説明

カメラ

【課題】電気ケーブルの抜けを防止できるとともに、コネクタの損傷も防止することが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】本発明は、接続端子を有し、径方向に突出する突部が設けられた電気ケーブルと接続される電子機器であって、電子回路を収容するケーシングと、電子回路と電気的に接続され、ケーシングから外部に露出するコネクタと、ケーシングにおいてコネクタを覆う閉位置に取り付けられるカバーと、電気ケーブルの突部と係合する抜け止め手段と、を備え、コネクタは、電気ケーブルの接続端子と接続可能となっており、ケーシングまたはカバーの少なくとも一方には、電気ケーブルが通過するケーブル通路が形成されており、電気ケーブルの突部は、カバーが閉位置にあるときに抜け止め手段と係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続端子を有し、径方向に突出する突部が設けられた電気ケーブルと接続される電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に電源を供給したり、通信用、制御用などの信号を送信するには、電子機器のコネクタに電気ケーブルを接続する。例えば、小型カメラにUSBケーブルを接続する場合などが該当する。このとき、USBケーブルは小型カメラのコネクタに対して着脱自在に接続されるため、機器の使用後には、USBケーブルを取り外すことができる。或いは、USBケーブルが損傷したときには、このケーブルのみの交換も可能となる。このような電子機器としては、例えば、特許文献1に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−277799号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるような電子機器では、USBケーブルを固定する手段が設けられてないため、機器の使用中にUSBケーブルが不意に引っ張られると、簡単に抜けてしまうという問題がある。例えば、電子データの受送信中にUSBケーブルが引っ張られると、データの受送信が中断したり、データが壊れる可能性もある。また、USBケーブルをコネクタへの差し込み方向以外に引っ張ると、USBケーブルのみならず機器のコネクタも損傷するという問題がある。なお、このような問題は、電気ケーブルを接続して使用する電子機器全般に起こりうる問題である。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電気ケーブルの抜けを防止できるとともに、コネクタの損傷も防止することが可能となる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、接続端子を有し、径方向に突出する突部が設けられた電気ケーブルと接続される電子機器であって、電子回路を収容するケーシングと、前記電子回路と電気的に接続され、前記ケーシングから外部に露出するコネクタと、前記ケーシングにおいて前記コネクタを覆う閉位置に取り付けられるカバーと、前記電気ケーブルの突部と係合する抜け止め手段と、を備え、前記コネクタは、前記電気ケーブルの接続端子と接続可能となっており、前記ケーシングまたはカバーの少なくとも一方には、前記電気ケーブルが通過するケーブル通路が形成されており、前記電気ケーブルの突部は、前記カバーが閉位置にあるときに前記抜け止め手段と係合する。
【0007】
この構成によれば、電子機器に電気ケーブルを接続する際、カバーを閉位置に取り付けたときに、抜け止め手段と電気ケーブルの突部とが係合するため、カバーが閉位置にある限り、電気ケーブルがケーシングから離脱するのを防止することができる。また、カバーにより、ケーシングのコネクタ及び電気ケーブルの接続端子が覆われるため、これらを保護することができる。さらに、電気ケーブルが引っ張られたり、引き回されたりした場合には、ケーシングまたはカバーのケーブル通路に力が作用するため、コネクタに直接的に力が作用するのを防止することができる。その結果、コネクタが損傷するのを防止でき、例えば、電気ケーブルがケーブル通路に押しつけられることによる電気ケーブルの損傷のみとすることができる。すなわち、損傷があったとしても、高価な電子機器の交換をすることなく、電気ケーブルの交換で対応できるため、コストの低減が可能となる。
【0008】
なお、本発明における電気ケーブルとは、電源を供給するケーブルのみならず、通信・制御用の信号を送信するケーブルを意味する。例えば、USBケーブル、IEEEケーブルなどの信号ケーブル、通常の電源ケーブルなどが対象となる。また、「電気ケーブルの接続端子」とは、コネクタに接続される部分を含むものであり、「径方向に突出する突部」は、抜け止め手段に係合すれば、その形態は特には限定されない。例えば、突部を接続端子に設けてもよいし、線状に延びるケーブルの本体に設けることもできる。また、抜け止め手段と係合する突部である限り、その形状は特には限定されず、例えば、接続端子をケーブル本体よりも大きい外形にすることで、接続端子自体を突部とすることもできる。また、ケーブル通路とは電気ケーブルの一部が通過すればよいため、カバーやケーシングに形成された切り欠き、貫通孔、スリット、両部材の隙間などで形成することができる。さらに、本発明は、種々の電子機器に適用可能である。例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、マイクなど、上述した電気ケーブルとともに使用する電子機器全般に適用可能である。
【0009】
本発明においては、カバーに覆われるとともに、電気ケーブルの接続端子がスライド可能な平坦面をケーシングに設けることができる。そして、電気ケーブルの接続端子をスライドしつつ、この接続端子とコネクタとを接続可能とすることができる。このように、平坦面上を滑らせながら接続端子を取り付けることにより、簡単にコネクタへ差し込むことが可能となる。この平坦面については、ケーシングのすべてが必要と言うのではなく、コネクタへの接続を促すだけのスペースがあれば十分である。また、平坦面は接続端子を支持する台としても機能し、接続端子を平坦面上に安定的に配置した状態で、コネクタとの接続が可能となる。したがって、接続端子をコネクタに接続するときには、三次元のすべての方向を考慮することなく、接続端子を面方向にのみ移動させればよいため、接続端子の差し込みの方向性を特定することができる。その結果、差し込み時のズレなどによるコネクタの損傷を防止することができる。
【0010】
また、平坦面の周縁の一部を、コネクタが設けられた面と接するようにし、周縁のうちコネクタの面と接する部分以外を、外部に開放することができる。このように、平坦面の周縁を外部に開放することで、接続端子を平坦面に載せるときの障害がなくなり、いずれの方向からでも接続端子を平坦面に載せて、スライドさせることができる。
【0011】
抜け止め手段は、種々の構成とすることができる。例えば、ケーブル通路を、ケーシングまたはカバーの端部に形成される切り欠きにより構成し、この切り欠きを、抜け止め手段とすることができる。そして、カバーが閉位置にあるときに、電気ケーブルの突部が当該カバーの内部に配置されるように構成する。さらに、切り欠きは、突部の外形よりも小さく形成される。この構成により、ケーブル通路である切り欠きが抜け止め手段を兼ねるため、部品点数及びコストを低減することができる。
【0012】
また、抜け止め手段を、カバーまたはケーシングに設けられている突出部または凹部によって構成することができる。このような突出部、凹部は、例えば、カバーの内壁面、ケーシングにおいてカバーに覆われる領域に形成することができる。
【0013】
さらに、抜け止め手段を、外部から操作可能な操作体をさらに設けることもできる。そして、カバーが閉位置にあるときに、操作体を操作することで抜け止め手段が突部と係合するようにできる。これにより、操作体の操作により抜け止めが行われるため、抜け止め効果の確認を確実に行うことができる。
【0014】
本発明のカバーは、種々の形態にすることができる。例えば、コネクタを外部に露出させ、カバーを、電気ケーブルと接続するための開位置と、閉位置との間で揺動自在となるように、ケーシングに取り付けることができる。これにより、カバーがケーシングと一体化するため、カバーを紛失するのを防止することができる。
【0015】
コネクタを外部に露出させ、カバーを、電気ケーブルと接続するための開位置と、閉位置との間でケーシングに対してスライド可能とすることもできる。
【0016】
このとき、次のように構成することもできる。すなわち、カバーを、電気ケーブルの接続端子の少なくとも一部を収納可能とし、開位置にあるカバーに電気ケーブルを収納した状態で、このカバーを閉位置にスライドさせると、接続端子がコネクタに接続されるように構成することもできる。このようにすると、スライド操作だけで、接続端子がコネクタに接続されるため、操作を簡易化することができる。
【0017】
コネクタを、ケーシングから外部に露出する向きが変更可能となるように、ケーシングに取り付けることもできる。こうすることで、接続端子を取り付ける際には、コネクタの角度を取り付けやすい向きに向けることができる。
【0018】
また、コネクタを、第1の位置と第2の位置との間を移動可能とし、カバーが、コネクタを外部に露出させて電気ケーブルと接続するための開位置にあるときにおいては、コネクタを第1の位置に配置し、カバーが閉位置にあるときには、このカバーにより、コネクタが第1の位置から第2の位置に移動されるようにすることができる。例えば、第1の位置をコネクタが取り付けやすい位置とし、カバーが閉位置になるときに、コネクタが押圧されてケーシング内部に押し込まれるようにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電子機器によれば、電気ケーブルの抜けを防止できるとともに、コネクタの損傷も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の電子機器を小型カメラに適用した第1実施形態を分解した側面図である。
【図2】図1のA−A線矢視図である。
【図3】図1の小型カメラにUSBケーブルを接続したときの側面断面図である。
【図4】本発明の電子機器を小型カメラに適用した第2実施形態を分解した側面図である。
【図5】図4のB−B線矢視図である。
【図6】図4小型カメラにUSBケーブルを接続したときの側面断面図である。
【図7】本発明の電子機器を小型カメラに適用した第3実施形態の側面図である。
【図8a】図7の小型カメラの他の例を示す図である。
【図8b】図7の小型カメラの他の例を示す図である。
【図9】図7の小型カメラの他の例を示す図である。
【図10】本発明の電子機器を小型カメラに適用した第4実施形態の側面図である。
【図11】本発明の電子機器を小型カメラに適用した第5実施形態の側面図である。
【図12a】図11の小型カメラの他の例を示す図である。
【図12b】図11の小型カメラの他の例を示す図である。
【図13】本発明に係る小型カメラの他の例を示す図である。
【図14】本発明が対象とする電気ケーブルの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
次に、本発明に係る電子機器を小型カメラに適用した場合の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、小型カメラを分解した側面図、図2は、図1のA−A線矢視図である。以下では、この実施形態のほか、説明の便宜上、カメラなどの部材の向きに関わらず、図面を基準として位置関係、向きを説明するものとし、図面の上下を「上下方向」、図面の左を「先端または前方」、右を「後端または後方」として部材の説明を行う。
【0022】
本実施形態に係る小型カメラは、USBケーブルが着脱自在に接続されるものであり、このUSBケーブルを介して小型カメラをパーソナルコンピュータに接続すると、電源の供給がなされるとともに、カメラで撮像された画像をパーソナルコンピュータにリアルタイムに送信することができる。
【0023】
図1に示すように、この小型カメラは、電子回路(図示省略)が収納されたケーシング1を備えており、この小型カメラのケーシング1は、平坦な基台部11と、ドーム状の本体部12とが合わさって形成され、これらの部材により電子回路が収納される内部空間が形成される。基台部11の上面にはカメラのレンズ13が設けられ、電子回路に接続されている。本体部12の先端から後端の一部を覆うように、基台部11が配置される。すなわち、本体部12の後端部が基台部11から突出した状態となっている。また、基台部11から突出して外部に露出する本体部12の上面は、平坦面15となっており、この平坦面15から垂直に立ち上がる基台部11の後端部には、電子回路と電気的に接続されるコネクタ2が設けられており、外部に露出している。そして、カバー3は、上記平坦面15及び基台部11の後端を覆うように、平坦な箱形に形成され、前面及び下面が開放されている。このカバー3によって覆われる収納空間Sに、後述のようにUSBケーブル4の接続端子41が収納される。ここで、平坦面15の周縁は、コネクタが設けられた基台部の後端面と接するが、その他の部分は外部に開放され壁などは設けられていない。また、カバー3の先端には、突起31が設けられており、この突起31が基台部11の後端に設けられた取付孔14に係合することで、カバー3がケーシング1に固定される(以下、この状態を閉位置という)。
【0024】
図2に示すように、カバー3の後端部には、USBケーブル4が挿入されるケーブル通路が形成されている。すなわち、本体部12の後端部上面は平坦面15となっているため、ケーシング1には切り欠きが形成されておらず、カバー3にのみ切り欠き32が形成され、これがケーブル通路を形成している。なお、ケーシング1には切り欠きが無いが、切り欠きを形成することもできる。
【0025】
この小型カメラに接続されるUSBケーブル4は、線状のケーブル本体42の先端に、コネクタ2に接続される接続端子41が取り付けられたものである。接続端子41は、ケーブル本体42よりも外形が大きくなっている。また、接続端子41の後端部には径方向に突出する円環部43が形成されており、さらにこの円環部43よりも先端側には径の小さいくぼみ部44が形成されている。そして、このくぼみ部44の径はカバー3の切り欠き32の内径よりも小さくなっており、くぼみ部44より先端側の径は切り欠き32の内径よりも大きくなっている。なお、図1に示すように、コネクタ2へのUSBケーブル4の接続方向は、ケーシング1の先端側に向かうX方向である。
【0026】
次に、上記のように構成された小型カメラの使用方法について、図3も参照しつつ説明する。図3は、小型カメラにUSBケーブルを接続したときの側面断面図である。まず、図1に示すように、カバー3をケーシング1から取り外しておき、コネクタ2を外部に露出させ、USBケーブル4の接続端子41をコネクタ2に差し込む。この状態で、カバー3をケーシング1の後端に後方から嵌め込むと、接続作業が完了する。このとき、カバー3の切り欠き32に接続端子41のくぼみ部44が配置される。また、USBケーブル4における接続端子41の円環部43より先端側の部分は、カバー3により覆われる収納空間Sに配置され、円環部43と、円環部43より後端側の部分は、ケーシング1の外部へ延びている。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、小型カメラにUSBケーブル4が接続されたときに、接続端子41のくぼみ部44が切り欠き32に嵌るため、カバー3が閉位置にある限り、USBケーブル4がケーシング1から離脱するのを防止することができる。すなわち、くぼみ部44よりも先端側の径の大きい部分が突部として、切り欠き32の内周縁に係合するため、これがUSBケーブル4の抜け止めとなる。また、カバー3により、ケーシング1のコネクタ2及びUSBケーブル4の接続端子41の先端部が覆われるため、これらを保護することができる。さらに、USBケーブル4が上記接続方向X以外に引っ張られた場合には、ケーブル通路の周縁に接続端子41の先端部が接触して力が作用するため、コネクタ2に直接的に力が作用するのを防止することができる。その結果、コネクタ2が損傷するのを防止でき、例えば、損傷があったとしても、高価なカメラの交換をすることなく、USBケーブル4のみ交換で対応できるため、コストの低減が可能となる。
【0028】
特に、本実施形態においては次のような利点がある。すなわち、USBケーブル4をコネクタ2に接続する際に、接続端子41を平坦面15上に配置すると、接続端子41を位置決めすることができ、平坦面15上を滑らせながら取り付けることにより、コネクタ2に差し込みやすくなる。例えば、このような平坦面が設けられていない従来技術においては、USBケーブルをコネクタへ差し込む方向性が特定されないため、コネクタを傷つけ、入りにくくするなど故障の原因となることがある。これに対して、本実施形態では、接続端子41をコネクタ2に接続するときには、三次元のすべての方向を考慮する必要がない。つまり、接続端子41を平坦面15に沿って面方向にのみ移動させればよいため、接続端子41の差し込みの方向性を特定することができる。特に、平坦面15上の接続端子41と、コネクタ2とがほぼ同じ高さにあるので、接続端子41を平坦面15上で滑らせるだけで、接続端子41とコネクタ2とを接続することができる。したがって、差し込み間違いなどによりコネクタ2が傷ついたりするのを防止することができる。
【0029】
また、平坦面15の周縁のうち、基台部11の後端部と接している部分以外は、外部に開放しているため、接続端子41を平坦面15に載せるときの障害がなくなり、いずれの方向からでも接続端子41を平坦面15に載せて、スライドさせることができる。さらに、カバー3とケーシング1との接合部分が基台部11側に配置されて見えなくなるため、デザイン的価値が向上する。
【0030】
なお、USBケーブル4には、切り欠き32の内径よりも径の大きい部分(突部)が少なくとも一部にあればよく、その形状は特には限定されない。例えば、円環部43を突部として収納空間S内に配置し、円環部43を切り欠き32と係合させることもできる。このとき、円環部43よりも径の小さい接続端子41の後端部及びケーブル本体42がケーブル通路を介して外部に延びることになる。さらに、接続端子41全体を収納空間Sに配置し、ケーブル本体42のみを外部に配置することも可能である。ケーブルに上述したような円環部43が無い場合には、この方法を採用することができる。このような接続端子41の形態に関しては、以下の実施形態においても同様に適用可能である。
【0031】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る電子機器を小型カメラに適用した場合の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。図4は、小型カメラを分解した側面図、図5は、図4のB−B線矢視図である。
【0032】
図4に示すように、この小型カメラは、電子回路(図示省略)が収納されたケーシング1を備えており、このケーシング1は、基台部11と本体部12とが合わさることで形成され、これらの部材により電子回路が収納される内部空間が形成される。基台部11は周縁に低い壁を有する平坦な箱形に形成されており、この基台部11の先端から後端の一部を覆うように、ドーム型の本体部12が配置される。すなわち、基台部11の後端部が本体部12から突出した状態となっている。そして、基台部11の下面にカメラのレンズ13が設けられ、電子回路に接続されている。また、この本体部12の後端部には、電子回路と電気的に接続されるコネクタ2が設けられており、外部に露出している。そして、このコネクタ2を覆うように、カバー3が着脱自在に取り付けられる。より詳細には、カバー3は、後端から先端に行くにしたがって外形が大きくなるような裾広がりに形成されており、前面及び下面が開放されている。そして、突出した基台部11の上部と、本体部12の後端部を覆うように配置され、このカバー3によって覆われる収納空間Sに、後述するUSBケーブル4の接続端子41が収納される。また、図4に示すように、カバー3は、ケーシング1の上方から取り付けられ、取り付けに際しては、カバー3の下部に設けられた突起31が基台部11の取付孔14に係合することで、ケーシング1に固定される(以下、この状態を閉位置という)。
【0033】
また、この小型カメラに接続されるUSBケーブル4は、第1実施形態の図1で示したものも使用できるが、ここでは、接続端子41の本体部分の外径がほぼ均一で、その外周面に円環部43が突出しているものを使用する。
【0034】
図5に示すように、カバー3の後端部及び基台部11の後端部には、USBケーブル4が挿入される切り欠きがそれぞれ形成されている。より詳細には、カバー3の後端部に形成された円弧状の切り欠き32と、基台部11の後端部に形成された円弧状の切り欠き111とが合わさって、ほぼ円形のケーブル通路を形成する。このケーブル通路の径は、接続端子41が通過する程度の大きさとなっており、接続端子41の円環部43の外形よりは小さくなっている。なお、切り欠き32の形状は、円弧状のほか、第1実施形態で示した矩形状など種々の形状が可能である。
【0035】
次に、上記のように構成された小型カメラの使用方法について、図6も参照しつつ説明する。図6は、小型カメラにUSBケーブルを接続したときの側面断面図である。まず、図4に示すように、カバー3をケーシング1から取り外しておき、コネクタ2を外部に露出させた状態で、USBケーブル4をコネクタ2に差し込む。このとき、接続端子41の一部が基台部11の切り欠き111に配置され、接続端子41の下部の一部が基台部11内に配置される。この状態で、カバー3をケーシング1の後端に上方から嵌め込むと、接続作業が完了する。このとき、切り欠き32、111により形成される円形のケーブル通路を、接続端子41が通過し、円環部43を含めた先端部分がカバー3により覆われる収納空間Sに配置される。
【0036】
以上のように、本実施形態は、第1実施形態とカバーの向きが異なるだけであるので、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、この実施形態では、円環部43が収納空間S内に配置され、円環部43が切り欠き32と係合することにより、USBケーブル4の抜けが防止される。また、この実施形態では、収納空間に平坦面を設けていないが、基台部11上に、第1実施形態と同様の平坦面を設ければ、USBケーブル4を容易に接続することができる。このように、第1実施形態とほとんど同様の効果が期待できるが、カメラの基台部11側に三脚台等が設けられ、基台部11側の開閉が困難である場合には、第1実施形態よりも利用しやすい。
【0037】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る電子機器を小型カメラに適用した場合の第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。図7は、本実施形態に係る小型カメラの側面図である。
【0038】
図7に示すように、この小型カメラは、第1実施形態に係る小型カメラにおいて、カバー3を揺動自在に設けたものである。すなわち、カバー3の先端上部を、ケーシング1の基台部11の後端上部に対して、ヒンジ33などによって固定されている。これにより、カバー3は、USBケーブル4を取り付けるための開位置と、カバー3が閉じてUSBケーブル4の接続端子41を固定する閉位置との間で揺動する。この構成によれば、カバー3とケーシング1とが一体化されるため、カバー3を紛失するのを防止することができる。
【0039】
また、このようにカバー3をケーシング1に対して揺動可能に接続する方法としては、図8及び図9に示す例がある。図8(a)は、小型カメラを上方から見た図であり、カバーが、観音開きする一対のカバー片3a,3bによって形成されている。この例では、各カバー片3a,3bの上端部(USBケーブル4の軸方向の先端側の端部)が、ケーシング1に対して揺動自在となっており、開いたカバー片3a,3bはケーシング1よりも外部に配置されることになる。また、図8(b)は、小型カメラを後方から見た図であり、各カバー片3a,3bの側端部がケーシング1に対して揺動自在に取り付けられている。
【0040】
一方、図9に示す例は、小型カメラを上方から見た図であり、各カバー片3a,3bからケーシング1の内部の一点に延びる支持部材35a,35bを有しており、各カバー片3a,3bは支持部材35a,35bを介して、ケーシング1の中心線Lを中心に揺動可能となっている。このため、各カバー片3a,3bが開くと、これらは、ケーシング1の内部に収納され、図8のように外部には配置されない。
【0041】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る電子機器を小型カメラに適用した場合の第4実施形態について図面を参照しつつ説明する。図10は、本実施形態に係る小型カメラの側面図である。
【0042】
この実施形態においては、カバー3がケーシング1に対してスライド可能となっている。例えば、図10に示す例は、小型カメラにおいて、カバー3が前後方向にスライド可能となっている。これにより、カバー3をケーシング1に対して取り付けやすくなる。また、この例では、カバー3にUSBケーブル4の接続端子41を収納可能としており、カバー3に接続端子41を収納した状態で、カバー3をスライドさせれば、閉位置となったときに接続端子41がコネクタ2に接続されるようになっている。これにより、カバー3を閉じる動作と、コネクタ2への接続が同時に行うことができ、作業を効率化することができる。
【0043】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る電子機器を小型カメラに適用した場合の第5実施形態について図面を参照しつつ説明する。図11は、本実施形態に係る小型カメラの側面図である。
【0044】
この実施形態においては、ケーシング1から露出するコネクタ2の向きが変更可能となっている。例えば、図11に示す例では、カバー3が取り外されているとき、または上述したような開位置にあるときには、コネクタ2がバネ21によって後方斜め上方に向くようになっており、コネクタ2に接続端子41を接続しやすくなっている。コネクタ2は、揺動可能となっており、上述した斜め上方を向く位置と、水平方向に後方を向く位置とを取り得るようになっている。コネクタ2に接続端子41を差し込んだ後に、カバー3を閉じれば、カバー3の内面に設けられたケーブル押え部材34がケーブル4を下方に押さえる。これにより、コネクタ2とともに、接続端子41が水平方向に向くようになっている。
【0045】
類似する例として、図12には、コネクタ2がバネ21によって上下動する例が示されている。図12(a)に示すように、この例では、カバー3の開位置において、コネクタ2はバネ21によって上方に付勢され、接続端子41が接続しやすい位置(第1の位置)にある。そして、図12(b)に示すように、コネクタ2に接続端子41を差し込んだ後、カバー3を取り付ければ、カバー3の内面に設けられたケーブル押え部材34によって、コネクタ2が接続端子41とともに下方に押し込まれ、カバー3は閉位置に配置されることになる(第2の位置)。特に、コネクタ2が小さく、接続端子41を接続しにくいときは、このように構成すると、コネクタ2への接続が容易になる。また、図12に示す例では、ケーシング1の平坦面15に突出部の一形態である支え部材16を設けておき、この支え部材16が接続端子41に係合するようになっている。したがって、これによっても抜けを防止することができる。また、この支え部材16により、切り欠き32の隙間を埋めることができ、収納空間S内に異物が入るのを防止することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、切り欠き32を抜け止め手段として、USBケーブル4の抜けを防止しているが、図12に示したような支え部材16を単独で用いて抜けを防止することもできる。このような支え部材16は、カバー3に設けることもできる。また、接続端子41が嵌まるような凹部をケーシング1またはカバー3に設けて、これを抜け止め手段とすることもできる。このような切り欠き以外の抜け止め手段としては、例えば、図13に示すように、カバー3の外部にレバー(操作体)36を設けておき、これを操作することで、カバー内部にある引っ掛け部材37が接続端子41に係合するようにしてもよい。この構成により、レバー36を前後に操作することで、接続端子41に係合する位置と、係合が解除される位置とへ、引っ掛け部材37を移動させることができる。接続時には、コネクタ2に接続端子41を接続し、カバー3を閉じた後、レバー36を操作して引っ掛け部材37を接続端子41に係合させる。
【0047】
本発明が対象とする接続端子41は、図14に示すように、L字型であってもよく、この場合には、ケーシング1の本体部12の平坦面15にコネクタ2が配置される。
【0048】
上記実施形態においては、接続端子41におけるくぼみ部44より先端側の径の大きい部分や、円環部43を、本発明の「突部」とした例を示したが、切り欠き32、支え部材16などの抜け止め手段に係合するように径方向に突出するものであれば、その形態、形状は特には限定されない。例えば、ケーブル本体42に突部を設けることもできる。
【0049】
また、本発明は、上述した小型カメラ以外に、種々の電子機器に適用可能であり、USBケーブル以外にも、電子機器とともに使用する電気ケーブル全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 ケーシング
111 切り欠き
15 平坦面
16 支え部材(突出部)
2 コネクタ
3 カバー
32 切り欠き
36 レバー(操作体)
37 引っ掛け部材(突出部)
4 USBケーブル(電気ケーブル)
41 接続端子
43 円環部(突部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子を有し、径方向に突出する突部が設けられた電気ケーブルと接続される電子機器であって、
電子回路を収容するケーシングと、
前記電子回路と電気的に接続され、前記ケーシングから外部に露出するコネクタと、
前記ケーシングにおいて前記コネクタを覆う閉位置に取り付けられるカバーと、
前記電気ケーブルの突部と係合する抜け止め手段と、を備え、
前記コネクタは、前記電気ケーブルの接続端子と接続可能となっており、
前記ケーシングまたはカバーの少なくとも一方には、前記電気ケーブルが通過するケーブル通路が形成されており、
前記電気ケーブルの突部は、前記カバーが閉位置にあるときに前記抜け止め手段と係合する、電子機器。
【請求項2】
前記ケーシングは、前記カバーに覆われるとともに、前記電気ケーブルの接続端子がスライド可能な平坦面を有しており、
前記電気ケーブルの接続端子をスライドさせながら、当該接続端子と前記コネクタとを接続可能となっている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記平坦面の周縁の一部は、前記コネクタが設けられた垂直な面と接しており、前記周縁のうち前記垂直な面と接する部分以外は、外部に開放されている、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ケーブル通路は、前記ケーシングまたはカバーの少なくとも一方の端部に形成される切り欠きにより構成されており、当該切り欠きが、前記抜け止め手段を構成し、
前記カバーが閉位置にあるときに、前記電気ケーブルの突部が当該カバーの内部に配置されるように構成され、
前記切り欠きは、前記突部の外形よりも小さく形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記抜け止め手段は、前記カバーまたはケーシングに設けられている突出部または凹部によって構成されている、請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記抜け止め手段を、外部から操作可能な操作体をさらに備え、
前記カバーが閉位置にあるときに、前記操作体を操作することで前記抜け止め手段が前記突部と係合する、請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記カバーは、前記コネクタを外部に露出させて前記電気ケーブルと接続するための開位置と、前記閉位置との間で揺動自在となるように、前記ケーシングに取り付けられている、請求項1から6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記カバーは、前記コネクタを外部に露出させて前記電気ケーブルと接続するための開位置と、前記閉位置との間を前記ケーシングに対してスライド可能となっている、請求項1から6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記カバーは、前記電気ケーブルの接続端子の少なくとも一部を収納可能となっており、
前記開位置にあるカバーに前記電気ケーブルを収納した状態で、当該カバーを前記閉位置にスライドさせると、前記接続端子が前記コネクタに接続されるように構成されている、請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記コネクタは、前記ケーシングから外部に露出する向きが変更可能となるように、前記ケーシングに取り付けられている、請求項1から8のいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
前記コネクタは、第1の位置と第2の位置との間を移動可能となっており、
前記カバーが、前記コネクタを外部に露出させて前記電気ケーブルと接続するための開位置においては、前記コネクタは前記第1の位置に配置され、
前記カバーが前記閉位置にあるときには、当該カバーにより、前記コネクタは前記第1の位置から第2の位置に移動される、請求項1から8のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−175902(P2011−175902A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39940(P2010−39940)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【特許番号】特許第4591898号(P4591898)
【特許公報発行日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(510052610)
【Fターム(参考)】