説明

カテーテル固定システム

【課題】アダプタのリテイナの配置または使用方法に注意を要さずに、アダプタをリテイナへ押し込むだけで、アダプタをリテイナに係合することができるカテーテル固定システムを提供する。
【解決手段】固定システムは、少なくとも1つの凹部を有するアダプタ22を備えるカテーテル14とともに用いるために提供される。固定システムはアダプタを受け取るためのリテイナ20を備える。リテイナは、長手方向軸線を中心にリテイナを延びるチャネルを有する。チャネルは、アダプタの少なくとも一部分をスナップ嵌合するような方法で受け取るように構成される。リテイナの少なくとも1つの突起部は、長手方向軸線にほぼ垂直な方向にチャネルを延びる。突起部の長手方向長さは、アダプタの凹部の長手方向長さと実質的に等しい程度の寸法である。リテイナの突起部とアダプタの凹部との間が協働することにより、アダプタがリテイナに対して長手方向に動かなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的な経皮カテーテルシステムに関し、特に、体内留置カテーテルを相互にしっかりと管に連結し、また患者の皮膚にこのようにしっかりと相互に固定するカテーテル固定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者の治療には、血流または、患者の特定の器官または体内の位置へ流体を直接案内するために、または、患者の生命維持機能をモニターするために、経皮挿入されたカテーテルを使用することが含まれるのが一般的である。例えば、動脈内カテーテルは、患者の血流へ体及び/または薬剤を直接導入するために使用するのが一般的である。硬膜外カテーテルは、患者の特定部位を麻酔するために硬膜外の場所へ麻酔を導入するために使用するのが一般的である。血管内カテーテルは、動脈血圧をモニターするために使用するのが一般的である。
【0003】
流体(例えば、非経口流体状薬、非経口薬剤、または非経口麻酔薬)は、患者の上方に配置された容器から流出するのが典型的である。流体は、チューブの中から留置カテーテルへ流れる。カテーテルチューブ及び流体チューブは、米国特許第4,224,937号明細書に記載の種類のような従来のルア型コネクタにより、取り外し可能に取り付けられるのが一般的である。
【0004】
一般的な実施の際には、例えば、看護人または医者などの治療者(記述を簡略化するために、本明細書で使う「看護人」という語は、治療者のことを意味するもので、意味を限定するものではない)は、患者の皮膚の定位置にカテーテルを維持するために、粘着テープまたは外科用テープを使用する。チューブとカテーテル間の接続は、テープを利用することにより同様に維持される。
【0005】
看護人は、チューブにかかる種々の張力が、直接カテーテルカニューレに伝わらないようにというよりは、むしろ安全ループの緩んだ部分により吸収されるように、チューブの安全ループも形成することができる。看護人は、そのループを患者の皮膚に緩くテープで留めるのが典型的である。
【0006】
このように全体的にテープで留める処置には、看護人にとって貴重な数分間という時間がかかってしまう。さらに、大抵の看護人にとって、手袋をはめたままでは、このようなテーピング処置を行うことは面倒で難しいので、テープで留める際に手袋を外すのが一般的である。
【0007】
カテーテルによる処置では、カテーテルと流体供給チューブを外す必要がある場合が多い。例えば、静脈カテーテルは、患者の容態によるものの数日間持続して行うことが多い。カテーテルチューブは、流体の無菌状態とチューブの中の流体の滞りのない流れを維持するために、24から48時間ごとに交換するのが一般的である。従って、看護人は、チューブを頻繁に交換し、接続部を再度テープで留めなければならない。その上、患者の皮膚にカテーテルを固定するテープは、カニューレの挿入地点を覆ってしまうことがよくある。看護人は、炎症または感染症が起こらないように、挿入地点を調べて、テープを取り除き、次に上記のテーピング処置を繰り返さなければならない。
【0008】
このように、留置カテーテルに多量の外科テープを用いることに、貴重な時間が多く浪費されてしまう。さらに、外科テープを頻繁に張ったり剥がしたりすることにより、挿入領域の患者の皮膚が荒れてしまう結果となるのが、一般的である。
【0009】
カテーテルシステムの固定法を改善し、外科テープを頻繁に着脱する必要のない、多くのカテーテルシステムが、最近開発されてきた。このようなシステムの1つが、本出願人に対して発行された米国特許第5,192,273号明細書に開示されている。
【0010】
米国特許第5,192,273号明細書は、カテーテルを流体供給チューブに相互連結するアダプタを開示している。アダプタは、粘着パッドにより、患者の皮膚に取り付けられた基部にはまり込む。特に、看護人は、基部の直立脚部にアダプタを押しつける。アダプタの脚部のつめ部は、アダプタ本体の対応する環状溝に滑り込み、アダプタを基部に保持する。
【特許文献1】米国特許第5,192,273号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
米国特許第5,192,273号明細書に開示されているカテーテルシステムにおいては、基部は、アダプタを定位置にしっかりと保持するが、看護人は、アダプタの環状溝を基部のつめ部に対して配置し一直線に並べるのが難しいという問題があった。また、緊急事態では、アダプタを正確に基部に配置するのがさらに難しくなってしまうという問題があった。さらに、看護人及び治療者の中には、カテーテルアダプタを基部にうまく係合させられない人がいる場合もある。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、アダプタのリテイナの配置または使用方法に注意を要さずに、看護人が、リテイナのほぼ上方にカテーテルアダプタを大雑把に配置し、アダプタをリテイナへ押し込むだけで、アダプタをリテイナに係合することができるカテーテル固定システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、アダプタから突出する側面部材を有する該アダプタを備えるカテーテルと、長手方向軸線を中心に延びる第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、前記長手方向軸線にほぼ垂直に延び、前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分との間に配置される少なくとも1つの横方向スロットとを有するリテイナとを備え、各チャネル部分には、前記長手方向軸線に沿った開口部が形成されており、各チャネル部分は、前記長手方向軸線を中心とする180°より大きい円弧状部分で、前記アダプタの少なくとも一部分を囲むような大きさであり、前記第1のチャネル部分と第2のチャネル部分のうち少なくとも1つの一部分は、ほぼ円錐形状であり、前記スロットの長手方向長さは、前記アダプタの側面部材の大きさと実質的に等しく、また前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分の長手方向長さを結合した長さより短いような寸法であるため、前記横方向スロット内に前記側面部材を配置することにより、前記リテイナ内で前記アダプタを横方向に安定させることが可能であり、前記アダプタの外径形状の少なくとも一部は、前記第1のチャネル部分又は前記第2のチャネル部分が有する円錐形状とほぼ同一の円錐形状であることを特徴とするカテーテルシステムにより達成される。
【0014】
また、このカテーテルシステムにおいて、前記アダプタは円錐形のハブを備えることが好ましい。
【0015】
また、前記アダプタの側面部材は、前記アダプタの一部分を囲む環状カラーを備えることが好ましい。
【0016】
また、前記アダプタの側面部材は、前記長手方向軸線にほぼ垂直に延びることが好ましい。
【0017】
また、前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分のそれぞれは、前記リテイナの外面に開口することが好ましい。
【0018】
また、さらに、底側粘着面と、前記リテイナが装着される上面とを有する可撓性のある固定パッドを備え、前記リテイナは、前記チャネル部分の前記開口部を露出するように配置されることが好ましい。
【0019】
また、前記リテイナは、前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分との間に配置された少なくとも2つの横方向スロットを備え、各横方向スロットは、カテーテルが長手方向に動かないように、前記アダプタの側面部材の少なくとも一部分を受け取るような大きさであり、前記横方向スロットは、前記側面部材を挿入する前記長手方向の複数の位置にあるように、長手方向軸線に沿って互いに隣接して配置されることが好ましい。
【0020】
また、各前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分は、前記各チャネル部分により受け取られる前記アダプタの対応する部分の形状とほぼ適合する曲率半径の、ほぼ弓形であることが好ましい。
【0021】
また、前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分のそれぞれの少なくとも一部分は、ほぼ円錐形であることが好ましい。
【0022】
また、前記第1のチャネル部分の最小曲率半径は、前記第2のチャネル部分の最大曲率半径より大きいことが好ましい。
【0023】
また、本発明の上記目的は、また、アダプタから離れる方向に延びる突出部材を有する該アダプタを備えるカテーテルとともに用いるための固定システムであって、前記固定システムは、長手方向軸線を中心に延びる第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、前記長手方向軸線にほぼ垂直に延び、前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分との間に配置された少なくとも1つの横方向スロットとを有するリテイナを備え、各チャネル部分には、前記長手方向軸線に沿った開口部が形成されており、各チャネル部分は、前記長手方向軸線を中心に180°より大きい円弧状部分で、前記アダプタの少なくとも一部分を囲むような大きさであり、前記第1のチャネル部分と第2のチャネル部分のうちの少なくとも1つの一部分は、ほぼ円錐形状であり、前記スロットの長手方向長さは、前記アダプタの前記突出部材の大きさと実質的に等しく、また前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分の長手方向長さを結合した長さより短いような寸法であるので、前記横方向スロット内に前記突出部材を配置することにより、前記リテイナ内で前記アダプタを横方向に安定させることが可能であり、前記アダプタの外径形状の少なくとも一部は、前記第1のチャネル部分又は前記第2のチャネル部分が有する円錐形状とほぼ同一の円錐形状であることを特徴とする固定システムにより達成される。
【0024】
また、この固定システムにおいて、前記リテイナは、前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分との間に配置される少なくとも2つの横方向スロットを備え、各横方向スロットは、前記カテーテルが長手方向に動かないように、前記アダプタの前記突出部材を受け取るような大きさであり、前記横方向スロットは、前記突出部材を挿入する長手方向の複数の位置に配置されることが好ましい。
【0025】
また、各前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分とは、ほぼ弓形であることが好ましい。
【0026】
また、前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分のそれぞれの少なくとも一部分は、ほぼ円錐形であることが好ましい。
【0027】
また、前記第1のチャネル部分の最小曲率半径は、前記第2のチャネルの最大曲率半径より大きいことが好ましい。
【0028】
また、前記チャネル部分はともに一方の側に沿ってほぼ円錐形状を画定することが好ましい。
【0029】
また、前記アダプタの対応する部分を受け取るように構成される各チャネル部分と、前記カテーテルが長手方向に動くのを防ぐために、前記アダプタの突出部材を受け取るような寸法である各前記少なくとも1つの横方向スロットとを備え、前記横方向スロットは、前記突出部材を挿入するための前記長手方向の複数の位置を提供するように、前記長手方向軸線に沿って互いに隣接して配置されることが好ましい。
【0030】
また、底側粘着面と前記リテイナが装着される上面とを有する可撓性のある固定パッドをさらに備え、前記リテイナは、前記チャネル部分に開口部を露出するように配置されていることが好ましい。
【0031】
また、各前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分とは、一方の側に沿ってほぼ円錐形状であることが好ましい。
【0032】
また、前記カテーテルは、少なくとも1つの凹部を有するアダプタを備え、前記リテイナのチャネルは、前記アダプタの少なくとも一部分をスナップ嵌合するような方法で受け取るように構成され、前記リテイナは、前記チャネル内へ突出する少なくとも1つの突起部をさらに備え、前記突起部は、前記アダプタの凹部の長手方向長さと実質的に等しいような寸法の長手方向長さを有することが好ましい。
【0033】
また、前記突起部は、前記長手方向軸線を中心に前記チャネルの円弧部分の中を延びていることが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、アダプタのリテイナの配置または使用方法に注意を要さずに、看護人が、リテイナのほぼ上方にカテーテルアダプタを大雑把に配置し、アダプタをリテイナへ押し込むだけで、アダプタをリテイナに係合することができるカテーテル固定システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の一態様によれば、固定システムは、少なくとも1つの凹部を有するアダプタを備えるカテーテルとともに用いるために提供される。固定システムはアダプタを受け取るためのリテイナを備える。リテイナは、長手方向軸線を中心にリテイナを延びるチャネルを有する。チャネルは、アダプタの少なくとも一部分をスナップ嵌合するような方法で受け取るように構成される。リテイナの少なくとも1つの突起部は、長手方向軸線にほぼ垂直な方向にチャネルを延びる。突起部の長手方向長さは、アダプタの凹部の長手方向長さと実質的に等しい程度の寸法である。リテイナの突起部とアダプタの凹部との間が協働することにより、アダプタがリテイナに対して長手方向に動かなくなる。
【0036】
本発明の他の態様によれば、固定システムは、リテイナと固定パッドとを備える。リテイナは、長手方向軸線を中心にリテイナを延びるチャネルを備える。チャネルは、アダプタの少なくとも一部分をスナップ嵌合するような方法で受け取るように構成される。リテイナの少なくとも1つの突起部は、長手方向軸線にほぼ垂直な方向でチャネルに延びる。突起部の長手方向長さは、アダプタの凹部の長手方向長さと実質的に等しい寸法である。リテイナの突起部とアダプタの凹部との間が協働することにより、リテイナに対してアダプタが長手方向に動かないようになる。固定パッドは、患者の皮膚に接着可能な底側粘着面と、リテイナに接着可能な上面とを有する。
【0037】
本発明のさらに他の態様によれば、固定システムは、アダプタを備えたカテーテルとともに用いるために提供される。アダプタは、嵌合部から突出した放射状に延びる部材を有している。固定システムは、第1チャネル部分及び第2チャネル部分を有するリテイナを備える。チャネル部分は、長手方向軸線を中心に延びており、各チャネル部分は、カテーテル嵌合部の対応部分を受け取るように、構成される。複数の横方向スロットが、チャネル部分の間に配置される。各横方向スロットは、カテーテルが長手方向に動かないように、カテーテル嵌合部の放射状に延びる部材を受け取るような寸法である。さらに、横方向スロットは、カテーテル嵌合部をリテイナ内に配置する際に、カテーテル嵌合部の放射状に延びる部材を挿入するための長手方向の複数の位置に配置されるように、長手方向軸線に沿って、互いに隣接して配置される。
【0038】
本発明の他の態様は、カテーテルとカテーテルを患者に固定するためのリテイナとを備えるカテーテルシステムを含む。カテーテルは、嵌合部から突出する放射状に延びる部材を有する嵌合部を備える。 リテイナは、長手方向軸線を中心に延びる第1のチャネル部分と第2のチャネル部分とを備える。各チャネル部分の断面は、長手方向軸線に沿った開口部を有するほぼ台形断面形状である。さらに、各チャネルは、長手方向軸線を中心とした180°より大きい円弧部分で嵌合部の少なくとも一部分を囲むような大きさである。リテイナの少なくとも1つの横方向スロットは、長手方向軸線にほぼ垂直に延びており、第1のチャネルと第2のチャネルとの間に位置している。スロットの長手方向長さは、一般に、カテーテル嵌合部の放射状に延びる部材の厚さと実質的に等しく、また第1のチャネル部分と第2のチャネル部分を結合した長手方向長さより短い寸法である。チャネル部分とスロットとの間のこのような寸法の関係により、放射状に延びる部材をリテイナの横方向スロット内に配置する際、カテーテル嵌合部を横方向に安定させることができる。
【0039】
本発明の他の態様によれば、カテーテル固定システムは、カテーテルアダプタと、リテイナと、患者の皮膚に接着しリテイナを支持するベースパッドとを備える。カテーテルのアダプタは、放射状に延びる支持アームに接続されたチューブ状本体を備える。次に、支持アームを、チューブ状本体に対して旋回するクリップに接続する。
【0040】
リテイナは、一対の対向する長手方向壁を備える。各壁は、連続したスロットを画定する。各スロットは、カテーテルアダプタの支持アームの一部分がスロットを延びるような大きさである。スロットにより、支持アームがリテイナの長手方向にほぼ平行な方向には動かない。
【0041】
さらに、リテイナは、長手方向軸線にほぼ平行な軸線を中心にリテイナを延びる中央チャネルを備える。チャネルは、対向する長手方向壁の間に配置され、その断面は円錐台形である。中央チャネルは、その断面において、約180°より大きい角度でチューブ状本体を囲むような大きさである。
【0042】
固定システムは、さらに、チューブの一部分を受け取るように構成されたチューブクリップを備える。固定システムには、さらに、アダプタによりチューブに接続されたマイクロ孔チューブを固定するための複数のリテイナを有するS型クリップを備えることができる。
【0043】
本発明のさらに他の態様は、患者の体腔内に留置カテーテルを固定するための、及び留置カテーテルをチューブと相互連結するための、カテーテル固定システムを提供する。カテーテル固定システムは、末端部と近接部との間に画定されるほぼチューブ状の本体を有するカテーテルアダプタを備える。末端部は、カテーテルの近接端部を係合するように構成され、また、供給チューブの末端部に連結するように構成される。カテーテルアダプタは、さらに、チューブ状本体の外側表面から放射方向に突出する放射状に延びる部材を備える。
【0044】
カテーテル固定システムのリテイナは、アダプタのチューブ状本体をスナップ嵌合する方法で受け取るように構成された長手方向チャネルを備える。リテイナは、さらに、アダプタがチャネル内に配置されると、アダプタの放射状に延びる部材を捕捉するような大きさの複数の横方向スロットまたは突起部を備える。スロットは、リテイナの対向する長手方向壁で互いに隣接する複数の間隙部を横方向に配置するなど、種々のやり方で形成することができる。突起部は、リテイナの対向する長手方向壁から横方向に、互いに隣接する複数の突起部を配置し、突起部をチャネルへ突出させるなど、同様に種々のやり方で形成することができる。リテイナにより、スロットのうちの1つが係合すると、アダプタは長手方向に摺動しない。
【0045】
好ましい実施形態において、放射状に延びる部材は、クリップをチューブ状本体へ接続する支持アームを備える。他の好ましい実施形態において、放射状に延びる部材は、チューブ状本体を囲む環状カラーを備える。
【0046】
患者に留置カテーテル/チューブの相互連結部を固定する好ましい方法によれば、アダプタは、凹部を有するほぼチューブ状の本体を有する。さらに、固定パッドは、粘着裏を備える。固定パッドは、アダプタを受け取るように構成されたリテイナを支持しており、連続した横方向の突起部を有する。留置カテーテル近傍の患者の皮膚に固定パッドを接着する。アダプタの凹部を連続した突起部の上方に配置する。リテイナは、アダプタを受け取るのに十分な大きさになるまでチャネルを開くようにたわみ、アダプタがチャネルに挿入される。凹部は、突起部のうちの1つの少なくとも一部分の近傍に挿入される。次に、リテイナにより、チューブ状本体がリテイナ内で捕捉されるように、たわみのない位置まではね変えることができる。
【0047】
本発明のこれらの及び他の特徴を、好ましい実施形態について、本発明を限定しないように図示することを意図した図面を参照しながら、記述していく。
【0048】
図1は、本発明によるカテーテル固定システム10を斜め方向から見たところを図示するものである。
【0049】
固定システム10は、チューブ12(例えば、流体供給チューブ)を体内留置カテーテル14にしっかりと接続し、カテーテル14を所望の留置位置に維持する。固定システム10は、カテーテル14にそして患者に迅速に取り付けるように設計されているので、固定システム10の構成要素を正確に配列または配置する必要がない。
【0050】
さらに、カテーテルシステムをしっかりと固定することにより、外科用テープが不要となる。大抵のカテーテル法では、固定システムを一回限り患者に装着する。静脈カテーテル法では、流体供給チューブ12は、24から48時間ごとに交換することができるが、患者に装着した固定システムの構成要素10は、定位置のままである。従って、何度も、外科用テープをあてがい患者の皮膚から剥がす必要がない。
【0051】
カテーテル固定システム10は、主に、使用時に患者の皮膚に接着する粘着底面18を有する可撓性のあるパッド16を備えている。パッド16はリテイナ20を支持している。リテイナ20は、体内留置カテーテル14のハブ30と、流体供給容器(図示せず)に接続された流体供給チューブ12とを相互に連結するカテーテルアダプタ22を受け取り定位置に固定するように構成されている。この容器は、重力給送または圧力給送のいずれかにより患者に投与される流体を保持している。チューブ12への流体流を調整するために、クランプ(図示せず)を用いることができる。パッド16は、チューブ12の一部分を保持するために用いるチューブクリップ24を支持することもできる。
【0052】
図1は、(二点鎖線で図示した)患者の手の甲に配置されたカテーテル固定システムを図示するものであるが、本発明は、患者の身体の他の場所におけるカテーテル法に用いることができる。例えば、固定システムは、橈骨動脈に関して手首の内側で用いることができる。以下に詳細に述べるように、固定システム10は、硬膜外カテーテル法にも用いることができ、例えば患者の前胴部または後胴部に配置することができる。
【0053】
図1には、以下の説明を分かりやすくするために、カテーテル固定システム10に対して、長手方向軸線、横断方向軸線、及び横方向軸線を図示している。さらに、ここで用いたような、「長手方向」とは、長手方向軸線に実質的に平行な方向を指す。「横方向」及び「横断方向」は、横方向軸線と横断方向軸線にそれぞれ関連している。また、「近接の」と「末端の」というのは、チューブ12(図1を参照)に取り付けられている流体供給容器に対する近接さに関連している。ここで、カテーテル固定システム10の別個の構成要素について、詳細に述べる。
【0054】
カテーテルアダプタ
図1は、カテーテル14に相互に連結したカテーテルアダプタ22を図示し、図2は、カテーテル14の連結を解除したカテーテルアダプタ22を図示する。これらの図は、米国特許第5,193,273号明細書に開示されているような型のアダプタ22を図示するが、他の型のアダプタを同様に本カテーテル固定システムにとともに用いることができる。例えば、カテーテルアダプタ22は、図11により図示し以下に説明する型のようなルア型のカテーテルアダプタ、または図14により図示し以下に説明する型のようなルアロック型カテーテルアダプタ22とすることができる。当業者であれば、本カテーテル固定システム10とともに用いられる、固定システム10の特定の実施形態(例えば、静脈、動脈、硬膜外、末梢など)により異なるカテーテルアダプタ22の型を容易に選択できるだろう。
【0055】
図2に最もよく図示されているように、アダプタ22は、末端部26と近接端部28との間に画定されるチューブ状本体25を備えている。近接端部28は、チューブ12の端部を受け取るように適合される。典型的な実施形態では、流体供給チューブの少なくとも一部分は、本体の近接端部28に常時取り付けられている。それから、図2に示すように、チューブの近接端部は、流体供給ライン12へ接続するような標準的なルア型のコネクタ29を備えることができる。
【0056】
末端部26は、カテーテル14の隣接ハブ30(図1を参照)または種々のルア型のコネクタを係合するように構成される。図2は、標準的なルア型のカテーテルハブ30を係合するように円錐形状であるように構成されたアダプタ22の末端部を図示しているが、末端部26は、例えば、タフィボーストアダプタなど、他の型のカテーテルコネクタを係合するように同様に構成することができるだろう。
【0057】
支持アーム32は、カンティレバー式にチューブ状本体25から外側方向に延びている。支持アーム32は、アーム32の放射方向外側で、ほぼ平行に延びチューブ状本体25の長手方向軸線から一定の間隔をおいて配置されたクリップ支持要素(図示せず)を支持している。
【0058】
図2は、さらに、カテーテルアダプタのクリップ34を図示している。クリップ34は、クリップ支持要素に取り付けられ、長手方向に滑動する。クリップ34は、カテーテルハブ30の外側表面を係合するようにほぼフォーク状の形状をした末端ラッチ36を、ハブカラー38(図1を参照)の端部に備え、カテーテルハブ30にアダプタ22をしっかり取り付ける。
【0059】
クリップ支持要素とクリップ34との間の内部係合構造(図示せず)により、クリップ34は、近接方向には摺動可能であるが、末端方向には摺動不可能である。内部係合要素は、クリップ支持要素の上面に配置された連続したつめ歯部(図示せず)と、クリップ34に形成されたつめ部(図示せず)とを備えるのが望ましい。米国特許第5,193,273号明細書に詳細に記述されているように、つめ部は、カンティレバー式にクリップ34から延びており、クリップが末端へ動かないようにつめ歯部に係合している。
【0060】
チューブ状本体25、アーム32、及びクリップ支持要素は、総じて硬いが幾分弾力性があるように、例えば透明なポリカーボネートなどの成形されたプラスチックから一体的に形成するのが好ましい。支持アーム32は、曲がる程度の弾力性があるのが望ましい。クリップ34の近接端部をチューブ状本体25へ押し下げることにより、クリップ34のラッチ36がチューブ状本体25から離れる方向に動く。このように、クリップ34は、チューブ状本体25を中心に旋回する。
【0061】
再度図2を参照すると、クリップ支持要素は、クリップ支持要素の内側表面42に配置され、クリップ34の近接端部に直近の突起部40を備えるのが望ましい。突起部は、支持アームから距離L分の間隔を置いて配置されている。以下に詳細に述べるように、突起部40により、クリップ34は、リテイナ20により固定される際に軸旋回しない。また、米国特許第5,193,273号明細書に詳細に説明されるように、突起部40は、支持アーム32のたわみ程度を、疲労を低減させるように制限する。
【0062】
カテーテルアダプタのリテイナ
図3から5はリテイナ20を図示している。リテイナ20は、ほぼ平行なパイプ状であり、一対の対向する長手方向壁46の間に配置された中央チャネル44を画定する。中央チャネル44は、リテイナの長手方向軸線にほぼ平行な軸線に沿ってリテイナ20を延びている。
【0063】
図4に最もよく図示されているように、中央チャネル44は、上方開口部47を有するほぼU字形のチャネルを形成するように上端部で先端が切り取られた、ほぼ円形の断面形状である。中央チャネル44は、カテーテルアダプタ22のチューブ状本体25を受け取るような大きさの直径を有している。好ましい実施形態において、中央チャネル44の直径は、チューブ状本体25の直径と、ほぼ一致するかまたは若干大きい。
【0064】
断面では、中央チャネル44は、開口部47の横断長さが中央チャネル44の直径未満であるように、チャネル軸線を中心に180°より大きい角度の円弧部分を延びている。典型的な実施形態において、中央チャネル44は、チャネル軸線を中心に約200°の円弧部分を延びている。
【0065】
図5は、チャネル軸線を図示したものであり、チャネル軸線はリテイナ20の基部表面48に対して傾斜しているのが望ましい。基部表面とチャネル軸線との間に形成される刺入角θは、45°未満である。刺入角θは、0°と30°との間であるのが望ましい。静脈に用いる典型的な実施形態において、角度θは、約7°であるのが好ましい。動脈に用いる他の典型的な実施形態では、刺入角θは約22°であるのが好ましい。別の典型的な実施形態では、末梢挿入中央カテーテル(PICC)に関しては、刺入角θは約0°であるのが好ましい。
【0066】
長手方向壁46は、相互に実質的に同一である。各壁46は支持アーム32より小さい、横方向に測定した厚さを有している。チューブ状本体25が中央チャネル44に挿入されると、壁46はチューブ状本体25とクリップ34との間にはさまれる。各壁46の長手方向に計測された長さは、リテイナ20の長さと同一であるのが好ましい。
【0067】
各壁46は、連続した均一のスロット50を備えている。この連続したスロットは、少なくとも2個のスロット50を含むが、スロット50は20個を超えない。さらに好ましくは、この連続したスロットは7個未満のスロット50を含む。典型的な実施形態において、その実施形態の図面に図示したように、連続したスロットは、4個のスロット50を含むのが好ましい。
【0068】
以下に説明するように、各スロット50は、カテーテルアダプタ22が長手方向に外れないように、アダプタ22の支持アーム32を受け取るような大きさである。各スロット50は、長方形であるのが望ましい。図3に見られるように、スロット50は、外側表面52から壁44に延びており、中央チャネル44内へ開口している。以下に説明するように、(長手方向に計測した)各スロット50の幅は、支持アーム32の幅より若干大きいのが望ましく、それは、支持アーム32を受け取る長手方向で計測したものである。
【0069】
図5に図示したように、各スロット50は、長手方向壁46の上端部54と中央チャネル44の底部56との間の横断方向で計測した高さを有している。スロット50の高さは、支持アーム32がリテイナ20から横断方向に突出しないように、支持アーム32の幅とほぼ等しいのが望ましい。
【0070】
スロット50の間隔Sは、中央において、支持アーム32とカテーテルアダプタ22の突出部40との間の距離Lの約半分(図2を参照)と等しいのが望ましい。
【0071】
図3に図示するように、最末端のスロット50とリテイナ20の末端部との間の距離Xは、支持アーム32とその最近接位置に配置されたラッチ36との間の長手方向距離Y(図2を参照)未満である。このように一定の距離をとることにより、リテイナ末端部のカテーテルハブ30の末端部を保持するラッチ36とともに、最末端のスロット50内に支持アーム32を載置することができる。
【0072】
図5は、連続した面取り部58を含む長手方向壁46の上方端部50を図示しており、各面取り部58はスロット50内へ傾斜している。すなわち、スロット50を囲む長手方向壁48の上方端部50の部分は、一対の面取り部58を備え、また1つの面取り部58はスロット50のいずれかの側に配置されている。以下に説明するように、面取り部58は、カテーテルアダプタ22の支持アーム32をスロット50に容易に挿入できるように、スロット50に下方向に傾斜している。
【0073】
図3及び5に図示するように、各長手方向壁46は、さらにリテイナ20の近接端部に配置されたレリーフ部60を備えている。レリーフ部60は、アダプタ22の突出部40を受け取るような大きさである。横方向に計測したレリーフ部60の深さは、突出部40の高さ(つまり、突出部が内側表面42から突出する距離)より若干大きいのが望ましい。
【0074】
レリーフ部60は、最近接スロット50から長手方向に、スロット50の間の間隔Sにほぼ等しい距離分だけ、間隔を置いて配置されている。以下に詳細に述べるように、このように、突出部40は、2つの最も近接のスロット50のいずれかに配置された支持アーム32を用いてレリーフ部60内に載置されている。
【0075】
図3及び4は、リテイナ20の鍵式のくぼみ部62を図示している。以下に詳細に述べるように、鍵式くぼみ部62により、カテーテルアダプタ22をリテイナ20から容易に取り外すことができる。鍵式くぼみ部62は、リテイナ20の近接端部に位置している。鍵式くぼみ部62は、リテイナ20へ延び、中央チャネル44の底表面58からリテイナの基部表面48へと延びている。鍵式くぼみ部62は、中央チャネル44の直径未満の横断方向幅を有し、さらに好ましくは中央チャネル44の3分の2の直径とほぼ等しい幅を有する。鍵式くぼみ部62の長手方向長さは、長手方向壁46の凹部60の長手方向長さとほぼ等しいのが望ましい。
【0076】
リテイナ20は、比較的硬いプラスチック材料(例えば、ポリカーボネート)から形成されるが、看護人がアダプタ24をリテイナ20の中央チャネル44に押し込む際に、アダプタ22が長手方向壁46の上方端部54を外側方向に押しつけるように、幾分可撓性がある。アダプタ22が中央チャネル44に位置すると、壁46の上方端部54が、カチッと内側方向の原位置へ閉まり、アダプタ22がリテイナ20内にしっかりと保持される。
【0077】
接着剤によりリテイナ20がベースパッド16に取り付けられる。または、リテイナ20は、同様の方法(例えば、リテイナ20をベースパッド16にしっかりと固着する、または一体に組み立てる方法)により、同じようにベースパッド16に取り付けることができる。
【0078】
ベースパッド
図1に図示するように、可撓性のあるベースパッド16は、上側の、紙製または、他の織布層または不織布製の層64、内側の発泡セルロース層66、底側の粘着層18などの積層構造体を含む。また、可撓性のあるベースパッド16には、底側粘着層及び上側発泡セルロース層とを含ませることができる。当該技術分野で公知のように、発泡層の上面は、低電荷で発泡体を処理するコロナ放電により粗面となっている。ベースパッド16の上面を粗面とするかまたは多孔質とすることにより、リテイナ20をパッド16に接着する際のシアン化アクリル酸塩の粘着性(または他の種類の粘着性)が改善される。
【0079】
使用前に、取り外し可能な紙製またはプラスチック製の背面紙(図示せず)で、底側粘着層を覆うのが望ましい。以下に説明するように、この背面紙は、破れにくいのが好ましく、またパッド16を患者の皮膚に容易に装着できるように複数の部分に分割される。一度に底側粘着表面18の半分のみを露出するために、背面紙は、可撓性のあるベースパッド16の中央線に沿って2つに分割されるのが望ましい。背面紙は、粘着層18から背面紙を容易に取り外せるように、ベースパッド16の少なくとも1つの端部を超えて延びている。
【0080】
図2を参照すると、1つまたはそれ以上のタブ67を、可撓性のあるベースパッド16を超えて延びている背面紙の一部に、取り付けることができる。典型的な実施形態において、タブ67は、可撓性のあるベースパッド16と同じ積層構造である。タブ67は、ベースパッド16の端部を超えて延びている紙製の背面紙により形成することもできる。タブ67は、背面紙をベースパッド16から取り除く際に、指の位置を示すために、点、言葉、数字などのしるし69も有している。
【0081】
看護人が、好ましくはしるし69の位置でタブ67を握り、背面紙を剥がして底側粘着層18を半分にする。次に、看護人は、底側層18を患者の皮膚に置き、ベースパッド16をその患者に接着する。上側層64を軽く押しつけることにより、ベースパッド16と患者の皮膚との間がしっかりと確実に接着される。ベースパッド16は、その可撓性のために、ベースパッド16が接着する局所的表面の形状に適合する。次に、看護人は、パッド16のもう半分についてこの行為を繰り返す。または、看護人は、パッド16から背面紙を完全に剥がし、パッド16を患者の皮膚に装着することができる。
【0082】
ベースパッド16は、パッド16上のリテイナ20の末端部に配置され、カテーテルカニューレ挿入ポイントに隣接するノッチ68を備えるのが望ましい。ノッチ68は、カテーテル挿入場所を視査できる大きさである。
【0083】
図2を参照すると、ベースパッド16は、カテーテル挿入場所に関してベースパッド16の正確な向きを示す、矢印の形状のしるし70を有するのが望ましい場合がある。数字は、矢印の形でしるしを図示しているが、例えば、言葉または他の絵表示などの他の形状のしるしを同様に用いることができるものとする。正確に使用するにあたり、図1に図示するように、しるし70は、留置カテーテル14に向かって近接方向を指示するか、または留置カテーテル14に関するパッド16の正確な位置を他の方法で示すべきである。
【0084】
典型的な実施形態において、ベースパッドの積層構造体は、3M社より市販され入手可能なMICRO−POREテープ(品番1580番)のようなマイクロ多孔質レーヨンテープなどの紙テープを、3M社より市販され入手可能なMICRO−POREテープ(品番9777L番)のような医療用ポリ塩化ビニル発泡テープ上を回転させることにより形成されるのが好ましい。発泡テープは、底部のライナーまたは背面紙が含まれているのが好ましい。次にベースパッド16及びタブ67を発泡積層シート及び紙積層シートから取り外す。しかしながら、タブとベースパッドとの間の背面紙は、タブ67が、ベースパッド16の粘着部分18を覆う背面紙に接着したままであるように、切断しないのが望ましい。次に、背面紙をパッド16の中央線に沿いタブ67の間で2つの部分に切断する。
【0085】
チューブ状クリップ
図1及び2は、チューブ状クリップ24を図示している。当該技術分野で公知のように、クリップ24は、安全ループを形成するように流体供給チューブ12を固定する。
【0086】
チューブ状クリップは、ベースパッド16に接着されるか、またはしっかりと付着されるプレート状の基部72を有する。チューブ状クリップ24は、載置する左手または右手に適応するように、リテイナ20のいずれかの側のベースパッド16に配置することができる。図6に図示するように、固定システム10には、さらに、第1のチューブ状クリップ24からリテイナ20のもう一方の側に配置される第2のチューブ状クリップ24を備えることができる。
【0087】
クリップ24は、上方開口部76を形成するように先端を切り取られたほぼ円形の断面形状を有するチャネル74を画定している。チャネル74の直径は、確実に相互連結ができるように、流体供給チューブ12の直径より若干小さいのが望ましい。以下に説明するように、チャネル74は、低圧力をかけるか、またはチューブ12をチューブクリップ24の開口部76上及び中を引っ張ることにより、開口部76から流体供給チューブ12の一部分を受け取る。クリップ24は、チャネル74内に配置されたチューブ12とともに、チューブ12の実質的部分を囲んでいる。
【0088】
図2を参照すると、チャネルの上端部は、クリップ24の近接端部及び末端部に傾斜端部77を備えている。各傾斜端部77は、チャネル74の側端部と上方端部との間に滑らかな移行部を形成しており、側端部からチューブクリップ24の中央部へと横方向幅に傾斜している。傾斜端部77は、看護人がチューブをクリップ24上で引っ張る際に、流体供給チューブ12をチャネル74に案内するのに役立つ。従って、看護人はくぼみ部24にチューブをはさむ必要がない。さらに、チューブ12をクリップ24に挿入するために、看護人がチューブ12をはさむ必要がある場合に典型的であるように、チューブ12を挿入する際に、看護人の手袋がクリップ24に嵌まり込むこともない。
【0089】
スライドクランプ
当該技術分野で公知のように、図1及び2に図示した通り、カテーテル固定システム10は、さらに、チューブへの流体流を調節するためのチューブスライドクランプ78を備えるのが望ましい。クランプ78は、一方の端部に流体供給チューブ12を受け取る開口部80と、もう一方の端部にタブ82とを備えている。クランプ78は、開口部80を画定する一対のまた部84により形成されたほぼフォーク状となっている。チューブ12は、また部84の間から開口部80内へとはめられ、その直径は、流体供給チューブ12より若干大きい。
【0090】
また部84は、開口部80内へ開く先細スロット86を形成するように、ともにタブ82に向かって収束している。また部84が閉じられたチューブ12をはさむと、チューブ12はスロット86に配置されて、チューブの中の流体流が遮断される。ただし、クランプ78がチューブ12上を滑動すると、チューブ12は開口部80に配置される。
【0091】
タブ82は、リテイナ20の鍵式のくぼみ部62の形状にほぼ対応する長方形であるのが望ましい。タブ82は、リテイナ20からアダプタ22がてこの原理で持ち上がるように、横断方向に計測した鍵式くぼみ部62の末端部の厚さより厚いのが好ましい。以下に詳細に説明するように、タブ82は、カテーテルアダプタ22をリテイナ20から取り外すために用いることができる。
【0092】
リテイナ位置調整機構
図6から8は、本発明の他の好ましい実施形態によるカテーテル固定システム10aを図示している。適切な場合には、理解しやすいように、2つの実施形態の同様の部分を示すために「a」を末尾に付加した同様の番号を使用した。
【0093】
カテーテル固定システム10aは、前述の固定システム10と実質的に同一であるが、リテイナ位置調整機構90を追加している。
【0094】
図8に最もよく図示されているように、位置調整機構90は、基部92と、基部92とリテイナ20aとを相互に連結する連結機構94とを備えている。リテイナ20aは、基部92上を滑動し、連結機構94は、基部92において種々の長手方向位置にリテイナ20aを固定する。パッド16が患者の皮膚に装着された後、調整機構により、カテーテル14に関してリテイナ20を正確に配置することができる。
【0095】
基部92は、ほぼ平行なパイプ状であり、レール96を備えている。図7aは、レール96は、その断面が「蟻継」形状であるのが望ましいことをもっともよく図示している。すなわち、レール96は、平坦な上方端部98と一対の対向する側方端部100とを伴う断面形状であり、各端部100は、上方端部98からレール96の中央へ向かって内側方向に角度がついている。レール96は、基部92の末端部102から、基部92の長手方向長さに沿って、基部の近接端部104のごく間近まで延びている。基部92は、レール96の近接端部を閉じる近接端部104に一対の止め部106を有している。
【0096】
接着剤により、基部92を基部パッド16aに接着する。または、類似の方法(例えば、ベースパッド16aに基部92を固着または他の方法で組み立てること)により、同様に基部92をベースパッド16aに接着することができる リテイナ20aは、上記の記述通りに形成されているが、さらに、レール96の断面形状に対応する断面形状を有する溝108を備えている。リテイナの溝108は、リテイナ20aが基部92上を滑動はするが、リテイナ20aが基部92から離れ横断方向に動かないような方法で、基部のレール96を受け取る。基部の止め部106は、近接方向においてリテイナの長手方向の移動も制限する。
【0097】
連結機構94は、基部92の上方表面112に配置された複数の歯110とリテイナ20aに形成されたつめ部114とを備えている。歯110は、ほぼ長方形の断面形状であるのが望ましく、また長手方向軸線に沿って順次基部92に載置されていく。以下に詳細に説明するように、各歯110の上端部は、面取り部112を備えているので、隣接する歯110の間に形成された穴116とつめ部114とを容易に係合することができる。各歯110の長手方向長さは、基部92の長手方向長さとほぼ垂直に延びるのが望ましい。
【0098】
つめ部114は、歯110の間に画定された穴116に挿入され係合するように形成された形状である。つめ部114は、穴116の幅より若干小さい長手方向に計測した幅であるのが好ましい。
【0099】
リテイナ20aは、リテイナ基部表面48aとチャネル底面56aとの間に延びる孔118を備えている。可撓性のある指部120は、カンティレバー状にリテイナ20aからリテイナ孔118へと延びている。可撓性のある指部120は、その末端部でつめ部114を支持する。図8は、末端方向に延びている指部120を図示しているが、指部120は同様に近接方向に延びることも可能であることとする。
【0100】
可撓性のある指部120は、指部120は偏らない状態で、チャネル底面56aを超えて上方の中央チャネル44へ延びる突出部122を備えているのが好ましい。指部120であるカンティレバーの性質により、指部120が下方向に偏ることがあり、その結果、突出部122がリテイナの底面56aより下に載置されることがある。指部120があまり偏ると、つめ部114が、一連の歯110と係合する。すなわち、つめ部114が、歯110の間に画定された穴116に挿入される。つめ部114と歯110との間で内部係合が生じることにより、リテイナ20aが滑動するのを防げる。
【0101】
S型クリップ
図9及び10は、本発明のさらに他の実施形態によるカテーテル固定システム10bを示している。適切な場合には、理解しやすいように、実施形態の類似の部分を示すために末尾に「b」を付加した適当な同様の番号を使用した。
【0102】
カテーテル固定システム10bは、最初に上述した固定システム10と実質的に同一であるが、マイクロ孔のチューブ126または小さい孔のチューブ126を保持するためのS型クリップ124を追加している。以下に詳細に説明するように、マイクロ孔チューブは、例えば、硬膜外カテーテル法処置などとともに、一般的に用いられている。
【0103】
S型クリップ124は、基板132から延びる一対の弓形の直立した壁130により画定されたほぼU字型状のチャネル128を備えている。図10に最もよく図示されているように、S型クリップ124は、さらに、複数のリテイナ134を備えており、各リテイナ134は、円筒状ステム138により支持された球形ヘッド136を有する。ステム138は基板132から延びている。リテイナステム138は、互いに直立壁130からマイクロ孔チューブ126の直径より若干大きい間隔を置いて配置されている。また、リテイナ134は、リテイナ134の球形ヘッド136が、互いに直立壁130からマイクロ孔チューブ126の直径より若干小さい間隔を置いて配置されるように、配置されている。図10に最もよく図示されているように、一度リテイナ134と直立壁130との間でマイクロ孔チューブ126が引っ張られると、リテイナヘッド136により、マイクロ孔チューブ126はS型クリップ124から横断方向に外れずに済む。
【0104】
接着剤によりベースパッド16bにS型クリップ124の基板132を接着する。または、基板132は、類似の方法(例えば、ベースパッド16bに基部92を固着または他の方法で組み立てること)によりベースパッド16bに同様に接着することができる。
【0105】
固定システム10の構成要素は、ベースパッド16(すなわちリテイナ20、チューブクリップ24、アダプタ22、スライドクランプ78、基部92、及びS型クリップ124)を保護するが、当業者に公知であろう種々の方法で形成することができる。例えば、各別個の構成要素は、射出成形または加熱成形などにより、一体的に成形することができる。構成要素は、好ましくは耐久性があり可撓性のある材料、さらに好ましくはほぼ不活性で無毒の材料である。好ましい実施形態において、構成要素は、例えば、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリウレタン、テトラフルオロエチレン(例えばテフロン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTEFとしても知られる)、アセタール樹脂(例えば、デルリン)、塩化三フッ化エチレン(例えば、KEL−F)、ナイロン、または類似のポリマーなどのプラスチックから成形される。
【0106】
使用方法
使用方法について、図1及び2を参照しながら以下に述べるが、まず静脈カテーテル法に関連する記述から始める。以下の説明から明らかになるだろうが、固定システム10は、他のカテーテル法による処置に同様に用いることができる。使用方法についての説明は、本発明の上記の記述に添えることを意図しているので、上記の記述とともに読まれるべきである。
【0107】
看護人は、静脈の上方の所望の位置にカテーテル14を配置することから、カテーテル法による処置を開始するのが典型的である。看護人は、針または他の針状物をカテーテル14のカニューレ部分から患者の皮膚内へ所望の刺入角で導入する。静脈の使用については、一般に、カテーテル14は約7の刺入角である。次に、看護人は、カテーテル14のカニューレを患者に挿入し、針または針状物を引き出す。カテーテルハブ30は皮膚上方に露出したままである。
【0108】
看護人は、アダプタ26の末端部をカテーテルハブ30に挿入する。クリップ34は、アダプタ26の末端部のカテーテルハブ30への挿入を妨げないように、最末端位置に滑動可能に装着されている。
【0109】
次に、看護人は、クリップ34を近接位置に滑動させカテーテルハブ30に係合させる。このように手先で配置を選択し、クリップ34により、アダプタ22がカテーテル14に取り付けられる。アダプタ22のラッチ歯は、つめ部と協働し、クリップ34を、末端方向へ動かさずまた手動選択位置に保持する。
【0110】
看護人は、初めにベースパッド16の粘着底面18を覆っている紙製の背面紙を取り除き、カテーテル14の近接の患者の皮膚にパッド16を接着する。特に、看護人は、リテイナ20の近接にある背面紙タブ67をつかむ。タブ67上のしるし69は、看護人がタブ67をつかむべき場所を示す。次に、看護人は、タブ67を引っ張り、粘着底面層18の一方の半分の背面紙を剥がす。
【0111】
看護人は、カテーテル14の方向を指し示す(例えば方向指示矢印の)目印70を伴うカテーテルカニューレ14の近くに、パッド16のスロット68を配置する。次に看護人は、底層18を患者の皮膚に配置し、ベースパッド16を患者に接着する。上層64を軽く押さえることにより、ベースパッド16と患者の皮膚との間が確実に接着される。ベースパッド16は、その可撓性のために、ベースパッド16が接着する局所的表面形状を形成する。
【0112】
次に、看護人は、パッド16のもう半分に対してこの処置を繰り返す。または、看護人は、パッド16を患者の皮膚に接着する前に、パッド16から完全に背面紙を取り除く。
【0113】
看護人は、チューブ状本体25の側に配置されたクリップ34とともに(すなわち、横方向に延びる支持アームとともに)アダプタ22を方向付け、リテイナの末端部の末端に配置されたラッチ36とともに、連続したリテイナスロット50上方にアダプタ支持アーム32を配置する。
【0114】
次に、看護人は、パッドノッチ68の近接に配置したリテイナ20へアダプタ22をはめ込む。このようにすると、アダプタ22は、横方向に延びる支持アーム32を伴いリテイナ20の長手方向壁46の間に押しつけられる。看護人がアダプタ22をリテイナ20に押しつけると、長手方向壁46のスロット50近くにある面取り端部58が、支持アーム32をスロット50のうちの1つへ案内する。
【0115】
上述のように、チャネル46の開口部47は、チューブ状本体25の直径より小さい横方向に計測した幅である。このように、横方向壁46は横方向外側へたわむ。一度アダプタ22のチューブ状本体25が、リテイナ20の中央チャネル44内に載置されると、横方向壁46は跳ね返りアダプタ22を定位置にはめ込む。このように、リテイナ20の壁46により、アダプタ22が不用意に横断方向及び横方向に動くのを防止できる。
【0116】
この位置において、アダプタ22の突出部40は、スロット50の近接にあるスロット50か、レリーフ部60か、支持アーム32が通過するスロット50の近接部かのいずれかにある。突出部40は、クリップ34がチューブ状本体25に対して旋回しないように、レリーフ部60またはスロット50のいずれかを形成する長手方向壁46の一部分に係合する。
【0117】
このように、突出部40により、確実に、ラッチ36とカテーテルハブ30との係合状態を維持することができる。
【0118】
支持アーム32が通過するスロット50により、アダプタ22が長手方向に滑動するのを防止できる。すなわち、スロット50により、アダプタ22が中央チャネル44内に固定される際に、アダプタ22が長手方向にずれるのを防止できる。
【0119】
人間工学を利用してリテイナ20を設計することにより、リテイナ22の配置または使用方法には注意を要すことなく、リテイナ20にアダプタ22を種々に配置することができる。すなわち、支持アーム32がどちら側に配置されるかに関わらず、また、支持アーム32が特定のスロット50に関連してどこに配置されるかに関わらず、看護人は単にアダプタ22をリテイナ20に押し込めばよい。支持アーム32を連続したスロット50の上方に配置しさえすれば、壁46の面取り端部58が支持アーム32をスロット50に案内するだろう。アダプタ22の突出部40は、隣接するスロット50またはレリーフ部60内に嵌合する。
【0120】
リテイナ20のスロット50の中を延びる支持アーム32を用いることにより、アダプタ22は「低い姿勢」で置かれている。すなわち、横断方向で計測した固定システム10の全体の高さを減少させるように、アダプタ22の支持アーム32は横方向に延びている。アダプタ22をこのように配置することにより、システム10が周りの動きにより妨げられる危険が低減する。ただし、アダプタクリップ34をリテイナ20の反対側に配置するために、リテイナ20により、アダプタ22を、支持アーム32が横断方向に延びる位置と、または原位置に対する位置180とのいずれかの位置に向かって回転させることができる。
【0121】
アダプタ22は、一度低い立面位置に置くと、アダプタ22と対応するチューブ12とを取り外し他のものと取り替えるまでは、通常はこの位置を維持するだろう。
【0122】
図1に図示するように、当該技術分野で公知のように、看護人は、流体供給チューブ12において安全ループを形成し、チューブ12の部分をチューブクリップ24に挿入することにより、安全ループを患者に固定する。安全ループにより、流体供給チューブに加わる張力が吸収され、アダプタ22及び/またはカテーテル14が引っ張られるのを防止する。
【0123】
看護人は、アダプタ本体25をリテイナ20から取り外すために、スライドクランプ78を用いることができる。看護人は、スライドクランプ78のタブ82をリテイナ20の近接端部の鍵状凹部62へ挿入する。タブ82は、横断方向に計測した鍵状凹部62の深さより大きい幅であるので、看護人がタブ82を末端方向に鍵状凹部62へ挿入する際に、タブ62により、チューブ状本体25が中央チャネル44から動く。看護人は、さらに、スライドクランプ78を用いて、チューブ状本体25の近接端部を利用してリテイナ20の上方開口部47を開くことができる。リテイナ20から近接端部のアダプタ22がずれると、看護人は、簡単に、近接端部のアダプタ22を取り外すことができる。または、看護人は、片手でパッド16またはリテイナ20を押さえつけながら、チューブ12で持ち上げることにより、チューブ状本体25を取り外すこともできる。
【0124】
図6から8は、特に動脈カテーテル法に適したカテーテル固定システム10aを図示している。
【0125】
カテーテル14aが維持されなければならない刺入角の臨界(つまり、カテーテル14aが患者の皮膚内に突き出す角度)のために、リテイナ20aがカテーテル14aを所望の刺入角に保持するように、リテイナ20aを正確に配置するという点が利点である。動脈カテーテル法については、所望の刺入角の範囲は約5°から30°であるのが一般的である。刺入角は、好ましくは、約15°と約25°との間の範囲であり、さらに好ましくは約22である。
【0126】
看護人は、静脈カテーテル法について上述した方法と同様の方法で、カテーテルカニューレ14aを動脈へ挿入する。前述のように、看護人は、アダプタ22aを留置カテーテル14aに実質的に接続する。看護人は、上述の方法と同様の方法で、患者に可撓性のあるパッド16aを接着もする。
【0127】
必要に応じて、看護人は、パッド16aを患者に接着する前に、切り取り線142に沿ってパッド16aを破ることにより、パッド16aのウィング部140のうち一方を取り外すことができる。
【0128】
看護人は、チューブ状本体25aの側に配置されたクリップ34aを用いて(すなわち、横方向に延びている支持アーム32aを用いて)、アダプタ22aを方向付け、リテイナ末端部の末端に配置されたラッチ36aを用いて、アダプタの支持アーム32aをリテイナの連続したスロット50a上方に配置する。看護人が、パッド16aを、留置カテーテル14aから近すぎる位置または遠すぎる位置に配置した場合、看護人は、所望の方向にリテイナ20aを滑動させ、リテイナスロット50aをアダプタの支持アーム32aの下に配置する。
【0129】
次に、看護人は、パッドノッチ68aの近接に配置されたリテイナ20aにアダプタ22aをはめ込む。はめ込むと、長手方向壁46aのスロット50a近傍の面取り端部58aが支持アーム32aをスロット50aのうちの1つに案内する。リテイナ20aは、自動的に、長手方向に滑動し、対応するスロット50aを支持アーム32aの下に正確に配置する。このように、アダプタ22aがリテイナ20aへはまっても、それにより、カテーテル14aが実質的に動くことはない。
【0130】
チューブ状本体25aは指部120の突出部122と接触しており、これにより、アダプタチューブ状本体25aが中央チャネル44aにはまる際に下方向にたわむ。順番に、つめ部114が、アダプタ20aを保持しながら、リテイナ20aを長手方向に動かないようにする連続した歯110に係合していく。看護人が、好ましくはスライドクランプタブ82aを用いることにより、アダプタ22aを取り外した場合、指部120は跳ね返りたわみ解消状態となり、リテイナ20aがレール96上を自在に滑動する。つめ部114は、通常は、連続した歯110と係合していない。
【0131】
カテーテル14aに接続されたカテーテルアダプタ22aの下に正確にリテイナ20aを配置できることにより、看護人は、カテーテル14aを安定位置に保持することができるので、リテイナ20aにより、確実に、アダプタ22aが保持され、そしてその結果、正確な刺入角でカテーテル14aが保持されるだろう。リテイナ20aの長手方向の位置を調整することができない場合、看護人は、留置カテーテル14aに関して、ベースパッド16a、そしてリテイナ20aを正確に配置する前に、連続して位置の繰り返し調整を行うことができる。
【0132】
例えば、硬膜外カテーテル法に関して、麻酔医は、マイクロ孔チューブ126の末端部を硬膜域内へ挿入する。従来、マイクロ孔チューブ126の末端部は、麻酔薬を輸送する流体供給チューブ12bと連結するための、タフィ−バーストアダプタ144または他のアダプタ装置を備えている。マイクロ孔チューブ126と流体供給チューブ144の接続は手を触れずに行うこと、及びマイクロ孔チューブ126の末端部は所定の位置のままであることは、必須である。というのは、もし、硬膜域内が空気伝染する病原菌に露出すると、髄膜炎を発症する可能性があるからである。従って、マイクロ孔チューブ126と流体供給部12bはしっかりと相互連結するべきであり、マイクロ孔チューブ126は、アダプタ22bと同様に流体供給チューブ12bのいずれかにかかる種々の張力を受けないようにするべきである。
【0133】
図9及び10は、硬膜外カテーテル法に特に適したカテーテル固定システム10bを図示している。静脈カテーテル法に関して、医者がアダプタ22bをマイクロ孔チューブ126に接続し、ベースパッド16bを患者の胴部に接着するという例外を除いて、医者は、上述したのと同様の方法で本固定システム10bを使用する。次に、医者は、最初にチューブ126をリテイナ134と壁130との間に押しつけることにより、マイクロ孔チューブ126をくねくね曲がりながらS型クリップ124の中を進ませ、次に、チューブ126を第1のリテイナ134と第2のリテイナ134との間で挟み込む。リテイナ134の間のチューブ126に圧力が軽くかかる。次に、医者は、第2のリテイナ134と第2の壁130との間にチューブ126を返して挟み込み、その間でチューブ126を押さえる。S型クリップ124により、マイクロ孔チューブ126を正しい場所に固定し、マイクロ孔チューブ126がアダプタ22b及び/または流体供給チューブ12bにかかる張力を受けないようにして、マイクロ孔チューブ126を適宜挿入する。
【0134】
他の実施形態
上述の通り、本カテーテル固定システムとともに、上に開示したアダプタに加えてさらに他の種類のアダプタを同様に用いることができるものとする。図11及び12は、本発明の他の実施形態による、異なるカテーテルアダプタ型式を含むカテーテル固定システム10cを図示している。適切な場合には、理解しやすいように、実施形態の類似の部分を示すために末尾に「c」を付加した同様の番号を使用した。
【0135】
上述のカテーテル固定システムのように、本カテーテル固定システム10cは、主として、患者の皮膚に接着する粘着底側18cを有する可撓性のある固定パッド16cを備えている。パッド10cは、リテイナ20cを支持している。リテイナ20cは、留置カテーテル14cに接続するカテーテルアダプタ22cを受け取り定位置に固定するように、形成されている。パッド16cは、チューブ12cの一部分を保持するのに使用されるチューブクリップ24cも支持することができる。
【0136】
図11は、末端部26cと近接端部28cとの間に画定された、ほぼチューブ状の本体25cを含むものとして、アダプタ22cを図示している。近接端部28cは、チューブ12cの末端部を受け取るように適合されている。典型的な実施形態において、流体供給チューブ12cの少なくとも一部分は、本体の近接端部28cに常時取り付けられている。
【0137】
末端部26cは、留置カテーテル14c(図示せず)の近接端部と係合するように構成されている。図11及び図12は、標準的なルア型カテーテルハブ30c(図示せず)に係合するように構成され円錐形であるものとして、アダプタ22cの末端部26cを図示しているが、末端部26cは、他の種類のコネクタと係合するように同様に形成することができるものとする。
【0138】
図14は、カテーテルアダプタ22dの末端部の他の形状を図示している。再度、誤解のないように、図11のカテーテルアダプタと図14のカテーテルアダプタの同様の部分を示すために、末尾に「d」を付した同様の番号を使った。
【0139】
カテーテルアダプタ22dは、カテーテルアダプタ22dの末端部26dを囲むように、カテーテルアダプタ22dの本体25dに取り付けられた、標準的ルアロック型の嵌合部220を備えている。ルアロック型嵌合部220は、嵌合部220がカテーテルアダプタ本体25dを中心に回転できるような方法で、取り付けられるのが好ましい。しかし、アダプタの末端部は、特定の実施形態に必要な場合には、同様に、雌型のルアロック型コネクタ(すなわち、外周面に突起またはねじ部を有するハブ)を備えることができるものとする。
【0140】
図示した実施形態において、嵌合部220は、閉じた近接端部222を有するほぼチューブ状である。後述するように、閉じた端部222は、アダプタ本体25dの部分を受け取るのに十分な大きさの隙間部224を備えている。嵌合部220は、従来の雌型のルアロック型嵌合部(図示せず)の対応するねじ部に係合するように、従来の内部ねじ部226を備えている。
【0141】
アダプタ本体25dは、嵌合部220とアダプタ本体25dとを相互連結するために、嵌合部220の閉じた端部222を受け取る、環状溝228を備えるのが望ましい。このように相互に連結させることにより、アダプタ本体25dを中心に嵌合部220を回転させることもできる。
【0142】
カテーテルアダプタ22dを組み立てるために、嵌合部の閉じた端部222の隙間部224に本体25dの円錐形状の末端部26dを挿入する。次に、閉じた端部222が本体25dの環状溝228にはまるまで、閉じた端部222が若干たわむように、本体25dを嵌合部220に押しつける。このように配置すると、本体25dが嵌合部220の部分を捕捉し、これらのエレメントは一体的に連結する。
【0143】
図11を参照すると、アダプタ22cは、チューブ状本体25cの近接端部28cと末端部26cとの間に配置された少なくとも1つの環状カラー200を備えている。図14のアダプタ22dは、さらに、同様の環状カラー200dを備えている。図11のアダプタ22cのカラー200と、図14のアダプタ22dのカラー200dとは、実質的に同一であり、従って、本明細書では、両方の実施形態に同様に適用するものと理解してもらえるだろうこととする。
【0144】
環状カラー200は、放射状に外側に向かって広がっており、チューブ状本体25cを囲んでいる。後述するが、環状カラー200は、カラー200がリテイナの壁46cのスロット50c内に嵌合するように、長手方向に計測して、リテイナの壁46cのスロット50cの幅より若干小さい厚さである。
【0145】
アダプタ22cは、耐久性、生物的適合性のあるプラスチック材料から形成されるのが好ましい。アダプタ22cは、さらに好ましくは、看護人がアダプタ22cの中の泡または逆流を見て取れるように、透明なプラスチックから形成される。典型的な実施形態において、アダプタは、射出成形によりポリカーボネートから形成されるが、アダプタが当該技術分野で公知の形成方法により形成することができることを、当業者は容易に理解するだろう。
【0146】
図11及び12は、上述のリテイナ20と実質的に同一であるリテイナ20cを図示している。リテイナ20cは、一対の対向する長手方向壁46cの間に配置された中央チャネル44cを備えている。中央チャネル44cは、リテイナ20cの長手方向軸線とほぼ平行な軸線に沿ってリテイナ20cを延びている。
【0147】
中央チャネルの軸線44cは、ほぼ環状の断面形状であるが、開口部47cを形成するように上端部で先端部を切り取った形状である。中央本体44cの直径は、カテーテルアダプタ22cのチューブ状本体25cを受け取るような大きさである。好ましい実施形態において、中央チャネル44cの直径は、チューブ状本体25cの直径とほぼ同じである。
【0148】
中央チャネル44cは、断面において、開口部47cの横方向長さが中央チャネル44cの直径より小さくなるように、チャネル軸線を中心に180°より広い円弧状部分を延びている。典型的な実施形態において、中央チャネル44cの断面形状は、チャネル軸線を中心に約200°の円弧状に延びている。
【0149】
図13aに最もよく図示されているように、チャネル軸線は、リテイナ20cの基部表面48cに対して斜めとなっているのが望ましい。基部表面48cとチャネル軸線との間に形成される刺入角は、45°未満である。刺入角θは、5°と30°との間であるのが望ましい。静脈に用いる典型的な実施形態において、角度θは、好ましくは約7°である。
【0150】
長手方向壁46cは、実質的に同一である。本リテイナ20cが、環状カラー200を有する本アダプタ22cと同様に、クリップ34に接続された支持アーム32を有する前述のアダプタ22の両方を受け取るのが望ましい場合は、各壁46cの横方向に計測した厚さは、アダプタ22の支持アーム32の長さより短い。横方向に計測した壁46cの厚さは、カラー200がチューブ状本体25cの外側表面を超えて延びる放射方向に計測した距離(すなわち放射方向高さ)よりも長いのが、好ましい。各壁46cの長さは、長手方向に計測したように、リテイナ20cの長さと同一であるのが好ましい。
【0151】
各壁46cは、連続した均一なスロット50cを備えている。連続スロットは、少なくとも2個のスロット50cを含んでいるが、スロット50cは20個を超えない。連続スロットは、7個未満のスロット50cであるのがさらに好ましい。典型的な実施形態において、図面に図示したように、連続スロットは4個のスロット50cを含んでいる。
【0152】
上述したように、各スロット50cは、各アダプタ22、22cが長手方向にずれないように、カテーテルアダプタ22の支持アーム32と同様に、アダプタ22cのカラー200を受け取るような大きさである。各スロット50cは長方形であるのが望ましい。図12に見られるように、スロット50cは、外側表面52cから壁46cを延び、中央チャネル44cへ開いている。スロット50cの幅は、長手方向に計測したように、支持アーム32の幅及びカラー200の幅より若干大きいのが、望ましい。
【0153】
図13aに図示したように、各スロット50cは、長手方向壁46cの上方端部54cから中央チャネル44cの底部56cの下の地点へ横断方向に延びている。従って、スロット50cの高さは、横断方向に計測したように、上方端部54cとリテイナ20cのチャネル底部56cとの間の距離より大きい。図13bに見られるように、リテイナ20cは、さらに、対向するスロット50cの間を延び、またチャネル底面56cからリテイナ20cへ延びる連続した横溝202を有している。このように、対向するスロット50c及び溝202は、横方向にリテイナ20cを延びる横方向チャネルを形成しており、また、上方端部54cからチャネル底面56cの下の地点までリテイナ20cに向かって切れ込んでいる。溝202は、中央チャネル44c内にチューブ状本体25cを配置しながら、カラー200が対向するスロット50cの間と溝202へ延びるように、カラー200の部分を受け取るような大きさであるのが望ましい。このように、溝202は、中央チャネル44cの下側表面56cと溝の底部との間を横断方向に計測した深さを有し、その深さは環状カラー200の放射方向高さより大きい。
【0154】
図13bは、スロット50cの間の間隔Sが、中央において、支持アーム32とカテーテルアダプタ22の突出部40との間の末端部L(図2を参照)の約半分であるのが望ましいことを図示している。リテイナ20cの近接端部26cと末端部28cと関連するスロットの配置は、本リテイナ22cをクリップ34を含めて前記のアダプタ22とともに用いることができるように、前記のリテイナ22について上述した間隔と配置に従って構成されるのが望ましい。
【0155】
図11及び13aは、リテイナ20について上に開示したように形成され配置された、連続した面取り部58cを有する各長手方向壁46cの上方端部を図示している。上述のように、面取り部58cは、前述のカテーテルアダプタ22の支持アーム32または本カテーテルアダプタ22cの環状カラー200のいずれかを、スロット50cに容易に挿入できるように、スロット50cに向かって下方向に傾斜している。
【0156】
図11から13bが図示するように、各長手方向壁46cは、さらに、リテイナ20cの近接端部に配置されたレリーフ部60cを備えることができる。レリーフ部60cの構成及び配置は、リテイナ20についての前記述に従うのが望ましい。前述のように、図11は、さらに、リテイナ20cが、リテイナ20cからカテーテルアダプタ22cを容易に取り外せるように、さらに鍵式溝62cを備えることができることを図示している。鍵式溝62cは、リテイナ20についての上記の開示に従って配置及び構成されるのが望ましい。
【0157】
リテイナ20cは、比較的硬いプラスチック材料から形成されるが、看護人がアダプタ22cをリテイナ20cの中央チャネル44cへ押し込む際に、アダプタ22cが長手方向壁46cの上端部54cを外側方向に押しつけるようにいくらか可撓性がある。リテイナ20cは、射出成形によりポリカーボネートから形成されるのが望ましい。アダプタ22cが、中央チャネル44c内に載置されると、壁46cの上方端部54cが、内側方向へその原位置にはまり、アダプタ22cをリテイナ20c内にしっかりと保持する。
【0158】
接着剤により、リテイナ20cが固定パッド16cに取り付けられるのが好ましい。または、リテイナ20cは、同様の方法、例えば、リテイナを固定パッド16cにはめ込みまたは他の方法で組み立てることにより、固定パッド16cに取り付けることができる。
【0159】
図11は、上側の、紙製または、他の織布層64cまたは不織布層64c、及び底側の粘着層18cなどの積層構造体を、その間に配置された内側の発泡セルロース層66cを伴い、含むものとしての、固定パッド16cを図示している。また、可撓性のあるベースパッド16は、底側粘着層18及び上方発泡セルロース層を有することができる。発泡層の上面は、当該技術分野で公知のように、低電荷で処理するコロナ放電により粗面となっている。発泡層66cは、患者の皮膚と、硬いプラスチック製のリテイナ20c及びチューブクランプ24cとの間の衝撃緩和材を形成している。粘着層18cには、患者の皮膚の状態により異なるが、発汗性または非発汗性の材料のコーティングを含ませることができる。発汗性または非発汗性の接着剤を塗布した医療用フォームテープは、NDMマニュファクチュア社から市販品を購入できる。
【0160】
使用前には取り外し可能な紙製背面紙またはプラスチック製背面紙(図示せず)が、底側粘着層18を覆っているのが望ましい。上述し、図12に図示したように、背面紙は、複数の断片に分割されており、パッド16から背面紙を容易に剥がせるようにタブ67cを有しているのが好ましい。タブ67cは、取り外し可能な背面紙をパッド16cから剥がす際に、対応するタブ67cを握る位置を示すように、しるし部69c(例えば、点、文字、矢印など)を備えることができる。
【0161】
図12に最もよく見られるように、固定パッド16は、角が丸いほぼ台形であるのが望ましい。固定パッド16cの末端部206は、横方向に計測した幅が、近接端部204の幅より広いのが望ましい。末端部206が長いほど、例えば、指関節部、背骨部などの接着する粗面上の粘着面が長くなる。一方で、ほぼ台形であることにより、患者に接着される固定パッド16cの全体寸法が最小限となる。また、台形であることにより、この四角いパッドとしての表面領域は、より小さいパッドの外観と同様となる。固定パッド16cの長手方向側208は、好ましくは、近接端部206から末端部204へ傾斜しており、さらに望ましくは、凹面形状である。
【0162】
固定パッドは、固定パッド16cの近接端部204に沿って配置され、カテーテルカニューレの挿入箇所に隣接するノッチ68cを備えている。ノッチ68cは、固定パッド16cに接着されたリテイナ20cのチャネル軸線を中心に対称的に配置されるのが、好ましい。ノッチ68cは、カテーテル位置を目視検査できるような大きさであり、挿入位置についてパッド16cを種々配置することが十分できる大きさである。すなわち、ノッチ68cは、看護人が、留置カテーテル14c(図示せず)に関して患者の皮膚にパッドを正確に配置する必要のない程度の大きさである。
【0163】
図11及び12に見られるように、固定パッド16cは、望ましくは、矢印の形状である場合もあるしるし部70cを備えることができ、このしるし部は、カテーテル位置に関して固定パッド16の正確な方向付けを指し示す。しるし部70cは、正確に利用した場合、留置カテーテル14c(図示せず)の方向を示す。
【0164】
固定パッド16cは、流体供給チューブ12cを固定パッド16cに固定するクリップ24cを支持するのが、好ましい。図12に見られるように、流体供給チューブ12cは、当該技術分野で公知であるように、近接方向周辺で輪になり、安全ループを形成するようにクリップ24cへ挿入されるのが、好ましい。チューブクリップ24は、上述の通りに構成されるのが望ましい。クリップ24cは、種々の直径の流体流チューブ12cを収容するように、種々の大きさに形成することができる。
【0165】
留置カテーテル14c(図示せず)の使用に際して、看護人は留置カテーテル14cに関してカテーテル固定システム10cを使用するのが、典型的である。上記の通り、カテーテル14cを動脈などの体腔内に挿入する。次に看護人は、アダプタ22cの末端部26cをカテーテルハブ30c(図示せず)へ挿入し、アダプタ22cをカテーテル14cに接続する。次に、看護人は、ラチェットクリップまたはルアロック型嵌合部により、アダプタ22cをカテーテル14cに固定することができる。
【0166】
看護人は、前述の通り、最初に固定パッド16cの底側粘着面18cを覆っている紙製の背面紙を取り除き、固定パッド16cを留置カテーテル14cの近接の患者の皮膚に取り付ける。看護人は、特に、カテーテル14cの方向を示す矢印表示70cがあるカテーテルカニューレ14cの周辺に、パッド16cのノッチ68cを配置する。看護人は、固定パッド16cの近接端部204をおよその挿入位置に配置する。
【0167】
看護人は、リテイナの連続したスロット50cの上方にアダプタ22cを配置し、アダプタ22cをリテイナ20cへはめ込む。このようにすると、アダプタ22cは、対向するスロット50cへ延びる環状カラー200とともに、リテイナ20cの長手方向壁46cの間、そしてリテイナ20cの対応する溝202へ押しつけられる。看護人がアダプタをリテイナ20cへ押しつけると、長手方向壁46cのスロット50c周辺にある面取り端部58が、環状カラー200をスロット50cへ案内する。上述のように、リテイナ20cによりアダプタ20cが固定される。
【0168】
環状カラー200が対向するスロット50cに配置されることにより、アダプタ22cが長手方向に滑動することが防止される。
【0169】
上述のリテイナについての実施形態と同様に、人間工学を利用してリテイナ20gを設計することにより、リテイナ22cの配置または使用方法には注意を要すことなく、アダプタ22cをリテイナ20cに種々配置することができる。すなわち、看護人は、リテイナ20cの特定のスロット50cに関する環状カラーの位置に関わらず、アダプタ22cをリテイナ20cに単純に押し込むことができる。環状カラー200が連続したスロット50c上方に配置される限り、壁46cの面取り端部58cは、環状カラー200をスロット50cへ案内するだろう。
【0170】
上述のように、リテイナ20cの本実施形態は、クリップ34を有する上記のアダプタ22とともに利用することができる。看護人は、前記のリテイナ20に関して上述したような同様の方法で、本リテイナを上記のアダプタ22とともに使用する。
【0171】
カテーテルハブ30(図1を参照)が標準的雌型のルアロック型嵌合部である場合、アダプタ本体22dのルアロック型嵌合部220(図14)は、公知の方法で対応する嵌合部222、30を連結するように、カテーテルハブ30に挿入された末端部26dとともに回転する。次に、前述の方法と同様の方法で、カテーテルアダプタ22dを固定システムとともに用いる。
【0172】
上記の実施形態は、チューブセットまたは他の流体ラインの端部に固定される放射状に延びる部材を伴うアダプタを図示している。放射状に延びる部材は、カテーテル本体の近接端部に固定されているアダプタまたは嵌合部上に配置することもできる。図15aから15cにこのような配置を図示している。
【0173】
図15aから15cは、本発明の他の実施形態により構成されたカテーテルシステムを図示している。カテーテルシステムは、カテーテルと、リテイナ及び固定パッドを備える固定システムとを備えている。図面を簡略化するために、図15aから図15cまでから固定パッドを省略したが、固定パッドは、前の記述に従って構成されるのが望ましく、図16に示すような形状である。矛盾のないように、再度、図15aから図15cの固定システムの類似の部分を示すために末尾に「e」を付加した同様の番号を使用した。同様の構成要素についての前の記述は、異なる記述がされていない限りは、本実施形態に同様に適用されるものと理解すべきである。
【0174】
カテーテルは、チューブ状本体に取り付けられたチューブ状アダプタまたはチューブ状嵌合部を有する延長したチューブ状本体を備えるのが望ましい。アダプタの少なくとも1つの内孔は、カテーテルの対応する内孔と連通している。図示した実施形態において、アダプタ22eは、近接端部の嵌合部に常時取り付けられており、流体ラインの末端部に形成された対応するアダプタと協働するように構成されている。ただし、アダプタ22eはカテーテル本体に解放可能に装着することができる。
【0175】
図示した実施形態において、チューブ状アダプタ22eは、カテーテル本体と流体ラインとの間の雌型連結構成要素として構成される。アダプタ22eの経路は、雄型の連結構成要素として構成される。いずれの場合にも、アダプタの雄型連結部及び雌型連結部は、流体を殆ど漏らさないように係合した状態で嵌合しているほぼ円錐の形状である。連結アダプタは、アダプタを噛み合わせる内部係合エレメントも備えている。図示した実施形態のチューブ状アダプタ22eは、アダプタ22eのチューブ状本体の近接端部300を中心に動く外側のねじ部により形成されたねじ状連結部306を備えている。ねじ状連結部の外側ねじ山は、(図14に図示した種類のような)対応するアダプタの端部に配置された回転ナットの内側のねじ部に対応して構成されている。
【0176】
図示した実施形態において、アダプタ22eのチューブ状本体は、ねじ状連結部306の末端側302に円錐台状部304を有している。アダプタ22eの対応する形状は、図1に図示した種類のような従来のカテーテルハブにほぼ対応している。
【0177】
しかしながら、従来のカテーテルハブとは異なり、アダプタ22eは、チューブ状本体から突出した放射状に延びる部材を備えている。図示した実施形態において、放射状に延びる部材は、チューブ状本体の円錐台状部304の部分を囲む環状カラー200eを有している。カラー200eは、チューブ状本体の近接端部300と末端部302との間のほぼ中間の位置に配置されるのが一般的であるが、図16の実施形態に図示するように、そのように配置する必要はない。
【0178】
図15aから図15cから理解されるように、リテイナ20eは、アダプタのチューブ状本体の形状に対応するほぼ円錐形状の中央チャネル44eを画定している。中央チャネル44は、一対の対向する収束していく形状の長手方向壁46eの間に配置されている。
【0179】
壁46eは、その間に種々の横方向距離をあけるように、間隔を置いて配置されている。壁46eは、近接端部300と末端部302とを備えており、また近接端部の幅は、末端部の幅より広いのが望ましい。
【0180】
中央チャネル44は、収束する壁46eの間を長手方向軸線に沿ってリテイナ20eを延びている。チャネル44の長手方向軸線の方向に沿った地点で計測した横方向の寸法は、同様に、種々に変化する。
【0181】
中央チャネル44は、先端を切り取った上方部分を有しており、これにより、チャネルは上方開口部47eを有するU字型となる。チャネル44の底面及び側面は、円弧を描き、実質的にカテーテルアダプタ22eの形状と適合しており、カテーテルアダプタ22eは、チャネル44の底面及び側面により受け取られ得る。チャネル44の種々の直径は、長手方向長さのカテーテルアダプタ22eを受け取るような大きさである。チャネル44eの各部分は、カテーテルアダプタ22eの対応する部分にほぼ適合する曲率半径の円弧形状である。図示した実施形態において、曲率半径は、チャネル44eの長手方向長さに沿って変化する。ただし、上記の実施形態により図示したように、チャネル44eの曲率半径はほぼ均一な場合とすることもできる。
【0182】
図15cから最もよく理解されるように、チャネル44eは、断面において、上方開口部47eが長手方向の一定の地点におけるチャネル44eの直径より小さくなるように、長手方向軸線を中心に180°より大きい円弧状部の中を延びている。図示した実施形態において、チャネル44eは、チャネル軸線を中心に約200°の円弧状部の中を延びているのが望ましい。
【0183】
リテイナは、少なくとも1つのスロット50eも備えており、スロット50eは、長手方向軸線にほぼ垂直に配置されており、またチャネル44eを近接チャネル部と末端チャネル部とに区画するようにチャネル44eを延びている。図示した実施形態において、近接端チャネル部分と末端チャネル部分は長手方向長さとほぼ等しいが、同じ長さである必要はない。しかしながら、チャネル部分の長さにより、カテーテルアダプタ22eがリテイナ20eに挿入された際に、カテーテルアダプタ22eが、ずれない(すなわち、固定パッドに平行な平面内でリテイナに対して旋回しない)ように、安定しているのが望ましい。リテイナ20eの各チャネル部分は、さらに、カテーテルアダプタ22eの対応部分を受け取るような大きさである。各スロット50eは、カテーテルアダプタ22eのカラー200eを受け取るような大きさである。
【0184】
スロット50eは、アダプタのカラー200eの厚さに実質的に適合する厚さである。但し、スロット50eの厚さは、近接端チャネル部分と末端チャネル部分の長手方向長さを結合した長さより薄い。このような寸法の関係により、カテーテルアダプタ22eがリテイナ20eに挿入された際に、保持されたカテーテルアダプタ22eの安定度がさらに増す。
【0185】
図示した実施形態において、リテイナ20eは、近接チャネル部分と末端チャネル部分との間に連続して配置された(すなわち、互いに隣り合った)少なくとも2つのスロット50eを有している。連続したスロットは、2個と20個との間のスロットを含むのが望ましい。さらに好ましくは、連続したスロットは、7個未満のスロットを備える。図示した実施形は、2個のスロットを示している。
【0186】
上述のように、各スロット50eは、上に詳細に述べたように長手方向にカテーテルがずれないように、アダプタの環状カラー200eの一部分を受け取るような大きさである。各スロット50eは、長方形であり、外側表面52eから壁46e、そして中央チャネル46eへと延びるのが望ましい。上述のように、各スロット50eの(長手方向に計測した)幅は、嵌合部304を受け取るように、長手方向に計測した嵌合部304の幅より若干大きいのが望ましい。
【0187】
さらに、リテイナ20eは、チャネル44eの底部に形成されたレリーフ部308を備えるのが、望ましい。レリーフ部308は、カラー200eの一部分がスロット50eの内の1つに配置された際に、カラー200eの一部分を受け取るような大きさである。
【0188】
指置き台310は、リテイナ20eの側壁46eから延びている。指置き台310は、治療者が、カテーテルアダプタ22eをリテイナ20eから取り外す際には、リテイナ20eを、患者の皮膚に押しつけながら、カテーテルアダプタ22eつまりリテイナ20eが接続されたアダプタ上で引っ張ることができるような大きさであり構成である。
【0189】
このように構成されており、その上、スロット50eと環状カラー200eとの間で内部係合していることから、円錐形のチャネル44eと円錐台形の嵌合部304とが協働することにより、カテーテルが長手方向に近接から末端方向へ動くことが防止される。すなわち、加わった力が末端方向の嵌合部304にかかる際、嵌合部304は、(壁46eの近接端部に向かって計測した一様に狭くなっていく直径の)壁46eの部分と接触するまで前進する。嵌合部304が接触すると、嵌合部304とそこに取り付けられたカテーテルとは、さらに末端へ動かないように制限される。
【0190】
図16は、図15aから図15cに関して前述したカテーテルシステムと同様のカテーテルシステムの他の実施形態を図示している。従って、これらの実施形態の同様の構成要素を示すために「f」を末尾に付加した同様の参照番号を使用した。従って、同様の構成要素の前の記述は、異なることを述べない限り、本実施形態に同様に適用される。
【0191】
図示した実施形態において、カテーテルハブ304の円錐形の部分は、カラー200fの近接側300fとカラー200fの末端側302fとの間で、直径が変則的な大きさである。すなわち、カラー200fは、カラー200fの末端側302fにおける円錐部分の最大の直径より大きいが、これは、近接側300fにおける円錐部分の最小の直径ということである。
【0192】
リテイナ20fは、カテーテルアダプタ22fの円錐形部分の形状に対応する形状である。近接部300fのチャネル部分は、アダプタの円錐部分の近接部300f側の曲率半径とほぼ一致する曲率半径である。また、末端部302fのチャネル部分は、アダプタの円錐部分の末端部302f側の曲率半径とほぼ一致する曲率半径である。このように、近接部300fのチャネル部分の最大直径は、末端部302fのチャネル部分の最大直径より大きい。
【0193】
リテイナ20fを、上方開口部47fを露出し、固定パッド16fから向きをそらしたまま、固定パッド16fの頂上に取り付ける。リテイナ20fを固定パッド16fに取り付けるのと同様に、固定パッド16fとリテイナ20fを組み立てることは、上述の記載の通りに行う。さらに、図15に図示するように、固定パッド16fはチューブクリップ24fを支持する。
【0194】
上記の実施形態と同様に、本カテーテルシステムを利用して、カテーテルを(給送・排出を行う)流体ラインへ最初に接続する。上記の記載通りにカテーテルを動脈などの体腔内へ挿入する。次に、看護人が、連結アダプタ22cの末端部を、カテーテルアダプタに挿入し、アダプタと一体に接続する。次に、看護人は、上述のラチェットクリップまたはカテーテルアダプタの近接端部のねじ状連結部の間に形成されたルアロック型の嵌合部と流体チューブに取り付けられたアダプタの端部の回転ナットとにより、アダプタを内部接続することができる。
【0195】
看護人は、上述のように、最初に固定パッド16fの裏側粘着面を覆っている紙製の背面紙を取り除き、固定パッド16fを留置カテーテルの近接の患者の皮膚に取り付ける。看護人は、特に、カテーテル本体またはカテーテルカニューレ周辺にパッド16fのノッチを配置する。看護人は、固定パッド16fの近接端部を挿入箇所に配置するのが一般的である。
【0196】
看護人は、アダプタ22fをリテイナの連続したスロット50f上方に配置し、アダプタ22fをリテイナ20fへはめ込む。このようにすると、リテイナ20fのスロット50fのうちの1つへ延びている環状カラー200fを伴い、アダプタ20fが、リテイナ20fの長手方向壁46fの間に押しつけられる。看護人がアダプタ22fをリテイナ20fへ押し込むと、長手方向壁46fのスロット50fの周辺の面取り端部312(図15aを参照)により、環状カラー200fがスロット50fへ案内される。環状カラー200fがスロット50fのうちの1つに配置されることにより、アダプタ22fの長手方向へのずれが防止される。
【0197】
リテイナ20fについての上述の実施形態と同様に、人間工学を利用してリテイナ20fを設計することにより、リテイナ22fの配置または使用方法には注意を要すことなく、アダプタ22fをリテイナ20fに種々配置することができる。すなわち、リテイナ20fの特定のスロット50fに対して環状カラー200fがどこに配置されるかに関わらず、看護人は単にアダプタ22fをリテイナ20fに押し込めばよい。環状カラー200fが連続したスロット50fの上方に配置される限り、壁の面取り端部312は、環状カラー200fをスロット50fへ案内するだろう。
【0198】
図17及び図18は、本発明の他の実施形態によるカテーテルシステムを図示している。カテーテルシステムの他の実施形態と同様に、本実施形態は、カテーテルと、リテイナ及び固定パッドを有する固定システムとを備えている。矛盾のないように、再度、図11の固定システム及び図16の固定システムの類似の部分を示すために、末尾に「g」を付加した同様の番号を使用した。従って、同様の構成要素についての前の記述は、異なる記述をしていない限りは、本実施形態に同様に適用されるものと理解すべきである。
【0199】
前記の実施形態と同様に、本実施形態は、カテーテルを患者の身体に固定し、カテーテルを長手方向、横断方向、横方向に動かないようにするように、互いに協働するアダプタ及びリテイナを提供するという概念を用いている。さらに、前記の実施形態と同様に、固定システムは、配置または使用方法に注意を要さないという概念を含み得る。すなわち、治療者は、カテーテルアダプタをリテイナのほぼ上方に配置し、アダプタをリテイナに押し込むだけでよい。このように、係合するために、アダプタをリテイナに大雑把に配置するだけでよい。
【0200】
図17は、一対の実質的に平行な壁46gの間に形成され、はまり込む方式でアダプタ22gのチューブ状本体を受け取るように構成された長手方向チャネル44gを備えるリテイナ20gを図示している。このように、チャネルの構成は、上記のチャネルの構成と同様で、長手方向軸線Lを中心としている。
【0201】
さらに、リテイナ20gは、長手方向軸線に向かって一方の壁46gから横方向に延びる、少なくとも1つの突起部400または突出部400を備えている。以下に説明するように、突起部400は、カテーテルアダプタ22gの凹部と協働するように、大きさが設定され、構成されている。ただし、突起部400は、長手軸線方向のチャネル44gへ横断方向に延ばすことができる。
【0202】
図示した実施形態において、リテイナ20gは、複数の突起部400を有する。1つの形態では、2つの突起部が、対向する壁46gに互いに向き合って配置される。このように、突起部400のセットは、互いに向き合っている。さらに、リテイナ20gは、チャネル44gの長さに沿って配置された複数の突起部を備えるのが、望ましい。従って、リテイナ20gとアダプタ22gとを、係合させる前に大雑把に配置するだけでよいように、複数の突起部セット400により、アダプタ22gをリテイナ20g内に種々配置することができる。横方向及び横断方向の両方向に延びる突起部400をリテイナとともに用いることができる。
【0203】
突起部400は、チャネル44gの第1の部分とチャネル44gの第2の部分との間に配置するのが望ましい。図示した実施形態において、一方のチャネル部分は、チャネル44gの近接端部に形成し、もう一方の端部は、チャネル44gの末端部に形成する。各チャネル部分は、アダプタ22gが振動しないように、十分長く、アダプタ22gの長さを十分支持するのが、望ましい。
【0204】
各突起部400は、わずかな力がかかっても持ちこたえる程度、すなわち、治療者が押しつけても破損しない程度の十分な厚さまたは大きさであるのが、望ましい。さらに、チャネル44gに突出する突起部400の部分は、カテーテルアダプタ22gが長手方向に動かない程度の横方向または横断方向の寸法であり、また、これは、カテーテルアダプタ22gがチャネル44g内外へ位置しない程度の寸法でもある。すなわち、後述のように、突起部400は、カテーテルアダプタ22g上の対応する構造と係合できる程度にチャネルへ延びている。
【0205】
図示した実施形態において、各突起部400は、リテイナ基部48gとほぼ平行な平面においてほぼ長方形である。従って、突起部400は、チャネル44gの上方縁において、各壁46gの部分に沿って連続した四角形の歯を形成しているのが一般的である。ただし、突起部400は、半円形、四角形、曲線形、三角形などにとどまらず、他にも広範囲で種々の形状に構成することができる。カテーテルアダプタ22gが長手方向に動かないように、突起部400は、特定の実施形態に合わせて、図示したように直線形、または曲線状、曲線形とすることができる。
【0206】
チャネル44gの上方縁より下で、各突起部は、対応する壁46gに向かって先が細くなっている。図示した実施形態において、後述するように、この先細部406は、アダプタ22gに対する表面に対応するのが望ましい弓形通路となっている。ただし、突起部400は、チャネル44gの円弧部分全体に(すなわち、下に向かって一方の側の壁から、チャネルの底を渡り、上に向かってもう片方の側の壁へと)延ばすことができる。または、突起部400は、チャネル底部へ下方向に延ばすことができる(図18参照)。
【0207】
上記のように、突起部400が、カテーテルアダプタ22gの対応する凹部と協働するように、大きさを設定し構成されるのが利点である。カテーテルアダプタ22gは、図17に図示したような流体チューブまたは図18に図示したようなカテーテル(例えば、カテーテルハブ)のいずれかの端部の嵌合部とすることができる。但し、これに限定されるものではない。
【0208】
一実施形態において、突起部400は、アダプタ22gがリテイナ20gに対して長手方向動かないように、凹部に嵌合し凹部の側と係合する。図示した実施形態において、アダプタ22gは、複数の環状溝408またはくぼみ408(例えば3つの溝)を備えるが、種々の数の環状溝408をアダプタ22gに用いることができる。ただし、アダプタ22gをリテイナ20g内の複数の場所に収容するためには、突起部セット400の数を溝408の数より少なくしなければならない。
【0209】
各環状溝408は、アダプタ22gの近接端部28gと末端部26gとの間に配置され、アダプタ22gを囲みながら内側方向へ放射状に延びる。前述のように、さらに、各環状溝408の長手方向に計測した厚さは、突起部400の長手方向長さより若干短く、その結果、環状のくぼみ408の少なくとも一部分が、リテイナの壁46gの突起部408の周辺で嵌合する。
【0210】
このように、各環状溝408は、アダプタ22gの外側の弓状表面を画定する。図示した実施形態において、上述のように、この弓状表面の半径は、各壁46gに向かって先が細くなっていくが、対応する突起部400から続く曲率半径より大きくないのが望ましい。
【0211】
図18は、図17に示したようにアダプタ22gが一様の直径であるのではなく、リテイナ20gがアダプタ22gの円錐台形部304gを受け取るように構成されているという点を除いて、図17とほぼ同様である。リテイナ20gと先細のアダプタ22gとの間ではめ込み係合を形成するように、チャネル44gが、収束する壁46gの間で長手方向軸線に沿ってリテイナ20gを延びており、このように、先細または段差のある領域が形成される。図示した実施形態では、リテイナ20g上に形成された4個の突起部400が示されているが、リテイナ20gとともに適当な数の突起部(2個から20個)を用いることができることが理解される。
【0212】
上の記述により、カテーテルシステムの本実施形態は、最初に動脈などの体腔内へカテーテルを挿入することにより用いられる。次に治療者は、カテーテルアダプタを一体に接続し、カテーテルを流体ラインに取り付ける。さらに、治療者は、上述のラチェットクリップ、またはカテーテルアダプタの近接端部のねじ状連結部と流体チューブに取り付けられたアダプタの端部の旋回ナットとの間に形成された、ルアロック型嵌合部により、アダプタを相互連結することができる。
【0213】
治療者は、アダプタ22gをリテイナの連続した突起部400上方に配置し、アダプタ22gをリテイナ20gへはめ込む。このようにすると、アダプタ22gは、対応する突起部400を受け取る環状凹部408の少なくとも一部分を伴い、リテイナ20gの長手方向壁46gの間に押しつけられる。突起部400のうちの1つの近傍に配置された環状凹部408の少なくとも一部分により、アダプタ22gの長手方向へのずれが防止される。前述のように、次に、治療者は、固定パッド16gの底側粘着面を初めに覆っている紙製背面紙を取り外し、留置カテーテル近接の患者の皮膚に固定パッド16gを装着する。
【0214】
前に説明したように、人間工学を利用してリテイナ20gを設計することにより、リテイナ22gの配置または使用方法には注意を要すことなく、アダプタ22gをリテイナ20gに種々に配置することができる。すなわち、治療者は、リテイナ20gの特定の突起部400に対して環状凹部408がどこに配置されるかに関わらず、アダプタ22gをリテイナ20gへ単に押し込むことができる。さらに、環状凹部408が、連続した突起部400の上方に配置される限りは、壁46gの面取り端部312gが、環状凹部を突起部400の少なくとも1つの部分の近傍に案内するだろう。
【0215】
本発明では、ある好ましい実施形態について記述してきたが、当業者に明らかである他の実施形態も本発明の範囲内である。一実施形態の種々の態様は、他の実施形態と置き換えることができることも理解される。従って、本発明の範囲は、以下に続く請求項のみにより定義されるように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0216】
【図1】本発明の好ましい実施形態による、患者の手の甲に装着されたカテーテル固定システムの斜視図である。
【図2】図1のカテーテル固定システムの平面図である。
【図3】図2のカテーテル固定システムのリテイナの平面図である。
【図4a】図3のリテイナの正面図である。
【図4b】図3のリテイナの背面図である。
【図5】図3のリテイナの側面図である。
【図6】本発明の他の好ましい実施形態によるカテーテル固定システムの平面図である。
【図7a】図6のカテーテル固定システムのリテイナ及びレールアッセンブリの正面図である。
【図7b】図6のリテイナ及びレールアッセンブリの側面図である。
【図8】図7aのリテイナ及びレールアッセンブリの8−8の線に沿った断面図である。
【図9】本発明の別の好ましい実施形態によるカテーテル固定システムの平面図である。
【図10】図9のカテーテル固定システムのS型クリップの10−10の線に沿った側面図である。
【図11】本発明の別の好ましい実施形態によるカテーテル固定システムの上方から見た斜視図である。
【図12】図11のカテーテル固定システムの、リテイナにより保持されたアダプタを図示する平面図である。
【図13a】図12のリテイナの側面図である。
【図13b】図12のリテイナの平面図である。
【図14】図11の固定システムとともに用いることができる、他の実施形態のカテーテルアダプタの部分斜視図である。
【図15a】本発明の別の好ましい実施形態によるカテーテルシステムの側面図と、カテーテルシステムのリテイナを図示する側面図である。
【図15b】矢印15b−15bの方向で図示した図15のリテイナの平面図である。
【図15c】矢印15c−15cの方向で図示した図15aのリテイナの正面図である。
【図16】本発明の他の実施形態により形成されたカテーテルシステムの斜視図であり、カテーテルシステムから離れた位置にあるカテーテルを図示するものである。
【図17】本発明の他の実施形態により形成されたカテーテルシステムの斜視図であり、複数の放射状凹部を有するカテーテルアダプタと、リテイナがカテーテルアダプタを受け取る時に、凹部と協働する複数の突起部を有するリテイナとを図示するものである。
【図18】本発明の別の実施形態により形成されたカテーテルシステムの斜視図であり、複数の放射状凹部を有するカテーテルアダプタと、先細の直径を有するチャネルへと延びている複数の突起部を有するリテイナとを図示するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルシステムは、
アダプタから突出する側面部材を有する該アダプタを備えるカテーテルと、
長手方向軸線を中心に延びる第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、前記長手方向軸線にほぼ垂直に延び、前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分との間に配置される少なくとも1つの横方向スロットとを有するリテイナとを備え、
各チャネル部分には、前記長手方向軸線に沿った開口部が形成されており、各チャネル部分は、前記長手方向軸線を中心とする180°より大きい円弧状部分で、前記アダプタの少なくとも一部分を囲むような大きさであり、前記第1のチャネル部分と第2のチャネル部分のうち少なくとも1つの一部分は、ほぼ円錐形状であり、
前記スロットの長手方向長さは、前記アダプタの側面部材の大きさと実質的に等しく、また前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分の長手方向長さを結合した長さより短いような寸法であるため、前記横方向スロット内に前記側面部材を配置することにより、前記リテイナ内で前記アダプタを横方向に安定させることが可能であり、
前記アダプタの外径形状の少なくとも一部は、前記第1のチャネル部分又は前記第2のチャネル部分が有する円錐形状とほぼ同一の円錐形状であることを特徴とするカテーテルシステム。
【請求項2】
前記アダプタは円錐形のハブを備える、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記アダプタの側面部材は、前記アダプタの一部分を囲む環状カラーを備える請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記アダプタの側面部材は、前記長手方向軸線にほぼ垂直に延びる請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分のそれぞれは、前記リテイナの外面に開口する請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
さらに、底側粘着面と、前記リテイナが装着される上面とを有する可撓性のある固定パッドを備え、前記リテイナは、前記チャネル部分の前記開口部を露出するように配置される請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記リテイナは、前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分との間に配置された少なくとも2つの横方向スロットを備え、各横方向スロットは、カテーテルが長手方向に動かないように、前記アダプタの側面部材の少なくとも一部分を受け取るような大きさであり、前記横方向スロットは、前記側面部材を挿入する前記長手方向の複数の位置にあるように、長手方向軸線に沿って互いに隣接して配置される、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
各前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分は、前記各チャネル部分により受け取られる前記アダプタの対応する部分の形状とほぼ適合する曲率半径の、ほぼ弓形である請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分のそれぞれの少なくとも一部分は、ほぼ円錐形である請求項8に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記第1のチャネル部分の最小曲率半径は、前記第2のチャネル部分の最大曲率半径より大きい請求項8に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
アダプタから離れる方向に延びる突出部材を有する該アダプタを備えるカテーテルとともに用いるための固定システムであって、前記固定システムは、
長手方向軸線を中心に延びる第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、前記長手方向軸線にほぼ垂直に延び、前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分との間に配置された少なくとも1つの横方向スロットとを有するリテイナを備え、
各チャネル部分には、前記長手方向軸線に沿った開口部が形成されており、各チャネル部分は、前記長手方向軸線を中心に180°より大きい円弧状部分で、前記アダプタの少なくとも一部分を囲むような大きさであり、前記第1のチャネル部分と第2のチャネル部分のうちの少なくとも1つの一部分は、ほぼ円錐形状であり、
前記スロットの長手方向長さは、前記アダプタの前記突出部材の大きさと実質的に等しく、また前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分の長手方向長さを結合した長さより短いような寸法であるので、前記横方向スロット内に前記突出部材を配置することにより、前記リテイナ内で前記アダプタを横方向に安定させることが可能であり、
前記アダプタの外径形状の少なくとも一部は、前記第1のチャネル部分又は前記第2のチャネル部分が有する円錐形状とほぼ同一の円錐形状であることを特徴とする固定システム。
【請求項12】
前記リテイナは、前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分との間に配置される少なくとも2つの横方向スロットを備え、各横方向スロットは、前記カテーテルが長手方向に動かないように、前記アダプタの前記突出部材を受け取るような大きさであり、前記横方向スロットは、前記突出部材を挿入する長手方向の複数の位置に配置される、請求項11に記載の固定システム。
【請求項13】
各前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分とは、ほぼ弓形である請求項11に記載の固定システム。
【請求項14】
前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分のそれぞれの少なくとも一部分は、ほぼ円錐形である請求項13に記載の固定システム。
【請求項15】
前記第1のチャネル部分の最小曲率半径は、前記第2のチャネルの最大曲率半径より大きい請求項13に記載の固定システム。
【請求項16】
前記チャネル部分はともに一方の側に沿ってほぼ円錐形状を画定する請求項11に記載の固定システム。
【請求項17】
前記アダプタの対応する部分を受け取るように構成される各チャネル部分と、前記カテーテルが長手方向に動くのを防ぐために、前記アダプタの突出部材を受け取るような寸法である各前記少なくとも1つの横方向スロットとを備え、前記横方向スロットは、前記突出部材を挿入するための前記長手方向の複数の位置を提供するように、前記長手方向軸線に沿って互いに隣接して配置される請求項11に記載の固定システム。
【請求項18】
底側粘着面と前記リテイナが装着される上面とを有する可撓性のある固定パッドをさらに備え、前記リテイナは、前記チャネル部分に開口部を露出するように配置されている請求項17に記載の固定システム。
【請求項19】
各前記第1のチャネル部分と前記第2のチャネル部分とは、一方の側に沿ってほぼ円錐形状である請求項17に記載の固定システム。
【請求項20】
前記カテーテルは、少なくとも1つの凹部を有するアダプタを備え、前記リテイナのチャネルは、前記アダプタの少なくとも一部分をスナップ嵌合するような方法で受け取るように構成され、前記リテイナは、前記チャネル内へ突出する少なくとも1つの突起部をさらに備え、前記突起部は、前記アダプタの凹部の長手方向長さと実質的に等しいような寸法の長手方向長さを有する請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項21】
前記突起部は、前記長手方向軸線を中心に前記チャネルの円弧部分の中を延びている請求項20に記載のカテーテルシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13a】
image rotate

【図13b】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15a】
image rotate

【図15b】
image rotate

【図15c】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2008−302237(P2008−302237A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197572(P2008−197572)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【分割の表示】特願2000−545603(P2000−545603)の分割
【原出願日】平成11年4月27日(1999.4.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508046395)ヴェネテック インターナショナル,インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】