説明

カメラ校正装置およびカメラ校正プログラム

【課題】視覚的に特徴的な点と、世界座標の既知な制御点とが、別々に与えられる場合にも、カメラパラメータの推定を可能とするカメラ校正装置を提供する。
【解決手段】カメラ校正装置1は、入力画像から制御点の画像座標と画像領域とを指定するランドマーク指定手段12と、画像領域から特徴点配置情報と画像特徴とを抽出する特徴抽出手段14と、制御点世界座標を入力する世界座標入力手段16と、特徴点配置情報と画像特徴と制御点世界座標とを記憶するランドマーク記憶手段18と、新たな入力画像から特徴点の配置情報と画像特徴とを抽出する特徴抽出手段22と、画像特徴の類似度の高いものを対応付ける照合手段24と、特徴点配置情報と配置情報と照合結果とから新たな入力画像の制御点画像座標を推定する制御点推定手段26と、制御点世界座標と推定された制御点画像座標とからカメラパラメータを推定するカメラパラメータ推定手段28と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、校正対象のカメラにより撮影された画像に基づいて、カメラの位置、姿勢、または焦点距離の1以上からなるカメラパラメータを推定するカメラ校正装置およびカメラ校正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ校正は、既定の、または測定済みのパターンを、校正対象のカメラで撮影して、パターンの像の形状から、解析的に、または繰り返し収束演算により、カメラパラメータを求めることが行われている。
【0003】
繰り返し収束演算によるものの代表的な手法として、実際に観測されたパターンの像と、カメラパラメータ及びパターンのモデルから推測した観測されるべきパターンの像との一致の度合を評価しつつ、その一致の度合が最大となるように、カメラパラメータを逐次修正する手法がある。
【0004】
パターンとして、複数の観測点と、モデル上の点との対応関係を用いる手法(非特許文献1参照)や、観測された複数の線(直線、線分、または曲線など)と、モデル上の線との対応関係を用いる手法がある。
【0005】
点の対応関係を用いる手法においては、線同士の交差した点、折れ線の頂点、または円や矩形等の特定のパターンの代表点(重心など)を特徴点として抽出し、モデルとの対応関係を求める手法が主流である。
【0006】
一方、線の対応関係を用いる手法においては、例えば、ハフ変換や一般化ハフ変換によって、直線や曲線のパラメータを算出し、当該パラメータとモデルとの対応をとることが行われている(特許文献1参照)。
【0007】
また、画像対において、それぞれ視覚的に特徴的な点を複数抽出して、特徴点間の対応付けを行うことによって、画像対間におけるカメラの相対位置、相対姿勢、および焦点距離情報を得る手法がある(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−234333号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】R. Y. Tsai, An Efficient and Accurate Camera Calibration Technique for 3D Machine Vision. Proceedings of IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition, Miami Beach, FL, pp. 364-374, 1986.
【非特許文献2】C. Poelman and T. Kanade, A paraperspective factorization method for shape and motion recovery. IEEE Trans. on Pattern Analysis and Machine Intelligence, 19(3):206-218, March 1997.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のカメラ校正手法では、画像内の特徴点や直線、曲線を抽出し、その座標やパラメータを得ることが最初の段階として行われ、続いて、モデルを投影変換した点や線の座標やパラメータと、観測画像から得た座標やパラメータとの距離の比較を行って、カメラパラメータを推定する。
【0011】
しかし、これらの手法では、特徴点や直線、曲線などの視覚的なパターンが、世界座標を有する実空間においてどこにあるのかを予めモデル化しておく必要がある。このため、世界座標の既知な点が視覚的に特徴的でない場合や、視覚的に特徴的な点の世界座標が既知でない場合には、カメラ校正を行うことができないという問題がある。
【0012】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、視覚的に特徴的な点と、世界座標の既知な点とが、それぞれ別々に与えられる場合にも、カメラパラメータの推定を可能とするカメラ校正装置およびカメラ校正プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載のカメラ校正装置は、入力画像において指定した世界座標の既知な制御点の画像座標と抽出した特徴点とを用いて、新たな入力画像において抽出した特徴点から前記制御点の画像座標を推定して、カメラパラメータを算出するカメラ校正装置であって、ランドマーク指定手段と、第1の特徴抽出手段と、世界座標入力手段と、ランドマーク記憶手段と、第2の特徴抽出手段と、照合手段と、制御点推定手段と、カメラパラメータ推定手段と、を備える構成とした。
【0014】
かかる構成において、カメラ校正装置は、ランドマーク指定手段によって、入力画像において、世界座標が既知な点である制御点の画像座標と、当該制御点と関連付けるべき画像領域とを指定する。ここで、世界座標とは、実空間内における位置を表すための座標であり、画像座標とは、入力画像内の位置を表すための座標である。
【0015】
そして、カメラ校正装置は、第1の特徴抽出手段によって、ランドマーク指定手段により指定された画像領域から、視覚的に特徴的な点である特徴点を1つ以上抽出し、当該特徴点の配置に関する第1の配置情報と当該特徴点の視覚的な特徴を定量化した第1の画像特徴とを抽出する。すなわち、1つの画像領域から抽出される特徴点は、複数あってもよい。なお、配置情報および画像特徴は、一般に、ベクトル量である。また、カメラ校正装置は、世界座標入力手段によって、ランドマーク指定手段により指定した制御点の世界座標を入力する。
【0016】
そして、カメラ校正装置は、ランドマーク記憶手段によって、制御点に関連づけられた画像領域から特徴抽出手段が抽出した第1の配置情報および第1の画像特徴と、世界座標入力手段から入力された制御点の世界座標との組を、1つのランドマークとして、このランドマークを複数記憶する。これによって、複数の第1の配置情報および第1の画像情報と、制御点の世界座標とが対応付けられた組となって記憶される。
【0017】
さらに、カメラ校正装置は、第2の特徴抽出手段によって、新たな入力画像から、視覚的に特徴的な点である特徴点を1つ以上抽出し、当該特徴点の配置に関する第2の配置情報と当該特徴点の視覚的な特徴を定量化した第2の画像特徴とを抽出する。
【0018】
そして、カメラ校正装置は、照合手段によって、ランドマーク記憶手段から読み出したランドマークの各第1の画像特徴に対して、第2の特徴抽出手段が抽出した第2の画像特徴の中から、最も類似度の高い第2の画像特徴を探索し、その照合結果をランドマークごとに照合結果情報として出力する。ここで、類似度として、例えば、コサイン類似度を用いることができる。
【0019】
その後、カメラ校正装置は、制御点推定手段によって、ランドマーク記憶手段から読み出したランドマークの各第1の配置情報と、第2の特徴抽出手段から入力した第2の配置情報と、前記照合手段から入力した照合結果情報とに基づき、新たな入力画像内におけるランドマークに対応する制御点の画像座標を推定し、制御点推定画像座標として出力する。
【0020】
そして、カメラ校正装置は、カメラパラメータ推定手段によって、ランドマーク記憶手段から読み出した制御点の世界座標と、制御点推定手段から入力した制御点推定画像座標とに基づき、カメラパラメータを推定する。なお、このカメラパラメータの推定には、既知の透視N点問題の解法や、非線形最小自乗法を用いることができる。
【0021】
また、請求項2に記載のカメラ校正装置は、請求項1に記載のカメラ校正装置において、第1の配置情報が、入力画像における制御点から特徴点への位置ベクトルと、特徴点近傍における回転情報およびスケール情報とを含み、第2の配置情報は、新たな入力画像における特徴点の画像座標と、特徴点近傍における回転情報およびスケール情報とを含み、制御点推定手段が、これらの情報を用いて、制御点推定画像座標を推定する構成とした。
【0022】
かかる構成において、カメラ校正装置は、制御点推定手段によって、ランドマークの各第1の配置情報に含まれる前記位置ベクトルに対して、当該第1の配置情報に含まれる回転情報およびスケール情報と、当該第1の配置情報とともに抽出された第1の画像特徴と照合結果を介して対応する第2の画像特徴とともに抽出された第2の配置情報に含まれる回転情報およびスケール情報とを用いて、新たな入力画像における位置ベクトルに変換し、当該第2の配置情報に含まれる特徴点の画像座標から当該変換した位置ベクトルを減算することによって、仮の制御点画像座標推定値を求め、ランドマークの各第1の配置情報から求めた仮の制御点画像座標推定値を、所定の方法により平均することによって、新たな入力画像における当該ランドマークに対応する制御点の制御点推定画像座標とする。
【0023】
また、請求項3に記載のカメラ校正装置は、請求項2に記載のカメラ校正装置において、制御点推定手段が、新たな入力画像の全体を複数の部分領域に分割し、仮の制御点画像座標推定値がどの部分領域に属するかに応じて、当該部分領域に係る値を1ずつ累積し、その合計値が最も大きい部分領域に係る仮の制御点画像座標推定値のみに関して平均を求めることを特徴とする。
かかる構成により、カメラ校正装置は、制御点推定手段によって、合計値が最も大きい部分領域に係る仮の制御点画像座標推定値から、ランドマークに対応する制御点の画像座標を推定することができる。
【0024】
また、請求項4に記載のカメラ校正装置は、請求項2に記載のカメラ校正装置において、照合手段が、照合結果とともにその類似度を、ランドマークごとに照合結果情報として出力し、制御点推定手段が、新たな入力画像の全体を複数の部分領域に分割し、仮の制御点画像座標推定値がどの部分領域に属するかに応じて、当該仮の制御点画像座標推定値の算出に係る照合結果に対応する類似度に応じた値を、当該部分領域に係る値に累積し、その合計値が最も大きい部分領域に係る仮の制御点画像座標推定値のみに関して平均を求めることを特徴とする。
かかる構成により、カメラ校正装置は、制御点推定手段によって、類似度を考慮して平均を算出する部分領域を決定しているので、類似度を考慮した制御点の画像座標を推定することができる。
【0025】
また、請求項5に記載のカメラ校正プログラムは、入力画像において指定した世界座標の既知な制御点の画像座標と抽出した特徴点とを用いて、新たな入力画像において抽出した特徴点から前記制御点の画像座標を推定して、カメラパラメータを算出するために、コンピュータを、ランドマーク指定手段、第1の特徴抽出手段、世界座標入力手段、第2の特徴抽出手段、照合手段、制御点推定手段、カメラパラメータ推定手段、として機能させる構成とした。
【0026】
かかる構成において、カメラ校正プログラムは、ランドマーク指定手段によって、入力画像において、制御点の画像座標と画像領域とを指定する。また、カメラ校正プログラムは、第1の特徴抽出手段によって、画像領域から、特徴点を抽出して、第1の配置情報と第1の画像特徴とを抽出し、当該画像領域に係る制御点で関連付けられたランドマークの構成要素としてランドマーク記憶手段に記憶する。そして、カメラ校正プログラムは、世界座標入力手段によって、制御点の世界座標を入力し、当該制御点で関連付けられたランドマークの構成要素として前記ランドマーク記憶手段に記憶する。
【0027】
さらに、カメラ校正プログラムは、第2の特徴抽出手段によって、新たな入力画像から、特徴点を抽出して、第2の配置情報と第2の画像特徴とを抽出する。そして、カメラ校正プログラムは、照合手段によって、ランドマークの各第1の画像特徴に対して、第2の画像特徴の中から、最も類似度の高いものを探索し、その照合結果をランドマークごとに照合結果情報として出力する。また、カメラ校正プログラムは、制御点推定手段によって、ランドマークの各第1の配置情報と、第2の配置情報と、照合結果情報とに基づき、新たな入力画像内における制御点の画像座標を推定し、制御点推定画像座標として出力する。そして、カメラ校正プログラムは、カメラパラメータ推定手段によって、制御点の世界座標と、制御点推定画像座標とに基づき、カメラパラメータを推定する。
【発明の効果】
【0028】
請求項1および請求項5に記載の発明によれば、視覚的に特徴的な点と、世界座標の既知な点とが、それぞれ別々に与えられてもカメラの校正が可能となる。すなわち、校正に用いるランドマークにおいて、視覚的に特徴的な点と、世界座標の既知な制御点とを、必ずしも一致させる必要がなくなる。このため、世界座標が既知かつ視覚的に特徴的なランドマークを用いる必要があった従来の方法に比べ、より一般的なシーンにおいてカメラパラメータの推定およびカメラ校正が可能となる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば、制御点推定手段が、制御点の画像座標を推定する場合に、入力画像および新たな入力画像の回転情報およびスケール情報を用いて、入力画像の位置ベクトルを新たな入力画像の位置ベクトルに変換し、これを用いて、仮の制御点画像座標推定値をもとめ、各ランドマークにわたって、仮の制御点画像座標推定値を平均することによって、制御点推定画像座標を求めているため、新たな入力画像において、より正確に制御点を推定でき、したがって、より正確にカメラパラメータの推定およびカメラ校正が可能となる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、制御点推定手段が、新たな入力画像の全体を複数の部分領域に分割し、もっとも属する仮の制御点画像座標推定値が多い部分領域に関してのみ、仮の制御点画像座標推定値の平均値を求めているため、より正確に制御点を推定でき、したがって、より正確にカメラパラメータの推定およびカメラ校正が可能となる。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、制御点推定手段が、新たな入力画像の全体を複数の部分領域に分割し、もっとも属する仮の制御点画像座標推定値が多い部分領域を、類似度を考慮して決定し、当該部分領域に関してのみ、制御点画像座標推定値の平均値を求めているため、画像特徴の類似度に応じた正確な制御点を推定でき、したがって、より正確にカメラパラメータの推定およびカメラ校正が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係るカメラ校正装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ランドマーク指定手段によって、入力画像において、パターン画像領域と制御点画像座標とを指定した一例を示す図である。
【図3】第nのランドマークに関するパターン画像領域、特徴点、画像特徴、特徴点配置情報、制御点、および制御点画像座標の関係の一例を示す図である。
【図4】ランドマーク記憶手段による、特徴点配置情報、画像特徴、および制御点世界座標の記憶方式の一例を示す図である。
【図5】制御点推定手段における仮の制御点画像座標推定値の算出方法を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るカメラ校正装置のランドマーク指定機能部の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るカメラ校正装置のカメラパラメータ推定機能部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態では、実空間内における位置を表すための座標系を世界座標系と称し、世界座標系内の座標を世界座標と称する。ここでは、世界座標系をデカルト座標系で表し、その各軸をX軸、Y軸およびZ軸とおくこととする。
また、入力画像内の位置を表すための座標系を画像座標系と称し、画像座標系内の座標を画像座標と称する。ここでは、画素並びの水平方向右向きにx軸を、また画素並びの垂直方向下向きにy軸をとることとする。
【0034】
カメラ校正に用いる入力画像に関する計測用の基準をランドマークと称する。ランドマークは、1つであっても良いし、複数存在してもよい。本発明においては、1つのランドマークには、世界座標の既知な点である制御点と、視覚的に特徴的な点である特徴点とが含まれ、特徴点は1つ以上存在するものとする。
【0035】
[カメラ校正装置の構成]
以下では、図1を参照して、本発明の実施形態に係るカメラ校正装置1の構成について説明する。
【0036】
本実施形態のカメラ校正装置1は、入力画像のランドマークから、新たな入力画像のランドマークの制御点を推定することによって、カメラパラメータを推定するものである。
具体的には、カメラ校正装置1は、入力された入力画像において指定された画像領域から、特徴点に関する特徴点配置情報および画像特徴を抽出し、画像領域と関連付けられた制御点の世界座標とともにランドマークとして記憶しておき、新たに入力された入力画像において、抽出した特徴点に関する配置情報および画像特徴と、読み出したランドマークに関する情報とから、制御点の画像座標を推定し、当該制御点の画像座標と制御点の世界座標とからカメラパラメータを推定し出力するものである。
【0037】
カメラ校正装置1は、その機能により、ランドマーク指定機能部10と、カメラパラメータ推定機能部20とを備えている。ランドマーク指定機能部10は、ランドマーク指定手段12と、特徴抽出手段14と、世界座標入力手段16と、ランドマーク記憶手段18とを備えている。また、カメラパラメータ推定機能部20は、特徴抽出手段22と、照合手段24と、制御点推定手段26と、カメラパラメータ推定手段28とを備えている。
【0038】
はじめに、カメラ校正装置1のランドマーク指定機能部10の構成について説明する。
[[ランドマーク指定機能部の構成]]
ランドマーク指定手段12は、ランドマークに対応する画像領域等を指定するものである。
具体的には、ランドマーク指定手段12は、入力された入力画像I(x,y)において、特徴点を抽出するための画像領域(以下、パターン画像領域という。)と、世界座標の既知な点である制御点の画像座標(以下、制御点画像座標という。)とを指定し、指定された結果を特徴抽出手段14へ出力するものである。
【0039】
ランドマーク指定手段12において、パターン画像領域および制御点画像座標は、複数指定でき、1つの指定が1つのランドマークに対応する。ランドマーク指定手段12において、これらをN個(Nは自然数)指定した場合に、n番目(1≦n≦N)のランドマークL(n)に対応するパターン画像領域をD(n)、制御点をC(n)、制御点C(n)の画像座標をc(n)=[c(n),c(n)と記す。ここで、上付きのTは転置行列(Transposed matrix)を表す。なお、I(x,y)とは、画像座標の各点(x,y)において、値(輝度値等)I(x,y)が定義されていることを意味する。
【0040】
例えば、液晶ディスプレイやCRTなどの表示装置に入力画像I(x,y)を提示し、その上にカーソルを重畳表示しておき、マウスのドラッグ操作等により、矩形領域をパターン画像領域として指定する。また、マウスボタンのクリック操作により、制御点画像座標を指定する。
【0041】
図2は、ランドマーク指定手段12によって、入力画像において、パターン画像領域と制御点画像座標とを指定した一例を示す図である。図2中の破線で示した矩形領域が指定したパターン画像領域D(n)を示し、×印で示した位置が指定した制御点C(n)の画像座標c(n)=[c(n),c(n)を示す。
【0042】
特徴抽出手段(第1の特徴抽出手段)14は、入力画像からランドマークを構成する特徴点の情報を抽出するものである。
具体的には、特徴抽出手段14は、ランドマーク指定手段12で指定された入力画像I(x,y)のパターン画像領域内から、視覚的に特徴的な点である特徴点を抽出し、その特徴点の配置に関する特徴点配置情報と、その特徴点の視覚的な特徴を定量化した画像特徴とを抽出して、ランドマーク記憶手段18へ出力するものである。
特徴抽出手段14が、n番目のランドマークL(n)に対応するパターン画像領域D(n)内から抽出した特徴点の数をM(n)個(M(n)は自然数)とし、抽出したm番目(1≦m≦M(n))の特徴点をE(n)とする。
【0043】
特徴抽出手段14は、特徴点E(n)の特徴点配置情報g(n)として、少なくとも、入力画像における位置情報、すなわち、画像座標系において、制御点C(n)から特徴点E(n)に至るベクトル[p(n),q(n)を含む情報を抽出する。このベクトルの算出には、ランドマーク指定手段12において指定された制御点画像座標c(n)が用いられる。
【0044】
本実施形態においては、特徴点配置情報は、g(n)=[p(n),q(n),r(n),s(n)とする。ここで、r(n)は、回転情報を表し、入力画像I(x,y)が特徴点E(n)近傍において有する視覚的に特徴的な方位である。例えば、r(n)として、特徴点E(n)近傍の部分画像に含まれる代表的な(例えば、コントラストの高い)エッジの方位を用いることができる。また、s(n)は、スケール情報を表し、入力画像I(x,y)が特徴点E(n)近傍において有する視覚的に特徴的な大きさ情報である。例えば、s(n)として、特徴点E(n)近傍の部分画像に含まれる代表的なテクスチャの大きさ(すなわち、テクスチャの代表的な空間周波数成分)を用いることができる。
【0045】
特徴抽出手段14は、これらの特徴点配置情報g(n)=[p(n),q(n),r(n),s(n)を、例えば、SIFT(Scale Invariant Feature Transform)(D. G. Lowe, “Object recognition from local scale-invariant features” Proc. of IEEE International Conference on Computer Vision(ICCV), pp. 1150-1157, 1999)におけるキーポイントの位置、オリエンテーションおよびスケールとして得ることができる。キーポイント、オリエンテーション、およびスケールが、それぞれ本実施形態の特徴点、回転情報、およびスケール情報に対応する。
【0046】
なお、具体的に、SIFTの処理は次のようなものである。すなわち、Difference-of-Gaussian(DoG)画像から、極値を検出することで、特徴点(キーポイント)とそのスケール情報を決定する。また、特徴点の周辺領域から、勾配方向のヒストグラムを求め、ピークをオリエンテーションとして割り当てる。そして、特徴点のスケールによって定まる周辺領域を、オリエンテーションに従い回転させ、当該周辺領域を特徴点からの距離によるガウス窓で重み付けした後、4x4の16の小領域に分割し、各小領域で8方向の勾配方向ヒストグラムを求めることで、回転およびスケールに不変な128次元のSIFT特徴量記述を得る。
【0047】
なお、特徴抽出手段14は、パターン画像領域D(n)内から抽出したM(n)個の特徴点すべての特徴点配置情報g(n)をまとめて行列G(n)とし、G(n)を出力してもよい((1)式参照)。
【0048】
【数1】

【0049】
さらに、特徴抽出手段14は、特徴点E(n)の画像特徴f(n)として、入力画像I(x,y)内のE(n)近傍の濃淡や色などの空間的分布のパターンを特徴づける情報(数量やベクトル量)を抽出する。この画像特徴f(n)は、回転および拡大・縮小に対して、その値が変化しにくいものであることが好ましい。また、この画像特徴f(n)は、画像の全体的な(特徴点E(n)近傍領域のサイズ以上の領域における)輝度値の一様な変化に対しても変化しにくいものであることが好ましい。
【0050】
特徴抽出手段14は、例えば、画像特徴f(n)として、前記SIFTにおけるSIFT記述(SIFT descriptor)を用いることができる。
【0051】
なお、特徴抽出手段14は、パターン画像領域D(n)内から抽出したM(n)個の特徴点すべての画像特徴f(n)をまとめて行列F(n)とし、F(n)を出力してもよい((2)式参照)。
【0052】
【数2】

【0053】
図3は、第nのランドマークL(n)に関するパターン画像領域D(n)、特徴点E(n)、画像特徴f(n)、特徴点配置情報g(n)、制御点C(n)、および制御点画像座標[c(n),c(n)の関係の一例を示す図である。図3では、特徴点を3つ示した。なお、図3の例では、制御点C(n)がパターン画像領域D(n)の外側に存在するが、制御点C(n)はパターン画像領域D(n)の内側や境界上に存在してもよい。
【0054】
世界座標入力手段16は、制御点の世界座標を入力するものである。
具体的には、世界座標入力手段16は、ランドマーク指定手段12において画像座標を指定した各制御点について、世界座標を入力し、ランドマーク記憶手段18へ出力するインタフェースである。
世界座標入力手段16で入力された、第nのランドマークL(n)に対応する制御点C(n)の世界座標をw(n)=[w(n),w(n),w(n)と記す。
【0055】
世界座標入力手段16は、例えば、キーボードやつまみ、マウスなどのマンマシンインタフェースの操作により、制御点世界座標w(n)を数値入力する方式とすることができる。また、例えば、本装置の外部に接続する他の測量装置で測量された制御点の世界座標w(n)を受信するインタフェースであってもよい。
【0056】
ランドマーク記憶手段18は、ランドマークに関する情報を記憶するものである。
具体的には、ランドマーク記憶手段18は、特徴抽出手段14から入力した特徴点配置情報および画像特徴と、世界座標入力手段16から入力した制御点世界座標との組を、ランドマークごとに(制御点ごとに)複数組記憶する記憶手段である。また、ランドマーク記憶手段18は、後述するカメラパラメータ推定機能部20の照合手段24、制御点推定手段26、およびカメラパラメータ推定手段28から読み出し要求があった場合に、記憶しているデータを出力するものである。ランドマーク記憶手段18は、半導体メモリ、ハードディスク等の一般的な記憶媒体であればよく、その種類は問わない。
【0057】
例えば、ランドマーク記憶手段18は、図4に示すように、ランドマーク番号ごとに表形式により、特徴点配置情報、画像特徴、および制御点世界座標の組を記憶する方式とすることができる。
【0058】
次に、カメラ校正装置1のカメラパラメータ推定機能部20の構成について説明する。
[[カメラパラメータ推定機能部の構成]]
特徴抽出手段(第2の特徴抽出手段)22は、新たな入力画像から特徴点の情報を抽出するものである。
具体的には、特徴抽出手段22は、新たに入力された入力画像(以下、新たな入力画像という。)I(x,y)内から、視覚的に特徴的な点である特徴点を抽出し、その特徴点の配置に関する配置情報と、その特徴点の視覚的な特徴を定量化した画像特徴とを抽出して、画像特徴を照合手段24へ、配置情報を制御点推定手段26へ、それぞれ出力するものである。
この特徴抽出手段22は、ランドマーク指定機能部10の特徴抽出手段14と、特徴点等を抽出する領域が異なるのみで、ほぼ同様の処理を行うものである。
【0059】
特徴抽出手段22が、新たな入力画像I(x,y)内から抽出した特徴点の数をK個(Kは自然数)とし、抽出したk番目(1≦k≦K)番目の特徴点をBとする。特徴抽出手段22は、特徴点Bの配置情報γとして、当該特徴点の位置情報である画像座標[x,y、回転情報ψおよびスケール情報σを抽出する((3)式参照)。ここで、回転情報ψおよびスケール情報σは、ランドマーク指定機能部10の特徴抽出手段14が抽出する回転情報r(n)およびスケール情報s(n)と同様のものである。
【0060】
【数3】

【0061】
なお、特徴抽出手段22は、新たな入力画像I(x,y)内から抽出したK個の特徴点すべての配置情報γをまとめて行列Γとし、Γを出力してもよい((4)式参照)。
【0062】
【数4】

【0063】
また、特徴抽出手段22は、特徴点Bの画像特徴φとして、新たな入力画像I(x,y)内のB近傍の濃淡や色などの空間的分布のパターンを特徴づける情報(数量やベクトル量)を抽出する。この画像特徴φは、ランドマーク指定機能部10の特徴抽出手段14が抽出する画像特徴f(n)と同様のものである。
【0064】
なお、特徴抽出手段22は、新たな入力画像I(x,y)内から抽出したK個の特徴点すべての画像特徴φをまとめて行列Φとし、Φを出力してもよい((5)式参照)。
【0065】
【数5】

【0066】
照合手段24は、入力画像の特徴点と、新たな入力画像の特徴点との対応づけをするものである。
具体的には、照合手段24は、ランドマーク記憶手段18から読み出した各ランドマークL(n)の画像特徴F(n)を構成する各画像特徴f(n)に対して、特徴抽出手段22から入力した画像特徴Φを構成する画像特徴φの中から、最も類似度の高い画像特徴φを探索し、その番号kを照合結果h(n)として、制御点推定手段26へ出力するものである(1≦n≦N、1≦m≦M(n)、1≦k≦K)。
【0067】
照合手段24は、画像特徴F(n)を構成する画像特徴f(n)と、画像特徴Φを構成する画像特徴φとの間の類似度を、λ(f(n),φ)で評価し、類似度の高いもの同士を対応づける。例えば、類似度λ(f,φ)として、コサイン類似度を用いることができる((6)式参照)。
【0068】
【数6】

【0069】
そして、照合手段24は、各画像特徴f(n)に対し、類似度λ(f(n),φ)を最大化する画像特徴φを探索し、その番号kを照合結果h(n)として出力する((7)式参照)。
【0070】
【数7】

【0071】
なお、照合手段24は、ランドマークL(n)のM(n)個すべての画像特徴に関する照合結果h(n)をまとめて照合結果情報H(n)とし、行列H(n)を出力してもよい((8)式参照)。
【0072】
【数8】

【0073】
また、照合手段24は、各照合結果h(n)に加えて、各類似度λ(n)も出力してもよい((9)式参照)。行列として出力する場合には、(8)式に示す行列H(n)に代えて、類似度λ(n)を付加した(10)式に示す行列H(n)を出力する。
【0074】
【数9】

【0075】
【数10】

【0076】
制御点推定手段26は、新たな入力画像において制御点の座標を推定するものである。
具体的には、制御点推定手段26は、ランドマーク記憶手段18から読み出した各ランドマークの特徴点配置情報(G(1),…,G(N))と、特徴抽出手段22から入力された特徴点の配置情報Γと、照合手段24から入力された照合結果情報(H(1),…,H(N))とに基づき、新たな入力画像I(x,y)内のどこに各ランドマーク(L(1),…,L(N))の制御点(C(1),…,C(N))があるかを推定し、推定した制御点推定画像座標(κ(1),…,κ(N))を、カメラパラメータ推定手段28へ出力する。
【0077】
制御点推定手段26は、第nのランドマークL(n)の制御点推定画像座標κ(n)を以下の推定手順で推定する(1≦n≦N)。なお、この制御点推定画像座標κ(n)の推定は、投票処理(高木雅成、藤吉弘亘、“SIFT特徴量を用いた交通道路標識認識”、第13回画像センシングシンポジウムSSII07、LD2-06、2007)に類似するものである。
【0078】
まず、制御点推定手段26は、第nのランドマークL(n)に含まれる第mの特徴点E(n)に対して、仮の制御点画像座標推定値τ(n)を求める。すなわち、制御点推定手段26は、ランドマーク記憶手段18から読み出した特徴点配置情報G(n)より、特徴点E(n)に関する特徴点配置情報g(n)=[p(n),q(n),r(n),s(n)を取り出す。また、照合手段24から入力された照合結果情報H(n)より、特徴点E(n)に関する照合結果h(n)を取り出す。さらに、特徴抽出手段22から入力された特徴点の配置情報Γより、番号がh(n)である特徴点の配置情報を取り出す((11)式参照)。
【0079】
【数11】

【0080】
ここで、制御点推定手段26は、g(n)=[p(n),q(n),r(n),s(n)および(11)式から、制御点C(n)の画像座標を推定し、仮の制御点画像座標推定値τ(n)((12)式参照)を、(13)式により求める。
【0081】
【数12】

【0082】
【数13】

【0083】
図5は、(13)式の意味を説明する図である。図5において、説明の便宜上、添え字は省略した。図5の左図は、入力画像の一部を表し、図5の右図は、新たな入力画像の一部を表し、左図と右図とは同画素数とする。左図において、特徴点が回転情報rおよびスケール情報sを有し、右図において、対応する類似度が最大の特徴点が回転情報ψおよびスケール情報σを有するものとする。(13)式は、これらの情報を用いて、左図の特徴点に係る位置ベクトル[p,q]を回転・拡大(縮小)した右図の位置ベクトルに、仮の制御点画像座標推定値を加えたものが、類似度が最大の特徴点の画像座標[x,y]となることを意味するものである。
【0084】
このようにして、制御点推定手段26は、ランドマークL(n)に含まれるすべての特徴点E(n)(1≦m≦M(n))に対して、仮の制御点画像座標推定値τ(n)を求める。そして、画像座標内で、τ(n)が空間的に密集した箇所を探し出し、当該密集した画像座標近傍の仮の制御点画像座標推定値τ(n)の平均値を求め、当該平均値を、制御点推定画像座標κ(n)として出力する。
【0085】
この平均値の算出方法として、例えば、制御点推定手段26は、新たな入力画像I(x,y)の全体を複数の部分領域に分割し(例えば、格子状に分割してもよいし、隣接する部分領域同士が重なり合うように分割してもよい)、仮の制御点画像座標推定値τ(n)(1≦m≦M(n))がどの部分領域に属するかに応じて1票ずつ投票を行い、最も投票数の多かった部分領域R(n)を求める。続いて、制御点推定手段26は、当該最も投票数の多かった部分領域R(n)に票を投じた仮の制御点画像座標推定値τ(n)のみに関して、それらの平均値を求め、当該平均値を制御点推定画像座標κ(n)として出力してもよい。
【0086】
なお、(8)式に代えて、(10)式に示した照合結果情報H(n)を用いる場合には、制御点推定手段26は、前記平均値の算出方法における投票に際して、1票ではなく、類似度λ(n)に応じた可変の票数を投ずるようにしてもよい。例えば、投ずる票数a(n)を、広義の増加関数αを用いて、(14)式のように設定することができる。ここで、広義の増加関数αとして、折線関数を用いることができる((15)式参照)。
【0087】
【数14】

【0088】
【数15】

【0089】
また、制御点推定手段26は、制御点推定画像座標κ(n)に加えて、制御点推定信頼度v(n)(1≦n≦N)を出力してもよい。例えば、制御点推定信頼度v(n)として、前記最も得票数の多かった部分領域R(n)の得票数を用いることができる。あるいは、制御点推定信頼度v(n)として、前記最も得票数の多かった部分領域R(n)の得票数を、総投票数で除したものを用いてもよい。
【0090】
このようにして、制御点推定手段26は、第nのランドマークL(n)の制御点推定画像座標κ(n)(また、必要に応じて、制御点推定信頼度v(n))を得る。この推定手順を、全てのランドマーク(L(1),…,L(N))について実行し、制御点推定画像座標(κ(1),…,κ(N))(また、必要に応じて、制御点推定信頼度(v(1),…,v(N)))を得る。
【0091】
カメラパラメータ推定手段28は、カメラパラメータを推定するものである。
具体的には、カメラパラメータ推定手段28は、ランドマーク記憶手段18から読み出したN個の制御点世界座標(w(1),…,w(N))と、制御点推定手段26から入力されたN個の制御点推定画像座標(κ(1),…,κ(N))とに基づき、カメラパラメータθを算出し、カメラパラメータ推定機能部20の結果として出力するものである。
【0092】
例えば、カメラパラメータ推定手段28は、N個の制御点世界座標(w(1),…,w(N))をカメラパラメータθ’により画像座標へ投影し、その結果と制御点推定画像座標(κ(1),…,κ(N))との誤差を最小化するθ’を非線形最小自乗法により求め、その結果をカメラパラメータθとすることができる((16)式参照)。ここで、関数β(w;θ)は、カメラパラメータθによる世界座標wから画像座標への投影を表す。
【0093】
【数16】

【0094】
また、カメラパラメータ推定手段28は、カメラパラメータθの推定にあたって、制御点推定手段26から入力される制御点推定信頼度(v(1),…,v(N))を考慮してもよい。例えば、(16)式の代わりに、(17)式を用いることができる。
【0095】
【数17】

【0096】
さらに、例えば、RANSACによる透視N点問題の解法(M. A. Fischler, R. C. Bolles, “Random sample consensus, a paradigm for model fitting with applications to image analysis and automated cartography”, Comm. of the ACM, Vol. 24, pp. 381-395, 1981.)を用いることができる。
【0097】
このように、カメラ校正装置1を構成することで、視覚的に特徴的な点と、世界座標の既知な点とがそれぞれ別々に与えられる場合であっても、入力画像において指定した世界座標の既知な制御点の画像座標と抽出した特徴点とを用いて、新たな入力画像において抽出した特徴点から制御点の画像座標を推定して、カメラパラメータを算出することができる。
【0098】
なお、世界座標系の原点の位置や、各軸のとり方は任意である。本実施形態では、世界座標系をデカルト座標系で表し、その各軸をX軸、Y軸およびZ軸としたが、この場合、例えば、三角点などの測量用の基準に原点を置き、XおよびYの2軸を水平面内にとり、X軸を北向き、Y軸を東向きとし、Z軸を鉛直上向きにとることができる。あるいは、スポーツ競技場などの施設や競技フィールドに合わせて各軸をとってもよい。例えば、サッカー場のセンターマーク中央を原点とし、X軸をタッチラインと平行かつコーチエリア側から見て右向きにとり、Y軸をハーフウェイライン方向かつコーチエリアから遠ざかる方向にとり、また、Z軸をサッカー場の地面に対して垂直かつ上向きにとることができる。
【0099】
なお、カメラパラメータ推定機能部20の特徴抽出手段22は、新たな入力画像I(x,y)全体からではなく入力画像内に定められる固定領域内から、特徴点等を抽出してもよい。
【0100】
また、カメラ校正装置1は、一般的なカメラ(デジタルカメラ)の他、放送用ビデオカメラ、民生用ビデオカメラ等のビデオカメラに適用可能である。また、カメラ校正装置1は、コンピュータにおいて各手段を機能プログラムとして実現させることも可能であり、各機能プログラムを結合して、カメラ校正プログラムとして動作させることも可能である。
【0101】
[カメラ校正装置の動作]
次に、本発明の実施形態におけるカメラ校正装置1の動作について説明する。前述したように、カメラ校正装置1は、その機能により、ランドマーク指定機能部10と、カメラパラメータ推定機能部20とに大別される。以下では、それぞれについて、動作を説明する。
【0102】
[[ランドマーク指定機能部の動作]]
まず、図6を参照して(構成については、適宜図1を参照)、本発明の実施形態に係るカメラ校正装置1のランドマーク指定機能部10の動作について説明する。
【0103】
まず、カメラ校正装置1は、ランドマーク指定手段12によって、入力画像において、1つのランドマークLに対応するパターン画像領域Dと、制御点Cの画像座標cとを指定する(S11)。
【0104】
そして、カメラ校正装置1は、特徴抽出手段14によって、指定されたパターン画像領域D内から、特徴点をいくつか抽出する(S12)。その後、カメラ校正装置1は、特徴抽出手段14によって、1つの特徴点Eの特徴点配置情報gを抽出し(S13)、さらに当該特徴点Eの画像特徴fを抽出する(S14)。その後、カメラ校正装置1は、特徴抽出手段14によって、まだ、特徴点配置情報および画像特徴を抽出していない特徴点があるか否かを判定し(S15)、ある場合(S15でYes)にはS13へ戻り、ない場合(S15でNo)にはS16へ進む。
【0105】
そして、カメラ校正装置1は、世界座標入力手段16によって、ランドマークLの制御点Cの世界座標wを入力する(S16)。これは、ランドマーク指定手段12によって、画像座標cが入力された制御点Cに対応するものである。
【0106】
そして、カメラ校正装置1は、ランドマーク記憶手段18によって、ランドマークLの、すべての特徴点に対する特徴点配置情報Gおよび画像特徴Fと、制御点Cの世界座標wとの組を記憶する(S17)。
【0107】
そして、カメラ校正装置1は、ランドマーク指定手段12によって、さらに別のランドマークに対する処理を行うか否かを判定し(S18)、行う場合(S18でYes)にはS11へ戻り、行わない場合(S18でNo)には、カメラ校正装置1のランドマーク指定機能部10の動作を終了する。
【0108】
なお、カメラ校正装置1のランドマーク指定機能部の動作は、これに限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、S11−S15より先に、S16をおこなってもよい。また、例えば、S11により、最初に処理を行いたいすべてのランドマークLに対応するパターン画像領域Dと、制御点Cの画像座標cとを指定しておいてもよい。
【0109】
[[カメラパラメータ推定機能部の動作]]
次に、図7を参照して(構成については、適宜図1を参照)、本発明の実施形態に係るカメラ校正装置1のカメラパラメータ推定機能部20の動作について説明する。
【0110】
まず、カメラ校正装置1は、特徴抽出手段22によって、新たに入力された入力画像(又はその固定領域)から、いくつかの特徴点Bと、当該特徴点の配置情報γおよび画像特徴φとを抽出する(S21)。これは、入力画像全体から抽出するか、または、指定されたパターン画像領域から抽出するか、という違いを除いて、ランドマーク指定機能部10の特徴抽出手段14の動作のS12、S13、S14、およびS15とほぼ同様の動作である(図6参照)。
【0111】
そして、カメラ校正装置1は、照合手段24によって、ランドマーク記憶手段18から、1つのランドマークLの画像特徴Fを読み出す(S22)。その後、カメラ校正装置1は、照合手段24によって、画像特徴Fに含まれる画像特徴fに対して、類似度が最大となる画像特徴φの番号を照合結果hとする(S23)。その後、カメラ校正装置1は、照合手段24によって、照合結果を求めていない画像特徴があるか否かを判定し(S24)、ある場合(S24でYes)にはS23に戻り、ない場合(S24でNo)にはS25へ進む。
【0112】
その後、カメラ校正装置1は、照合手段24によって、照合結果hをまとめて、ランドマークLの照合結果情報Hとする(S25)。その後、カメラ校正装置1は、照合手段24によって、照合結果情報を求めていないランドマークがあるか否かを判定し(S26)、ある場合(S26でYes)にはS22に戻り、ない場合(S26でNo)にはS27へ進む。
【0113】
そして、カメラ校正装置1は、制御点推定手段26によって、ランドマーク記憶手段18から、1つのランドマークLの特徴点配置情報Gを読み出す(S27)。その後、カメラ校正装置1は、制御点推定手段26によって、ランドマークLの特徴点Eに対して、Eに対応するGの特徴点配置情報gと、照合結果情報Hから求めたLおよびEに対応する照合結果hを番号とする特徴点の配置情報γとから、(13)式により、仮の制御点画像座標推定値τを算出する(S28)。その後、カメラ校正装置1は、制御点推定手段26によって、仮の制御点画像座標推定値を求めていない特徴点があるか否か判定し(S29)、ある場合(S29でYes)にはS28に戻り、ない場合(S29でNo)にはS30へ進む。
【0114】
その後、カメラ校正装置1は、制御点推定手段26によって、仮の制御点画像座標推定値τの平均値を求め、ランドマークLの制御点推定画像座標κとする(S30)。その後、カメラ校正装置1は、制御点推定手段26によって、制御点推定画像座標を求めていないランドマークがあるか否かを判定し(S31)、ある場合(S31でYes)にはS27へ戻り、ない場合(S31でNo)にはS32へ進む。
【0115】
そして、カメラ校正装置1は、カメラパラメータ推定手段28によって、全てのランドマークにわたる、制御点推定画像座標κと、ランドマーク記憶手段から読み出した制御点世界座標wとに基づき、透視N点問題の解法または所定の非線形最小自乗法などを用いて、カメラパラメータθを算出する(S32)。その後、カメラ校正装置1のカメラパラメータ推定機能部20の動作を終了する。
【0116】
なお、カメラ校正装置1のカメラパラメータ推定機能部20の動作は、これに限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0117】
以上の動作によって、視覚的に特徴的な点と、世界座標の既知な点とがそれぞれ別々に与えられる場合であっても、入力画像において指定した世界座標の既知な制御点の画像座標と抽出した特徴点とを用いて、新たな入力画像において抽出した特徴点から制御点の画像座標を推定して、カメラパラメータを算出することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 カメラ校正装置
10 ランドマーク指定機能部
12 ランドマーク指定手段
14 特徴抽出手段(第1の特徴抽出手段)
16 世界座標入力手段
18 ランドマーク記憶手段
20 カメラパラメータ推定機能部
22 特徴抽出手段(第2の特徴抽出手段)
24 照合手段
26 制御点推定手段
28 カメラパラメータ推定手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像において指定した世界座標の既知な制御点の画像座標と抽出した特徴点とを用いて、新たな入力画像において抽出した特徴点から前記制御点の画像座標を推定して、カメラパラメータを算出するカメラ校正装置であって、
前記入力画像において、世界座標が既知な点である前記制御点の画像座標と、当該制御点と関連付けるべき画像領域とを指定するランドマーク指定手段と、
前記ランドマーク指定手段により指定された画像領域から、視覚的に特徴的な点である特徴点を1つ以上抽出し、当該特徴点の配置に関する第1の配置情報と当該特徴点の視覚的な特徴を定量化した第1の画像特徴とを抽出する第1の特徴抽出手段と、
前記ランドマーク指定手段により指定した前記制御点の世界座標を入力する世界座標入力手段と、
前記制御点に関連づけられた前記画像領域から前記特徴抽出手段が抽出した第1の配置情報および第1の画像特徴と、前記世界座標入力手段から入力された当該制御点の世界座標との組を、1つのランドマークとして、このランドマークを複数記憶するランドマーク記憶手段と、
前記新たな入力画像から、視覚的に特徴的な点である特徴点を1つ以上抽出し、当該特徴点の配置に関する第2の配置情報と当該特徴点の視覚的な特徴を定量化した第2の画像特徴とを抽出する第2の特徴抽出手段と、
前記ランドマーク記憶手段から読み出したランドマークの各第1の画像特徴に対して、前記第2の特徴抽出手段が抽出した第2の画像特徴の中から、最も類似度の高い前記第2の画像特徴を探索し、その照合結果をランドマークごとに照合結果情報として出力する照合手段と、
前記ランドマーク記憶手段から読み出したランドマークの各第1の配置情報と、前記第2の特徴抽出手段から入力した第2の配置情報と、前記照合手段から入力した照合結果情報とに基づき、前記新たな入力画像における当該ランドマークに対応する前記制御点の画像座標を推定し、制御点推定画像座標として出力する制御点推定手段と、
前記ランドマーク記憶手段から読み出した制御点の世界座標と、前記制御点推定手段から入力した制御点推定画像座標とに基づき、カメラパラメータを推定するカメラパラメータ推定手段と、
を備えることを特徴とするカメラ校正装置。
【請求項2】
前記第1の配置情報は、前記入力画像における前記制御点から前記特徴点への位置ベクトルと、当該特徴点近傍における回転情報およびスケール情報とを含み、
前記第2の配置情報は、前記新たな入力画像における前記特徴点の画像座標と、当該特徴点近傍における回転情報およびスケール情報とを含み、
前記制御点推定手段は、
前記ランドマークの各第1の配置情報に含まれる前記位置ベクトルに対して、当該第1の配置情報に含まれる前記回転情報およびスケール情報と、当該第1の配置情報とともに抽出された前記第1の画像特徴と前記照合結果を介して対応する前記第2の画像特徴とともに抽出された前記第2の配置情報に含まれる前記回転情報およびスケール情報とを用いて、新たな入力画像における位置ベクトルに変換し、当該第2の配置情報に含まれる前記特徴点の画像座標から当該変換した位置ベクトルを減算することによって、仮の制御点画像座標推定値を求め、
前記ランドマークの各第1の配置情報から求めた前記仮の制御点画像座標推定値を、所定の方法により平均することによって、前記新たな入力画像における当該ランドマークに対応する前記制御点の制御点推定画像座標とする
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ校正装置。
【請求項3】
前記制御点推定手段は、
前記新たな入力画像の全体を複数の部分領域に分割し、前記仮の制御点画像座標推定値がどの部分領域に属するかに応じて、当該部分領域に係る値を1ずつ累積し、その合計値が最も大きい前記部分領域に係る仮の制御点画像座標推定値のみに関して平均を求める
ことを特徴とする請求項2に記載のカメラ校正装置。
【請求項4】
前記照合手段は、
前記照合結果とともにその類似度を、ランドマークごとに照合結果情報として出力し、
前記制御点推定手段は、
前記新たな入力画像の全体を複数の部分領域に分割し、前記仮の制御点画像座標推定値がどの部分領域に属するかに応じて、当該仮の制御点画像座標推定値の算出に係る前記照合結果に対応する前記類似度に応じた値を、当該部分領域に係る値に累積し、その合計値が最も大きい前記部分領域に係る仮の制御点画像座標推定値のみに関して平均を求める
ことを特徴とする請求項2に記載のカメラ校正装置。
【請求項5】
入力画像において指定した世界座標の既知な制御点の画像座標と抽出した特徴点とを用いて、新たな入力画像において抽出した特徴点から前記制御点の画像座標を推定して、カメラパラメータを算出するために、コンピュータを、
前記入力画像において、世界座標が既知な点である前記制御点の画像座標と、当該制御点と関連付けるべき画像領域とを指定するランドマーク指定手段、
前記ランドマーク指定手段により指定された画像領域から、視覚的に特徴的な点である特徴点を1つ以上抽出し、当該特徴点の配置に関する第1の配置情報と当該特徴点の視覚的な特徴を定量化した第1の画像特徴とを抽出し、当該画像領域に係る前記制御点で関連付けられたランドマークの構成要素としてランドマーク記憶手段に記憶する第1の特徴抽出手段、
前記ランドマーク指定手段により指定した前記制御点の世界座標を入力し、当該制御点で関連付けられた前記ランドマークの構成要素として前記ランドマーク記憶手段に記憶する世界座標入力手段、
前記新たな入力画像から、視覚的に特徴的な点である特徴点を1つ以上抽出し、当該特徴点の配置に関する第2の配置情報と当該特徴点の視覚的な特徴を定量化した第2の画像特徴とを抽出する第2の特徴抽出手段、
前記ランドマーク記憶手段から読み出したランドマークの各第1の画像特徴に対して、前記第2の特徴抽出手段が抽出した第2の画像特徴の中から、最も類似度の高い前記第2の画像特徴を探索し、その照合結果をランドマークごとに照合結果情報として出力する照合手段、
前記ランドマーク記憶手段から読み出したランドマークの各第1の配置情報と、前記第2の特徴抽出手段から入力した第2の配置情報と、前記照合手段から入力した照合結果情報とに基づき、前記新たな入力画像における当該ランドマークに対応する前記制御点の画像座標を推定し、制御点推定画像座標として出力する制御点推定手段、
前記ランドマーク記憶手段から読み出した制御点の世界座標と、前記制御点推定手段から入力した制御点推定画像座標とに基づき、カメラパラメータを推定するカメラパラメータ推定手段、
として機能させることを特徴とするカメラ校正プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−261785(P2010−261785A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112172(P2009−112172)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】