2−(1,3−ジメチル1Η−ピラゾール−5−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;
(2S,4R)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−1−((S)−2−(3−シクロプロピルメチル)ウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド;及び
(2S,4R)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−1−((S)−3,3−ジメチル2−(3− ネオペンチルウレイド)ブタノイル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記式(I)で表される化合物が、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記式(I)で表される化合物が、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記カテプシンBにより誘導される疾患が、アルツハイマー症、関節炎、筋ジストロフィー、炎症、糸球体腎炎、歯周病、異染性白質ジストロフィー、腫瘍浸潤、転移、慢性及び急性膵炎、炎症性気道疾患、骨粗鬆症、変形性関節症、関節リウマチ、乾癬、線維症、HCV関連性肝線維症、脂肪変性、非アルコール性脂肪性肝炎、アルコール関連性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患、肺線維症、特発性肺線維症、腎線維症、心臓線維症(cardiac fibrosis)、網膜血管新生、眼球内の線維症/グリオーシス、硬皮症、及び全身性硬化症からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記カテプシンBにより誘導される疾患が線維性疾患である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記線維性疾患が肝線維症である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記肝線維症がHCVに関連する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
哺乳類においてHCV及び線維症の両方を罹患しているものと診断された対象を処置する方法であり、該哺乳類に、HCV及び線維症の両方を処置するのに適した、有効量の式(I)
【化2】

[式中、
Eは、−COCONR、−COCFCONR、−COCFC(O)OR、−COCOR、−COCF、−COR、−COCOOR10、−CONR1112、及び−B(OR13からなる群から選択されるメンバーであり、ここでR、R、R、R、R10、R11、R12及び各R13は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立して選択され、Rは、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、ここでE中の脂肪族、脂環式及び芳香族基は、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アシルアミノ、アミノカルボニル、ハロ、及びシアノから独立して選択される1つ、2つ又は3つのRで任意に置換され、そして更にR中の芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、カルボキシ、及びカルボキシアルキルから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換され;並びに任意で、R及びR、並びにR11及びR12は、窒素と共に互いに連結して5〜7員環を形成し;
は、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキルからなる群から選択されるメンバーであり、ここでRにおける脂肪族、脂環式及び芳香族基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミノカルボニル、ハロ、及びシアノから独立して選択される1つ又は2つのRで任意に置換され、そして更に、Rにおけるいずれかの芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、カルボキシ、及びカルボキシアルキルから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換され;
Xは、−O−、−NR14−、−S−、−SO−、及び−SO−からなる群から選択されるメンバーであり;
は、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキルからなる群から選択されるメンバーであり、ここでRにおけるいずれかの脂肪族、脂環式及び芳香族基は、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アシルアミノ、アミノカルボニル、ハロ、及びシアノから独立して選択される1つ又は2つのRで任意に置換され、そして更に、Rにおけるいずれかの芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボキシ、及びカルボキシアルキルから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換され、
Yは、−C(O)NH−、−OC(O)NH−、−NR14−C(O)NH−、並びに−NR14C(O)O−からなる群から選択されるメンバーであり、各R14は、水素及びアルキルから選択され、ここでアルキルは、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルで任意に置換され、そして各アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、ハロ及びアルキルから選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換され;
は、ヘテロアリール及び−CO−(縮合ヘテロシクリル)からなる群から選択され、ここで該ヘテロアリール及び縮合ヘテロシクリル環は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルチオ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、アリール、アラルキル、アリールスルホニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルスルホニル、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、アミノ、一置換アミノ、及び二置換アミノから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのRで任意に置換され、又は2つのRが隣接する炭素原子上にあるとき、それらは該炭素原子と共に連結して、窒素、酸素、硫黄、及び−SO−から選択される1つ又は2つのヘテロ原子を含む、4、5又は6員ヘテロシクリル環を形成し、ここで該ヘテロシクリル環は、1つ又は2つのアルキルで任意に置換され;そして更に、Rにおけるいずれかの芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルコキシカルボニルアミノ、シクロアルキルアルキルオキシカルボニルアミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、及びウレイドから独立して選択される1つ、2つ又は3つのRで任意に置換され、ここでRにおけるシクロアルキル及びシクロアルキルアルキルは、1つ、2つ又は3つのアルキルで任意に置換され;並びに
は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;ここでRにおけるいずれかの芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、アリール、アラルキル、アリールスルホニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノスルホニル、アミノカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルスルホニル、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、一置換アミノ、及び二置換アミノから独立して選択される1つ、2つ又は3つのRで任意に選択され、ここでRにおけるいずれかの芳香環又は脂環式環は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、一置換アミノ、二置換アミノ、及びアシルアミノから独立して選択される1つ、2つ又は3つの置換基で任意に置換される]
で表される化合物、又はその医薬として許容される塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項24】
前記線維症が肝線維症である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、HCV及び肝線維症の両方を罹患しているものと断定的に(affirmatively)診断される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が、HCV及び肝線維症の両方を罹患する恐れがある、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記式(I)で表される化合物が、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソヘキサン−3−イル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド又は(2S,4R)−1−((S)−2−(3−tert−ブチルウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−4−(7−メトキシ2−(1H−ピラゾール−1−イル)キノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドである、請求項23に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2011−511089(P2011−511089A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545997(P2010−545997)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/033229
【国際公開番号】WO2009/100225
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(508002612)ビロベイ,インコーポレイティド (7)
【Fターム(参考)】