説明

カメラシステム

【課題】撮影に必要な情報を効率よく表示できるカメラシステムを提供する。
【解決手段】カメラ本体10と交換レンズ100とからなるカメラシステム1において、交換レンズ10の鏡筒部102の外周に表示部106を形成し、その表示部106に焦点距離目盛、距離目盛、被写界深度目盛等を切り換え可能に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラシステムに係り、特に交換レンズの鏡筒部分に距離情報や焦点距離情報等が表示可能なカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラのように、マニュアル操作が可能なカメラのレンズには、鏡筒部の外周に距離目盛や焦点距離目盛が付されており、現在のレンズの設定状況が一目で確認できるようにされている。
【0003】
通常、このような目盛は印刷で形成されるが(たとえば、特許文献1)、印刷で形成すると、長年使用している間に印刷が擦れ、見にくくなるという欠点があった。
【0004】
そこで、鏡筒部の外周に表示窓を設け、この表示窓の内側に距離目盛等を形成することも行われている(たとえば、特許文献2)。
【特許文献1】実開平7−8814号公報
【特許文献2】特開平8−304681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンパクトな構成のレンズでは、鏡筒部に距離目盛や焦点距離目盛などを形成すると、表示が煩雑になり、かえって見にくくなるという欠点がある。その一方でこれらの表示を省略すると、撮影に必要な情報が得られず、撮影がしにくくなるという欠点もある。
【0006】
また、近年、デジタル一眼レフカメラが急速に普及しているが、一般にデジタル一眼レフカメラに用いられている撮像素子のサイズは、35mm版フィルムよりも小さいため、35mm版フィルム用のレンズを装着すると、画角が狭くなるという問題があった。このため、35mm版フィルムと同じ感覚で撮影できないという欠点があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、撮影に必要な情報を効率よく表示できるカメラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、カメラ本体とレンズとからなるカメラシステムにおいて、前記レンズの鏡筒部分に設けられた表示手段と、前記レンズの設定状態を検出する状態検出手段と、前記状態検出手段で検出された前記レンズの設定状態から所定のレンズ情報を生成するレンズ情報生成手段と、前記レンズ情報生成手段で生成されたレンズ情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えたことを特徴とするカメラシステムを特徴とする。
【0009】
請求項1に係る発明によれば、レンズの鏡筒部分に表示手段が設けられており、その表示手段に所定のレンズ情報が表示される。これにより、必要な情報のみをレンズに効率よく表示することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記レンズが前記カメラ本体に着脱自在に設けられ、交換可能であることを特徴とする請求項1に記載のカメラシステムを提供する。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、レンズを交換することができる。これにより、装着したカメラ本体に応じて必要な情報を表示部に表示することができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、前記レンズ情報生成手段は、現在設定されているレンズの焦点距離、被写体距離、絞り値、被写界深度の少なくとも一つをレンズ情報として生成することを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラシステムを提供する。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、現在設定されているレンズの焦点距離、被写体距離、絞り値、被写界深度の少なくとも一つがレンズ情報として表示される。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するために、前記カメラ本体で使用するフィルム又は撮像素子のサイズ情報を取得するサイズ情報取得手段を有し、前記レンズ情報生成手段は、前記サイズ情報取得手段で取得したフィルム又は撮像素子のサイズ情報に基づいて所定のフィルム又は撮像素子のサイズに換算した焦点距離の情報をレンズ情報として生成することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のカメラシステムを提供する。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、所定のフィルム又は撮像素子のサイズに換算した焦点距離の情報がレンズ情報として表示手段に表示される。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記目的を達成するために、電子ズーム手段と、前記電子ズーム手段によるズーム倍率情報を取得するズーム倍率情報取得手段と、を備え、前記レンズ情報生成手段は、前記ズーム倍率情報取得手段で取得したズーム倍率の情報に基づいて所定のフィルム又は撮像素子のサイズに換算した焦点距離の情報をレンズ情報として生成することを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のカメラシステムを提供する。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、カメラ本体に電子ズーム機能が備えられている場合において、電子ズームのズーム倍率の情報に基づいて所定のフィルム又は撮像素子のサイズに換算した焦点距離の情報がレンズ情報として表示手段に表示される。
【0018】
請求項6に係る発明は、前記目的を達成するために、赤外撮影モードに設定するモード設定手段を備え、前記レンズ情報生成手段は、前記モード設定手段で赤外撮影モードに設定されると、赤外撮影に応じた被写体距離の情報をレンズ情報として生成することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載のカメラシステムを提供する。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、カメラ本体が赤外撮影の機能を備えている場合において、赤外撮影モードに設定すると、赤外撮影に応じた被写体距離の情報がレンズ情報として表示手段に表示される。すなわち、赤外撮影の場合、結像位置がずれるため、赤外撮影用の被写体距離の情報がレンズ情報として表示手段に表示される。
【0020】
請求項7に係る発明は、前記目的を達成するために、前記表示手段に表示するレンズ情報の切り換えを指示する切換手段を備え、前記表示制御手段は、前記切換手段からの指示に応じて前記表示手段に表示するレンズ情報を切り換えることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載のカメラシステムを提供する。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、表示手段に表示するレンズ情報を切り換えることができる。これにより、ユーザが必要な情報のみを選択的に表示手段に表示させることができる。
【0022】
請求項8に係る発明は、前記目的を達成するために、前記表示手段を前記カメラ本体に設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のカメラシステムを提供する。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、表示手段がカメラ本体に設けられ、このカメラ本体に設けられた表示手段にレンズ情報が表示される。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るカメラシステムによれば、撮影に必要な情報を効率よく表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明に係るカメラシステムを実施するための最良の形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明が適用されたカメラシステムの外観構成を示す斜視図である。
【0027】
同図に示すように、本実施の形態のカメラシステム1は、カメラ本体10と交換レンズ100とからなる一眼レフカメラシステムとして構成されている。
【0028】
交換レンズ100は、その基端部に設けられたレンズ側マウントをカメラ本体10の正面に設けられたカメラ側マウントに接合することで、カメラ本体10に着脱自在に取り付けられる。同じ規格のマウントであれば、カメラ本体に他の交換レンズを装着することができ、また、交換レンズを他のカメラ本体に装着することができる。また、互いのマウントには、接点が設けられており、交換レンズ100をカメラ本体10に装着すると、互いの接点が接続される。これにより、カメラ本体10と交換レンズ100とが相互に通信可能に接続される。このようなマウントの構造自体は公知であるので、ここでは、その具体的な構成についての説明は省略する。
【0029】
また、交換レンズ100は、単焦点レンズの場合、鏡筒部102の外周にフォーカスリング104Fが設けられる。交換レンズ100は、このフォーカスリング104Fを回転操作することにより、フォーカシングが行われる。
【0030】
また、ズームレンズの場合は、鏡筒部102の外周にフォーカスリング104Fとズームリング104Zが設けられる。交換レンズ100は、フォーカスリング104Fを回転操作することにより、フォーカシングが行われ、ズームリング104Zを回転操作又は前後にスライド操作することにより、ズーミングが行われる。図1は、交換レンズ100としてズームレンズをカメラ本体10に装着した場合を示している。
【0031】
なお、交換レンズ100が、AF(オートフォーカス)レンズの場合、フォーカシングのためのレンズ駆動はモータで行われる。一般にAFレンズは、AFとMF(マニュアルフォーカス)が任意に切り換えられ、AFモードに設定されると、フォーカシングが自動で行われる。一方、MFモードに設定されると、フォーカスリング104Fの手動操作でフォーカシングが行われる。このAF/MFの切り換えは、たとえば鏡筒部102に備えられた切換スイッチ(図示せず)で行われる。
【0032】
交換レンズ100が、パワーズームレンズの場合も同様にズーミングのためのレンズ駆動はモータで行われる。
【0033】
このようなAFレンズやパワーズームレンズの構造自体は公知なので、ここでは、その具体的な構成についての説明は省略する。
【0034】
また、交換レンズ100は、絞りを内蔵しており、この絞りで入射光量が調節される。レンズ側で絞りを設定可能な交換レンズの場合、鏡筒部102の外周に絞りリングが設けられ、この絞りリングを回転操作することにより、所定の絞り値に設定される。
【0035】
このように、交換レンズとしての基本的な構成は、公知の交換レンズと変わらないが、本実施の形態の交換レンズ100では、図1及び図2に示すように、鏡筒部102の外周にレンズ情報を表示するための表示部106が備えられている。この表示部106は、矩形状に形成されており、鏡筒部102の外周面に沿って湾曲して取り付けられている。このため、表示部106は、可撓性を有する電子ペーパで構成されている。また、この表示部106は、図1に示すように、交換レンズ100をカメラ本体10に装着した際、交換レンズ100の上面に位置するように配置されており、上方から目視できるようにされている。
【0036】
さて、上記のように、この交換レンズ100に設けられた表示部106には、レンズ情報が表示されるが、具体的には、現在設定されている交換レンズ100の距離情報(被写体距離情報)、焦点距離情報、絞り情報、被写体深度情報等が表示される。この表示は、任意に切り換えられるようにされており、たとえば、カメラ本体10に設けられた操作部(表示切り換えボタン等)の操作で表示が切り換えられる。
【0037】
図3は、表示部106の表示制御に係わる構成のブロック図である(交換レンズがズームレンズの場合)。
【0038】
同図に示すように、交換レンズ100は、レンズCPU110、システムメモリ112、ズーム位置センサ114、フォーカス位置センサ116、表示制御回路118を備えている。一方、カメラ本体10は、カメラCPU12、システムメモリ14、操作部16を備えている。
【0039】
レンズCPU110は、交換レンズ100の全体の動作を統括制御する制御部として機能する。このレンズCPU110は、システムメモリ112に格納された制御プログラムに従って動作し、交換レンズ100の各部を制御する。
【0040】
システムメモリ112は、ROMとRAMとからなり、ROMには、レンズCPU110が実行する制御プログラムの他、制御に必要なデータ及び交換レンズの固有のデータ等が格納されている。また、RAMはレンズCPU110の作業領域として使用される。
【0041】
ズーム位置センサ114は、交換レンズ100を構成するズームレンズの位置を検出し、その検出結果をレンズCPU110に出力する。レンズCPU110は、このズーム位置センサ114の検出結果に基づいて現在交換レンズ100に設定されている焦点距離を算出する。
【0042】
フォーカス位置センサ116は、交換レンズ100を構成するフォーカスレンズの位置を検出し、その検出結果をレンズCPU110に出力する。レンズCPU110は、このフォーカス位置センサ116の検出結果に基づいて現在交換レンズ100に設定されている被写体距離を算出する。
【0043】
表示制御回路118は、レンズCPU110からの指令に基づいて表示部106を制御し、表示部106に所定の情報を表示させる。
【0044】
カメラCPU12は、カメラ本体10の全体の動作を統括制御する制御部として機能する。このカメラCPU12は、システムメモリ14に格納された制御プログラムに従って動作し、カメラ本体10の各部を制御する。
【0045】
システムメモリ14は、ROMとRAMとからなり、ROMには、カメラCPU12が実行する制御プログラムの他、制御に必要なデータ等が格納されている。また、RAMはカメラCPU12の作業領域として使用される。
【0046】
レンズCPU110とカメラCPU12は、相互にCPU間通信を行って、必要なデータの送受信を行う。そして、レンズCPU110は、カメラCPU12から得た情報、ズーム位置センサ114、フォーカス位置センサ116に基づいて表示部106に所定のレンズ情報を表示させる。
【0047】
図4は、表示部106に表示されるレンズ情報の例を示している。
【0048】
図4(a)は、レンズ情報として、表示部106に焦点距離目盛と距離目盛と被写界深度目盛を表示した場合を示している。
【0049】
焦点距離目盛は、中央に指標が表示され、その指標が指し示す先に現在設定されている焦点距離が表示される。図4(a)に示す例の場合、焦点距離が50mmに設定されている場合が示されている。
【0050】
距離目盛は、中央に指標が表示され、その指標が指し示す先に現在設定されている距離(被写体距離)が表示される。図4(a)に示す例の場合、距離が1mに設定されている場合が示されている。
【0051】
被写界深度目盛は、距離目盛と共に表示され、指標の左右に設定された絞り値に対応する被写界深度の目盛が表示される。図4(a)に示す例の場合、絞りがF11、F16、F22に設定された場合の被写界深度の目盛が示されている。
【0052】
レンズCPU110は、ズーム位置センサ114、フォーカス位置センサ116の出力に基づいて表示部106に表示する焦点距離目盛、距離目盛、被写界深度目盛の表示データを生成する。そして、生成した表示データを表示制御回路118に加えて、表示部106に表示させる。なお、交換レンズ側のシステムメモリ112には、焦点距離に応じた被写界深度目盛のデータが格納されており、このデータに基づいて焦点距離に応じた被写界深度目盛の表示データが生成される。
【0053】
図4(b)は、レンズ情報として、表示部106に焦点距離目盛のみを表示した場合を示している。
【0054】
図4(c)は、レンズ情報として、表示部106に距離目盛と被写界深度目盛を表示した場合を示している。
【0055】
図4(d)は、レンズ情報として、表示部106に現在設定されている焦点距離、被写体距離、絞り値を数値表示した場合を示している。この場合、レンズCPU110は、ズーム位置センサ114とフォーカス位置センサ116の出力に基づいて現在設定されている焦点距離、被写体距離を算出するとともに、カメラCPU12から現在設定されている絞り値のデータを取得し、表示データを生成する。そして、生成した表示データを表示制御回路118に加えて、表示部106に表示させる。
【0056】
図4(e)は、レンズ情報として、表示部106に現在設定されている焦点距離、絞り値を数値表示するとともに、被写体距離及び被写界深度をグラフ表示した場合を示している。この場合、レンズCPU110は、ズーム位置センサ114とフォーカス位置センサ116の出力に基づいて現在設定されている焦点距離、被写体距離を算出するとともに、カメラCPU12から現在設定されている絞り値のデータを取得し、表示データを生成する。被写体距離及び被写界深度については、中央に現在設定されている被写体距離が表示され、その前後に現在設定されている絞り値に基づく前方深度と後方深度とが表示される。
【0057】
図4(f)は、交換レンズ100としてマクロレンズ又はマクロ機能を使用した場合の表示例を示している。この場合、レンズ情報として、表示部106に現在設定されている焦点距離、撮影倍率、絞り値が数値表示される。レンズCPU110は、ズーム位置センサ114とフォーカス位置センサ116の出力に基づいて現在設定されている焦点距離、撮影倍率を算出するとともに、カメラCPU12から現在設定されている絞り値のデータを取得し、表示データを生成する。
【0058】
図4(g)は、レンズ情報として、表示部106に現在設定されている焦点距離、被写体距離、絞り値、感度を数値表示した場合を示している。この場合、レンズCPU110は、ズーム位置センサ114とフォーカス位置センサ116の出力に基づいて現在設定されている焦点距離、被写体距離を算出するとともに、カメラCPU12から現在設定されている絞り値及び感度のデータを取得し、表示データを生成する。そして、生成した表示データを表示制御回路118に加えて、表示部106に表示させる。
【0059】
このように表示部106には、各種の情報を表示させることができる。これにより、ユーザにとって必要な情報のみを表示させることができ、必要な情報が見やすく、使い勝手のよいカメラシステム1を提供することができる。
【0060】
なお、表示部106に表示させる情報は、これに限定されるものではなく、たとえば、この他、焦点距離のみ、被写体距離のみ、絞り値のみ、被写界深度のみ、感度のみを数値又は目盛表示してもよいし、これらを組み合わせて表示してもよい。また、これらを切り換えて表示させるようにしてもよい。
【0061】
ところで、交換レンズ100は、同じマウント規格のものであれば、カメラ本体10を変えて装着することができるが、交換レンズ100は、装着するカメラ本体10の撮像素子サイズ又はフィルムサイズが変わると、実際に写る画角も変化するという問題がある。たとえば、APS−Cサイズ相当の撮像素子を用いたデジタルカメラと35mm版フィルムカメラとでは、同じ焦点距離の交換レンズを装着した場合であっても、APS−Cサイズ相当デジタルカメラの画角は、35mm版フィルムカメラの画角の約1.55倍相当になる。したがって、たとえば、APS−Cサイズ相当デジタルカメラに焦点距離28mmの交換レンズを装着して撮影した場合、35mm版フィルムカメラの43mm相当の画角で撮影されることとなる。
【0062】
このように、交換レンズは、装着するカメラ本体が変わると、画角も変化する場合があることから、装着するカメラ本体が変わっても、常に同じ撮影感覚で操作できるようにするため、表示部106に焦点距離を表示する場合は、一定のフィルムサイズ又は撮像素子サイズのカメラの画角に相当する値に換算して表示することが好ましい。たとえば、常に35mm版フィルムカメラの画角に相当する値に換算して、焦点距離を表示する。
【0063】
図5は、焦点距離を換算して表示する場合の表示処理の手順を示すフローチャートである。
【0064】
まず、レンズCPU110は、交換レンズ100がカメラ本体10に装着されたか否かを判定する(ステップS10)。この判定は、たとえば、マウント接点の通電状態に基づいて判定する。
【0065】
交換レンズ100がカメラ本体10に装着されたと判定すると、レンズCPU110は、交換レンズ100の設定情報の検出を行う(ステップS11)。すなわち、ズーム位置センサ114とフォーカス位置センサ116の出力に基づいて現在設定されている焦点距離、被写体距離を算出する。
【0066】
次に、レンズCPU110は、カメラCPU12からカメラ本体10の設定情報を取得する(ステップS12)。すなわち、カメラ本体12の撮像素子サイズ又はフィルムサイズの情報(35mm版、APS、APS―Cサイズ、6×4.5版、6×6版、6×6版、6×7版等)、現在設定されている絞り値情報、感度の情報等を取得する。
【0067】
そして、取得したカメラ本体12の設定情報に基づいて装着されたカメラ本体10が35mm版フィルムカメラか否かを判定する(ステップS13)。
【0068】
ここで、装着されたカメラ本体10が35mm版フィルムカメラでない場合は、装着されたカメラ本体10の撮像素子又はフィルムのサイズの情報に基づいて焦点距離の換算値を設定する(ステップS14)。たとえば、APSーCサイズ相当の撮像素子を用いたデジタルカメラの場合、焦点距離の換算値が1.55倍に設定される。
【0069】
次に、表示部106に表示する各情報を算出する(ステップS15)。たとえば、表示部106に焦点距離情報のみを表示する場合は、焦点距離情報を算出する。この場合、換算値が設定されている場合は、換算した値が算出される。また、たとえば、表示部106に焦点距離情報と被写体距離情報を表示する場合には、焦点距離情報と被写体距離情報を算出する。
【0070】
表示部106に表示する情報は、任意に切り換えられるものとし、初期表示時は、たとえば、図4(a)に示すように、焦点距離目盛と被写体距離目盛と被写界深度目盛とが表示されるものとする。したがって、この場合、レンズCPU110は、ズーム位置センサ114、フォーカス位置センサ116の出力に基づいて焦点距離、被写体距離を算出する。また、換算値が設定されている場合、焦点距離については換算値を算出する。
【0071】
次に、算出した焦点距離、被写体距離の情報に基づいて表示部106に表示する表示データを生成する(ステップS16)。ここでは、図4(a)に示すように、焦点距離目盛と被写体距離目盛と被写界深度目盛を表示するので、算出した焦点距離、被写体距離の情報に基づいて焦点距離目盛と被写体距離目盛と被写界深度目盛の表示データを生成する。
【0072】
そして、生成した表示データを表示制御回路118に加えて、表示部106に表示させる(ステップS17)。
【0073】
このように、焦点距離を換算して表示することにより、交換レンズ100を装着するカメラ本体10を変えても常に同じ感覚で撮影することができ、使い勝手が向上する。
【0074】
なお、通常の焦点距離表示と換算した焦点距離表示とを任意に切り換えて表示できるようにすることが好ましい。
【0075】
また、本例では35mm版フィルムに換算した焦点距離値を表示する場合を例に説明したが、他のフィルムサイズ又は撮像素子サイズに換算した焦点距離値を表示してもよい。
【0076】
なお、デジタルカメラの場合、いわゆるデジタルズームが可能であることから、デジタルズームを行った場合にも同様に焦点距離値を換算して表示できるようにすることが好ましい。この場合、レンズCPU110は、たとえば、カメラCPU12からデジタルズームの情報を取得し、取得した情報から換算値を求めて焦点距離値を換算する。
【0077】
また、交換レンズ100としてマクロレンズを使用した場合、あるいは、交換レンズ100のマクロ機能を使用した場合は、被写体距離を表示させるよりも、撮影倍率を表示させた方が、使い勝手が向上するので、マクロレンズ又はマクロ機能を使用する場合は、被写体距離から撮影倍率に自動で切り換えて表示することが好ましい。
【0078】
また、赤外撮影の場合は、結像位置がずれることから、赤外撮影をする場合は、赤外撮影用の距離表示に切り換えることが好ましい。この場合、赤外撮影モードに設定する設定手段をカメラ本体10又は交換レンズ100に設け、この設定手段で赤外撮影モードに設定されると、赤外撮影用の距離表示が行われるようにする。赤外撮影モードの設定手段としては、たとえば、カメラ本体10又は交換レンズ100に切換スイッチを設け、この切換スイッチで行うようにしてもよいし、撮影メニューで行うようにしてもよい。
【0079】
また、マクロ撮影の場合は、撮影倍率が表示されることが好ましいことから、マクロレンズが装着された場合、あるいは、交換レンズ100のマクロ機能を使って撮影する場合は、撮影倍率が表示されるようにすることが好ましい。
【0080】
なお、本実施の形態では、表示部106が鏡筒部102の外周一カ所にのみ形成されているが、複数個所に形成してもよい。たとえば、図6に示すように、鏡筒部102の上部二カ所に設置してもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、表示部106の形状を円弧状の外周面に沿った矩形状としているが、表示部106の形状は、これに限定されるものではなく、鏡筒部102の形状に合わせて適宜変更して形成してもよい。
【0082】
なお、一般に交換レンズ100の鏡筒部102は、円筒状であることから、表示部106は可撓性を有する表示手段を用いることが好ましい。この点から表示部106は、可撓性を有する電子ペーパを用いることが好ましいが、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を用いてもよい。なお、電子ペーパは、電力供給がなくても表示を維持することができることから、省電力化を図れるという利点がある。一方、このように表示が維持されると、装着するカメラ本体を変えたときに、前の表示が残存している場合があるので、交換レンズ100をカメラ本体10から取り外した場合や、カメラ本体10の電源をオフにした場合は、一旦、表示を消すようにしてもよい。
【0083】
また、本実施の形態では、交換レンズ100の表示部106にレンズ情報を表示させる場合を例に説明したが、カメラ本体10に表示部が備えられている場合には、そのカメラ本体側の表示部にも同種のレンズ情報を表示させるようにしてもよい。
【0084】
また、本実施の形態では、カメラ本体10に設けられた操作部で表示部106の表示切り換えを行っているが、表示部106の表示を切り換える手段は、これに限定されるものではない。たとえば、交換レンズ100に表示切り換えボタンを設け、この表示切り換えボタンで表示部106の表示を切り換えるようにしてもよい。また、カメラ本体10の設定メニューで表示を切り換えるようにしてもよい。なお、表示する内容及び順番は、あらかじめ設定しておいてもよいが、ユーザが任意に設定できるようにすることが好ましい。
【0085】
さらに、本実施の形態では、表示部106の表示制御をレンズCPU110で行っているが、カメラ本体10に設置されたカメラCPU12で表示制御を行うようにしてもよい。
【0086】
また、本実施の形態では、レンズ交換式のカメラに本発明を適用した場合を例に説明したが、レンズ一体式のカメラにも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】カメラシステムの外観構成を示す斜視図
【図2】交換レンズの平面図
【図3】表示部の表示制御に係わる構成のブロック図
【図4】表示部の表示例を示す図
【図5】焦点距離を換算して表示する場合の表示処理の手順を示すフローチャート
【図6】交換レンズの他の実施の形態の平面図
【符号の説明】
【0088】
1…カメラシステム、10…カメラ本体、12…カメラCPU、14…システムメモリ、16…操作部、100…交換レンズ、102…鏡筒部、104F…フォーカスリング、104Z…ズームリング、106…表示部、110…レンズCPU、112…システムメモリ、114…ズーム位置センサ、116…フォーカス位置センサ、118…表示制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体とレンズとからなるカメラシステムにおいて、
前記レンズの鏡筒部分に設けられた表示手段と、
前記レンズの設定状態を検出する状態検出手段と、
前記状態検出手段で検出された前記レンズの設定状態から所定のレンズ情報を生成するレンズ情報生成手段と、
前記レンズ情報生成手段で生成されたレンズ情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とするカメラシステム。
【請求項2】
前記レンズが前記カメラ本体に着脱自在に設けられ、交換可能であることを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記レンズ情報生成手段は、現在設定されているレンズの焦点距離、被写体距離、絞り値、被写界深度の少なくとも一つをレンズ情報として生成することを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記カメラ本体で使用するフィルム又は撮像素子のサイズ情報を取得するサイズ情報取得手段を有し、
前記レンズ情報生成手段は、前記サイズ情報取得手段で取得したフィルム又は撮像素子のサイズ情報に基づいて所定のフィルム又は撮像素子のサイズに換算した焦点距離の情報をレンズ情報として生成することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のカメラシステム。
【請求項5】
電子ズーム手段と、
前記電子ズーム手段によるズーム倍率情報を取得するズーム倍率情報取得手段と、
を備え、前記レンズ情報生成手段は、前記ズーム倍率情報取得手段で取得したズーム倍率の情報に基づいて所定のフィルム又は撮像素子のサイズに換算した焦点距離の情報をレンズ情報として生成することを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のカメラシステム。
【請求項6】
赤外撮影モードに設定するモード設定手段を備え、
前記レンズ情報生成手段は、前記モード設定手段で赤外撮影モードに設定されると、赤外撮影に応じた被写体距離の情報をレンズ情報として生成することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載のカメラシステム。
【請求項7】
前記表示手段に表示するレンズ情報の切り換えを指示する切換手段を備え、
前記表示制御手段は、前記切換手段からの指示に応じて前記表示手段に表示するレンズ情報を切り換えることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載のカメラシステム。
【請求項8】
前記表示手段を前記カメラ本体に設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−72407(P2007−72407A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262493(P2005−262493)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】