説明

カラーフィルタおよびこれを備える液晶表示装置、カラーフィルタの製造方法

【課題】三色の着色部が順番に繰り返し配列された着色層を備えるカラーフィルタにおいて、これを液晶表示装置に組み合わせて用いた際にいずれの色の着色部からも光漏れが生じることのないカラーフィルタを提供する。
【解決手段】可視光が透過する光透過領域を備える基材16の上面に直接または間接に、第一乃至第三色の着色部12(R),(B),(G)が少なくとも一の方向を繰り返し方向としてこの順に配列された着色層11が設けられ、前記光透過領域を透過する可視光を三色に着色するカラーフィルタ10において、前記第一乃至第三色の着色部12をそれぞれ前記繰り返し方向に切った垂直断面の外郭形状が、いずれも実質的に一方方向に偏って傾斜していないことを特徴とするカラーフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤(R)・緑(G)・青(B)や、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)などに例示される三色の着色部を備えるカラーフィルタと、これを表示側基板として備える液晶表示装置、およびカラーフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、カラー表示が可能な液晶表示装置(カラー液晶表示装置)が広く利用されている。一般的なカラー液晶表示装置の観察者側には、画素(ドット)に対応する着色部が微細にパターニングされたカラーフィルタが表示側基板として設けられ、液晶駆動用電極を備える液晶駆動基板との間に駆動液晶分子を挟みこんで液晶セルを構成し、これを画素ごとにスイッチング駆動して明表示(白表示)と暗表示(黒表示)とを切り換えている。典型的なカラーフィルタにおいては、赤(R)・緑(G)・青(B)の光の三原色に対応する三色の着色部が、各画素幅でストライプ状に横並びに繰り返し配列されて光透過性の着色層が構成されている。R、G、Bの3つの画素(ドット)が1つの絵素(ピクセル)を構成し、その加色混法によって各絵素ではカラー表示を行うことが可能である。
【0003】
また、RGBの加色混法のほか、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)の三色の着色部を配列することで、減色混法によるカラー表示が可能になる。
なお着色層は、上記のようにストライプ状の着色部を繰り返し横並びに配列するほか、縦横直交二方向のマトリクス状にパターニングしたり、斜交する二方向にパターニングしたりする場合もある。
【0004】
具体的には、例えば着色部を三色のストライプ状に形成する場合、カラー表示が行われる有効表示領域の内部において端から1,4,7,11,・・・,3n+1番目に第一色の着色部を配置し、2,5,8,11,・・・,3n+2番目に第二色の着色部を配置し、3,6,9,12,・・・,3n+3番目に第三色の着色部を配置する。
【0005】
上記三色の着色部は、光透過性の基材上に直接に、または遮光性のブラックマトリクスや他の下地層を介して間接に、フォトリソグラフィー法やインクジェット法を用いて各色の着色材料を繰り返し方向に並べて塗工形成することが一般的である。
フォトリソグラフィー法の場合は、有効表示領域を覆うように着色材料を全面塗布し、マスク露光および不要箇所のエッチング除去をおこない、各色の着色部をそれぞれ一回の工程で形成する。
インクジェット法の場合は、各色の着色材料を吐出する微細なノズルを繰り返し方向に横並びに設け、ストライプの伸びる方向にかかるノズルを送ることで、三色の着色材料を基材上に同時に塗布することができる。
【0006】
このようにインクジェット法は、所望の予定塗布位置にオンデマンドで無駄なく着色材料を塗布することができるという利点はあるものの、塗布方向の両幅側にウネリやムラが生じるなど、塗工される着色部の解像度を高めることが難しいという問題がある。
特に近年では、液晶表示装置の有効表示領域における開口率を向上するため着色部同士を区画するブラックマトリクスを従来よりも細幅に形成することが求められており、着色部の塗工解像度が低い場合は光透過領域で混色が生じるという問題がある。このため着色部を形成にあたっては塗工解像度の高いフォトリソグラフィー法が好適に用いられている。
【0007】
また近年、液晶表示装置などに用いられる光学素子として、視野角度を拡大するために基板間に位相差層を備える光学素子が開発されている(例えば下記特許文献1)。かかる光学素子は、カラーフィルタの着色層の上に直接または配向膜などの他層を介して間接に架橋性液晶分子を塗布し、これを所望の方向に配向した状態で固定化させてなる位相差層(インセル位相差層)を備えるものである。例えば架橋性液晶分子をカラーフィルタに対して垂直に配向させたインセル位相差層は、液晶表示装置の最前面側と最背面側にクロスニコル状態で配置された偏光板の視野角を補償する正のCプレートとして機能するとともに、着色層を物理的に保護する保護層の役割を兼ねることができる。またインセル位相差層は、駆動液晶分子とともに表示側基板と液晶駆動基板との間(インセル側)に挟まれるため物理的に保護され、また吸湿変形を生じにくいという利点がある。
【0008】
【特許文献1】特開2004−240102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが近年、液晶表示のさらなる高輝度高品質化が求められるようになり、フォトリソグラフィー法で着色部が高解像度に塗工形成されたインセル位相差型カラーフィルタにおいても、可視光を遮断すべき暗表示の際に透過光が僅かに生じてしまう光漏れの問題が、改善すべき課題として認識されるようになってきた。特に液晶表示装置の薄型化を実現するためにカラーフィルタと駆動液晶分子との間に従来一般的に設けられていた保護層を省略した場合には、上記光漏れの問題は顕著であった。
【0010】
そこで本発明者は、カラーフィルタの上記光漏れの原因を詳細に検討した。その結果、カラーフィルタの着色層を構成する三色の着色部のうち、特定色のものについてのみ光漏れが生じる場合があることを見出した。この特定の着色部における光漏れが、上記従来のカラーフィルタの光漏れの原因となっていた。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、すなわち三色の着色部が順番に繰り返し配列された着色層を備えるカラーフィルタにおいて、これを液晶表示装置に組み合わせて用いた際にいずれの色の着色部からも光漏れが生じることのないカラーフィルタを提供することを目的とする。また本発明は、フォトリソグラフィー法を用いたかかるカラーフィルタの製造方法、およびかかるカラーフィルタを備える液晶表示装置を提供することを更なる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明を為すにあたり、本発明者が上記課題の原因を鋭意検討した結果、三回のフォトリソグラフィー工程を繰り返して塗工形成される三色の着色層のうち、二回目に塗工された着色部(第二色の着色部)において、さらに詳しくは第二色の着色部のうち一回目に塗工形成された着色部(第一色の着色部)に隣接する側において、液晶表示装置からの光漏れが生じることが判明した。そこで各色の着色部をその繰り返し方向(以下、幅方向という場合がある。)に切った垂直断面の外郭形状を三次元測定器により精細に測定したところ、上記第二色の着色部のみこれが一方方向に偏って傾斜した左右非対称形状となっていたことが見出された。
【0013】
図12は、光透過性の基材16の上面に塗工形成された着色層11の垂直断面に関する模式図であり、三次元測定器による測定結果に対応している。なお同図は、現実の着色層に対して厚さ(図中縦)方向の寸法を拡大したものである。図の左右方向が着色部の繰り返し方向である。また同図には、着色層11の上に塗布された液晶分子50を垂直配向させた状態をあわせて図示している。第一色の着色部12(R)は赤色、第二色の着色部(B)は青色、第三色の着色部12(G)は緑色であって、これらはフォトリソグラフィー法によってこの順に横並びに塗工形成されたものである。すなわち一回目のフォトリソグラフィー工程によって赤色の着色部12(R)が、二回目のフォトリソグラフィー工程によって青色の着色部12(B)が、三回目のフォトリソグラフィー工程によって緑色の着色部12(G)が、それぞれ基材16上に二列おきに繰り返し塗工されている。
なお同図では、各着色部は紙面前後方向に伸びるストライプ状を為し、ブラックマトリクス(BM)14によって互いの境界が区画された状態を表している。隣り合うBM14の間に開口した光透過性領域の幅が液晶表示装置の画素幅に対応している。
【0014】
かかる着色層11においては、その上面に直接に、または図示しない配向膜を介して間接に、駆動液晶分子や架橋性液晶分子などの液晶分子50が塗布された場合、第一色および第三色の着色部12(R),12(G)については、着色層界面側に存在する液晶分子50の配向は左右対称(Sy)となり、その上方に位置する液晶分子50も連続弾性体理論に基づき垂直に揃って配向する。
なお着色部12(R),12(G)の外郭は、BM14や隣り合う着色部への乗り上げによってその幅方向の両端に同等の高さの凸部22,23が形成され、中央が平坦な左右対称形状をなしている。このため、凸部22,23の近傍では液晶分子50の垂直配向が画素の内側に倒れるものの、画素単位では着色層界面側の液晶分子50の配向は左右にバランスするため、当該界面よりも上方の液晶分子50について配向不良が生じることがない。
【0015】
これに対し第二色の着色部12(B)においては、第三色の着色部12(G)に隣接する側である図中右側については、液晶分子50の配向が左右にバランス(Sy)する領域もあるものの、第一色の着色部12(R)に隣接する図中左側においては液晶分子50が一方方向(同図の場合、右方)に倒れ、その上方に存在する液晶分子50もまた非対称(Asy)となって配向不良が生じてしまう。このため当該配向不良が駆動液晶分子について生じた場合は透過光のスイッチングが期待通りには行われず、液晶セルで所望の位相差が得られないことから、暗表示時には光漏れが生じることとなる。また上記配向不良が架橋性液晶分子に生じた場合についても、これを固定化してなるインセル位相差層によって所望の視野角改善効果が得られず、やはり暗表示時には光漏れが生じることとなる。
【0016】
本発明者はさらに検討を進め、かかる配向不良が第二色の着色部にのみ生じるメカニズムを突き止めた。従来の三色カラーフィルタの作製方法を、図13を用いて説明する。
同図(a)は一回目のフォトリソグラフィー工程を示す模式図である。画素幅を隔てて任意でBM14がストライプ状またはマトリクス状などに形成された基材16(同図(b)以下ではその上面のみを図示)の全面に、または有効表示領域を覆うように、光硬化性の着色レジスト材料である第一色の着色材料18(R)が塗布されている。また同図に示すように第一色の着色部12(R)の予定形成位置に対応してマスク開口21が形成されたフォトマスク20を基材16に対向して設置し、さらにフォトマスク20を介して着色材料18(R)に紫外線などの活性放射線を露光している。着色材料18(R)は、BM14に乗り上げた部分のみが膨出している。なお一般に着色部12はBM14よりも厚く形成される。なお、基材16の上面にBM14を形成しない場合は、当該膨出は発生しない。
同図(b)は、かかる露光後の着色材料18(R)をエッチング処理して未露光部を除去し、第一色の着色部12(R)を残存形成した状態を示している。着色部12(R)は、BM14に乗り上げた幅方向両端に凸部22が形成され、中央には平坦部24が形成されている。上記のようにBM14を設けないカラーフィルタの場合は、凸部22は生じず着色部12(R)はフラットに形成される。
【0017】
同図(c)は、二回目のフォトリソグラフィー工程を示す模式図である。すなわち上記で得られた第一色の着色部12(R)を含む基材16を下地層として、着色レジスト材料である第二色の着色材料18(B)をその全面に塗布し、第二色の着色部12(B)の予定形成位置、すなわち第一色の着色部12(R)に隣接する位置に対向してマスク開口21が形成されたフォトマスク20を介して紫外線露光をおこなう状態を示している。着色材料18(B)は、BM14と着色部12(R)に乗り上げた部分で膨出している。
同図(d)は、着色材料18(B)をエッチング処理して第二色の着色部12(B)を残存形成した状態を示している。着色部12(B)は第一色の着色部12(R)のいずれか一方側(同図では右方側)に隣接して形成され、着色部12(R)に隣接する側(図中左側)により高い凸部23が、反対側により低い凸部22が形成されている。また着色部12(G)の断面の外郭形状は、幅中央には図中左から右に下る傾斜部25が形成されている。これは、第二色の着色材料18(B)が塗布される下地層には、画素の幅方向のうち一方側(同図では左方側)にのみ着色部12(R)が既に厚肉に塗工形成され、他方側(同図では右方側)には薄肉のBM14が設けられるにとどまり、塗布された着色材料18(B)の乗り上げ高さが、着色部12(R)に隣接する方の側においてより高くなるためである。
【0018】
同図(e)は、三回目のフォトリソグラフィー工程を示す模式図である。すなわち第一色および第二色の着色部12(R),12(B)を含む基材16の全面に、同様に着色レジスト材料である第三色の着色材料18(G)を塗布し、着色部12(R),12(B)の未形成領域にマスク開口21を対向させて紫外線露光をおこなう状態を示している。着色部12(G)の予定形成位置の左右において既に形成されている着色部12(B),12(R)の端部高さは、いずれも凸部22で同等である。
同図(f)は、着色材料18(G)をエッチング処理して第三色の着色部12(G)を残存形成した状態を示している。着色部12(G)の両端にはそれぞれ、着色部12(B)の左側と同等の高い凸部23が形成される。以上により、第一から第三色の着色部12(R),12(B),12(G)からなる着色層11が形成される。
【0019】
このように、第一色の着色部12(R)と第三色の着色部12(G)については、紫外線硬化される領域の下地層の状態が、当該画素の幅方向両側で同等の高さとなっているため、両端に凸部22,23が形成される場合であっても、外郭形状の高さは左右で等しくなり、幅中央には平坦部24が形成されて左右対称となる。これに対し第二色の着色部12(B)については、その予定形成領域の幅方向の一方側には既に着色部12(R)が硬化形成され、他方側にはこれが存在しないことから、外郭形状が当該一方から他方に向かって下り傾斜して左右非対称となるのである。
【0020】
本発明は、着色部の上記左右非対称に起因する液晶分子の配向不良の問題を解決するために為されたものであり、着色層を構成する第一から第三の着色部の幅方向の断面外郭を所定形状とすることにより、その上に塗布される液晶分子の画素ごとの配向性を良好にすることを特徴とするものである。
またこれを実現する本発明のより具体的な第一の特徴は、図13(b)に示すように幅方向に隣接する片側のみに既に着色部が形成されている場合であっても、次に塗布された着色材料が同図(c)のようにこれに乗り上げてしまうことを防止するという技術思想に基づいてなされたものである。また第二の特徴は、同様に幅方向の片側のみに既に着色部が形成されている場合に、次に塗布された着色材料が当該着色部に乗り上げる高さを見越して、幅方向の反対側に突起部を予め形成しておくという技術思想に基づいてなされたものである。その他の技術的特徴については以下の説明より明らかとなる。
【0021】
即ち本発明にかかるカラーフィルタは、
(1)可視光が透過する光透過領域を備える基材の上面に直接または間接に、第一乃至第三色の着色部が少なくとも一の方向を繰り返し方向としてこの順に配列された着色層が設けられ、前記光透過領域を透過する可視光を三色に着色するカラーフィルタにおいて、
前記第一乃至第三色の着色部をそれぞれ前記繰り返し方向に切った垂直断面の外郭形状が、いずれも実質的に一方方向に偏って傾斜していないことを特徴とするカラーフィルタ;
(2)前記第一乃至第三色の着色部の外郭形状が、いずれも実質的に左右対称であることを特徴とする上記(1)に記載のカラーフィルタ;
を要旨とする。
【0022】
また本発明においては、さらに具体的なカラーフィルタの態様として、
(3)前記三色のうちの少なくとも二色の着色部は、その上面が疎水性である上記(1)または(2)に記載のカラーフィルタ;
(4)前記少なくとも二色の着色部には、疎水性材料が含まれている上記(3)に記載のカラーフィルタ;
(5)前記少なくとも二色の着色部の上面には、疎水性を有する疎水層が形成されている上記(3)に記載のカラーフィルタ;
(6)着色層と基材との間には、前記第二色の着色部と前記第三色の着色部との境界領域に、前記第一色の着色部の上面と面一の上端高さに形成された突起部が設けられていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のカラーフィルタ;
(7)第一乃至第三色の着色部を互いに区画する遮光性のブラックマトリクスを前記着色層と前記基材との間に備え、
前記突起部が、前記ブラックマトリクスと前記着色層との間に設けられている上記(6)に記載のカラーフィルタ;
(8)第一乃至第三色の着色部を互いに区画する遮光性のブラックマトリクスを前記着色層と前記基材との間に備え、
前記突起部が、無色透明材料または前記第二色と同色系の透明材料からなるとともに前記ブラックマトリクスに対して前記第二色の着色部の側に隣接して設けられている上記(6)に記載のカラーフィルタ;
(9)前記第一色の着色部が、前記基材に形成された有効表示領域における前記繰り返し方向のもっとも端に形成されている上記(1)から(8)のいずれかに記載のカラーフィルタ;
(10)着色層の上面に直接または配向膜を介して間接に、重合性液晶化合物が配向状態で固定化されてなる位相差層が積層されている上記(1)から(9)のいずれかに記載のカラーフィルタ;
としても上記本発明の目的を達成することができる。
【0023】
また本発明の液晶表示装置は、
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載のカラーフィルタと、液晶駆動用電極を備える液晶駆動基板とを、前記着色層および液晶駆動用電極を内側にして対向させ、その間に駆動液晶分子を封入してなる液晶表示装置;
を要旨とする。
【0024】
また本発明にかかるカラーフィルタの製造方法は、
(12)上記(1)または(2)に記載のカラーフィルタの製造方法であって、
前記基材に予定形成された有効表示領域内に前記第一色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして前記第一色の着色部を形成する工程と、
前記有効表示領域内であって前記第一の着色部に対して前記繰り返し方向に隣接する位置に、前記第二色の着色材料をインクジェット法で塗布し、これを固定化して前記第二色の着色部を形成する工程と、
前記有効表示領域内に前記第三色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記第一の着色部および前記第二の着色部にともに隣接する位置に前記第三色の着色部を形成する工程と、
をこの順で含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法;
(13)上記(1)または(2)に記載のカラーフィルタの製造方法であって、
前記基材に予定形成された有効表示領域内に親水性を有する前記第一色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして前記第一色の着色部を形成する工程と、
前記第一色の着色部の上面に直接または間接に、疎水性を有する疎水層を形成する工程と、
前記疎水層の形成領域を含む前記有効表示領域内に、親水性を有する前記第二色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記第一の着色部に対して前記繰り返し方向に隣接する位置に前記第二色の着色部を形成する工程と、
前記疎水層を前記第一色の着色部から除去する工程と、
前記有効表示領域内に前記第三色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記第一の着色部および前記第二の着色部にともに隣接する位置に前記第三色の着色部を形成する工程と、
をこの順で含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法;
(14)前記第一乃至第三色の着色部を各色二回ずつのフォトリソグラフィー工程によって形成する上記(1)または(2)に記載のカラーフィルタの製造方法であって、以下の(i)〜(vi)の工程のうち、
工程(i)および(ii)をこの順で行った後、
工程(iii)を単独で、または工程(iii)と(iv)とを同時に、または工程(iv)の後に工程(iii)を、行い、
さらに残余の工程を任意の順に行うことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
(i)前記基材に予定形成された有効表示領域内に前記第一色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記繰り返し方向の6n+1(nは0以上の整数)番目の位置に前記第一色の着色部を形成する工程;
(ii)有効表示領域内に前記第二色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記繰り返し方向の6n+3番目の位置に前記第二色の着色部を形成する工程;
(iii)有効表示領域内に前記第三色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記繰り返し方向の6n+5番目の位置に前記第三色の着色部を形成する工程;
(iv)有効表示領域内に前記第三色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記繰り返し方向の6n+2番目の位置に前記第三色の着色部を形成する工程;
(v)有効表示領域内に前記第一色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記繰り返し方向の6n+4番目の位置に前記第一色の着色部を形成する工程;
(vi)有効表示領域内に前記第二色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記繰り返し方向の6n+6番目の位置に前記第二色の着色部を形成する工程;
を要旨とする。
【0025】
なお本発明において、着色部の繰り返し方向(幅方向)に切った垂直断面の「外郭」とは、当該着色部の上面側、すなわち基材反対面側における輪郭を指すものである。また特に断りなく着色部の外郭形状という場合は、着色部を繰り返し方向に切った垂直断面の外郭を意味する。
【0026】
また本発明において、着色部の幅方向断面の外郭形状が「実質的に一方方向に偏って傾斜していない」とは、具体的には、着色部の上方に直接に、または配向膜などの他層を介して間接に、駆動用液晶分子または架橋性液晶分子を配置した際に、有効表示領域内でかつブラックマトリクスなどの遮光領域から露出した位置において上記液晶分子に配向不良を生じせしめる程度の一方方向に偏った傾斜を示していない状態を意味する。かかる状態のより望ましい例としては、着色部の外郭形状の全体が平坦である場合のほか、外郭に凸部や傾斜がある場合であっても、当該外郭の幅中央またはその近傍に平坦部が形成されている場合を含む。具体的には上記外郭のうち幅中央から片側35%(両側70%)の範囲内を所定間隔ごとにサンプリングして得られる近似曲線の勾配に異符号が含まれる場合をいい、傾きゼロを除いて当該範囲内の勾配が正または負のみの場合を除外する。すなわち該勾配がゼロもしくは正のみの場合、またはゼロもしくは負のみの場合、当該画素の着色部の外郭形状が実質的に一方方向に偏って傾斜しているものとする。なおサンプリング間隔としては、上記両側70%の範囲内を幅方向に20乃至40等分程度とすることができる。
【0027】
また本発明において、着色部の幅方向断面の外郭形状が「実質的に一方方向に偏って傾斜していない」状態のさらに好適な態様である「実質的に左右対称」であるとは、具体的には上記に加え更に(a)着色部の幅(画素幅)が150μm以下の場合は幅方向両端の高さの差が2500Å以下であること、(b)画素幅が150μm以上の場合は幅方向両端の高さの差が1700Å以下であることをいい、幅中央に対して両側がともに上がる場合、ともに下がる場合、一方が上がり他方が下がる場合、のいずれも含む。
着色部の外郭形状の測定には、例えば微細形状測定機ET4000L(小坂研究所社製)など、市販の三次元測定器を用いることができる。
なお、画素幅内における液晶分子の配向不良は画素幅が大きくなるほど顕著となることから、本発明においては上記(b)の場合における両端の高低差の許容値を、上記(a)の場合のそれよりも厳しいものとしている。
【0028】
本発明のカラーフィルタを構成する構成層において、「上」、「上方」、「上面」、あるいは「下」、「下方」、「下面」などの上下方向は、基材や着色層などカラーフィルタを構成する積層の相対的な位置関係を意味し、重力方向に対する上下を意味するものではない。
【0029】
本発明において「有効表示領域」とは、透過光が出/入射して所定の表示や観測が行われる領域を意味し、例えば本発明が液晶表示装置に用いられる場合には、該装置における画像表示領域に相当する領域を意味する。
【発明の効果】
【0030】
本発明のカラーフィルタにおける着色層は、これを構成する各着色部の断面の外郭形状が実質的に一方方向に傾斜しておらず、したがって、本発明のカラーフィルタを一方の基板として例えば液晶表示装置を形成した際に、着色層に直接または間接に面する駆動用液晶分子や架橋性液晶分子が、上記断面外郭の傾斜に起因する配向不良を起こす虞がない。したがって、本発明のカラーフィルタを用いて構成される液晶表示装置では、暗表示における光漏れの問題が生じず高品質の表示を提供することができる。
【0031】
具体的には、本発明にかかる着色層の上で駆動液晶分子をスイッチング駆動させる場合については、画素内における水平・垂直配向が着色層界面側においても良好におこなわれることから、液晶セルを通過する透過光に所望の位相差量を与えることができる。また従来、着色層の上面を平坦化するために着色層と駆動液晶分子との間に塗工形成されていた保護層をインセル位相差層で置き換えることにより省略することができ、液晶表示装置製造のコストダウンに貢献することができる。
【0032】
また本発明の着色層の上に塗布された架橋性液晶分子を垂直または水平に配向させ、これを固定化して位相差層を形成する場合についても同様であり、着色層界面側および層内における架橋性液晶分子の配向性が向上し、これを通過する透過光に所望の位相差量を与え、液晶表示装置の視野角拡大効果を所望に得ることができる。
またかかる場合も、着色層の上面を平坦化するための保護層を省略または有意に薄型化することが可能であり、液晶セルの薄膜化に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1(a)は、上記本発明の効果を奏する好ましい着色層11を基材16上に備えるカラーフィルタ10を、着色部12(R),(B),(G)の繰り返し方向に切った垂直断面模式図である。
基材16上には画素幅に対応するピッチでBM14がストライプ状または格子状に配置され、隣接するBM14同士の間に着色部12(R)〜(G)を固定形成することで当該画素を赤(R)、青(B)、緑(G)に色付けする。隣接する三つの着色部があわさって一つの絵素が構成される。カラーフィルタ10が液晶表示装置の一例として液晶テレビに用いられる場合、各絵素は数十〜数百μmのオーダーとなり、携帯電話表示画面に用いられる場合は一般にこれよりも小さなものとなる。
【0034】
同図(b)は、好ましい着色部12の外郭形状を示す模式図である。着色部12は外郭形状の全体が平坦である場合のほか、その幅方向の両端に上り(図示)または下り勾配がある場合についても、幅中央(CL)から片側35%、両側70%の幅範囲内(0.35W)にあたる平坦部24を幅方向に20乃至40等分してサンプリングした上面位置を結ぶ近似曲線の勾配が正と負の両方をもつ場合に、その外郭形状が実質的に一方方向に偏って傾斜していないといえる。
特に図示の場合のように着色部12の幅方向両側にBM14が塗工形成されている場合や、幅方向に隣接する位置に他の着色部が予め塗工形成されている場合、着色部12はこれに乗り上げて両側に凸部22a,22bが形成されることがある。かかる場合についても幅中央(CL)から片側35%幅にあたる平坦部24の幅内について外郭の傾きが正から負、または負から正に反転する場合には、着色部12の上面に直接または間接に塗布される液晶分子50の配向が画素内でバランスして液晶表示装置の光漏れの問題が低減される。
【0035】
またさらに好ましい着色部12の外郭形状として、幅方向両端に凸部22a,22bが形成されている着色部12においても、凸部22a,22bの高さの差(H)が所定以下である場合には、当該外郭形状が実質的に左右対称であって液晶分子50の配向性がさらに画素内でバランスするため好ましい。
凸部22a,22bの高さの差(H)としては、画素幅(W)が150μm未満と比較的小さい場合は2500Å以下、画素幅(W)が150μm以上と比較的大きい場合は1700Å以下を好適値とする。画素幅が大きい場合は、凸部22a,22bの近傍における液晶分子50の配向の乱れを画素幅内の液晶分子50全体でバランスしようとする打ち消しあいの効果が弱まるため、両端の高低差(H)にはより厳しい許容値(1700Å)を要する。
なお本発明の上記目的を達成するにあたり、着色部12の幅方向両端に形成される凸部自体の高さは問題ではなく、両端の高低差(H)が小さいことが好ましい。したがって着色部12が幅方向の両側に予め設けられた他の色の着色部に乗り上げるなどしてその両側に高い凸部23a,23bが形成された場合も、その高低差(H)が上記好適値を満足している限り、当該画素全体では配向不良に起因する光漏れの問題は生じない。凸部23a,23b近傍に存在する液晶分子50の配向が局所的に不良となったとしても、図12における着色部12(G)と同様、当該着色部の外郭形状は左右対称であって画素単位では光漏れの問題を生じないためである。
【0036】
なお本発明の説明においては便宜上、第一色の着色材料および着色部に対して赤色を意味する添字(R)を付し、第二色については青色を意味する(B)、第三色については緑色を意味する(G)をそれぞれ付しているが、着色層を構成する三色の色の選択や、その並び順はこれに限られるものではない。着色材料の三色の選択やその塗工順を相違させた場合についても、当業者であれば以下の説明に基づいて本発明を容易に実施可能である。
【0037】
以下、着色部の幅方向断面の外郭形状が上記のように実質的に一方方向に偏って傾斜することなく、好ましくは実質的に左右対称となるためのカラーフィルタの製造方法について説明する。
本発明の製造方法としては、大別して
(1)幅方向の一方側のみに隣接して既に設けられている着色部に対して次に塗布された着色材料が乗り上げることを防止する、乗り上げ防止方法;
(2)塗布された着色材料が、同じく一方側に隣接して設けられている着色部に対して乗り上げる高さを見込んで、他方側に予め突起部を形成しておく、突起部形成方法;
(3)着色材料が塗布される下地層が、幅方向の片側にのみ既に着色部が形成されているという状態をそもそも回避すべく、三色の着色材料を擬似的に偶数色(六色)の着色材料とみなし、これを飛び飛びにパターニングしていく、六色パターニング方法;
(4)塗布された着色材料、またはこれを硬化してなる着色部を、後処理により所望の形状とする、後処理方法;
の4通りを挙げることができる。
以下、各方法について順に説明する。
【0038】
<(1)乗り上げ防止方法>
図13を用いて既に説明した通り、第一色の着色部12(R)のみが塗工形成された基材16上に第二色の着色材料18(B)を塗布した場合、着色部12(R)への乗り上げによって第二色の着色部12(B)の断面外郭が一方方向に偏って傾斜することが問題となる。本発明においてはこれを防止するため、(i)第一色の着色部12(R)の上面と、これに乗り上げて塗布される第二色の着色材料18(B)の少なくとも一方を疎水性とする、(ii)第一色の着色部12(R)および第三色の着色部12(G)の固定形成には解像度の高いフォトリソグラフィー法を用い、第二色の着色材料18(B)の塗布にはインクジェット法を用いる、という二つの手段のいずれかを用いる。
【0039】
なお便宜上、本実施形態において基材16に塗布される着色材料の順番は、第一色の着色材料18(R)、第二色の着色材料18(B)、第三色の着色材料18(G)の順とする。
【0040】
ここで一般に、
(あ)着色部の親水性の上面に対して親水性の着色材料を塗布した場合の両者の親和性、
(い)着色部の親水性の上面に対して疎水性の着色材料を塗布した場合の両者の親和性、
(う)着色部の疎水性の上面に対して親水性の着色材料を塗布した場合の両者の親和性、
(え)着色部の疎水性の上面に対して疎水性の着色材料を塗布した場合の両者の親和性、
の大小関係を比較すると下式(1)の関係となる。
【0041】
(式1)
(あ)>(え)>(い)>(う) (1)
【0042】
なお上記親和性と着色材料の乗り上げ高さとは正の相関がある。すなわち幅方向の一方側に隣接して着色部が既に形成された下地層に対して他の着色材料を塗布した場合、従来のカラーフィルタにおいてはこれらの着色部と着色材料とがともに親水性であることが一般的であった。このため、第二色の着色部12(B)の予定形成領域に対し、幅方向の一方側に第一色の着色部12(R)が厚肉に形成され、他方側に基材16が露出しているかまたはBM14が薄肉で形成されている下地層の場合、この上に第二色の着色材料18(B)を塗布すると、一方側(第一色側)への乗り上げが卓越して高い凸部23が形成されていた。
【0043】
なお上記(i)のうち、第一色の着色部12(R)の上面を疎水化する方法としては更に、
(i−1)第一色の着色材料18(R)に疎水性材料を混合して、着色部12(R)の上面と内部とをともに疎水化する方法(第一実施形態)、または
(i−2)親水性の着色材料18(R)をパターニングして固定化した着色部12(R)に、疎水性を有する疎水層を着色部12(R)の上面に被着形成する方法(第二実施形態)、
を採ることができる。
第二色の着色部12(B)および第三色の着色部12(G)については、これらを疎水性とするか親水性とするかで複数の選択が可能である。
【0044】
[第一実施形態:上記(i−1)について]
第一実施形態においては更に、
(i−1a)第一色の着色部12(R)を疎水性とし、第二色の着色材料18(B)を親水性とする;
(i−1b)第一色の着色部12(R)を親水性とし、第二色の着色材料18(B)を疎水性とする;
(i−1c)第一色の着色部12(R)と第二色の着色材料18(B)とをともに疎水性とする;
という三通りを選択することができる。
【0045】
上記(i−1a)または(i−1b)とすることにより、第二色の着色材料18(B)の端部高さが第一色の着色部12(R)と隣接する一方側において低減され、予め着色部の設けられていない他方側の端部高さと平準化されることで、第二色の着色部12(B)が幅方向に左右対称となり、すなわち当該着色部の垂直断面の外郭形状が実質的に一方方向に偏って傾斜することがない。
また上記(i−1c)とすることにより、上記(あ)の関係に立つ従来のカラーフィルタと比較して、同じく第二色の着色部12(B)における端部側高さが低減され、他方側の端部高さと平準化されることで、第二色の着色部12(B)における光漏れの問題を軽減することができる。
【0046】
ここで上記(i−1a)の場合、第三色の着色材料18(G)を親水性とすると、これをフォトリソグラフィー法でパターニングしてなる第三色の着色部12(G)において、第二色の着色部12(B)に隣接する側にのみ高い凸部が形成されて、第三色の着色部12(G)の外郭形状が一方方向に偏って傾斜してしまうという問題が生じてしまう。第一色の着色部12(R)に隣接する側においては、第三色(親水性)は第一色(疎水性)と互いに極性が相違することから上記(う)および上式(1)の関係により第三色の着色材料18(G)は乗り上げが小さくなるのに対し、第二色(親水性)とは極性が一致し、かつ上記(あ)によりもっとも互いの親和性が良好で乗り上げも大きくなるためである。
したがって(i−1a)の場合、第三色の着色材料18(G)を疎水性として、上記(え)の関係により第二色の着色部12(B)との親和性を低下させることが好ましい。
【0047】
着色材料18を疎水性とするには、フッ素樹脂などの疎水性材料をこれに混合すればよい。
【0048】
また上記(i−1b)の場合についても、第三色の着色材料18(G)を疎水性とすることで、第一色への隣接側では上記(い)の関係となり、第二色への隣接側では上記(え)の関係となることから、これを固定化してなる第三色の着色部12(G)の幅方向両端における乗り上げ高さが平準化され、当該画素における垂直断面の外郭形状が実質的に一方方向に偏って傾斜することがない。
【0049】
また上記(i−1c)の場合については、第三色の着色材料18(G)が親水性であっても疎水性であってもよい。これが親水性である場合は、第一色への隣接側、第二色の隣接側とも、上記(う)の関係となって乗り上げ高さが等しくなる。またこれが疎水性である場合も、第一色への隣接側、第二色への隣接側とも、上記(え)の関係となって幅方向両側の乗り上げ高さが等しくなる。
ただし第三色の着色材料18(G)を親水性とすることで、上記(う)および上式(1)の関係に基づき着色部12(G)の両端高さがより低減され、光透過領域内に形成される平坦部24(図13を参照)の幅が拡大し、液晶分子50の配向性がより良好となるため好ましい。
【0050】
したがって本実施形態の着色層においては、三色のうち少なくとも二色の着色材料が疎水性であることが好ましく、特にこのうち二色のみが疎水性であることが好ましい。
【0051】
[第二実施形態:上記(i−2)について]
第二実施形態にかかるカラーフィルタは、親水性の着色材料18を固定化してなる着色部12の上面に疎水層を被着することにより、次に塗布される他の色の着色材料18との親和性を上式(1)に基づいて低減するものである。具体的には上記(i−1a)や(i−1c)における第一色の着色材料18(R)を親水性としておき、これをパターン固定してなる着色部12(R)の上面に疎水層を形成するとよい。
【0052】
着色部12の上面に疎水層を形成するにあたっては、着色部12をフッ素ガス雰囲気下で常圧プラズマ処理するなどして着色部12自体を上面において疎水化する方法と、フッ素樹脂などの疎水性材料を含有する疎水性インキを着色部12の上面に塗布してこれを乾燥固定することで疎水膜を作製する方法とがある。
【0053】
この場合、第二色および第三色の着色材料18(B),(G)の親水性・疎水性の選択は上記と同様である。したがって本実施形態の着色層においては、三色のうち少なくとも二色の着色部の上面が疎水性であることが好ましく、特にこのうち二色のみ、その上面が疎水性であることが好ましい。
【0054】
着色部12の上面に疎水層を形成して当該領域を疎水化することの目的は、その上に塗布される他の色の着色材料18との親和性を低下させて、当該着色部12に隣接して形成される他の色の着色部12の端部において高い凸部が形成されることを防ぐことにある。したがって疎水層は、当該着色部12の上面全体に形成されるほか、当該着色部12の上面のうち、上記他の色と隣接する一方側のみに形成してもよい。
【0055】
また本実施形態においては、所定の色の着色部12の上面に形成した疎水層を、後の工程において除去してもよい。具体的には以下の工程による。
本実施形態にかかるカラーフィルタ10の作製工程を図2に示す。
【0056】
第一工程として、BM14によって基材16上に予定形成された有効表示領域を覆うように、親水性を有する第一色の着色材料18(R)を所定の厚さで塗布し(同図(a))、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして第一色の着色部12(R)を固定形成する(同図(b))。形成された第一色の着色部12(R)は、幅方向の両側にBM14が等しく形成された基材16上に塗工されるため、外郭形状は幅方向の両側に低い凸部22a,22bが形成され、幅中央近傍に平坦部24が形成されて左右対称となる。
【0057】
第二工程として、第一色の着色部12(R)の上面全体に、または当該上面のうち第二色の着色部12(B)の予定形成側に、疎水性の疎水層26を形成する(同図(c))。疎水層26は、BM14の表面には形成されないことが好ましい。したがって本実施形態における疎水層26を、樹脂材料である着色部12(R)の上面をフッ素ガス雰囲気下での常圧プラズマ処理により疎水化して得る場合、BM14は当該処理によって疎水化されないよう、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等の遮光性または光吸収性を有する金属薄膜を基材16上にパターニングして形成しておくとよい。
また疎水層26は、着色部12(R)の上面のうち、図示のように全体に形成しても、第二色の着色部12(B)の予定形成領域に隣接する側にのみ形成してもよい。
【0058】
第三工程として、着色部12(R)を含む有効表示領域を覆うように第二色の着色材料18(B)を所定の厚さで塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして第二色の着色部12(B)を固定形成する(同図(d))。このとき、第一色の着色部12(R)の上面は少なくとも第二色隣接側において疎水性であるため、第二色の着色材料18(B)は疎水層26の上に塗布されずに弾かれるか、または僅かな乗り上げ高さとなり、実質的にBM14に対してのみ乗り上げることとなる。したがって、マスク開口21を介して第二色の着色材料18(B)を露光硬化し、さらにエッチング除去してなる第二色の着色部12(B)の外郭形状は実質的に一方方向に偏ることがなく左右対称となる(同図(e))。
【0059】
第四工程として、第一色の着色部12(R)の上面に形成された疎水層を除去する。これにより第一色の着色部12(R)の上面が親水性となる。ただし、疎水層が第一色の着色部12(R)の上面のうち、第二色隣接側にのみに形成されている場合、第三色隣接側はもともと親水性であるため本工程は不要である。
【0060】
第五工程として、第一色および第二色の着色部12(R),(B)を含む有効表示領域を覆うように第三色の着色材料18(G)を所定の厚さで塗布し(同図(f))、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして第三色の着色部12(G)を固定形成する(同図(g))。このとき、第一色の着色部12(R),第二色の着色部12(B)ともその上面は親水性であるため、第三色の着色材料18(G)は幅方向の両側においてこれらの着色部に等しく乗り上げて比較的高い凸部23が形成され、幅中央には平坦部24が形成される。
【0061】
以上により、着色層11における第一色乃至第三色の着色部12の断面外郭形状をいずれも実質的に一方方向に偏らせることなく、左右対称とすることができる。
【0062】
本実施形態に示すように、着色部12を構成する着色材料18とは異なる極性の層を着色部12の上面に積層形成した状態で他の色の着色材料を塗布することで、先に塗布されて固定化された着色材料と後に塗布された着色材料とが同一極性であっても、後に塗布された着色材料の乗り上げが防止される。これを第一色の着色材料18(R)と第二色の着色材料18(B)とに適用した場合、第三色の着色部12(G)の外郭形状を幅方向に左右対称とするためには、その幅方向両側に隣接する第一色および第二色の着色部12(R),(B)のうち少なくとも上面の極性を等しくする必要がある。
【0063】
かかる方法は二通りあり、ひとつには本実施形態のように、第一色の着色部12(R)の上面に形成した疎水層を、第二色の着色材料18(B)の塗工後、かつ第三色の着色材料18(G)の塗布前に除去するとよい。疎水層を除去するにあたっては、第一色の着色部12(R)のみ、または第一色および第二色の着色部(R),(B)をともに、疎水層の形成厚さ程度にその上面を削り加工すればよい。
ふたつには、第二色の着色部12(B)の固定化後に、その上にもまた疎水層を積層形成する方法である。すなわち第一色と第二色の着色部12(R),(B)の上面をともに疎水性にすることで、第三色の着色材料18(G)が幅方向の両側に対して乗り上げる高さが等しく抑えられる。
【0064】
本実施形態のカラーフィルタ10の場合、第一色の着色部12(R)と第二色の着色部12(B)の両端は実質的にBM14にのみ乗り上げる形となり、第三色の着色部12(G)は既に形成された他の色の着色部12に乗り上げる形となる。したがって、有効表示領域における着色部の繰り返し方向(幅方向)のうち、もっとも端には最初または二番目に塗工される着色部(本実施形態では第一色または第二色の着色部(R),(B))を形成し、三番目に塗工される着色部(本実施形態では第三色の着色部(G))は端より二番目または三番目に塗工されるとよい。
【0065】
[第三実施形態:上記(ii)について]
着色材料18を塗布する下地が幅方向の片側にのみ大きく突出していることに起因して当該着色材料18を固定化してなる着色部12が左右非対称となる本発明の課題を解決する方法として、本実施形態においては、第一色および第三色の着色部12(R),(G)の塗工形成にはフォトリソグラフィー法を用い、第二色の着色材料18(B)の塗布にはインクジェット法を用いる。これにより、フォトリソグラフィー法による着色部12の高解像度化と、インクジェット法による着色材料18の塗布形状の左右対称化を両立させることができる。
【0066】
図3に、本実施形態にかかるカラーフィルタ10の作製工程を示す。
同図(a)は、第一乃至第三色の予定形成位置13(R),(B),(G)がBM14によって区画形成された基材16の上面のうち全面または少なくとも有効表示領域を覆うように第一色の着色材料18(R)を塗布し、フォトマスク20のマスク開口21を通じて第一色の予定形成位置13(R)に紫外線をパターン照射している状態を示す。
【0067】
同図(b)は、上記マスク露光における未露光部をエッチング除去して第一色の着色部12(R)を残存形成した状態を示す。着色部12(R)は、幅方向の両端がBM14に等しく乗り上げて比較的低い凸部22が突出形成され、その間に平坦部24が形成されて外郭形状が実質的に左右対称をなしている。
【0068】
同図(c)は、第二色の予定形成位置13(B)にインクジェット法によって第二色の着色材料18(B)を塗布し、これを加熱または露光などによって硬化させて第二色の着色部12(B)を作製した状態を示す。
基材16上の任意位置にオンデマンドで着色材料18を塗布可能なインクジェット法により、第二色の予定形成位置13(B)の両側に配置されたBM14a,14bの間に第二色の着色材料18(B)を塗布することで、既に固定形成されている第一色の着色部12(R)の影響を受けず、第二色の着色部12(B)の外郭形状を左右対称化することができる。
【0069】
本実施形態においては、第二色の着色材料18(B)はBM14a,14bにそれぞれ乗り上げるようにして塗布されている。これにより、予定形成位置13(B)におけるBM14a,14bの隣接域で、白色光が未着色のまま透過してしまう色抜けが生じない。
ただし、第二色の着色材料18(B)が第一色の着色部12(R)に乗り上げることを防止して本発明の目的を達成するため、塗布される第二色の着色材料18(B)は第一色の着色部12(R)と接触しないことが好ましく、BM14a,14bで挟まれる光透過領域内に、BM14a,14bの立面のうち内側にのみ接触するように塗布してもよい。
【0070】
同図(d)は、第三色の着色材料18(G)を基材16上に塗布し、フォトマスク20のマスク開口21を通じて第三色の予定形成位置13(G)に紫外線をパターン照射している状態を示す。図示のように、BM14、第一色および第二色の着色部12(R),(B)の形成領域においては着色材料18(G)がその粘性により膨出している。
【0071】
同図(e)は、着色材料18(G)の未露光部をエッチング除去して、第三色の着色部12(G)を基材16上に残存形成した状態を示す。着色部12(G)は、幅方向のうち、第二色隣接側(図中左方)についてはBM14および第二色の着色部12(B)に大きく乗り上げて、他方、第一色隣接側(図中右方)についてもBM14および着色部12(R)に大きく乗り上げてともに比較的高い凸部23が形成され、外郭形状が実質的に左右対称になるとともに中央に平坦部24が形成されている。
【0072】
本実施形態のカラーフィルタ10のように、第二色の着色部12(B)のみをインクジェット法によって塗工形成することで、第一色の着色部12(R)の影響を受けることがなく、また第三色の着色部12(G)についても、その両側に既に形成された第一色および第二色の着色部12(R),(B)に略同等に乗り上げさせることによって、各色の着色部12の外郭形状が実質的に一方方向に偏ることがない。
【0073】
<(2)突起部形成方法>
[第四〜第六実施形態について]
基材上に順に塗工される三色の着色部のうち二番目に塗工される着色部において外郭形状が実質的に一方方向に偏って傾斜することに起因する光漏れの問題を解決する第二の方法として、第二色の着色部12(B)の予定形成領域のうち、第三色の着色部12(G)の予定形成領域と隣接する側に、第一色の着色部12(R)の上面と面一の高さの突起部15を予め形成しておく、突起部形成方法を挙げる。
すなわち、第二色の着色材料18(B)が第一色の側に乗り上げることを予め見込んで、これと同等の乗り上げが生じるよう、第三色の側に突起部15を立設するのである。これにより、第二色の着色部12(B)はその幅方向両側について、一方は第一色の着色部12(R)に、他方は突起部15に、それぞれ等しく乗り上げることで、当該着色部の外郭形状が実質的に左右対称となり、すなわち実質的に一方方向に偏ることがない。
また第三色の着色材料18(G)についても、突起部15に対する乗り上げと、第一色の着色部12(R)への乗り上げとが幅方向の両側でほぼ等しく生じるため、第三色の着色部12(G)もまた実質的に左右対称となる。
【0074】
したがって本発明において、着色層11の下層すなわち基材16と着色層11との間に設けられる突起部15の上端高さが第一色の着色部12(R)の上面と面一であるとは、塗工形成される第二色および第三色の着色部12(B),(G)の外郭形状がともに実質的に一方方向に偏ることがなく、その結果として、着色層11の上方に直接または間接に塗布されて所定方向に配向される液晶分子50が画素単位で配向不良を生じることがない状態をいう。換言すると上記面一とは、本発明のカラーフィルタが用いられる液晶表示装置に光漏れの問題が生じることがないという本発明の目的を果たす限りにおいて突起部15の上端と第一色の着色部12(R)の上面の高さが揃っていることをいい、数学的な厳密さで両者が同一の高さであることを要するものでないことは当業者にとって明らかである。
【0075】
突起部15を立設する位置としては、第二色の着色部12(B)と第三色の着色部(G)との境界領域のうち、幅方向の中央であっても、第二色側または第三色側のいずれかに寄っていてもよい。第二色の着色部12(B)と第三色の着色部12(G)の外郭形状を同等とするためには、着色部12(B),(G)の境界領域の中央に突起部15を立設するとよい。
各色の着色部12の平面視形状が短冊状で着色層11がストライプ状である場合、突起部15も短冊状となる。また各色の着色部12の平面視形状が矩形状や三角形状で着色層11がマトリクス状である場合、突起部15もマトリクス状に配置される。
【0076】
突起部15を光(可視光)透過性とするか、遮光性とするかについては、着色部12同士を区画する遮光性のBM14を基材16上に備えるか否か、および突起部15がBM14に掩蔽される位置に配置されるか否かによって選択される。
すなわち着色部12同士を区画するBM14を有しないカラーフィルタ10については、突起部15によって有効表示領域内に遮光部が形成されてしまうことを避けるため、突起部15は光透過性の樹脂材料などで作製することが好ましい。
一方、着色部12同士の間、特に第二色の着色部12(B)と第三色の着色部(G)との間にBM14を備えるカラーフィルタ10の場合であって、BM14による遮光域内に突起部15を立設する場合は、突起部15が光透過性であるか遮光性であるかを問わない。またBM14を備えるカラーフィルタ10の場合であって、突起部15が光透過領域に露出して立設される場合については、突起部15はアクリレート系樹脂やエポキシ系樹脂などの無色透明材料か、または当該露出領域に対応する着色部と同色系の透明材料により作製するとよい。
ここで突起部15が着色部12と同色系であるとは、カラーフィルタ10を用いた液晶表示装置による明表示に際し、突起部15を画素内に含む絵素におけるカラー表示に色シフトが生じたことが観察者に視認できない程度に近接した色相であることをいう。
またカラーフィルタ10を通過する可視光が突起部15と着色部12とで二度の着色を受けることとなるため、突起部15を着色部12と同色系の有色透明材料で作製する場合はその着色濃度を着色部12のそれよりも低くして、突起部15およびその上に形成される凸部22a,22bをともに通過する可視光が、平坦部24を通過する可視光と同等に着色されるよう調整することが好ましい。
【0077】
以下、第四実施形態として、
(iii−1)BM14を有しないカラーフィルタ10において本発明を実現するための着色層11の作製方法について、図4を用いて説明する。
つぎに、第五実施形態として、
(iii−2)BM14を備える本発明のカラーフィルタ10にであって、BM14による遮光域内に突起部15を立設した着色層11の作製方法(ii−2)について、図5を用いて説明する。
さらに、第六実施形態として、
(iii−3)BM14を備える本発明のカラーフィルタ10であって、BM14より露出した光透過領域に突起部15を立設した着色層11の作製方法(ii−3)について、図6を用いて説明する。
【0078】
(第四実施形態:上記(iii−1)について)
図4(a)は、光透過性の基材16の上面に、無色透明材料からなる突起部15を立設した状態を示す断面図である。後述のように突起部15は第二色の着色部12(B)と第三色の着色部12(G)との境界に位置するため、これを通過する可視光の透過性を損なわず、また可視光に所望以外の色を与えることのないよう、無色透明とすることが好ましい。
【0079】
基材16には、アライメントマーク(図示せず)などを利用して、第一色〜第三色の着色部12(R),(B),(G)の塗工位置が予定形成されている。すなわち第一色の着色部12(R)の予定形成位置13(R)、第二色の着色部12(B)の予定形成位置13(B)、第三色の着色部12(G)の予定形成位置13(G)が基材16の幅方向に横並びに繰り返し仮想区画されている。突起部15はこのうち予定形成位置13(B)と13(G)との間に配置されている。
【0080】
同図(b)は、基材16上面のうち全面または少なくとも有効表示領域を覆うように第一色の着色材料18(R)を塗布し、フォトマスク20のマスク開口21を通じて第一色の予定形成位置13(R)に紫外線をパターン照射している状態を示す。
【0081】
同図(c)は、上記マスク露光における未露光部をエッチング除去して第一色の着色部12(R)を残存形成した状態を示す。着色部12(R)は、基材16の上面形状と同様、幅方向にフラットであって外郭形状の全体が平坦部24である。
なお同図に示すように、突起部15の上端高さは第一色の着色部12(R)の上面と面一である。換言すると、予め決定された着色部12(R)の塗工厚さと同等高さとなるように、同図(a)に示す初期状態にて突起部15を基材16上に立設しておく。
【0082】
同図(d)は、第二色の着色材料18(B)を基材16上に塗布し、フォトマスク20のマスク開口21を通じて第二色の予定形成位置13(B)に紫外線をパターン照射している状態を示す。図示のように、着色部12(R)および突起部15の形成領域においては着色材料18(B)がその粘性により膨出している。
【0083】
同図(e)は、着色材料18(B)の未露光部をエッチング除去して、第二色の着色部12(B)を基材16上に残存形成した状態を示す。着色部12(B)は、幅方向のうち、第一色隣接側(図中左方)を着色部12(R)に乗り上げ、第三色隣接側(図中右方)を突起部15に乗り上げていずれも比較的低い凸部22が形成され、外郭形状が実質的に左右対称になるとともに中央に平坦部24が形成されている。
【0084】
同図(f)は、第三色の着色材料18(G)を基材16上に塗布し、フォトマスク20のマスク開口21を通じて第三色の予定形成位置13(G)に紫外線をパターン照射している状態を示す。図示のように、着色部12(R),(B)および突起部15の形成領域においては着色材料18(G)がその粘性により膨出している。
【0085】
同図(g)は、着色材料18(G)の未露光部をエッチング除去して、第三色の着色部12(G)を基材16上に残存形成した状態を示す。着色部12(G)は、幅方向のうち、第二色隣接側(図中左方)を突起部15および着色部12(B)に乗り上げ、第一色隣接側(図中右方)を着色部12(R)に乗り上げていずれも比較的低い凸部22が形成され、外郭形状が実質的に左右対称になるとともに中央に平坦部24が形成されている。
【0086】
このように本実施形態にかかるカラーフィルタ10では、第二色の予定形成位置13(B)と第三色の予定形成位置13(G)との間に突起部15を予め立設しておくことで、その上に塗布される着色材料18(B)および(G)の乗り上げを所望に制御し、固定形成される着色部12(B),(G)の両端の高さを略同等とし、もって外郭形状を左右対称化している。
【0087】
(第五実施形態:上記(iii−2)について)
図5(a)は、光透過性の基材16の上面に、遮光性のBM14をストライプ状やマトリクス状などに塗工形成し、第一色乃至第三色の着色部12(R),(B),(G)の予定形成位置13(R),(B),(G)が区画された状態を示す。また第二色の予定形成位置13(B)と第三色の予定形成位置13(G)との間にあたるBM14の上には、突起部15が立設されている。
すなわち突起部15は、BM14による遮光域内に配置されている。したがって突起部15は光透過性材料であっても遮光性材料であってもよく、その色も任意である。
【0088】
同図(b)は、基材16上面のうち全面または少なくとも有効表示領域を覆うように第一色の着色材料18(R)を塗布し、フォトマスク20のマスク開口21を通じて第一色の予定形成位置13(R)に紫外線をパターン照射している状態を示す。
【0089】
同図(c)は、上記マスク露光における未露光部をエッチング除去して第一色の着色部12(R)を残存形成した状態を示す。着色部12(R)は、幅方向の両端がBM14に等しく乗り上げて、比較的低い凸部22が突出形成され、その間に平坦部24が形成されて外郭形状が実質的に左右対称をなしている。
なお同図に示すように、BM14の上に立設された突起部15の上端高さは、第一色の着色部12(R)のうち、BM14に乗り上がった凸部22における上面と面一である。換言すると、予め塗工形成された着色部12(R)のうち第二色隣接側の上面高さから、BM14の塗工厚さを減じた高さが、突起部15自体の高さと同等となるように、同図(a)に示す初期状態にて突起部15をBM14上に立設しておく。
【0090】
同図(d)は、第二色の着色材料18(B)を基材16上に塗布し、フォトマスク20のマスク開口21を通じて第二色の予定形成位置13(B)に紫外線をパターン照射している状態を示す。図示のように、BM14、第一色の着色部12(R)および突起部15の形成領域においては着色材料18(B)がその粘性により膨出している。
【0091】
同図(e)は、着色材料18(B)の未露光部をエッチング除去して、第二色の着色部12(B)を基材16上に残存形成した状態を示す。着色部12(B)は、幅方向のうち、第一色隣接側(図中左方)については、BM14および既に固定形成されている着色部12(R)に大きく乗り上げ、他方、第三色隣接側(図中右方)についても、BM14および突起部15に大きく乗り上げて比較的高い凸部23が形成され、外郭形状が実質的に左右対称になるとともに中央に平坦部24が形成されている。
【0092】
同図(f)は、第三色の着色材料18(G)を基材16上に塗布し、フォトマスク20のマスク開口21を通じて第三色の予定形成位置13(G)に紫外線をパターン照射している状態を示す。図示のように、BM14、第一色および第二色の着色部12(R),(B)ならびに突起部15の形成領域においては着色材料18(G)がその粘性により膨出している。
【0093】
同図(g)は、着色材料18(G)の未露光部をエッチング除去して、第三色の着色部12(G)を基材16上に残存形成した状態を示す。着色部12(G)は、幅方向のうち、第二色隣接側(図中左方)をBM14および突起部15に大きく乗り上げて、他方、第一色隣接側(図中右方)についてもBM14および着色部12(R)に大きく乗り上げてともに比較的高い凸部23が形成され、外郭形状が実質的に左右対称になるとともに中央に平坦部24が形成されている。
【0094】
このように本実施形態にかかるカラーフィルタ10では、第二色の予定形成位置13(B)と第三色の予定形成位置13(G)とを区画するBM14上に突起部15を予め立設しておくことで、その上に塗布される着色材料18(B)および(G)の乗り上げを所望に制御し、固定形成される着色部12(B),(G)の両端の高さを略同等とし、もって外郭形状を左右対称化している。またBM14による遮光領域内に突起部15を配置することからその材料が透明材料である必要がなく、これをBM14と同一の遮光性材料で作製することができる。すなわち本実施形態においては、突起部15とBM14とを一体に作製してもよい。
具体的には、第二色の予定形成位置13(B)と第三色の予定形成位置13(G)とを区画するBM14についてのみ、その外郭形状を階段状やL字状、テーパー状、厚肉の矩形状とするなどして、他のBM14よりも上端高さを高くすることで、突起部15の機能を当該BM14に併せもたせることができる。
したがってかかる場合、BM14はフォトリソグラフィー法やフレキソ印刷法などの印刷法によって黒色樹脂材料を基材16上に塗工形成するとよい。BM14を厚肉に形成することが可能であって、かつ所望の外郭形状に調整が可能なためである。
【0095】
(第六実施形態:上記(iii−3)について)
図6(a)は、光透過性の基材16の上面に、遮光性のBM14をストライプ状やマトリクス状などに塗工形成し、第一色乃至第三色の着色部12(R),(B),(G)の予定形成位置13(R),(B),(G)が区画された状態を示す。また第二色の予定形成位置13(B)と第三色の予定形成位置13(G)との間にあたるBM14に対して、第二色の予定形成位置13(B)側に隣接して突起部15が立設されている。
すなわち突起部15は、BM14から露出した光透過領域内に配置されている。したがって突起部15は光透過性材料である必要があり、その色は無色または第二色と同色系である。
【0096】
同図(b)は、基材16上面のうち全面または少なくとも有効表示領域を覆うように第一色の着色材料18(R)を塗布し、フォトマスク20のマスク開口21を通じて第一色の予定形成位置13(R)に紫外線をパターン照射している状態を示す。
【0097】
同図(c)は、上記マスク露光における未露光部をエッチング除去して第一色の着色部12(R)を残存形成した状態を示す。着色部12(R)は、幅方向の両端がBM14に等しく乗り上げて、比較的低い凸部22が突出形成され、その間に平坦部24が形成されて外郭形状が実質的に左右対称をなしている。
なお同図に示すように、BM14に隣接して立設された突起部15の上端高さは、第一色の着色部12(R)のうち、BM14に乗り上がった凸部22における上面と面一である。換言すると、予め塗工形成された着色部12(R)のうち第二色隣接側の上面高さと突起部15の高さとが同等となるように、同図(a)に示す初期状態にて突起部15をBM14に隣接して立設しておく。
【0098】
同図(d)は、第二色の着色材料18(B)を基材16上に塗布し、フォトマスク20のマスク開口21を通じて第二色の予定形成位置13(B)に紫外線をパターン照射している状態を示す。図示のように、BM14、第一色の着色部12(R)および突起部15の形成領域においては着色材料18(B)がその粘性により膨出している。
【0099】
同図(e)は、着色材料18(B)の未露光部をエッチング除去して、第二色の着色部12(B)を基材16上に残存形成した状態を示す。着色部12(B)は、幅方向のうち、第一色隣接側(図中左方)については、BM14および既に固定形成されている着色部12(R)に大きく乗り上げ、他方、第三色隣接側(図中右方)についても、突起部15に大きく乗り上げて比較的高い凸部23が形成され、外郭形状が実質的に左右対称になるとともに中央に平坦部24が形成されている。
また第二色の着色部12(B)の第三色隣接側(図中右方)は、突起部15を超えてBM14に至っている。これにより、後述する第三色の着色材料18(G)の下地となる着色部12(B)が、BM14上に塗工形成されることとなる。
【0100】
同図(f)は、第三色の着色材料18(G)を基材16上に塗布し、フォトマスク20のマスク開口21を通じて第三色の予定形成位置13(G)に紫外線をパターン照射している状態を示す。図示のように、BM14、第一色および第二色の着色部12(R),(B)ならびに突起部15の形成領域においては着色材料18(G)がその粘性により膨出している。
【0101】
同図(g)は、着色材料18(G)の未露光部をエッチング除去して、第三色の着色部12(G)を基材16上に残存形成した状態を示す。着色部12(G)は、幅方向のうち、第二色隣接側(図中左方)をBM14および第二色の着色部12(B)に大きく乗り上げて、他方、第一色隣接側(図中右方)についてもBM14および着色部12(R)に大きく乗り上げてともに比較的高い凸部23が形成され、外郭形状が実質的に左右対称になるとともに中央に平坦部24が形成されている。
【0102】
このように本実施形態にかかるカラーフィルタ10では、第二色の予定形成位置13(B)と第三色の予定形成位置13(G)とを区画するBM14に隣接して突起部15を立設することによっても各色の着色部12の外郭形状を実質的に左右対称とすることができる。
【0103】
また本実施形態については、予定形成位置13(B)と13(G)とを区画するBM14を挟むようにして幅方向の両側にそれぞれ突起部15を立設してもよい。すなわち当該BM14のうち第二色隣接側には無色透明または第二色と同色系の有色透明材料からなる第一の突起部15を配置し、同BM14のうち第三色隣接側には無色透明または第三色と同色系の有色透明材料からなる第二の突起部15(図示せず)を配置してもよい。
【0104】
上記第一〜第八実施形態の着色層11においては、幅方向に繰り返し配置される三色の着色部12(R),(B),(G)のうち、最初に固定形成される色の着色部が、基材に形成された有効表示領域における繰り返し方向のもっとも端に位置していることが好ましい。すなわち上記各実施形態の着色層11は、これを構成する各色の着色部12の幅方向両端が乗り上げる下地層の高さを同等にする点で共通するものであるが、有効表示領域のもっとも端においては繰り返し方向の一方側にのみ着色部12が並び配置され、他方側には着色部12が配置されない場合があるため、当該もっとも端に位置する着色部12に関しては前記一方側にのみ凸部が大きく突出する虞があるためである。
【0105】
図7は、三色の着色部12(R),(B),(G)を幅方向(図中左右方向)に並べ配置して着色層11を作製する状態を示す工程図である。
上記各実施形態においては、同図(a)に示すように基材16の上面にBM14が分散配置されて有効表示領域28および各色の予定形成位置13(R),(B),(G)が区画されている。同図の場合、有効表示領域28の左端から順に青色、緑色、赤色の順に着色部12が繰り返し配置される。したがって有効表示領域28の右端には赤色の着色部12が位置することとなる。
【0106】
最初に固定形成される第一色の着色部12の形成位置としては、上述のように有効表示領域28のもっとも端が好ましい。したがって同図(b)に示すように、有効表示領域28の幅方向の一方の端(同図では右端が選択されている)に、第一色の着色部として着色部12(R)が固定形成されている。
【0107】
ここで上記第一〜第六実施形態にかかる着色層11の場合、二番目に固定形成される着色部12を右端から二番目にあたる緑色とすると、最後に固定形成される着色部が青色となり、有効表示領域28の左端において着色部12(B)の外郭形状が左右非対称となる虞がある。有効表示領域28の左端においては、それよりも左方に他の着色部12が存在しないため、左端から二番目に位置する緑色の着色部12(G)にのみ端部が大きく乗り上げて比較的高い凸部23が形成されるためである。
したがって二色目としては、同図(c)に示すように、有効表示領域28の幅方向の他方の端(同図では左端)に配置すべき色の着色部12を選択するとよい。左端の画素については、その両側のいずれにも他の色の着色部12が固定形成されていないため、着色部12(B)はBM14のみに等しく乗り上げて外郭形状が実質的に左右対称となる。
また有効表示領域28の左端以外の位置に形成される着色部12(B)についても、上記第一〜第六実施形態の各方法の作用によって実質的に左右対称の外郭形状となる。
【0108】
すなわち上記第一〜第六実施形態においては、第一色目の着色部12と、第二色目の着色部12として、有効表示領域28のそれぞれ両端に配置される色を選択することが好ましい。
【0109】
<(3)六色パターニング方法>
[第七および第八実施形態について]
基材上に順に塗工される三色の着色部のうち二番目に塗工される着色部において外郭形状が実質的に一方方向に偏って傾斜することに起因する光漏れの問題を解決する第三の方法として、三色の着色材料を擬似的に偶数色(六色)の着色材料とみなし、これを飛び飛びにパターニングしていく、六色パターニング方法を挙げる。
すなわち本実施形態は、幅方向の隣接する片側にのみ着色部が既に形成されている位置には新たな着色部を固定形成せず、幅方向の両側にいずれも着色部が形成されているか、またはいずれもこれが形成されていない位置にのみ新たな着色部を固定形成していく方法である。かかる方法は、三回(奇数回)のフォトリソグラフィー法によるパターニングでは不可能であるが、三色の着色材料を仮想的に六色とみなし、各色二回ずつのフォトリソグラフィー工程をおこなうことでこれが可能となる。
【0110】
すなわち、例えばRGBの三色カラーフィルタの場合についていえば、赤(R)→青(B)→緑(G)→赤(R)→青(B)→緑(G)・・・と繰り返し並ぶ着色部12を、赤1(R1)→青1(B1)→緑1(G1)→赤2(R2)→青2(B2)→緑2(G2)→赤1(R1)・・・とみなし、赤1を繰り返し順の6n+1番目、青1を6n+2番目、緑1を6n+3番目、赤2を6n+4番目、青2を6n+5番目、緑2を6n+6番目の位置に塗工する。nは0以上の整数である。ただしここでいう1番目とは、着色部12が繰り返し配置される有効表示領域の幅方向の端を意味するものでは必ずしもない。
【0111】
ここで、6n+1番目(赤1)を最初に塗工したとすると、次に6n+3番目(緑1)または6n+5番目(青2)を塗工する。
続けて、既に塗工された着色部の間にあたる6n+2番目(青1)もしくは6n+4番目(緑2)を塗工するか、または、両側にまだ着色部が塗工されていない6n+5番目(青2)もしくは6n+3番目(緑1)を塗工するのである。
以降も同様に、両側に既に着色部が形成されている位置か、または両側にいずれも着色部が形成されていない位置を選択して、フォトリソグラフィー法により新たな着色部をパターニングしてゆけばよい。
【0112】
具体的には以下の三通りの塗工順を採ることができる。
(iv−1)6n+1番目(赤1)→6n+3番目(緑1)→6n+5番目(青2)の順に塗工し、以降は任意順で残余の着色部(青1,赤2,緑2)を塗工する。
(iv−2)6n+1番目(赤1)→6n+3番目(緑1)の順に塗工し、続けて6n+2番目(青1)と6n+5番目(青2)とを同時に塗工し、以降は任意順で残余の着色部(赤2,緑2)を塗工する。
(iv−3)6n+1番目(赤1)→6n+3番目(緑1)→6n+2番目(青1)→6n+5番目(青2)の順に塗工し、以降は任意順で残余の着色部(赤2,緑2)を塗工する。
【0113】
ただし上記(iv−1)〜(iv−3)においては、第一番目には赤1を塗工し、第二番目には緑1を塗工するものとしている。上記のように赤1の次には青2を塗工してもよいが、青2(6n+5番目)は赤1を基準として緑1(6n+3番目)の鏡面対象位置にあたることから、第二番目に青2を塗工する場合は、以降の着色部も赤1を基準として上記(iv−1)〜(iv−3)と鏡面対象の位置に塗工すればよい。
すなわち着色材料の三色の色の選択やその並び順が任意である本発明においては、第一番目に6n+1番位置の着色部を塗工し第二番目に6n+3番位置の着色部を塗工すると表現することと、第一番目に6n+1番位置の着色部を塗工し第二番目に6n+5番位置の着色部を塗工すると表現することとが同じ意味であることは当業者にとって明らかである。
【0114】
(第七実施形態について)
上記(iv−1)および(iv−2)の工程について、図8を用いて説明する。
同図(a)は、6n+1番目の位置に赤1にあたる着色部12(R1)をフォトリソグラフィー法によって塗工形成した状態を示す。なお、同図の左端を6n+1番位置とし、右に向かって6n+2番位置、6n+3番位置、・・・、6n+6番位置と設定する。
なお、基材16上にはBM14が配置されて、各色の着色部の予定形成位置を区画している。したがって着色部12(R1)は、幅方向の両側がBM14に乗り上げて比較的低い凸部22が等しく形成され、その外郭形状が左右対称に形成されている。
【0115】
同図(b)は、同図(a)に続けて、6n+3番目の位置に、緑1にあたる着色部12(G1)をフォトリソグラフィー法にて塗工形成した状態を示す。
同図(c)は、同図(b)に続けて、6n+5番目の位置に、青2にあたる着色部12(B2)をフォトリソグラフィー法にて塗工形成した状態を示す。
これにより、まず奇数番目の位置に着色部12がすべて飛び飛びに塗工されたこととなる。また着色部12(G1),(B2)は、いずれも両端がBM14に等しく乗り上げて比較的低い凸部22が形成されて外郭形状は実質的に左右対称となる。
【0116】
同図(d−1)は、同図(c)に続けて、6n+2番目の位置に、青1にあたる着色部12(B1)をフォトリソグラフィー法にて塗工形成した状態を示す。ただし青1と青2とはともに青色であることから、同図(c)の状態を経ることなく、同図(b)に続けて6n+2番目と6n+5番目の位置に、ともに青色である着色部12(B1)と着色部12(B2)とをフォトリソグラフィー法にて同時に塗工形成することができる。これによりフォトリソグラフィー法の繰り返し回数を1回減ずることができる。
【0117】
同図(d−2)および(d−3)は、同図(c)の状態を経由した場合に、続けて6n+4番目の位置に赤2にあたる着色部12(R2)をフォトリソグラフィー法にて塗工した状態、および同じく同図(c)の状態に続けて6n+6番目の位置に緑2にあたる着色部12(G2)を塗工した状態を示す。
【0118】
同図(e−1)は、同図(d−1)に続けて6n+4番目の位置に赤2にあたる着色部12(R2)をフォトリソグラフィー法にて塗工した状態、または同図(d−2)に続けて6n+2番目の位置に青1にあたる着色部12(B1)を塗工した状態を示す。
【0119】
同図(e−2)は、同図(d−1)に続けて6n+6番目の位置に緑2にあたる着色部12(G2)をフォトリソグラフィー法にて塗工した状態、または同図(d−3)に続けて6n+2番目の位置に青1にあたる着色部12(B1)を塗工した状態を示す。
【0120】
同図(e−3)は、同図(d−2)に続けて6n+6番目の位置に緑2にあたる着色部12(G2)をフォトリソグラフィー法にて塗工した状態、または同図(d−3)に続けて6n+4番目の位置に青1にあたる着色部12(B1)を塗工した状態を示す。
【0121】
着色部12(B1),(R2),(G2)はいずれも、幅方向両側に予め塗工形成された着色部12に大きく乗り上げるため、その幅方向両端に比較的高い凸部23が形成されるが、両端高さは等しくなるため外郭形状は実質的に左右対称である。
【0122】
同図(f)は、すべての着色部12がフォトリソグラフィー法にて塗工されて着色層11が作製された状態を示す。図示のように、6n+1,6n+3,6n+5番目に位置する着色部12はその両側のBM14に幅方向の左右が等しく乗り上げて比較的低い凸部22が突出形成され、6n+2,6n+4,6n+6番目に位置する着色部12はその両側のBM14および他の着色部12に幅方向の左右が等しく乗り上げて比較的高い凸部23が突出形成され、いずれの着色部12も外郭形状が実質的に左右対称となる。
【0123】
(第八実施形態について)
上記(iv−3)の工程について、図9を用いて説明する。
同図(a)および(b)は上記第七実施形態と共通である。同図(c)は、同図(b)に続けて、6n+2番目の位置に、青1にあたる着色部12(B1)をフォトリソグラフィー法にて塗工形成した状態を示す。
同図(d)は、同図(c)に続けて、6n+5番目の位置に、青2にあたる着色部12(B2)をフォトリソグラフィー法にて塗工形成した状態を示すものである。
同図(e−1)は、同図(d)に続けて、6n+4番目の位置に、赤2にあたる着色部12(R2)をフォトリソグラフィー法にて塗工形成した状態を示すものである。
同図(e−2)は、同図(d)に続けて、6n+6番目の位置に、緑2にあたる着色部12(G2)をフォトリソグラフィー法にて塗工形成した状態を示すものである。
同図(f)は、すべての着色部12がフォトリソグラフィー法にて塗工されて着色層11が作製された状態を示す。
【0124】
以上のように、6n+1番目、6n+3番目に次いで、6n+2番目に位置する着色部12を形成し、続けて6n+4〜6番目のうち、下地層の状態が幅方向の両側で等しい状態にある6n+5番目に着色部12を形成することによっても、着色層11を構成するすべての着色部12の外郭形状をそれぞれ実質的に左右対称とすることができる。なお本実施形態についても、同図(c)の状態を経由せず、同図(b)の状態から青1および青2にあたる着色部12(B1),(B2)を同時に形成することにより、同図(d)の状態にいたることができる。
【0125】
<(4)後処理方法>
[第九実施形態について]
基材上に順に塗工される三色の着色部のうち二番目に塗工される着色部において外郭形状が実質的に一方方向に偏って傾斜することに起因する光漏れの問題を解決する第四の方法として、塗布された着色材料、またはこれを硬化してなる着色部に後処理を施すことにより当該偏りを解消する処理方法を挙げる。
かかる方法として具体的には、(v−1)基材16上に形成された他の色の着色部12に乗り上げることによって生じる着色材料18を平滑化する方法や、(v−2)固定形成された着色部12からの凸部22,23の突出を削除する方法を挙げることができる。
上記(v−1)として具体的には、未硬化の着色材料18をドクターブレードによりレベリングするか、または着色材料18の粘度を所望に調整するなどの方法を採りうる。
上記(v−2)として具体的には、塗工形成された着色層11を押圧して凸部22,23を潰す方法や、着色層11の表面にラビング処理を施して凸部22,23を切除する方法を挙げることができる。
【0126】
<カラーフィルタについて>
以下、本発明のカラーフィルタの構成について、さらに詳しく説明する。
図10は、上記本実施形態にかかる着色層11を備えるカラーフィルタ10の断面模式図である。カラーフィルタ10の積層構成、および各構成に好ましい材料について以下説明する。
【0127】
本実施形態のカラーフィルタ10は、上記に説明のように光透過性の基材16の上面(図中上方)に、有効表示領域および画素を区画形成する遮光性のBM14と、隣り合うBM14に跨るようにして三色の着色部12(R),(B),(G)が幅方向(図中左右方向)に繰り返し配置されてなる着色層11とを備えている。
また着色層11の上面には、重合性液晶分子を所定方向に配向させた状態で互いに架橋重合して固定化してなる位相差層30が積層されている。図示のように本実施形態のカラーフィルタ10では、位相差層30を構成する液晶分子50(重合性液晶分子32)は垂直配向しており、その分子軸は基材16の法線方向を向いている。
また位相差層30の上面には、液晶セルを構成する駆動液晶分子を配向させるための水平配向膜34が積層されている。
【0128】
(基材について)
基材16は、光学的に等方性を有するように構成されていることが好ましく、ガラス基板、フィルム等光透過性を有するものを任意に用いることが可能である。特に本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いる場合には、基材は無アルカリガラスであることが好ましい。基材の厚みは用途に応じて、例えば5μm〜3mm程度のものが使用される。
【0129】
(ブラックマトリクスについて)
本発明のカラーフィルタにおいて、BMを形成する際には、例えば、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等、遮光性または光吸収性を有する金属薄膜を、基板上に、所定形状の矩形格子状、ストライプ状、または三角格子状などにパターニングすることにより形成することができる。また、転写方式等により、黒色樹脂等の有機材料を所定形状に印刷することによりを形成することも可能である。
【0130】
本発明においては、上記第五および第六実施形態を除き、BMの形成は任意である。ただしBMが存在することにより、各着色部間の臨界領域において配向不良が生じたとしても、平面視上、配向不良の領域が上記BM領域以内であれば、配向不良領域を透過しようとする透過光が遮光されるため、光漏れや、色づき不良の問題が表示パネル上に表れることが防止され得る点で好ましい。
【0131】
より詳しくBMの製造方法例について述べると、調製したブラックマトリックス材料を、定法にしたがって上記ガラス基板を洗浄した後、スピンコート法で3.0μmの厚さに塗布、90℃、3分間の条件でプリベーク、所定のパターンを露光(100mJ/cm)、0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、30分間ポストベークすることで、ブラックマトリックス基板を作製することができる。また、予め透明基材上に金属クロム等が蒸着される基板をエッチングすることによりブラックマトリックス形成工程が行なわれてもよい。
【0132】
(着色部および着色材料について)
本発明における三色の着色部は、上記に例示のように赤色、青色、緑色とするほか、イエロー、シアン、マゼンタなどを適宜選択して用いることができる。以下に赤色、青色、緑色の着色部および各色の着色材料に関してそれぞれ説明する。
【0133】
1)赤色着色部
赤色着色部12(R)を形成する赤色着色材料18(R)の塗膜厚みは、要求される色再現性と、積層される赤色着色部の組成により異なるものではあるが、一般的には、赤色着色部の膜厚は、1μm〜4μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜3μmの範囲とすることが好ましい。上記範囲より膜厚が厚い場合は、例えばフォトリソグラフィー法による硬化、パターニングがうまくいかず、着色部表面に微細な凹凸が生じてしまったり、形状が逆テーパー形状となってしまったりして好ましくなく、上記範囲より薄い場合は、必要とされる高色純度を得ることが困難となるため好ましくない。
【0134】
本発明において形成される赤色着色部は、一般的には赤色顔料と黄色顔料とバインダーと分散剤とその他の添加剤等で構成されるものである。バインダーの種類は赤色着色部の製造方法により変化するものであるが、本発明において赤色着色部は、顔料分散法等のフォトリソグラフィー法により形成されることが発明の性質上好ましい。したがって、本発明においては、UV硬化型の樹脂がバインダー樹脂として用いられる。
【0135】
尚、上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用してよい。また、上記顔料を分散するために必要な分散剤としては、スチレン/ブチルスチレン共重合物、長鎖ポリアミノアマイド燐酸塩、ポリアマイド、高分子量ポリカルボン酸塩、酢酸オレイルアミン、テトラアルキルアンモニウム塩、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸アミノオレエート、リン酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等を挙げることができる。このような分散剤は、顔料100重量部に対して30〜100重量部の範囲で含有させることができる。
【0136】
UV硬化性樹脂としては、バインダー樹脂成分の例としては、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、スチレンスルホン酸などの酸性基を有するモノマーと、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリルアミド等のモノマーとを共重合させた共重合体などが挙げられる。
【0137】
また他の添加剤として、光重合開始剤を添加してもよく、具体的にはハロメチル化トリアジン誘導体、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、紫外線により光重合性モノマーの重合性基を重合させるラジカルを発生させることができる化合物であり、単独または複数組み合わせて使用される。
さらに、光重合性モノマーとして、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート等が挙げられる。
【0138】
また、赤色着色材料に用いられる溶媒としては、具体的には、ジイソプロピルエーテル、n−ペンタン、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸メチル、ジグライム、ブチルカルビトール等の有機溶剤が挙げられる。
【0139】
その他、本実施態様の赤色着色部には、必要に応じて種々の添加剤を添加することが可能であり、例えば増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を含有してもよい。尚、上記顔料に加えられる各種添加剤の添加については、後述する他の顔料についても同様である。
【0140】
2)緑色着色部
緑色着色部12(G)を形成する緑色着色材料18(G)の塗膜厚みは、要求される色再現性と、積層される緑色着色部の組成により異なるものではあるが、一般的には、緑色着色部の膜厚は、通常1μm〜4μmの範囲内、好ましくは1μm〜3μmの範囲内とされる。このような範囲とした理由は上記赤色着色部と同様の理由であることから、ここでの説明は省略する。
【0141】
本発明において形成される緑色着色部は、上記層と同様に、緑色着色材料を塗布し、乾燥させた後、パターン露光され、現像されて形成されるものであり、このような緑色着色部形成用塗料は、主として、緑色顔料、黄色顔料、UV硬化性樹脂等のバインダー樹脂および溶媒から構成されるものである。
黄色顔料、バインダー樹脂および塗料用溶媒、さらには他に添加させる添加剤等に関しては、上記層における説明と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0142】
3)青色着色部
青色着色部12(B)を形成する青色着色材料18(B)の塗膜厚みは、要求される色再現性と、積層される緑色着色部の組成により異なるものではあるが、一般的には、青色着色部の膜厚は、通常1μm〜4μmの範囲内、好ましくは1μm〜3μmの範囲内とされる。このような範囲とした理由は上記赤色着色部と同様の理由であることから、ここでの説明は省略する。青色着色部には、色調を調整するために紫色顔料を添加してもよい。
また、バインダー樹脂および塗料用溶媒、さらには他に添加させる添加剤等に関しては、上記層における説明と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0143】
(位相差層について)
位相差層30を構成する架橋性液晶材料の配向方向を所望の方向に設計して形成することのできる位相差層の種類としては、液晶分子を垂直配向(ホメオトロピック配向)させて固定化することにより、液晶分子の光軸が位相差層の法線方向を向くとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層の法線方向に有する、いわゆる正のCプレートが挙げられる。また別の態様では、位相差層30は、液晶分子の光軸が位相差層と並行するとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層の面内方向に有する、いわゆる正のAプレートであってもよい。またさらには、液晶分子の光軸を位相差層と並行として、法線方向に螺旋構造をとったコレステリック配向とすることにより、位相差層全体として常光線屈折率よりも小さな異常光線屈折率を位相差層の法線方向とした、いわゆる負のCプレートであってもよい。さらには、負の複屈折異方性を有するディスコティック液晶を、その光軸を位相差層の面内方向に有する、負のAプレートとすることも可能である。またさらに位相差層30は、該層に対して斜めであってもよく、またはその角度が層に垂直な方向で変化しているハイブリッド配向プレートであってもよい。
【0144】
位相差層30は、上述した正もしくは負のCプレートやAプレート、またはハイブリッド配向プレートのいずれか一つのプレートからなる層であってもよいが、これらを組み合わせて積層してなる層であってもよい。例えば、基材16の上面に、正のAプレート、正のCプレートを順に積層して位相差層30を構成してもよい。あるいは、基材16の上面に、まず正のAプレートを形成し、次いで上記した着色層11を形成し、さらに着色層11の上面に正のCプレートを形成してもよい。位相差層30として可能な正もしくは負のCプレートやAプレート、またはハイブリッド配向プレートは、従来公知の方法により適宜、透明着色層上に形成することができる。
【0145】
具体的には、位相差層30を形成するために、まず、基材上に架橋性液晶材料の含有する液晶組成物を塗布して液晶塗布膜を形成させる。上記液晶組成物の塗布には、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法、静電印刷法、無版印刷法といった各種印刷方法や、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、バーコート法、ディップコート法、キスコート法、スプレーコート法、ダイコート法、コンマコート法、インクジェット法、スピンコート法、スリットコート法などの方法といった塗工方法やこれらを組合せた方法を適宜用いることができる。
【0146】
次いで、減圧乾燥して溶剤成分を除去し、上記液晶塗布膜に含有される架橋性液晶材料を所望の方向に配向せしめた後、紫外線や電子線などを照射し、あるいは熱照射して上記所望の方向に配向している架橋性液晶材料を重合させて位相差層とすることができる。ただし、本発明における位相差層の形成方法はこれに限定されるものではなく、従来公知の方法であって、基材面に、架橋性液晶が所望の方向に配向した状態で重合させ固定させることが出来る方法であれば、いずれの方法を採用しても良い。
【0147】
例えば、液晶塗布膜を正のCプレートとしての機能を有する位相差層30となす場合には、液晶塗布膜中の架橋性液晶材料をホメオトロピック配向させて架橋性液晶材料同士を重合させる。架橋性液晶材料にホメオトロピック配向を付与することは、赤外線で加熱する手段などを用いて液晶塗布膜を加熱して、その液晶塗布膜の温度を、その中に含まれる架橋性液晶が液晶相となる温度(液晶相温度)以上、架橋性液晶が等方相(液体相)となる温度未満にすることで実施できる。
【0148】
また、液晶塗布膜中で配向を付与された架橋性液晶材料同士の重合(架橋重合)は、液晶組成物に含まれる光重合開始剤の感光波長の光を液晶塗布膜の表面に照射することで進行させることができる。このとき、液晶塗布膜に照射される光の波長は、液晶組成物の吸収波長に応じて適宜選択されるが、一般的には200〜500nm程度である。なお、液晶塗布膜に照射される光は、単色光に限らず、光重合開始剤の感光波長を含む一定の波長域を持った光であってもよい。尚、液晶塗布膜を位相差層30となすにあたり、液晶塗布膜に光を照射して架橋性液晶材料の架橋重合反応を進行させたうえ、さらに、オーブンなどを用いて液晶塗布膜の焼成が行われてもよい。このような焼成を行うことで、位相差層30に含まれる架橋性液晶材料の重合反応を促進させることができる。
このように、液晶塗布膜に含まれる架橋性液晶材料が重合されることによって、該架橋性液晶材料が所望の方向に配向した状態で固定された位相差層30が形成される。
【0149】
<架橋性液晶材料について>
位相差層30を構成するための液晶材料として、正の複屈折異方性を有する液晶材料としては、棒状構造を有するネマチック液晶が、また、負の複屈折異方性を有する液晶材料としては、円盤状構造を有するディスコティック液晶を用いることができる。これらの液晶材料としては、液晶モノマー、液晶オリゴマー、もしくは液晶ポリマーがある。尚、本発明では、便宜的にこられの液晶材料を総称して液晶分子という場合がある。
【0150】
上記液晶分子の配向状態を保持したまま硬化させることが可能である点で、紫外線や電子線等の電離放射線の照射により重合して硬化する、重合性の液晶分子、特に架橋性液晶モノマーであるものを用いることが好ましい。液晶分子の複屈折Δnと位相差層の厚みにより、リタデーション量および配向特性が決定されるため、Δnは0.03〜0.15程度であることが好ましい。
【0151】
上記位相差層を形成する際に用いられる液晶組成物に含有される液晶材料としては、より具体的には、その分子構造中に不飽和二重結合を有し、液晶状態で三次元架橋することにより、その液晶構造を固定化できる重合性液晶材料が考えられる。ここで、重合性液晶材料としては、下記(化1)〜(化11)に包含される化合物を一種または二種以上を混合して使用することができる。なお、一般式(化11)で示される液晶性モノマーの場合、Xは4〜6(整数)であることが好ましい。ここで液晶分子の複屈折Δnと膜厚によりリタデーション量および配向特性が決定されるため、Δnは0.03〜0.20程度が好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.15程度が好ましい。
液晶材料は各種有機溶媒に溶解させて塗布することができる。有機溶媒としては、液晶材料を溶解させれば特に制限はないが、基材上に均一に塗布できることが好ましい。また基材に撥水・撥油性が付与されている場合や、添加した界面活性剤の撥水・撥油性が強い場合には、垂直配向能が妨げられない範囲でUV洗浄やプラズマ処理を行ない、塗れ性を改善させることも可能である。
【0152】
【化1】

【0153】
【化2】

【0154】
【化3】

【0155】
【化4】

【0156】
【化5】

【0157】
【化6】

【0158】
【化7】

【0159】
【化8】

【0160】
【化9】

【0161】
【化10】

【0162】
【化11】

【0163】
また、上記液晶組成物中には、液晶分子の配向を損なわない範囲で光重合開始剤を配合することが好ましく、紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生するラジカル重合開始剤が好ましい。光重合開始剤の配合量としては、0.01%〜15%程度(液晶組成物に対する質量基準)であり、より好ましくは、0.5%〜10%(同)程度である。
【0164】
上記光重合開始剤の具体例としては、ベンジル(ビベンゾイルともいう)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。
【0165】
(液晶表示装置について)
本発明のカラーフィルタ10を用いた液晶表示装置51について図11を用いて説明する。
図11は、本発明のカラーフィルタ10を備える液晶表示装置51の断面模式図である。液晶表示装置51としてはいわゆるIPS駆動方式を例示するが、このほかMVA駆動方式やOCB駆動方式などの他の駆動方式であってもよい。
【0166】
液晶表示装置51には、観察者に対面する観察者側(同図上方)に、カラーフィルタ10が表示側基板として組み込まれている。
一方、観察者から遠いバックライト(図示せず)側にあたる同図下方には、駆動液晶層40および液晶駆動基板71がカラーフィルタ10に積層して設けられている。
液晶駆動基板71はガラス基板76と、そのインセル側、すなわち駆動液晶層40側の表面に設けられた液晶駆動回路73およびこれにより印加電圧が制御される液晶駆動用電極72を備えている。液晶駆動用電極72は、BM14の区画する画素ごとに櫛歯状などにパターン形成されている。
また液晶駆動用電極72のさらにインセル側表面には、液晶分子50(駆動液晶分子41)を水平配向させるための水平配向膜(図示せず)が塗工されている。
【0167】
駆動液晶分子41を含む駆動液晶層40は、位相差層30と液晶駆動基板71とシール48とで囲まれた密閉空間に封入され、液晶駆動用電極72からパネル面内方向に負荷される印加電圧によって駆動液晶分子41はスイッチング駆動される。尚、駆動液晶層40の厚さを所望に確保するため、カラーフィルタ10と液晶駆動基板71との間には、一般的には複数の柱状体が形成されるが、図11ではこれを図示省略している。
【0168】
液晶表示装置51は、観察者側から順に、直線偏光板81、正のAプレートとしての光学補償機能を有する位相差フィルム82、位相差層30、駆動液晶層40、直線偏光板83およびバックライトが配置され、バックライト光の透過または遮断を絵素ごとに制御することで明表示と暗表示が行われる。尚、直線偏光板81と直線偏光板83とは透過軸方向が直交して配置される。
【実施例】
【0169】
(実施例1)
(1.基板の調整)
洗浄処理を施した基材としてのガラス基板(コーニング社製、7059ガラス)および、BMと赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の着色部用のフォトレジストを用意した。そしてガラス基板上面に、以下に示すように色ごとに着色部用フォトレジストを塗布し、基材に着色層を積層形成した。尚、各フォトレジストの組成は、後述する。
【0170】
(2.着色材料の調整)
BMおよび各領域の着色材料には顔料分散型フォトレジストを用いた。顔料分散型フォトレジストは、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤、および溶剤を含有)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液と、クリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開示剤および溶剤)とを混合したものである。その組成については下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカーを用いた。
【0171】
(3.BMの作成)
まず、ガラス基板に、下記のとおり調製したBM用フォトレジストをスピンコート法で塗布し、90℃、3分間の条件でプリベーク(予備焼成)し、所定のパターンに形成されたマスクを用いて露光(100mJ/cm)し、続いて0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、30分間ポストベーク(焼成)し、幅が20μm、厚さが1.2μmのBMを形成した基材(BM形成基材)を作製した。
【0172】
(4.着色層の作成)
上記BM形成基材上において、幅200μm、長さ4cmのラインが300行×1列となるようパターン設計し、端から順に、赤色、青色、緑色の順で繰り返しに着色部が形成されるよう、以下のとおり各着色部を作成した。尚、BMとの関係では、上記ラインの両端部がBMにのりあげる位置に存在するよう設計した。
【0173】
本実施例は、上記第七実施形態にかかるカラーフィルタ10による本発明の効果を検証するものである。したがって赤色、青色、緑色からなる三色の着色部を仮想的に六色とみなし、6n+1および6n+4番目(ただしnは0以上の整数である。以下同じ。)に赤色を、6n+2および6n+5番目に青色を、そして6n+3および6n+6番目に緑色を配置するものである。
【0174】
まず、BM形成基材面上に、赤色(R)の顔料分散型フォトレジストをスピンコート法で塗布し、130Paまで減圧乾燥した後、80℃、5分間の条件でプリベークし、次いで、絵素領域の一番端を1番目として6n+1番目のラインに赤色着色部が形成されるように対応してマスク開口がパターニングされたストライプパターン用フォトマスクを用いて、紫外線露光(300mJ/cm)した。さらに、0.1%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、60分間ポストベーク(焼成)し、BMパターンに対して所定の位置に膜厚2.6μmの赤色(R)着色部のパターンを形成した。なお、当該膜厚は、BM非形成位置における赤色(R)着色部の厚さであり、BMに乗り上げた両端部における膜厚は3.5μm程度であった。
【0175】
続いて、6n+3番目に着色部が形成されるようマスク開口がパターニングされたフォトマスクを用いる以外は、上記赤色(R)着色部のパターンの形成方法と同様の方法を用いて、緑色(G)着色部を作成した。
続いて、6n+2番目および6n+5番目に着色部が形成されるようマスク開口がパターニングされたフォトマスクを用いる以外は、上記赤色(R)着色部のパターンの形成方法と同様の方法を用いて、青色(B)着色部を作成した。
続いて、6n+4番目に着色部が形成されるようマスク開口がパターニングされたフォトマスクを用いる以外は、上記赤色(R)着色部のパターンの形成方法と同様の方法を用いて、赤色(R)着色部を作成した。
最後に、6n+6番目に着色部が形成されるようマスク開口がパターニングされたフォトマスクを用いる以外は、上記赤色(R)着色部のパターンの形成方法と同様の方法を用いて、緑色(G)着色部を作成した。
こうして、ガラス基板上にBMおよび、赤色着色部、青色着色部、および緑色着色部がこの順で繰り返し整列して構成される透明着色層が形成されたカラーフィルタを作成し、これを実施例1とした。
【0176】
<ブラックマトリクス用フォトレジスト>
・黒顔料・・・・・14.0重量部
(大日精化工業(株)製TMブラック♯9550)
・分散剤・・・・・・1.2重量部
(ビックケミー(株)製Disperbyk111)
・ポリマー・・・・・2.8重量部
(昭和高分子(株)製VR60)
・モノマー・・・・・3.5重量部
(サートマー(株)製SR399)
・添加剤・・・・・・0.7重量部
(綜研化学(株)製L−20)
・光重合開始剤・・・1.6重量部
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
・光重合開始剤・・・0.3重量部
(4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン)
・光重合開始剤・・・0.1重量部
(2,4−ジエチルチオキサントン)
・溶剤・・・・・・75.8重量部
(エチレングリコールモノブチルエーテル)
【0177】
<赤色(R)着色部用フォトレジスト>
・赤顔料・・・・・・4.8重量部
(C.I.PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製クロモフタールDPP Red BP))
・黄顔料・・・・・・1.2重量部
(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・5.0重量部
・光重合開始剤・・・1.4重量部
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・光重合開始剤・・・0.6重量部
(2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4',5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0178】
<緑色(G)着色部用フォトレジスト>
・緑顔料・・・・・・3.7重量部
(C.I.PG7(大日精化製セイカファストグリーン5316P))
・黄顔料・・・・・・2.3重量部
(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・5.0重量部
・光重合開始剤・・・1.4重量部
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・光重合開始剤・・・0.6重量部
(2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4',5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0179】
<青色(B)着色部用フォトレジスト>
・青顔料・・・・・・4.6重量部
(C.I.PB15:6(BASF社製ヘリオゲンブルーL6700F))
・紫顔料・・・・・・1.4重量部
(C.I.PV23(クラリアント社製フォスタパームRL−NF))
・顔料誘導体・・・・0.6重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース12000)
・分散剤・・・・・・2.4重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・5.0重量部
・光重合開始剤・・・1.4重量部
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・光重合開始剤・・・0.6重量部
(2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4',5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0180】
尚、本明細書において上記記載のポリマー1は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
【0181】
(位相差層の形成)
上記透明着色層の上面に、以下に述べる方法で位相差層を形成した。
【0182】
<垂直配向膜の形成>
まず、上記透明着色部上に位相差層として所謂正のCプレートを形成するために、まず垂直配向膜を形成した。
具体的には、配向膜材料としてJALS2021(JSR(株)社製)を用い、上記のカラーフィルタ上にフレキソ印刷によりパターニングし、引き続き200℃で一時間焼成することにより厚さが600Åの垂直配向膜を設けた下地基板を得た。この場合、着色層と配向膜との間に、透明樹脂から成る保護層を設けても良い。カラーフィルタの段差を緩和し、より確実な液晶配向が可能なためである。
【0183】
<架橋性液晶材料を含有する液晶組成物の調製>
位相差層を構成する架橋性液晶材料を含有する液晶組成物を以下のとおり調製した。
ネマチック液晶層を示す重合可能な液晶性モノマー分子として、上記(化11)に示される化合物(ただしXの値は6である)20重量部と、光重合開始剤(チバガイギー社製、「イルガキュア907」)0.8重量部と、溶媒としてクロロベンゼン59.2重量部と、上記垂直配向膜形成用溶液JALS−2021−R2をジエチレングリコールジメチルエーテルで12.5%に希釈した溶液20重量部とを混合し、液晶組成物を調製した。
【0184】
<位相差層の製膜>
上記調整した液晶組成物を、次いで、上記垂直配向膜の形成された基板をスピンコーター(MIKASA社製、「商品名1H-360S」)に設置して、予め調製した上記液晶組成物を、乾燥後の膜厚が1.5μm程度となるように上記配向膜上面にスピンコーティングした。なお本実施例ではスピンコーティング法を適用したが、基材上に均一に塗布が可能であればこれに限られる訳ではなく、ダイコーティング、スリットコーティング、およびこれらを組み合わせた手法であってもよく、特に限定されない。
続いて当該基材を130Paまで減圧乾燥した後、ホットプレート上で100℃、3分間加熱し、残存溶剤を除去するとともに液晶溶液に含有される液晶性モノマーを垂直方向に配向処理し、液晶溶液により形成された膜が白色から透明となる液晶転移点を目視にて確認することによって液晶分子の配向を確認した。続いて窒素雰囲気下において、上記液晶塗布膜全面に対し超高圧水銀灯を有する紫外線照射装置(ハリソン東芝ライティング社製、「TOSCURE 751」)を用いて紫外線照射を行い(20mW/cm、365nm、10秒間)、液晶層を構成する架橋性液晶性分子を3次元架橋させて、硬化させた。230℃のホットプレート上で60分間加熱、焼成して完全に硬化反応を終了させ、正のCプレートの位相差層を1.45μm厚で得た。
【0185】
(比較例1)
赤色、青色、緑色の順で繰り返しに着色部が形成されて着色層が構成されるよう、赤色着色部を3n+1形成した後に、3n+2番目に着色部が形成されるようマスク開口がパターニングされたフォトマスクを用い青色着色部を形成し、次いで、3n+3番目に着色部が形成されるようマスク開口がパターニングされたフォトマスクを用いて緑色着色部を形成したこと以外は、実施例1と同様にカラーフィルタを作成し、比較例1とした。
【0186】
(評価1)光漏れ評価
カラーフィルタに光を透過した際に、光漏れが防止されているか否かの性能を評価するために、以下の方法により実施例1の光漏れを評価した。
【0187】
上述のとおり作成した実施例1のサンプルをオリンパス(株)製の偏光顕微鏡CPX31−Pをクロスニコル状態に設定し、偏光板に実施例1のカラーフィルタを挟んだ状態で光を当てた状態で基板を回転させ、光漏れの有無を肉眼で観察した。その結果、実施例1の全領域において光漏れは観察されなかった。
【0188】
比較例1についても実施例1と同様にサンプルを形成した後、光漏れ評価を行った。この結果、二番目に塗工された青色着色部において光漏れが確認された。青色着色部に対応する画素内において、さらに詳しくは一番目に塗工された赤色着色部に隣接する側において当該光漏れが顕著に確認された。
【0189】
(評価2)正面輝度の測定
正面輝度の測定は、輝度計測機、位相差層付きカラーフィルタ、偏光板、および光を照射する光照射部とで構築された輝度計測系を用いて実施した。
【0190】
輝度計測系において、輝度計測器は、光照射部から発せられた光のうち偏光板クロスニコル状態で挟み込まれた位相差層付きカラーフィルタを通過した光を検知する光センサと、光センサによって検知された信号に基づき輝度を計測する計測部とを備えるものである。具体的には、輝度を測定する輝度計測機として、トプコン社製「BM−9」を使用した。
【0191】
上記輝度計測系を用い、正面輝度は次のように測定した。まず、位相差層付きカラーフィルタを2枚の偏光板をクロスニコル状態で挟んで配置し、光照射部を、第一の偏光板の外側に配置し、位相差層付きカラーフィルタを挟んで液晶層の厚さ方向に対面する位置であって第二の偏光板外側位置に光センサを配置させた。
【0192】
次いで光照射部から光を液晶表示装置に向かって照射し、第二の偏光板外側位置よりセル内を通過して第1の偏光板を通過した光を光センサに検知させ、検知された光の量(輝度)を計測部にて計測することで、正面輝度を測定した。上記測定の結果、この実施例1の正面輝度は0.21[cd/m]であった。
【0193】
比較例1についても実施例1と同様に、上記評価2により正面輝度の測定を行った。その結果、比較例1の正面輝度は0.41[cd/m]であった。
【0194】
上記評価1および評価2の結果から、本発明のカラーフィルタでは、光を透過した際に光漏れが生じることがなく、例えば液晶ディスプレイの一方側の基板として用いたときに、高品質の画像を提供することが可能である。また本発明のカラーフィルタにおいて光漏れがないことは評価2の正面輝度によっても確認された。
【0195】
(実施例2)
上記第二実施形態にかかるカラーフィルタ10による本発明の効果を検証するため、上記実施例1と同様に赤色、青色、緑色の三色の着色部用フォトレジストおよびブラックマトリクス用フォトレジストを調整し、同様の塗工厚にてフォトリソグラフィー法によってBMおよび着色部を固定形成することにより、三色の着色層をガラス基板上にストライプ状に作製した。
【0196】
なお着色層は、絵素領域の一番端を1番目として3n+1番目の位置に赤色着色部と、3n+2番目の位置に青色着色部を、3n+3番目の位置に緑色着色部を配置した。
また上記第二実施形態にて説明したように、一番目に塗工された赤色着色部の上面をフッ素ガス雰囲気下において常圧プラズマ処理することによって疎水層に変えた状態で、二番目に塗工する青色の着色フォトレジスト材料を塗布した。
また青色着色部を固定形成した後に、酸素ガス雰囲気下でプラズマエッチングを行うことにより赤色着色部および青色着色部の上面を0.2μmの厚さで切除して、上記疎水層を削除した。
かかる状態から、緑色の着色フォトレジスト材料を塗布し、所定位置にて緑色着色部を固定形成して着色層を得た。
【0197】
以降、垂直配向膜および位相差層の形成方法については実施例1と同様に行った。
【0198】
本実施例について評価1および評価2による光学的評価を行ったところ、評価1の光漏れ評価においては、二番目に塗工された青色着色部において光漏れが確認されなかった。
また評価2の正面輝度の測定結果については、0.19[cd/m]であった。
以上より、本実施例にかかるカラーフィルタにおいて、光漏れの問題を解消するという本発明の効果が確認された。
【0199】
(実施例3)
上記第五実施形態にかかるカラーフィルタ10による本発明の効果を検証するため、上記実施例2と赤色、青色、緑色の三色の着色部用フォトレジストおよびブラックマトリクス用フォトレジストを調整し、同様の位置および塗工厚にてフォトリソグラフィー法によってBMおよび着色部を固定形成することにより、三色の着色層をガラス基板上にストライプ状に作製した。
【0200】
なお着色層は、絵素領域の一番端を1番目として3n+1番目の位置に赤色着色部と、3n+2番目の位置に青色着色部を、3n+3番目の位置に緑色着色部を配置した。
また3n+2番目と3n+3番目とを区画するBMの上面のうち幅方向の中央に、幅5.0μm、厚さ2.3μmの突起部をストライプ状に形成した。これにより、ガラス基板の上面から突起部の上端までの高さは3.5μmとなり、固定形成される赤色(R)着色部のうちBMに乗り上げることとなる端部高さと面一となる。
【0201】
かかるBMおよび突起部を予め形成したガラス基板に対し、実施例2と同様に三色の着色部をフォトリソグラフィー法により固定形成して、本実施例にかかる着色層を作製した。
【0202】
以降、垂直配向膜および位相差層の形成方法については実施例1および2と同様に行った。
【0203】
本実施例について評価1および評価2による光学的評価を行ったところ、評価1の光漏れ評価においては、二番目に塗工された青色着色部において光漏れが確認されなかった。
また評価2の正面輝度の測定結果については、0.22[cd/m]であった。
以上より、本実施例にかかるカラーフィルタにおいて、光漏れの問題を解消するという本発明の効果が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】(a)は本発明のカラーフィルタ10を着色部12(R),(B),(G)の繰り返し方向に切った垂直断面模式図である。(b)は好ましい着色部12の外郭形状を示す模式図である。
【図2】(a)〜(g)は第二実施形態にかかるカラーフィルタ10の作製工程を示す。
【図3】(a)〜(e)は第三実施形態にかかるカラーフィルタ10の作製工程を示す。
【図4】(a)〜(g)は第四実施形態にかかるカラーフィルタ10の作製工程を示す。
【図5】(a)〜(g)は第二実施形態にかかるカラーフィルタ10の作製工程を示す。
【図6】(a)〜(g)は第二実施形態にかかるカラーフィルタ10の作製工程を示す。
【図7】(a)〜(d)は三色の着色部12(R),(B),(G)を幅方向に並べ配置して着色層11を作製する状態を示す工程図である。
【図8】(a)〜(f)は第七実施形態にかかるカラーフィルタ10の作製工程を示す。
【図9】(a)〜(f)は第八実施形態にかかるカラーフィルタ10の作製工程を示す。
【図10】カラーフィルタ10の断面模式図である。
【図11】カラーフィルタ10を備える液晶表示装置51の断面模式図である。
【図12】光透過性の基材16の上面に塗工形成された従来の着色層11の垂直断面に関する模式図である。
【図13】(a)〜(f)は従来の三色カラーフィルタの作製方法を示す。
【符号の説明】
【0205】
10 カラーフィルタ
11 着色層
12 着色部
13 予定形成位置
14 ブラックマトリクス(BM)
15 突起部
16 基材
18 着色材料
20 フォトマスク
21 マスク開口
22,23 凸部
24 平坦部
25 傾斜部
26 疎水層
28 有効表示領域
30 位相差層
40 駆動液晶層
41 駆動液晶分子
50 液晶分子
51 液晶表示装置
71 液晶駆動基板
72 液晶駆動用電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光が透過する光透過領域を備える基材の上面に直接または間接に、第一乃至第三色の着色部が少なくとも一の方向を繰り返し方向としてこの順に配列された着色層が設けられ、前記光透過領域を透過する可視光を三色に着色するカラーフィルタにおいて、
前記第一乃至第三色の着色部をそれぞれ前記繰り返し方向に切った垂直断面の外郭形状が、いずれも実質的に一方方向に偏って傾斜していないことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記第一乃至第三色の着色部の外郭形状が、いずれも実質的に左右対称であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記三色のうちの少なくとも二色の着色部は、その上面が疎水性である請求項1または2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記少なくとも二色の着色部には、疎水性材料が含まれている請求項3に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記少なくとも二色の着色部の上面には、疎水性を有する疎水層が形成されている請求項3に記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
着色層と基材との間には、前記第二色の着色部と前記第三色の着色部との境界領域に、前記第一色の着色部の上面と面一の上端高さに形成された突起部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ。
【請求項7】
第一乃至第三色の着色部を互いに区画する遮光性のブラックマトリクスを前記着色層と前記基材との間に備え、
前記突起部が、前記ブラックマトリクスと前記着色層との間に設けられている請求項6に記載のカラーフィルタ。
【請求項8】
第一乃至第三色の着色部を互いに区画する遮光性のブラックマトリクスを前記着色層と前記基材との間に備え、
前記突起部が、無色透明材料または前記第二色と同色系の透明材料からなるとともに前記ブラックマトリクスに対して前記第二色の着色部の側に隣接して設けられている請求項6に記載のカラーフィルタ。
【請求項9】
前記第一色の着色部が、前記基材に形成された有効表示領域における前記繰り返し方向のもっとも端に形成されている請求項1から8のいずれかに記載のカラーフィルタ。
【請求項10】
着色層の上面に直接または配向膜を介して間接に、重合性液晶化合物が配向状態で固定化されてなる位相差層が積層されている請求項1から9のいずれかに記載のカラーフィルタ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のカラーフィルタと、液晶駆動用電極を備える液晶駆動基板とを、前記着色層および液晶駆動用電極を内側にして対向させ、その間に駆動液晶分子を封入してなる液晶表示装置。
【請求項12】
請求項1または2に記載のカラーフィルタの製造方法であって、
前記基材に予定形成された有効表示領域内に前記第一色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして前記第一色の着色部を形成する工程と、
前記有効表示領域内であって前記第一の着色部に対して前記繰り返し方向に隣接する位置に、前記第二色の着色材料をインクジェット法で塗布し、これを固定化して前記第二色の着色部を形成する工程と、
前記有効表示領域内に前記第三色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記第一の着色部および前記第二の着色部にともに隣接する位置に前記第三色の着色部を形成する工程と、
をこの順で含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項13】
請求項1または2に記載のカラーフィルタの製造方法であって、
前記基材に予定形成された有効表示領域内に親水性を有する前記第一色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして前記第一色の着色部を形成する工程と、
前記第一色の着色部の上面に直接または間接に、疎水性を有する疎水層を形成する工程と、
前記疎水層の形成領域を含む前記有効表示領域内に、親水性を有する前記第二色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記第一の着色部に対して前記繰り返し方向に隣接する位置に前記第二色の着色部を形成する工程と、
前記疎水層を前記第一色の着色部から除去する工程と、
前記有効表示領域内に前記第三色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記第一の着色部および前記第二の着色部にともに隣接する位置に前記第三色の着色部を形成する工程と、
をこの順で含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項14】
前記第一乃至第三色の着色部を各色二回ずつのフォトリソグラフィー工程によって形成する請求項1または2に記載のカラーフィルタの製造方法であって、以下の(i)〜(vi)の工程のうち、
工程(i)および(ii)をこの順で行った後、
工程(iii)を単独で、または工程(iii)と(iv)とを同時に、または工程(iv)の後に工程(iii)を、行い、
さらに残余の工程を任意の順に行うことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
(i)前記基材に予定形成された有効表示領域内に前記第一色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記繰り返し方向の6n+1(nは0以上の整数)番目の位置に前記第一色の着色部を形成する工程;
(ii)有効表示領域内に前記第二色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記繰り返し方向の6n+3番目の位置に前記第二色の着色部を形成する工程;
(iii)有効表示領域内に前記第三色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記繰り返し方向の6n+5番目の位置に前記第三色の着色部を形成する工程;
(iv)有効表示領域内に前記第三色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記繰り返し方向の6n+2番目の位置に前記第三色の着色部を形成する工程;
(v)有効表示領域内に前記第一色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記繰り返し方向の6n+4番目の位置に前記第一色の着色部を形成する工程;
(vi)有効表示領域内に前記第二色の着色材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、前記繰り返し方向の6n+6番目の位置に前記第二色の着色部を形成する工程;

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−53371(P2009−53371A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218991(P2007−218991)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】