説明

カラーフィルター基板、電気光学装置、電子機器および電気光学装置の製造方法

【課題】カラーフィルター層に対する保護膜として無機保護膜を用いた場合でも、無機保護膜の剥離を防止することのできるカラーフィルター基板、電気光学装置、電子機器、および電気光学装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】液晶装置の素子基板10には、複数列の無機遮光層7aとカラーフィルター層15とが設けられ、かかる無機遮光層7aおよびカラーフィルター層15は無機保護膜45で覆われている。ここで、カラーフィルター層15は、無機遮光層7aの表面7eに重ならずに設けられている。このため、カラーフィルター層15の両側では、無機遮光層7aと無機保護膜45とが接し、かつ、無機遮光層7aと無機保護膜45との接触面積が広い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター基板、カラーフィルター層を備えた電気光学装置、該電気光学装置を備えた電子機器、および当該電気光学装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶装置等の電気光学装置においてカラー画像を表示する場合、対向基板として、基板の一方面側にカラーフィルター層を設けたカラーフィルター基板が用いられる。また、有機エレクトロルミネッセンス装置等の電気光学装置においても、カラーフィルター基板が用いられることがある。かかるカラーフィルター基板においては、カラーフィルター層を形成した後、カラーフィルター層の表面には、樹脂を塗布して保護膜が形成される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−350010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カラーフィルター層に対する保護膜を所定領域のみに形成したい場合には、保護膜に感光性樹脂を用い、フォトリソグラフィー技術を利用して保護膜を所定領域のみに形成することになるが、感光性樹脂で保護膜としての機能を十分に果たすものが見当たらないという問題点がある。特にカラーフィルター層を素子基板側に形成する場合、保護膜の上層側に形成された画素電極と下層側の電極とを導通させるためのコンタクトホールを保護膜に形成することになるが、表示の高精細化を図ることを目的で画素が微細化されている場合、微細化に対応できる感光性の保護膜が見当たらないという問題点がある。
【0005】
ここに本願発明者は、CVD法によって形成した無機絶縁膜によってカラーフィルター層に対する保護膜を形成することを検討しているが、CVD法によって形成した無機絶縁膜は、樹脂材料との密着性が悪いため、JIS規格試験K5600等に規定されているテープ剥離試験を行うと、無機絶縁膜がカラーフィルター層から剥がれてしまう等、密着強度が極めて低いという問題点がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、カラーフィルター層に対する保護膜として無機保護膜を用いた場合でも、無機保護膜の剥離を防止することのできるカラーフィルター基板、電気光学装置、該電気光学装置を備えた電子機器、および電気光学装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るカラーフィルター基板は、基板の一方面側に設けられた無機遮光層と、前記無機遮光層とは重ならずに、前記無機遮光層の間に設けられたカラーフィルター層と、前記無機遮光層および前記カラーフィルター層に対して前記基板とは反対側に設けられ、前記無機遮光層において前記基板とは反対側の面、および前記カラーフィルター層において前記基板とは反対側の面に接する無機保護膜と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る電気光学装置は、基板の一方面側に設けられた無機遮光層と、前記無機遮光層とは重ならずに、前記無機遮光層の間に設けられたカラーフィルター層と、前記無機遮光層および前記カラーフィルター層に対して前記基板とは反対側に設けられ、前記無機遮光層において前記基板とは反対側の面、および前記カラーフィルター層において前記基板とは反対側の面に接する無機保護膜と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る電気光学装置の製造方法は、基板の一方面側に無機遮光層を形成する無機遮光層形成工程と、前記無機遮光層の表面とは重ならずに、前記無機遮光層の間にカラーフィルター層を設けるカラーフィルター層形成工程と、前記無機遮光層の表面および前記カラーフィルター層の表面に接する無機保護膜を形成する無機保護膜形成工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明では、基板の一方面側に無機遮光層とカラーフィルター層とが設けられ、かかる無機遮光層およびカラーフィルター層は無機保護膜で覆われている。ここで、カラーフィルター層は、無機遮光層の基板とは反対側の面(表面)とは重ならずに設けられている。このため、カラーフィルター層の両側では、無機遮光層と無機保護膜とが接し、かつ、無機遮光層と無機保護膜との接触面積が広い。また、カラーフィルター層と無機保護膜との接触面積が狭い。このため、無機保護膜は、カラーフィルター層との密着強度が低くても無機遮光層とは密着強度が高いので、無機保護膜が剥がれることがない。また、無機系絶縁膜からなる無機保護膜であれば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によってパターニングやコンタクトホールの形成を高い精度で行うことができるという利点がある。
【0011】
本発明において、前記基板の一方面側に、画素トランジスター、および前記無機保護膜に形成されたコンタクトホールを経由して前記画素トランジスターに電気的に接続する画素電極が複数設けられ、前記無機遮光層は、隣り合う前記画素電極の間に重なる領域に沿って延在していることが好ましい。かかる構成によれば、画素電極とカラーフィルター層とが同一の基板に形成されているので、表示の高精細化を図ることを目的に画素が微細化されている場合でも、画素電極とカラーフィルター層との位置ずれを最小限に止めることができる。また、無機系絶縁膜からなる無機保護膜であれば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって、画素電極を画素トランジスターに電気的に接続するためのコンタクトホール等の形成を高い精度で行うことができる。
【0012】
本発明において、前記カラーフィルター層は、前記基板の外周端より離間した内側領域のみに設けられ、前記無機保護膜は、前記カラーフィルター層が形成されている領域より外側まで設けられていることが好ましい。例えば、前記カラーフィルター層は、前記基板の前記一方面側のうち、前記画素電極が複数配列された画像表示領域のみに設けられ、前記無機保護膜は、前記画像表示領域より外側まで設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、カラーフィルター層が配列されている画像表示領域より外周側においては、無機保護膜がカラーフィルター層と接していないので、無機保護膜が剥がれることがない。
【0013】
本発明に係る電気光学装置において、前記無機保護膜は、プラズマCVD法により成膜されてなることが好ましい。また、本発明に係る電気光学装置の製造方法において、前記無機保護膜形成工程では、プラズマCVD法により、前記無機保護膜を形成することが好ましい。プラズマCVD法によれば、温度が200℃位の条件でも、シリコン酸化膜等の無機保護膜を形成することができるので、無機保護膜を形成する際、カラーフィルター層が熱によって変質することを防止することができる。
【0014】
本発明に係る電気光学装置が液晶装置である場合、前記基板は、前記一方面側に対向配置された基板との間に液晶層を保持することになる。
【0015】
本発明に係る電気光学装置は、小型カメラ等の電子機器において表示部を構成するのに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した液晶装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した液晶装置の液晶パネルの説明図である。
【図3】本発明を適用した液晶装置に用いた液晶パネルの電極等のレイアウトを示す説明図である。
【図4】本発明を適用した液晶装置の画素の説明図である。
【図5】本発明を適用した液晶装置の素子基板に設けたカラーフィルター層等の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る液晶装置の製造工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明では、各種電気光学装置のうち、液晶装置に本発明を適用した場合を中心に説明する。また、以下の説明では、液晶装置に用いる素子基板および対向基板のうち、素子基板として、本発明を適用したカラーフィルター基板として構成する場合を中心に説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。なお、電界効果型トランジスターを流れる電流の方向が反転する場合、ソースとドレインとが入れ替わるが、以下の説明では、便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとし、データ線が接続されている側をソースとして説明する。また、素子基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは素子基板の基板本体が位置する側とは反対側(対向基板が位置する側)を意味し、下層側とは素子基板の基板本体が位置する側を意味する。また、対向基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは対向基板の基板本体が位置する側とは反対側(素子基板が位置する側)を意味し、下層側とは対向基板の基板本体が位置する側を意味する。
【0018】
[液晶装置の構成]
(全体構成)
図1は、本発明を適用した液晶装置の電気的構成を示すブロック図である。図1において、液晶装置100は、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードの液晶パネル100pを有しており、液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された画像表示領域10a(画素配列領域/有効画素領域)を備えている。液晶パネル100pにおいて、後述する素子基板10(図2等を参照)では、画像表示領域10aの内側で複数本のデータ線6a(画像信号線)および複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交差部分に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、電界効果型トランジスターからなる画素トランジスター30、および後述する画素電極9aが形成されている。画素トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、画素トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、画素トランジスター30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。
【0019】
素子基板10において、画像表示領域10aより外周側には走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101が設けられている。データ線駆動回路101は各データ線6aに電気的に接続しており、画像処理回路から供給される画像信号を各データ線6aに順次供給する。走査線駆動回路104は、各走査線3aに電気的に接続しており、走査信号を各走査線3aに順次供給する。
【0020】
各画素100aにおいて、画素電極9aは、後述する対向基板20(図2等を参照)に形成された共通電極と液晶層を介して対向し、液晶容量50aを構成している。また、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量50aと並列に蓄積容量55が付加されている。本形態では、蓄積容量55を構成するために、複数の画素100aに跨って走査線3aと並行して延びた容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、共通電位Vcomが印加された定電位配線6sに導通している。
【0021】
(液晶パネル100pおよび素子基板10の構成)
図2は、本発明を適用した液晶装置100の液晶パネル100pの説明図であり、図2(a)、(b)は各々、液晶パネル100pを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。図3は、本発明を適用した液晶装置100に用いた液晶パネル100pの電極等のレイアウトを示す説明図であり、図3(a)、(b)は、後述するカラーフィルター層が形成されている領域をグレー領域で示す説明図、およびカラーフィルター層が形成されている領域を変更した場合の説明図である。なお、図3において画素電極9aやダミー画素電極9bの数等については少なく示してある。
【0022】
図2および図3に示すように、液晶パネル100pでは、素子基板10と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の外縁に沿うように枠状に設けられている。シール材107は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材107aが配合されている。
【0023】
かかる構成の液晶パネル100pにおいて、素子基板10および対向基板20はいずれも四角形であり、液晶パネル100pの略中央には、図1を参照して説明した画像表示領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、画像表示領域10aの外側は、四角枠状の外周領域10cになっている。
【0024】
素子基板10において、外周領域10cでは、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。なお、端子102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続されており、素子基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0025】
詳しくは後述するが、素子基板10の一方面10sおよび他方面10tのうち、対向基板20と対向する一方面10sの側において、画像表示領域10aには、図1を参照して説明した画素トランジスター30、および画素トランジスター30に電気的に接続する画素電極9aがマトリクス状に形成されており、かかる画素電極9aの上層側には配向膜16が形成されている。
【0026】
また、素子基板10の一方面10sの側において、画像表示領域10aより外側の外周領域10cのうち、画像表示領域10aとシール材107とに挟まれた四角枠状の周辺領域10bには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。ダミー画素電極9bは、隣り合うダミー画素電極9b同士が細幅の連結部(図示せず)で繋がっている。また、ダミー画素電極9bは、共通電位Vcomが印加されており、画像表示領域10aの外周側端部での液晶分子の配向の乱れを防止する。また、ダミー画素電極9bは、素子基板10において配向膜16が形成される面を研磨により平坦化する際、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。なお、ダミー画素電極9bに電位を印加せず、ダミー画素電極9bを電位的にフロート状態とする場合もあり、この場合でも、ダミー画素電極9bは、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。
【0027】
図2(b)に示すように、対向基板20の一方面20sおよび他方面20tのうち、素子基板10と対向する一方面20sの側には共通電極21が形成されている。共通電極21は、対向基板20の略全面あるいは複数の帯状電極として複数の画素100aに跨って形成されている。本形態において、共通電極21は、対向基板20の略全面に形成されている。
【0028】
また、対向基板20の一方面20sの側には、共通電極21の下層側に遮光層29が形成され、共通電極21の表面には配向膜26が積層されている。本形態において、遮光層29は、画像表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁部分29aとして形成されている。また、本形態において、遮光層29は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに重なるブラックマトリクス部29bとしても形成されている。ここで、額縁部分29aはダミー画素電極9bと重なる位置に形成されており、額縁部分29aの外周縁は、シール材107の内周縁との間に隙間を隔てた位置にある。従って、額縁部分29aとシール材107とは重なっていない。
【0029】
図2(a)、および図3に示すように、液晶パネル100pにおいて、シール材107より外側には、対向基板20の一方面20sの側の4つの角部分に基板間導通用電極部25tが形成されており、素子基板10の一方面10sの側には、対向基板20の4つの角部分(基板間導通用電極部25t)と対向する位置に基板間導通用電極部6tが形成されている。基板間導通用電極部6tは、共通電位Vcomが印加された定電位配線6sに導通しており、定電位配線6sは、端子102のうち、共通電位印加用の端子102aに導通している。基板間導通用電極部6tと基板間導通用電極部25tとの間には、導電粒子を含んだ基板間導通材109が配置されており、対向基板20の共通電極21は、基板間導通用電極部6t、基板間導通材109および基板間導通用電極部25tを介して、素子基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、素子基板10の側から共通電位Vcomが印加されている。シール材107は、略同一の幅寸法をもって対向基板20の外周縁に沿って設けられている。このため、シール材107は、略四角形である。但し、シール材107は、対向基板20の角部分と重なる領域では基板間導通用電極部6t、25tを避けて内側を通るように設けられており、シール材107の角部分は略円弧状である。
【0030】
かかる構成の液晶装置100において、本形態では、画素電極9aおよび共通電極21がITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成されており、液晶装置100は透過型の液晶装置である。かかる透過型の液晶装置100では、素子基板10および対向基板20のうち、例えば、対向基板20の側から入射した光が素子基板10を透過して出射される間に変調されて画像を表示する。
【0031】
本形態の液晶装置100は、小型カメラ、モバイルコンピューター、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いられる。このため、本形態の液晶装置100では、対向基板20あるいは素子基板10のうちの一方は、後述するカラーフィルター層(図示せず)が形成されたカラーフィルター基板としての機能も有する。本形態においては、対向基板20および素子基板10のうち、素子基板10にカラーフィルター層が形成されている。なお、液晶装置100では、使用する液晶層50の種類や、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が液晶パネル100pに対して所定の向きに配置される。
【0032】
(画素の具体的構成)
図4は、本発明を適用した液晶装置100の画素の説明図であり、図4(a)、(b)は各々、液晶装置100に用いた素子基板10において隣り合う複数の画素の平面図、およびF−F′線に相当する位置で液晶装置100を切断したときの断面図である。なお、図4(a)では、各層を以下の線
半導体層1a=細くて短い点線
走査線3a=太い実線
ドレイン電極4a=細い実線
データ線6aおよび中継電極6b=一点鎖線
容量線5b=二点鎖線
無機遮光層7aおよび中継電極7b=長い破線
画素電極9a=短い破線
で示してある。なお、素子基板10では、遮光層8a、誘電体層40およびエッチングストッパー層49の図示は省略してある。
【0033】
図4(a)に示すように、素子基板10において対向基板20と対向する一方面10sには、複数の画素100aの各々に画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた領域と重なる画素間領域10fに沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。本形態において、画素間領域10fは縦横に延在しており、走査線3aは画素間領域10fのうち、X方向(第1方向)に延在する第1画素間領域10gに沿って直線的に延在し、データ線6aは、Y方向(第2方向)に延在する第2画素間領域10hに沿って直線的に延在している。また、データ線6aと走査線3aとの交差に対応して画素トランジスター30が形成されており、本形態において、画素トランジスター30は、データ線6aと走査線3aとの交差付近に形成されている。素子基板10には、走査線3aと重なるように容量線5bが形成されており、かかる容量線5bには共通電位Vcomが印加されている。本形態において、容量線5bは、走査線3aと重なるように直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なるように延びた副線部分とを備えている。また、データ線6aに重なるように無機遮光層7aが延在している。
【0034】
図4(a)、(b)に示すように、素子基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体10wの液晶層50側の基板面(対向基板20と対向する一方面10s側)に形成された画素電極9a、画素スイッチング用の画素トランジスター30、および配向膜16を主体として構成されている。対向基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w、その液晶層50側の表面(素子基板10と対向する一方面20s)に形成された遮光層29、共通電極21、および配向膜26を主体として構成されている。
【0035】
素子基板10において、基板本体10wの一方面10s側には、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる遮光層8aが形成されている。本形態において、遮光層8aは、タングステンシリサイド(WSi)等の遮光膜からなり、液晶装置100を透過した後の光が他の部材で反射した際、かかる反射光が半導体層1aに入射して画素トランジスター30で光電流に起因する誤動作が発生することを防止する。
【0036】
基板本体10wの一方面10s側において、遮光層8aの上層側には、透光性の絶縁膜12が形成されており、かかる絶縁膜12の表面に、半導体層1aを備えた画素トランジスター30が形成されている。本形態において、絶縁膜12は、NSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG (ボロンリンシリケートガラス)等のシリコン酸化膜(シリケートガラスも含む。)や、シリコン窒化膜からなる。かかる絶縁膜12は、シランガス(SiH4)、2塩化シラン(SiCl22)、TEOS(テトラエトキシシラン/テトラ・エチル・オルソ・シリケート/Si(OC254)、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)等を用いた常圧CVD法、減圧CVD法、あるいはプラズマCVD法等により形成される。
【0037】
画素トランジスター30は、データ線6aの延在方向に長辺方向を向けた半導体層1aと、半導体層1aの長さ方向と直交する方向に延在して半導体層1aの長さ方向の中央部分に重なるゲート電極3cとを備えており、本形態において、ゲート電極3cは走査線3aの一部からなる。また、画素トランジスター30は、半導体層1aとゲート電極3cとの間に透光性のゲート絶縁層2を有している。半導体層1aは、ゲート電極3cに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1gを備えているとともに、チャネル領域1gの両側にソース領域1bおよびドレイン領域1cを備えている。本形態において、画素トランジスター30は、LDD構造を有している。従って、ソース領域1bおよびドレイン領域1cは各々、チャネル領域1gの両側に低濃度領域を備え、低濃度領域に対してチャネル領域1gとは反対側で隣接する領域に高濃度領域を備えている。
【0038】
半導体層1aは、ポリシリコン膜(多結晶シリコン膜)等によって構成されている。ゲート絶縁層2は、半導体層1aを熱酸化したシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁層2aと、温度が700〜900℃の高温条件での減圧CVD法により形成されたシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁層2bとの2層構造からなる。
【0039】
ゲート電極3cおよび走査線3aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ゲート電極3cは、導電性のポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜との2層構造を有している。
【0040】
ゲート電極3cの上層側には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜41が形成され、層間絶縁膜41の上層には、ドレイン電極4aが形成されている。本形態において、層間絶縁膜41は、シリコン酸化膜からなる。ドレイン電極4aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ドレイン電極4aはチタン窒化膜からなる。ドレイン電極4aは、半導体層1aのドレイン領域1c(画素電極側ソースドレイン領域)と一部が重なるように形成されており、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール41aを介してドレイン領域1cに導通している。
【0041】
ドレイン電極4aの上層側には、シリコン酸化膜等から透光性のエッチングストッパー層49、および透光性の誘電体層40が形成されており、かかる誘電体層40の上層側には容量線5bが形成されている。誘電体層40としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等のシリコン化合物を用いることができる他、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜、ニオブ酸化膜、ハフニウム酸化膜、ランタン酸化膜、ジルコニウム酸化膜等の高誘電率の誘電体層を用いることができる。本形態において、誘電体層40は概ね、ドレイン電極4aと重なる領域のみに形成されている。容量線5bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、容量線5bは、チタン窒化膜、アルミニウム膜、およびチタン窒化膜との3層構造を有している。ここで、容量線5bは、誘電体層40を介してドレイン電極4aと重なっており、蓄積容量55を構成している。
【0042】
容量線5bの上層側には層間絶縁膜42が形成されており、かかる層間絶縁膜42の上層側には、データ線6aと中継電極6bとが同一の導電膜により形成されている。層間絶縁膜42はシリコン酸化膜からなる。データ線6aと中継電極6bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、データ線6aおよび中継電極6bは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。データ線6aは、層間絶縁膜42、エッチングストッパー層49、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール42aを介してソース領域1b(データ線側ソースドレイン領域)に導通している。中継電極6bは、層間絶縁膜42およびエッチングストッパー層49を貫通するコンタクトホール42bを介してドレイン電極4aに導通している。
【0043】
データ線6aおよび中継電極6bの上層側にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜44が形成されており、かかる層間絶縁膜44の上層側には、無機遮光層7aおよび中継電極7bが形成されている。層間絶縁膜44は、例えば、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリコン酸化膜からなる。本形態において、層間絶縁膜44は、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜と、PSG、BSG、BPSG等のドープトシリケートガラス膜との2層構造からなる。本形態において、層間絶縁膜44の表面は平坦面になっている。
【0044】
無機遮光層7aおよび中継電極7bは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。ここで、無機遮光層7aは、データ線6aと略重なるように延在しており、ブラックストライプとして機能する。このため、無機遮光層7aは、画素100a内では他の電極等と電気的には接続されていない。中継電極7bは、層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44aを介して中継電極7bに導通している。本形態において、層間絶縁膜44の表面は平坦面になっている。
【0045】
ここで、層間絶縁膜44には凹部44sが形成されており、かかる凹部44sには、後述するカラーフィルター層15が設けられている。
【0046】
無機遮光層7aおよび中継電極7bの上層側にはシリコン酸化膜等からなる透光性の無機保護膜45が形成されており、かかる無機保護膜45の上層側には、ITO(Indium Tin Oxide)膜等の透光性導電膜からなる画素電極9aが形成されている。
【0047】
無機保護膜45は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成した厚さが400nm程度のシリコン酸化膜からなり、層間絶縁膜およびカラーフィルター層15に対する保護膜として機能している。
【0048】
画素電極9aは、中継電極7bと部分的に重なっており、無機保護膜45を貫通するコンタクトホール45aを介して中継電極7bに導通している。その結果、画素電極9aは、中継電極7b、6bおよびドレイン電極4aを介してドレイン領域1cに電気的に接続している。ここで、無機保護膜45の表面は平坦面になっており、かかる平坦面上に画素電極9aが形成されている。
【0049】
画素電極9aの表面には配向膜16が形成されている。配向膜16は、ポリイミド等の樹脂膜、あるいはシリコン酸化膜等の斜方蒸着膜からなる。本形態において、配向膜16は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜(垂直配向膜)である。配向膜16と画素電極9aとの層間にはシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の透光性の保護膜が形成され、かかる保護膜によって、画素電極9aの間に形成された凹部が埋められている構造を採用することもある。かかる構成によれば、配向膜16を平坦面に形成することができる。
【0050】
対向基板20では、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20wの液晶層50側の表面(素子基板10に対向する一方面20s)に、遮光層29、シリコン酸化膜等からなる絶縁膜28、およびITO膜等の透光性導電膜からなる共通電極21が形成されており、かかる共通電極21を覆うように配向膜26が形成されている。配向膜26は、配向膜16と同様、ポリイミド等の樹脂膜、あるいはシリコン酸化膜等の斜方蒸着膜からなる。本形態において、配向膜26は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜(垂直配向膜)である。かかる配向膜16、26は、液晶層50に用いた誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を垂直配向させ、液晶パネル100pは、ノーマリブラックのVAモードとして動作する。
【0051】
なお、図1および図2を参照して説明したデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104には、nチャネル型の駆動用トランジスターとpチャネル型の駆動用トランジスターとを備えた相補型トランジスター回路等が構成されている。ここで、駆動用トランジスターは、画素トランジスター30の製造工程の一部を利用して形成されたものである。このため、素子基板10においてデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104が形成されている領域も、図4(b)に示す断面構成と略同様な断面構成を有している。
【0052】
(カラーフィルター層15の構成)
図5は、本発明を適用した液晶装置100の素子基板10に設けたカラーフィルター層15の説明図であり、図5(a)、(b)、(c)は、無機遮光層7aや中継電極7bの形成領域をグレー領域で示す説明図、カラーフィルター層15の形成領域をグレー領域で示す説明図、およびE−E′断面図である。
【0053】
図4(b)、図5(b)、(c)に示すように、本形態の液晶装置100において、素子基板10には、画素電極9aと重なる領域に所定色のカラーフィルター層15が形成されている。本形態においては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルター層15は各々、Y方向に並ぶストライプ配列が採用されている。かかるカラーフィルター層15は、樹脂材料中に色材が分散してなる。
【0054】
かかるカラーフィルター層15を設けるにあたって、本形態では、図5(a)、(c)に示すように、層間絶縁膜44の表面上では、画素電極9aの間で延在する第2画素間領域10h(図4(a)参照)に重なる領域に沿って無機遮光層7aが延在している。従って、本形態では、図5(b)、(c)に示すように、X方向で隣り合う無機遮光層7aの間にカラーフィルター層15が設けられている。また、本形態では、カラーフィルター層15を十分な厚さに形成することを目的に、層間絶縁膜44には、無機遮光層7aの間と重なる領域に凹部44sが形成されており、カラーフィルター層15は、凹部44sの内部および無機遮光層7aの間に設けられている。無機遮光層7aおよびカラーフィルター層15の上層側には無機保護膜45が形成されており、カラーフィルター層15は、厚さが400nm程度のシリコン酸化膜からなる無機保護膜45によって保護されている。
【0055】
ここで、カラーフィルター層15は、図5(b)、(c)に示すように、無機遮光層7aの表面7eと同一あるいは略同一の高さ位置まで形成されているが、無機遮光層7aの表面7eには一切重なっていない。このため、無機遮光層7aは、ライン幅方向の全体で無機保護膜45に接している。
【0056】
また、本形態では、図3(a)、(b)にグレー領域で示してあるように、カラーフィルター層15は、画像表示領域10aには形成されているが、素子基板10の外周縁から離間した内側領域のみに形成されているのに対して、無機保護膜45は、素子基板10の外周縁も含む略全面に形成されている。従って、無機保護膜45は、素子基板10の外周部分では、カラーフィルター層15と接触せずに、下層側の層間絶縁膜44と接することになる。
【0057】
かかる構成を採用するにあたっては、例えば、図3(a)に示すように、画像表示領域10aのみにカラーフィルター層15を形成し、画像表示領域10aより外側の外周領域10cにはカラーフィルター層15を形成しない構成を採用することができる。また、図3(b)に示すように、画像表示領域10aおよびダミー画素電極9bが形成されている領域のみにカラーフィルター層15を形成し、ダミー画素電極9bが形成されている領域より外側にはカラーフィルター層15を形成しない構成を採用することができる。いずれの場合も、カラーフィルター層15は、シール材107より内側のみに形成する。
【0058】
(液晶装置100の製造方法)
図5を参照して、本形態の液晶装置100の製造工程のうち、カラーフィルター層15を形成する工程を中心に液晶装置100の製造方法を説明する。なお、他の工程については周知の方法を利用できるので、説明を省略する。
【0059】
まず、層間絶縁膜形成工程において、層間絶縁膜43を形成した後、その表面を研磨する。かかる研磨には化学機械研磨やエッチバック法を利用することができる。化学機械研磨では、研磨液に含まれる化学成分の作用と、研磨剤と素子基板10との相対移動によって、高速で平滑な研磨面を得ることができる。より具体的には、研磨装置において、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等からなる研磨布(パッド)を貼り付けた定盤と、素子基板10を保持するホルダーとを相対回転させながら、研磨を行なう。その際、例えば、平均粒径が0.01〜20μmの酸化セリウム粒子、分散剤としてのアクリル酸エステル誘導体、および水を含む研磨剤を研磨布と素子基板10との間に供給する。
【0060】
次に、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を利用して層間絶縁膜43に凹部44sを形成した後、無機遮光層形成工程において、層間絶縁膜43の表面に、複数列に並列する無機遮光層7aを形成する。より具体的には、層間絶縁膜43の表面に、アルミニウム合金膜や、アルミニウム膜とチタン窒化膜との積層膜等の遮光膜を形成した後、パターニングし、無機遮光層7aおよび中継電極7bを形成する。なお、無機遮光層形成工程については、層間絶縁膜44に凹部44sを形成した後に行ってもよい。
【0061】
次に、凹部44sの内部、および無機遮光層7aの間にカラーフィルター層15を形成する。かかるカラーフィルター層15は、インクジェット方式によって液状カラーフィルター材料を所定領域に吐出してカラーフィルター層15を形成する方法を採用することができる。また、スピンコート法で液状カラーフィルター材料を塗布した後、硬化させ、しかる後に、硬化した膜をフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を利用して所定領域から除去してカラーフィルター層15を形成する方法を採用することができる。また、スピンコート法で感光性の液状カラーフィルター材料を塗布した後、露光、現像してカラーフィルター層15を形成する方法を採用することができる。いずれの方法でも、液状カラーフィルター材料の塗布量等を制御して、無機遮光層7aの表面7eとは重ならないように、無機遮光層7aの間にカラーフィルター層15を設ける。また、カラーフィルター層15を厚めに形成した後、その表面を研磨する方法を採用して、無機遮光層7aの表面7eとは重ならないように、無機遮光層7aの間にカラーフィルター層15を設けてもよい。
【0062】
次に、無機保護膜形成工程では、無機遮光層7aの表面およびカラーフィルター層15の表面を覆うように無機保護膜45を成膜した後、化学機械研磨やエッチバック法等の方法により、無機保護膜45の表面を平坦化する。ここで、無機保護膜45を成膜するには、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法を利用する。その際、成膜温度を200℃程度以下とする。従って、無機保護膜45を成膜するには、プラズマCVD法のうち、バイアスECR-CVD法を採用することが好ましく、かかる成膜方法によれば、200℃以下の成膜温度により、シリコン酸化膜からなる無機保護膜45を形成することができ、カラーフィルター層15の熱劣化に伴う色度低下を防止することができる。
【0063】
しかる後には、周知の方法でコンタクトホール45aの形成や、画素電極9aの形成、配向膜16の形成等を行う。
【0064】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態は、素子基板10の一方面10s側に複数列の無機遮光層7aとカラーフィルター層15とが設けられ、かかる無機遮光層7aおよびカラーフィルター層15は無機保護膜45で覆われている。ここで、カラーフィルター層15は、図5等を参照して説明したように、無機遮光層7aの基板本体とは反対側の面(表面7e)は重ならずに設けられている。このため、カラーフィルター層15の両側では、無機遮光層7aと無機保護膜45とが接し、かつ、無機遮光層7aと無機保護膜45との接触面積が広い。また、カラーフィルター層15と無機保護膜45との接触面積が狭い。このため、無機保護膜45は、カラーフィルター層15との密着強度が低くても無機遮光層7aとは密着強度が高いので、カラーフィルター層15に対する保護膜として無機保護膜45を用いても、無機保護膜45が剥がれることがない。
【0065】
また、画素電極9aとカラーフィルター層15とが同一の基板(素子基板10)に形成されているので、表示の高精細化を図ることを目的に画素100aが微細化されている場合でも、画素電極9aとカラーフィルター層15との位置ずれを最小限に止めることができる。
【0066】
また、無機保護膜45であれば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって、画素電極9aを画素トランジスター30に電気的に接続するためのコンタクトホール45aの形成を高い精度で行うことができる。
【0067】
さらに、図3を参照して説明したように、カラーフィルター層15は、素子基板10の外周端より離間した内側領域のみに設けられ、無機保護膜45は、カラーフィルター層15が形成されている領域より外側まで設けられている。例えば、カラーフィルター層15は、画素電極9aが複数配列された画像表示領域10aのみに設けられ、無機保護膜45は、画像表示領域10aより外側まで設けられている。このため、カラーフィルター層15が配列されている領域より外周側においては、無機保護膜45がカラーフィルター層15と接していないので、無機保護膜45が剥がれることがない。
【0068】
さらにまた、無機保護膜45は、プラズマCVD法により成膜されてなるため、200℃程度以下の温度で成膜することができる。従って、無機保護膜45を形成する際、カラーフィルター層15が熱によって変質することを防止することができる。
【0069】
[他の実施の形態]
また、上記実施の形態では、液晶装置100の素子基板10にカラーフィルター層15を設ける場合を例示したが、対向基板20にカラーフィルター層15を設ける場合に本発明を適用してもよい。例えば、図2(b)に示す遮光層29の間にカラーフィルター層15を設ける際、図4(b)に示す遮光層29を金属系材料により構成し、絶縁膜28をCVD法で形成したシリコン酸化膜等の無機材料からなる保護膜とすればよい。
【0070】
また、実施の形態では、液晶装置用の基板にカラーフィルター層15を設ける場合に本発明を適用したが、有機エレクトロルミネッセンス装置等、他の電気光学装置用の基板にカラーフィルター層15を設ける場合に本発明を適用してもよい。
【0071】
[電子機器への搭載例]
図6は、本発明を適用した液晶装置100を用いた電子機器の説明図である。図6(a)に示すデジタルカメラ1000において、略直方体の形状を有するケース1020の背面中央には、本発明を適用した液晶装置100からなるモニターが設けられ、ケース1020の上面にはシャッタボタン1060等が設けられている。また、ケース1020表面側に向けては、光学レンズやCCD(Charge Coupled Device)等を含んだ受光ユニット1040が設けられている。図6(b)の携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001、スクロールボタン3002、および表示ユニットとしての液晶装置100を備えている。図6(c)に示す情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001、電源スイッチ4002、および表示ユニットとしての液晶装置100を備えている。なお、液晶装置100が用いられる電子機器としては、図6に示すものの他、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として液晶装置100が用いられる。
【符号の説明】
【0072】
7a・・無機遮光層、7e・・無機遮光層の表面、9a・・画素電極、10・・素子基板、10a・・画像表示領域、15・・カラーフィルター層、20・・対向基板、21・・共通電極、44・・層間絶縁膜、45・・無機保護膜、50・・液晶層、100・・液晶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方面側に設けられた無機遮光層と、
前記無機遮光層とは重ならずに、前記無機遮光層の間に設けられたカラーフィルター層と、
前記無機遮光層および前記カラーフィルター層に対して前記基板とは反対側に設けられ、前記無機遮光層において前記基板とは反対側の面、および前記カラーフィルター層において前記基板とは反対側の面に接する無機保護膜と、
を有することを特徴とするカラーフィルター基板。
【請求項2】
基板の一方面側に設けられた無機遮光層と、
前記無機遮光層とは重ならずに、前記無機遮光層の間に設けられたカラーフィルター層と、
前記無機遮光層および前記カラーフィルター層に対して前記基板とは反対側に設けられ、前記無機遮光層において前記基板とは反対側の面、および前記カラーフィルター層において前記基板とは反対側の面に接する無機保護膜と、
を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
前記基板の一方面側に、画素トランジスター、および前記無機保護膜に形成されたコンタクトホールを経由して前記画素トランジスターに電気的に接続する画素電極が複数設けられ、
前記無機遮光層は、隣り合う前記画素電極の間に重なる領域に沿って延在していることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記カラーフィルター層は、前記基板の外周端より離間した内側領域のみに設けられ、
前記無機保護膜は、前記カラーフィルター層が形成されている領域より外側まで設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記カラーフィルター層は、前記基板の前記一方面側のうち、前記画素電極が複数配列された画像表示領域のみに設けられ、
前記無機保護膜は、前記画像表示領域より外側まで設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記無機保護膜は、プラズマCVD法により成膜されてなることを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記基板は、前記一方面側に対向配置された基板との間に液晶層を保持していることを特徴とする請求項2乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
請求項2乃至7の何れか一項に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
基板の一方面側に無機遮光層を形成する無機遮光層形成工程と、
前記無機遮光層の表面とは重ならずに、前記無機遮光層の間にカラーフィルター層を設けるカラーフィルター層形成工程と、
前記無機遮光層の表面および前記カラーフィルター層の表面に接する無機保護膜を形成する無機保護膜形成工程と、
を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
前記無機保護膜形成工程では、プラズマCVD法により、前記無機保護膜を形成することを特徴とする請求項9に記載の電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−225972(P2012−225972A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90748(P2011−90748)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】