説明

カメラ

【課題】音声記録時のPWM駆動ノイズの混入を防止する。
【解決手段】カメラの動作モードに応じて表示手段を照明する照明手段の駆動方法を変更する。例えば、非音声記録モードの場合は、照明手段に対して電圧の印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行い、音声記録モードの場合は、照明手段に対して一定の電圧を印加し続ける定電圧駆動を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
画像や各種情報を表示するLCDなどの表示部を照明するバックライトを、周辺輝度に応じてPWM駆動するようにしたカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−111487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のカメラでは、画像とともに音声を記録する際に、マイクロフォンにバックライトのPWM駆動ノイズが混入してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
カメラの動作モードに応じて表示手段を照明する照明手段の駆動方法を変更する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、カメラの動作モードに応じた最適な駆動方法とすることができる。例えば音声記録モード時にはPWM駆動から定電圧駆動に変更することができるので、PWM駆動ノイズがマイクロフォンに混入して音声再生時に雑音が発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は一実施の形態のカメラの電気的な構成を示すブロック図である。リチウムイオン電池1は、カメラのすべての電気回路および装置へ電力を供給する。DCDCコンバーター2は電池1の電力を入力して定電圧電源を生成し、後述する制御回路部3、測光部4、電圧切換回路6などへ定電圧電源VCCを供給する。制御回路部3は図示しないマイクロコンピューターとメモリなどの周辺部品を備え、カメラの各種制御および演算を実行するとともに、表示部5を照明するLED8を駆動制御する。測光部4は周辺の輝度を測定する。表示部5はLCDからなり、撮影した画像を含む各種情報を表示する。
【0007】
電圧切換回路6、抵抗器7、LED8およびトランジスター9は、表示部5を照明するLED8の駆動回路を構成し、制御回路部3により制御される。電圧切換回路6は定電圧電源VCCの電圧を切り換える回路であり、通常は定電圧電源VCCの電圧を出力し、音声記録モード時のみ定電圧電源VCCよりも低い一定の電圧を出力する。抵抗器7は、LED8に流れる電流を制限する制限抵抗器である。LED8は表示部5を照明するバックライトである。トランジスター9はLED8への通電と遮断、すなわちLED8に対して電圧の印加と遮断を行うスイッチであり、制御回路部3により制御される。
【0008】
レリーズスイッチ10はレリーズボタン(不図示)の操作に連動してオン、オフするスイッチである。静止画/動画切換スイッチ11は、静止画撮影と動画撮影とを切り換える切換ボタン(不図示)に連動するスイッチであり、オフ時は静止画、オン時は動画が選択される。再生スイッチ12は画像再生ボタン(不図示)に連動するスイッチであり、オン時に表示部5に撮影画像が表示される。マイクスイッチ13は音声を記録するためのスイッチであり、静止画撮影時にオンするとマイクロフォン14により集音して音声を記録することができる。なお、動画撮影時にはマイクスイッチ13が操作されなくても自動的にマイクロフォン14による集音が行われ、音声が記録される。
【0009】
一実施の形態のカメラの動作を説明する。静止画/動画切換スイッチ11がオフされ静止画撮影モードが選択されると、制御回路部3の端子P4がハイレベルになり、制御回路部3は静止画撮影モードを設定する。そして、レリーズボタン操作によりレリーズスイッチ10がオンすると、制御回路部3の端子P3がローレベルになり、制御回路部3は撮像素子(不図示)により静止画を撮像する。その後、画像再生ボタンの操作により再生スイッチ12がオンすると制御回路部3の端子P5がローレベルになり、制御回路部3は端子P2から表示部5へ撮影した静止画のデータを送り、表示部5に静止画を表示する。
【0010】
表示部5に静止画を表示するときは、制御回路部3は、端子P8をローレベルにして電圧切換回路6をオフし、上述した定電圧電源VCCを抵抗器7を介してLED8に印加するとともに、端子P7を介して測光部4からカメラ周辺の輝度を入力し、端子P1からトランジスター9へ周辺輝度に応じたデューティーのパルス幅変調(PWM)信号を出力し、トランジスター9をPWM駆動する。これにより、LED8には周辺輝度に応じたデューティーで間欠的に定電圧電源VCCが印加され、電流が流れて点灯する。周辺輝度が高く被写界が明るいときにはデューティーが低くなり、LED8に流れる電流が少なくなって暗く点灯する。一方、周辺輝度が低く被写界が暗いときにはデューティーが高くなり、LED8に流れる電流が多くなって明るく点灯する。
【0011】
静止画/動画切換スイッチ11がオンし制御回路部3の端子P4がローレベルになると、制御回路部3は動画撮影モードを設定する。そして、レリーズボタン操作によりレリーズスイッチ10がオンすると、制御回路部3の端子P3がローレベルになり、制御回路部3は、撮像素子(不図示)により動画を撮像するとともに、マイクロフォン14により音声を集音し、記録する。
【0012】
画像と音声を記録する動画撮影時、またはマイクロフォンスイッチ13がオンされて音声を記録するとき(音声記録モード時)には、制御回路部3は、端子P8をハイレベルにして電圧切換回路6をオンし、電圧切換回路6により定電圧電源VCCよりも低い一定の電圧を抵抗器8を介してLED8に印加するとともに、端子P1を連続的にハイレベルにしてトランジスター9をオンしたままとする。これにより、LED8には定電圧電源VCCよりも低い一定の電圧が連続的に印加され(LED8の定電圧駆動)、LED8に電流が流れて点灯する。なお、このときのLED8の明るさは周辺輝度に無関係に一定である。
【0013】
図2は一実施の形態の表示照明動作を示すフローチャートである。このフローチャートにより、一実施の形態の表示照明動作を説明する。制御回路部3は、カメラの電源スイッチがオンされると繰り返しこの表示照明動作を実行する。ステップ1において、音声記録モードか否かを判別する。動画撮影時には、動画像を撮影すると同時にマイクロフォン14により音声を集音し記録するため、音声記録モードである。また、静止画撮影時でも、静止画を撮影後に撮影に関する情報を音声で記録することがあり、マイクスイッチ13がオンされたときは音声記録モードである。
【0014】
音声記録モードの場合はステップ2へ進み、電圧切換回路6をオンするとともにトランジスター9を連続的にオンし、定電圧電源VCCよりも低い一定の電圧をLED8に連続的に印加する、つまりLED8の定電圧駆動を行う。これにより、LED8のPWM駆動が行われず、PWM駆動ノイズがマイクロフォン14に混入して音声再生時に雑音が発生するのを防止することができる。
【0015】
一方、音声記録モードでない場合はステップ3へ進み、測光部4によりカメラ周辺の輝度を測定する。続くステップ4で、電圧切換回路6をオフするとともにトランジスター9を周辺輝度に応じたデューティーでPWM駆動し、定電圧電源VCCをLED8に周辺輝度に応じたデューティーで間欠的に印加する。これにより、表示部5に表示される画像が周辺輝度に応じて照明され、見やすくなる。このとき、マイクロフォン14による音声記録を行っていないので、PWM駆動ノイズの混入はない。
【0016】
《一実施の形態の第一の変形例》
上述した一実施の形態では、音声記録モードの場合に、LED8のPWM駆動を止め、電圧切換回路6により定電圧電源VCCよりも低い一定の電圧をLED8に印加する定電圧駆動を行うようにしたが、電圧切換回路6により電圧を切り換える代わりに、音声記録モードか否かに応じてLED駆動回路の制限抵抗器を切り換えるようにしてもよい。図3は第一の変形例のLED駆動回路を示す。なお、図3では図1に示す回路と相違する部分のみを示す。抵抗切換器15は抵抗器7aと7bを切り換えるリレーであり、制御回路部3の端子P8aによりオン、オフされる。非音声記録モード時には、抵抗切換器15がオフされ、非音声記録モード用の抵抗器7aが選択されるとともに、トランジスター9が周辺輝度に応じたデューティーでPWM駆動される。
【0017】
一方、音声記録モード時には、抵抗切換器15がオンされ、音声記録モード用の抵抗器7bが選択されるとともに、トランジスター9が周辺輝度と無関係に連続的にオンされる。抵抗器7bの抵抗値は抵抗器7aの抵抗値よりも大きく、LED8には定電圧電源VCCよりも低い一定の電圧を印加した上記一実施の形態の場合と同程度の一定電流が流れる。このような駆動方法も定電圧駆動である。これにより、LED8のPWM駆動が行われず、PWM駆動ノイズがマイクロフォン14に混入して音声再生時に雑音が発生するのを防止することができる。
【0018】
《一実施の形態の第二の変形例》
上述した一実施の形態では、非音声記録モードの場合にLED8をPWM駆動し、音声記録モードの場合はLED8をPWM駆動する代わりに定電圧駆動するようにしたが、音声記録モードか否かに拘わらずLED8のPWM駆動を行い、音声記録モードか否かに応じてPWM駆動の駆動周波数を変更するようにした第二の変形例を説明する。なお、この第二の変形例の構成は図1に示す構成と同様である。
【0019】
音声記録時にLED8をPWM駆動すると、PWM駆動ノイズがマイクロフォン14を介して記録音声に混入し、再生時に音声とともにノイズが再生される。ところが、再生されるノイズが人間の一般的な可聴音領域外の周波数であれば、人間の耳には聞こえず、耳障りなノイズとして不快感を与えることはない。そこで、音声記録モード時のPWM駆動周波数を人間の可聴音領域外の周波数とする。ここで、一般的にLEDをPWM駆動する場合には、高い周波数よりも低い周波数で駆動する方が、駆動周波数に対するLEDの明るさの関係が線形的になり、好ましい。そこで、この第2の変形例では音声記録モードの場合のPWM駆動周波数を人間の可聴音領域よりも低い、例えば1kHz以下の周波数とする。
【0020】
なお、上述した実施の形態とそれらの変形例において、実施の形態と変形例とのあらゆる組み合わせが可能である。
【0021】
上述した実施の形態とその変形例によれば以下のような作用効果を奏することができる。まず、カメラの動作モードに応じてLED8の駆動方法を変更するようにしたので、例えば音声記録モード時にはPWM駆動から定電圧駆動に変更することができ、カメラの動作モードに応じた最適な駆動方法とすることができる。
【0022】
一実施の形態によれば、非音声記録モードの場合は、LED8に対して電圧の印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行い、音声記録モードの場合は、LED8に対して一定の電圧を印加し続ける定電圧駆動を行うようにしたので、PWM駆動ノイズがマイクロフォンに混入して音声再生時に雑音が発生するのを防止することができる。
【0023】
一実施の形態によれば、非音声記録モードの場合は、LED8に対して定電圧電源VCCの印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行い、音声記録モードの場合は、LED8に対して定電圧電源VCCよりも低い一定の電圧を印加し続ける定電圧駆動を行うようにしたので、PWM駆動ノイズがマイクロフォンに混入して音声再生時に雑音が発生するのを防止することができる。
【0024】
一実施の形態によれば、非音声記録モードの場合は、LED8に抵抗器7aを直列に接続し、LED8と抵抗器7aの直列回路に対して定電圧電源VCCの印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行い、音声記録モードの場合は、LED8にに抵抗器7aと異なる抵抗値の抵抗器7bを直列に接続し、LED8と抵抗器7bの直列回路に定電圧電源VCCを印加し続ける定電圧駆動を行うようにしたので、PWM駆動ノイズがマイクロフォンに混入して音声再生時に雑音が発生するのを防止することができる。
【0025】
一実施の形態によれば、非音声記録モードの場合は、LED8に対して所定の周波数で電圧の印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行い、音声記録モードの場合は、LED8に対して可聴音領域外の周波数で電圧の印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行うようにしたので、PWM駆動ノイズがマイクロフォンに混入して音声再生時に雑音が発生しても、雑音周波数が可聴音領域外であるため人間には聞こえず、ユーザーに不快感を与えるのを防止できる。
【0026】
一実施の形態によれば、音声記録モードの場合は、LED8に対して可聴音領域より低い周波数で電圧の印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行うようにしたので、PWM駆動ノイズがマイクロフォンに混入して音声再生時に雑音が発生しても、雑音周波数が可聴音領域外であるため人間には聞こえず、ユーザーに不快感を与えるのを防止できる上に、低い周波数でLED8を容易にPWM駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一実施の形態の電気的な構成を示すブロック図
【図2】一実施の形態の表示照明動作を示すフローチャート
【図3】第1の変形例の電気的な構成の一部を示す図
【符号の説明】
【0028】
3;制御回路部、5;表示部、6;電圧切換回路、7、7a、7b;抵抗器、8;LED、9;トランジスター、14;マイクロフォン、VCC;定電圧電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を含む情報を表示する表示手段と、
前記表示手段を照明する照明手段と、
前記照明手段を駆動する駆動手段と、
音声を記録する音声記録手段とを備えたカメラにおいて、
前記駆動手段は、カメラの動作モードに応じて前記照明手段の駆動方法を変更することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記動作モードは音声記録モードであり、
前記駆動手段は、非音声記録モードの場合は、前記照明手段に対して電圧の印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行い、音声記録モードの場合は、前記照明手段に対して一定の電圧を印加し続ける定電圧駆動を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラにおいて、
前記駆動手段は、非音声記録モードの場合は、前記照明手段に対して所定電圧の印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行い、音声記録モードの場合は、前記照明手段に対して前記所定電圧よりも低い一定の電圧を印加し続ける定電圧駆動を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項2に記載のカメラにおいて、
前記駆動手段は、非音声記録モードの場合は、前記照明手段に第1抵抗器を直列に接続し、前記照明手段と前記第1抵抗器の直列回路に対して所定電圧の印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行い、音声記録モードの場合は、前記照明手段に前記第1抵抗器と異なる抵抗値の第2抵抗器を直列に接続し、前記照明手段と前記第2抵抗器の直列回路に前記所定電圧を印加し続ける定電圧駆動を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項3に記載のカメラにおいて、
前記第2抵抗器の抵抗値は前記第1抵抗器の抵抗値よりも大きいことを特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記動作モードは音声記録モードであり、
前記駆動手段は、非音声記録モードの場合は、前記照明手段に対して所定の周波数で電圧の印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行い、音声記録モードの場合は、前記照明手段に対して可聴音領域外の周波数で電圧の印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行うことを特徴とするカメラ。
【請求項7】
請求項6に記載のカメラにおいて、
前記駆動手段は、音声記録モードの場合は、前記照明手段に対して可聴音領域より低い周波数で電圧の印加と遮断を繰り返すPWM駆動を行うことを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−109924(P2010−109924A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282308(P2008−282308)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】