説明

カメラ付携帯電話機

【課題】カメラモジュールを回路基板に仮どめした状態で電話機筐体に取り付けるため組立作業が容易になるとともに、薄型化を図ることができるカメラ付携帯電話機を提供する。
【解決手段】第1の筐体13と、第1の筐体13に配設される回路基板20とカメラモジュール30とを備え、回路基板20は取付け穴27を有し、カメラモジュール30は電磁シールドケース34を有し、カメラモジュール30の電磁シールドケース34に設けたクリップ部36を回路基板20の取付け穴27に挿入し保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ付携帯電話機に関し、より詳細にはカメラモジュールの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ付き携帯電話機の小型化を実現するために、カメラユニットを、第2の筐体内に配置された回路基板に設けられた切り欠き部に配置し、カメラユニット内の回路と回路基板とを、カメラユニットのフレキシブル基板の先端に取り付けてある接続端子と回路基板の端子部とを接続することで電気的に接続するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、固体撮像装置(カメラモジュール)は、固体撮像素子と、撮像レンズおよび光学フイルタを支持する鏡筒と、固体撮像素子および鏡筒が固定された基板とを備え、鏡筒の円筒部を携帯電話機筐体の位置決め部に挿嵌し、鏡筒の本体部天面を位置決め部に当接させ、ピンを携帯電話機筐体の位置決め部に挿嵌することによって、携帯電話機に装着するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−157107号公報
【特許文献2】特開2003−298891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カメラ付き携帯電話機の薄型化のために、実装物や構造物の実装配置関係によって、カメラモジュールの直近の基板上に、コネクタを配置できない場合、また、メイン基板の片面にキーを設ける等して、他の電気部品は他の片面に実装するような配置関係において、空間的な制約によってメイン基板のキーを設けた面にはコネクタを設けることができない場合などの理由により、フレキシブル基板の長さを長くせざるを得なくなる。このため、携帯電話機の組立時に長いフレキシブル基板がぶらぶらして作業性が悪いという課題を有していた。そこで、カメラモジュールを携帯電話機へ取り付ける場合に、組立作業の容易化のために、カメラモジュールを仮どめできるようにすることが望まれる。
【0005】
カメラモジュールを仮どめする場合、樹脂等の取り付け部材を追加すれば形状寸法の精度を出し易く、結果としてカメラモジュールの取付も容易になるが、樹脂等の取り付け部材自体の樹脂の厚さが必要となり、その分だけ、カメラモジュール付近のスペースを必要とするため、携帯電話機が大型化してしまうとともに、場合によっては厚くなってしまうこともありえた。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、カメラ付き携帯電話機の小型化、薄型化を実現しつつ、携帯電話機へのカメラモジュールの取付、組立の容易化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカメラ付携帯電話機は、筐体と、筐体内に配設される回路基板とカメラモジュールとを備え、回路基板は取付け穴を有し、カメラモジュールは電磁シールド用の板金を有し、カメラモジュールの電磁シールド用の板金に設けたクリップ部を回路基板の取付け穴に挿入し保持する構成を有している。
【0008】
この構成により、カメラモジュールに装備された電磁シールド用の板金のクリップ部を回路基板の取付け穴に挿入することによって、カメラモジュールを回路基板に仮どめ保持することができる。
【0009】
また、本発明のカメラ付携帯電話機は、カメラモジュールの電磁シールド用の板金は、回路基板と電気的に接続されたバネ接点と当接するとともに、バネ接点の反対側の面において押さえ部品と当接する構成を有している。
【0010】
この構成により、カメラモジュールの電磁シールド用の板金は、回路基板と電気的に接続されるとともに、カメラモジュールはバネ接点とバネ接点の反対側の面の押さえ部品とで位置決めされることとなる。
【0011】
また、本発明のカメラ付携帯電話機は、カメラモジュールは、筐体の位置決め部に挟んで固定される構成を有している。
【0012】
この構成により、カメラモジュールは、筐体の位置決め部に挟んで最終的な固定がなされることとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のカメラ付携帯電話機は、筐体と、筐体内に配設される回路基板とカメラモジールとを備え、回路基板は取付け穴を有し、カメラモジュールは電磁シールド用の板金を有し、カメラモジュールの電磁シールド用の板金に設けたクリップ部を回路基板の取付け穴に挿入し保持する構成を有することにより、カメラモジュールを樹脂等の取り付け部材を必要とせずに回路基板に仮どめ保持することができるため携帯電話機筐体へのカメラモジュールの取付の容易化を図るとともに携帯電話機の小型化、薄型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態のカメラ付携帯電話機について、図面を用いて説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるカメラ付携帯電話機の外観図で、図1(a)は第2の筐体を開いた状態を示す正面図、図1(b)は第2の筐体を閉じた状態を示す正面図、図1(c)は第2の筐体を閉じた状態を示す背面図である。
【0016】
図1において、本実施の形態のカメラ付携帯電話機10は、片面に操作キーなどの操作部11を配設し他の面にカメラなどの撮影部12を配設した第1の筐体13と、片面にLCDなどによるメイン表示部15を配設し他の面にLCDなどによるサブ表示部16を配設した第2の筐体17とが、ヒンジ部18で折畳み開閉自在に連結されている。
【0017】
カメラなどの撮影部12を用いて撮影する場合には、撮影部12を被写体に向けて撮影画角などをメイン表示部15で確認しながら撮影を行なうことができる構成であり、前述の操作部11、メイン表示部15、サブ表示部16、第2の筐体17およびヒンジ部18は本発明と関係ないため説明は省略する。
【0018】
以上のように構成されたカメラ付携帯電話機の第1の筐体の内部構造について、以下に説明する。
【0019】
図2は、回路基板とカメラモジュールの斜視図および組立図である。
【0020】
図2(a)において、回路基板20は、第1の筐体13に配設される基板で、基板23に操作キーなどの電気部品および回路部品24と接続部25が実装されている。基板23は後述のカメラモジュール30が配置される位置に切り欠き部26と切り欠き部26の近傍に取付け穴27を有している。
【0021】
カメラモジュール30は、レンズ32と、レンズ鏡筒33と、撮像素子およびカメラ基板(いずれも図示しない)と、電磁シールドケース34と、カメラ基板に接続され先端に接続部38を有すフレキシブル基板37とで構成されている。
【0022】
電磁シールドケース34は、電磁シールドを目的とした薄肉金属板で形成されたケースでレンズ32の位置する面とレンズ鏡筒33の一部を除く全ての面をケーシングしており、略角柱形状でレンズ32と同じ面に形成された肩部34aと先端の折り曲げ面34cにクリップ部36を形成した腕部34bを有す。
【0023】
図2(b)は、回路基板とカメラモジュールの組立図で、基板23の取付け穴27に下方より電磁シールドケース34の折り曲げ面34cを挿入し、フレキシブル基板37の先端の接続部38を接続した状態を示す。
【0024】
折り曲げ面34cを挿入した状態では折り曲げ面34cに形成されたクリップ部36が抜け防止の役目をするため回路基板20からカメラモジュール30が脱落することはなく、回路基板20とカメラモジュール30が仮どめされたことになる。
【0025】
なお、図3は、回路基板とカメラモジュール示す他の形態の斜視図で、図2と同様の構成には同一番号を付して説明は省略する。
【0026】
電話機筐体内部のスペース制約や回路基板上の電気部品および回路部品の配置制約などより回路基板21の接続部28を基板23の裏面に設けた場合で、カメラモジュール31のフレキシブル基板39も形状対応しており、この場合も上述と同様に回路基板21とカメラモジュール31が仮どめできる。
【0027】
また、図4は、クリップ部の断面形状例を示す。
【0028】
図4(a)は、図2(b)に示すクリップ部の断面図である。
【0029】
折り曲げ面34cに形成されたクリップ部36の高さ(h)は、取付け穴27の幅より若干大きく形成されており下方より荷重を加えて押し込むことにより弾性変形して係止される。折り曲げ面34cを挿入した状態ではクリップ36部が抜け防止の役目をするため回路基板20からカメラモジュール30が脱落することはなく、回路基板20とカメラモジュール30が仮どめされたことになる。
【0030】
図4(b)は、電磁シールドケース34の一面にも同形状のクリップ部36bを形成したものでより安定した状態でカメラモジュール30を仮どめ保持できる。
【0031】
図4(c)は、腕部34bを長くして折り曲げ面34cを切り起こし形成したものでひとつのクリップ部36で図4(b)と同様により安定した状態でカメラモジュール30を仮どめ保持できる。
【0032】
次に、図5を用いてカメラモジュールが仮どめされた回路基板を電話機筐体内部に固定する方法について説明する。
【0033】
図5は、第1の筐体の内側ケースに組み込まれる状態を示す図である。
【0034】
図5(a)は、第1の筐体の内側ケース51に組み込まれる状態を示す平面図で第2の基板55の下方にカメラモジュール30が仮どめされた回路基板20が位置している。
【0035】
図5(b)は、図5(a)のA−A断面図である。
【0036】
まず、第1の筐体の内側ケース51の所定位置にカメラモジュール30が仮どめされた回路基板20が取り付けられる。この時、カメラモジュール30の下面は回路基板20の基板23と電気的に接続されたバネ接点52に当接し、バネ接点52で付勢されるため図に示すように傾いた状態で保持される。
【0037】
次に、第2の基板55を所定位置に取り付けると第2の基板の一部が電磁シールドケース34の肩部34aを矢印で示す方向に押し付けられ、カメラモジュール30は反対側から付勢されているバネ接点52の押圧力によって傾きのない所定の角度に規制される。
【0038】
なお、図5(c)は、別の押さえ部品56で電磁シールドケース34の肩部34aを矢印で示す方向に押し付けて、カメラモジュール30を傾きのない所定の角度に規制されるようにしたものである。
【0039】
図6は、本発明の他の実施の形態の基板とカメラモジュールの構成を示した図である。
【0040】
図6(a)では、基板23に取付け穴27を2箇所設けたことにより、前述の第2の基板55または押さえ部品56を設けなくてもカメラモジュール30を傾きのない所定の角度に規制することができる。
【0041】
また、図6(b)では、基板23に第2の切り欠き部26bを設け、第2の切り欠き部26bにカメラモジュール30に形成された第2のクリップ36cによっても仮どめされるため、前述の第2の基板55または押さえ部品56を設けなくてもカメラモジュール30を傾きのない所定の角度に規制することができる。
【0042】
図7は、第1の筐体の模式的分解斜視図と要部断面図である。
【0043】
図7(a)は、第1の筐体の模式的分解斜視図で、第1の筐体13は表面にフイルタ72を有し内面にカメラモジュール30のレンズ鏡筒33が挿嵌する位置決め部を有す外側ケース71と、第2の基板55と、カメラモジュール30が仮どめされた回路基板20と、バネ接点52が取り付けられた内側ケース51とで構成されている。
【0044】
図7(b)は、第1の筐体の組立後の要部断面図で、外側ケース71の内側に形成された位置決め部73にカメラモジュール30のレンズ鏡筒33が挿嵌されかつ反対面よりバネ接点52で付勢された状態を示している。
【0045】
以上のように本実施の形態のカメラ付携帯電話機によれば、カメラモジュールを回路基板に仮どめした状態で電話機筐体に取り付けるため組立作業が容易なるとともに携帯電話機の薄型化を図ることができる。
【0046】
なお、本実施の形態では折り畳み式携帯電話機について説明したが、本発明はこれに限ることなく、スライド式携帯電話機や回転式携帯電話機やストレート式携帯電話機であってもよい。
【0047】
なお、本実施の形態ではカメラモジュールの保持方法について説明したが、本発明はこれに限ることなく、スピーカーやマイクなどの音声発信・受信部品や、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示部品、LEDやストロボなどの発光部品、また回路基板そのものの保持方法であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかるカメラ付携帯電話機は、カメラモジュールを回路基板に仮どめした状態で電話機筐体に取り付けるため組立作業が容易なるとともに薄型化を図ることができるという効果を有し、カメラ付携帯電話機等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態のカメラ付携帯電話機の外観図
【図2】本発明の実施の形態の回路基板とカメラモジュールの斜視図および組立図
【図3】本発明の他の実施の形態の回路基板とカメラモジュールの斜視図
【図4】本発明の実施の形態のクリップ部の断面図
【図5】本発明の実施の形態の第1の筐体に組み込まれた状態を示した図
【図6】本発明の他の実施の形態の回路基板とカメラモジュールの構成を示した図
【図7】本発明の実施の形態の第1の筐体の模式的分解斜視図と要部断面図
【符号の説明】
【0050】
13 第1の筐体
20,21 回路基板
23 基板
27 取付け穴
30,31 カメラモジュール
34 電磁シールドケース
36,36b,36c クリップ部
51 内側ケース
52 バネ接点
55 第2の基板
56 押さえ部材
71 外側ケース
73 位置決め部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体内に配設される回路基板とカメラモジュールとを備え、
前記回路基板は、取付け穴を有し、
前記カメラモジュールは、電磁シールド用の板金を有し、
前記カメラモジュールの前記電磁シールド用の板金に設けたクリップ部を前記回路基板の前記取付け穴に挿入し保持することを特徴とするカメラ付携帯電話機。
【請求項2】
前記カメラモジュールの前記電磁シールド用の板金は、前記回路基板と電気的に接続されたバネ接点と当接するとともに、前記バネ接点の反対側の面において押さえ部品と当接することを特徴とする請求項1記載のカメラ付携帯電話機。
【請求項3】
前記カメラモジュールは、前記筐体の位置決め部に挟んで固定されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカメラ付携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−141629(P2010−141629A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316378(P2008−316378)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】