説明

カメラ脱着ロボット装置

【課題】ワークが容器の隅に存在する場合であっても、容器の壁と干渉することなくワークを取出すことができるロボット装置を提供する。
【解決手段】ワーク16を認識して把持するロボット装置11。ワーク16を認識する画像認識装置21と、ワーク16を把持するロボットハンド15を有する動作機構19と、ロボットハンド15がワーク16を把持するように動作機構19を制御する制御装置20を備える。画像認識装置21は動作機構19に対して着脱可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置姿勢が未知なワークの位置姿勢を検出する画像処理機能を持つロボット装置に関する。
【0002】
同一形状のワークが乱雑に山積みされた中から、又は所定領域内に3次元的に異なる任意の位置姿勢で収納されているワークの集合から個々のワークを取出す作業について、予め整列されていない状態であっても人手によって整列する作業を行うことなくワークの取出しを可能にする方法として、例えば特許文献1に記載されている発明が知られている。
【0003】
特許文献1は、山積みされたワーク又は所定領域内に3次元的に異なる任意の位置姿勢で収納されているワークの中から、個々の位置姿勢を正確に検出することができ、又は作業方向、作業位置を求めることができる画像処理機能を持つロボットを得ることを目的としている。
そのために、CCDカメラ等の画像データを取込む手段である2次元視覚センサにて撮像し、ロボットの作業方向若しくは作業方向及び作業位置を求め、さらには、撮像した画像データに基づいて、作業方向を決めて2次元視覚センサ若しくは3次元視覚センサでワークの位置姿勢を正確に検出するものである。
【0004】
このように、2次元視覚センサ若しくは3次元視覚センサによってワークの位置姿勢の把握が可能であるため、予めワークを整列することなく取出しできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3300682号、「画像処理機能を持つロボット装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ロボットハンドに取付けたCCDカメラ等の視覚センサについて、一般にワークに対して大型であることが多い。そのため、ロボットハンドがワークを取りに行くときに、ワークが入っている容器の壁と視覚センサが干渉しやすく、容器の隅に置かれているワークを取出すことができないという問題点があった。
そのため、視覚センサを活用することで、ワークを整列する必要がなくなったにもかかわらず、上記理由のために結局部分的にワークを整列させる必要が生じていた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ワークが容器の隅に存在する場合であっても、容器の壁と干渉することなくワークを取出すことが可能なロボットハンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明によると、ワークを認識して把持するロボット装置であって、
ワークを認識する画像認識装置と、
ワークを把持するロボットハンドを有する動作機構と、
前記認識に基づいて、前記ロボットハンドがワークを把持するように前記動作機構を制御する制御装置と、
前記動作機構に対し、前記画像認識装置が着脱可能となっている、ことを特徴とするロボット装置が提供される。
【0009】
本発明によると、前記動作機構は、前記ワークの位置まで該ロボットハンドを移動させるロボットアームと、
該ロボットアームを回転軸を中心に回転させる関節と、
前記ロボットハンドを支えるロボット装置の手先部を有し、
前記ロボットハンドは、ワークを把持するための複数本の爪と、
前記爪を開位置と閉位置の間で開閉させるチャック装置と、
該チャック装置と前記ロボット装置の手先部を接続する支持部を有し、
前記チャック装置は、前記爪をそれぞれ片持支持する片持支持部材と、
該片持支持部材の相対位置を連続的に変化させるアクチュエータとを備える。
【0010】
本発明によると、前記爪によって前記ロボットハンドに把持されるための取手部分を有する。
【0011】
さらに本発明によると、前記画像認識装置は、内側の側面に段差部分を有する収納容器に対して、前記段差部分によって下方から支えられる凸部分を有する。
【0012】
また、他の実施例では、前記画像認識装置は、前記支持部の側面に取り外し可能に接続されている接続部を介して接続されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、ロボット装置によって把持された画像認識装置、またはロボットハンドの側面に接続された画像認識装置が、ロボット装置から脱着可能であるため、ワークを把持する際にワークが収納されている容器の壁と干渉することなく、ワークを把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施例におけるロボットハンドを備えたロボット装置の構成図である。
【図2】本発明の第1実施例におけるロボットハンドの構成図である。
【図3】本発明の第1実施例における画像認識装置の格納時の図である。
【図4】本発明の第2実施例におけるロボットハンドの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の第1実施例によるロボットハンドを備えたロボット装置の全体図である。
この図において、11はロボット装置、12a〜12cはロボットアーム、13はロボット装置の手先部、14はテーブル、15はロボットハンド、16はワーク、17はワーク用容器、18a〜18cは関節、19は動作機構、20は制御装置、21は画像認識装置である。
【0017】
ロボット装置11は、この例ではテーブル14の上面に固定された垂直多関節ロボットであるが、本発明はこれに限定されず、その他のロボット(スカラロボットや直交ロボット)であってもよい。
【0018】
本発明のロボットハンド15は、ロボット装置の手先部13に搭載され、所定の作動範囲で3次元的に移動され、かつ自由な姿勢をとることができるようになっている。
【0019】
関節18a〜18cは、ロボットアーム12a〜12c及びロボット装置の手先部13を連結しており、それぞれ回転軸C1〜C3(図1の紙面と垂直な軸)、C4(ロボットアーム12aの長手方向に延びる軸)周りに回転が可能である。
【0020】
制御装置20は、画像認識装置21から得たワーク16の位置情報を元に、ロボットアーム12a〜12c及び関節18a〜18cを操作して、ワーク16を把持できる位置までロボットハンド15を移動させる。
この構成により、ロボットハンド15をワーク16の位置まで正確に移動させることができる。
【0021】
図1の例において、ワーク16の断面は図において円形だが、ワーク16の形状はロボットハンド15で把持できるものであれば、形状によって限定されない。
【0022】
制御装置20の設置場所は図の位置に限られず、動作機構19の制御が可能な場所であればよい。
【0023】
図2は、本発明の第1実施例によるロボットハンド15の構成図である。
この図において、22は取手部分、23は凸部分、24は爪、25はチャック装置、25aは片持支持部材、25bはアクチュエータ、26は支持部、27は支持フレームである。
【0024】
画像認識装置21は、例えばCCDカメラ等の画像データを取込むデータ取込み手段であり、予め取手部分22及び凸部分23と連結されている。
この構成により、ロボットハンド15は、爪24が画像認識装置21の取手部分22を把持することが可能になる。そのため、画像認識装置21の把持の際には、ロボットハンド15のみで把持することが可能になり、ロボットハンド15がワーク16の収納されている容器17の壁と干渉することによって、容器の隅に配置されていたワーク16を把持できないといった問題点を回避することができる。
【0025】
取手部分22は、爪24によって把持が可能な範囲内での大きさに設定されている。
この構成により、爪24の形状について、画像認識装置21の形状に合わせたものを用意する必要がなく、また、爪24の交換作業を要すことなく画像認識装置21の把持を行うことができる。さらに、ロボット装置11に把持された画像認識装置21を、人手によって取り外す作業が必要なくなる。
【0026】
チャック装置25は、爪24を「開位置」と「閉位置」の間で開閉する。
「開位置」は、把持対象であるワーク16をそれぞれの爪24の間に位置する領域に移動するようにロボットハンド15を操作する際に、爪24が把持予定のワーク16に接触せずに該操作が完了するように設定されている。
「閉位置」は、把持予定のワーク16を把持しようとした際に、それぞれの爪24の間に位置する領域が最小になることなく、把持が完了するように設定されている。
この例において、チャック装置25は爪24をそれぞれ片持支持する片持支持部材25aと、片持支持部材25aの相対位置を連続的に変化させるアクチュエータ25bとを備える。
この構成により、それぞれの爪24が、アクチュエータ25bに従って独立して動作するため、柔軟な形での把持が可能になる。
片持支持部材25aは、図示しないリニアガイドによって開位置と閉位置の間を案内されている。
アクチュエータ25bは例えば直動の電動シリンダである。
【0027】
支持部26は、ロボットハンド15とロボット装置の手先部13を接続している。
【0028】
支持フレーム27は、爪24と片持支持部材25aをそれぞれ接続している。
【0029】
図3は本発明の第1実施例における画像認識装置の格納時の図である。
(A)は画像認識装置21、図3(B)は画像認識装置21を収納する格納領域31、図3(C)は画像認識装置21が格納領域31に格納された状態の図である。
凸部分23は、画像認識装置21がロボット装置11から離れて格納される際に、人手を介すことなく分離することを可能にするために備えられている。
格納領域31において、画像認識装置21を格納した際、画像認識装置21の凸部分23が格納領域31の段差部分32に接する形で収納が行われるため、格納時及び格納後に画像認識装置21が不安定な状態になることはない。
この構成により、画像認識装置21がロボットハンド15によって把持されている状態から直接格納領域31に格納することができる。また、レンズ等が配置されている画像認識装置21の底面を格納領域31の底面と直接接触させることなく、取り外すことができる。
【0030】
なお、上記実施例においては、取手部分22及び凸部分23は画像認識装置21の一部であるが、画像認識装置21、取手部分22、凸部分23が別々の機構であって、結合して使用する形であってもよい。
【0031】
本実施例において、画像認識装置21を接続した状態でワーク16についての認識を行い、その後画像認識装置21を取り外してワーク16の把持を行う。
【0032】
図4は本発明の第2実施例によるロボットハンド15の構成図である。
この図において、28は接続部である。
【0033】
接続部28は、画像認識装置21と支持部26を接続している。
この構成により、画像認識装置21に取手部分22を連結させることなく、画像認識装置21の取り外しが可能になる。
この例において、画像認識装置21は接続部28を介して支持部26に接続しているが、画像認識装置21が安定的に接続可能であれば、例えば支持部26の上部に存在するロボット装置の手先部13に接続されることも可能である。
【0034】
なお、接続部28は、例えば着脱にボールロック方式等を採用することで、着脱が容易であるものが望ましい。
また、画像認識装置21に電源供給が必要である場合には、電気接点を有しているものが望ましい。
【0035】
本実施例において、画像認識装置21を接続した状態でワーク16についての認識を行い、その後画像認識装置21を取り外してワーク16の把持を行う点は実施例1と同様である。
【0036】
なお、前記において、本発明の実施形態について説明を行ったが、前記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0037】
11 ロボット装置、12a〜12c ロボットアーム、
13 ロボット装置の手先部、14 テーブル、15 ロボットハンド、
16 ワーク、17 ワーク用容器、18a〜18c 関節、
19 動作機構、20 制御装置、21 画像認識装置、22 取手部分、
23 凸部分、24 爪、25 チャック装置、25a 片持支持部材、
25b アクチュエータ、26 支持部、27 支持フレーム、
28 接続部、31 格納領域、32 段差部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを認識して把持するロボット装置であって、
前記ワークを認識する画像認識装置と、
前記ワークを把持するロボットハンドを有する動作機構と、
前記認識に基づいて、前記ロボットハンドが前記ワークを把持するように前記動作機構を制御する制御装置と、
前記動作機構に対し、前記画像認識装置が着脱可能となっている、ことを特徴とするロボット装置。
【請求項2】
前記動作機構は、前記ワークの位置まで該ロボットハンドを移動させるロボットアームと、
該ロボットアームを回転軸を中心に回転させる関節と、
前記ロボットハンドを支えるロボット装置の手先部を有し、
前記ロボットハンドは、ワークを把持するための複数本の爪と、
前記爪を開位置と閉位置の間で開閉させるチャック装置と、
該チャック装置と前記ロボット装置の手先部を接続する支持部を有し、
前記チャック装置は、前記爪をそれぞれ片持支持する片持支持部材と、
該片持支持部材の相対位置を連続的に変化させるアクチュエータとを備える、ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
【請求項3】
前記画像認識装置は、前記爪によって前記ロボットハンドに把持されるための取手部分を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のロボット装置。
【請求項4】
前記画像認識装置は、内側の側面に段差部分を有する収納容器に対して、前記段差部分によって下方から支えられる凸部分を有する、ことを特徴とする請求項3に記載のロボット装置。
【請求項5】
前記画像認識装置は、前記支持部の側面に取り外し可能に接続されている接続部を介して接続されている、ことを特徴とする請求項2のロボット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−194493(P2011−194493A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62382(P2010−62382)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】