説明

カベルゴリンの溶媒和物およびカベルゴリン形態Iの製造

カベルゴリンと式(A)のp−二置換ベンゼンとを含む溶媒和物を生成し、該溶媒和物からカベルゴリン形態Iを得ることを含む、カベルゴリン形態Iを製造する方法。本発明の別の態様は、p−二置換ベンゼン中にカベルゴリンを溶解させ、カベルゴリン形態Iの多形相を回収すること、適切にはカベルゴリン形態Iに変換され得る溶媒和物の直接結晶化または回収により回収すること、を含むカベルゴリン形態Iを製造する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、カベルゴリンの製造、特にカベルゴリン形態Iを製造する新しい方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カベルゴリンは、式l−((6−アリルエルゴリン−8β−イル)−カルボニル)−l−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル尿素を有するエルゴリン誘導体である。それは、CNS疾患、可逆性閉塞性気道疾患、プロラクチン阻害を含む多くの病気の処置、眼圧の制御、および緑内症の治療において知られている。
【0003】
多くの異なる形態のカベルゴリンが知られている。例えば、PCT特許公開第WO01/72747号は、カベルゴリン形態IIを記述し、PCT特許公開第WO01/72746号は、カベルゴリン形態VIIを記述する。
【0004】
カベルゴリン形態Iの製造は、PCT特許公開第WO01/70740号、第WO03/078392号、および第WO03/078433号に記載される。例えば、PCT特許公開第WO01/70740号は、トルエン/ジエチルエーテルの混合物を含む溶媒からの結晶性カベルゴリン形態Iの製造を教示する一方で、PCT特許公開第WO03/078392号および第WO03/078433号は、カベルゴリンおよびトルエンの溶媒和物を乾燥させることによって得られる結晶性カベルゴリン形態Iを教示する。
【0005】
係属中の英国特許出願第GB0409785.3号は、必要に応じてn−ヘプタンのごとき貧溶媒と一緒にエチルベンゼンを用いて、高収率かつ高純度であり、望まれる粒径分布を有するカベルゴリン形態Iを製造する方法を教示する。GB0409785.3はカベルゴリンエチルベンゼンの溶媒和物をさらに記述する。
【0006】
一連のカベルゴリン多形相はまた、PCT特許公開第WO2004/101510号に記載される。
【0007】
本発明では、高純度の結晶性カベルゴリン形態Iを製造することが望まれる。また、(結晶化の後に)比較的小さく、かつ最終的な医薬品において望まれる粒径を得るための粉砕を必要としないか、または比較的わずかな粉砕を必要とする粒径を有するカベルゴリンを製造することも望まれる。粉砕および他のかかる過程は、カベルゴリンの純粋な多形相形態を多形相混合物へと変換しやすい傾向にあるので望まれない。PCT特許公開第WO03/078433号に記載される方法の1つの問題点は、例えば、得られるカベルゴリン形態Iの結晶が比較的大きな粒径を有することである。
【0008】
また、最終的なカベルゴリン形態Iの生成物への中間体溶媒和物の変換が迅速かつ効率的であるカベルゴリンの製造方法を提供することも望まれる。この変換の既知方法の難点は、すなわち、PCT特許公開第WO03/078433号で説明される方法では、溶媒和物から溶媒を除去するために長い乾燥時間−48時間を超える−が必要となることである。
【発明の開示】
【0009】
(発明の要約)
本発明の一の態様は、式(A)
【化1】

[式中、
Xはハロゲンであり、YはハロゲンまたはCないしC直鎖状アルキルから成る群から選択される]
のp−二置換ベンゼン中にカベルゴリンを溶解させ、次いでp−二置換ベンゼン中の該溶液からカベルゴリン形態Iの多形相を回収すること、適切にはカベルゴリン形態Iに変換され得る溶媒和物の直接結晶化または回収により回収すること、を含むカベルゴリン形態Iを製造する方法を提供する。
【0010】
(図面の簡単な説明)
図1は、溶媒として4−フルオロトルエンを用いて得られたカベルゴリン形態IのX線粉末回折パターンである(実施例1)。
【0011】
図2は、溶媒として4−フルオロトルエンを用いて得られたカベルゴリン形態Iの13C CPMASスペクトルである(実施例1)。
【0012】
図3は、溶媒として1−クロロ−4−フルオロトルエンを用いて得られたカベルゴリン形態IのX線粉末回折パターンである(実施例4)。
【0013】
図4は、溶媒として1−クロロ−4−フルオロベンゼンを用いて得られた湿カベルゴリン形態Iの示差走査熱量測定(DSC)のトレースである(実施例4)。
【0014】
図5は、溶媒として1−クロロ−4−フルオロベンゼンを用いて得られた乾燥カベルゴリン形態Iの示差走査熱量測定(DSC)のトレースである(実施例4)。
【0015】
図6は、溶媒として1−クロロ−4−フルオロベンゼンを用いて得られたカベルゴリン形態IのFTIRスキャンである(実施例4)。
【0016】
図7は、溶媒として1−クロロ−4−フルオロベンゼンを用いて得られたカベルゴリン形態Iの13C CPMASスペクトルである(実施例4)。
【0017】
図8は、溶媒として1,4−ジフルオロベンゼンを用いて得られたカベルゴリン形態IのX線粉末回折パターンである(実施例6)。
【0018】
図9は、溶媒として1,4−ジフルオロベンゼンを用いて得られたカベルゴリン形態Iの13C CPMASスペクトルである(実施例6)。
【0019】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(A)
【化2】

[式中、
Xはハロゲンであり、Yはハロゲン、好ましくは臭素またはヨウ素、より好ましくは臭素、あるいはCないしCアルキル、好ましくはCないしCアルキル、さらにより好ましくはCまたはCアルキルから成る群から選択される]
のp−二置換ベンゼン中にカベルゴリンを溶解させて溶液を生成し、次にカベルゴリン形態Iの多形相を回収することによりカベルゴリン形態Iを製造することに関する。カベルゴリン形態Iは、適切にはカベルゴリン形態Iを得るための直接結晶化により、またはカベルゴリン形態Iに変換され得る溶媒和物の回収により、該溶液から回収され得る。
【0020】
好ましいのは、式(A)のp−二置換ベンゼンがXの位置でフッ素に置換される。より好ましいのは、式(A)のp−二置換ベンゼンがXの位置でフッ素に置換され、Yが、CないしC直鎖状アルキル、好ましくはCないしCアルキル、ならびにさらにより好ましくはCもしくはCアルキル、またはハロ、好ましくは臭素から成る群から選択される。
【0021】
本発明の一の好ましい具体例では、カベルゴリン形態Iは、必要に応じて貧溶媒(例えば、ヘプタン)をさらに含む、カベルゴリンと式(A)のp−二置換ベンゼンとの溶媒和物を生成し、次いでこの溶媒和物からカベルゴリン形態Iを得ることにより得られてもよい。カベルゴリン形態Iは、形態Iの直接結晶化、または形態Iに変換され得る溶媒和物の回収のどちらかにより、溶媒和物から得られてもよい。
【0022】
本発明の別の具体例では、カベルゴリン形態Iは、式(A)のp−二置換ベンゼンを含む溶媒中にカベルゴリンを溶解させ、必要に応じて貧溶媒(例えば、ヘプタン)を添加して溶媒和物を生成し、次いで該溶媒和物が乾燥されてカベルゴリン形態Iが得られることによって製造される。
【0023】
本発明の別の具体例では、カベルゴリンが式(A)のp−二置換ベンゼン(および必要に応じて1,3,5−トリメチルベンゼン)を含む溶媒中に溶解され、次いで該溶液が−5℃以下の温度に冷却される。該溶媒は、好ましくは少なくも75体積%の式(A)のp−二置換ベンゼンを含む。本発明では、該溶媒が式(A)のp−二置換ベンゼンのみから成っていてもよいと考えられる。
【0024】
本発明のさらなる具体例では、カベルゴリンは、式(A)のp−二置換ベンゼン(および必要に応じて1,3,5−トリメチルベンゼン)から選択される溶媒中に溶解される。溶解の過程は、必要に応じて室温、典型的には約25℃〜30℃で行われ、得られた溶液が、好ましくはろ過されて粒子状物質が除去される。次に、溶液の温度は、約−17℃以下、好ましくは−23℃以下に下げられ、それにより、カベルゴリンの沈殿物が生成される。カベルゴリンの沈殿物の生成は、撹拌もしくは必要に応じて結晶性カベルゴリン形態Iを用いて撒種することによって促進され得る。
【0025】
カベルゴリンの沈殿物に対して貧溶媒が添加される。本明細書で使用されるように、貧溶媒は、一般に、カベルゴリン、および/またはカベルゴリン/式(A)のp−二置換ベンゼンの溶媒和物が非常に不溶性である液体である。該貧溶媒は、好ましくは、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、第三級ブチルメチルエーテル、またはこれらの溶媒の混合物を含む。該貧溶媒は、より好ましくはヘプタンを含み、最も好ましくはn−ヘプタンを含む。
【0026】
該貧溶媒の添加は、カベルゴリン、またはカベルゴリン/式(A)のp−二置換ベンゼンの溶媒和物の生成および沈殿を生じ、スラリーを生成する。スラリーはろ過されて固体が回収され、該固体は、必要に応じて、例えばさらなる貧溶媒で洗浄され、次いで乾燥されて高純度のカベルゴリン形態Iが生じ得る。
【0027】
最初の溶媒、すなわち式(A)のp−二置換ベンゼンを含む溶媒の、第二の溶媒、すなわち貧溶媒に対する比は、一般的に4〜10:5〜20の体積比の範囲、好ましくは5〜7:8〜15の体積比の範囲、およびより好ましくは5〜7:10〜12の体積比の範囲である。最初の溶媒の第二の溶媒に対する比は約5〜6:11であることが最も好ましい。
【0028】
有利なことに、ろ過により回収され得る本発明の湿溶媒和物は、急速に乾燥されてカベルゴリン形態Iの結晶が生成され得る。
【0029】
湿溶媒和物の乾燥は多くの異なった方法で行われ得る。例えば、乾燥は減圧下、900mbar以下の圧力、800mbar以下の圧力、および700mbar以下の圧力下で行われている。これらの例の各々では、乾燥した純粋なカベルゴリン形態Iが30時間以内に得られた。乾燥はまた、昇温して行われ得る。本発明では、湿溶媒和物が40℃ないし60℃で急速に乾燥され得ると考えられる。
【0030】
さらに別の選択肢は、不活性ガス雰囲気中で湿溶媒和物を乾燥させることである。不活性ガス雰囲気は、80体積%以上の高い濃度における窒素、アルゴンおよび/または他の不活性ガスを含む。好ましいのは、不活性ガス雰囲気が5%以下の酸素を含む。加えて、窒素もしくは他の不活性ガスのブランケットが用いられて湿溶媒和物が乾燥され得るか、または乾燥が不活性ガスの気流下で行われ得る。不活性ガスを用いる乾燥が約20時間未満で完了され得ることが見出されている。これは、特に大規模にカベルゴリン形態Iを製造する場合に有利である。
【0031】
上記の方法は、比較的小さい粒径、典型的には90ミクロン未満の体積メジアン直径(VMD)を有するカベルゴリン形態Iを生産するのに有利であることが見出されている。下記の実施例8は、4−フルオロトルエン、1−クロロ−4−フルオロベンゼン、および1,4−ジフルオロベンゼン各々の現在請求する型の溶媒を用いて製造されたカベルゴリン形態Iに関する粒径の利点を示す。結晶化後の生成物の粉砕は多形相純度の喪失を生じやすく、それゆえに、この比較的小さな粒径は高純度のカベルゴリン形態Iを有する医薬品の製造にきわめて有効である。
【0032】
また、本発明で提供されるものは、本発明の方法により得られるカベルゴリン形態I、ならびにカベルゴリンと式(A)のp−二置換ベンゼンとを含むカベルゴリンの溶媒和物である。
【0033】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することを意図せずに本発明を例示する。
【0034】
(実施例)
実施例1
(4−フルオロトルエンを用いるカベルゴリン形態Iの製造)
5.0グラムのカベルゴリン(HPLCの百分率ピーク面積による純度99.9%)を15mLの溶媒(4−フルオロトルエン)中に溶解させて溶液を生成した。溶液を−20℃に冷却してゲルにした。7時間後、110mLの貧溶媒(n−ヘプタン)の前ろ過溶液を−20℃で20分間にわたって液滴により添加した。
【0035】
添加が完了した時点で、スラリーを−20℃から−15℃で3.5時間撹拌した。次に生成物を窒素ブランケット下でろ過によって収集し、フィルターケークを冷(−20℃ないし−15℃)n−ヘプタンで洗浄した。続いてフィルターケークを窒素ブランケット下で30分間乾燥させた。
【0036】
次に、得られた固体を45℃−50℃で窒素パージしながら真空オーブン内に配置した。続いて、サンプルが一定重量になるまで、40℃ないし50℃の真空オーブン内で固体に完全吸引を適用した。
【0037】
生成物のサンプルを(図1で説明されるような)FTIR、DSCおよびX線結晶解析のごときクロマトグラフ試験にかけ、純粋なカベルゴリン形態Iであると決定した。収率は96.7%であった。
【0038】
実施例2
(4−フルオロトルエンを用いるカベルゴリン形態Iの製造)
実施例1の手順を;2.0グラムのカベルゴリンを10mLの4−フルオロトルエン中に溶解させ、次の段階で22mLのn−ヘプタンを添加したことを除いて繰り返した。
【0039】
生成物のサンプルをFTIRにかけ、純粋なカベルゴリン形態Iであると決定した。湿物質のDSC解析は52.5℃でピークを示し、乾燥物質のDSC解析は104.20℃でピークを示した。収率は77.8%であった。
【0040】
実施例3
(4−フルオロトルエンを用いるカベルゴリン形態Iの製造)
実施例1の手順を;2.0グラムのカベルゴリンを6mLの4−フルオロトルエン中に溶解させ、次の段階で44mLのn−ヘプタンを添加したことを除いて繰り返した。
【0041】
生成物のサンプルをFTIR、DSCおよびX線結晶解析にかけ、純粋なカベルゴリン形態Iであると決定した。湿物質のDSC解析は52.5℃でピークを示し、乾燥物質のDSC解析は104.16℃でピークを示した。収率は82%であった。
【0042】
実施例4
(1−クロロ−4−フルオロベンゼンを用いるカベルゴリン形態Iの製造)
2.0グラムのカベルゴリンを8mLの溶媒(1−クロロ−4−フルオロベンゼン)中に温めて溶解させて溶液を生成した。次に、溶液を0.45μのフィルターを通してろ過し、続いて2mLの1−クロロ−4−フルオロベンゼンで洗浄した。次いで、溶液を−15℃ないし−20℃のフリーザー内で20時間撹拌した。44mLの冷n−ヘプタンを20分かけて添加した。
【0043】
添加が完了した時点で、懸濁液を−15℃ないし−20℃で3.5時間撹拌した。次に生成物をろ過によって収集し、ろ液を冷ヘプタンで洗浄した。続いてろ液を窒素ブランケット下で30分間乾燥させ、2.3g(湿重量)の生成物が生じた(DSC=67℃)。
【0044】
次に、生じた固体を40℃で窒素フローにさらし、続いて40℃で24時間減圧乾燥させ(DSC=67℃)、乾燥固体を50℃の減圧下でさらに96時間乾燥させた(DSC=103.1℃)。
【0045】
両乾燥段階での生成物のサンプルを(図3〜7で説明されるような)FTIR、DSCおよび13C CPMAS解析のごときクロマトグラフ試験にかけ、純粋なカベルゴリン形態Iであると決定した。
【0046】
実施例5
(1−クロロ−4−フルオロベンゼンを用いるカベルゴリン形態Iの製造)
2.25グラムのカベルゴリンを19.5℃で6.75mLの溶媒(1−クロロ−4−フルオロベンゼン)中に溶解させて黄色の均一溶液を生成した。次に溶液をポリッシュ(polish)ろ過し、フィルターを2.25mLの1−クロロ−4−フルオロベンゼンで洗浄した。続いて、溶液を−15℃から−17℃のフリーザー内で撹拌した後、撒種することなく白色固体が沈殿した。49.5mLの冷n−ヘプタンを(−20℃から−25℃において)窒素ブランケット下で15分かけて添加した。混合物を含むフラスコをフリーザーに戻し、一晩撹拌した。
【0047】
翌日、固体をろ過し、冷ろ液(母液)で洗浄して固体を移しやすくした。次に、ろ過した固体を吸引下および窒素の正流(positive stream)下に20分間置き、続いて窒素と一緒に温(40℃)オーブン内に3時間移した。湿重量は2.69gであった。
【0048】
固体を45℃の減圧オーブン内で一晩乾燥させることにより、2.113gの乾燥固体が生じた。
【0049】
生成物のサンプルをDSC解析にかけて以下の結果を得、生成物が純粋なカベルゴリン形態Iであると決定した。
【表1】

【0050】
実施例6
(1,4−ジフルオロベンゼンを用いるカベルゴリン形態Iの製造)
2.0グラムのカベルゴリンを6mLの溶媒(1,4−ジフルオロベンゼン)中に18℃で溶解させた。次に溶液をポリッシュろ過し、フィルターを1mLの1,4−ジフルオロベンゼンで洗浄した。続いて溶液を撹拌せずに−17℃のフリーザー内に置いた。沈殿物は生成されず、次いで溶液にカベルゴリン形態Iを撒種し、撹拌せずに−17℃のフリーザー内に一晩置いた。44mLの冷n−ヘプタンを15分間かけて添加した。混合物を含むフラスコをフリーザーに戻し、撹拌せずに−17℃で一晩置いた。
【0051】
翌日、固体をろ過し、冷ろ液(母液)で洗浄して固体を移しやすくした。次にろ過した固体を吸引下および窒素の正流(positive stream)下に20分間置き、続いて窒素と一緒に温(40℃)オーブン内に3時間移した。湿重量は2.203gであった。次いで固体を45℃の減圧オーブン内で24時間乾燥させ、1.82gの乾燥固体が生じた。
【0052】
生成物のサンプルをFTIR解析にかけて、生成物が純粋なカベルゴリン形態Iであるという決定を得た。
【0053】
実施例7
(1,3,5−トリメチルベンゼンを用いるカベルゴリン形態Iの製造)
実施例1の手順を、溶媒として1,3,5−トリメチルベンゼン(メシチレン)を用いて繰り返した。特に、2.0グラムのカベルゴリンを50mLの1,3,5−トリメチルベンゼン中に溶解させ、生じた溶液を実施例1に記載した通りに処理した。
【0054】
生じた生成物の解析は、それが主にカベルゴリン形態Iと少量(3.8%)の形態IIから成ることを示した。
【0055】
実施例8
(異なる溶媒から得られた多形相の比較)
実施例4の手順を以下の表に示す溶媒を用いて繰り返した。得られた多形相の形態を右欄に示す。
【表2】

【0056】
(異なる溶媒から得られたカベルゴリン多形相の粒径比較)
実施例1の手順を、4−フルオロトルエン/ヘプタン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1−クロロ−4−フルオロベンゼン/ヘプタン、および1,4−ジフルオロベンゼン各々を用いて繰り返した。各例で得られたカベルゴリン形態I多形相の粒径を測定し、トルエン/ヘプタンからの製造物を開示するWO03/078433に従って得られたカベルゴリン形態Iの粒径およびカベルゴリン形態IIの粒径と比較した。結果を以下の表に示す。
【表3】

【0057】
従って、本発明は、高純度の結晶性カベルゴリン形態Iを得る方法であって、該方法は中間体の溶媒和物を乾燥させる容易なものであって、結晶後の処理工程を減らすとともに医薬品の製造を容易にする粒径の結晶性カベルゴリン形態Iを得る方法を提供する。
【0058】
用語「a」、「an」、および「the」の使用、ならびに本発明を記載する文脈における(特に請求項の文脈において)類似の記号は、本明細書で特に指示がないか、または文脈に明白に矛盾しない限り、単数形および複数形の両方に解釈されるべきである。用語「comprising」、「having」、「including」および「containing」は、特に断りのない限り、制限のない用語(すなわち、「を含むが、それらだけに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、特に指示のない限り、単にその範囲内に収まる各々別個の値を意味する省略方法としての提供を意図するに過ぎず、各々別個の値が、あたかも個々に本明細書に列挙されているかのように取り込まれている。本明細書に記載の全ての方法は、他に指示がないか、または他に文脈に明らかに矛盾しない限り、適するいずれかの方法で実施され得る。本明細書で提供されるありとあらゆる例、または典型的な言葉(例、「のごとき」)の使用は、単に本発明をより具体的に例示することが意図され、他に請求されない限り、本発明の範囲の限定を提起しない。本明細書の用語は、本発明の実施に必要である請求しない要素を示すように解釈されるべきではない。
【0059】
本発明の好ましい具体例が本明細書に記載され、それは、本発明を行うために発明者が知る最も適する様態を含む。これらの好ましい具体例の変更は、先の記載を読むことによって当業者間で明白になるかもしれない。本発明者は、当業者がかかる変更を適切に採用することを期待し、本発明が本明細書に特に記載されること以外にも実施されることを意図する。従って、本発明は、適用可能な法律によって認められているように、ここに添付した請求項に列挙される対象の改良および同等なもの全てを含む。さらに、それらの変更可能なもの全てにおける上記要素の組み合わせは、明細書に他に指示がないか、または他に文脈に明らかに矛盾しない限り本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】溶媒として4−フルオロトルエンを用いて得られたカベルゴリン形態IのX線粉末回折パターンである(実施例1)。
【図2】溶媒として4−フルオロトルエンを用いて得られたカベルゴリン形態Iの13C CPMASスペクトラムである(実施例1)。
【図3】溶媒として1−クロロ−4−フルオロトルエンを用いて得られたカベルゴリン形態IのX線粉末回折パターンである(実施例4)。
【図4】溶媒として1−クロロ−4−フルオロベンゼンを用いて得られた湿カベルゴリン形態Iの示差走査熱量測定(DSC)のトレースである(実施例4)。
【図5】溶媒として1−クロロ−4−フルオロベンゼンを用いて得られた乾燥カベルゴリン形態Iの示差走査熱量測定(DSC)のトレースである(実施例4)。
【図6】溶媒として1−クロロ−4−フルオロベンゼンを用いて得られたカベルゴリン形態IのFTIRスキャンである(実施例4)。
【図7】溶媒として1−クロロ−4−フルオロベンゼンを用いて得られたカベルゴリン形態Iの13C CPMASスペクトラムである(実施例4)。
【図8】溶媒として1,4−ジフルオロベンゼンを用いて得られたカベルゴリン形態IのX線粉末回折パターンである(実施例6)。
【図9】溶媒として1,4−ジフルオロベンゼンを用いて得られたカベルゴリン形態Iの13C CPMASスペクトラムである(実施例6)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カベルゴリンと式(A)
【化1】

[式中、
Xはハロゲンであり、YはハロゲンまたはCないしCの直鎖状アルキルから成る群から選択される]
のp−二置換ベンゼンとの溶媒和物を生成し、次いで該溶媒和物からカベルゴリン形態Iを得ること:
を含む、カベルゴリン形態Iを製造する方法。
【請求項2】
カベルゴリンと式(A)[式中、Xはフッ素である]のp−二置換ベンゼンとの溶媒和物を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カベルゴリンと式(A)[式中、YはCないしCアルキルまたは臭素から成る群から選択される]のp−二置換ベンゼンとの溶媒和物を生成することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
カベルゴリンと式(A)[式中、Xはフッ素であり、YはCないしCアルキルである]のp−二置換ベンゼンとの溶媒和物を生成することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
カベルゴリンと式(A)[式中、Xはフッ素であり、Yはエチルである]のp−二置換ベンゼンとの溶媒和物を生成することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
カベルゴリンと式(A)[式中、Xはフッ素であり、Yはプロピルである]のp−二置換ベンゼンとの溶媒和物を生成することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
該溶媒和物が、式(A)のp−二置換ベンゼンを含む溶媒中にカベルゴリンを溶解させることによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該溶媒が少なくとも75体積%の式(A)のp−二置換ベンゼンを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該溶媒が式(A)のp−二置換ベンゼンのみを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式(A)のp−二置換ベンゼン中にカベルゴリンを溶解させることによって生成される溶液を約−5℃またはそれ以下の温度に冷却する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
式(A)のp−二置換ベンゼン中にカベルゴリンを溶解させることによって生成される溶液をろ過する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
貧溶媒を添加して該溶媒和物を生成する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
該貧溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、第三級ブチルメチルエーテル、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
該貧溶媒がヘプタンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該貧溶媒がn−ヘプタンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
カベルゴリン形態Iが、乾燥させることにより該溶媒和物から得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
該乾燥が900mbar以下の圧力下で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該乾燥が少なくとも約40℃の温度で行われる、請求項16に記載の方法。。
【請求項19】
該乾燥が不活性ガス雰囲気下で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
該不活性ガス雰囲気が5%未満の酸素を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該不活性ガス雰囲気が窒素ガスおよびアルゴンガスから成る群から選択される不活性ガスを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
該不活性ガス雰囲気が少なくとも約80%の不活性ガスを含むガス混合物を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
該ガス混合物が窒素ガスを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
該ガス混合物がアルゴンガスを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記請求項のうちのいずれか1項に記載の方法によって得られるカベルゴリン形態I。
【請求項26】
カベルゴリンと式(A)
【化2】

[式中、
Xはハロゲンであり、YはハロゲンまたはCないしC直鎖アルキルから成る群から選択される]
のp−二置換ベンゼンとを含むカベルゴリンの溶媒和物。
【請求項27】
カベルゴリンと式(A)[式中、Xはフッ素である]のp−二置換ベンゼンとを含む、請求項26に記載の溶媒和物。
【請求項28】
カベルゴリンと式(A)[式中、YはCないしCアルキルまたは臭素から成る群から選択される]のp−二置換ベンゼンとを含む、請求項26または請求項27に記載の溶媒和物。
【請求項29】
カベルゴリンと式(A)[式中、Xはフッ素であり、YはCないしCアルキルである]のp−二置換ベンゼンとを含む、請求項28に記載の溶媒和物。
【請求項30】
カベルゴリンと式(A)[式中、Xはフッ素であり、Yはエチルである]のp−二置換ベンゼンとを含む、請求項28に記載の溶媒和物。
【請求項31】
カベルゴリンと式(A)[式中、Xはフッ素であり、Yはプロピルである]のp−二置換ベンゼンとを含む、請求項28に記載の溶媒和物。
【請求項32】
貧溶媒をさらに含む、請求項29に記載の溶媒和物。
【請求項33】
該貧溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、第三級ブチルメチルエーテル、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項32に記載の溶媒和物。
【請求項34】
該貧溶媒がヘプタンである、請求項33に記載の溶媒和物。
【請求項35】
該貧溶媒がn−ヘプタンである、請求項34に記載の溶媒和物。
【請求項36】
式(A)
【化3】

[式中、
Xはハロゲンであり、YはハロゲンまたはCないしCアルキルから成る群から選択される]
のp−二置換ベンゼンを含む溶媒中にカベルゴリンを溶解させて溶液を生成し、次いで該溶液からカベルゴリン形態Iを得ることを含む、カベルゴリン形態Iを製造する方法。
【請求項37】
該溶媒が式(A)[式中、Xはフッ素である]のp−二置換ベンゼンを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
該溶媒が式(A)[式中、YはCないしCアルキルまたは臭素から成る群から選択される]のp−二置換ベンゼンを含む、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
該溶媒が式(A)[式中、Xはフッ素であり、YはCないしCアルキルである]のp−二置換ベンゼンを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
該溶媒が式(A)[式中、Xはフッ素であり、Yはエチルである]のp−二置換ベンゼンを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
該溶媒が式(A)[式中、Xはフッ素であり、Yはプロピルである]のp−二置換ベンゼンを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
該溶媒が、少なくとも75体積%の該式(A)のp−二置換ベンゼンを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
該溶媒が式(A)のp−二置換ベンゼンのみを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
該溶液を約−5℃またはそれ以下の温度に冷却する工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
該溶解が室温で行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
該溶解が25℃〜30℃の間で行われる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
該溶液をろ過して粒子状物質を除去する工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項48】
該溶液を約−17℃またはそれ以下の温度に冷却して沈殿物を生成する工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項49】
該溶液が約−23℃またはそれ以下の温度に下げられて沈殿物が生成される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
該溶液に第二の溶媒を添加する工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項51】
該第二の溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、第三級ブチルメチルエーテル、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
該貧溶媒がヘプタンである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
該貧溶媒がn−ヘプタンである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
式(A)のp−置換ベンゼンの第二の溶媒に対する比が4〜10:5〜20の体積比である、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
式(A)のp−置換ベンゼンの第二の溶媒に対する比が5〜7:10〜12の体積比である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
式(A)のp−置換ベンゼンの第二の溶媒に対する比が5〜6:11の体積比である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
該溶液を乾燥させてカベルゴリン形態Iを得る工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項58】
該乾燥が900mbar以下の圧力下で行われる、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
該乾燥が少なくとも約40℃の温度で行われる、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
該乾燥が不活性ガス雰囲気下で行われる、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
該不活性ガス雰囲気が5%未満の酸素を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
該不活性ガス雰囲気が窒素ガスおよびアルゴンガスから成る群から選択される不活性ガスを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
該不活性ガス雰囲気が少なくとも約80%の不活性ガスを含むガス混合物を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
該ガス混合物が窒素ガスを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
該ガス混合物がアルゴンガスを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
請求項36ないし65のうちのいずれか1項の方法によって得られるカベルゴリン形態I。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−502895(P2009−502895A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523446(P2008−523446)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002784
【国際公開番号】WO2007/012846
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(503429076)レゾリューション ケミカルズ リミテッド (8)
【Fターム(参考)】