説明

カプセル製品の製造方法

【課題】ボディとキャップを嵌合したカプセル内に収容物が充填され、嵌合部の外周をバンドシール剤で封止したカプセル製品を対象とし、簡素な装置構成により、高品質のカプセル製品を安定的に製出でき、多大な設備コストを要さずに製造効率を大幅に高める手段を提供する。
【解決手段】上側のキャップホルダー5内にキャップ3を保持し、下側に対向配置したボディホルダー6内に収容物を充填したボデイ2を保持し、キャップホルダー5とボディホルダー6が気密に合接した状態で、キャップホルダー5の上方側を吸引孔71付きの封鎖カバー7で封鎖し、ボディホルダー6の下部のピン挿入孔61に下方から押上げピン8を気密状態に挿入することにより、両ホルダー5,6内部が合一した密閉空間9を形成し、密閉空間9を封鎖カバー7の吸引孔71から真空吸引して減圧し、減圧下で押上げピン8にてボディ2を押し上げてキャップ3に嵌合させてカプセル形態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状のボディとキャップを嵌合したカプセル内に、例えば医薬や栄養剤としての液状、粉状、粒状等の収容物を充填したカプセル製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、この種のカプセル製品の製造では、供給される空カプセルを筒状のキャップとボディとに分離し、各々を回転テーブル等の移動ディスクに設けたキャップホルダーとボディホルダーにキャップ側を上位として保持させ、開口側を上にしたボディに収容物を充填したのち、両ホルダーが対向して連通する状態で、突出しピン等によってボディとキャップの一方を他方側へ移動させて嵌合してカプセル形態とし、次いで所謂バンドシールとして嵌合部の外周に粘着性のバンドシール剤を鉢巻き状に塗着し、該バンドシール剤を乾燥硬化させることにより、該バンドシール剤の硬化層によって嵌合部を封止する。
【0003】
そして、通常のカプセルでは、キャップがボディよりも若干径大に設定され、収容物を充填したボディの開口側にキャップが外嵌する形になっているが、収容物が液剤の場合、カプセル形態としてからシール工程へ移送する間に液漏れしないように、ボディとキャップとの嵌合公差が非常に小さく設定される。従って、嵌合に伴って内部空間の容積が減少していっても、内部の空気が抜けにくいため、嵌合後のカプセル形態では内圧が高まった状態になり易い。特に、図8に例示するカプセル1のように、嵌着状態を強固にするために、ボディ2の開口部近傍の外周に設けた環状凹部2aと、キャップ3の内奥に設けた環状凸部3aとを強制的に圧嵌して密着させる一般的な構造では、高まった内圧が低下するまでに長時間を要することになる。すなわち、同図(a)のように収容物の液剤Lを充填したボディ2の開口側をキャップ3内に挿嵌し、同図(b)のようにボディ2の開口端縁がキャップ3内の環状凸部3aに達するまでは、内部空間10の容積減少に伴って内部の空気がボディ2とキャップ3の周壁同士の隙間から比較的容易に流出する。しかるに、それ以降はボディ2の開口端部がキャップ3の環状凸部3aに圧接するため、空気が流出しにくくなって内圧の上昇を招く上、同図(c)で示す嵌合終了状態では環状凹部2aと環状凸部3aとの密着によって更に空気が抜けにくくなる。
【0004】
このようにカプセル形態とした段階で内圧が高ければ、以降も大気圧との差を解消するように内部の空気が徐々に流出し続けることになり、またカプセル1の姿勢によっては内部の液が漏れる場合もある。従って、図8(d)で示すように、後工程でカプセル1の嵌合部1aの外周に塗着したバンドシール剤4層が乾燥硬化するまでに、該バンドシール剤4層に内部空気の流出による気泡を生じて封止不良や外観悪化の要因になったり、直接の液漏れで封止破壊が発生するという問題があった。
【0005】
そこで、従来において、ボディとキャップとの嵌合を大気圧より低い負圧雰囲気下で行うことにより、嵌合後のカプセル形態での内圧を大気圧程度にして内部空気及び液の流出を防ぐことが提案されている(特許文献1,2)。すなわち、これら提案技術では、キャップを保持する上位側のキャップホルダーと、液剤を充填したボディを保持する下位側のボディホルダーとを合接した状態で、キャップホルダーの上方開口部を封鎖して両ホルダーの連通した内部を密閉空間とし、ボディホルダーの下部に設けた孔部に下方から挿入する押上げピンによってボディを押し上げてキャップに嵌合させる際、該押上げピン自体に設けた吸引孔(特許文献1)もしくは前記孔部の下面開口縁に接当させた吸引パイプ(特許文献2)を介して、予め前記密閉空間を真空吸引して負圧にしておくことにより、嵌合に伴って内圧が上昇しても大気圧程度になるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭57−1344号公報
【特許文献2】特開平2010−178835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の一方の提案技術のように、押上げピンとして吸引孔を備えるものを用いる方式では、該押上げピンとしての昇降機構に加え、その昇降過程で吸引通路及びホルダー内部空間を連通状態に維持して且つ外部に対して気密に保持する上で、複雑で精密な構造が必要になり、設備コストが高く付くという問題があった。また、前記従来の他方の提案技術のように、ボディホルダーの孔部の下面開口縁に接当させる吸引パイプを用いる方式でも、押上げピンを吸引パイプ内に配置した状態で、両者を別個に昇降させる動作機構を組み込む必要があり、やはり構造的に非常に複雑で設備コストが高く付くという問題があった。更に、これら提案方式におけるボディとキャップの嵌合部では各カプセル単位で吸引部と押上げピンが必要になるから、製造効率面より同時に複数個のカプセルを嵌合形成する仕様の場合、装置構成が更に複雑化して多大な設備コストを要するという難点もある。
【0008】
本発明は、上述の情況に鑑み、筒状のボディとキャップを嵌合したカプセル内に収容物が充填され、嵌合部の外周がバンドシール剤で封止された構造のカプセル製品の製造方法において、簡素な装置構成により、収容物を充填したボディとキャップとを嵌合して確実に内圧の低いカプセル形態とでき、もって後工程で塗着したバンドシール剤層に気泡を生じたり液漏れが発生することがなく、高品質のカプセル製品を安定的に製出できると共に、多大な設備コストを要さずに製造効率を大幅に高め得る手段を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、図面の参照符号を付して示せば、収容物(液剤L)を充填した筒状のボデイ2の開口側を筒状のキャップ3の内側に嵌合してカプセル1形態とし、その嵌合部1aを外周に塗着したバンドシール剤4の硬化層によって封止するカプセル製品の製造において、カプセル1形態とするに当たり、上下に開放したキャップホルダー5内にキャップ3を保持すると共に、該キャップホルダー5の下側に対向配置して上方に開放したボディホルダー6内に収容物を充填したボデイ2を保持し、キャップホルダー5とボディホルダー6が気密に合接した状態で、キャップホルダー5の上方側を吸引孔71付きの封鎖カバー7によって気密に封鎖すると共に、ボディホルダー6の下部に設けたピン挿入孔61に下方から押上げピン8を気密状態に挿入することにより、両ホルダー5,6内部が合一した密閉空間9を形成し、該密閉空間9を封鎖カバー7の吸引孔71からの真空吸引によって減圧し、この減圧下で押上げピン8にてボディ2を押し上げてキャップ3に嵌合させるか、もしくは非減圧下で同様にして嵌合させたのち、該密閉空間を同様にして減圧することを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、上記請求項1のカプセル製品の製造において、カプセル1形態とするに当たり、吸引孔71付きの封鎖カバー7により、同時に複数個のキャップホルダー5…の上方側を封鎖して真空吸引による減圧を行う構成としている。
【0011】
請求項3の発明は、上記請求項1又は2のカプセル製品の製造方法において、カプセル形態1とするに当たり、吸引孔71付きの封鎖カバー7の下面に設けた凹部(凹球面部72)に、キャップホルダー5に保持されたキャップ3の頂端を嵌合して固定する構成としている。
【0012】
請求項4の発明は、収容物(液剤L)を充填した筒状のボデイ2の開口側を筒状のキャップ3の内側に嵌合してカプセル1形態とし、その嵌合部1aを外周に塗着したバンドシール剤4の硬化層によって封止するカプセル製品の製造において、カプセル1形態とするに当たり、上下に開放したキャップホルダー5内にキャップ3を保持すると共に、該キャップホルダー5の下側に対向配置して上方に開放したボディホルダー6内に、収容物を充填したボデイ2を保持し、キャップホルダー5とボディホルダー6が合接した状態で、キャップホルダー5の上方側にカプセル押さえ蓋11を配置し、ボディホルダー6の下部に設けたピン挿入孔61に下方から挿入した押上げピン8により、ボディ2を押し上げてキャップ3に嵌合させる嵌合工程と、この嵌合後のカプセル1を保持したキャップホルダー5の上下両側を封鎖部材12,13によって気密に封鎖すると共に、両封鎖部材12,13の一方に設けた吸引孔14,15からの真空吸引により、該キャップホルダー5内部を減圧する減圧工程と、を順次経ることを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明は、上記請求項4のカプセル製品の製造において、嵌合工程ではカプセル押さえ蓋11によって同時に複数個のキャップホルダー5…の上方側を閉鎖すると共に、減圧工程では上下両側の封鎖部材12,13によって同時に同複数個のキャップホルダー5…の上下両側を気密に封鎖する構成としている。
【0014】
請求項6の発明は、上記請求項4又は5のカプセル製品の製造方法において、嵌合工程では、カプセル押さえ蓋11の下面に設けた凹部11bに、キャップホルダー5に保持されたキャップ3の頂端を嵌合して固定する構成としている。
【発明の効果】
【0015】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。請求項1の発明に係るカプセル製品の製造方法によれば、収容物(液剤L)を充填したボデイ2の開口側をキャップ3の内側に嵌合してカプセル1形態とする際に、キャップ3を保持したキャップホルダー5とボデイ2を保持したボディホルダー6とを気密に合接し、キャップホルダー5の上方側を吸引孔71付きの封鎖カバー7によって気密に封鎖すると共に、ボディホルダー6の下部のピン挿入孔61に下方から押上げピン8を気密状態に挿入することにより、両ホルダー5,6内部が合一した密閉空間9を形成し、該密閉空間9を封鎖カバー7の吸引孔71からの真空吸引によって減圧し、この減圧下で押上げピン8にてボディ2を押し上げてキャップ3に嵌合させるか、もしくは非減圧下で同様にして嵌合させたのち、該密閉空間9を同様にして減圧するようにしているから、該嵌合後のカプセル1における内圧を容易に且つ確実に低く設定できる。すなわち、前者の減圧下での嵌合を行う場合、密閉空間9の圧力を大気圧よりも充分に低くしておけば、嵌合に伴う内部空間10の容積減少で内圧が上昇しても、その上昇した内圧を大気圧以下にすることができる。また、後者の非減圧下での嵌合後に該密閉空間9を減圧する場合、嵌合によって一旦はカプセル1の内圧が大気圧よりも高くなっても、次の減圧下で内部空間10の空気が強制的にカプセル1外へ吸い出され、結果として内圧を大気圧以下にすることができる。
【0016】
従って、次の工程でカプセル1の嵌合部1aの外周に塗着したバンドシール剤4が乾燥硬化する過程で、内部の空気が流出して気泡を生じたり、液漏れが発生したりすることがなく、高品質のカプセル製品を安定的に製出できる。しかも、この構成では、減圧のための真空吸引を封鎖カバー7の吸引孔71によってキャップホルダー5の上方側から行い、押上げピン8は単に気密状態でボディホルダー6のピン挿入孔61に挿通するだけであるから、嵌合部の装置構成が非常に簡素になって低コストで製作できる。
【0017】
請求項2の発明によれば、上記のカプセル製品の製造方法において、カプセル1形態とするに当たり、吸引孔71付きの封鎖カバー7により、同時に複数個のキャップホルダー5…の上方側を封鎖することから、複数対の両ホルダー5,6間で構成される複数の密閉空間9…を同時に減圧して、これら密閉空間9…内で同時にボディ2とキャップ3の複数対を嵌合して複数個のカプセル1…を形成でき、多大な設備コストを要することなくカプセル製品の製造効率を大幅に高めることが可能となる。
【0018】
請求項3の発明によれば、上記のカプセル製品の製造方法において、カプセル1形態とするに当たり、吸引孔71付きの封鎖カバー7の下面に設けた凹部(凹球面部72)に、キャップホルダー5に保持されたキャップ3の頂端を嵌合して固定することから、該キャップ3の直立性が保たれてボディ2をスムーズに且つ確実に嵌合でき、該キャップ3が傾いた状態での嵌合による損傷や端部の凹み等を回避できる。
【0019】
請求項4の発明に係るカプセル製品の製造方法によれば、収容物(液剤L)を充填したボデイ2の開口側をキャップ3の内側に嵌合してカプセル1形態とする際に、まず嵌合工程として、キャップ3を保持したキャップホルダー5とボデイ2を保持したボディホルダー6とを合接し、キャップホルダー5の上方側にカプセル押さえ蓋11を配置した状態で、ボディホルダー6の下部のピン挿入孔61に下方から挿入した押上げピン8により、ボディ2を押し上げてキャップ3に嵌合させてカプセル1形態としたのち、減圧工程として、嵌合後のカプセル1を保持したキャップホルダー5の上下両側を封鎖部材12,13によって気密に封鎖し、両封鎖部材12,13の一方に設けた吸引孔14,15からの真空吸引により、該キャップホルダー5内部を減圧するから、嵌合工程で一旦はカプセル1の内圧が大気圧よりも高くなっても、次の減圧工程の負圧下で内部空間10の空気が強制的にカプセル1外へ吸い出され、結果として内圧を大気圧以下にすることができる。従って、次の工程でカプセル1の嵌合部1aの外周に塗着したバンドシール剤4が乾燥硬化する過程で、内部の空気が流出して気泡を生じたり、液漏れが発生することがなく、高品質のカプセル製品を安定的に製出できる。しかも、この構成では、真空吸引によってカプセル1の内圧を低下させる減圧工程を嵌合工程とは別にしているから、各々の工程における装置構成が非常に簡素になって低コストで製作できる。
【0020】
請求項5の発明によれば、上記のカプセル製品の製造方法において、嵌合工程ではカプセル押さえ蓋11によって同時に複数個のキャップホルダー5…の上方側を閉鎖し、減圧工程でも上下両側の封鎖部材12,13によって同時に同複数個のキャップホルダー5…の上下両側を気密に封鎖することにより、両工程共に同時に複数個のカプセル1…を対象とした処理操作を行えるから、多大な設備コストを要することなくカプセル製品の製造効率を大幅に高めることが可能となる。
【0021】
請求項6の発明によれば、上記のカプセル製品の製造方法において、嵌合工程では、カプセル押さえ蓋11の凹部11bにキャップ3の頂端を嵌合して固定するから、該キャップ3の直立性が保たれてボディをスムーズに且つ確実に嵌合でき、該キャップ3が傾いた状態での嵌合にによる損傷や端部の凹み等を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るカプセル製品の製造方法を適用する製造装置の一構成例を概略的に示す一部破断側面図である。
【図2】同製造装置におけるカプセル充填部の一部破断平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態で採用する同カプセル充填部のカプセル結合ステーションの縦断側面図である。
【図4】同カプセル結合ステーションにおけるカプセル嵌合操作を示し、(a)は嵌合開始前の縦断側面図、(b)は嵌合途上の縦断側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態で採用する同カプセル充填部の嵌合ステーションにおける動作を示し、(a)は嵌合開始前の縦断側面図、(b)は嵌合終了後の縦断側面図である。
【図6】同第2実施形態で採用する同カプセル充填部の減圧ステーションにおける動作を示し、(a)は減圧開始前の縦断側面図、(b)は減圧中の縦断側面図である。
【図7】同第3実施形態で採用する同減圧ステーションにおける動作を示し、(a)は減圧開始前の縦断側面図、(b)は減圧中の縦断側面図である。
【図8】本発明で製造対象とするカプセルの一例を示し、(a)は液剤Lを充填したボディとキャップの嵌合前の縦断面図、(b)は同嵌合途上の縦断面図、(c)は同嵌合後のカプセルの縦断面図、(d)は同嵌合部にバンドシール剤を塗着したカプセルの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係るカプセル製品の製造方法について、図面を参照して具体的に説明する。なお、本発明の第1〜第3実施形態における共通の構成部には、説明の重複を避けるために同一符号を附している。
【0024】
図1で示すカプセル製品の製造装置は、ボックス型の架台16上に、間欠回転する円板状の回転テーブル17の周囲に各単位操作を行う機構部を配したカプセル充填部P1と、該カプセル充填部P1にて嵌合形成されたカプセルにバンドシール剤を塗着するバンドシール部P2と、バンドシール剤塗着後のカプセルを搬送しつつバンドシール剤を乾燥硬化させるシール乾燥部P3とが設けられている。そのカプセル充填部P1において、符号18は空カプセルが投入されるカプセルホッパー、符号19はカプセル方向規制装置、符号20は液剤ホッパー、符号21は液剤充填装置、符号22は充填カプセル移動装置である。また、26は回転テーブル17の下方を周回する環状固定カムであって、上面がカムとして高低変化している。
【0025】
第1実施形態で採用するカプセル充填部P1の回転テーブル17は、図2〜図4に示すように、その周辺部に沿って上下方向に貫設した多数のホルダー取付孔17a…と、各ホルダー支持孔17aのテーブル内側寄りに隣接して、テーブル下面側に垂設された昇降ガイドロッド23…とを備えている。そして、各ホルダー取付孔17aには、上下に開放した略円筒状のキャップホルダー5が、上端フランジ部5aを孔縁に係止した状態で嵌装されている。また、キャップホルダー5は、内周に上向きの環状段部5bが形成され(図4参照)、上方から挿嵌したキャップ3を該環状段部5bで落下不能に係止するようになっている。
【0026】
一方、各昇降ガイドロッド23…には昇降ブロック24が昇降自在に嵌装されており、この昇降ブロック24に設けたホルダー取付孔24aに、上下に開放した略円筒状のボディホルダー6が、下端フランジ部6aを孔縁に係止した状態で嵌装されている。しかして、回転テーブル17の各ホルダー取付孔17aと各昇降ブロック24のホルダー取付孔24aとは同心に配置し、これによってキャップホルダー5とボディホルダー6の各対も同心で上下に対向配置している。また、各昇降ブロック24は、内端側に設けたカムフォロワをなすガイドローラー25を介して環状固定カム26上に支承されており、この環状固定カム26の上面の高低変化に伴って昇降ガイドロッド23に沿って昇降変位するようになっている。
【0027】
なお、昇降ブロック24のホルダー取付孔24aの上側開口周縁にはシールリング27が嵌装されると共に、該ホルダー取付孔24aの内周とボディホルダー6の外周との間にはホルダー固定用のOリング28が介装されている。また、ボディホルダー6の内側は、ボディ2のキャビティをなす上部に対し、下部が小径のピン挿通孔61を構成しており、その上下部の境界にシールリング29が嵌装されている。
【0028】
回転テーブル17は、図2で中心Oを通る放射状の一点鎖線で示すように、各々4個のキャップホルダー5…を含む中心角45°の8つのセクションに分かれており、図における反時計回りに1/8回転(中心角45°)ずつ間欠的に回転駆動するように設定されている。そして、該回転テーブル17の周囲には、その8つのセクションに対応して、反時計回りに順次、カプセル供給・分離ステーションS1、不良カプセル除去ステーションS2、液剤充填ステーションS3、空きステーションS4、カプセル結合ステーションS5、空きステーションS6、充填カプセル移動ステーションS7、清掃ステーションS8が構成されている。
【0029】
カプセル供給・分離ステーションS1では、既述のカプセル方向規制装置19が設置されており、これによってカプセルホッパー18(図1参照)から受け取った4個の空カプセルを各々ボデイ2側が下になる向きに揃えてキャップホルダー5へ落とし込むようになっている。そして、この落とし込まれた空カプセルは、図示省略した真空吸引装置によって下側から真空吸引されることにより、ボディ2がキャップ3から分離して下方に対峙するボディホルダー6内へ引き込まれる。かくして、キャップホルダー5内にはキャップ3が開口側を下向きにした状態で残ると共に、ボディホルダー6内にはボディ2が開口側を上向きにした状態に装填される。
【0030】
次の不良カプセル除去ステーションS2では、図示省略したセンサーによってキャップホルダー5内の非分離カプセルの有無を検出し、非分離カプセルが存在すれば図示省略した排出装置によって該キャップホルダー5から排出する。更に、液剤充填ステーションS3では、既述の液剤充填装置21が設置されており、4個のボディホルダー6…に装填されたボディ2…に対し、液剤ホッパー20(図1参照)から導出される液剤をシリンジ型の充填ポンプ21a(2基で各々の注出ノズルが二股分岐)を介して定量充填する。21bは定量ポンプ21aの出口側に介在する液剤流れ方向切換弁である。なお、液剤充填ステーションS3における各ボディホルダー6は、液剤充填のために、キャップホルダー5から離間した低位に配置するように設定される。しかして、ステーションS1〜S3での上述した単位操作自体は既知である。
【0031】
カプセル結合ステーションS5には、図3〜図5に示すように、回転テーブル17の停止下で、4個のキャップホルダー5…の全体上を覆う平面視略扇形の封鎖カバー7と、各ボディホルダー6のピン挿入孔61の直下に同心に配置する押上げピン8…とを有している。また、このカプセル結合ステーションS5において、各ボディホルダー6は、手前の空きステーションS4から上り勾配になった環状固定カム26に誘導された昇降ブロック24の上昇により、キャップホルダー5に対してシールリング27を介して気密に合接するように設定されている。
【0032】
封鎖カバー7は、架台16上に立設された垂直ガイド筒30内に昇降自在に挿通する支軸70の頂部に一体化されており、図示省略したカム機構による該支軸70の昇降動作により、図4(a)の如くキャップホルダー5…から離間した待機位置と、図4(b)の如くキャップホルダー5…に被さる封止位置とに転換する。また、支軸70にはその軸心に沿う真空吸引路70aを有しており、該真空吸引路70aの上端側が封鎖カバー7内で4本に分岐する吸引孔71…に連通している。そして、封鎖カバー7の下面側には各キャップホルダー5の上端部に嵌合する凹陥部7a…が形成され、各凹陥部7aの底部にはシールリング73が嵌装され、その中央位置にキャップ3の頂端球面に適合する凹球面部72を有すると共に、この凹球面部72の横に吸引孔71が開口している。
【0033】
一方、各押上げピン8は、架台16上に立設された垂直ガイド筒31内に昇降自在に挿通する昇降ロッド80の頂端に突設されており、図示省略したカム機構による該昇降ロッド80の上動により、図4(a)の如くボデイホルダー6の下方に離間した待機位置から上昇して図4(b)の如く該ボディホルダー6のピン挿入孔61に気密状態に挿入され、該ボディホルダー6内に保持されている液剤入りのボディ3を押し上げるようになっている。なお、押上げピン8の頂端は、ボディ3の下端球面に適合する凹球面8aをなしている。
【0034】
このカプセル結合ステーションS5においては、各ボディホルダー6が対応するキャップホルダー5に気密に合接した状態で、まず待機位置にあった封鎖カバー7が封止位置まで下降し、その凹陥部7aのシールリング73がキャップホルダー6の上端面に接合すると共に、キャップホルダー6に保持されているキャップ3の頂端が封鎖カバー7の凹球面部72に嵌合する。次いで、待機位置にあった押上げピン8が上昇して図4(b)の如くボディホルダー6のピン挿入孔61に挿入されることにより、両ホルダー5,6の合接した内部がシールリング27,29,73を介して外部から気密遮断された密閉空間9を構成する。この段階で封鎖カバー7の吸引孔71…から真空吸引路70aを介して密閉空間9内の空気を真空吸引し、もって該密閉空間9内を減圧した状態で更に押上げピン8を上昇させることにより、ボディ2をキャップホルダー5内へ押し上げて図3の如くキャップ3の内側に嵌合させてカプセル1形態とする。
【0035】
かくして内部に液剤が充填されたカプセル1を形成したのち、封鎖カバー7及び押上げピン8を待機位置へ戻し、回転テーブル17を1/8回転させることにより、各キャップホルダー5に保持されたカプセル1を次の空きステーションS6へ移動させるが、この移動過程で昇降ブロック24がガイドレール26の誘導で下降し、ボディホルダー6がキャップホルダー5から下方へ離間する。そして、次の充填カプセル移動ステーションS7では、充填カプセル移動装置22(図1参照)によって各カプセル1がキャップホルダー5から押し出され、側方のカプセル移動用レール22aを介してバンドシール部P2へ送られる。一方、カプセル1を排出したキャップホルダー5とボディホルダー6は、最後の清掃ステーションS8において図示省略した清掃機構によって内部を清浄化され、再びカプセル供給・分離ステーションS1へ移動して既述のカプセル充填サイクルに供される。
【0036】
バンドシール部P2へ送られた各カプセル1は、図1に示すチェーンコンベア32に一定間隔置きに取り付けられた各キャリャ(図示省略)に、水平姿勢で両端側を支持された状態で載り、該チェーンコンベア32によって搬送されながら、シールローラ33によって図8(d)の如くボディ2とキャップ3の嵌合部1aの外周に粘着性のバンドシール剤4を塗着され、続いてシール乾燥部P3の乾燥ボックス34内へ搬送され、乾燥空気の気流中を移動する過程でバンドシール剤4層が乾燥硬化したのち、キャリャから下方の製品取出口へ放出されてカプセル製品として取り出される。なお、充填カプセル移動ステーションS7及び清掃ステーションS8での具体的操作、ならびにバンドシール部P2及びシール乾燥部P3の工程仕様は、常法に準ずればよい。
【0037】
このようなカプセル製品の製造方法によれば、前記カプセル結合ステーションS5において、液剤Lを充填したボデイ2の開口側をキャップ3の内側に嵌合する際、キャップホルダー5とボディホルダー6の合接したキャビティを密閉空間9として、該密閉空間9を予め真空吸引によって大気圧よりも充分に低くした減圧下で、押上げピン8にてボディ2を押し上げてキャップ3に嵌合させるから、嵌合に伴う内部空間10(図8参照)の容積減少で内圧が上昇しても、その上昇した内圧を大気圧以下にすることができる。従って、次のバンドシール部P2で塗着したバンドシール剤4が続くシール乾燥部P3で乾燥硬化するまでの過程で、内部の空気が徐々に流出してバンドシール剤4層に気泡を生じたり、液漏れが発生するのを未然に防止でき、もって高品質のカプセル製品を安定的に製出できる。
【0038】
なお、カプセル結合ステーションS5において、上述の場合はキャップホルダー5とボディホルダー6を合接した密閉空間9を予め減圧した上でボディ2とキャップ3を嵌合させているが、非減圧下で先にボディ2とキャップ3を嵌合させてカプセル1形態にし、次いで該密閉空間9を真空吸引で減圧する手順を採用してもよい。この場合、嵌合によって一旦はカプセル1の内圧が大気圧よりも高くなるが、次の減圧下で内部空間10の空気が強制的にカプセル1外へ吸い出されることになるから、結果として内圧を大気圧以下にすることができる。
【0039】
一方、カプセル結合ステーションS5では、減圧のための真空吸引を封鎖カバー7の吸引孔71によってキャップホルダー5の上方側から行い、押上げピン8は単に気密状態でボディホルダー6のピン挿入孔61に挿通するだけであるから、嵌合部の装置構成が非常に簡素になって低コストで製作できるという利点がある。また、例示したように、カプセル1形態とするに当たり、吸引孔71付きの封鎖カバー7により、同時に複数個(例示では4個)のキャップホルダー5…の上方側を封鎖し、複数の密閉空間9…を同時に真空吸引による減圧を行うと共に、これら密閉空間9…内で同時にボディ2とキャップ3を嵌合して複数個のカプセル1を形成する構成とすれば、多大な設備コストを要することなくカプセル製品の製造効率を大幅に高めることが可能となる。
【0040】
なお、上記の第1実施形態では、ボディ2とキャップ3を嵌合してカプセル1形態とする際に、キャップホルダー5に保持されたキャップ3の頂端を封鎖カバー7の下面の凹球面部72に嵌合して固定するから、該キャップ3の直立性が保たれてボディ2をスムーズに且つ確実に嵌合でき、該キャップ3が傾いた状態での嵌合による損傷や端部の凹み等を回避できるという利点がある。
【0041】
後述する第2及び第3実施形態のカプセル製品の製造方法は、上記の非減圧下でボディ2とキャップ3を嵌合する工程と、この嵌合後の真空吸引による減圧を行う工程とを回転テーブル17周囲の別ステーションで行うものである。これら第2及び第3実施形態の場合、図2におけるカプセル充填部P1のカプセル結合ステーションS5を嵌合ステーションS5’に、空きステーションS6を減圧ステーションS6’にそれぞれ変更するが、他のステーションS1〜S4,S7,S8の仕様、両ホルダー5,6とその取付部分を含む回転テーブル17の構成、ならびにバンドシール部P2及びシール乾燥部P3の構成は前記第1実施形態と同様とする。
【0042】
第2及び第3実施形態におけるカプセル充填部P1の嵌合ステーションS5’では、図5(a)(b)に示すように、回転テーブル17の周辺部の上方側にカプセル押さえ蓋11が配置すると共に、各ボディホルダー6のピン挿入孔61の直下に押上げピン8…が配置している。しかして、カプセル押さえ蓋11は、前記第1実施形態における封鎖カバー7と同様に4個のキャップホルダー5…の全体上を覆う平面視略扇形をなし、垂直ガイド筒30内に昇降自在に挿通する支軸36の頂部に一体化されており、その下面側に凹陥部11aとその中央の凹球面部11bを有するが、封鎖カバー7のような吸引孔やシールリングを備えていない。一方、押上げピン8については、その基部側の支持構造と動作機構を含めて前記第1実施形態と全く同一構成である。
【0043】
この嵌合ステーションS5’において、液剤を充填したボデイ2を保持しているボディホルダー6は、前記第1実施形態におけるカプセル結合ステーションS5の場合と同様に、昇降ブロック24の上昇によってキャップホルダー5に対して合接している。この状態で、まず図5(a)の如く上方の待機位置にあったカプセル押さえ蓋11が、カム機構による支軸36の下動によって下降し、図5(b)の如くキャップホルダー5上に被さり、その凹球面部11bにキャップ3の頂端が嵌合する。次いで、下方の待機位置にあった押上げピン8が上昇し、図5(b)の如くボディホルダー6のピン挿入孔61に挿入され、ボディ2をキャップホルダー5内へ押し上げてキャップ2の内側に嵌合させ、もってカプセル1が形成される。
【0044】
かくして内部に液剤を充填したカプセル1を形成したのち、カプセル押さえ蓋11及び押上げピン8を待機位置へ戻し、回転テーブル17を1/8回転させることにより、各カプセル1はキャップホルダー5に保持された状態で次の減圧ステーションS6’へ移動する。なお、この減圧ステーションS6’への移動過程で、昇降ブロック24が下降することにより、各ボディホルダー6がキャップホルダー5から最も離間した下限位置へ変位するように設定されている。
【0045】
第2実施形態における減圧ステーションS6’では、図6(a)(b)に示すように、回転テーブル17の周辺部の上下両側に封鎖部材12,13が配置している。上側の封鎖部材12は、前記第1実施形態における封鎖カバー7と同様に、4個のキャップホルダー5…の全体上を覆う平面視略扇形をなし、垂直ガイド筒37内に昇降自在に挿通する支軸38の頂部に一体化されると共に、内部には該支軸38の軸心に沿う真空吸引路38aの上端側に連通して4本に分岐する吸引孔14…を有している。そして、封鎖部材12の下面側には各キャップホルダー5の上端部に嵌合する凹陥部12a…を有し、各凹陥部12aの開口周縁にシールリング40が嵌装されると共に、各凹陥部12aの底面中央位置にキャップ3の頂端球面に適合する凹球面部12bが形成され、更に該凹球面部12bの周側面に吸引孔14が開口している。
【0046】
また、下側の封鎖部材13は、上側の封鎖部材12と同様に4個のキャップホルダー5…の下全体を覆う平面視略扇形をなし、その筒状基端部13aにおいて支軸38に昇降自在に嵌装されると共に、図6(a)で示すように、上側の封鎖部材12が上方の待機位置にあるとき、該支軸38にロックねじ39aを介して固着したストッパーリング39に支承され、キャップホルダー5…と下降位置にあるボディホルダー6…の両方に対して離間した待機位置で保持される。また、下側の封鎖部材13の上面側には、キャップホルダー5…の各々の直下に位置して、先端凹球面の小突起13bが形成されると共に、各小突起13bを取り巻く形でシールリング41が嵌装されている。
【0047】
更に、回転テーブル17の停止下で下限位置にある4個のボディホルダー6…の内の1個の直下には、垂直ガイド筒42内に昇降自在に挿通した封鎖部材昇降ロッド43の上端に突設された封鎖部材昇降ピン43aが配置している。なお、支軸38及び封鎖部材昇降ロッド43は共に、図示省略したカム機構によって昇降動作する。
【0048】
第2実施形態の減圧ステーションS6’においては、まず図6(a)の如く待機位置にあった上側の封鎖部材12が支軸38の下動によって下降し、図6(b)の如くシールリング40を回転テーブル17の上面に密着する形でキャップホルダー5…上に被さり、もって各キャップホルダー5の上方側を封止すると共に、各カプセル1のキャップ3の頂端が該封鎖部材12の凹球面部12bに嵌合する。また、下動する支軸38と一体にストッパーリング39が下降することにより、下側の封鎖部材13はストッパーリング39から離れて昇降ブロック24上に載るが、次に封鎖部材昇降ロッド43が上動することにより、その突上げピン43aがボディホルダー5内を通過して先端で該封鎖部材13を押し上げる。そして、押し上げられた該封鎖部材13は、図6(b)で示すように、各小突起13bがカプセル1のボディ2に当接すると共に、シールリング41が回転テーブル17の下面に密着する。これによって両封鎖部材12,13の間でキャップホルダー5のキャビティを含む密閉空間50が構成されるから、この段階で封鎖部材12の吸引孔14…から真空吸引路38aを介して密閉空間50内の空気を真空吸引し、もって該密閉空間50内を充分な減圧状態に保持すれば、その間にカプセル1内の空気がボディ2とキャップ3との嵌合間隙を通して強制的に抜き出されることになる。
【0049】
一方、第3実施形態における減圧ステーションS6’では、図7(a)(b)に示すように、前記第2実施形態と同様に回転テーブル17の周辺部の上下両側に封鎖部材12,13が配置するが、上側の封鎖部材12には吸引孔がなく、その代わりに下側の封鎖部材13の内部に各キャップホルダー5に対応して基部側から分岐した吸引孔15が形成され、各吸引孔15が封鎖部材13の小突起13bの位置で開口している。また,頂端に上側の封鎖部材12を一体化した支軸38は、軸心に沿う真空吸引路38aの上部側が封鎖部材12よりも下位にある側方通気口38bに連通している。そして、下側の封鎖部材13の筒状基部13aは、図7(a)の如くロックリング39に支承された待機位置では側方通気口38bよりも下位にあるが、図7(b)の如くキャップホルダー5…の下面側に合接した封止位置では吸引孔15…が側方通気口38bに連通する位置に来るように設定されている。なお、封鎖部材13の筒状基部13aの内側上下位置にはシールリング44,44が嵌装されており、これによって吸気孔15…と側方通気口38bとの連通部分が外部に対して封止される。なお、その他の構成は前記第2実施形態における減圧ステーションS6’と同様である。
【0050】
この第3実施形態における減圧ステーションS6’においても、前記第2実施形態の場合と同様に、図7(a)の如く待機位置にあった上下両側の封鎖部材12,13が封鎖位置へ変位することにより、図7(b)の如く両封鎖部材12,13の間でキャップホルダー5のキャビティを含む密閉空間50が構成される。そして、この状態で封鎖部材13の吸引孔15…から真空吸引路38aを介して密閉空間50内の空気を真空吸引し、もって該密閉空間50内を充分な減圧状態に保持すれば、その間にカプセル1内の空気がボディ2とキャップ3との嵌合間隙を通して強制的に抜き出される。
【0051】
これら第2及び第3実施形態では、嵌合ステーションS5’でのボディ2とキャップ3の嵌合により、形成されるカプセル1の内圧が大気圧よりも高くなるが、次の減圧ステーションS6’において該カプセル1が充分な減圧下で保持することにより、その内部空間10の空気が強制的にカプセル1外へ吸い出され、急速に内圧が大気圧以下に低下する。従って、充填カプセル移動ステーションS7からバンドシール部P2へ送られた各カプセル1は、その嵌合部1a〔図8(c)(d)参照〕の外周に塗着したバンドシール剤4が続くシール乾燥部P3で乾燥硬化するまでの過程で、内部の空気が徐々に流出してバンドシール剤4層に気泡を生じたり、液漏れが発生したりすることがなく、高品質のカプセル製品となる。
【0052】
なお、これら第2及び第3実施形態でも、嵌合ステーションS5’及び減圧ステーションS6’において、同時に複数個(例示では4個)のカプセル1…の嵌合と減圧を行うようにしているから、多大な設備コストを要することなくカプセル製品の製造効率を大幅に高めることが可能となる。また、嵌合工程と減圧工程を別のステーションS5’,S6’に分けて行うから、個々のステーションS5’,S6’における装置構成が簡素になって低コストで製作できる。更に、嵌合ステーションS5’では、キャップホルダー5に保持されたキャップ3の頂端をカプセル押さえ蓋11の下面の凹球面部11bに嵌合して固定するから、該キャップ3の直立性が保たれてボディ2をスムーズに且つ確実に嵌合でき、該キャップ3が傾いた状態での嵌合による損傷や端部の凹み等を回避できる。加えて、第2及び第3実施形態の減圧ステーションS6’では、上下の封止部材12,13を同じ支軸38に支持させているから、両封止部材12,13の個別の支持部を設ける場合に比較し、装置構成がより簡素になるという利点もある。
【0053】
なお、第2及び第3実施形態の減圧ステーションS6’における下側の封止部材13の上面には、カプセル1(ボディ2)の下端に接当させるための小突起13bを設けているが、結合後のカプセル1のサイズ(長さ)により、該減圧ステーションS6’におけるキャップホルダー5に保持されたカプセル1の下端が下方へ突出する場合は、該小突起13bに代えてカプセル1下端部が嵌合する凹部を設けることになる。
【0054】
上記の第1〜第3実施形態ではカプセル充填部P1における各ステーションの単位操作をカプセル4個分ずつ同時に行うようにしているが、本発明の製造方法では、その同時に操作するカプセル個数に制約はなく、カプセル1個ずつ操作する場合も包含される。また、本発明は、特にカプセルの内容物が液状である場合の適用性に優れるが、該内容物が粉状や粒状であっても支障なく適用可能である。更に、カプセル充填部P1におけるカプセル結合(減圧を含む)以外の各単位操作の装置構成、シールバンド部P2及びシール乾燥部P3の装置構成は、既存のものを含めて種々設定できる。例えば、カプセル充填部P1において、嵌合前のボディとキャップならびに嵌合後のカプセルを順次に各ステーションへ移してゆく手段として、例示した回転テーブル17以外の様々な送り機構を採用でき、べルトコンベヤ式に直線的に移動させる送り機構であってもよい。
【0055】
その他、本発明においては、各昇降部の昇降手段及び昇降ガイド構造、封鎖カバー7及びカプセル押さえ蓋11の下面に設けてキャップ3の頂端に嵌合させる凹部の形状、キャップホルダー5及びボディホルダー6の取付構造、各構成部材の形状等、細部構成については実施形態以外に種々設計変更可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 カプセル
1a 嵌合部
2 ボディ
3 キャップ
4 バンドシール剤
5 キャップホルダー
6 ボディホルダー
61 ピン挿入孔
7 封鎖カバー
71 吸引孔
72 凹球面部(凹部)
8 押上げピン
9 密閉空間
11 カプセル押さえ蓋
11b 凹球面部(凹部)
12,13 封鎖部材
14,15 吸引孔
L 液剤(収容物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物を充填した筒状のボデイの開口側を筒状のキャップの内側に嵌合してカプセル形態とし、その嵌合部を外周に塗着したバンドシール剤の硬化層によって封止するカプセル製品の製造において、前記カプセル形態とするに当たり、
上下に開放したキャップホルダー内に前記キャップを保持すると共に、該キャップホルダーの下側に対向配置して上方に開放したボディホルダー内に前記収容物を充填したボデイを保持し、
前記キャップホルダーとボディホルダーが気密に合接した状態で、キャップホルダーの上方側を吸引孔付きの封鎖カバーによって気密に封鎖すると共に、ボディホルダーの下部に設けたピン挿入孔に下方から押上げピンを気密状態に挿入することにより、両ホルダー内部が合一した密閉空間を形成し、
該密閉空間を前記封鎖カバーの吸引孔からの真空吸引によって減圧し、この減圧下で前記押上げピンにてボディを押し上げてキャップに嵌合させるか、もしくは非減圧下で同様にして嵌合させたのち、該密閉空間を同様にして減圧することを特徴とするカプセル製品の製造方法。
【請求項2】
前記カプセル形態とするに当たり、前記吸引孔付きの封鎖カバーにより、同時に複数個のキャップホルダーの上方側を封鎖して真空吸引による減圧を行う請求項1に記載のカプセル製品の製造方法。
【請求項3】
前記カプセル形態とするに当たり、前記吸引孔付きの封鎖カバーの下面に設けた凹部に、キャップホルダーに保持されたキャップの頂端を嵌合して固定する請求項1又は2に記載のカプセル製品の製造方法。
【請求項4】
収容物を充填した筒状のボデイの開口側を筒状のキャップの内側に嵌合してカプセル形態とし、その嵌合部を外周に塗着したバンドシール剤の硬化層によって封止するカプセル製品の製造において、前記カプセル形態とするに当たり、
上下に開放したキャップホルダー内に前記キャップを保持すると共に、該キャップホルダーの下側に対向配置して上方に開放したボディホルダー内に、前記収容物を充填したボデイを保持し、
前記キャップホルダーとボディホルダーが合接した状態で、キャップホルダーの上方側にカプセル押さえ蓋を配置し、ボディホルダーの下部に設けたピン挿入孔に下方から挿入した押上げピンにより、前記ボディを押し上げてキャップに嵌合させる嵌合工程と、
この嵌合後のカプセルを保持したキャップホルダーの上下両側を封鎖部材によって気密に封鎖すると共に、両封鎖部材の一方に設けた吸引孔からの真空吸引により、該キャップホルダー内部を減圧する減圧工程と、を順次経ることを特徴とするカプセル製品の製造方法。
【請求項5】
前記嵌合工程では前記カプセル押さえ蓋によって同時に複数個のキャップホルダーの上方側を閉鎖すると共に、前記減圧工程では上下両側の封鎖部材によって同時に同複数個のキャップホルダーの上下両側を気密に封鎖する請求項4に記載のカプセル製品の製造方法。
【請求項6】
前記嵌合工程では、前記カプセル押さえ蓋の下面に設けた凹部に、キャップホルダーに保持されたキャップの頂端を嵌合して固定する請求項4又は5に記載のカプセル製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−1450(P2013−1450A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137750(P2011−137750)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(511151477)株式会社G−Pharma Tech Co., Ltd. (1)
【出願人】(507259855)有限会社 ソフィア (3)
【Fターム(参考)】