説明

カラオケネットワークシステム及びカラオケ装置

【課題】カラオケネットワークシステムにおいて、1台の無線LANアクセスポイント(AP)における無線通信端末の接続数が過大にならないように、複数のAP内で接続先を分散させる。
【解決手段】カラオケ装置4は、自ら保有する接続先リストと、通信相手のリモコン端末5から取得した電波強度情報とに基づいて、そのリモコン端末5が接続すべきAPを選択し、接続先を当該リモコン端末5に指示する。リモコン端末5は指示されたAPに無線接続する。その際、当該リモコン端末5が検出したAPの中で電波強度が最大でかつ、そのAPでの接続端末数が閾値未満であることが第1接続候補の選択条件となる。第1接続候補の接続端末数が閾値以上である場合には、次点で電波強度が大きい第2接続候補を接続先に選択するか、既に第1接続候補に接続済みの他のリモコン端末5を他の接続先に切替えさせた上で、通信相手のリモコン端末5を第1接続候補に接続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ装置と無線通信端末とが無線LANアクセスポイントを通じて情報通信を行うカラオケネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラオケサービスを提供するカラオケ装置を多数のカラオケ室に設置するカラオケ施設(例えば、カラオケボックス)では、複数のカラオケ装置を各カラオケ室に配置して、有線LANで各カラオケ装置間を接続したカラオケネットワークが構築されている。そして、カラオケ装置を遠隔操作したりカラオケに関する情報を閲覧するための無線通信端末(例えばリモコンや電子早見本等)は、この有線LANに接続された無線LANアクセスポイントと呼ばれる無線中継局を介して通信相手のカラオケ装置との間で情報通信を行うようになっている。
【0003】
このようなカラオケネットワークシステムでは、カラオケ室が多い場合には複数の無線LANアクセスポイントを施設内各所に分散して配置する場合がある。これには、無線通信端末を使用場所からなるべく近くの(すなわち電波強度の大きい)無線LANアクセスポイントに接続させ、安定した電波強度によって無線LANの通信品質を向上させるという狙いがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−81531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の通信品質を向上させるための作業として、複数の無線LANアクセスポイントを設置してカラオケ施設の運営を開始するときには、各無線LANアクセスポイントの通信品質(スループット)を同じにするため、予め、通信業者等が各無線LANアクセスポイントに接続する無線通信端末の数(すなわち通信負荷)が同じになるような位置に分散して配置している。
【0006】
しかし、一般的なカラオケ施設では、顧客満足度を更に向上させるため、カラオケ施設の管理者が運営開始後にカラオケ室を改装したり、カラオケ関連機器の新機種を導入したりすることが多い。その際、改装に伴い無線LANアクセスポイントの位置が変えられたり、あるいは、新しい機種の追加や既存の機種の一部を新しい機種に交換する等して周辺の無線LANアクセスポイントとは性能が異なる機種が後から導入されたりすると、無線LANアクセスポイントごとに電波強度に大きな差が生じることがある。
【0007】
このとき、ある無線通信端末の利用位置からみて最寄りの無線LANアクセスポイントよりも、遠くにある無線LANアクセスポイントの方が相対的に電波強度が大きくなる場合がある。無線LANの通信品質を向上する観点からは電波強度の大きい無線LANアクセスポイントに無線接続することが優先されるため、その結果、電波強度の大きい無線LANアクセスポイントに対して、近くの無線通信端末だけでなく遠くの無線通信端末までもが無線接続してしまうことになる。このように1台の無線LANアクセスポイントに無線接続する無線通信端末が過度に増加すると、通信負荷の増大により無線LANアクセスポイントのスループットが大きく低下してしまうという問題がある。
【0008】
一方、特許文献1には、定められた台数以内で無線LAN端末の無線接続を許可する機能を有する無線LANアクセスポイントが開示されている。しかし、カラオケネットワークにおいては、前述したように、施設の運用状況等に応じて既設のネットワークに新たな無線LANアクセスポイントを追加したり、古いものと交換したりするといった運用が行われることがある。そのような用途で導入する無線LANアクセスポイントとしては、費用や調達の容易さの面から、カラオケ施設の管理者が市販の汎用機種を採用できるようにすることが肝要である。そのため、カラオケネットワークシステムとしての用途においては、無線通信端末の接続数を管理するといった特別の機能を持たない汎用的な無線LANアクセスポイントを使用しながらでも、特定の無線LANアクセスポイントへの無線接続が集中するのを回避できるような技術が望まれる。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされており、有線LANに接続したカラオケ装置と無線通信端末とが無線LANアクセスポイントを通じて情報通信を行うカラオケネットワークシステムにおいて、1台の無線LANアクセスポイントにおける無線通信端末の接続数が過大にならないように、複数の無線LANアクセスポイント内で接続先を分散させるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、カラオケ演奏を行う複数のカラオケ装置と、有線LANと無線LANとを相互接続する複数の無線LANアクセスポイントとが有線LANに接続されており、さらに、複数の無線LANアクセスポイントのうちの何れか1つに無線接続し、その無線LANアクセスポイントが中継する無線LANを通じてカラオケ装置との間で情報通信を行う複数の無線通信端末を有するカラオケネットワークシステムに関する。
【0011】
このうち、カラオケ装置は、通信相手端末特定手段と、記憶手段と、電波強度情報取得手段と、判定手段と、接続先選択手段と、接続先指示手段と、第1の接続先リスト更新手段と、接続先リスト送信手段と、第2の接続先リスト更新手段と、切替指示手段とを備える。
【0012】
通信相手端末特定手段は、自カラオケ装置との通信相手となる特定の無線通信端末との間で相互に通信相手の対応付けをする。記憶手段は、複数の無線LANアクセスポイントそれぞれの識別情報と、それらの無線LANアクセスポイントそれぞれに現在無線接続している無線通信端末の識別情報とを対応付けて記録した接続先リストを記憶する。電波強度情報取得手段は、通信相手端末特定手段により通信相手として特定した無線通信端末から、その無線通信端末が検出した各無線LANアクセスポイントの識別情報と、その無線LANアクセスポイントからそれぞれ受信した通信電波の電波強度とを示す電波強度情報を取得する。判定手段は、電波強度情報取得手段により取得した電波強度情報に基づき、通信相手の無線通信端末が検出した無線LANアクセスポイント中で電波強度が最大のものを第1接続候補として、その第1接続候補における無線通信端末の同時接続数の状況を接続先リストに基づいて判定する。
【0013】
接続先選択手段は、判定手段による判定の結果、通信相手の無線通信端末が第1接続候補に無線接続した場合の同時接続数が所定の閾値未満となる場合、その第1接続候補を通信相手の無線通信端末の接続先として選択する。一方、判定手段による判定の結果、通信相手の無線通信端末が第1接続候補に無線接続した場合の同時接続数が閾値以上となる場合、電波強度情報において次点で電波強度が大きい第2接続候補の無線LANアクセスポイントを通信相手の無線通信端末の接続先に選択するか、あるいは、接続先リストにおいて第1接続候補の接続相手として記録されている他の無線通信端末を、第1接続候補以外の無線LANアクセスポイントの接続相手に変更するように他の無線通信端末の接続先を選択する。そして、その変更先の選択と共に第1接続候補を通信相手の無線通信端末の接続先として選択する。
【0014】
接続先指示手段は、接続先選択手段による接続先の選択内容に対応して、通信相手の無線通信端末に対して、その接続先の無線LANアクセスポイントを指定する旨の指示情報を送信する。第1の接続先リスト更新手段は、接続先選択手段による各無線通信端末の接続先の選択内容に対応して、各無線通信端末の接続先に関する更新内容を記憶手段の接続先リストに記録する。接続先リスト送信手段は、第1の接続先リスト更新手段により更新した新規の接続先リストを、有線LAN上の他のカラオケ装置に対して送信する。
【0015】
第2の接続先リスト更新手段は、有線LANを通じて他のカラオケ装置から送信されてきた新規の接続先リストの内容に基づき、自カラオケ装置が記憶手段に記憶している従前の接続先リストの内容を更新する。
【0016】
切替指示手段は、有線LANを通じて他のカラオケ装置から送信されてきた新規の接続先リストと、自カラオケ装置が記憶手段に記憶している従前の接続先リストとの変更点を判定する。そして、その判定結果において、既に自カラオケ装置の通信相手と特定している無線通信端末の接続先となっている無線LANアクセスポイントが、従前の接続先リストに記載のものから変更されている場合、当該通信相手の無線通信端末に対して、その接続先を当該変更後の無線LANアクセスポイントに切替える旨の指示情報を送信する。
【0017】
一方、無線通信端末は、通信相手装置特定手段と、電波強度情報送信手段と、無線接続手段とを備える。通信相手装置特定手段は、複数のカラオケ装置のうち、自無線通信端末との通信相手となる特定のカラオケ装置との間で相互に通信相手の対応付けをする。電波強度情報送信手段は、通信可能な無線LANアクセスポイントを検出し、その検出した各無線LANアクセスポイントの識別情報と、その無線LANアクセスポイントからそれぞれ受信した通信電波の電波強度とを示す電波強度情報を、通信相手装置特定手段により通信相手として特定したカラオケ装置に対して送信する。無線接続手段は、通信相手装置特定手段により通信相手として特定したカラオケ装置から送信されてきた指示情報で示される、接続先の無線LANアクセスポイントに対して無線接続する。
【0018】
このように構成されたカラオケネットワークシステムでは、カラオケ装置が、自ら保有する接続先リストと、通信相手の無線通信端末から取得した電波強度情報とに基づいて、その無線通信端末が接続すべき無線LANアクセスポイントを選択し、その接続先を当該通信相手の無線通信端末に通知できる。無線通信端末は、通信相手のカラオケ装置から指示された接続先の無線LANアクセスポイントに無線接続する。
【0019】
その際、第1接続候補として選ばれるのは、通信相手の無線通信端末が検出した無線LANアクセスポイントの中で電波強度が最大でかつ、その無線LANアクセスポイントにおける現状の接続端末数が閾値未満であることが条件である。もし、この第1接続候補の無線LANアクセスポイントにおける接続端末数が閾値以上である場合には、次点で電波強度が大きい第2接続候補の無線LANアクセスポイントを接続先に選択するか、あるいは、既に第1接続候補に接続済みの他の無線通信端末を他の接続先に切替えさせた上で、通信相手の無線通信端末を第1接続候補に接続させる。
【0020】
なお、他の無線通信端末に対して接続先を切替えさせる手続は、切替え先を反映する内容に接続先リストを更新し、その更新した接続先リストを有線LANを通じて他の全てのカラオケ装置に対して送信することで行われる。これに対応して、当該切替え対象の無線通信端末に対応する通信相手のカラオケ装置が、更新された接続先リストの更新内容に基づいて、自らの通信相手である無線通信端末に対して接続先を切替えさせる指示を出す。
【0021】
このように構成されたカラオケネットワークシステムによれば、1台の無線LANアクセスポイントにおける無線通信端末の接続数が過大にならないように接続先を分散させることができ、無線LAN通信におけるスループットの低下を防止できる。また、本発明では、無線LANアクセスポイントにおける無線通信端末の接続数を制御するための構成を、専らカラオケ装置及び無線通信端末が持つようになっており、無線LANアクセスポイントには特別な構成を必要としない。よって、本発明のカラオケネットワークシステムでは、無線通信端末の接続数を管理するといった特別の構成を持たない汎用的な無線LANアクセスポイントを使用しながらでも、所期の効果を発揮できる。
【0022】
また、有線LANに接続している複数のカラオケ装置間で、無線LANアクセスポイントの接続状況に関する共通の接続先リストを保有(すなわち共有)することができる。これにより、どのカラオケ装置においても自身の通信相手となる無線通信端末の接続先を適切に選択することができるし、そのような接続先リストを一括管理する専用の機器を個別に用意する必要もない。
【0023】
ところで、第1接続候補における接続端末数が閾値以上である場合、カラオケ装置は、自らの通信相手の無線通信端末を別の無線LANアクセスポイントに接続させるか、あるいは、他の無線通信端末の接続先を別の無線LANアクセスポイントに切替えさせるか、何れかの方法により接続先を分散させることになる。この点について、通信品質を確保するという観点では、前記何れの方法においても、その無線通信端末にとって電波強度の大きい接続先が指定されることが肝要である。
【0024】
そこで、請求項2に記載のように構成することが考えられる。すなわち、カラオケ装置では、さらに、複数の無線通信端末それぞれの識別情報と、それら各無線通信端末それぞれにおいて検出された電波強度情報とを対応付けて記録した電波強度リストを記憶手段に記憶しておく。また、電波強度情報取得手段により取得した、自カラオケ装置の通信相手の電波強度情報に基づき、自カラオケ装置が記憶手段に記憶している電波強度リストの内容を更新する第1の電波強度リスト更新手段と、第1の電波強度リスト更新手段により更新した新規の電波強度リストを、有線LAN上の他のカラオケ装置に対して送信する電波強度リスト送信手段と、有線LANを通じて他のカラオケ装置から送信されてきた新規の電波強度リストの内容に基づき、自カラオケ装置が記憶手段に記憶している従前の電波強度リストの内容を更新する第2の電波強度リスト更新手段とを更に備える。
【0025】
カラオケ装置の接続先選択手段は、判定手段による判定の結果、通信相手の無線通信端末が第1接続候補に無線接続した場合の同時接続数が閾値以上となる場合、電波強度リストに基づいて、通信相手の無線通信端末と、第1接続候補に無線接続している他の無線通信端末に該当の各無線通信端末とを対象に、それぞれの電波強度情報において次点で電波強度が大きい第2接続候補同士で電波強度を比較する。そして、その比較対象の無線通信端末の中で第2接続候補の電波強度が最大となっているのが通信相手の無線通信端末である場合、その通信相手の無線通信端末に該当の第2接続候補を、その通信相手の無線通信端末の接続先に選択する。一方、比較対象の無線通信端末の中で第2接続候補の電波強度が最大となっているのが他の無線通信端末である場合、当該他の無線通信端末の接続先を、その無線通信端末に該当の第2接続候補に変更すると共に、通信相手の無線通信端末の接続先として第1接続候補の無線LANアクセスポイントを選択する。
【0026】
このように構成されたカラオケ装置では、通信相手の無線通信端末における第1接続候補の同時接続数が閾値以上となる条件下において、第2接続候補の電波強度が最大となる無線通信端末が自カラオケ装置の通信相手であるか否かで、どの無線通信端末を第2接続候補に接続させるかが決まるようになっている。すなわち、第2接続候補同士の中で電波強度が最大となる無線LANアクセスポイントに接続できる無線通信端末に対して、第2接続候補へ接続するように指示する構成としたことで、たとえその無線通信端末が第1接続候補に接続できなくても、次善の接続先を選択することにより通信品質を確保できる。
【0027】
つぎに、上記目的を達成するためになされた請求項3に記載の発明は、カラオケ演奏を行う複数のカラオケ装置と、有線LANと無線LANとを相互接続する複数の無線LANアクセスポイントとが有線LANに接続されており、さらに、複数の無線LANアクセスポイントのうちの何れか1つに無線接続し、その無線LANアクセスポイントが中継する無線LANを通じてカラオケ装置との間で情報通信を行う複数の無線通信端末を有するカラオケネットワークシステムに用いられるカラオケ装置に関する。そして、このカラオケ装置は、請求項1に記載のカラオケネットワークシステムに用いられるカラオケ装置と同様の構成を有する。このようなカラオケ装置によれば、請求項1に記載のカラオケネットワークシステムに関して上述した効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態のカラオケネットワークシステムの概略構成を示す説明図。
【図2】カラオケ装置及びリモコン端末の概略構成を示すブロック図。
【図3】リモコン端末が実行する処理の手順を示すフローチャート。
【図4】カラオケ装置が実行する処理の手順を示すフローチャート。
【図5】カラオケ装置が保有するリストの内容を示す説明図。
【図6】カラオケ装置が保有するリストの内容を示す説明図。
【図7】カラオケ装置が実行する処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記の実施形態に何ら限定されるものではなく様々な態様にて実施することが可能である。
[カラオケネットワークシステム1の構成の説明]
図1に示すように、カラオケネットワークシステム1は、カラオケ店舗内の多数のカラオケ室にそれぞれ設置される複数のカラオケ装置4と、カラオケ装置4の設置されたカラオケ室内でカラオケ装置4の操作のために使用される可搬型の無線通信端末である複数のリモコン端末5(RC1,RC2…)と、カラオケ店舗内の各所に配置される複数の無線LANアクセスポイント6(AP−A,AP−B,AP−C)とを有する。
【0030】
これら複数のカラオケ装置4及び無線LANアクセスポイント6は、有線LAN100を介して相互に通信可能に接続されている。また、カラオケ装置4とリモコン端末5との間の情報通信は、主に無線LANアクセスポイント6が中継する無線LAN及び有線LAN100を介して行われる。なお、カラオケネットワークシステム1を構成するカラオケ装置4、リモコン端末5、及び無線LANアクセスポイント6の各装置の数は、それぞれ複数あれば図1に示すものより多くても少なくてもよい。
【0031】
カラオケ装置4は、カラオケサービスを利用するユーザから指定されたカラオケ楽曲や、映画、バラエティ番組、ドラマ、CMといった映像コンテンツ等、様々なコンテンツの再生を行うための装置である。また、本実施形態のカラオケ装置4は、本発明における特徴的な機能として、通信相手となるリモコン端末5が接続可能な複数の無線LANアクセスポイント6の中から、通信電波の強度が良好でかつ、現に無線接続しているリモコン端末5の数が規定の閾値未満となるものを接続先として選択し、その選択した接続先を通信相手となるリモコン端末5に対して指示する処理を行う。この処理の詳細な内容については後述する。
【0032】
図2(a)に示すとおり、カラオケ装置4は、ハードウェア構成としてCPU41、RAM42、ROM43、ハードディスクドライブ44(以下、HDD44と称する)、操作部45、再生部46、赤外線通信部47、LAN通信部48等を備える。
【0033】
CPU41は、RAM42やROM43に記憶されたプログラムやデータに従って、カラオケ装置4各部に対する制御及び各種演算を実行する装置である。先に述べた本発明における特徴的な機能に関する処理は、このCPU41によって実行される。RAM42は、CPU41から直接アクセスされるメインメモリ等として利用される記憶装置であり、各カラオケ装置4が共通して保有する後述の電波強度リスト及び接続先リストもここに記憶される。
【0034】
ROM43は、カラオケ装置4の電源スイッチを切っても記憶内容を保持する記憶装置であり、BIOSや通常であれば更新されない読み出し専用のデータ等を記憶している。HDD44は、カラオケ用の楽曲データや映像データ等のコンテンツデータやプログラム等の各種データを保存しておくための装置である。操作部45は、ユーザからの各種指示を入力するための入力装置であり、複数のキースイッチ等によって構成される。
【0035】
再生部46は、マイクロフォン、演奏データに基づく演奏再生を行うMIDI音源、MIDI音源から生成されたオーディオ信号及びマイクロフォンから入力されたオーディオ信号をスピーカへ出力する音声制御部、画像データに基づく映像の再生を制御する映像再生部、映像を表示するためのモニタ等を備える。赤外線通信部47は、リモコン端末5との間で所定の赤外線通信規格に沿った赤外線信号を送受信するための通信インタフェースである。LAN通信部48は、カラオケ装置4を有線LAN100に接続して外部と通信を行うための通信インタフェースである。
【0036】
図1の説明に戻る。リモコン端末5は、カラオケルーム内でカラオケ装置4を遠隔操作するためのものであり、ユーザが再生を希望するコンテンツの再生の予約を行うための操作等の各種操作をユーザから受け付け、その操作信号を無線LAN規格に従った無線通信によって無線LANアクセスポイント6を経由し、操作対象のカラオケ装置4に送信する機能を有する。なお、本実施形態では、個々のリモコン端末5についてそれぞれRC1,RA2,RC3…という識別番号が割当てられているものとする。
【0037】
本実施形態のリモコン端末5は、本発明における特徴的な機能として、操作対象のカラオケ装置4との情報通信を開始するに際して、自リモコン端末5において無線接続可能なものとして検出した各無線LANアクセスポイント6から出力される通信電波の電波強度を示す情報を当該操作対象のカラオケ装置4に対して送信する一方、そのカラオケ装置4から指定された無線LANアクセスポイント6に対して無線接続する処理を行う。この処理の詳細な内容については後述する。
【0038】
図2(b)に示すとおり、リモコン端末5は、CPU51、RAM52、ROM53、操作部54、表示部55、赤外線通信部56、無線LAN通信部57等を備えている。CPU51は、RAM52やROM53に記憶されたプログラムやデータに従って、リモコン端末5各部に対する制御及び各種演算を実行する装置である。先に述べた本発明における特徴的な機能に関する処理は、このCPU51によって実行される。
【0039】
RAM52は、CPU51から直接アクセスされるメインメモリ等として利用される記憶装置である。ROM53は、リモコン端末5の電源スイッチを切っても記憶内容を保持する記憶装置であり、BIOSや通常であれば更新されない読み出し専用のデータ、プログラム等を記憶している。操作部54は、ユーザからの各種指示を入力するための入力装置であり、表示部55の表示領域に沿って設置されるタッチパネル及び複数のキースイッチ等によって構成される。表示部55は、画像を表示するための表示装置であり、例えば液晶ディスプレイ等によって構成される。赤外線通信部56は、カラオケ装置4との間で所定の赤外線通信規格に沿った赤外線信号を送受信するための通信インタフェースである。無線LAN通信部57は、有線LAN100に接続された無線LANアクセスポイント6との間で無線LAN通信を行うための通信インタフェースである。
【0040】
図1の説明に戻る。有線LAN100に接続している複数の無線LANアクセスポイント6は、所定の無線LAN規格に従った無線通信を通じて端末間を接続するインフラストラクチャー・モードに対応した電波中継機であり、1台で複数の端末と同時に通信を行う機能を有する。また、各無線LANアクセスポイント6は、カラオケ店舗内の各所に分散して配置されている。この無線LANアクセスポイント6の構成については周知のものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0041】
なお、図1に示す3台の無線LANアクセスポイント6には、それぞれAP−A,AP−B,AP−Cという識別番号が割当てられているものとする。また、これらの無線LANアクセスポイント6には、出力する通信電波の強度が互いに異なる機種が混在しているものとし、ここでは、AP−Bの電波強度が最も大きく、AP−A,AP−Cの電波強度はAP−Bよりも小さいといった条件を想定している。また、各無線LANアクセスポイント6には、それぞれが中継する無線LANの識別子であるESSID(Extended Service Set Identifier)が設定されている。一方、リモコン端末5には、無線LANアクセスポイント6に割当てられたESSIDを特定する情報が予め登録されており、リモコン端末5は、接続すべきESSIDに該当の無線LANアクセスポイント6に対して無線接続するようになっている。
【0042】
[リモコン端末5が実行する処理の説明]
つぎに、リモコン端末5によるカラオケ装置4の操作を開始するために、リモコン端末5のCPU51が実行する処理について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、リモコン端末5の電源がオンにされることで開始される。
【0043】
リモコン端末5のCPU51は、処理を開始すると、操作対象となるカラオケ装置4との間で双方互いに特定の通信相手として対応付けをする「括り付け処理」を実行する(S101)。この括り付け処理の手順は次のとおりである。
【0044】
まず、赤外線通信部56を通じた赤外線通信により、通信可能範囲にあるカラオケ装置4(すなわち、操作対象となるカラオケ装置4)に対して、「括り付け要求」を送信する。この括り付け要求には、そのリモコン端末の識別情報(例えば、シリアルナンバー、IPアドレス等)が含まれる。赤外線通信は部屋の壁や床、天井により遮断されるという特性を利用することで、複数のカラオケ装置4及びリモコン端末5が存在するネットワーク経由で通信を行う場合においても、同じカラオケ室内に備えられたリモコン端末5とカラオケ装置4だけに限定して「括り付け処理」を開始することができる。
【0045】
また、リモコン端末5は、無線LAN通信部57を通じて、自リモコン端末5が最初に接続すべき無線LANとして予め設定されている無線LANアクセスポイント6に対して無線接続(初期接続)する。そして、初期接続した無線LANアクセスポイント6を通じて、操作対象のカラオケ装置4から上記括り付け要求に対する応答として「括り付け通知」受信し、送信元のカラオケ装置4の識別情報を通信相手としてメモリに記憶する。これらの一連の手続により、リモコン端末5とカラオケ装置4との間で通信相手の括り付けが成立する。一方、リモコン端末5から括り付け要求を受信したカラオケ装置4は、自カラオケ装置4の識別情報を含む「括り付け通知」をLAN通信部48により、ネットワーク全体(要求元のリモコン端末5も含む)にブロードキャストで送信する。この処理の詳細については、カラオケ装置4が実行する処理の説明の項にて後述する。
【0046】
カラオケ装置4との括り付けが成立した後、無線LAN通信部57を通じて、複数の無線LANアクセスポイント6から出力されている識別情報の通信電波(通称:ビーコン)の検出を行う(S102)。その結果、複数の無線LANアクセスポイント6を検出した場合(S102:YES)、S103の処理へ進む。S103では、S102で検出した各無線LANアクセスポイント6の識別情報と、その無線LANアクセスポイント6からそれぞれ受信した通信電波の電波強度とを示す電波強度情報を作成し、それを括り付けした通信相手のカラオケ装置4に対して送信する。なお、電波強度情報の送信は、初期接続した無線LANアクセスポイント6を通じて行う。
【0047】
つぎに、通信相手のカラオケ装置4から、自リモコン端末5の接続先となる無線LANアクセスポイント6を指定する指示情報の受信を待ち受ける(S104)。指示情報を受信した場合(S104:YES)、その受信した指示情報で示される無線LANアクセスポイント6に対して無線接続し(S105)、本処理を終了する。なお、ここでは、現在継続中の初期接続の接続先から、指示情報で示される無線LANアクセスポイント6へと無線接続の接続先を切替える。これ以降、上記S105の処理でリモコン端末5が無線接続した無線LANアクセスポイント6を通じて、そのリモコン端末5と通信相手のカラオケ装置4との間で情報通信が行われ、利用客に対してカラオケサービスが提供される。
【0048】
[カラオケ装置4が実行する処理の説明]
(1)カラオケ装置4のCPU41が実行するメイン処理について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、カラオケ装置4の電源が入っている間、繰り返し実行される。
【0049】
カラオケ装置4のCPU41は、まず、通信相手となるリモコン端末5との間で双方互いに特定の通信相手として対応付けをする「括り付け処理」を実行する(S201)。この括り付け処理は、リモコン端末5が実行する上記S101(図3参照)の括り付け処理に対応して実行されるものであり、その手順は次のとおりである。
【0050】
まず、赤外線通信部47を通じてリモコン端末5からの括り付け要求を受信すると、要求元のリモコン端末5の識別情報を通信相手としてメモリに記憶する。そして、括り付け要求を受付けた旨の「括り付け通知」を、有線LAN100を通じてネットワーク全体(ブロードキャスト)に送信する。この括り付け通知には、要求元のリモコン端末5の識別情報と、自カラオケ装置4の識別情報(例えば、シリアルナンバー、IPアドレス等)が含まれる。この一連の手続により、カラオケ装置4とリモコン端末5との間で通信相手の括り付けが成立する。
【0051】
リモコン端末5との括り付けが成立した後、括り付けした通信相手のリモコン端末5(以下、対象リモコン端末5)から電波強度情報の受信を待ち受ける(S202)。電波強度情報を受信した場合(S202:YES)、その受信した電波強度情報の内容に基づき、カラオケ装置4のRAM42に保有している「電波強度リスト」の内容を更新する。
【0052】
ここで、電波強度リストについて図5(a)に基づき説明する。電波強度リストは、稼動中の全てのリモコン端末5それぞれの識別情報と、それら各リモコン端末5それぞれにおいて現在検出されている無線LANアクセスポイント6の電波強度(単位:dbm)とを対応付けて記録したものである。各カラオケ装置4は、共通の電波強度リストをそれぞれ保有している。図5(a)に示す事例では、更新前の電波強度リスト1においてRC1〜RC5までの各リモコン端末5に対応する電波強度情報が記録されている。
【0053】
今、カラオケ装置4が通信相手である対象リモコン端末5(RC6)から電波強度情報を受信したと想定する。その場合、受信した電波強度情報の内容に従って電波強度リスト1の内容から電波強度リスト2の内容に更新される。具体的には、対象リモコン端末5(RC6)で検出された各無線LANアクセスポイント6における電波強度のデータが電波強度リストに追加される。
【0054】
図4のフローチャートの説明に戻る。つぎに、S204では、対象リモコン端末5から受信した電波強度情報の中で電波強度が最大となっている無線LANアクセスポイント6を対象リモコン端末5の「接続先第1候補」に設定する。それと共に、カラオケ装置4のRAM42に保有している「接続先リスト」において、その接続先第1候補に該当の無線LANアクセスポイント6の接続先として、対象リモコン端末5を追加する(接続先リストの更新)。
【0055】
ここで、接続先リストについて図5(b)に基づき説明する。接続先リストは、全ての無線LANアクセスポイント6のそれぞれの識別情報に、その無線LANアクセスポイント6を現在の接続先にしているリモコン端末5の識別情報を対応付けて記録したものである。各カラオケ装置4は、共通の接続先リストをそれぞれ保有している。図5(b)に示す事例では、更新前の接続先リスト1において、現在のところRC1〜RC5までの合計5台のリモコン端末5が、電波強度が最大の無線LANアクセスポイント6(AP−B)に集中して無線接続している状況が記録されている。
【0056】
今、カラオケ装置4が通信相手である対象リモコン端末5(RC6)から電波強度情報を受信すると、受信した電波強度情報の内容に従って接続先リスト1の内容から接続先リスト2の内容に更新される。具体的には、対象リモコン端末5(RC6)から受信した電波強度情報の中で電波強度が最大である無線LANアクセスポイント6(AP−B)が、対象リモコン端末5(RC6)の接続先第1候補に設定される。そして、接続先リストにおける無線LANアクセスポイント6(AP−B)の欄に、リモコン端末5(RC6)の識別番号が接続対象として追加される。
【0057】
なお、本実施形態では、1台の無線LANアクセスポイント6に対するリモコン端末5の最大接続数は5台までと規定されており、現状、対象リモコン端末5(RC6)が無線LANアクセスポイント6(AP−B)に接続した場合、最大接続数を超過してしまうことになる。これについての対策は後述する。
【0058】
図4のフローチャートの説明に戻る。つぎに、S205では、S204で更新した接続先リストにおいて、対象リモコン端末5の接続先第1候補である無線LANアクセスポイント6の接続台数が所定の閾値以上になっているか否かを判定する。ここでは、接続先第1候補における接続台数が閾値以上の場合(S205:YES)、S206の処理へ進み、接続台数が閾値未満の場合(S205:NO)、S209の処理へ進む。
【0059】
接続先第1候補に対する接続台数が閾値以上である場合に進むS206では、接続先リスト内でこの接続先第1候補を接続先とするものとして記録されている全てのリモコン端末5を対象に、電波強度リスト内の当該各リモコン端末5の電波強度情報において次点で電波強度が大きい無線LANアクセスポイント6(第2候補)の電波強度を互いに比較する。そして、比較の結果、それらのリモコン端末5の中で第2候補の電波強度が最大となっているのが通信相手の対象リモコン端末5であるか否かによって処理を分岐する。
【0060】
第2候補の電波強度が最大となっているのが対象リモコン端末5以外の他のリモコン端末5である場合(S206:A)、S207の処理へ進む。S207では、第2候補の電波強度が最大となっているリモコン端末5における当該第2候補の無線LANアクセスポイント6を、そのリモコン端末5の新たな接続先(接続先第1候補)に再設定し、その設定内容にそって接続先リストの内容を更新する。
【0061】
S207における処理内容の具体例を図5(c)を参照しながら説明する。図5(c)に示す電波強度リスト2を基に、現在、接続先第1候補の無線LANアクセスポイント6(AP−B)を接続先とする6台のリモコン端末5(RC1〜RC6)の間で、それぞれの次点の電波強度(すなわち、第2候補の電波強度)を互いに比較する。この事例では、リモコン端末5(RC1,RC2)の電波強度が共に最大となっている。よって、リモコン端末5(RC1,RC2)の接続先を、接続先第1候補のAP−Bから第2候補のAP−Aへと変更することで、上記接続先リスト2の内容から接続先リスト3の内容へ更新する。このケースでは、通信相手である対象リモコン端末5(RC6)の接続先は変更せず、他のリモコン端末5(RC1,RC2)の接続先を変更させることで、無線LANアクセスポイント6の接続端末数の分散化を図っている。
【0062】
図4のフローチャートの説明に戻る。S206で第2候補の電波強度が最大となっているのが通信相手の対象リモコン端末5であると判定した場合(S206:B)、S208の処理へ進む。S208では、通信相手の対象リモコン端末5における第2候補の無線LANアクセスポイント6を、そのリモコン端末5の新たな接続先(接続先第1候補)に再設定し、その設定内容にそって接続先リストの内容を更新する。
【0063】
S208における処理内容の具体例を図6(d)を参照しながら説明する。図6(d)の接続先リスト4は、無線LANアクセスポイント6(AP−B)に対して、RC3〜RC7までの合計5台のリモコン端末5が既に無線接続しているところに、新たにカラオケ装置4の通信相手であるリモコン端末5(RC8)を接続対象として追加した状況を示すものである。現状、対象リモコン端末5(RC8)が無線LANアクセスポイント6(AP−B)に接続した場合、最大接続数を超過してしまうことになる。
【0064】
そこで、電波強度リスト3を基に、現在、接続先第1候補の無線LANアクセスポイント6(AP−B)を接続先とする6台のリモコン端末5(RC3〜RC8)の間で、それぞれの次点の電波強度(すなわち、第2候補の電波強度)を互いに比較する。この場合、対象リモコン端末5(RC8)が第2候補とする無線LANアクセスポイント6(AP−C)の電波強度が最大となっている。よって、対象リモコン端末5(RC8)の接続先を、接続先第1候補のAP−Bから第2候補のAP−Cへと変更することで、接続先リスト4の内容から接続先リスト5の内容へ更新する。このケースでは、通信相手である対象リモコン端末5(RC8)の接続先を変更することで、無線LANアクセスポイント6の接続端末数の分散化を図っている。
【0065】
図4のフローチャートの説明に戻る。つぎに、S209では、更新後の接続先リストにおいて対象リモコン端末5の接続先となっている無線LANアクセスポイント6へ無線接続させる旨の指示情報を、LAN通信部48を通じて対象リモコン端末5へ送信する。この指示情報には、対象リモコン端末5が接続すべき無線LANアクセスポイント6の識別情報等が含まれる。そして、この指示情報を受信したリモコン端末5は、上述したように、指示情報で示される無線LANアクセスポイント6に対して無線接続をする。
【0066】
つぎに、自カラオケ装置4が更新した電波強度リスト及び接続先リストを、LAN通信部48を通じて他の全てのカラオケ装置4に対して送信する(S210)。更新後の各リストを受信した他のカラオケ装置4は、それぞれが保有する各リストの内容を受信した最新の内容に更新する(詳細は後述する)。リストの送信後、自カラオケ装置4の電源をオフにする操作がなされたか否かを判定する(S211)。電源をオフにする操作がなされていない場合(S211:NO)、S201の処理へ戻る一方、電源をオフにする操作がなされた場合(S211:YES)、本処理を終了する。
【0067】
(2)つぎに、カラオケ装置4のCPU41が実行するもうひとつ処理について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、カラオケ装置4の電源が入っている間、繰り返し実行される。
【0068】
カラオケ装置4のCPU41は、まず、他のカラオケ装置4から更新後の電波強度リスト及び接続先リストの受信を待ち受ける(S301)。そして、他のカラオケ装置4から送信された更新後の電波強度リスト及び接続先リスト受信した場合(S301:YES)、その受信した各リストに基づいて自カラオケ装置4のRAM42に保有している既存の電波強度リスト及び接続先リストを最新の内容に更新する(S302)。
【0069】
つぎに、更新前の接続先リストの内容と更新後の接続先リストの内容との変更点をチェックする(S303)。その結果、自カラオケ装置4に現在括り付けられている通信相手のリモコン端末5について、接続先リストの更新前後でその接続先の無線LANアクセスポイント6が変更されているか否かを判定する(S304)。通信相手のリモコン端末5における接続先が変更されていない場合(S304:NO)、S301の処理へ戻る。
【0070】
一方、接続先リストの更新前後で通信相手のリモコン端末における無線接続先の無線LANアクセスポイント6が変更されている場合(S304:YES)、その通信相手のリモコン端末5に対して、変更後の接続先リストで示される接続先の無線LANアクセスポイント6へ無線接続させる旨の指示情報を送信する(S305)。この指示情報には、当該リモコン端末5が接続すべき無線LANアクセスポイント6の識別情報等が含まれる。一方、指示情報を受信したリモコン端末5は、現在接続中の無線LANアクセスポイント6から、前記指示情報で示される無線LANアクセスポイント6へと接続先を切替える。
【0071】
指示情報の送信後、自カラオケ装置4の電源をオフにする操作がなされたか否かを判定する(S306)。電源をオフにする操作がなされていない場合(S306:NO)、S301の処理へ戻る一方、電源をオフにする操作がなされた場合(S306:YES)、本処理を終了する。
【0072】
[効果]
上記実施形態のカラオケネットワークシステム1によれば、下記の効果を奏する。
カラオケ装置4は、複数のカラオケ装置4との間で共通に保有する電波強度リスト及び接続先リストに基づき、各無線LANアクセスポイント6における接続端末数が既定の閾値未満となるように、括り付けした通信相手のリモコン端末5の接続先を選択し、対象のリモコン端末5に通知する。これに対し、リモコン端末5は、括り付けした通信相手のカラオケ装置4からの指示情報で示される無線LANアクセスポイント6に対して無線接続する。このようにすることで、1台の無線LANアクセスポイント6におけるリモコン端末5の接続数が過大にならないように接続先を分散させることができ、無線LAN通信におけるスループットの低下を防止できる。
【0073】
各無線LANアクセスポイント6に対するリモコン端末5の接続数を管理するための構成を専らカラオケ装置4及びリモコン端末5が持つようになっており、無線LANアクセスポイント6には特別な構成を必要としない。よって、無線通信端末の接続数を管理するといった特別の構成を持たない汎用的な無線LANアクセスポイントを使用しながらでも、所期の効果を発揮できる。
【0074】
有線LAN100に接続している複数のカラオケ装置4の間で、各無線LANアクセスポイント6の接続状況に関する接続先リストや、各リモコン端末5で検知された無線LANアクセスポイント6の電波状況に関する電波状況リストを共有できる。これにより、リモコン端末5がどのカラオケ装置4と括り付けを行う場合でも、カラオケ装置4は各無線LANアクセスポイント6における現在の無線接続状況を確実に把握できるし、それらのリストを一元管理する専用機器を個別に用意する必要もない。
【0075】
[特許請求の範囲に記載の構成との対応]
実施形態のカラオケネットワークシステム1の構成と、特許請求の範囲に記載の構成との対応は次のとおりである。
【0076】
カラオケ装置4のCPU41及び赤外線通信部47が、特許請求の範囲における通信相手端末特定手段に相当する。また、RAM42が記憶手段に相当する。CPU41及びLAN通信部48が、電波強度情報取得手段、接続先指示手段、接続先リスト送信手段、及び切替指示手段に相当する。CPU41が、判定手段、接続先選択手段、第1,第2の接続先リスト更新手段、及び第1,第2の電波強度リスト更新手段に相当する。
【0077】
一方、リモコン端末5のCPU51及び赤外線通信部56が、特許請求の範囲における通信相手装置特定手段に相当する。CPU51及び無線LAN通信部57が、電波強度情報送信手段及び無線接続手段に相当する。
【符号の説明】
【0078】
1…カラオケネットワークシステム、4…カラオケ装置、5…リモコン端末、6…無線LANアクセスポイント、41,51…CPU、42,52…RAM、43.53…ROM、44…HDD、45,54…操作部、46…再生部、55…表示部、47,56…赤外線通信部、48…LAN通信部、57…無線LAN通信部、100…有線LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ演奏を行う複数のカラオケ装置と、有線LANと無線LANとを相互接続する複数の無線LANアクセスポイントとが有線LANに接続されており、さらに、前記複数の無線LANアクセスポイントのうちの何れか1つに無線接続し、その無線LANアクセスポイントが中継する無線LANを通じて前記カラオケ装置との間で情報通信を行う複数の無線通信端末を有するカラオケネットワークシステムであって、
前記カラオケ装置は、
自カラオケ装置との通信相手となる特定の前記無線通信端末との間で相互に通信相手の対応付けをする通信相手端末特定手段と、
前記複数の無線LANアクセスポイントそれぞれの識別情報と、それらの無線LANアクセスポイントそれぞれに現在無線接続している前記無線通信端末の識別情報とを対応付けて記録した接続先リストを記憶する記憶手段と、
前記通信相手端末特定手段により通信相手として特定した無線通信端末から、その無線通信端末が検出した前記各無線LANアクセスポイントの識別情報と、その無線LANアクセスポイントからそれぞれ受信した通信電波の電波強度とを示す電波強度情報を取得する電波強度情報取得手段と、
前記電波強度情報取得手段により取得した電波強度情報に基づき、前記通信相手の無線通信端末が検出した前記無線LANアクセスポイント中で電波強度が最大のものを第1接続候補として、その第1接続候補における前記無線通信端末の同時接続数の状況を前記接続先リストに基づいて判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果、前記通信相手の無線通信端末が前記第1接続候補に無線接続した場合の同時接続数が所定の閾値未満となる場合、その第1接続候補を前記通信相手の無線通信端末の接続先として選択する一方、前記判定手段による判定の結果、前記通信相手の無線通信端末が前記第1接続候補に無線接続した場合の同時接続数が前記閾値以上となる場合、前記電波強度情報において次点で電波強度が大きい第2接続候補の無線LANアクセスポイントを前記通信相手の無線通信端末の接続先に選択するか、あるいは、前記接続先リストにおいて前記第1接続候補の接続相手として記録されている他の前記無線通信端末を、前記第1接続候補以外の無線LANアクセスポイントの接続相手に変更するように前記他の前記無線通信端末の接続先を選択し、その選択と共に前記第1接続候補を前記通信相手の無線通信端末の接続先として選択する接続先選択手段と、
前記接続先選択手段による接続先の選択内容に対応して、前記通信相手の無線通信端末に対して、その接続先の前記無線LANアクセスポイントを指定する旨の指示情報を送信する接続先指示手段と、
前記接続先選択手段による前記各無線通信端末の接続先の選択内容に対応して、前記各無線通信端末の接続先に関する更新内容を前記記憶手段の接続先リストに記録する第1の接続先リスト更新手段と、
前記第1の接続先リスト更新手段により更新した新規の接続先リストを、前記有線LAN上の他のカラオケ装置に対して送信する接続先リスト送信手段と、
前記有線LANを通じて他のカラオケ装置から送信されてきた新規の接続先リストの内容に基づき、自カラオケ装置が前記記憶手段に記憶している従前の接続先リストの内容を更新する第2の接続先リスト更新手段と、
前記有線LANを通じて他のカラオケ装置から送信されてきた新規の接続先リストと、自カラオケ装置が前記記憶手段に記憶している従前の接続先リストとの変更点を判定し、その判定結果において、既に自カラオケ装置の通信相手と特定している前記無線通信端末の接続先となっている前記無線LANアクセスポイントが、前記従前の接続先リストに記載のものから変更されている場合、当該通信相手の無線通信端末に対して、その接続先を当該変更後の前記無線LANアクセスポイントに切替える旨の指示情報を送信する切替指示手段とを備え、
前記無線通信端末は、
前記複数のカラオケ装置のうち、自無線通信端末との通信相手となる特定のカラオケ装置との間で相互に通信相手の対応付けをする通信相手装置特定手段と、
通信可能な前記無線LANアクセスポイントを検出し、その検出した前記各無線LANアクセスポイントの識別情報と、その無線LANアクセスポイントからそれぞれ受信した通信電波の電波強度とを示す電波強度情報を、前記通信相手装置特定手段により通信相手として特定したカラオケ装置に対して送信する電波強度情報送信手段と、
前記通信相手装置特定手段により通信相手として特定したカラオケ装置から送信されてきた前記指示情報で示される、接続先の前記無線LANアクセスポイントに対して無線接続する無線接続手段とを備えること
を特徴とするカラオケネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のカラオケネットワークシステムにおいて、
前記カラオケ装置では、
さらに、前記複数の無線通信端末それぞれの識別情報と、それら各無線通信端末それぞれにおいて検出された前記電波強度情報とを対応付けて記録した電波強度リストを前記記憶手段に記憶しており、
前記電波強度情報取得手段により取得した、自カラオケ装置の通信相手の電波強度情報に基づき、自カラオケ装置が前記記憶手段に記憶している電波強度リストの内容を更新する第1の電波強度リスト更新手段と、
前記第1の電波強度リスト更新手段により更新した新規の電波強度リストを、前記有線LAN上の他のカラオケ装置に対して送信する電波強度リスト送信手段と、
前記有線LANを通じて他のカラオケ装置から送信されてきた新規の電波強度リストの内容に基づき、自カラオケ装置が前記記憶手段に記憶している従前の電波強度リストの内容を更新する第2の電波強度リスト更新手段とを更に備え、
前記接続先選択手段は、前記判定手段による判定の結果、前記通信相手の無線通信端末が前記第1接続候補に無線接続した場合の同時接続数が前記閾値以上となる場合、前記電波強度リストに基づいて、前記通信相手の無線通信端末と、前記第1接続候補に無線接続している他の無線通信端末に該当の各無線通信端末とを対象に、それぞれの前記電波強度情報において次点で電波強度が大きい第2接続候補同士で電波強度を比較し、その比較対象の無線通信端末の中で前記第2接続候補の電波強度が最大となっているのが前記通信相手の無線通信端末である場合、その通信相手の無線通信端末に該当の第2接続候補を、その通信相手の無線通信端末の接続先に選択する一方、前記比較対象の無線通信端末の中で前記第2接続候補の電波強度が最大となっているのが前記他の無線通信端末である場合、当該他の前記無線通信端末の接続先を、その無線通信端末に該当の第2接続候補に変更すると共に、前記通信相手の無線通信端末の接続先として前記第1接続候補の無線LANアクセスポイントを選択すること
を特徴とするカラオケネットワークシステム。
【請求項3】
カラオケ演奏を行う複数のカラオケ装置と、有線LANと無線LANとを相互接続する複数の無線LANアクセスポイントとが有線LANに接続されており、さらに、前記複数の無線LANアクセスポイントのうちの何れか1つに無線接続し、その無線LANアクセスポイントが中継する無線LANを通じて前記カラオケ装置との間で情報通信を行う複数の無線通信端末を有するカラオケネットワークシステムに用いられる前記カラオケ装置であって、
自カラオケ装置との通信相手となる特定の前記無線通信端末との間で相互に通信相手の対応付けをする通信相手端末特定手段と、
前記複数の無線LANアクセスポイントそれぞれの識別情報と、それらの無線LANアクセスポイントそれぞれに現在無線接続している前記無線通信端末の識別情報とを対応付けて記録した接続先リストを記憶する記憶手段と、
前記通信相手端末特定手段により通信相手として特定した無線通信端末から、その無線通信端末が検出した前記各無線LANアクセスポイントの識別情報と、その無線LANアクセスポイントからそれぞれ受信した通信電波の電波強度とを示す電波強度情報を取得する電波強度情報取得手段と、
前記電波強度情報取得手段により取得した電波強度情報に基づき、前記通信相手の無線通信端末が検出した前記無線LANアクセスポイント中で電波強度が最大のものを第1接続候補として、その第1接続候補における前記無線通信端末の同時接続数の状況を前記接続先リストに基づいて判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果、前記通信相手の無線通信端末が前記第1接続候補に無線接続した場合の同時接続数が所定の閾値未満となる場合、その第1接続候補を前記通信相手の無線通信端末の接続先として選択する一方、前記判定手段による判定の結果、前記通信相手の無線通信端末が前記第1接続候補に無線接続した場合の同時接続数が前記閾値以上となる場合、前記電波強度情報において次点で電波強度が大きい第2接続候補の無線LANアクセスポイントを前記通信相手の無線通信端末の接続先に選択するか、あるいは、前記接続先リストにおいて前記第1接続候補の接続相手として記録されている他の前記無線通信端末を、前記第1接続候補以外の無線LANアクセスポイントの接続相手に変更するように前記他の前記無線通信端末の接続先を選択し、その選択と共に前記第1接続候補を前記通信相手の無線通信端末の接続先として選択する接続先選択手段と、
前記接続先選択手段による接続先の選択内容に対応して、前記通信相手の無線通信端末に対して、その接続先の前記無線LANアクセスポイントを指定する旨の指示情報を送信する接続先指示手段と、
前記接続先選択手段による前記各無線通信端末の接続先の選択内容に対応して、前記各無線通信端末の接続先に関する更新内容を前記記憶手段の接続先リストに記録する第1の接続先リスト更新手段と、
前記第1の接続先リスト更新手段により更新した新規の接続先リストを、前記有線LAN上の他のカラオケ装置に対して送信する接続先リスト送信手段と、
前記有線LANを通じて他のカラオケ装置から送信されてきた新規の接続先リストの内容に基づき、自カラオケ装置が前記記憶手段に記憶している従前の接続先リストの内容を更新する第2の接続先リスト更新手段と、
前記有線LANを通じて他のカラオケ装置から送信されてきた新規の接続先リストと、自カラオケ装置が前記記憶手段に記憶している従前の接続先リストとの変更点を判定し、その判定結果において、既に自カラオケ装置の通信相手と特定している前記無線通信端末の接続先となっている前記無線LANアクセスポイントが、前記従前の接続先リストに記載のものから変更されている場合、当該通信相手の無線通信端末に対して、その接続先を当該変更後の前記無線LANアクセスポイントに切替える旨の指示情報を送信する切替指示手段とを備えること
を特徴とするカラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−182568(P2012−182568A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42706(P2011−42706)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】