説明

カメラ機能のアクチュエータ

本発明におけるカメラと共に使用するアクチュエータは、ワイヤと、当該ワイヤに結合された第1の部材とを含む。アクチュエータはまた、第1の部材に結合された第2の部材と、ワイヤへ電力を供給するための電源とを含む。電力がワイヤへ供給されると、ワイヤは、第1の部材と第2の部材を動かすために第1の部材に対して力を加え、カメラに関連する機能を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にカメラに関し、特にカメラ機能の作動に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セルラ電話機のような通信装置はますます用途の広いものになっている。例えば、セルラ電話機は、ユーザが写真を撮影して、これらの写真を送信できるようにするカメラを含む場合が多い。毎日の使用によって、カメラのレンズは傷がついたり、汚れたりすることが多い。時間の経過に伴い、傷と汚れは、カメラが撮影する写真の品質に影響を与える可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
セルラ電話機の中にはレンズカバーの作動を制御するのに手動ボタンを使用するものもある。レンズカバーの開閉のためにこのようなボタンを使用することに関する欠点として、ボタンがセルラ電話機本体においてスペースをとるという欠点が挙げられる。セルラ電話機のサイズがさらに小さくなるにつれて、このようなレンズカバーボタンを含むことがしばしば困難となる。したがって、このようなボタンの提供に関連する制約条件に起因して、レンズカバーがセルラ電話機から省かれることになる場合が多い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様によれば、カメラを含むモバイル端末とともに使用するシステムを提供することができる。システムは、少なくとも1本のワイヤと、少なくとも1本のワイヤに結合された第1の部材と、該第1の部材に結合された第2の部材とを含む。システムはまた、少なくとも1本のワイヤの第1のワイヤに対して電力を供給する電源を備える。電力が第1のワイヤへ供給されると、第1のワイヤは、第1の部材と第2の部材とを動かし、カメラと関連づけられた機能を実行するために第1の部材に対して力を加える。
【0005】
さらに、上記機能は、レンズをカバーする機能又はレンズカバーを外すステップを含んでもよい。さらに、第2の部材にはレンズカバーが備えられる。
【0006】
さらに、少なくとも1本のワイヤが第1のワイヤと第2のワイヤとを備えてもよい。ここで第1のワイヤは第1の位置において第1の部材に接続され、第2のワイヤは第2の位置において第1の部材に接続される。ここで、これら第1及び第2の位置は、第1の部材が回動するように構成されたポイントに対して、それぞれが対向する側に位置付けられる。
【0007】
さらに、第2の部材は、第1のワイヤへ電力が供給されると、カメラのレンズカバーを外し、第2のワイヤへ電力が供給されると、レンズをカバーするために動いてもよい。
【0008】
さらに、システムは処理論理回路を備えてもよく、この処理論理回路は、カメラモードが選択されると、電源を制御して、レンズカバーを外すように第1のワイヤへ電力を供給し、カメラモードを停止するか、又は、ユーザがモバイル端末の電源を切ると、電源を制御して第2のワイヤへ電力を供給し、レンズをカバーさせてもよい。
【0009】
さらに、システムは、少なくとも1つのスイッチと少なくとも1つのスイッチのうちの第1のスイッチに結合された処理論理回路を備えてもよい。この処理論理回路は、第1のスイッチへ制御信号を提供して、電源から第1のワイヤへの電力の供給を制御してもよい。
【0010】
さらに、少なくとも1本のワイヤは、所定の温度まで加熱されると収縮する合金を含んでもよい。
【0011】
さらに、少なくとも1本のワイヤは、第1のワイヤと第2のワイヤとを備えてもよい。システムは、電力が第1のワイヤに供給されると、第2の部材を第1の位置に固定し、電力が第2のワイヤに供給されると、第2の部材を第2の位置に固定するラッチ装置をさらに備えてもよい。
【0012】
さらに、システムは、少なくとも1本のワイヤに結合された少なくとも1つの安全装置であって、カメラに関連づけられた機能を実行できない場合に、力を散逸させる安全装置を備えてもよい。
【0013】
さらに、上記機能はマクロ機能又はオートフォーカス機能を含んでもよく、第2の部材はレンズを備えてもよい。
【0014】
さらに、この機能は暗視機能を含んでもよく、第2の部材はフィルタを備えてもよい。
【0015】
別の態様によれば、システムはカメラ関連機能の選択を表す情報を受信する論理素子を備えてもよい。システムはまた、第1のワイヤと、第1のワイヤに結合された装置と、論理素子の制御の下で第1のワイヤへ電力を供給する電源とを備えてもよい。第1のワイヤへ電力が供給されると、第1のワイヤは、装置を動かすために装置に対して力を加え、カメラ関連機能を実行する。
【0016】
さらに、カメラ関連機能はレンズカバーを外す機能を含んでもよく、装置はレンズカバーを備えてもよい。
【0017】
さらに、システムは装置に結合された第2のワイヤを備えてもよい。第2のワイヤへ電力が供給されると、第2のワイヤは、レンズをカバーするために、レンズカバーを動かすように装置に対して力を加える。
【0018】
さらに、装置は、第1の部材と、第1の部材に回動自在に接続された第2の部材とを備えてもよい。第1のワイヤを介して力が第1の部材に加えられると、第1の部材の上部は、第1の方向に動くようにしてもよい。第2の部材は、第1の方向とは反対の第2の方向に動くようにしてもよい。
【0019】
さらに、システムは、第1の部材に結合された第2のワイヤを備え、第2のワイヤを介して力が第1の部材に加えられると、第1の部材の上部は、第2の方向に動き、第2の部材は、第1の方向に動くようにしてもよい。
【0020】
さらに、システムは、ワイヤを介して力が第1の部材に加えられると、第2の部材を第1の位置に固定し、第2のワイヤを介して力が第1の部材に加えられると、第2の部材を第2の位置に固定するラッチを備えるてもよい。
【0021】
さらに、第1及び第2のワイヤは、所定の温度まで加熱されると収縮する合金を含んでもよい。
【0022】
さらに、装置はレンズを備えてもよい。カメラ関連機能はレンズをカメラの光路の中へ動かす機能を含んでもよい。
【0023】
さらに、装置は赤外線フィルタを備えてもよい。カメラ関連機能は赤外線フィルタを動かして、該フィルタをカメラの光路から外す機能を含んでもよい。
【0024】
さらに、装置は、光学部品又はフィルタのうちの少なくとも一方を備えてもよい。カメラ関連機能は、光学部品又はフィルタを、カメラの光路に挿入するか、又は、カメラの光路から外すかの少なくとも一方の機能を含んでもよい。
【0025】
さらに、システムは論理素子に結合されたスイッチを備えてもよい。このスイッチは、起動信号を論理素子から受信し、起動信号のアサート中に、電源からの電力が第1のワイヤへ供給されることを許可する。
【0026】
さらに、システムは第1のワイヤに結合された第1のスプリングを備えてもよい。第1のワイヤへ電力が供給されると、第1のワイヤは第1のスプリングに対して力を加える。
【0027】
さらなる態様によれば、カメラ装置によって実行される方法は、第1のカメラ機能に関連づけられた第1の選択情報を受信するステップと、第1のカメラ機能の選択時に第1のワイヤへ電力を供給するステップとを含んでもよい。上記方法はまた、第1のワイヤへ供給される電力に応じてレンズカバー又は光学部品をカメラの光路の中へ動かすステップを含んでもよい。
【0028】
さらに、上記方法は、第2のカメラ機能の選択時に、又は、カメラ装置の電源切断時に第2のワイヤへ電力を供給するステップを含んでもよい。上記方法は、レンズカバー又はカメラの光路から光学部品を動かすステップをさらに含んでもよい。
【0029】
さらに別の態様によれば、上記装置はレンズカバー又は光学部品をカメラの光路の中へ動かす手段を備え備えてもよい。ここで、上記動かす手段は第1のワイヤを備えるものとする。上記装置はまた、カメラ関連機能に関連づけられた第1の選択情報を受信する手段と、第1の選択に応じて第1のワイヤへ電力を供給する手段と、を含んでもよい。第1のワイヤへ電力が供給されると、上記動かす手段はカメラ関連機能を実行する。
【0030】
さらに、上記装置は、上記動かす手段が妨げられると、第1の位置又は第2の位置にレンズカバーを固定する手段と、装置を保護する手段とをさらに備えてもよい。
【0031】
本発明の他の特徴及び効果は、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかであろう。以下に示す記載の実施形態は本発明を実施するために想定されるベストモードの例示を提供するものである。本発明は、本発明から逸脱することなく、種々の自明な点においてすべて変更が可能である。したがって、これらの図面は事実上例示の図面であって、本発明を限定するものではないことは明らかである。
【0032】
添付図面が参照されるが、同じ参照番号の指定を有する要素は図面を通してずっと同じ要素を表すものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下の発明の詳細な説明では添付図面が参照される。異なる図面における同一の参照番号は同じ要素又は類似の要素を同定するものとする。また、以下の詳細な説明は本発明を限定するものではない。代わりに、本発明の範囲は添付の請求項及び均等物によって規定される。
【0034】
図1A及び図1Bは、本実施形態に係るモバイル端末100の正面図及び後部側面図の一例であり、本発明に従うシステム及び方法が実現可能である。以下では、本発明についてモバイル端末に関連して説明する。本明細書で使用されているように、「モバイル端末」という用語は、マルチラインディスプレイの有無に関わらず、セルラ無線電話機と、セルラ無線電話機をデータ処理、ファクシミリ及びデータ通信機能と組み合わせることができるパーソナル・コミュニケーション・システム(PCS)端末と、無線電話機、ページャ、インターネット/イントラネットアクセス、ウェブブラウザ、電子手帳、カレンダ、全地球測位システム(GPS)受信機のうちの少なくともいずれかを含むことができる携帯情報端末(PDA)と、従来型のラップトップ若しくはパームトップ受信機又は無線電話トランシーバを含む別の機器と、の少なくともいずれかを含む。モバイル端末は「パーベイシブ・コンピューティング」装置とも呼ばれる。モバイル端末100はまた、後述するようにカメラを含んでもよい。本発明はまた、カメラを含む別の装置において、又は、別の通信機能を含まないスタンドアロン型カメラにおいても実施可能であることも理解されたい。
【0035】
図1Aに示すように、モバイル端末100は、ハウジング110、レンズ120及びシャッタボタン130を含む。ハウジング110は要素の外側からモバイル端末100の構成要素を保護する。レンズ120は光を合焦することができ、複数のレンズ素子を含んでもよい。後述するように、レンズカバー(図示せず)は、ユーザの写真撮影を可能にするようにレンズ120のカバーを外し、カメラが使用中でないときは、レンズ120をカバーするように制御可能である。ユーザは写真撮影のためにシャッタボタン130を押下することができる。
【0036】
図1Bはモバイル端末100の裏側を示す。図1Bに示すように、モバイル端末100は表示画面140及びユーザ制御領域150を含む。表示画面140は液晶ディスプレイ(LCD)であってもよいし、又は、ユーザが写真を撮影すると、ユーザがキャプチャされた画像を見ることができるようにする何らかの別のタイプの表示画面であってもよい。
【0037】
ユーザ制御領域150は、モバイル端末100を介する通話に関連する制御ボタン(controls)を含む。例えば、ユーザ制御領域150はダイアルボタン、ハングアップボタン等を含んでもよい。ユーザ制御領域150はまた、モバイル端末100用のカメラ機能のような選択機能に関連するメニューをユーザが閲覧できるようにするメニューボタンを含んでもよい。
【0038】
図2は、本発明の実施形態に係るいくつかのモバイル端末100の構成要素を例示する図である。モバイル端末100は処理論理回路210、メモリ220、入力装置230、電源240、アクチュエータ250及びカメラ260を含む。当業者であれば認識するように、モバイル端末100は複数の別の方法で構成されてもよい。また、1以上の無線周波数(RF)アンテナ、トランシーバ、変調器/復調装置、エンコーダ/デコーダ、ディスプレイ、スピーカ、等のような別の又は各種の要素を含んでもよい。
【0039】
処理論理回路210は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等を含む。処理論理回路210は、モバイル端末100の動作を制御するためにソフトウェアプログラム又はデータ構造を実行することができる。メモリ220は、ランダムアクセスメモリ(RAM)若しくは処理論理回路210によって実行するための情報及び命令を記憶する別のタイプのダイナミック記憶装置と、リードオンリメモリ(ROM)若しくは処理論理回路210によって使用するためのスタティックな情報及び命令を記憶する別のタイプのスタティックな記憶装置と、何らかの別のタイプの磁気的な若しくは工学的な記録媒体及びそれらに対応する駆動装置と、の少なくともいずれかを含んでもよい。上記とは別に、処理論理回路210によって使用される命令は、処理論理回路210によりアクセス可能な別のタイプのコンピュータ可読媒体に記憶されたものであってもよい。コンピュータ可読媒体は1以上のメモリ装置と搬送波との少なくともいずれかを含むことができる。
【0040】
入力装置230は、マイク、キーボード、キーパッド、マウス、ペン、音声認識及び生物測定メカニズム等のうちの少なくともいずれかのような、オペレータがモバイル端末100に対して情報を入力できるようにする任意のメカニズムを含む。入力装置230はまた、ユーザが表示画面140を介してオプションのメニューを受信できるようにするユーザ制御領域150(図1B)内のボタンのようなボタンを含む。このメニューによってユーザはカメラモードの選択が可能となる。また、入力装置230は、ユーザがモバイル端末100に対してカメラモードをアクティブにする、ユーザ制御領域150に配置されたカメラボタンを含んでもよい。
【0041】
電源240はアクチュエータ250のようなモバイル端末100の構成要素へ電力を供給することも可能である。アクチュエータ250は、後述するように、モバイル端末100の動作に関連する1以上の機能を実行するのに使用することができる装置又は構造を含んでもよい。例えば、1つの実施形態では、アクチュエータ250はレンズ120のカバーをする/カバーを外す(図1A)ために使用してもよい。
【0042】
カメラ260は、モバイル端末100による写真撮影を可能にする一般的なカメラ素子を含む。カメラ260は、例えばメモリ220又は別のメモリに写真を記憶してもよい。後述するように、カメラ260はまた、処理論理回路210と通信を行って、写真撮影に関して種々の態様を制御してもよい。
【0043】
本発明に係るモバイル端末100は、例えば写真撮影と関連する処理を実行し、カメラ260の利用に関連する機能を実行する。モバイル端末100は、メモリ220のようなコンピュータ可読媒体の中に含まれる一連の命令を実行する処理論理回路210とカメラ260との少なくともいずれかに応じて、これらの処理を実行する。コンピュータ可読媒体は1以上のメモリ装置と搬送波との少なくともいずれかを含むことができることは明らかである。メモリ220の中に含まれる一連の命令の実行は、処理論理回路210とカメラ260の少なくともいずれかに以下に説明するアクションを行わせる。代替の実施形態では、本発明に従って、ソフトウェア命令の代わりに又はソフトウェア命令と組み合わせて、有線回路を使用して処理を実行してもよい。したがって、本発明に係る実施形態はハードウェア回路とソフトウェアとの何らかの特定の組み合わせに限定されるものではない。
【0044】
図3Aは本発明の原理に従う例示の実施形態におけるアクチュエータ250を示す図である。図3Aに示すように、アクチュエータ250は部材310、部材320、ワイヤ330及びワイヤ340を含む。部材310は矩形の形状にすることができる。そして、例えばプラスチック材料のような非導電体であってもよい。また、部材310は別の形状を有してもよく、導電体から構成されてもよい。部材310用として導電体を用いて、電源240からのワイヤと、ワイヤ330、340との間の接続を容易にすることも可能である。
【0045】
1つの実施形態では、部材310は、約20ミリメートル(mm)から約25mmまでの範囲の長さ、及び、約2mmから約4mmまでの範囲の幅を有する。部材310の特定のサイズは、アクチュエータ250により実行される機能に関連する特定の要件と、空間的制約条件のような別の設計上の制約条件との少なくともいずれかに基づいて、大きくなったり、小さくなったりする場合があることは理解できよう。
【0046】
部材310は枢動ポイント(枢軸)312及び端子314と316を含む。枢動ポイント312は、後述するように、力が部材310に加わると、部材310が枢動ポイント312に対して回動するか、動くように、支持構造の表面又は装置(不図示)に接続される。図3Aに示すように、ワイヤ330とワイヤ340は端子314、316にそれぞれ接続される。電力がワイヤ330及びワイヤ340の少なくともいずれかに供給されると、ワイヤ330/340が収縮し、これによって、後述するように、部材310に対する牽引力が生み出される。
【0047】
部材320は、図3Aに示すように、矩形の形状の下部と、円形状又は楕円形状の上部を有する。部材320は、例えば、プラスチック材料のような非導電体から構成されてもよい。部材320は、本発明に係る実施形態では別の形状を有するものであってもよく、また、別の材料から構成されてもよいことを理解すべきである。1つの実施形態では、部材320は約14mmから約18mmまでの範囲の長さと、約2mmから約4mmまでの範囲の幅とを有してもよい。円形状又は楕円形状の上部は、例えば、レンズ120よりもわずかに大きいサイズとする。1つの実施形態では、部材320の上部の直径は約8mmから約10mmまでの範囲にすることも可能である。部材320の特定のサイズは、アクチュエータ250と、空間的制約条件のような別の設計上の制約条件との少なくともいずれかによって実行される機能に関連する特定の要件に基づいて、大きくなったり、小さくなったりする場合があることは理解できよう。
【0048】
部材320は、枢動ポイント322を含み、接続ポイント324を介して部材310に接続される。接続ポイント324は、バインダの留め金とねじ、リベット、又は部材320が部材310に対して回動できるようにする何らかの別の締付けメカニズムのような締め具であってもよい。枢動ポイント322は、部材320に力が加えられると、部材320が枢動ポイント322に対して回動するか、動くように、支持構造の表面又は装置(不図示)に接続される。
【0049】
ワイヤ330は端子314に接続され、ワイヤ340は端子316に接続される。図3Aに示すように、端子314、316における接続を介して電源240からワイヤ330、340に電力を供給することが可能である。図3Aにおいて「開」と「閉」のラベルがつけられた接続/端子の状態に基づいて、ワイヤ330、340に電力が供給される(すなわち、電源240からワイヤ330/340を通じて接地までの回路経路を完成することができる)。例えば、後述するように、カメラモードにおいてモバイル端末100が動作しているか否かのような、モバイル端末100に関連する動作モードに基づいてこれらの接続は制御される。
【0050】
ワイヤ330、340に対して供給される電流/電圧に基づいて、部材310に対して力を加えるためにワイヤ330、340が用いられる。例えば、1つの実施形態では、ワイヤ330、340が用いられて、部材310に対して所定の力が加えられ、部材320の頂部部分がレンズ120をカバーする/カバーを外すような部材310、320の動きが実現される。
【0051】
例示の実施形態では、ワイヤ330、340は、特定の温度以上に加熱されると形状又はサイズを変える材料から製造される。形状/サイズを変えるのに必要な特定の温度は特定の材料に依存する。1つの実施形態では、ワイヤ330又はワイヤ340は、ワイヤ330/340がしきい値温度以上に加熱されると収縮する(即ち、固定長がさらに短くなる。)ように設計された合金から構成されてもよい。さらに、この合金は、良好でない導電率を有する(例えば、抵抗特性を有する)ように製造される。このようにして、ワイヤ330/340に電力が供給されると、ワイヤはしきい値温度以上に加熱され、それによってワイヤ330/340の収縮を引き起こすことになる。例示の実施形態では、ワイヤ330、340は「マスルワイヤ(muscle wire)」又は「記憶合金(memory alloy)」として知られているニッケルとチタニウムとからつくられる合金を含んでもよい。例えば、ニチノール(Nitinol)、フレキシノール(Flexinol)又は同様の材料を用いてワイヤ330、340が製造されてもよい。
【0052】
本発明によれば、ワイヤ330、340は、しきい値温度以上に加熱されると、約3〜5%収縮する。例示の実施形態では、しきい値温度は約88℃〜98℃の範囲にすることも可能である。本発明に係るワイヤ330、340は、約62℃〜72℃の範囲で緩む(即ち、加熱前の状態へ戻る)。
【0053】
表1は、本発明に係る実施形態において使用されるワイヤ330、340の特性の一例を示す表である。
【0054】
【表1】

【0055】
本発明によれば、ワイヤ330、340は、枢動ポイント312に対して部材310を引っ張る力を加えるように構成される。例えば、電源240からの電力がワイヤ340へ供給される(即ち、図3Aの「閉」端子を経由する経路が接地へ進む)と、ワイヤ340は、しきい値温度以上に加熱され、収縮し、それによって端子316において部材310に対して牽引力を生み出すことになる。次いで、部材310は、図3Bに示すように、枢動ポイント312に対して第1の方向に動く。部材310が第1の方向に動くと、部材320は枢動ポイント322に対して回動し、部材310の頂部部分とは反対方向に動き、それによって、図3Bに示すように、部材の円形部分320をレンズ120上に動かす。このようにして、アクチュエータ250は、電力がワイヤ340へ供給されると、レンズカバーとして機能することになる。
【0056】
電源240からの電力がワイヤ330へ供給される(即ち、図3Aの「開」端子を経由する経路が接地へ進む)と、ワイヤ330は、しきい値温度以上に加熱され、収縮し、それによって端子314において部材310に対する牽引力が生み出されることになる。この場合、図3Cに示すように、部材310は枢動ポイント312に対して第1の方向に引っ張られることになる。部材310が第1の方向に動くと、部材320は枢動ポイント322に対して回動し、図3Cに示すように、部材の頂部部分310とは反対方向に動き、それによって部材の円形部分320をレンズ120から離れる方向に動かす。このようにして、アクチュエータ250はレンズ120のカバーを外すように機能することになる。
【0057】
本発明によれば、ワイヤ330、340は、部材320に所望の動きをもたらすための、部材310に加えられる所定の力量を提供する長さで使用される。当業者は、所望のワイヤと、熱容量、抵抗、電力要件等のようなワイヤの特性とを選択して、本願で示されるガイダンス及びアクチュエータ250に関連する特定のアプリケーションに基づいて、アクチュエータ250の所望の動きをもたらすことができる。図3Aに示すアクチュエータ250を用いることによって、端子314又は端子316において部材310にかかる相対的に小さな力によって部材320が必要な距離だけ動いて、所望の機能を実行することが可能となる。
【0058】
上述のように、ワイヤ330、340は、電力を供給することにより加熱される。例示の実施形態では、ワイヤ330、340は、定常状態電流又は可変電流によって駆動されてもよい。1つの実施形態では、処理論理回路210の制御の下で制御される電力をワイヤ330、340に提供して、ワイヤ330、340に対して所望量の加熱を行い、ワイヤ330/340の所望量の冷却を可能にし、そして、アクチュエータ250の高速の動作を引き起こすように電力制御を行ってもよい。
【0059】
図4は、本発明に係る実施形態においてワイヤ330へ電力を供給するためのシステムの一例を示す図である。同様にワイヤ340へ電力を供給するためのシステムが構成される。図4に示すように、トランジスタのスイッチ410は、ワイヤ330に結合され、また、処理論理回路210にも結合される。電源240もワイヤ330に結合される。例示の実施形態では、電源240は、例えば、ワイヤ330へ5ボルトを供給する。処理論理回路210は、モバイル端末100に関連する特定の動作モードに基づいて制御信号をスイッチ410へ提供する。例えば、カメラモードの場合、処理論理回路210は、制御信号をトランジスタのスイッチ410へ送信して、スイッチ410を経由して電源240から接地への導電路を生み出すようにすることができる。処理論理回路210からの制御信号は、特定のシステム要件に基づいてパルスの継続時間の設定を可能にするパルス幅変調信号であってもよい。このようにして、電力は処理論理回路210の制御の下で制御されてアクチュエータのワイヤ330へ供給され、アクチュエータのワイヤ330をしきい値温度まで加熱することが可能となる。同様に(即ち、トランジスタのスイッチを介して処理論理回路210の制御の下で制御されて)ワイヤ340へ電力を供給することができる。
【0060】
ワイヤ330/340が直径0.07mmの2×20mmのワイヤであって、各ワイヤの抵抗が約10オームである1つの例示の実施形態では、約70ミリ秒の継続時間で処理論理回路210からスイッチ410へ制御信号が提供される。この時、ワイヤ330/340上に約350ミリアンペアの電流が生み出されて、ワイヤ330/340の所望の加熱が達成される。いくつかの実施形態では、さらに低い電流を供給してもよい。このような場合、ワイヤ330/340がさらにゆっくりと加熱されるため、部材320の低速の動作が生じることになる。代替例として、部材320のより高速の動作が必要な場合には、特定のシステム要件に基づいてワイヤ330、340をさらに急速に加熱する、さらに高い電流を供給してもよい。このようにして、処理論理回路210は、特定の動作モードと特定のシステム要件とに基づいてワイヤ330/340への電力の供給を制御することが可能となる。
【0061】
図5は、本発明に係る実施形態におけるアクチュエータ250に関連するプロセスの一例を示すフローチャートである。モバイル端末100に電源が投入され、モバイル端末100に含まれるカメラ260を用いてユーザが写真撮影を望むものと想定する。
【0062】
1つの実施形態では、モバイル端末100に電源が投入された後に、モバイル端末のユーザ100は、写真撮影のためにモバイル端末100のカメラモードをアクティブにすることを望むことができる。ユーザは、例えば、入力装置230(図2)を介してカメラモードを開始する。例えば、ユーザは、オプションのメニューを受信するためにユーザ制御領域150(図1B)においてメニューボタンを押す。オプションのうちの1つはカメラモードであってもよい。代替例として、入力装置230は、ユーザ制御領域150に位置するカメラボタンを含んでもよく、このカメラボタンによってユーザはカメラモードを選択してもよい。いずれの場合にせよ、ユーザがカメラモードを選択するものと想定する。処理論理回路210はカメラモードの選択情報を受信する(アクション510)。
【0063】
カメラモードの選択情報を受信した後、処理論理回路210は、カメラオプションが選択されたことを判定する。次いで、処理論理回路210は、アクチュエータ250へ電力を供給するために電源240を制御する(アクション520)。例えば、図4を参照して上述したように、処理論理回路210は、カメラモードの選択情報を受信すると、トランジスタのスイッチ410へ制御信号を送信して、スイッチ410を閉じ、電源240がワイヤ330へ電力を供給できるようにする。その後、ワイヤ330がしきい値以上に加熱されて、収縮する。その後、図3Cで示したように、ワイヤ330は部材310に対して力を加え、これによって部材320はレンズ120から離れる方向に動かされる(アクション530)。このようにして、カメラモードの選択時に、処理論理回路210は、レンズ120が光を受け取り、カメラ260による写真撮影が可能となるように、アクチュエータ250を制御する。
【0064】
ユーザが所望の枚数の写真を撮影して、カメラモードの停止を望んでいると想定する。このシナリオでは、ユーザはメニューからカメラ機能を選択して、カメラ機能を停止することができる。代替例として、ユーザがユーザ制御領域150のカメラモードボタンを押下して、カメラモードを停止してもよい。いずれの場合にせよ、処理論理回路210は停止のカメラモードの選択情報を受信する(アクション540)。
【0065】
続いて、カメラモードの停止選択情報を受信した後、処理論理回路210は、電源240を制御して、アクチュエータ250へ電力を供給し、それによってレンズをカバーする(アクション550)。例えば、カメラモードの停止選択情報を受信すると、スイッチ410の場合と同様に、処理論理回路210は、制御信号をトランジスタのスイッチへ送信して、スイッチを閉じ、その後、図4を参照して上述したように、電源240によってワイヤ340へ電力を供給する。その後、ワイヤ340は、しきい値以上に加熱されて、収縮する。さらに、ワイヤ340は部材310に対して力を加え、これによって、図3Bに示すようにレンズ120上に部材320が動かされることになる(アクション550)。このようにして、アクチュエータ250は、モバイル端末のユーザ100が写真撮影を望むか否かに基づいて、レンズ120をカバーする/カバーを外すためのレンズカバーとして作動する。
【0066】
いくつかの実施形態では、モバイル端末100は、たとえユーザ電源を切る前にカメラを停止しない場合であっても、電源の切断時にレンズ120を自動的にカバーするように構成してもよい。この場合、レンズ120をカバーするために電力がワイヤ340へ供給される。これにより、モバイル端末100が使用中でない場合は、レンズ120がカバーされることになる。
【0067】
上述の実施形態は、レンズカバーとしてアクチュエータ250を使用することを目的とするものである。別の機能を実行するためにアクチュエータ250を使用することができることは明らかである。例えば、1つの代替の実施形態では、部材320の上部は所望の設計に基づいて正レンズ又は負レンズによって置き換えてもよい。レンズの光強度をマクロレンズとなるように選んで、接写撮影を可能にすることもできる。このようにして、アクチュエータ250の動きに基づいて、アクチュエータ250を使用して、通常のレンズ又は特別のレンズを提供するようにしてもよい。さらに別の実施形態では、レンズの光強度を選択して、2段階オートフォーカス法になるようにカメラの接写機能の範囲を拡張することができる。この場合、アクチュエータ250はオートフォーカス機能を支援するために処理論理回路210により自動的に制御できるレンズを含んでもよい。
【0068】
別の代替実施形態では、アクチュエータ250の部材320の上部は、レンズカバー又は特殊レンズではなく、赤外線カットオフフィルタにより置き換えてもよい。このようなフィルタは一般にカメラ設計の中へ組み込まれる。これは、カメラ260に含まれるセンサが通常、演色を妨害することになる赤外線に敏感に反応するからである。この実施形態では、アクチュエータ250の部材320がレンズ120からカットオフフィルタを外すと、カメラは暗視カメラとして機能することも可能となる。スペクトルの赤外線部におけるセンサ感度の方が可視スペクトルにおける感度よりも高くなる。したがって、より暗い環境において、特にタングステンタイプの光源(さらに弱い光源)が存在している場合にも、カメラ260の使用が可能となる。この実施形態では、赤外線発光ダイオードがランプとして機能してもよい。カメラ260内のセンサが赤外線に非常に敏感に反応することがあるため、普通のカラー写真で用いられる白色発光ダイオード(LED)と比較すると、低出力赤外線ダイオードの方がきわめて長距離にある場面を照明することができる。したがって、この実施形態では、暗視写真を容易に行うためにアクチュエータ250を使用してもよい。
【0069】
暗視写真に関連し、アクチュエータ250を用いて、赤外線カットオフフィルタを動かして、カメラ260の光路の中へ入れたり、そこから出したりする上述の実施形態は、アクチュエータ250と共に使用できるタイプのフィルタのほんの1例である。アクチュエータ250に関連する別の実施形態では、アクチュエータ250は、任意のタイプのフィルタと(レンズなどの)光学部品との少なくともいずれかを挿入するか、カメラ260の光路から外すことができることは明らかである。このようにして、アクチュエータ250を用いて、特定のシステム要件に基づいてカメラの機能性を高めることが可能となる。
【0070】
本発明に係る例示の実施形態において、後述するように、アクチュエータはラッチメカニズムと保護メカニズムとの少なくともいずれかを含んでもよい。このラッチメカニズムと保護メカニズムとは、後述するようにアクチュエータの使用に関して追加の信頼性及び保護を与えるのに役立つものである。
【0071】
図6は本発明に係る例示のアクチュエータ600を示す図である。図6に示すように、アクチュエータ600は上述のアクチュエータ250と類似の要素を含む。さらに、アクチュエータ600は図6の点線の円内に示されるラッチメカニズムを含む。やはり図6に示されているように、アクチュエータ600はまた、ワイヤ330に結合されたスプリング630と、ワイヤ640に結合されたスプリング640とを含む。
【0072】
図6に示すラッチメカニズムは、部材320が安全な開位置又は閉位置にラッチをかけることもできる。例えば、図6を参照してわかるように、複数のノッチ612とラッチ620とを含む部材320の下部は、円形状又は車輪状の突起610を含むことができる。ノッチ612はラッチ620の上部を受けることができ、それによって部材320は固着される。例えば、力がワイヤ330に加えられると、突起610は逆時計回りの方向に動く。図6に示される下位のノッチ612はラッチ620の上部の中へラッチがかけられる。このようにして、「開」位置にある場合、部材320を固着することができ、それによって、部材320は閉位置に、又は、部分的に閉位置に戻らないようになる。同様に、力がワイヤ340に加えられると、突起610は時計回り方向に動き、図6に示す上位のノッチ612は、ラッチ620の上部によってラッチがかけられる。このようにして、「閉」位置にある場合、部材320を固着することができ、それによって、部材320は開位置又は部分的に開位置に戻らないようになる。
【0073】
アクチュエータ600はまた、アクチュエータ600及びユーザを保護するための保護メカニズムを含んでもよい。例えば、図6を参照してわかるように、ワイヤ330はスプリング630に接続され、そして、ワイヤ340は固定ポイントに接続されるのではなく、スプリング640に接続されてもよい。スプリング630、640は、特定のアクチュエータ600の要件に基づいて前もって負荷を加えた張力を有することも可能である。アクチュエータ600が閉位置になる(即ち、ワイヤ340に電力を供給する)ように意図されていれば、ある物が部材320の動作を妨げている(例えば、ユーザがレンズ120上の開口部に自分の指を入れている)と想定する。この場合、ワイヤ340にかかる力がスプリング640の曲げを引き起こすことがあり、これによってワイヤ340にかかる若干の力が散逸される。これによってアクチュエータ600の開路(breaking)が妨げられる場合がある。
【0074】
例えば、部材320が妨害によってレンズ120上に動くことができない状況では、ワイヤがワイヤ340にかかる力を散逸することができなければ、ワイヤ340は、トランジスタのスイッチ410との接続部のような固定ポイントから離れる方向に引っ張ることが考えられる。この実施形態では、ワイヤ340にかかる力が、スプリング640の曲げによって1つの端部において散逸されることが考えられる。これによって、ワイヤ340の残り部分にかかる力をワイヤ340の長さにわたって散逸することができ、そのため部材310にかかる力のほとんど又はすべてが取り除かれることになる。このようにして、部材310にかかる力を実質的に減らしたり、不要にしたりすることができるため、部材320の上部にかかる力を実質的に減らしたり、不要にしたりすることが可能となる。これによって、妨害が存在している場合に、部材320が閉じようとしないように保証することが可能となる。したがって、スプリング640はユーザのための安全メカニズムとして機能することができる。つまり、部材320にかかる力を不要にするスプリング640の曲げによって、ユーザの指に触れても部材320は閉じなくなる。
【0075】
ワイヤ330に対して力が加えられ、妨害によって部材320の開路が妨げられた場合にも同様のアクションを実行することができる。つまり、ワイヤ330にかかる力がスプリング630を曲げ、それによって部材320にかかる力を減らすか、又はこの力を不要にすることが可能となる。
【0076】
アクチュエータが極端な温度条件にさらされる場合も、スプリング630、640の使用は有利なものになり得る。例えば、モバイル端末100が、ワイヤ330、340の同時収縮を生じさせる極端な加熱条件(即ち、ワイヤ330、340のしきい値温度以上の加熱条件)にさらされると、ワイヤ330、340にかかる力はスプリング630、640をそれぞれ曲げるようになることが考えられる。これによってアクチュエータ600に対する損傷を防止することが可能となる。
【0077】
<結論>
本発明に係る実施形態は、各種装置の中へ容易に組み込むことができるアクチュエータを用いてカメラ関連機能の効率的実行を可能にするものである。本発明によって、セルラ電話機の設計者たちは、例えば、本発明がなければモバイル端末に含まれることはないであろう種々の機能の組み入れを行ったり、又は、マニュアルや外部からの制御を必要としない種々の機能を組み入れたりすることが可能となる。
【0078】
本発明の実施形態についての上述の説明によって、例示と説明とを行ったが、上記説明は、本発明を網羅しようとしたり、開示された厳密な形態に限定したりすることを意図するものではない。上記教示を考慮して修正及び変更を行うことが可能である。或いは、本発明を実施することによって修正及び変更を得ることが可能である。
【0079】
例として、カメラを含むモバイル端末に関連して本発明を説明した。しかし、本発明は、セルラ電話機としても機能するスタンドアロン型カメラのような別の装置においても利用することが可能である。
【0080】
さらに、第2の部材に接続された第1の部材に結合された2本のワイヤを含む特別のアクチュエータに関して本発明を説明した。別の実施形態では、別の構成を用いることも可能である。例えば、単一の部材と単一のワイヤとの少なくともいずれかを含むアクチュエータを用いることも可能である。この実施形態では、単一のワイヤは収縮し、例えば、レンズから離れる方向にレンズカバーを動かすことができる。ワイヤが緩むと、レンズカバーはレンズの上に戻る。
【0081】
さらに、妨害が存在している場合に、アクチュエータへの損傷を防ぐためにスプリングを用いるものとして本発明の態様を上述した。別の実施形態では、ワイヤにかかる力を散逸する別の保護メカニズムを使用できることは明らかである。
【0082】
さらに、図5を参照して一連のアクションについて説明したが、本発明に係る別の実施形態では、このアクションの順序を変更することも可能である。さらに、非依存型アクションを行うことも可能である。
【0083】
当業者には自明であるように、上記記載のような本発明の態様は、セルラ通信装置/システムと、方法と、コンピュータプログラムとのうちの少なくともいずれかにおいて実施可能である。したがって、本発明は、ハードウェアに組み込む構成と、(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)ソフトウェアに組み込む構成との少なくともいずれかの構成で実施することができる。さらに、本発明に係る態様は、コンピュータで使用可能な記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体内に格納されたコンピュータプログラムの形態をとることが可能であり、当該コンピュータプログラムはコンピュータで使用可能なプログラムコード又はコンピュータ可読プログラムコードであり、また、このプログラムコードは媒体内に具現化されて、命令実行システムに関連して利用される。本発明の原理に従う態様を実現するために用いられる実際のソフトウェアコード又は特化された制御ハードウェアによって本発明が限定されることはない。したがって、具体的なソフトウェアコードに言及することなく、上記態様の処理及び振舞いについて説明を行った。本明細書で説明した記載に基づいて上記態様の実現のためにソフトウェアを設計し、ハードウェアを制御することが可能であることは当業者であれば理解できるであろう。
【0084】
さらに、本発明の或る部分は、1以上の機能を実行する「論理素子」として実装可能である。この論理素子は特定用途向け集積回路又はフィールドプログラマブルゲートアレイのようなハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを含むことができる。
【0085】
本明細書で使用される場合、「備える/備えている(comprises/comprising)」という用語は、言及された特徴、整数、ステップ又は構成の存在を特定するために用いられるが、これら以外の特徴、整数、ステップ、構成、又はこれらのグループの存在又は追加を排除するものではない、という点を強調しておく。
【0086】
本明細書での説明において用いられた要素、行為及び命令のいずれも、その旨が明示されていないかぎり、本発明にとって極めて重要であるか、若しくは、不可欠なものであると解釈すべきではない。また、本明細書で使用されているように、不定冠詞「a」は1つ以上の項目又は品目を含むことが意図されている。1つだけの項目又は品目であることが意図されているときには、「1つの」又は同様の表現が用いられる。さらに、「〜に基づいて」というフレーズは、別途明白に言明されていないかぎり、本明細書で使用されているように、「〜に少なくとも部分的に基づいて」ということを意味するように意図されたフレーズである。
【0087】
本発明の範囲は請求項及びそれらの均等物によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1A】、
【図1B】本発明に従う方法及びシステムを実装する実施形態に係るモバイル端末を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る図1Aと図1Bのモバイル端末のいくつかの構成要素を示す図である。
【図3A】、
【図3B】、
【図3C】本発明の実施形態に係るアクチュエータの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るアクチュエータへ電力を供給するためのシステムの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る図3Aのアクチュエータに関連するプロセスの一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態に係るアクチュエータを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを含むモバイル端末とともに使用するシステムであって、
少なくとも1本のワイヤと、
前記少なくとも1本のワイヤに結合された第1の部材と、
前記第1の部材に結合された第2の部材と、
前記少なくとも1本のワイヤのうちの第1のワイヤへ電力を供給する電源と
を備え、
電力が前記第1のワイヤへ供給されると、前記第1のワイヤは、前記第1の部材と前記第2の部材とを動かし、前記カメラに関連する機能を実行するために前記第1の部材に対して力を加えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記機能は、レンズをカバーする機能、又はレンズカバーを外す機能を含み、
前記第2の部材は、前記レンズカバーを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1本のワイヤは、前記第1のワイヤと第2のワイヤとを備え、
前記第1のワイヤは、第1の位置において前記第1の部材に接続され、
前記第2のワイヤは、第2の位置において前記第1の部材に接続され、
前記第1の位置と前記第2の位置は、前記第1の部材が回動するように構成されたポイントに対して、それぞれが対向する側に位置付けられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の部材は、
電力が前記第1のワイヤへ供給されると、前記カメラのレンズカバーを外すように動き、
電力が前記第2のワイヤへ供給されると、前記レンズをカバーするように動くことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
カメラモードが選択されると、レンズカバーを外すために前記第1のワイヤへ電力を供給するように前記電源を制御し、前記カメラモードの動作が停止されるか、又は、ユーザが前記モバイル端末の電源を切ると、前記レンズをカバーするために前記第2のワイヤへ電力を供給するように前記電源を制御する処理論理回路をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つのスイッチと、
前記少なくとも1つのスイッチのうちの第1のスイッチに結合された処理論理回路とをさらに備え、
前記処理論理回路は、前記電源から前記第1のワイヤへの電力の供給を制御するために制御信号を前記第1のスイッチへ提供することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1本のワイヤは、所定の温度まで加熱されると収縮する合金を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記機能は、マクロ機能又はオートフォーカス機能を含み、
前記第2の部材は、レンズを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記機能は、暗視機能を含み、
前記第2の部材は、フィルタを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1本のワイヤは、第1のワイヤと第2のワイヤとを備え、
電力が前記第1のワイヤに供給されると、第1の位置において前記第2の部材を固定し、電力が前記第2のワイヤに供給されると、第2の位置において前記第2の部材を固定するラッチ装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1本のワイヤに結合された少なくとも1つの安全装置をさらに備え、
前記安全装置は、
前記カメラに関連する前記機能を実行することができない場合に、力を散逸させることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
カメラ関連機能の選択を表す情報を受信する論理素子と、
第1のワイヤと、
前記第1のワイヤに結合された装置と、
前記論理素子の制御の下で、前記第1のワイヤへ電力を供給する電源と、
を備え、
電力が前記第1のワイヤへ供給されると、前記第1のワイヤは、前記装置を動かすために前記装置に対して力を加え、前記カメラ関連機能を実行することを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記カメラ関連機能は、レンズカバーを外す機能を含み、
前記装置は、レンズカバーを備えることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記装置に結合された第2のワイヤをさらに備え、
前記第2のワイヤは、
前記第2のワイヤへ電力が供給されると、前記レンズをカバーするために、前記レンズカバーを動かすように前記装置に対して力を加えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記装置は、
第1の部材と、
前記第1の部材に回動自在に接続された第2の部材と、を備え、
前記第1のワイヤを介して力が前記第1の部材に加えられると、前記第1の部材の上部は第1の方向に動き、前記第2の部材は前記第1の方向とは反対の第2の方向に動くことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の部材に結合された第2のワイヤをさらに備え、
前記第2のワイヤを介して力が前記第1の部材に加えられると、前記第1の部材の上部は前記第2の方向に動き、前記第2の部材は前記第1の方向に動くことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
力が前記ワイヤを介して前記第1の部材に加えられると、第1の位置において前記第2の部材を固定し、力が前記第2のワイヤを介して前記第1の部材に加えられると、第2の位置において前記第2の部材を固定するラッチをさらに備えることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1及び第2のワイヤは、所定の温度まで加熱されると収縮する合金を備えることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記装置は、レンズを含み、
前記カメラ関連機能は、前記レンズをカメラの光路の中へ動かすことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記装置は、赤外線フィルタを備え、
前記カメラ関連機能は、前記赤外線フィルタを動かして、カメラの光路から該赤外線フィルタを外す機能を含むことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記装置は、光学部品又はフィルタのうちの少なくとも一方を備え、
前記カメラ関連機能は、前記光学部品又は前記フィルタを、カメラの光路に挿入するか、又は、前記カメラの航路から外すかの少なくとも一方の機能を含むことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
前記論理素子に結合され、前記論理素子から起動信号を受信するスイッチをさらに備え、
前記スイッチは、前記起動信号のアサート中に、
前記電源から前記第1のワイヤへ電力を供給させる
ことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1のワイヤに結合された第1のスプリングをさらに備え、
前記第1のワイヤへ電力が供給されると、前記第1のワイヤは前記第1のスプリングに対して力を加えることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項24】
カメラ装置によって実行される方法であって、
第1のカメラ機能に関連する第1の選択情報を受信するステップと、
第1のカメラ機能の選択時に、第1のワイヤへ電力を供給するステップと、
前記第1のワイヤへ供給される電力に応じて、レンズカバー又は光学部品を前記カメラの光路の中へ動かすステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
第2のカメラ機能の選択時に、又は、前記カメラ装置の電源の切断時に第2のワイヤへ電力を供給するステップと、
前記第2のワイヤへ供給される電力に応じて、前記レンズカバー又は前記光学部品を動かして、前記カメラの前記光路から外すステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第1のワイヤを含み、レンズカバー又は光学部品をカメラの光路の中へ動かす手段と、
カメラ関連機能に関連する第1の選択情報を受信する手段と、
前記第1の選択情報に応じて前記第1のワイヤへ電力を供給する手段と
を備え、
前記動かす手段は、前記第1のワイヤに対する電力の供給時に、前記カメラ関連機能を実行することを特徴とする装置。
【請求項27】
第1の位置又は第2の位置において前記レンズカバーを固定する手段と、
前記動かす手段が妨げられると、前記装置を保護する手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項26に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−527937(P2009−527937A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554861(P2008−554861)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002271
【国際公開番号】WO2007/096696
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】