カメラ装置、レンズフィルタ装置
【課題】簡単な操作によって、様々な図形に応じたボケ形状の演出効果を利用した撮影を可能にする。
【解決手段】レンズの光軸上に設けられ、遮光形状が可変に構成されたスリット可変ユニット38と、スリット可変ユニット38のスリット形状を制御するための複数の形状データを記憶する形状データ記憶部42と、形状データ記憶部42に記憶された複数の形状データの何れかを選択するスリット形状選択部43と、スリット形状選択部43により選択された形状データに基づいて、スリット可変ユニット38のスリット形状を変更するスリット処理部41とを有する。
【解決手段】レンズの光軸上に設けられ、遮光形状が可変に構成されたスリット可変ユニット38と、スリット可変ユニット38のスリット形状を制御するための複数の形状データを記憶する形状データ記憶部42と、形状データ記憶部42に記憶された複数の形状データの何れかを選択するスリット形状選択部43と、スリット形状選択部43により選択された形状データに基づいて、スリット可変ユニット38のスリット形状を変更するスリット処理部41とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像に演出効果を与えるために用いられるフィルタ(遮光手段)が装着されたカメラ装置、カメラ装置に装着して使用されるレンズフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、被写体をカメラで撮影する際に、望遠レンズを用いたり、絞りを開放にすることにより撮影画像にボケ感を演出することがよく行われている。その際に、点光源などのボケが、絞りの形状の影響を受けて、形状がゆがむことはよく知られている。そして、その歪んだボケ形状を、撮影画像の演出効果として利用することもできる。
【0003】
例えば、従来では、演出効果を与える図形に対応するスリット形状を有するレンズフィルタをレンズ部に装着して、点光源が存在する夜景などを撮影することにより、点光源の形状がスリット形状(図形)に応じてボケた演出効果による撮影画像を得ていた。
【0004】
なお、カメラにおいてフレアやゴーストの発生を防止するために、液晶などの部分的に透過率を変更できる部材からなる遮光部をレンズ部に設け、設定された絞りの大きさに応じて遮光部の大きさを変化させる装置が考えられている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−62669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、点光源の形状が任意の図形に対応してボケた演出効果を利用するためには、意図した図形によるスリットを有するレンズフィルタをレンズ部に装着する必要がある。従って、演出効果を与える図形の形状を変更して(例えば、六角形、星形など)、様々な演出をするためには、その都度、異なるスリット形状のフィルタに取り替えなければならなかった。
【0006】
また、図形状のスリットを有するレンズフィルタを使用する場合には、レンズの焦点距離等が変更されることにより、撮影画像にケラレが発生してしまう(図形形状の穴周りの遮光部分で画像の一部がふさがれてしまう)ことがないように、スリットの穴のサイズを調整しておかなければならない。
【0007】
本発明の課題は、簡単な操作によって、様々な図形に応じたボケ形状の演出効果を利用した撮影が可能なカメラ装置、レンズフィルタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、レンズの光軸上に設けられ、遮光形状が可変に構成された遮光手段と、前記遮光形状に対する複数の形状データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された複数の形状データの何れかを選択する選択手段と、この選択手段により選択された形状データに基づいて、前記遮光手段による遮光形状を変更する形状変更手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記形状データを通信回線を通じて送受信する形状データ通信手段をさらに具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、遮光形状を編集する編集手段と、この編集された遮光形状に応じた形状データを、前記記憶手段に追加して記憶させる追加手段とを具備したことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、レンズの焦点距離を調整する焦点調整手段と、絞りを調整する絞り調整手段と、前記焦点調整手段または絞り調整手段の少なくとも何れかの調整に応じて、前記遮光手段による遮光形状のサイズを特定するサイズ特定手段と、前記サイズ特定手段により特定されたサイズに応じて、前記遮光手段による遮光形状のサイズを変更するサイズ変更手段とを具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、カメラのレンズの光軸上に着脱可能に設けられ、遮光形状が可変に構成された遮光手段と、前記遮光形状に対する複数の形状データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された複数の形状データの何れかを選択する選択手段と、この選択手段により選択された形状データに基づいて、前記遮光手段による遮光形状を変更する形状変更手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、遮光形状に対する複数の形状データを記憶しておき、この中からユーザの指示に応じて選択した形状データに基づいて遮光形状を変更するので、各種スリット形状を有する複数のレンズフィルタを予め用意したり、ユーザが必要に応じてフィルタの付け替えを行わなくても、ユーザが所望の演出効果を与える図形(形状データ)を選択するだけで、例えば点光源の存在する夜景の撮影などにおいて、いつでも素早く演出効果のある写真撮影を行うことができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、形状データを通信回線を通じて送受信できるようにすることで、他のユーザが作成した形状データなど、新たに提供される形状データを追加して利用したり、他のユーザに対して形状データを提供して利用してもらうこともできる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、遮光形状を編集して、この編集された遮光形状に応じた形状データを追加することができるので、ユーザが意図した任意の遮光形状による演出効果を利用した撮影が可能となる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、レンズの焦点距離(ズーム)あるいは絞りが調整されるのに伴って、遮光形状のサイズを特定して変更するので、焦点距離や絞りの設定に影響されることなく、常にケラレが発生しないようにボケによる演出効果を与えることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、遮光形状に対する複数の形状データを記憶しておき、この中からユーザの指示に応じて選択した形状データに基づいて遮光形状を変更するので、カメラのレンズの光軸上に装着しておけば、各種スリット形状を有する複数のレンズフィルタを予め用意したり、ユーザが必要に応じてフィルタの付け替えを行わなくても、ユーザが所望の演出効果を与える図形(形状データ)を選択するだけで、例えば点光源の存在する夜景の撮影などにおいて、いつでも素早く演出効果のある写真撮影を行うことができる。また、カメラ装置とは独立したレンズフィルタ装置として構成しているので、既存のカメラ装置において使用し、演出効果のある写真撮影を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態における電子カメラ1の回路システム構成を示すブロック図である。
【0019】
電子カメラ1には、カメラ全体を制御する主制御回路10が設けられている。主制御回路10は、各部を制御することで、画像の撮影や表示、記録、外部の情報機器との通信等を実現することができる。本実施形態の電子カメラ1では、撮影された画像中の被写体の大きさ(長さ)を算出して画像に付加して表示させると共に、画像と共に関連付けて記録する機能が設けられている。
【0020】
主制御回路10は、入力回路54を通じて操作部55に設けられる各種入力デバイスから入力される指示に応じて、各種機能の制御や設定等を実行する。操作部55には、例えばシャッタスイッチ、ズームボタン、ダイヤル、カーソルキー、座標入力部(タッチパネル)等のボタンやスイッチの他、各種の入力デバイスが含まれる。
【0021】
主制御回路10は、レンズ・撮像系制御回路12を通じて、レンズや撮像系の各部を制御する。
【0022】
レンズ・撮像系制御回路12は、インタフェース22を通じて入力される焦点検出センサ20からの信号に応じてドライバ25によってモータ23を駆動し、フォーカスレンズ16の位置を移動させることでレンズの焦点を被写体に合わせるオートフォーカス機能を実現する。また、レンズ・撮像系制御回路12は、同様にして、ドライバ26によってモータ24を駆動し、ズームレンズ18の位置を移動させることで例えば多焦点の望遠ズーム機能を実現する。
【0023】
また、レンズ・撮像系制御回路12は、主制御回路10の制御のもとで、レンズ光学系に設けられた絞り17を制御し、またシャッタ19を開閉駆動を制御する。
【0024】
レンズ光学系を通じて入る被写体から光は、タイミング発生部32及びドライバ30による走査駆動制御に従いCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子28によって光電変換され、サンプルホールド(S&H)回路34、オートゲインコントローラ(AGC)36、A/D回路37を通じてデジタルデータ化されて入力される。
【0025】
また、本実施形態における電子カメラ1のレンズ光学系には、その光軸上にスリット可変ユニット38を装着することができる。スリット可変ユニット38は、例えば図1に示すように、フォーカスレンズ16の被写体側に脱着可能となるように構成されている。スリット可変ユニット38は、スリット駆動部39にからの電気的な信号により、スリット(遮光形状)の形状とサイズを変更可能に構成されている。例えば、スリット可変ユニット38は、スリット部分に遮光/透光を制御することができる液晶が使用され、XY方向の電極によりマトリクス状に配置されたドット単位で遮光/透光を制御することで、任意の遮光形状を作成することができる。
【0026】
なお、スリット可変ユニット38に使用されるデバイスは、電気信号により自由にスリット形状(透光(開口)部と遮光部)を変更できるものであれば、液晶以外を用いたデバイスにより構成されていても良い。
【0027】
主制御回路10には、画像処理部40、スリット処理部41、形状データ記憶部42、スリット形状選択部43、形状データ通信部44、及び形状データ生成部45が設けられている。
【0028】
画像処理部40は、A/D回路37を通じて入力されるデジタルデータに対して、データ圧縮等の処理を施す。画像処理部40による画像処理が施された画像データは、メモリ(半導体メモリ)50に記録される。また、画像処理部40は、撮像系(シャッタ19、撮像素子28、サンプルホールド(S&H)回路34、AGC回路36、A/D回路37)を通じて入力される画像データを、表示選択部44を通じて表示制御部46の表示メモリ(図示せず)に記録させることで、LCDファインダとして表示部48に撮像(スルー)画像を表示させる。
【0029】
スリット処理部41は、スリット駆動部39によるスリット可変ユニット38の駆動を制御するもので、スリット形状がスリット形状選択部43によって選択された形状データに応じた形状となるようにスリット駆動部39を駆動させる。また、スリット処理部41は、レンズ・撮像系制御回路12によりズーム、絞りが調整されるのに伴い、撮影画像にケラレが発生しないように、スリット可変ユニット38によるスリットのサイズを特定し、この特定されたサイズに応じて、スリットの遮光形状(図形)のサイズを変更するようにスリット駆動部39を制御することができる。
【0030】
形状データ記憶部42は、スリット可変ユニット38のスリット形状を制御するための形状データを記憶する。形状データ記憶部42には、複数の図形に対応する形状データが記憶され、例えば予め電子カメラ1に用意されている形状データの他、形状データ通信部44を介して外部の機器などから受信した形状データや、ユーザ操作に応じて形状データ生成部45により生成された形状データが追加記憶される。
【0031】
スリット形状選択部43は、形状データ記憶部42に記憶された複数の形状データをもとにしたサンプル図形を表示するスリット形状選択画面を表示部48において表示させ、このスリット形状選択画面においてユーザにより指定されたサンプル図形に応じて形状データを選択する。スリット形状選択部43により選択された形状データに基づいて、スリット処理部41によりスリット可変ユニット38のスリットの遮光形状が変更される。
【0032】
形状データ通信部44は、例えば無線LAN/Bluetooth(BT)部57、USB(Universal Serial Bus)59、あるいはIEEE139461などの通信回線により接続された外部の機器、さらには外部の機器からインターネットなどのネットワークを介して接続される他の機器との間で、形状データを送受信する処理を実行する。形状データ通信部44は、他の機器から形状データを受信(ダウンロード)して形状データ記憶部42に追加して記憶させることができ、また形状データ記憶部42に記録されている形状データを他の機器に送信(アップロード)することができる。
【0033】
形状データ生成部45は、新規の形状データを生成して形状データ記憶部42に記憶させるもので、スリット編集部45a、形状データ追加部45bを有している。スリット編集部45aは、表示部48において図形(遮光形状)編集用の画面を表示させ、この画面上でユーザによる操作部55(例えばカーソルキー)に対する操作によって図形を作成編集させるための処理を実行する。形状データ追加部45bは、スリット編集部45aの処理により作成された図形(遮光形状)に応じて形状データを生成して、形状データ記憶部42に追加して記憶させる。
【0034】
表示制御部46は、表示メモリに記憶される画像データ46aに基づいて、表示部48(LCDモニタ))に電子ファインダとして撮像(スルー)画像をリアルタイムに表示させる、あるいはメモリ50や外部メモリ52に記憶された画像データをもとに撮影済みの画像を表示させる。また、表示制御部46は、表示メモリに記憶される情報処理データ46bに基づいて、例えばユーザからの入力操作を受け付けるための各種操作用画面(スリット形状選択画面など)を表示させる。
【0035】
また、主制御回路10は、インタフェース58,60を通じて、USB59あるいはIEEE139461により接続された外部の機器、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、プリンタ機器、他の電子カメラとの間で、メモリ50や外部メモリ52に記録された画像データの転送などの通信を実行することができる。
【0036】
また、インタフェース51を通じて、図示せぬメモリスロットを通じて装着される着脱式の外部メモリ52に対して画像データを記録し、また外部メモリ52に記録された画像データを読み出してメモリ50に記録する。
【0037】
また、主制御回路10は、インタフェース58,60を介してだけでなく、送受信部56及び無線LAN/BT部57を通じて、無線通信によって他の機器との間で画像データ等の送受信をすることができる。
【0038】
主制御回路10は、図示せぬ電源スイッチによる操作により起動される。主制御回路10は、電源制御部62を通じて電池63から供給される電力を制御する。
【0039】
なお、図示していないが、主制御回路10の制御により、シャッタスイッチに対するシャッタ操作に応じて、フラッシュ駆動部によりフラッシュを閃光駆動させる。フラッシュ駆動部は、ストロボ駆動が設定されている場合に、電池63からの電力を図示せぬフラッシュ用大容量コンデンサに充電させた上でフラッシュを閃光駆動する。
【0040】
次に、本実施形態における電子カメラ1の動作について説明する。
まず、図2に示すフローチャートを参照しながら、電子カメラ1におけるモード切り換え処理について説明する。
【0041】
まず、操作部55による操作によって通常撮影モードが指定されると(ステップA1、Yes)、主制御回路10は、通常撮影モードに設定する(ステップA2)。通常撮影モードでは、スリット可変ユニット38を利用した撮影は行われない。
【0042】
一方、夜景演出モードへの切り替え操作があった場合には(ステップA3、Yes)、主制御回路10は、夜景演出モードに設定し(ステップA4)、スリット形状選択部43を起動する。
【0043】
スリット形状選択部43は、スリット可変ユニット38による演出効果を利用した撮影をするために、スリット形状を決めるための形状データを形状データ記憶部42から読み込む(ステップA5)。
【0044】
例えば、形状データ記憶部42には、図3(a)に示すように、とに、スリット形状を定義する図形を表す形状データが複数記憶されている。図3(a)では、各図形に対応する形状番号(1,2,…)と、それぞれに対応する図形の形状データが対応づけられて記憶されている。形状データは、例えばベクトル座標データにより定義されており、このベクトル座標データをもとにして所定サイズの図形を作成することができる。
【0045】
スリット形状選択部43は、形状データ記憶部42に記憶されていた複数の形状データに基づいてサンプル図形を作成し、このサンプル図形を表示するための情報処理データ46bを表示制御部46の表示メモリに記憶させる。表示制御部46は、情報処理データ46bに応じて、表示部48にスリット形状選択画面を表示させる(ステップA6)。
【0046】
図4には、スリット形状選択画面の表示例を示している。図4に示すスリット形状選択画面には、スリット形状を表す6つのサンプル図形を一覧表示している。ここでは、ユーザの操作部55に対する操作(例えばカーソルキー操作)によって、サンプル形状選択画面から任意のサンプル図形を指定することができる。
【0047】
スリット形状選択部43は、サンプル形状選択画面から何れかのサンプル図形が指定され、スリット形状の制御として確定されると、この指定されたサンプル図形に対応する形状データを選択してスリット処理部41に通知する(ステップA7)。スリット処理部41は、スリット形状選択部43により選択された形状データ、すなわちユーザによる図形の選択情報を記憶しておく(ステップA8)。
【0048】
こうして、スリット可変ユニット38のスリット形状(遮光形状)を決める図形を、ユーザからの指示に応じて任意に設定することができる。
【0049】
次に、本実施形態の電子カメラ1における撮影処理について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、ズーム倍率のみを対象として、ズーム倍率に応じて、スリット可変ユニット38のスリットのサイズをケラレが発生しないように調整する場合について説明する。
【0050】
まず、撮影処理では撮影モードの判断が行われる。ここで、夜景演出モードでない場合には(ステップB1、No)、通常の撮影処理が実行される(ステップB2)。
【0051】
通常撮影処理では、初期動作時である場合には、レンズ・撮像系制御回路12を通じてフォーカスレンズ16、ズームレンズ18などのレンズ位置等を初期設定し、撮影系を起動し、また測光センサまたは露出計(図示せず)を起動する。そして、測光センサまたは露出計出力にあわせて撮影(露出)条件を設定する。
【0052】
レンズ・撮影系を通じて撮影される撮影(スルー)画像は、主制御回路10の画像処理部40の処理により、表示選択部44を通じて表示制御部46に出力され、表示部48(LCDファインダ)に表示される。
【0053】
また、焦点検出センサ20を起動し、その出力値から焦点が一致しているか判別する。主制御回路10は、焦点が一致していることが検出されると、焦点検出出力をもとにして、フォーカスレンズ16に対するレンズ繰り出し量を算出し、このレンズ繰り出し量に応じて、レンズ・撮像系制御回路12(ドライバ25、モータ23)によりフォーカスレンズ16を駆動させる。
【0054】
一方、ズーム操作があった場合、主制御回路10は、ズームレンズ18に対する繰り出し量を算出し、フォーカスロックした状態でレンズ・撮像系制御回路12(ドライバ26、モータ24)によりズームレンズ18を駆動させる。
【0055】
ここで、レンズ・撮影系を通じて撮影される撮影(スルー)画像は、主制御回路10の画像処理部40の処理により、表示選択部44を通じて表示制御部46に出力され、表示部48(LCDファインダ)に表示される。
【0056】
こうして、オートフォーカス機能、あるいは、多焦点の望遠ズーム機能などを実現する。
【0057】
一方、夜景演出モードが設定されている場合(ステップB1、Yes)、主制御回路10のスリット処理部41は、レンズ・撮像系制御回路12により駆動制御されている現在のズーム倍率を取得し、このズーム倍率に応じたスリット可変ユニット38のスリット(遮光形状)のサイズを取得する(ステップB3)。
【0058】
例えば、形状データ記憶部42には、図3(b)に示すように、形状データ記憶テーブルと共にサイズデータ記憶テーブルが記憶されているものとする。サイズデータ記憶テーブルには、図3(b)に示すように、各ズーム倍率(×1,2×,…)のそれぞれに対応づけて、スリットのサイズを示すデータ(サイズ1,サイズ2,…)が登録されている。サイズデータには、それぞれのズーム倍率にでスリット可変ユニット38を用いた撮影をした場合に、スリットによりケラレが発生しないサイズが予め設定されている。
【0059】
なお、図3(b)に示すような、サイズデータ記憶テーブルを用いてサイズを決定するのではなく、ズーム倍率に応じたサイズ、あるいは形状データに対するサイズ変更のための倍率を算出するようにしても良い。この場合、ズーム倍率だけでなく、絞り値、焦点距離などの条件を入れて算出するようにしても良い。
【0060】
スリット処理部41は、スリット形状選択部43によって選択されている図形の形状データ、及びズーム倍率に応じたサイズデータに応じて、スリット可変ユニット38のスリット、すなわち液晶の透過部の形状を決定して、スリット駆動部39を通じてスリット可変ユニット38のスリットを制御する(ステップB5)。
【0061】
また、主制御回路10は、レンズ・撮像系制御回路12を通じて、フォーカス(ピント)及び露出の調整を行う(ステップB6)。ここで、シャッタが押下されると(ステップB7、Yes)、主制御回路10は、A/D回路37を通じて入力されるデジタルデータに対してデータ圧縮等の処理を施すことにより得られた画像データを、メモリ50に記録する(ステップB8)。
【0062】
図6には、スリット可変ユニット38を用いることによって得られる撮影効果の一例を示している。なお、図6は、被写体の背景に写り込んだ点光源を撮影した画像部分を示している。
【0063】
図6(a)は、スリット可変ユニット38を使用しない通常の撮影画像を示している。スリット可変ユニット38を使用しない場合、例えば夜景の中で被写体の背景にある点光源が撮影された場合には、図6(a)に示すような、点光源がほぼ円形のボケた撮影画像が得られる。
【0064】
これに対して、スリット可変ユニット38を使用して、夜景で点光源が撮影された場合には、図6(b)に示すような、スリット可変ユニット38のスリット形状に応じて点光源がボケた撮影画像を得ることができる。図6(b)では、スリット可変ユニット38に設定されたスリットを星形としているため、点光源が星の形にボケた撮影画像が得られている。
【0065】
こうして、夜景演出モードにおいて撮影をする場合、モード切り換え処理において選択されている図形に応じて、スリット可変ユニット38のスリット形状(遮光形状)が制御されるので、ユーザが意図した形状に点光源がボケた撮影効果を得ることができる。また、スリット形状は、ズーム倍率(焦点距離)に応じて透過部分のサイズが自動調整されるので、ユーザが何ら操作することなくケアレの発生しない画像を撮影することができる。
【0066】
なお、前述した説明では、現在のズーム倍率を取得して、ズーム倍率に応じてスリットのサイズを制御しているが、ユーザによるズーム倍率の変更操作に追随するようにして、スリット可変ユニット38のスリットサイズを自動調整する。
【0067】
図7には、ズーム倍率変更処理のフローチャート、図8には、ズーム操作に応じたスリットサイズ変形の様子を示している。
主制御回路10は、ユーザにより操作部55に対するズーム倍率の変更操作があった場合(ステップC1、Yes)、レンズ・撮像系制御回路12を通じてドライバ26によりモータ24を駆動し、ズームレンズ18の位置を移動する(焦点距離を変更する)ことでズーム倍率を変更する(ステップC2)。
【0068】
図8(b)に示すように、操作部55に対してズーム操作が行われるのに応じて、スリット処理部41は、ケラレが発生せずに画像が撮影できるスリットサイズをサイズデータ記憶テーブルから取得し(あるいは前述のように条件に従って算出し)、それに応じて図8(a)に示すように、スリット形状のサイズを変更する。
【0069】
すなわち、ズーム操作をすることにより自動的にスリット可変ユニット38のスリットサイズが追随して自動調整されるため、ユーザは何ら特別な操作をすることなく、ケラレが発生しない画像を撮影できる。
【0070】
次に、形状データ記憶部42に記憶される形状データの更新について説明する。
前述した説明では、形状データ記憶部42には、形状データ記憶テーブルに予め複数の形状データが登録されているものとしているが、スリット形状(図形)をユーザが編集して形状データを追加することができる。また、形状データ記憶部42に記憶された形状データを、通信回線を介して他の情報機器に送信したり、あるいは他の情報機器から受信して追加することもできる。
【0071】
図9には、形状データを他の情報機器に送信するための形状データアップロード処理のフローチャートを示している。
【0072】
まず、操作部55に対するユーザの操作により形状データアップロード処理の実行が要求されると、形状データ生成部45のスリット編集部45aは、表示部48において図形(遮光形状)編集用の画面を表示させる。例えば、図形編集用の画面では、各種線パターン(直線、曲線など)を利用して図形を描画する編集操作をすることができる。スリット編集部45aは、図形編集用の画面における編集操作に応じた線図形を作成する。
【0073】
形状データ追加部45bは、スリット編集部45aにより編集された形状に応じて、形状データ(例えば形状データ記憶テーブルに記憶されるベクトル座標データ)を生成して、形状データ記憶部42に追加して記憶させる(ステップD2)。
【0074】
ここで、形状データ通信部44は、形状データ記憶部42に記憶された追加された形状データを含む複数の形状データをもとにして、アップロードする形状データをユーザに選択させるためのスリット形状選択画面(例えば、図4に示すとスリット形状選択画面と同じ)を表示させる。
【0075】
ここで、ユーザによりスリット形状選択画面から何れかの図形が指定されると(ステップD3)、形状データ通信部44は、通信回線を通じて他の情報機器と接続し、指定されたアップロード対象とする形状データを形状データ記憶部42から読み出して送信する(ステップD4)。
【0076】
こうして、ユーザによる図形編集によって任意に形状データを追加することができるので、ユーザが意図した形状のボケを利用した撮影効果を得ることができる。また、他の情報機器に対して形状データを送信することができるので、他の情報機器においても同様の撮影効果を利用した撮影が可能となる。
【0077】
なお、スリット形状選択画面においては、1つの図形のみを指定できるようにしても良いし、一括して複数の図形を指定できるようにしても良い。
【0078】
図10には、形状データを他の情報機器から受信するための形状データダウンロード処理のフローチャートを示している。
【0079】
まず、主制御回路10は、無線LAN/BT部57、USB59、あるいはIEEE139461などにより通信回線を介して外部の情報機器と接続する。ここで、例えば、ユーザからの指示に応じて、外部の情報機器に対して形状データのダウンロード要求を送信する。
【0080】
これにより、外部の情報機器から形状データの情報、例えばスリット形状の名称、あるいはサンプル図形のデータなどが送信されると(ステップE1)、形状データ通信部44は、これらの情報をもとに、追加対象とする形状データを選択するためのスリット形状選択画面を表示させる。ここでは、他の情報機器において記憶されている複数の形状データの情報が受信されるものとする。
【0081】
ここで、ユーザにより追加対象とする図形(形状データ)が選択されると、形状データ通信部44は、他の情報機器に対して指定された形状データの送信を要求する。形状データ通信部44は、この要求に対して他の情報機器から形状データを受信すると、この受信した形状データを、形状データ記憶部42の形状データ記憶テーブルにおいて、新規の形状番号を追加すると共に、この形状番号と対応づけて記録する(ステップE2)。
【0082】
なお、外部の情報機器から同機器が有している複数の形状データを一括して送信し、この複数の形状データをもとにスリット形状選択画面を表示して、追加対象とするスリット形状をユーザによって任意に選択できるようにしても良い。この際、形状データ記憶部42に既に記憶されている形状データと同じ形状データがある場合には、予め追加対象から除外しておくものとする。
【0083】
このようにして、通信回線を介して他の情報機器から新規の形状データを受信して形状データ記憶部42に追加することができるので、さらにボケ形状の演出効果の幅を広げることができる。
【0084】
なお、新規の形状データの取得方法としては、通信回線を通じて行なうだけでなく、外部メモリ52から取得することもできる。また、ユーザが新規の形状データを作成する場合、前述した方法の他に、例えばスリット(あるいはスリット形状を表す図形)を通常撮影モードにおいて撮影し、この撮影されたスリットの画像をもとに形状データを作成するようにしても良い。
【0085】
また、前述した説明では、ズーム倍率(レンズの焦点距離)に応じて、スリット形状(遮光形状)をケラレが発生しないサイズに自動的に制御するものとして説明しているが、焦点距離だけでなく、さらに絞り、被写界深度などをもとにして、スリット形状により得られるボケ効果をさらに適切に高めるように制御するようにしても良い。
【0086】
また、スリット可変ユニット38を脱着可能に構成し、このスリット可変ユニット38を電子カメラ1に設けられた機能部(スリット駆動部39、主制御回路10など)により制御するとしているが、スリット可変ユニット38と同ユニットを制御する前述した機能部とが搭載されたレンズフィルタ装置として構成することも可能である。こうして、カメラ装置1とは独立したレンズフィルタ装置として構成することで、スリット可変ユニット38を制御するための機能が設けられていない既存のカメラ装置においても、スリット可変ユニット38を用いた演出効果のある写真撮影を簡単に行うことができる。
【0087】
この場合、レンズフィルタ装置は、スリット形状を制御するために必要となるデータ、例えばズーム倍率、絞り値などのデータについては、電子カメラ1の本体から入力できるように構成されるものとする。
【0088】
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態における電子カメラ1の回路システム構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態における電子カメラ1におけるモード切り換え処理について説明するためのフローチャート。
【図3】本実施形態における形状データ記憶部42において記憶される形状データ記憶テーブルとサイズデータ記憶テーブルの一例を示す図。
【図4】本実施形態におけるスリット形状選択画面の表示例を示す図。
【図5】本実施形態の電子カメラ1における撮影処理について説明するためのフローチャート。
【図6】本実施形態におけるスリット可変ユニット38を用いることによって得られる撮影効果の一例を示す図。
【図7】本実施形態におけるズーム倍率変更処理を説明するためのフローチャート。
【図8】本実施形態におけるズーム操作に応じたスリットサイズ変形の様子を示す図。
【図9】本実施形態における形状データアップロード処理を説明するためのフローチャート。
【図10】本実施形態における形状データダウンロード処理を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0090】
1…電子カメラ、10…主制御回路、12…レンズ・撮像系制御回路、14…光学系、16…フォーカスレンズ、17…絞り、18…ズームレンズ、19…シャッタ、20…焦点検出センサ、22…インタフェース、23,24…モータ、25,26…ドライバ、28…撮像素子、30…ドライバ、32…タイミング発生部、34…サンプルホールド(S&H)回路、36…オートゲインコントローラ(AGC)、37…A/D回路、38…スリット可変ユニット、39…スリット駆動部、40…画像処理部、41…スリット処理部、42…形状データ記憶部、43…スリット形状選択部、44…形状データ通信部、46…表示制御部、46a…画像データ、46b…情報処理データ、48…表示部、50…メモリ、51…インタフェース、52…外部メモリ、54…入力回路、55…操作部、56…送受信部、57…無線LAN/Bluetooth(BT)部、58…インタフェース、59…USB、61…IEEE1394、62…電源制御部、63…電池。
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像に演出効果を与えるために用いられるフィルタ(遮光手段)が装着されたカメラ装置、カメラ装置に装着して使用されるレンズフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、被写体をカメラで撮影する際に、望遠レンズを用いたり、絞りを開放にすることにより撮影画像にボケ感を演出することがよく行われている。その際に、点光源などのボケが、絞りの形状の影響を受けて、形状がゆがむことはよく知られている。そして、その歪んだボケ形状を、撮影画像の演出効果として利用することもできる。
【0003】
例えば、従来では、演出効果を与える図形に対応するスリット形状を有するレンズフィルタをレンズ部に装着して、点光源が存在する夜景などを撮影することにより、点光源の形状がスリット形状(図形)に応じてボケた演出効果による撮影画像を得ていた。
【0004】
なお、カメラにおいてフレアやゴーストの発生を防止するために、液晶などの部分的に透過率を変更できる部材からなる遮光部をレンズ部に設け、設定された絞りの大きさに応じて遮光部の大きさを変化させる装置が考えられている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−62669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、点光源の形状が任意の図形に対応してボケた演出効果を利用するためには、意図した図形によるスリットを有するレンズフィルタをレンズ部に装着する必要がある。従って、演出効果を与える図形の形状を変更して(例えば、六角形、星形など)、様々な演出をするためには、その都度、異なるスリット形状のフィルタに取り替えなければならなかった。
【0006】
また、図形状のスリットを有するレンズフィルタを使用する場合には、レンズの焦点距離等が変更されることにより、撮影画像にケラレが発生してしまう(図形形状の穴周りの遮光部分で画像の一部がふさがれてしまう)ことがないように、スリットの穴のサイズを調整しておかなければならない。
【0007】
本発明の課題は、簡単な操作によって、様々な図形に応じたボケ形状の演出効果を利用した撮影が可能なカメラ装置、レンズフィルタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、レンズの光軸上に設けられ、遮光形状が可変に構成された遮光手段と、前記遮光形状に対する複数の形状データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された複数の形状データの何れかを選択する選択手段と、この選択手段により選択された形状データに基づいて、前記遮光手段による遮光形状を変更する形状変更手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記形状データを通信回線を通じて送受信する形状データ通信手段をさらに具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、遮光形状を編集する編集手段と、この編集された遮光形状に応じた形状データを、前記記憶手段に追加して記憶させる追加手段とを具備したことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、レンズの焦点距離を調整する焦点調整手段と、絞りを調整する絞り調整手段と、前記焦点調整手段または絞り調整手段の少なくとも何れかの調整に応じて、前記遮光手段による遮光形状のサイズを特定するサイズ特定手段と、前記サイズ特定手段により特定されたサイズに応じて、前記遮光手段による遮光形状のサイズを変更するサイズ変更手段とを具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、カメラのレンズの光軸上に着脱可能に設けられ、遮光形状が可変に構成された遮光手段と、前記遮光形状に対する複数の形状データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された複数の形状データの何れかを選択する選択手段と、この選択手段により選択された形状データに基づいて、前記遮光手段による遮光形状を変更する形状変更手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、遮光形状に対する複数の形状データを記憶しておき、この中からユーザの指示に応じて選択した形状データに基づいて遮光形状を変更するので、各種スリット形状を有する複数のレンズフィルタを予め用意したり、ユーザが必要に応じてフィルタの付け替えを行わなくても、ユーザが所望の演出効果を与える図形(形状データ)を選択するだけで、例えば点光源の存在する夜景の撮影などにおいて、いつでも素早く演出効果のある写真撮影を行うことができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、形状データを通信回線を通じて送受信できるようにすることで、他のユーザが作成した形状データなど、新たに提供される形状データを追加して利用したり、他のユーザに対して形状データを提供して利用してもらうこともできる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、遮光形状を編集して、この編集された遮光形状に応じた形状データを追加することができるので、ユーザが意図した任意の遮光形状による演出効果を利用した撮影が可能となる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、レンズの焦点距離(ズーム)あるいは絞りが調整されるのに伴って、遮光形状のサイズを特定して変更するので、焦点距離や絞りの設定に影響されることなく、常にケラレが発生しないようにボケによる演出効果を与えることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、遮光形状に対する複数の形状データを記憶しておき、この中からユーザの指示に応じて選択した形状データに基づいて遮光形状を変更するので、カメラのレンズの光軸上に装着しておけば、各種スリット形状を有する複数のレンズフィルタを予め用意したり、ユーザが必要に応じてフィルタの付け替えを行わなくても、ユーザが所望の演出効果を与える図形(形状データ)を選択するだけで、例えば点光源の存在する夜景の撮影などにおいて、いつでも素早く演出効果のある写真撮影を行うことができる。また、カメラ装置とは独立したレンズフィルタ装置として構成しているので、既存のカメラ装置において使用し、演出効果のある写真撮影を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態における電子カメラ1の回路システム構成を示すブロック図である。
【0019】
電子カメラ1には、カメラ全体を制御する主制御回路10が設けられている。主制御回路10は、各部を制御することで、画像の撮影や表示、記録、外部の情報機器との通信等を実現することができる。本実施形態の電子カメラ1では、撮影された画像中の被写体の大きさ(長さ)を算出して画像に付加して表示させると共に、画像と共に関連付けて記録する機能が設けられている。
【0020】
主制御回路10は、入力回路54を通じて操作部55に設けられる各種入力デバイスから入力される指示に応じて、各種機能の制御や設定等を実行する。操作部55には、例えばシャッタスイッチ、ズームボタン、ダイヤル、カーソルキー、座標入力部(タッチパネル)等のボタンやスイッチの他、各種の入力デバイスが含まれる。
【0021】
主制御回路10は、レンズ・撮像系制御回路12を通じて、レンズや撮像系の各部を制御する。
【0022】
レンズ・撮像系制御回路12は、インタフェース22を通じて入力される焦点検出センサ20からの信号に応じてドライバ25によってモータ23を駆動し、フォーカスレンズ16の位置を移動させることでレンズの焦点を被写体に合わせるオートフォーカス機能を実現する。また、レンズ・撮像系制御回路12は、同様にして、ドライバ26によってモータ24を駆動し、ズームレンズ18の位置を移動させることで例えば多焦点の望遠ズーム機能を実現する。
【0023】
また、レンズ・撮像系制御回路12は、主制御回路10の制御のもとで、レンズ光学系に設けられた絞り17を制御し、またシャッタ19を開閉駆動を制御する。
【0024】
レンズ光学系を通じて入る被写体から光は、タイミング発生部32及びドライバ30による走査駆動制御に従いCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子28によって光電変換され、サンプルホールド(S&H)回路34、オートゲインコントローラ(AGC)36、A/D回路37を通じてデジタルデータ化されて入力される。
【0025】
また、本実施形態における電子カメラ1のレンズ光学系には、その光軸上にスリット可変ユニット38を装着することができる。スリット可変ユニット38は、例えば図1に示すように、フォーカスレンズ16の被写体側に脱着可能となるように構成されている。スリット可変ユニット38は、スリット駆動部39にからの電気的な信号により、スリット(遮光形状)の形状とサイズを変更可能に構成されている。例えば、スリット可変ユニット38は、スリット部分に遮光/透光を制御することができる液晶が使用され、XY方向の電極によりマトリクス状に配置されたドット単位で遮光/透光を制御することで、任意の遮光形状を作成することができる。
【0026】
なお、スリット可変ユニット38に使用されるデバイスは、電気信号により自由にスリット形状(透光(開口)部と遮光部)を変更できるものであれば、液晶以外を用いたデバイスにより構成されていても良い。
【0027】
主制御回路10には、画像処理部40、スリット処理部41、形状データ記憶部42、スリット形状選択部43、形状データ通信部44、及び形状データ生成部45が設けられている。
【0028】
画像処理部40は、A/D回路37を通じて入力されるデジタルデータに対して、データ圧縮等の処理を施す。画像処理部40による画像処理が施された画像データは、メモリ(半導体メモリ)50に記録される。また、画像処理部40は、撮像系(シャッタ19、撮像素子28、サンプルホールド(S&H)回路34、AGC回路36、A/D回路37)を通じて入力される画像データを、表示選択部44を通じて表示制御部46の表示メモリ(図示せず)に記録させることで、LCDファインダとして表示部48に撮像(スルー)画像を表示させる。
【0029】
スリット処理部41は、スリット駆動部39によるスリット可変ユニット38の駆動を制御するもので、スリット形状がスリット形状選択部43によって選択された形状データに応じた形状となるようにスリット駆動部39を駆動させる。また、スリット処理部41は、レンズ・撮像系制御回路12によりズーム、絞りが調整されるのに伴い、撮影画像にケラレが発生しないように、スリット可変ユニット38によるスリットのサイズを特定し、この特定されたサイズに応じて、スリットの遮光形状(図形)のサイズを変更するようにスリット駆動部39を制御することができる。
【0030】
形状データ記憶部42は、スリット可変ユニット38のスリット形状を制御するための形状データを記憶する。形状データ記憶部42には、複数の図形に対応する形状データが記憶され、例えば予め電子カメラ1に用意されている形状データの他、形状データ通信部44を介して外部の機器などから受信した形状データや、ユーザ操作に応じて形状データ生成部45により生成された形状データが追加記憶される。
【0031】
スリット形状選択部43は、形状データ記憶部42に記憶された複数の形状データをもとにしたサンプル図形を表示するスリット形状選択画面を表示部48において表示させ、このスリット形状選択画面においてユーザにより指定されたサンプル図形に応じて形状データを選択する。スリット形状選択部43により選択された形状データに基づいて、スリット処理部41によりスリット可変ユニット38のスリットの遮光形状が変更される。
【0032】
形状データ通信部44は、例えば無線LAN/Bluetooth(BT)部57、USB(Universal Serial Bus)59、あるいはIEEE139461などの通信回線により接続された外部の機器、さらには外部の機器からインターネットなどのネットワークを介して接続される他の機器との間で、形状データを送受信する処理を実行する。形状データ通信部44は、他の機器から形状データを受信(ダウンロード)して形状データ記憶部42に追加して記憶させることができ、また形状データ記憶部42に記録されている形状データを他の機器に送信(アップロード)することができる。
【0033】
形状データ生成部45は、新規の形状データを生成して形状データ記憶部42に記憶させるもので、スリット編集部45a、形状データ追加部45bを有している。スリット編集部45aは、表示部48において図形(遮光形状)編集用の画面を表示させ、この画面上でユーザによる操作部55(例えばカーソルキー)に対する操作によって図形を作成編集させるための処理を実行する。形状データ追加部45bは、スリット編集部45aの処理により作成された図形(遮光形状)に応じて形状データを生成して、形状データ記憶部42に追加して記憶させる。
【0034】
表示制御部46は、表示メモリに記憶される画像データ46aに基づいて、表示部48(LCDモニタ))に電子ファインダとして撮像(スルー)画像をリアルタイムに表示させる、あるいはメモリ50や外部メモリ52に記憶された画像データをもとに撮影済みの画像を表示させる。また、表示制御部46は、表示メモリに記憶される情報処理データ46bに基づいて、例えばユーザからの入力操作を受け付けるための各種操作用画面(スリット形状選択画面など)を表示させる。
【0035】
また、主制御回路10は、インタフェース58,60を通じて、USB59あるいはIEEE139461により接続された外部の機器、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、プリンタ機器、他の電子カメラとの間で、メモリ50や外部メモリ52に記録された画像データの転送などの通信を実行することができる。
【0036】
また、インタフェース51を通じて、図示せぬメモリスロットを通じて装着される着脱式の外部メモリ52に対して画像データを記録し、また外部メモリ52に記録された画像データを読み出してメモリ50に記録する。
【0037】
また、主制御回路10は、インタフェース58,60を介してだけでなく、送受信部56及び無線LAN/BT部57を通じて、無線通信によって他の機器との間で画像データ等の送受信をすることができる。
【0038】
主制御回路10は、図示せぬ電源スイッチによる操作により起動される。主制御回路10は、電源制御部62を通じて電池63から供給される電力を制御する。
【0039】
なお、図示していないが、主制御回路10の制御により、シャッタスイッチに対するシャッタ操作に応じて、フラッシュ駆動部によりフラッシュを閃光駆動させる。フラッシュ駆動部は、ストロボ駆動が設定されている場合に、電池63からの電力を図示せぬフラッシュ用大容量コンデンサに充電させた上でフラッシュを閃光駆動する。
【0040】
次に、本実施形態における電子カメラ1の動作について説明する。
まず、図2に示すフローチャートを参照しながら、電子カメラ1におけるモード切り換え処理について説明する。
【0041】
まず、操作部55による操作によって通常撮影モードが指定されると(ステップA1、Yes)、主制御回路10は、通常撮影モードに設定する(ステップA2)。通常撮影モードでは、スリット可変ユニット38を利用した撮影は行われない。
【0042】
一方、夜景演出モードへの切り替え操作があった場合には(ステップA3、Yes)、主制御回路10は、夜景演出モードに設定し(ステップA4)、スリット形状選択部43を起動する。
【0043】
スリット形状選択部43は、スリット可変ユニット38による演出効果を利用した撮影をするために、スリット形状を決めるための形状データを形状データ記憶部42から読み込む(ステップA5)。
【0044】
例えば、形状データ記憶部42には、図3(a)に示すように、とに、スリット形状を定義する図形を表す形状データが複数記憶されている。図3(a)では、各図形に対応する形状番号(1,2,…)と、それぞれに対応する図形の形状データが対応づけられて記憶されている。形状データは、例えばベクトル座標データにより定義されており、このベクトル座標データをもとにして所定サイズの図形を作成することができる。
【0045】
スリット形状選択部43は、形状データ記憶部42に記憶されていた複数の形状データに基づいてサンプル図形を作成し、このサンプル図形を表示するための情報処理データ46bを表示制御部46の表示メモリに記憶させる。表示制御部46は、情報処理データ46bに応じて、表示部48にスリット形状選択画面を表示させる(ステップA6)。
【0046】
図4には、スリット形状選択画面の表示例を示している。図4に示すスリット形状選択画面には、スリット形状を表す6つのサンプル図形を一覧表示している。ここでは、ユーザの操作部55に対する操作(例えばカーソルキー操作)によって、サンプル形状選択画面から任意のサンプル図形を指定することができる。
【0047】
スリット形状選択部43は、サンプル形状選択画面から何れかのサンプル図形が指定され、スリット形状の制御として確定されると、この指定されたサンプル図形に対応する形状データを選択してスリット処理部41に通知する(ステップA7)。スリット処理部41は、スリット形状選択部43により選択された形状データ、すなわちユーザによる図形の選択情報を記憶しておく(ステップA8)。
【0048】
こうして、スリット可変ユニット38のスリット形状(遮光形状)を決める図形を、ユーザからの指示に応じて任意に設定することができる。
【0049】
次に、本実施形態の電子カメラ1における撮影処理について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、ズーム倍率のみを対象として、ズーム倍率に応じて、スリット可変ユニット38のスリットのサイズをケラレが発生しないように調整する場合について説明する。
【0050】
まず、撮影処理では撮影モードの判断が行われる。ここで、夜景演出モードでない場合には(ステップB1、No)、通常の撮影処理が実行される(ステップB2)。
【0051】
通常撮影処理では、初期動作時である場合には、レンズ・撮像系制御回路12を通じてフォーカスレンズ16、ズームレンズ18などのレンズ位置等を初期設定し、撮影系を起動し、また測光センサまたは露出計(図示せず)を起動する。そして、測光センサまたは露出計出力にあわせて撮影(露出)条件を設定する。
【0052】
レンズ・撮影系を通じて撮影される撮影(スルー)画像は、主制御回路10の画像処理部40の処理により、表示選択部44を通じて表示制御部46に出力され、表示部48(LCDファインダ)に表示される。
【0053】
また、焦点検出センサ20を起動し、その出力値から焦点が一致しているか判別する。主制御回路10は、焦点が一致していることが検出されると、焦点検出出力をもとにして、フォーカスレンズ16に対するレンズ繰り出し量を算出し、このレンズ繰り出し量に応じて、レンズ・撮像系制御回路12(ドライバ25、モータ23)によりフォーカスレンズ16を駆動させる。
【0054】
一方、ズーム操作があった場合、主制御回路10は、ズームレンズ18に対する繰り出し量を算出し、フォーカスロックした状態でレンズ・撮像系制御回路12(ドライバ26、モータ24)によりズームレンズ18を駆動させる。
【0055】
ここで、レンズ・撮影系を通じて撮影される撮影(スルー)画像は、主制御回路10の画像処理部40の処理により、表示選択部44を通じて表示制御部46に出力され、表示部48(LCDファインダ)に表示される。
【0056】
こうして、オートフォーカス機能、あるいは、多焦点の望遠ズーム機能などを実現する。
【0057】
一方、夜景演出モードが設定されている場合(ステップB1、Yes)、主制御回路10のスリット処理部41は、レンズ・撮像系制御回路12により駆動制御されている現在のズーム倍率を取得し、このズーム倍率に応じたスリット可変ユニット38のスリット(遮光形状)のサイズを取得する(ステップB3)。
【0058】
例えば、形状データ記憶部42には、図3(b)に示すように、形状データ記憶テーブルと共にサイズデータ記憶テーブルが記憶されているものとする。サイズデータ記憶テーブルには、図3(b)に示すように、各ズーム倍率(×1,2×,…)のそれぞれに対応づけて、スリットのサイズを示すデータ(サイズ1,サイズ2,…)が登録されている。サイズデータには、それぞれのズーム倍率にでスリット可変ユニット38を用いた撮影をした場合に、スリットによりケラレが発生しないサイズが予め設定されている。
【0059】
なお、図3(b)に示すような、サイズデータ記憶テーブルを用いてサイズを決定するのではなく、ズーム倍率に応じたサイズ、あるいは形状データに対するサイズ変更のための倍率を算出するようにしても良い。この場合、ズーム倍率だけでなく、絞り値、焦点距離などの条件を入れて算出するようにしても良い。
【0060】
スリット処理部41は、スリット形状選択部43によって選択されている図形の形状データ、及びズーム倍率に応じたサイズデータに応じて、スリット可変ユニット38のスリット、すなわち液晶の透過部の形状を決定して、スリット駆動部39を通じてスリット可変ユニット38のスリットを制御する(ステップB5)。
【0061】
また、主制御回路10は、レンズ・撮像系制御回路12を通じて、フォーカス(ピント)及び露出の調整を行う(ステップB6)。ここで、シャッタが押下されると(ステップB7、Yes)、主制御回路10は、A/D回路37を通じて入力されるデジタルデータに対してデータ圧縮等の処理を施すことにより得られた画像データを、メモリ50に記録する(ステップB8)。
【0062】
図6には、スリット可変ユニット38を用いることによって得られる撮影効果の一例を示している。なお、図6は、被写体の背景に写り込んだ点光源を撮影した画像部分を示している。
【0063】
図6(a)は、スリット可変ユニット38を使用しない通常の撮影画像を示している。スリット可変ユニット38を使用しない場合、例えば夜景の中で被写体の背景にある点光源が撮影された場合には、図6(a)に示すような、点光源がほぼ円形のボケた撮影画像が得られる。
【0064】
これに対して、スリット可変ユニット38を使用して、夜景で点光源が撮影された場合には、図6(b)に示すような、スリット可変ユニット38のスリット形状に応じて点光源がボケた撮影画像を得ることができる。図6(b)では、スリット可変ユニット38に設定されたスリットを星形としているため、点光源が星の形にボケた撮影画像が得られている。
【0065】
こうして、夜景演出モードにおいて撮影をする場合、モード切り換え処理において選択されている図形に応じて、スリット可変ユニット38のスリット形状(遮光形状)が制御されるので、ユーザが意図した形状に点光源がボケた撮影効果を得ることができる。また、スリット形状は、ズーム倍率(焦点距離)に応じて透過部分のサイズが自動調整されるので、ユーザが何ら操作することなくケアレの発生しない画像を撮影することができる。
【0066】
なお、前述した説明では、現在のズーム倍率を取得して、ズーム倍率に応じてスリットのサイズを制御しているが、ユーザによるズーム倍率の変更操作に追随するようにして、スリット可変ユニット38のスリットサイズを自動調整する。
【0067】
図7には、ズーム倍率変更処理のフローチャート、図8には、ズーム操作に応じたスリットサイズ変形の様子を示している。
主制御回路10は、ユーザにより操作部55に対するズーム倍率の変更操作があった場合(ステップC1、Yes)、レンズ・撮像系制御回路12を通じてドライバ26によりモータ24を駆動し、ズームレンズ18の位置を移動する(焦点距離を変更する)ことでズーム倍率を変更する(ステップC2)。
【0068】
図8(b)に示すように、操作部55に対してズーム操作が行われるのに応じて、スリット処理部41は、ケラレが発生せずに画像が撮影できるスリットサイズをサイズデータ記憶テーブルから取得し(あるいは前述のように条件に従って算出し)、それに応じて図8(a)に示すように、スリット形状のサイズを変更する。
【0069】
すなわち、ズーム操作をすることにより自動的にスリット可変ユニット38のスリットサイズが追随して自動調整されるため、ユーザは何ら特別な操作をすることなく、ケラレが発生しない画像を撮影できる。
【0070】
次に、形状データ記憶部42に記憶される形状データの更新について説明する。
前述した説明では、形状データ記憶部42には、形状データ記憶テーブルに予め複数の形状データが登録されているものとしているが、スリット形状(図形)をユーザが編集して形状データを追加することができる。また、形状データ記憶部42に記憶された形状データを、通信回線を介して他の情報機器に送信したり、あるいは他の情報機器から受信して追加することもできる。
【0071】
図9には、形状データを他の情報機器に送信するための形状データアップロード処理のフローチャートを示している。
【0072】
まず、操作部55に対するユーザの操作により形状データアップロード処理の実行が要求されると、形状データ生成部45のスリット編集部45aは、表示部48において図形(遮光形状)編集用の画面を表示させる。例えば、図形編集用の画面では、各種線パターン(直線、曲線など)を利用して図形を描画する編集操作をすることができる。スリット編集部45aは、図形編集用の画面における編集操作に応じた線図形を作成する。
【0073】
形状データ追加部45bは、スリット編集部45aにより編集された形状に応じて、形状データ(例えば形状データ記憶テーブルに記憶されるベクトル座標データ)を生成して、形状データ記憶部42に追加して記憶させる(ステップD2)。
【0074】
ここで、形状データ通信部44は、形状データ記憶部42に記憶された追加された形状データを含む複数の形状データをもとにして、アップロードする形状データをユーザに選択させるためのスリット形状選択画面(例えば、図4に示すとスリット形状選択画面と同じ)を表示させる。
【0075】
ここで、ユーザによりスリット形状選択画面から何れかの図形が指定されると(ステップD3)、形状データ通信部44は、通信回線を通じて他の情報機器と接続し、指定されたアップロード対象とする形状データを形状データ記憶部42から読み出して送信する(ステップD4)。
【0076】
こうして、ユーザによる図形編集によって任意に形状データを追加することができるので、ユーザが意図した形状のボケを利用した撮影効果を得ることができる。また、他の情報機器に対して形状データを送信することができるので、他の情報機器においても同様の撮影効果を利用した撮影が可能となる。
【0077】
なお、スリット形状選択画面においては、1つの図形のみを指定できるようにしても良いし、一括して複数の図形を指定できるようにしても良い。
【0078】
図10には、形状データを他の情報機器から受信するための形状データダウンロード処理のフローチャートを示している。
【0079】
まず、主制御回路10は、無線LAN/BT部57、USB59、あるいはIEEE139461などにより通信回線を介して外部の情報機器と接続する。ここで、例えば、ユーザからの指示に応じて、外部の情報機器に対して形状データのダウンロード要求を送信する。
【0080】
これにより、外部の情報機器から形状データの情報、例えばスリット形状の名称、あるいはサンプル図形のデータなどが送信されると(ステップE1)、形状データ通信部44は、これらの情報をもとに、追加対象とする形状データを選択するためのスリット形状選択画面を表示させる。ここでは、他の情報機器において記憶されている複数の形状データの情報が受信されるものとする。
【0081】
ここで、ユーザにより追加対象とする図形(形状データ)が選択されると、形状データ通信部44は、他の情報機器に対して指定された形状データの送信を要求する。形状データ通信部44は、この要求に対して他の情報機器から形状データを受信すると、この受信した形状データを、形状データ記憶部42の形状データ記憶テーブルにおいて、新規の形状番号を追加すると共に、この形状番号と対応づけて記録する(ステップE2)。
【0082】
なお、外部の情報機器から同機器が有している複数の形状データを一括して送信し、この複数の形状データをもとにスリット形状選択画面を表示して、追加対象とするスリット形状をユーザによって任意に選択できるようにしても良い。この際、形状データ記憶部42に既に記憶されている形状データと同じ形状データがある場合には、予め追加対象から除外しておくものとする。
【0083】
このようにして、通信回線を介して他の情報機器から新規の形状データを受信して形状データ記憶部42に追加することができるので、さらにボケ形状の演出効果の幅を広げることができる。
【0084】
なお、新規の形状データの取得方法としては、通信回線を通じて行なうだけでなく、外部メモリ52から取得することもできる。また、ユーザが新規の形状データを作成する場合、前述した方法の他に、例えばスリット(あるいはスリット形状を表す図形)を通常撮影モードにおいて撮影し、この撮影されたスリットの画像をもとに形状データを作成するようにしても良い。
【0085】
また、前述した説明では、ズーム倍率(レンズの焦点距離)に応じて、スリット形状(遮光形状)をケラレが発生しないサイズに自動的に制御するものとして説明しているが、焦点距離だけでなく、さらに絞り、被写界深度などをもとにして、スリット形状により得られるボケ効果をさらに適切に高めるように制御するようにしても良い。
【0086】
また、スリット可変ユニット38を脱着可能に構成し、このスリット可変ユニット38を電子カメラ1に設けられた機能部(スリット駆動部39、主制御回路10など)により制御するとしているが、スリット可変ユニット38と同ユニットを制御する前述した機能部とが搭載されたレンズフィルタ装置として構成することも可能である。こうして、カメラ装置1とは独立したレンズフィルタ装置として構成することで、スリット可変ユニット38を制御するための機能が設けられていない既存のカメラ装置においても、スリット可変ユニット38を用いた演出効果のある写真撮影を簡単に行うことができる。
【0087】
この場合、レンズフィルタ装置は、スリット形状を制御するために必要となるデータ、例えばズーム倍率、絞り値などのデータについては、電子カメラ1の本体から入力できるように構成されるものとする。
【0088】
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態における電子カメラ1の回路システム構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態における電子カメラ1におけるモード切り換え処理について説明するためのフローチャート。
【図3】本実施形態における形状データ記憶部42において記憶される形状データ記憶テーブルとサイズデータ記憶テーブルの一例を示す図。
【図4】本実施形態におけるスリット形状選択画面の表示例を示す図。
【図5】本実施形態の電子カメラ1における撮影処理について説明するためのフローチャート。
【図6】本実施形態におけるスリット可変ユニット38を用いることによって得られる撮影効果の一例を示す図。
【図7】本実施形態におけるズーム倍率変更処理を説明するためのフローチャート。
【図8】本実施形態におけるズーム操作に応じたスリットサイズ変形の様子を示す図。
【図9】本実施形態における形状データアップロード処理を説明するためのフローチャート。
【図10】本実施形態における形状データダウンロード処理を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0090】
1…電子カメラ、10…主制御回路、12…レンズ・撮像系制御回路、14…光学系、16…フォーカスレンズ、17…絞り、18…ズームレンズ、19…シャッタ、20…焦点検出センサ、22…インタフェース、23,24…モータ、25,26…ドライバ、28…撮像素子、30…ドライバ、32…タイミング発生部、34…サンプルホールド(S&H)回路、36…オートゲインコントローラ(AGC)、37…A/D回路、38…スリット可変ユニット、39…スリット駆動部、40…画像処理部、41…スリット処理部、42…形状データ記憶部、43…スリット形状選択部、44…形状データ通信部、46…表示制御部、46a…画像データ、46b…情報処理データ、48…表示部、50…メモリ、51…インタフェース、52…外部メモリ、54…入力回路、55…操作部、56…送受信部、57…無線LAN/Bluetooth(BT)部、58…インタフェース、59…USB、61…IEEE1394、62…電源制御部、63…電池。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズの光軸上に設けられ、遮光形状が可変に構成された遮光手段と、
前記遮光形状に対する複数の形状データを記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された複数の形状データの何れかを選択する選択手段と、
この選択手段により選択された形状データに基づいて、前記遮光手段による遮光形状を変更する形状変更手段と
を具備したことを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】
前記形状データを通信回線を通じて送受信する形状データ通信手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項3】
遮光形状を編集する編集手段と、
この編集された遮光形状に応じた形状データを、前記記憶手段に追加して記憶させる追加手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項4】
レンズの焦点距離を調整する焦点調整手段と、
絞りを調整する絞り調整手段と、
前記焦点調整手段または絞り調整手段の少なくとも何れかの調整に応じて、前記遮光手段による遮光形状のサイズを特定するサイズ特定手段と、
前記サイズ特定手段により特定されたサイズに応じて、前記遮光手段による遮光形状のサイズを変更するサイズ変更手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項5】
カメラのレンズの光軸上に着脱可能に設けられ、遮光形状が可変に構成された遮光手段と、
前記遮光形状に対する複数の形状データを記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された複数の形状データの何れかを選択する選択手段と、
この選択手段により選択された形状データに基づいて、前記遮光手段による遮光形状を変更する形状変更手段と
を具備したことを特徴とするレンズフィルタ装置。
【請求項1】
レンズの光軸上に設けられ、遮光形状が可変に構成された遮光手段と、
前記遮光形状に対する複数の形状データを記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された複数の形状データの何れかを選択する選択手段と、
この選択手段により選択された形状データに基づいて、前記遮光手段による遮光形状を変更する形状変更手段と
を具備したことを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】
前記形状データを通信回線を通じて送受信する形状データ通信手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項3】
遮光形状を編集する編集手段と、
この編集された遮光形状に応じた形状データを、前記記憶手段に追加して記憶させる追加手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項4】
レンズの焦点距離を調整する焦点調整手段と、
絞りを調整する絞り調整手段と、
前記焦点調整手段または絞り調整手段の少なくとも何れかの調整に応じて、前記遮光手段による遮光形状のサイズを特定するサイズ特定手段と、
前記サイズ特定手段により特定されたサイズに応じて、前記遮光手段による遮光形状のサイズを変更するサイズ変更手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項5】
カメラのレンズの光軸上に着脱可能に設けられ、遮光形状が可変に構成された遮光手段と、
前記遮光形状に対する複数の形状データを記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された複数の形状データの何れかを選択する選択手段と、
この選択手段により選択された形状データに基づいて、前記遮光手段による遮光形状を変更する形状変更手段と
を具備したことを特徴とするレンズフィルタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−98547(P2006−98547A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282574(P2004−282574)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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