説明

カメラシステム、映像処理装置及びカメラ装置

【課題】カメラ装置で撮像した高解像度な信号を、リアルタイムで良好に処理できるようにする。
【解決手段】カメラ装置100のイメージセンサ102で得た撮像信号を、その撮像信号の画素順序のままで、同期データを付加した映像データとしてカメラ装置100から出力させる。そのカメラ装置100から出力された映像データを、映像処理装置200で受信し、画素補間処理を行って、映像フォーマットで規定された画素配列の映像データに変換する。また、映像処理装置200からカメラ装置100に対して、同期タイミング設定データを伝送し、映像処理装置200側からカメラ装置100のイメージセンサでの撮像タイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高解像度撮像が可能なカメラシステム、並びにそのカメラシステムに適用される映像処理装置及びカメラ装置に関し、特に、カメラ装置が撮像して得た信号をそのままの画素配列で出力可能とした場合に適用される技術に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像を行って映像信号(画像信号)を得るカメラ装置(ビデオカメラ)として、フレームの画素数が通常の放送規格などで規定された画素数を大きく超える画素数のものが各種開発されている。例えば、水平画素数1920×垂直画素数1080のHD信号の画素数を大きく超えた、水平画素数が約4000のいわゆる4K×2K信号と称される映像信号を得るカメラ装置が開発されている。具体的には、1フレームの画素数として、水平画素数4096×垂直画素数2160や、水平画素数3840×垂直画素数2160などを扱うカメラなどが開発されている。あるいは、8K×4K信号と称される、水平画素数が約8000、垂直画素数が約4000の映像信号を扱うものについても提案されている。
【0003】
これらのHD信号の画素数を越えた高解像度な映像信号は、1フレーム内の画素数の増大に比例してデータ量が増え、高い伝送レートでの伝送が必要になっている。また、記録系での記録処理やモニタでの表示処理についても、高解像度映像信号に対応させる必要がある。
【0004】
特許文献1には、4K×2K信号として構成された映像信号をカメラ装置などから伝送させるシステムについての開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−13830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、4K×2K信号の如き高解像度な映像信号の場合には、1フレームの画素数が非常に多いため、その映像信号を生成させるための処理の負担が非常に大きい。例えば、カメラ装置に内蔵された像光を撮像信号に変換するイメージセンサは、そのセンサの画素配列が、効率よく撮像が行える特殊な配列であることが多い。即ち、例えば赤Rと緑Gと青Bの原色の画素を配置したイメージセンサとしたとき、赤Rと緑Gと青Bの3つの色の画素を均等には配置しない構成としたものがある。このような特殊な配列の一例としては、例えばベイヤ配列が知られている。
ベイヤ配列のような画素配列の場合、映像信号中の各画素の信号を生成させる際に、イメージセンサの隣接画素の出力を補間する処理が必要である。即ち、イメージセンサ上の実際の画素配列と、出力映像信号の画素配列との変換処理が必要になっている。
【0007】
カメラ装置内で画素変換処理などの映像信号処理を行うようにすると、それだけ、カメラ装置内での負担が大きく、それだけカメラ装置の大型化、消費電力の増大などの要因になってしまう。特に4K×2K信号の如き高解像度な映像信号をリアルタイム処理する回路は、非常に大規模かつ高速動作を行う回路を必要とし、カメラ装置としての機動性が損なわれてしまい、好ましくない。
【0008】
従来の4K×2K信号の如き高解像度な映像信号を得るシステムの場合には、カメラ装置内のイメージセンサで得た撮像信号を、そのままの画素配列の信号(Raw信号)として、カメラ装置内の記録部などで一旦ファイルに保存し、保存したファイルのデータを取り出してから、別の装置で変換することが行われている。保存したファイルのデータの変換は、例えばコンピュータ装置を利用した映像変換システムを適用することができる。
このRaw信号をファイル保存した後、保存されたデータを変換して、正規の映像信号とすることで、Raw信号から映像信号への変換がリアルタイム処理でなくなり、処理負担を少なくすることが可能になる。
【0009】
ところが、ファイル保存した後に変換する処理構成の場合には、リアルタイムで撮像した映像を見ることができなく、ライブ運用ができない問題がある。
【0010】
また、立体表示用の映像を得る3D撮影を行うカメラシステムのように、複数台のカメラ装置でマルチカメラシステムを組む場合には、上述したRaw信号をファイル保存すると、それぞれのカメラ装置のRaw信号を同期させる処理が必要になる問題があった。
【0011】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、カメラ装置で撮像した高解像度な信号を、リアルタイムで良好に処理できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、カメラ装置と、そのカメラ装置が出力する映像データを処理する映像処理装置とでカメラシステムを構成する。
カメラ装置は、イメージセンサと、補正部と、第1の伝送処理部と、同期処理部とを備える。
イメージセンサは、所定配列で画素が配置され、画素の配列に対応した画素順序の撮像信号を出力する。
補正部は、イメージセンサが出力する撮像信号を補正処理して、画素順序の映像データとする。
第1の伝送処理部は、補正部が出力する映像データに同期データを付加して外部に出力させる。
同期処理部は、第1の伝送処理部で受信した同期タイミング設定データに基づいて、イメージセンサでの撮像タイミングを制御する。
【0013】
映像処理装置は、第2の伝送処理部と、変換部とを備える。
第2の伝送処理部は、カメラ装置の第1の伝送処理部から出力された映像データを受信処理すると共に、第1の伝送処理部に伝送させる同期タイミング設定データを出力させる。
変換部は、第2の伝送処理部が受信した映像データの画素補間処理を行って、映像フォーマットで規定された画素配列の映像データに変換する。
そして、変換部で変換された映像データを出力させて、記録又は表示を実行させる。
【0014】
本発明によると、カメラ装置は、イメージセンサが出力する撮像信号を、そのままの画素配列の映像データとして出力させれば良く、カメラ装置内で規定のフォーマットの映像データとする補間処理などをする必要がなくなる。
また、カメラ装置で撮像するタイミングは、映像処理装置から伝送される同期タイミング設定データに同期したタイミングとなり、映像処理装置でカメラ装置での撮像タイミングを指示できるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、カメラ装置は、イメージセンサが出力する撮像信号を規定のフォーマットの映像データとする補間処理などが必要がなくなり、カメラ装置としての機動性を損なうことなく、高解像度映像の撮像が可能になる。
また、カメラ装置に接続された映像処理装置、カメラ装置からの映像データを、イメージセンサの画素配列に対応した補間処理で、規定されたフォーマットの映像データに変換することで、リアルタイムで撮像して得た映像の表示が可能になる。
従って、リアルタイム性を維持した高解像度映像の撮像及び表示が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態によるシステム構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるイメージセンサの画素配列例を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるRaw映像データの構成例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるRaw映像データの圧縮処理例を示す特性図である。
【図5】本発明の他の実施の形態によるシステム構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施の形態によるシステムを3D撮像システムとした場合の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を、以下の順序で説明する。
1.一実施の形態のシステム全体の説明(図1)
2.イメージセンサの画素配列例とRawデータの説明(図2〜図4)
3.他の実施の形態の説明(図5)
4.3D撮像システムに適用した場合の例の説明(図6)
5.変形例の説明
【0018】
[1.システム全体の説明]
図1は、本実施の形態の例のシステム構成の一例を示したものである。
本実施の形態においては、撮像を行うカメラ装置100と、そのカメラ装置100で得た映像データを処理する映像処理装置としての現像ユニット200と、その周辺機器とで構成したシステムとしてある。カメラ装置100と現像ユニット200は、光ケーブル16で接続してある。光ケーブル16とそのケーブルに接続された入出力部では、例えばデータを2Gビット/秒程度の高速伝送処理を可能としてあり、カメラ装置100で撮像して得たデータをそのまま伝送出来る能力を備える。
【0019】
カメラ装置100の構成について説明すると、カメラ装置100は、カメラ制御部107を備え、カメラ装置100内の各部の撮像動作は、このカメラ制御部107の制御で実行される。
カメラ装置100で撮像を行うための構成として、レンズ101を介して得た像光を、イメージセンサ102の撮像面に結像させ、その結像した像光を、各画素毎に光電変換して、撮像信号を得る構成としてある。イメージセンサ102としては、CCD型イメージセンサ、CMOS型イメージセンサなどの各種方式のものが適用可能である。このイメージセンサ102は、1フレームの画素数が、水平画素数4096×垂直画素数2160などの4K×2K信号を得る、高解像度用のイメージセンサとしてある。イメージセンサ102の画素配列については後述する。但し、例えば1フレームの画素数を水平画素数4096×垂直画素数2160とした場合でも、この画素数を最終的に規定されたフォーマットの映像データとなった場合の画素数であり、イメージセンサ102上の画素数は、この水平画素数4096×垂直画素数2160などの値とは一致しない可能性がある。
【0020】
イメージセンサ102での撮像は、イメージャ駆動部103から供給される駆動信号に同期して行われ、その駆動信号に同期して、1水平ラインずつ撮像信号が読出される。
イメージセンサ102が出力する撮像信号は、Rawデータ補正部104に供給する。ここでRawデータとは、イメージセンサ102の画素配列に対応した順序でイメージセンサ102から出力される撮像信号を、そのままの画素順序とした映像データのことを示す。従って、Rawデータは、通常の映像データの伝送フォーマットとは画素順序や画素数が異なる。
【0021】
Rawデータ補正部104では、イメージセンサ102から供給される撮像信号の各画素単位の信号に対して、イメージセンサ102に固有の画素の傷や、縦縞、ノイズなどを補正する処理を行って、Rawデータ(生データ)とする。基本的に撮像信号とRawデータの画素数は同じであり、Rawデータ補正部104では、画素数や画素位置などを変換する処理は行わない。但し、1フレームの撮像信号から周辺の無効領域を削除することで、画素数が減る構成としてもよい。
【0022】
Rawデータ補正部104で補正して得られたRawデータは、Rawデータ伝送処理部105に供給して、現像ユニット200側に伝送させるための処理を行う。ここでは、1フレームのRawデータごとに、同期データを付加したデータし、その同期データが付加されたデータを、入出力部108から光ケーブル16に出力させる。この場合、Rawデータ伝送処理部105では、Rawデータ化された1画素のデータごとに、ビット数の変換などを行うようにしてもよい。例えば、Rawデータ補正部104から供給される1画素のデータが12ビットで構成される場合に、1画素のデータを16ビットに変換するようにしてもよい。あるいは、1画素のデータごとに、非線形のデータに変換してもよい。
【0023】
また、光ケーブル16から入出力部108に入力したデータ(同期データ)を、Rawデータ伝送処理部105に供給し、Rawデータ伝送処理部105に得られた同期データを、リアルタイム同期処理部106に供給する。この受信した同期データは、このカメラ装置100で撮像するタイミングを設定する同期タイミング設定データである。
【0024】
入出力部108は、光ケーブル16を接続させる端子を備え、その端子に接続された光ケーブル16でデータを送信させる処理及び光ケーブル16で伝送されたデータを受信する処理が行われる。
【0025】
リアルタイム同期処理部106は、供給される同期データに基づいて、イメージャ駆動部103での駆動タイミングを制御し、同期データで示されたタイミングでイメージセンサ102が撮像処理を行うように設定する。なお、撮像ユニット200側から供給される同期データは、少なくともフレーム周期を決める垂直同期成分が含まれる同期データである。
【0026】
また、Rawデータ補正部104で補正されたRawデータは、ローパスフィルタ111で高域成分の除去を行った後、間引き処理部112で画素の間引き処理を行い、比較的解像度の低い映像データを得る。この間引き処理部112で得られた映像データは、電子ビューファインダ(EVF)113に供給して、表示させる。
【0027】
次に、カメラ装置100から伝送されたRawデータを処理する映像処理装置である、現像ユニット200の構成について説明する。
現像ユニット200は、現像ユニット制御部208を備え、現像ユニット制御部208が現像ユニット200内の各部の動作を制御する。なお、この現像ユニット制御部208は、カメラ制御部107と通信を行って同期して処理を行うようにしてある。
【0028】
現像ユニット200は、光ケーブル16が接続される入出力部209を備え、その入出力209に接続されたRawデータ伝送処理部201で、カメラ装置100から伝送されたRawデータの受信処理が行われる。Rawデータ伝送処理部201で受信処理したRawデータは、RGB変換部202に供給し、映像データとして規格で規定されたフォーマットの画素配列の映像データに変換する。即ち、Rawデータは、カメラ装置100が備えるイメージセンサ102の画素配列に依存した映像であるが、この映像データを、赤Rと緑Gと青Bの3つの色の画素配列が規定された順序の映像データに変換する。この変換処理は、隣接する位置の画素のデータの補間で得られ、3つの原色の画素の内で不足する画素を補う場合には、変換前と変換後とで画素数が異なることになる。
なお、Rawデータ伝送処理部201に得られたRawデータは、そのまま現像ユニット200から出力させて、第1記録装置12に供給して記録させる構成としてある。
【0029】
RGB変換部202で得られた映像データは、色歪み補正部203に供給する。この色歪み補正部203では、カメラ装置100内のイメージセンサ102特有の色再現特性を、実際の色再現に近づけるための補正を、画素単位で行う。
色歪み補正部203で補正された映像データは、画質調整部204に供給する。画質調整部203では、白レベル、黒レベル、ガンマ補正などのユーザ設定による画質調整を行う。画質調整部204は、外部からパラメータを変更することで、画質調整状態を変更することができる。
画質調整部203で調整された映像データは、フレームシンクロナイザ204に供給し、このフレームシンクロナイザ205が備えるフレームメモリに映像データを一旦蓄積させてから、指示されたタイミングで読み出して、映像データの出力タイミングを調整する。
【0030】
フレームシンクロナイザ205が出力する映像データは、ガンマ補正処理部206に供給し、表示装置のガンマ特性に基づいた補正処理を行い、補正された映像データを外部に出力させる。この例では、外部に出力された映像データを高解像度モニタ14に供給して表示させると共に、第2記録装置13に供給して、映像データを記録処理する。高解像度モニタ14は、例えば4K×2K信号を表示させる能力を備えたモニタディスプレイである。
【0031】
また、ガンマ補正処理部206で補正された映像データを、ダウンコンバート部210に供給し、HD規格の映像データに変換する。HD規格の映像データは、例えば1フレームの画素数が、水平画素数1920×垂直画素数1080の映像データである。このダウンコンバート部210での変換処理は、リアルタイム同期処理部207から供給される同期データに同期したタイミングで実行される。ダウンコンバート部210で変換された映像データは、外部に出力させる。この例では、外部に出力された映像データを、HDモニタ15に供給して表示させる。HDモニタ15は、HD規格の映像データを表示させる能力を備えたモニタディスプレイである。
【0032】
また、現像ユニット200は、リアルタイム同期処理部207を備え、現像ユニット200内の各部で映像処理を行う際に、フレーム単位の同期をとる処理を行い、ジッターが発生しないように制御する。
具体的には、外部のフレーム同期発生装置11から供給される同期タイミングデータに同期した同期データを生成させる。このリアルタイム同期処理部207が生成させた同期データは、Rawデータ伝送処理部201及び入出力部209を介して、同軸ケーブル16に出力させて、カメラ装置100に伝送させる。
また、同期発生装置11から供給される同期タイミングデータに同期したタイミングで、ダウンコンバート部210からダウンコンバートされた映像データを出力させる。ガンマ処理部206から外部に出力される映像データについても、同じ同期タイミングデータに同期したタイミングの映像データとする。
【0033】
[2.イメージセンサの画素配列例とRawデータの説明]
次に、この図1のシステム構成で行われる撮像処理について、図2〜図4を参照して説明する。
図2(a)は、カメラ装置100が備えるイメージセンサ102の画素配列の例を示したものである。ここでは、ベイヤ配列で3つの原色信号の画素を配列してある。即ち、ある水平ラインでは、赤画素Rと、緑画素Gとを、1画素ずつ交互に配置してある。次の水平ラインでは、緑画素Gと、青画素Bとを、1画素ずつ交互に配置してあり、この2水平ラインの組み合わせが繰り返される。但し、赤画素Rを配置した水平ラインの緑画素Gと、青画素Bを配置した水平ラインの緑画素Gは、垂直方向の位置がずれるようにしてある。
このようなベイヤ配列としてあることで、効率のよい撮像が行われる。
【0034】
図2(b)に示したイメージセンサの画素配列は、各色の画素を単純に配列した例を参考に示したものであり、カメラ装置100が備えるイメージセンサ102とは異なる。即ち、各水平ラインで、赤画素Rと、緑画素Gと、青画素Bとを、交互に配列してある。この図2(b)に示した配列の場合には、各画素が順番に得られるので、このままの画素配列で、出力用の映像データとすることができる。
【0035】
ここで本実施の形態においては、カメラ装置100内で生成されるRawデータについては、図2(a)の画素配列のままの映像データとしてある。
即ち、図3は、Rawデータの構成例を示したものであり、このRawデータは、垂直ブランキング期間(Hブランキング期間)と、水平ブランキング期間(Hブランキング期間)と、映像データ期間とを有する。そして、映像データ期間には、図2(a)の画素配列のままで、各画素単位のデータを配置してある。各画素のデータは、例えば1画素のレベルを12ビットや14ビットなどで示したデータである。
各ブランキング期間のデータは、通常の映像データのブランキング期間のデータと同様の構成でよい。
【0036】
なお、カメラ装置100のRawデータ伝送処理部105で、レベルの圧縮処理を行うようにしてもよい。即ち、図4(a)に示すように、本来は、1画素ごとに入力レベルと出力レベルが直線的に対応するように、Rawデータの各画素データを設定する。これに対して、図4(b)に示すように、入力レベルと出力レベルとが非線形で対応するようにして、ビット長を圧縮するようにしてもよい。
【0037】
このビット長の圧縮をしないで現像ユニット200に伝送させることが可能である場合には、圧縮しないで伝送することが好ましい。このようにすることで、現像ユニット200での演算精度が高くなり、解像度が高く、色再現性の高い映像が、各モニタ14,15で表示されると共に記録装置12,13で記録される。
【0038】
このように本実施の形態のシステム構成によると、カメラ装置100としては、イメージセンサ102で撮像して得た映像データを、そのままの画素配列で出力させることができ、カメラ装置内で画素補間などの変換処理が必要ない。従って、高解像度映像の撮像を行うカメラ装置として構成を簡単にすることができると共に、カメラ装置を小型・軽量に構成でき、カメラ装置としての機動性を確保できる。また、高解像度映像の撮像を行うカメラ装置の消費電力の遡源にも貢献する。
そして、カメラ装置100が出力する映像データを、現像ユニット200側で規定されたフォーマットの映像データに変換するので、接続された高解像度モニタ14で、解像度の高い映像が、撮像と同時にリアルタイムで表示できるようになる。記録装置での記録についても、リアルタイムで行える。
【0039】
また、本実施の形態のシステム構成の場合には、現像ユニット200側で、映像データを高画質化するための処理を行うので、カメラ装置側になんら変更を加えることなく、現像ユニット側での対処で、各種高画質化処理が行えるようになる効果を有する。従って、カメラ装置に内蔵させるのには無理がある、比較的高度なアルゴリズムによる処理も、容易に実現でき、またそのアルゴリズムの変更も、比較的容易に行える。
【0040】
なお、図1の構成では、2つの記録装置12,13を備える構成としたが、いずれか一方の記録装置12又は13だけを備える構成としてもよい。記録装置12については、Rawデータのままで記録するので、少ないデータ量で記録が行える。記録装置13については、変換後の映像データを記録するので、記録された映像データを、そのまま表示用などとして出力させることができる。
【0041】
[3.他の実施の形態の説明]
次に、図5を参照して、本発明の他の実施の形態の例について説明する。
この図5において、先に説明した図1に対応する部分には同一符号を付す。
この図5の例は、カメラ装置100′が備える電子ビューファイン113で表示させる映像データを、現像ユニット200′側から供給する構成としたものである。
【0042】
即ち、図5に示すように、現像ユニット200′内のダウンコンバート部210で得られたHD規格の映像データを、Rawデータ伝送処理部201′に供給し、光ケーブル16で、このHD規格の映像データを、カメラ装置100′に伝送する。
そして、カメラ装置100′のRawデータ伝送処理部105′では、得られたHD規格の映像データを、電子ビューファインダ113に供給して表示させる。
その他の部分は、図1に示したカメラ装置100及び現像ユニット200と同様に構成する。
【0043】
このように構成したことで、カメラ装置100′の電子ビューファインダ113で表示される映像は、現像ユニット200′側でダウンコンバートされた映像データである。従って、図1例のように、電子ビューファインダ113で表示させる映像データを得るためのローパスフィルタ111や間引き処理部112が必要なく、それだけカメラ装置100′の構成を簡単にすることが可能になる。
【0044】
[4.3D撮像システムに適用した場合の例の説明]
次に、本実施の形態の撮像システムを、立体映像である3D撮像システムに適用した場合の例を、図6に示す。
この場合には、図6に示すように、カメラ装置として、左チャンネル用カメラ装置100L、右チャンネル用カメラ装置100Rの2台を用意する。そして現像ユニットとして、左チャンネル用現像ユニット200Lと右チャンネル用現像ユニット200Rの2台を用意する。
それぞれのカメラ装置100L,100Rは、図1に示したカメラ装置100(又は図5に示したカメラ装置100′)と同一の構成である。また、それぞれの現像ユニット200L,200Rは、図1に示した現像ユニット200(又は図5に示した現像ユニット200′)と同一の構成である。
【0045】
そして、左チャンネル用カメラ装置100Lと左チャンネル用現像ユニット200Lとを光ケーブルで接続し、左チャンネルのRawデータをカメラ装置100Lから現像ユニット200Lに供給する。また、右チャンネル用カメラ装置100Rと右チャンネル用現像ユニット200Rとを光ケーブルで接続し、右チャンネルのRawデータをカメラ装置100Rから現像ユニット200Rに供給する。
それぞれの現像ユニット200L,200Rには、フレーム同期発生装置21からの同期データに基づいて同期処理が行われ、カメラ装置100L,100Rでの撮像についても同期して行われる。
【0046】
そして、左チャンネル用現像ユニット200Lで変換して得られた映像データと、右チャンネル用現像ユニット200Rで変換して得られた映像データとを、3D記録装置22に供給して記録させる。あるいは、左チャンネルのRawデータと右チャンネルのRawデータとを、3D記録装置22に供給して記録させてもよい。
【0047】
さらに、左チャンネル用現像ユニット200Lで変換して得られた映像データと、右チャンネル用現像ユニット200Rで変換して得られた映像データとを、高解像度3Dモニタ23に供給して、3D表示させる。また、左チャンネル用現像ユニット200Lでダウンコンバートして得られたHD方式の映像データと、右チャンネル用現像ユニット200Rでダウンコンバートして得られたHD方式の映像データとを、HD方式用3Dモニタ24に供給して、3D表示させる。
なお、各モニタ23,24は、立体表示用ではない通常のモニタでもよい。この場合には、いずれか一方のチャンネルを選択的に表示させるか、あるいは、2つのチャンネルの映像を並べて表示させる。
【0048】
この図6に示したシステム構成とすることで、立体表示用の高解像度映像の撮像を、同期して効率良く行える効果を有する。
【0049】
[5.変形例の説明]
なお、ここまで説明した各図に示した構成は、好適な一例であり、実施の形態で説明した構成に限定されるものではない。
例えば、カメラ装置が備えるイメージセンサの画素配列として、図2(a)に示したベイヤ配列は一例であり、その他の配列のイメージセンサを使用してもよい。
また、現像ユニット200内の処理構成は、一部の構成を省略した構成としてもよい。また、同期発生装置11、21は、現像ユニット200とは別としたが、一体化して現像ユニット200内で同期データを生成させる構成としてもよい。
【0050】
また、複数台のカメラ装置を備えたシステム構成例として、図6の3D撮像システムを示したが、その他の複数台のカメラ装置で構成されたマルチカメラシステムにも、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
11…フレーム同期発生装置、12…第1記録装置、13…第2記録装置、14…高解像度モニタ、15…HDモニタ、16…光ケーブル、21…フレーム同期発生装置、22…3D記録装置、23…高解像度3Dモニタ、24…HD3Dモニタ、100…カメラ装置、100L左チャンネル用カメラ装置、100…R右チャンネル用カメラ装置、101…レンズ、102…イメージセンサ、103…イメージャ駆動部、104…Rawデータ補正部、105,105′…Rawデータ伝送処理部、106…リアルタイム同期処理部、107…カメラ制御部、入出力部108、111…ローパスフィルタ、112…間引き処理部、113…電子ビューファインダ、200…現像ユニット、200…L左チャンネル用現像ユニット、200…R右チャンネル用現像ユニット、201,201′…Rawデータ伝送処理部、202…RGB変換部、203…色歪み補正部、204…画質調整部、205…フレームシンクロナイザ、206…ガンマ処理部、207…リアルタイム同期処理部、208…現像ユニット制御部、209…入出力部、210…ダウンコンバート部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定配列で画素が配置され、前記画素の配列に対応した画素順序の撮像信号を出力するイメージセンサと、
前記イメージセンサが出力する撮像信号を補正処理して、前記画素順序の映像データとする補正部と、
前記補正部が出力する映像データに同期データを付加して外部に出力させる第1の伝送処理部と、
前記第1の伝送処理部で受信した同期タイミング設定データに基づいて、前記イメージセンサでの撮像タイミングを制御する同期処理部と
を備えたカメラ装置と、
前記第1の伝送処理部から出力された映像データを受信処理すると共に、前記第1の伝送処理部に伝送させる同期タイミング設定データを出力させる第2の伝送処理部と、
前記第2の伝送処理部が受信した映像データの画素補間処理を行って、映像フォーマットで規定された画素配列の映像データに変換する変換部と
を備えて、前記変換部で変換された映像データを出力させる映像処理装置とで構成される
カメラシステム。
【請求項2】
さらに前記映像処理装置は、
前記変換部で変換された映像データの画素数を減らすダウンコンバート処理を行うダウンコンバート部を備え、
前記ダウンコンバート部でダウンコンバート処理が行われた映像データを、前記第2の伝送処理部から出力させる同期タイミング設定データに同期した映像データとした
請求項1記載のカメラシステム。
【請求項3】
さらに前記映像処理装置のダウンコンバート部でダウンコンバート処理が行われた映像データを、前記第2の伝送処理部から前記第1の伝送処理部に伝送し、
前記カメラ装置で、前記第1の伝送処理部が受信したダウンコンバート処理が行われた映像データによる表示処理を行う
請求項2記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記映像処理装置の第2の伝送処理部から前記カメラ装置の第1の伝送処理部に伝送する同期タイミング設定データは、垂直同期成分を含むデータである
請求項1又は2記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記カメラ装置及び前記映像処理装置を2台用意して、2台のカメラ装置で得られた映像データを立体表示用映像データとして、2台の映像処理装置で同期して個別に処理する
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項6】
さらに前記カメラ装置は、
前記補正部が出力する映像データの画素を間引き処理する間引き処理部と、
前記間引き処理部で画素が間引かれた映像データによる表示処理を行う表示部とを備えた
請求項1項に記載のカメラシステム。
【請求項7】
所定配列で画素が配置され、前記画素の配列に対応した画素順序の撮像信号を出力するイメージセンサと、
前記イメージセンサが出力する撮像信号を補正処理して、前記画素順序の映像データとする補正部と、
前記補正部が出力する映像データに同期データを付加して外部に出力させる伝送処理部と、
前記伝送処理部で受信した同期タイミング設定データに基づいて、前記イメージセンサでの撮像タイミングを制御する同期処理部と
を備えたカメラ装置。
【請求項8】
前記補正部が出力する映像データの画素を間引き処理する間引き処理部と、
前記間引き処理部で画素が間引かれた映像データによる表示処理を行う表示部とを備えた
請求項7項に記載のカメラ装置。
【請求項9】
カメラ装置から伝送された映像データを受信処理すると共に、前記カメラ装置に伝送させる同期タイミング設定データを出力させる伝送処理部と、
前記伝送処理部が受信した映像データの画素補間処理を行って、映像フォーマットで規定された画素配列の映像データに変換する変換部と、
前記変換部で変換された映像データを出力させる出力部とを備えた
映像処理装置。
【請求項10】
前記変換部で変換された映像データの画素数を減らすダウンコンバート処理を行うダウンコンバート部を備え、
前記ダウンコンバート部でダウンコンバート処理が行われた映像データを、前記伝送処理部から出力させる同期タイミング設定データに同期した映像データとした
請求項9記載の映像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−216948(P2011−216948A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80360(P2010−80360)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】