説明

カバー付コネクタ

【課題】ねじれ力に対するカバー保持力を向上したカバー付コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタハウジング11と、このコネクタハウジング11に嵌合されるカバー21とを備えるカバー付コネクタ1であって、コネクタハウジング11は、嵌合したカバー21をコネクタハウジング11から引き離す方向に対して直交する方向に突設した規制リブ16を有する。また、カバー21は、規制リブ16に対応する形状で形成されて、コネクタハウジング11へのカバー21の嵌合時に規制リブ16が挿入される規制溝26を有する。規制リブ16は、突設方向の基端から先端に向かうにしたがって幅が広くなるように形成されており、コネクタハウジング11にカバー21を嵌合した状態で、規制溝26とこれに挿入した規制リブ16とにより、コネクタハウジング11に対するカバーの嵌合解除が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングから引き出された電線を覆って保護するカバーを備えたカバー付コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コネクタハウジングから引き出された電線を覆って保護するカバーを備えたカバー付コネクタとして、例えば、特開2010−9788号公報(特許文献1)に記載されたカバー付コネクタが提案されている。
【0003】
このカバー付コネクタは、電線の端末に接続された端子を収容するコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに嵌合されて、コネクタハウジングから引き出された電線を覆うカバーとから略構成されている。
【0004】
コネクタハウジングは、コネクタハウジングに嵌合したカバーをコネクタハウジングから引き離す方向に対して直交する方向に突設した嵌合突部を有している。この嵌合突部は、コネクタハウジングからの突設方向の全長に亘って同一幅に形成されている。そして、嵌合突部は、コネクタハウジングからの突設方向とカバーのコネクタハウジングからの引き離し方向との双方と直交する方向に、一直線状に延在している。一方、カバーは、コネクタハウジングにカバーを嵌合させるときに、嵌合突部がその延在方向の一端側から挿入される嵌合凹部を有している。
【0005】
そして、嵌合凹部に嵌合突部を挿入することにより、コネクタハウジングにカバーが嵌合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−9788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したカバー付きコネクタでは、コネクタハウジングとカバーとの嵌合部分にねじれ力がかかることがある。そして、ねじれの方向によっては、コネクタハウジングとカバーとの間に、コネクタハウジングに対する嵌合突部の突設方向(嵌合突部がカバーの嵌合凹部から引き抜かれる方向)の力が、ねじれ力によってコネクタハウジングとカバーとの間にかかる場合がある。
【0008】
ところが、上述したカバー付コネクタでは、嵌合突部がコネクタハウジングからの突設方向の全長に亘って同一幅に形成されているため、カバーとコネクタハウジングとの間に嵌合突部を嵌合凹部から引き抜く方向の力が加わった場合に、嵌合突部と嵌合凹部との嵌合が外れてコネクタハウジングからカバーが外れやすい。このため、ねじれ力に対するカバー保持力が低いという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、ねじれ力に対するカバー保持力を向上したカバー付コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載した本発明のカバー付コネクタは、電線に接続された端子を収容するコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに嵌合されて、該コネクタハウジングから引き出された前記電線を覆うカバーとを備えるカバー付コネクタであって、前記コネクタハウジングと前記カバーとのうちいずれか一方は、該コネクタハウジングに嵌合したカバーを前記コネクタハウジングから引き離す方向に対して直交する方向に前記一方から突設した規制リブを有し、前記コネクタハウジングと前記カバーとのうちいずれか他方は、前記規制リブに対応する形状で形成されて、前記コネクタハウジングへの前記カバーの嵌合時に前記規制リブがその延在方向の端部から挿入される規制溝を有し、前記規制リブは、前記一方からの突設方向と前記カバーの前記コネクタハウジングからの引き離し方向との双方と直交する方向に、一直線状に延在し、前記突設方向の基端から先端に向かうにしたがって幅が広くなるように形成されており、前記コネクタハウジングに前記カバーを嵌合した状態で、前記規制溝とこれに挿入した前記規制リブとにより、前記コネクタハウジングに対する前記カバーの嵌合解除が規制されることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載した本発明のカバー付コネクタは、請求項1に記載のカバー付コネクタにおいて、前記一方は、前記規制リブの前記延在方向と平行して延在し前記突設方向に前記一方から突設されたガイドリブを有し、前記他方は、前記コネクタハウジングへの前記カバーの嵌合時に前記ガイドリブがその延在方向の端部から挿入されるガイド溝を有し、前記規制リブと前記ガイドリブとは、それぞれの延在方向と直交する断面の形状が互いに異なることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載した本発明のカバー付コネクタは、請求項2に記載のカバー付コネクタにおいて、前記ガイド溝は、該ガイド溝の内壁面から突設され前記ガイドリブにその幅方向の一方から当接して前記ガイドリブの幅方向の他方を前記ガイド溝の対向する内壁面に押圧する押圧リブを有することを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載した本発明のカバー付コネクタによれば、コネクタハウジングとカバーとのうちいずれか一方の規制リブは、カバーをコネクタハウジングから引き離す方向に対して直交する方向に、一方から突設して、突設方向における基端から先端に向かうにしたがって幅が広くなるように形成されている。また、この規制リブに対応する形状で、コネクタハウジングとカバーとのうちいずれか他方に規制溝が形成されている。このため、カバーに、コネクタハウジングから引き離す方向への引張力を含むねじれ力が加わった場合に、規制リブが規制溝から外れることがない。
【0014】
従って、ねじれ力に対するカバー保持力を向上したカバー付コネクタを提供することができる。
【0015】
請求項2に記載した本発明のカバー付コネクタによれば、コネクタハウジングとカバーとのうちいずれか他方には、規制リブとは異なる断面形状を有するガイドリブが挿入されるガイド溝を有している。このため、規制リブがガイド溝に挿入されようとすると、互いの断面形状の違いから、カバーが誤った位置に嵌合されていることを検知することができ、カバーが誤った位置に嵌合されることを防止することができる。
【0016】
請求項3に記載した本発明のカバー付コネクタによれば、ガイド溝は、ガイドリブにその幅方向の一方から当接して他方を対向するガイド溝の内壁面に押圧する押圧リブを有する。このため、ガイドリブがガイド溝内で幅方向にがたつくことによる振動や異音を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ねじれ力に対するカバー保持力を向上したカバー付コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するコネクタハウジングを示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1のコネクタハウジングの規制リブとガイドリブを示す平面図である。図2(b)は、図2(a)のコネクタハウジングの連結部を拡大して示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するカバーを示す展開状態の斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するカバーを示す展開状態の平面図である。
【図5】図3及び図4のカバーの被連結部を拡大して示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するネクタハウジングとカバーとの嵌合部分にねじれ力がかかる場合を示す説明図である。
【図7】図7(a)は、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成する連結部と非連結部の部分を拡大して示す平面図である。図7(b)は、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するカバーにコネクタハウジングから引き離す方向への引張力が加わった場合を示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを示す平面図である。
【図9】図9(a)は、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するコネクタハウジングの誤った位置にカバーを嵌合しようとした場合を示す平面図である。図9(b)は、図9(a)のコネクタハウジングの連結部とカバーの非連結部の部分を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタについて図面を参照して説明する。はじめに、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するコネクタハウジングについて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するコネクタハウジングを示す斜視図である。図2(a)は、図1のコネクタハウジングの平面図である。図2(b)は、図2(a)のコネクタハウジングの連結部を拡大して示す平面図である。
【0021】
なお、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタは、電線に接続された端子(図示省略)を収容するコネクタハウジング11と、このコネクタハウジング11に嵌合されて、コネクタハウジング11から引き出された電線(図示省略)を覆うカバー21(図3を参照して後述する)とを備えるカバー付コネクタ1に関するものである(後述する図6、図8、図9(a)参照)。
【0022】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係るコネクタハウジング11は、複数の端子を収容する端子収容室12を有するコネクタハウジング本体13と、このコネクタハウジング本体13に連設されてその外部に配置された連結部14とを有している。
【0023】
コネクタハウジング本体13は、端子収容室12に収容された複数の端子(図示省略)と接続する端子を収容した相手側コネクタハウジング(図示省略)が挿入される挿入口15を有している。
【0024】
連結部14は、図2(a)に示すように、コネクタハウジング11に後述する図3のカバー21を嵌合するために、コネクタハウジング本体13のカバー21が嵌合される側(図2(a)中上方の左右両側にそれぞれ設けられている。各連結部14は、規制リブ16とガイドリブ17とを有している。
【0025】
規制リブ16は、コネクタハウジング11に嵌合したカバー21(後述する図3参照)をコネクタハウジング11から引き離す方向(図1の矢印Y方向)に対して直交する方向(図1の矢印X及び矢印X´方向)に、コネクタハウジング本体13から突設されている。そして、突設方向(図1の矢印X及び矢印X´方向)とカバー21のコネクタハウジング11からの引き離し方向(図1の矢印Y方向)との双方と直交する方向(図1の矢印Z方向)に一直線状に延在している。また、規制リブ16は、図2(b)に示すように、その突設方向(図1の矢印X及びX´方向)の基端16aから先端16bに向かうにしたがって幅が広くなるように形成されている。
【0026】
この規制リブ16は、後で図3及び図4を参照して説明するカバー21の規制溝26に端部16cから挿入することにより、規制溝26と協働して、コネクタハウジング11に対するカバー21の嵌合解除を規制する。
【0027】
また、ガイドリブ17は、図1及び図2(a)に示すように、規制リブ16と同じ方向(図1の矢印X及び矢印X´方向)に、コネクタハウジング本体13から突設されている。そして、規制リブ16と平行して、突設方向(図1の矢印X及び矢印X´方向)とカバー21のコネクタハウジング11からの引き離し方向(図1の矢印Y方向)との双方と直交する方向(図1の矢印Z方向)に一直線状に延在している。また、ガイドリブ17は、図2(b)に示すように、その突設方向(図1の矢印X及びX´方向)の基端17aから先端17bまでに亘って同一幅に形成されている。
【0028】
このガイドリブ17は、規制リブ16を図3及び図4に示すカバー21の規制溝26に端部16cから挿入する際に、図3及び図4に示すカバー21のガイド溝27に端部17c(図2(b)参照)から挿入される。
【0029】
また、このガイドリブ17は、後で図3から図5を参照して説明するガイド溝27の内壁面28a(後述する図5参照)から突設された押圧リブ29(後述する図5参照)と当接する側面17eと、側面17eが押圧リブ29に当接した際に、ガイド溝27の対向する内壁面28b(後述する図5参照)に押圧される側面17fとを有している。
【0030】
上述した規制リブ16とガイドリブ17とは、それぞれの延在方向(図1の矢印Z方向)と直交する断面の形状が互いに異なるように形成されている。つまり、規制リブ16の断面形状は、略台形形状を有しているが、ガイドリブ17の断面形状は、略長方形形状を有している(図2(b)参照)。
【0031】
次に、図3から図5を参照して、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するカバーについて詳細に説明する。図3は、本発明の実施形態に係るカバーを示す展開状態の斜視図である。
【0032】
また、図4は、図3のカバーを示す展開状態の平面図である。図5は、図4のカバーの被連結部を拡大して示す平面図である。
【0033】
図3及び図4に示すように、カバー21は、カバー本体22と、カバー本体22の内部に設けられ、カバー21のコネクタハウジング11(図1及び図2参照)との嵌合時に連結部14(図1及び図2参照)と連結される被連結部23とを有している。
【0034】
カバー本体22は、第1カバー本体22aと第2カバー本体22bとを有しており、第1カバー本体22aと第2カバー本体22bとは、ヒンジ24を介して接続されており、開口された状態の第1カバー本体22aと第2カバー本体22bとを折り重ね可能に構成されている。
【0035】
このカバー本体22(第1カバー本体22a、第2カバー本体22b)には、カバー21のコネクタハウジング11との嵌合時に電線(図示省略)をカバー本体22の外側に導出する細長いドーム状(箱形)の導出開口部25が形成されている。
【0036】
被連結部23は、規制リブ16(図1及び図2参照)に対応する形状で形成されて、コネクタハウジング11(図1及び図2参照)へのカバー21の嵌合時に規制リブ16がその延在方向(図1の矢印Z方向)の端部16c(図2(b)参照)から挿入される規制溝26を有している。
【0037】
この規制溝26には、コネクタハウジング11(図1及び図2参照)にカバー21を嵌合した状態(例えば、図8に示す状態)で、規制リブ16が端部16c(図2(b)参照)から挿入されることにより、コネクタハウジング11に対するカバー21の嵌合解除が規制される。
【0038】
また、被連結部23は、コネクタハウジング11(図1及び図2参照)へのカバー21の嵌合時にガイドリブ17(図1及び図2参照)がその延在方向の端部17c(図2(b)参照)から挿入されるガイド溝27を有している。
【0039】
このガイド溝27には、コネクタハウジング11(図1及び図2参照)にカバー21を嵌合した状態(例えば、後述する図8に示す状態)で、規制リブ16が端部16c(図2(b)参照)から挿入される。
【0040】
また、このガイド溝27には、図5に示すように、ガイド溝27の内壁面28aから突設され、ガイドリブ17(図1及び図2参照)にその幅方向(図1の矢印Y方向)の一方(図2(b)の側面17e)から当接して、ガイドリブ17の幅方向(図1の矢印Y方向)の他方(図2(b)の側面17f)をガイド溝27の対向する内壁面28bに押圧する押圧リブ29を有する。
【0041】
このように、ガイド溝27は、ガイドリブ17にその幅方向(図1の矢印Y方向)の一方から当接して他方(図2(b)の側面17f)を対向するガイド溝27の内壁面28bに押圧する押圧リブ29を有する。このため、ガイドリブ17がガイド溝27内で幅方向(図1の矢印Y方向)にがたつくことによる振動や異音を抑制することができる。
【0042】
次に、図6から図9を参照して、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するコネクタハウジングにカバーを嵌合する際の嵌合作業とカバー付コネクタの作用効果について説明する。
【0043】
図6は、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するコネクタハウジングとカバーとの嵌合部分にねじれ力がかかる場合を示す説明図である。図7(a)は、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成する連結部と非連結部の部分を拡大して示す平面図である。図7(b)は、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するカバーにコネクタハウジングから引き離す方向への引張力が加わった場合を示す平面図である。
【0044】
また、図8は、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを示す平面図である。図9(a)は、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタを構成するコネクタハウジングの誤った位置にカバーを嵌合しようとした場合を示す平面図である。図9(b)は、図9(a)のコネクタハウジングの連結部とカバーの非連結部の部分を拡大して示す平面図である。
【0045】
図6から図9に示すように、コネクタハウジング11の挿入口15(図1参照)から相手側コネクタハウジング(図示省略)が挿入されたコネクタハウジング11にカバー21を嵌合する。
【0046】
そして、相手側コネクタハウジングに収容された端子(図示省略)に接続したコネクタハウジング11の端子収容室12(図1参照)に収容された端子の電線(図示省略)をコネクタハウジング11から引き出して、カバー21の導出開口部25(図3及び図4)から電線を導出して電線を覆う。
【0047】
カバー21をコネクタハウジング11に嵌合する際には、図7(a)に示すように、コネクタハウジング11の連結部14の規制リブ16を、開口された状態(図3及び図4に示す状態)のカバー21の第1カバー本体22a又は第2カバー本体22bの被連結部23の規制溝26に、端部16c(図2(b)参照)から挿入する。その後、第2カバー本体22b又は第1カバー本体22aを被せて重ね合わせる際に、その被連結部23の規制溝26に規制リブ16の残りの部分を挿入する。
【0048】
これにより、コネクタハウジング11にカバー21が嵌合される。この状態では、規制溝26とこれに挿入した規制リブ16との係合により、コネクタハウジング11に対するカバー21の嵌合解除が規制される。
【0049】
上述したように、コネクタハウジング11の規制リブ16は、カバー21をコネクタハウジング11から引き離す方向(図1の矢印Y方向)に対して直交する方向に突設して、突設方向(図1の矢印X及びX´方向)における基端16aから先端16bに向かうにしたがって幅が広くなるように形成されている。また、この規制リブ16に対応する形状で、カバー21に規制溝26が形成されている。
【0050】
ここで、図6の矢印Aに示すように、カバー21に、コネクタハウジング11に対するねじれ力が加わった場合を想定する。この場合、図6中の向かって右側に配置されたコネクタハウジング11の規制リブ16では、その延在方向(図1の矢印Z方向、図6の上下方向)における一端側(図6における上端側)において、図7(b)に示すように、コネクタハウジング11からカバー21を引き離す方向(図7(b)の矢印B参照)への引張力が加わる。
【0051】
このとき、コネクタハウジング11の規制リブ16が、基端16a側が細く先端16b側が太いくさび状の断面形状を有しており、これに対応する断面形状を、カバー21の規制溝26が有しているので、規制リブ16が規制溝26から外れることがない。
【0052】
なお、図7(a)に示すように、連結部14の規制リブ16を規制溝26に挿入するときには、これと同時に、連結部14のガイドリブ17を、展開された状態(図3及び図4に示す状態)の第1カバー本体22a又は第2カバー本体22bの被連結部23のガイド溝27に、端部17c(図2(b)参照)から挿入する。その後、第2カバー本体22b又は第1カバー本体22aを被せて重ね合わせる際に、その被連結部23のガイド溝27にガイドリブ17の残りの部分を挿入する。
【0053】
ここで、ガイドリブ17及びガイド溝27は、上述したように、規制リブ16及び規制溝26とは異なる断面形状を有している。つまり、図9(a)及び図9(b)に示すように、規制リブ16の断面形状は、略台形形状を有しているが、ガイドリブ17の断面形状は、略長方形形状を有している。
【0054】
このため、規制リブ16を誤ってガイド溝27に挿入しようとしても、互いの断面形状の違いから挿入できない。このため、カバー21が誤った位置に嵌合されることを防止することができる(図9(b)参照)。
【0055】
また、ガイドリブ17がガイド溝27に挿入されると、上述したように、ガイド溝27の押圧リブ29がガイドリブ17にその幅方向(図1の矢印Y方向)の一方の面側から当接して、他方(図2(b)の側面17f)の面を対向するガイド溝27の内壁面28b(図5参照)に押圧する。
【0056】
そして、規制リブ16が規制溝26に挿入され、ガイドリブ17がガイド溝27に挿入された状態(図8に示す状態)で、開口された状態(図3及び図4に示す状態)の第1カバー本体22aと第2カバー本体22bとを折り重ねることにより、コネクタハウジング11から引き出された電線(図示省略)を覆う。
【0057】
このようにして、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1は、電線に接続された端子を収容するコネクタハウジング11と、このコネクタハウジング11に嵌合されて、コネクタハウジング11から引き出された電線を覆うカバー21とを備えるカバー付コネクタ1であって、コネクタハウジング11は、コネクタハウジング11に嵌合したカバー21をコネクタハウジング11から引き離す方向に対して直交する方向に一方から突設した規制リブ16を有し、カバー21は、規制リブ16に対応する形状で形成されて、コネクタハウジング11へのカバー21の嵌合時に規制リブ16がその延在方向の端部16cから挿入される規制溝26を有し、規制リブ16は、コネクタハウジング11からの突設方向とカバー21のコネクタハウジング11からの引き離し方向との双方と直交する方向に、一直線状に延在し、突設方向の基端16aから先端16bに向かうにしたがって幅が広くなるように形成されており、コネクタハウジング11にカバー21を嵌合した状態で、規制溝26とこれに挿入した規制リブ16とにより、コネクタハウジング11に対するカバーの嵌合解除が規制される。
【0058】
また、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1は、コネクタハウジング11は、規制リブ16の延在方向と平行して延在し、規制リブ16の突設方向にコネクタハウジング11から突設されたガイドリブ17を有し、カバー21は、コネクタハウジング11へのカバー21の嵌合時にガイドリブ17がその延在方向の端部から挿入されるガイド溝27を有し、規制リブ16とガイドリブ17とは、それぞれの延在方向と直交する断面の形状が互いに異なる。
【0059】
さらに、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1は、ガイド溝27は、ガイド溝27の内壁面28から突設されガイドリブ17にその幅方向の一方から当接してガイドリブ17の幅方向の他方をガイド溝27の対向する内壁面28に押圧する押圧リブを29有する。
【0060】
そして、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1によれば、コネクタハウジング11の規制リブ16は、カバー21をコネクタハウジング11から引き離す方向に対して直交する方向に、コネクタハウジング11から突設して、突設方向における基端16aから先端16bに向かうにしたがって幅が広くなるように形成されている。
【0061】
また、この規制リブ16に対応する形状で、カバー21に規制溝26が形成されている。このため、カバー21に、コネクタハウジング11から引き離す方向への引張力を含むねじれ力が加わった場合に、規制リブ16が規制溝26から外れることがない。
【0062】
従って、ねじれ力に対するカバー保持力を向上したカバー付コネクタ1を提供することができる。
【0063】
また、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1によれば、カバー21には、規制リブ16とは異なる断面形状を有するガイドリブ17が挿入されるガイド溝27を有している。このため、規制リブ16がガイド溝27に挿入されようとすると、互いの断面形状の違いから挿入できない。このため、カバー21が誤った位置に嵌合されることを防止することができる。
【0064】
さらに、本発明の実施形態に係るカバー付コネクタ1によれば、ガイド溝27は、ガイドリブ17にその幅方向の一方から当接して他方を対向するガイド溝27の内壁面28bに押圧する押圧リブ29を有する。このため、ガイドリブ17がガイド溝27内で幅方向にがたつくことによる振動や異音を抑制することができる。
【0065】
以上、本発明のカバー付コネクタを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0066】
例えば、本発明の実施形態では、規制リブ16はコネクタハウジング11に設けられ、規制溝26は、カバー21に設けられている場合について説明したが、規制リブ16がカバー21に設けられ、規制溝26がコネクタハウジング11に設けられていても良い。
【0067】
また、例えば、本発明の実施形態では、ガイドリブ17はコネクタハウジング11に設けられ、ガイド溝27は、カバー21に設けられている場合について説明したが、ガイドリブ17がカバー21に設けられ、ガイド溝27がコネクタハウジング11に設けられていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、電線に接続された端子を収容するコネクタハウジングに、コネクタハウジングから引き出された電線を覆うカバーを嵌合するカバー付コネクタに極めて有用である。
【符号の説明】
【0069】
1 カバー付コネクタ
11 コネクタハウジング
12 端子収容室
13 コネクタハウジング本体
14 連結部
15 挿入口
16 規制リブ
17 ガイドリブ
21 カバー
22 カバー本体
23 被連結部
24 ヒンジ
25 導出開口部
26 規制溝
27 ガイド溝
28a,28b 内壁面
29 押圧リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に接続された端子を収容するコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに嵌合されて、該コネクタハウジングから引き出された前記電線を覆うカバーとを備えるカバー付コネクタであって、
前記コネクタハウジングと前記カバーとのうちいずれか一方は、該コネクタハウジングに嵌合したカバーを前記コネクタハウジングから引き離す方向に対して直交する方向に前記一方から突設した規制リブを有し、
前記コネクタハウジングと前記カバーとのうちいずれか他方は、前記規制リブに対応する形状で形成されて、前記コネクタハウジングへの前記カバーの嵌合時に前記規制リブがその延在方向の端部から挿入される規制溝を有し、
前記規制リブは、前記一方からの突設方向と前記カバーの前記コネクタハウジングからの引き離し方向との双方と直交する方向に、一直線状に延在し、前記突設方向の基端から先端に向かうにしたがって幅が広くなるように形成されており、
前記コネクタハウジングに前記カバーを嵌合した状態で、前記規制溝とこれに挿入した前記規制リブとにより、前記コネクタハウジングに対する前記カバーの嵌合解除が規制されることを特徴とするカバー付コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のカバー付コネクタにおいて、
前記一方は、前記規制リブの前記延在方向と平行して延在し前記突設方向に前記一方から突設されたガイドリブを有し、
前記他方は、前記コネクタハウジングへの前記カバーの嵌合時に前記ガイドリブがその延在方向の端部から挿入されるガイド溝を有し、
前記規制リブと前記ガイドリブとは、それぞれの延在方向と直交する断面の形状が互いに異なることを特徴とするカバー付コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のカバー付コネクタにおいて、
前記ガイド溝は、該ガイド溝の内壁面から突設され前記ガイドリブにその幅方向の一方から当接して前記ガイドリブの幅方向の他方を前記ガイド溝の対向する内壁面に押圧する押圧リブを有することを特徴とするカバー付コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−45610(P2013−45610A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182296(P2011−182296)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】