説明

カラーフィルタ用着色組成物、及びカラーフィルタ

【課題】本発明の目的は、色特性及び耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れ、安定なカラーフィルタ用赤色、緑色、黄色着色組成物、並びにそれを用いた色特性が良く、耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れるカラーフィルタを提供することである。
【解決手段】 少なくとも着色剤と樹脂とからなるカラーフィルタ用着色組成物において、該着色剤が、スルホン化色素誘導体と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物(A)および有機顔料を含むことを特徴とするカラーフィルタ用青色着色組成物によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用着色組成物、及びこれを用いて形成されてなるフィルタセグメントを備えるカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置は、2枚の偏光板に挟まれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを制御して、2枚目の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示を行う表示装置であり、ツイストネマチック(TN)型液晶を用いるタイプが主流となっている。液晶表示装置は、2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となった。そのため液晶表示装置は、テレビやパソコンモニタ用途への展開が進んでいる。
【0003】
その他の代表的な液晶表示装置の方式としては、一対の電極を片側の基板上に設けて基板に平行な方向に電解を印加するイン・プレーン・スイッチング(IPS)方式、負の誘電異方性をもつネマチック液晶を垂直配向させるヴァーティカリー・アライメント(VA)方式、また一軸性の位相差フィルムの光軸を互いに直交させ、光学補償を行なっているオプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)方式等があり、それぞれが実用化されている。
【0004】
一般的にカラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に形成された、赤色フィルタ層(R)、緑色フィルタ層(G)および青色フィルタ層(B)からなる微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメント(画素)を平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
【0005】
カラー液晶表示装置に用いられているカラーフィルタの上には、一般に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極及び配向膜の性能を充分に得るには、その形成工程を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。
【0006】
カラーフィルタに要求される品質項目としては、コントラスト比と明度が挙げられる。コントラスト比が低いカラーフィルタを用いると、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまい、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ぼやけた画面となってしまう。そのため高品質な液晶表示装置を実現するためには、高コントラスト化が不可欠である。
【0007】
また、明度が低いカラーフィルタを用いると、光の透過率が低いため、暗い画面となってしまい、明るい画面とするためには、光源であるバックライトの数を増量する必要がある。そのため消費電力の増大を抑制する観点から、カラーフィルタの高明度化がトレンドとなっている。
【0008】
さらに、前述のようにカラー液晶装置がテレビやパソコンモニタ等に用いられるようになったことから、カラーフィルタに対して高コントラスト化、高明度化とともに、広い色再現領域や高い信頼性の要求も高くなっている。
【0009】
またC−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)などに代表されるカラー撮像管素子は、その受光素子上に赤色フィルタ層(R)、緑色フィルタ層(G)および青色フィルタ層(B)の加法混合の原色のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタをそれぞれ配設して色分解するのが一般的である。また、原色のカラーフィルタに比べ高感度が得られるため、赤色、緑色、青色の補色に相当する、シアン、マゼンタ、イエロー(CMY)のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタもよく用いられている。補色のカラーフィルタは、フラッシュなどの補助光源を利用しにくいビデオカメラ等で採用される場合が多い。
近年においては、カラー撮像管素子に用いられるカラーフィルタにおいても高透過率すなわち明度や、高い信頼性といった要求が高まっている。
【0010】
カラーフィルタの製造方法には、着色剤として染料、造塩染料を使った染色法、染料分散法や、着色剤として顔料を使った顔料分散法、印刷法、電着法などがある。このうち染色法、あるいは染色分散法は着色剤が染料であることから、耐熱性や耐光性にやや劣る欠点がある。よってカラーフィルタの着色剤としては耐熱性や耐光性に優れる顔料が用いられ、製造方法としては形成方法の精度や安定性から顔料分散法を用いる場合が多い。
【0011】
顔料分散法は、透明樹脂中に着色剤である顔料粒子を分散させたものに感光剤や添加剤などを混合・調合することによってカラーレジスト化し、このカラーレジストを基板上にスピンコーターなどの塗布装置により塗膜形成し、アライナーやステッパー等によりマスクを介して選択的に露光を行い、アルカリ現像、熱硬化処理をすることによりパターニングし、この操作を繰り返すことによってカラーフィルタを作製する方法である。
【0012】
一般に顔料粒子に微細化処理を行い、その微細化された顔料を極限まで一次粒子に近づけた顔料分散体を作成することによって、顔料による光の散乱が抑制され、高コントラスト化が達成できる。また分散体の透明度も向上するため、分散体の分光スペクトルが高透過率を持ち、高明度化が実現する。この分散体をカラーレジストに用いることにより、高コントラスト、高明度をもつカラーフィルタが得られる。
【0013】
従来、赤色フィルタセグメントの形成に用いられる着色剤には、アントラキノン系顔料(例えばC.I.ピグメントレッド 177)や、ジケトピロロピロール系顔料(例えばC.I.ピグメントレッド 254)用いられてきた。これらの顔料は、機械的な処理によって容易に微細化することができ、さらに微細化された顔料を比較的容易に分散することができるため、コントラストや明度向上には有用である(特許文献1〜3参照)。赤色フィルタセグメントの形成としては、これら赤色顔料にC.I.ピグメントイエロー138、139、150、185等の黄色顔料を着色剤として併用するのが一般的である。
【0014】
また緑色フィルタセグメントの形成に用いられる着色剤としては、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料(例えば、C.I.ピグメントグリーン36やC.I.ピグメントグリーン7)が従来用いられていたが、近年は鮮明な色調と広い色表示領域を発揮し高い着色力を持つ色材である、中心金属を亜鉛に置き換えたハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(例えば、C.I.ピグメントグリーン58)がよく用いられてきている(特許文献4〜6参照)。これらの緑色顔料にC.I.ピグメントイエロー138、139、150、185等の黄色顔料を併用して用いることが一般的である。
【0015】
しかしながら、前述の様に市場における要求では高コントラスト化と高明度化の要求が高まっているが、赤色フィルタ、緑色フィルタのどちらにおいても、従来使用されている顔料を用いる限り、更なる高コントラスト化と高明度化を達成することが困難な状況である。
【0016】
さらに近年、カラーフィルタの色再現範囲の拡張を目的として、赤色フィルタセグメント・緑色フィルタセグメント・青色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタに、黄色フィルタセグメント(画素)を加える方式が提案されている(特許文献7、8)。この黄色フィルタセグメントの形成に用いられる着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー138、139、150、185等の黄色顔料が挙げられるが、黄色フィルタセグメントにも高コントラスト化、高明度化が必要となっている。こちらにおいても従来使用されている顔料を用いる限り、更なる高コントラスト化と高明度化を達成することが困難な状況である。
【0017】
上記の課題を解決するために、着色剤として顔料ではなく染料を樹脂等に溶解させる技術が提案されている(特許文献9参照)。しかしながら、カラーフィルタの製造工程では200℃あるいは230℃以上の高温を伴う工程があり、着色剤に染料を用いたカラーフィルタは高熱を伴う工程の前後で、コントラスト比の低下や色相の変化が起こり耐熱性に問題があった。また一般的に染料は顔料に比較して耐光性、耐溶剤性にも劣るという問題もある。
【0018】
またキノフタロン系化合物の四級アンモニウム塩化合物をカラーフィルタ用着色剤として使用できることが提案されている。(特許文献10参照)しかしながら、ここで用いられる四級アンモニウム塩化合物は、テトラブチルアンモニウムクロライド由来のカチオンであり、耐熱性、耐光性、溶剤溶解性に劣り使用できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平10−148712号公報
【特許文献2】特開平11−231516号公報
【特許文献3】特開2002−328217号公報
【特許文献4】特開平10−130547号公報
【特許文献5】特開2001−141922号公報
【特許文献6】特開2007−204658号公報
【特許文献7】特開2005−196166号公報
【特許文献8】特開2004−295116号公報
【特許文献9】特開平6−75375号公報
【特許文献10】特開2004−91497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れ、色特性の良いカラーフィルタ用着色組成物、ならびにそれを用いた耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れ、色特性の良いカラーフィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、赤色、緑色、黄色各色のカラーフィルタに用いる着色剤として、少なくともキノフタロン系色素のスルホン化誘導体を四級アンモニウム塩にて造塩した化合物を用いたカラーフィルタ用着色組成物を用いることにより課題が解決することを見出した。
【0022】
すなわち本発明は、少なくとも着色剤と透明樹脂とを含有するカラーフィルタ用着色組成物において、前記着色剤が下記一般式(1)で示される化合物と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物(A)および有機顔料を含むことを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物に関する。
一般式(1):
【化1】

(nは1から13の整数で、R1からR8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、もしくはスルホン酸基である。)
【0023】
また本発明は、四級アンモニウム塩化合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物に関する。

一般式(2):
【化2】

(式(2)中、R〜R は、それぞれ独立に、炭素数1乃至20のアルキル基またはベンジル基を示し、R1、R2、R3、R4の少なくとも2つ以上がCの数が8〜20個である。Yは無機または有機のアニオンを表す。)
【0024】
また本発明は、四級アンモニウム塩化合物のカチオン部分の分子量が250〜960の範囲であるカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0025】
また本発明は、有機顔料がC.I.ピグメント レッド 177、242、254から選ばれる1種類以上を含むカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0026】
さらに本発明は、有機顔料がC.I.ピグメント イエロー 138、139、150、185から選ばれる1種類以上を含む、上記記載のカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0027】
また本発明は、有機顔料がC.I.ピグメント グリーン 7、36、58から選ばれる1種類以上を含むカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0028】
さらに本発明は、有機顔料がC.I.ピグメント イエロー 138、139、150、185から選ばれる1種類以上を含む、上記記載のカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0029】
また本発明は、有機顔料がC.I.ピグメント イエロー 138、139、150、185から選ばれる1種類以上であるカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0030】
また本発明は、さらに光重合性単量体及び/または光重合開始剤を含有するカラーフィルタ用青色着色組成物に関する。
【0031】
また本発明は、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント及び少なくとも1つの青色フィルタセグメントを備えるカラーフィルタにおいて、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント及び/または緑色フィルタセグメントが、上記記載のカラーフィルタ用着色組成物により形成されてなるカラーフィルタにも関する。
【0032】
また本発明は、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント及び少なくとも1つの黄色フィルタセグメントを備えるカラーフィルタにおいて、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、黄色フィルタセグメントの少なくとも1つのフィルタセグメントが上記記載のカラーフィルタ用着色組成物により形成されてなるカラーフィルタにも関する。
【発明の効果】
【0033】
本発明のカラーフィルタ用緑色着色組成物は、少なくとも着色剤として、キノフタロン系色素のスルホン化誘導体を四級アンモニウム塩にて造塩した造塩化合物(A)を用いることで、耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れ、かつ色特性の良いカラーフィルタ用着色組成物が得られ、耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れ、かつ色特性の良いカラーフィルタを形成することが可能になる。
【0034】
これは本発明の造塩化合物(A)が、その分光特性として透過波長領域が短波波長側にシフトしているため、この造塩化合物(A)を着色剤として用いた着色組成物、およびこの着色組成物から形成されるカラーフィルタも、透過波長領域が短波波長側にシフトし透過領域が広がる。その結果として高い明度を得ることが可能となる。
【0035】
また本発明の造塩化合物(A)は、特定の四級アンモニウム塩にて造塩しているため、特に良好な耐熱性を示す。そのためカラーフィルタの高熱がかかる製造工程を経ても、工程の前後でコントラスト比の低下や色相の変化おきないカラーフィルタを形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を詳細に説明する。以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0037】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、少なくとも着色剤と透明樹脂とを含有するカラーフィルタ用着色組成物において、着色剤がスルホン化色素誘導体を四級アンモニウム塩化合物で造塩した造塩化合物(A)および有機顔料を含むカラーフィルタ用着色組成物である。
【0038】
(スルホン化色素誘導体)
まず本発明の造塩化合物(A)に、アニオン部として用いられるスルホン化色素誘導体について説明する。アニオン部として用いられるスルホン化色素誘導体は下記一般式(1)で表される化合物であり、式中RからRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、もしくはスルホン酸基である。スルホン酸基は1〜13個の範囲であり、nは1〜13の整数である。RからRのほか、キノリン骨格の5箇所の最大13箇所をスルホン化できる。
またスルホン酸基の数は最大13個まで取りうることができるが、好ましくは1つのスルホン酸基で、四級アンモニウム塩化合物と等モルで反応し、造塩化合物(A)とすることが好ましいものである。
【0039】
【化2】

(式中R1からR8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、もしくはスルホン酸基である。スルホン酸基は1〜13個の範囲であり、nは1〜13の整数である。)
【0040】
色素のなかでは、キノフタロン系色素、特にキノフタロン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー138から構成されるスルホン化色素誘導体の分光特性が、透過波長領域が短波波長側にシフトし広い透過領域を持つために好ましい。
【0041】
本発明において、造塩化合物(A)のアニオン部を構成するキノフタロン系色素は、下記の形態であることが好ましいものである。
【0042】
【化3】

【0043】
(四級アンモニウム塩化合物)
次いで、スルホン化色素誘導体のカウンタ成分としての四級アンモニウム塩化合物について説明する。四級アンモニウム塩化合物は、アミノ基を有することでカチオンとしてのカウンタになるものである。
【0044】
造塩化合物(A)のカウンタ成分である四級アンモニウム塩化合物の好ましい形態は、無色、または白色を呈するものである。
ここで無色、または白色とはいわゆる透明な状態を意味し、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において、透過率が95%以上、好ましくは98%以上となっている状態と定義されるものである。すなわち色素誘導体成分の発色を阻害しない、色変化を起こさないものである必要がある。
【0045】
四級アンモニウム塩化合物のカチオン成分であるカウンタ部分の分子量は250〜960の範囲であることが好ましい。分子量が250よりも小さいと耐光性、耐熱性、耐溶剤性が低下してしまう。また分子量が960よりも大きくなると分子中の発色成分の割合が低下してしまい、発色性が低下し、明度も低下してしまう。より好ましくはカウンタ部分の分子量が300〜850の範囲である。特に好ましいのは、カウンタ部分の分子量が350〜800の範囲である。
ここで分子量は構造式を基に計算を行ったものであり、Cの原子量を12、Hの原子量を1、Nの原子量を14とした。
【0046】
また、四級アンモニウム塩化合物として以下一般式(1)で表されるものが好ましく用いられる。
【0047】
一般式(1)
【化4】

【0048】
(一般式(1)中、R〜R は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基またはベンジル基を示し、R、R、R、Rの少なくとも2つ以上がCの数が8〜20個であることが好ましい。Yは無機または有機のアニオンを表す。)
【0049】
〜R の少なくとも2つ以上のCの数を8〜20個とすることで、溶剤に対する溶解性が良好なものとなる。Cの数が8より小さいアルキル基が3つ以上になると溶剤に対する溶解性が悪くなり、塗膜異物が発生しやすくなってしまう。またCの数が20を超えてしまうアルキル基が存在すると造塩化合物(A)の発色性が損なわれてしまう。
【0050】
具体的には、モノステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が312)、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が550)、トリステアリルモノメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が788)、モノオレイルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が312)、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が550)、トリオレイルモノメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が788)、モノベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が368)、ジベヘニルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が662)、トリベヘニルモノメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が956)、モノパルミチルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が284)、ジパルミチルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が494)、トリパルミチルモノメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が704)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が368)、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が270)、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が382)、トリラウリルメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が536)、トリアミルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が318)、トリヘキシルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が360)、トリオクチルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が444)、トリラウリルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が612)、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が388)、及びベンジルジメチルオクチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が248)、ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド(硬化牛脂)(カチオン部分の分子量が438〜550)等を用いることが好ましい。
【0051】
四級アンモニウム塩化合物のアニオンを構成するY-の成分は、無機または有機のアニオンであればよいが、ハロゲンであることが好ましく、通常は塩素である。
【0052】
具体的な四級アンモニウム塩化合物の製品としては、花王社製のコータミン24P、コータミン86Pコンク、コータミン60W、コータミン86W、コータミンD86P、サニゾールC、サニゾールB−50等、ライオン社製のアーカード210−80E、2C−75、2HT−75、2HTフレーク、2O−75I、2HP−75、2HPフレーク等があげられ、中でもコータミンD86P(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド)、アーカード2HT−75(ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド)が好ましいものである。
【0053】
一般式(1)で示される化合物と四級アンモニウム塩化合物との造塩化合物(A)としては、従来知られている方法により合成することができる。一例をあげると、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン化物を水に溶解した後、四級アンモニウム塩化合物を添加、攪拌しながら造塩化処理を行えばよい。ここでC.I.ピグメントイエロー138のスルホン化物中のスルホン酸基(−SO3H)の部分と四級アンモニウム塩化合物のアンモニウム基(NH4+)の部分が結合した造塩化合物(A)が得られる。
【0054】
本発明では、一般式(1)であらわされる化合物と四級アンモニウム塩化合物との造塩化合物(A)以外の塩化合物を併用することができる。この場合、スルホン化色素誘導体の四級アンモニウム塩・アミン塩・アミド塩との塩化合物などが例示できる。前記スルホン化色素誘導体を構成する色素としては、一般式(1)以外のキノフタロン系色素、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素等が挙げられる。
また、色素には、一般には色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。なお色素は、これらに限定されるものではない。
【0055】
(有機顔料)
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、着色剤として有機顔料を添加することが出来る。
【0056】
本発明の着色組成物を赤色着色組成物として用いる際には赤色顔料を添加することが出来る。添加する赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメント レッド 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、169、177、178、184、185、187、200、202、208、210、242、246、254、255、264、270、272、273、274,276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、又は287等の赤色顔料が用いられる。中でもC.I.ピグメント レッド 177、242、254の中から選ばれる1種類以上を用いることが好ましい。
【0057】
また赤色着色組成物には、C.I.ピグメント オレンジ 43、71、又は73等の橙色顔料及び/またはC.I.ピグメント イエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、又は214等の黄色顔料を併用することができる。中でもC.I.ピグメント オレンジ 43、71の橙色顔料や、C.I.ピグメント イエロー 138、139、150、185の黄色顔料から選ばれる1種類以上を用いることが好ましい。
【0058】
また本発明の着色組成物を緑色着色組成物として用いる際には、緑色顔料を添加することが出来る。添加する緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメント グリーン2、7、10、36、37、58等が用いられる。中でもC.I.ピグメント グリーン 7、36、58の中から選ばれる1種類以上を用いることが好ましい。
【0059】
また緑色着色組成物には、黄色顔料を併用することができる。併用可能な黄色顔料としては、C.I.ピグメント イエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、221等を挙げることができる。中でもC.I.ピグメント イエロー 138、139、150、185から選ばれる1種類以上を用いることが好ましい。
【0060】
さらに本発明の着色組成物を黄色着色組成物として用いる際には、黄色顔料を添加することができる。黄色顔料としては、上記赤色、緑色カラーフィルタに添加できる顔料を添加することが出来る。中でもC.I.ピグメント イエロー 138、139、150、185から選ばれる1種類以上を用いることが好ましい。
【0061】
顔料と造塩化合物(A)との使用割合としては、いずれの着色組成物においても顔料100重量部に対し造塩化合物(A)が1〜80重量部が好ましい。より好ましくは5〜60重量部である。造塩化合物(A)の添加量が1重量部よりも少ないと再現可能な色度領域が狭くなり、また80重量部を越えると色相が変化してしまうため好ましくない。
【0062】
また本発明の着色組成物の全不揮発成分中において好ましい着色剤成分の濃度としては、充分な色再現性を得る観点から10〜90重量%であり、より好ましくは15〜85重量%であり、最も好ましくは20〜80重量%である。着色剤成分の濃度が、10重量%未満になると、十分な色再現領域を得ることができず、90重量%を超えると樹脂の濃度が低くなり、着色組成物の安定性が悪くなる。
【0063】
(顔料の微細化)
本発明の着色組成物に使用する顔料は、ソルトミリング処理を行い微細化することができる。顔料の一次粒子径は、着色剤担体中への分散が良好なことから、20nm以上であることが好ましい。また、コントラスト比が高いフィルタセグメントを形成できることから、100nm以下であることが好ましい。特に好ましい範囲は、25〜85nmの範囲である。なお、顔料の一次粒子径は、顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)による電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で行った。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積を求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径としている。
【0064】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0065】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料の全重量を基準(100重量%)として、50〜2000重量%用いることが好ましく、300〜1000重量%用いることが最も好ましい。
【0066】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料の全重量を基準(100重量%)として、5〜1000重量%用いることが好ましく、50〜500重量%用いることが最も好ましい。
【0067】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料の全重量を基準(100重量%)として、5〜200重量%の範囲であることが好ましい。
【0068】
(樹脂)
樹脂は、着色剤、特に造塩化合物を分散するもの、もしくは造塩化合物を染色、浸透させるものであって、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0069】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0070】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0071】
エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂が用いられる。又、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0072】
熱可塑性樹脂として、アルカリ可溶性能とエネルギー線硬化性能とを併せもつものも、カラーフィルタ用青色着色組成物として好ましい。
【0073】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、およびフェノール樹脂等が挙げられる。
【0074】
樹脂は、成膜性および諸耐性が良好なことから、着色剤の全重量を基準(100重量%)として、30重量%以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、500重量%以下の量で用いることが好ましい。
【0075】
(溶剤)
本発明の着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。
溶剤としては、例えば乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0076】
中でも、本発明の着色組成物を構成する有機顔料、造塩化合物(A)の分散、溶解が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。また溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、着色剤の全重量を基準(100重量%)にして、800〜4000重量%の量で用いることが好ましい。
【0077】
(分散)
本発明の着色組成物は、有機顔料およびスルホン化色素誘導体と四級アンモニウム塩化合物(のカウンタ成分)とからなる造塩化合物(A)とを含む着色剤を、前記樹脂と、必要に応じて溶剤とからなる着色剤担体中に、好ましくは色素誘導体などの分散助剤と一緒に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、本発明の着色組成物は、有機顔料、造塩化合物(A)、その他の着色剤等を別々に着色剤担体に分散したものを混合して製造することもできる。
【0078】
(分散助剤)
着色剤を着色剤担体中に分散する際には、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、着色剤の分散に優れ、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を顔料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、分光透過率の高いカラーフィルタが得られる。
本発明において、造塩化合物(A)は、有機顔料の分散助剤としての役割を果たすこともでき好ましい組み合わせである。
【0079】
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられる。
本発明においては、中でも顔料誘導体が好ましく、その構造は、下記一般式(3)で示される化合物である。
P−Ln 式(3)
(ただし、
P:有機顔料残基、アントラキノン残基、アクリドン残基またはトリアジン残基
L:塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基
n:1〜4の整数である)
Pの有機顔料残基を構成する有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料;アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料;銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料;キナクリドン系顔料;ジオキサジン系顔料;ペリノン系顔料;ペリレン系顔料;チオインジゴ系顔料;イソインドリン系顔料;イソインドリノン系顔料;キノフタロン系顔料;スレン系顔料;金属錯体系顔料等が挙げられる。
【0080】
色素誘導体としては、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
色素誘導体の配合量は、分散性向上の点から、着色剤全量を基準(100重量%)として、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上、最も好ましくは3重量%以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、着色剤の全量を基準(100重量%)として、好ましくは40重量%以下、最も好ましくは35重量%以下である。
【0081】
樹脂型分散剤は、着色剤に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、着色剤に吸着して着色剤の着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0082】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0083】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0084】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合には、着色剤の全量を基準(100重量%)とし、好ましくは0.1〜55重量%、さらに好ましくは0.1〜45重量%である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1重量%未満の場合には、添加した効果が得られ難く、配合量が55重量%より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
【0085】
本発明の着色組成物は、さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を添加し、カラーフィルタ用感光性着色組成物として使用することが出来る。
【0086】
(光重合性単量体)
本発明の光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。モノマーの配合量は、着色剤の全重量を基準(100重量%)として、5〜400重量%であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜300重量%であることがより好ましい。
【0087】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない
【0088】
(光重合開始剤)
本発明のカラーフィルタ用着色組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成する場合は、光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤を使用する際の配合量は、着色剤の全量を基準として、5〜200重量%であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から10〜150重量%であることがより好ましい。
【0089】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、又は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、又は2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、又はO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
【0090】
これらの光重合開始剤は1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。これらの光重合開始剤は、カラーフィルタ用着色組成物中の着色剤100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。
【0091】
(増感剤)
さらに、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤は、着色組成物中の光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で用いることができる。
【0092】
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0093】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0094】
増感剤は、必要に応じて任意の比率で二種以上用いてもかまわない。増感剤を使用する際の配合量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤を基準として、3〜60重量%であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量%であることがより好ましい。
【0095】
(アミン系化合物)
また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。
【0096】
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0097】
(レベリング剤)
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量を基準(100重量%)に対して0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
【0098】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0099】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0101】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0102】
(硬化剤、硬化促進剤)
また本発明の着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂全量に対し、0.01〜15重量%が好ましい。
【0103】
(その他の添加剤成分)
本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0104】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸及びそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色組成物中の着色剤100重量部に対して、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
【0105】
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0106】
(粗大粒子の除去)
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0107】
(カラーフィルタ)
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、及び少なくとも1つの青色フィルタセグメントを備えるカラーフィルタであって、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント及び/または緑色フィルタセグメントが、本発明カラーフィルタ用着色組成物を用いて形成されてなるものである。
【0108】
また本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント及び少なくとも1つの黄色フィルタセグメントを備えるカラーフィルタであって、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、黄色フィルタセグメントが、本発明カラーフィルタ用着色組成物を用いて形成されてなるものである
【0109】
青色フィルタセグメントは、青色顔料と樹脂とを含む通常の青色着色組成物を用いて形成することができる。青色着色組成物には、例えばC.I.ピグメント ブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等の青色顔料が用いられる。
【0110】
また青色着色組成物には、C.I.ピグメント バイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0111】
(カラーフィルタの製造方法)
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
【0112】
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度及び平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0113】
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0114】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0115】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【実施例】
【0116】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」とは「重量部」を意味する。
【0117】
まず、実施例および比較例に用いたアクリル樹脂溶液、微細化顔料、造塩化合物(A)、顔料分散体、造塩化合物(A)分散体、黄色染料溶液、青色レジスト材の製造方法から説明する。
<アクリル樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
ここで、アクリル樹脂の重合平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0118】
次に微細化顔料の製造方法について説明する。
<微細化顔料の製造方法>
【0119】
(赤色微細顔料1の作製)
アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 177(チバ・ジャパン社製「クロモフタルレッド A2B」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の赤色微細顔料1を得た。赤色微細顔料1の比表面積は70m2/gであった。
【0120】
(赤色微細顔料2の作製)
ジスアゾ系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 242(クラリアント社製「Novoperm Scarlet 4RF」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の赤色微細顔料2を得た。赤色微細顔料2の比表面積は73m2/gであった。
【0121】
(赤色微細顔料3の作製)
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 254(チバ・ジャパン社製「IRGAZIN RED 2030」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の赤色微細顔料3を得た。赤色微細顔料3の比表面積は72m2/gであった。
【0122】
(黄色微細顔料1の作製)
キノフタロン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー138(BASF社製「パリ
オトールイエロー K0960−HD」)500部、塩化ナトリウム500部、およびジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の黄色微細顔料1を得た。黄色微細顔料1の比表面積は70m/gであった。
【0123】
(黄色微細顔料2の作製)
イソインドリン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー139(チバ・ジャパン社製「イルガフォアイエロー 2R−CF」)500部、塩化ナトリウム500部、およびジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の黄色微細顔料2を得た。黄色微細顔料2の比表面積は75m/gであった。
【0124】
(黄色微細顔料3の作製)
金属錯体系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー150(ランクセス社製「E4GN」」)500部、塩化ナトリウム500部、およびジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の黄色微細顔料3を得た。黄色微細顔料3の比表面積は68m/gであった。
【0125】
(黄色微細顔料4の作製)
イソインドリン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー185(BASF社製「パリオゲンイエロー D1155」)500部、塩化ナトリウム500部、およびジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の黄色微細顔料4を得た。黄色微細顔料4の比表面積は76m/gであった。
【0126】
(緑色微細顔料1の作製)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 7(東洋インキ製造株式会社製「リオノールグリーン YS−07」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の緑色微細顔料1を得た。緑色微細顔料1の比表面積は71m2/gであった。
【0127】
(緑色微細顔料2の作製)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 36(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン 6YK」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の緑色微細顔料2を得た。緑色微細顔料2の比表面積は75m2/gであった。
【0128】
(緑色微細顔料3の作製)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 58(DIC株式会社製「FASTOGEN GREEN A110)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の緑色微細顔料3を得た。緑色微細顔料3の比表面積は70m2/gであった。
【0129】
(青色微細顔料1の作製)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメント ブルー 15:6(東洋インキ製造株式会社製「LIONOL BLUE ES」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の青色微細顔料1を得た。青色微細顔料1の比表面積は80m2/gであった。
【0130】
(紫色微細顔料1の作製)
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメント バイオレット 23(東洋インキ製造株式会社製「LIONOGEN VIOLET RL」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の紫色微細顔料1を得た。紫色微細顔料1の比表面積は95m2/gであった。
【0131】
次に造塩化合物の合成について説明する。
(キノフタロンスルホン化物1の合成)
キノフタロン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー138(BASF社製「パリオトールイエロー K0960−HD」)30部を101%硫酸300部中に溶解し、70℃にて8時間攪拌し、スルホン化反応を行った。反応の終点は、硫酸溶液の分光スペクトルを測定し、スペクトルの変化が見られなくなる点とした。次いで、この反応溶液を氷水3000部中に注入し、析出するスルホン化色素誘導体を濾別、水洗してスルホン化色素誘導体のペーストを得た。
得られたスルホン化色素誘導体について、LC−MASS分析を行った。HPLC(カラム:東ソー社製「ODS−100S」)にて、面積比80%を占める主ピークの分子量は、MW=774(エレクトロンスプレー方式、マイナスモード)であり、C.I.ピグメント イエロー138のモノスルホン化誘導体の分子量と一致した。また、1H−NMRにより、下記構造のスルホン化色素誘導体であると同定された。これをキノフタロンスルホン化物1とする。
【0132】
【化5】

【0133】
<造塩化合物(A)の製造方法>
(造塩化合物(A−1))
下記の手順でキノフタロンスルホン化物1とジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(コータミンD86P)(カチオン部分の分子量が550)とからなる造塩化合物(A−1)を作製した。
7〜15モル%の水酸化ナトリウム溶液中に、キノフタロンスルホン化物1を溶解させ十分に混合・攪拌を行い、70〜90℃に加熱した後、コータミンD86Pを少しずつ滴下していく。またコータミンD86Pは水に溶解し水溶液として用いても良い。コータミンD86Pを滴下した後、70〜90℃で60分攪拌し十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたことと判断できる。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥して、キノフタロンスルホン化物1とジステアリルジメチルアンモニウムクロライドとの造塩化合物、造塩化合物(A−1)を得た。
【0134】
(造塩化合物(A−2))
下記の手順でキノフタロンスルホン化物1とジラウリルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が382)とからなる造塩化合物(A−2)を作製した。
7〜15モル%の水酸化ナトリウム溶液中に、キノフタロンスルホン化物1を溶解させ十分に混合・攪拌を行い、70〜90℃に加熱した後、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライドを少しずつ滴下していく。またジラウリルジメチルアンモニウムクロライドは水に溶解し水溶液として用いても良い。ジラウリルジメチルアンモニウムクロライドを滴下した後、70〜90℃で60分攪拌し十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたことと判断できる。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥して、キノフタロンスルホン化物1とジラウリルジメチルアンモニウムクロライドとの造塩化合物、造塩化合物(A−2)を得た。
【0135】
(造塩化合物(A−3))
下記の手順でキノフタロンスルホン化物1とトリステアリルモノメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が788)とからなる造塩化合物(A−3)を作製した。
7〜15モル%の水酸化ナトリウム溶液中に、キノフタロンスルホン化物1を溶解させ十分に混合・攪拌を行い、70〜90℃に加熱した後、トリステアリルモノメチルアンモニウムクロライドを少しずつ滴下していく。またトリステアリルモノメチルアンモニウムクロライドは水に溶解し水溶液として用いても良い。トリステアリルモノメチルアンモニウムクロライドを滴下した後、70〜90℃で60分攪拌し十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたことと判断できる。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥して、キノフタロンスルホン化物1とトリステアリルモノメチルアンモニウムクロライドとの造塩化合物、造塩化合物(A−3)を得た。
【0136】
(造塩化合物(A−4))
下記の手順でキノフタロンスルホン化物1とトリラウリルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が612)とからなる造塩化合物(A−4)を作製した。
7〜15モル%の水酸化ナトリウム溶液中に、キノフタロンスルホン化物1を溶解させ十分に混合・攪拌を行い、70〜90℃に加熱した後、トリラウリルベンジルアンモニウムクロライドを少しずつ滴下していく。またトリラウリルベンジルアンモニウムクロライドは水に溶解し水溶液として用いても良い。トリラウリルベンジルアンモニウムクロライドを滴下した後、70〜90℃で60分攪拌し十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたことと判断できる。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥して、キノフタロンスルホン化物1とトリラウリルベンジルアンモニウムクロライドとの造塩化合物、造塩化合物(A−4)を得た。
【0137】
(造塩化合物(A−5))
下記の手順でキノフタロンスルホン化物1とジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド(アーカード2HT−75)(カチオン部分の分子量が438〜550)とからなる造塩化合物(A−5)を作製した。
7〜15モル%の水酸化ナトリウム溶液中に、キノフタロンスルホン化物1を溶解させ十分に混合・攪拌を行い、70〜90℃に加熱した後、アーカード2HT−75を少しずつ滴下していく。またアーカード2HT−75は水に溶解し水溶液として用いても良い。アーカード2HT−75を滴下した後、70〜90℃で60分攪拌し十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたことと判断できる。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥して、キノフタロンスルホン化物1とジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライドとの造塩化合物、造塩化合物(A−8)を得た。
【0138】
(造塩化合物(A−6))
下記の手順でキノフタロンスルホン化物1とジオクチルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が268)とからなる造塩化合物(A−6)を作製した。
7〜15モル%の水酸化ナトリウム溶液中に、キノフタロンスルホン化物1を溶解させ十分に混合・攪拌を行い、70〜90℃に加熱した後、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライドを少しずつ滴下していく。またジオクチルジメチルアンモニウムクロライドは水に溶解し水溶液として用いても良い。ジオクチルジメチルアンモニウムクロライドを滴下した後、70〜90℃で60分攪拌し十分に反応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたことと判断できる。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥して、キノフタロンスルホン化物1とジオクチルジメチルアンモニウムクロライドとの造塩化合物、造塩化合物(A−6)を得た。
<顔料分散体の製造方法>
(顔料分散体(DP−1)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し顔料分散体(DP−1)を作製した。
赤色微細顔料1 (C.I.ピグメント レッド 177) :11.0部
アクリル樹脂溶液 :40.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC):48.0部
樹脂型分散剤 (チバ・ジャパン社製「EFKA4300」) : 1.0部
【0139】
以下、表1に示す顔料に変更した以外は、上記の顔料分散体(DP−1)と同様にして、顔料分散体(DP−2〜12)を作製した。
【0140】
【表1】

【0141】
<造塩化合物分散体および黄色染料溶液の製造方法>
(造塩化合物分散体(DA−1)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し着色組成物(DA−1)を作製した。
造塩化合物(A−1) :11.0部
アクリル樹脂溶液 :40.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC):49.0部
【0142】
以下、造塩化合物(A−1)を表2に示す造塩化合物(A)または黄色染料(C.I.アシッド イエロー 42)に変更した以外は、上記の造塩化合物分散体(DA−1)と同様にして、造塩化合物分散体(DA−2〜6)と黄色染料溶液(DA−7)を作製した。
【0143】
【表2】

【0144】
<レジスト材の製造方法>
(青色レジスト材の調製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、青色レジスト材を得た。
顔料分散体(DP−11) :48.0部
顔料分散体(DP−12) :12.0部
アクリル樹脂溶液 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.2部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート :23.2部
【0145】
[実施例1〜6、比較例1]
(造塩化合物分散体と黄色染料溶液の評価(耐熱性試験))
上記で作製した造塩化合物分散体および黄色染料溶液(DA−1〜7)の耐熱性試験を下記の方法で行った。
(耐熱性試験の方法)
ガラス基板上に膜厚が2.0μmになるように、実施例および比較例で得られた着色組成物(D−1〜13)を塗布し、基板を230℃で20分加熱した。その後、C光源での色差1(L*(1),a*(1),b*(1))を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱試験としてオーブンで250℃1時間加熱し、C光源での色差2(L*(2),a*(2),b*(2))を測定した。
【0146】
測定した色差値を用いて、下記計算式により、色差変化率ΔEab*を算出し、塗膜の耐熱性を下記の4段階で評価した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1)) 2+( b*(2)- b*(1)) 2)
◎:ΔEab*が1.5未満
○:ΔEab*が1.5以上、3.0未満
△:ΔEab*が3.0以上、5.0未満
×:ΔEab*が5.0以上
【0147】
(耐熱性試験の評価結果)
耐熱性試験の結果を表3に示す。
【0148】
【表3】

【0149】
着色剤として本発明の造塩化合物を用いた着色組成物(DA−1〜6)は、耐熱性試験において良好な結果が得られていた。これに対し、着色剤に染料を用いた着色組成物(DA−7)においては、色差変化率が5を超えており、耐熱性が悪い結果となった。この結果より本発明の造塩化合物を用いた着色組成物は、耐熱性において優れていることが明らかになった。
【0150】
[実施例7〜40、比較例2〜7]
(実施例7;レジスト材(R−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、レジスト材(R−1)を得た。
顔料分散体(DP−3) :48.0部
着色組成物(DA−1) :12.0部
アクリル樹脂溶液 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.2部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート :23.2部
【0151】
(実施例8〜40、比較例2〜7:レジスト材(R−2〜40))
以下、着色組成物(DP−3、DA−1)を表4に示す着色組成物または顔料分散体と配合量に変更した以外は、レジスト材(R−1)と同様にしてアルカリ現像型レジスト材(R−2〜40)を得た。着色組成物および/または顔料分散体の合計重量部は全てのレジスト材において60部である。
【0152】
【表4】

【0153】
(レジスト材の評価)
得られたレジスト材(R−1〜40)の塗膜の色度、耐熱性、耐光性、耐溶剤性の各試験を下記の方法で行った。
【0154】
(色特性の評価)
ガラス基板上にC光源において赤色レジスト材はx=0.640、y=0.330になるような膜厚に、緑色レジスト材はx=0.300、y=0.600になるような膜厚に、黄色レジスト材はx=0.413、y=0.547になるような膜厚にそれぞれレジスト材を塗布し、この基板を230℃で20分加熱した。その後、得られた基板の明度(Y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)で測定した。以下、表5にその結果を示す。
【0155】
(塗膜耐熱性試験の方法)
透明基板上に乾燥塗膜が約2.5μmとなるようにレジスト材を塗布し、所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行った後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成した。その後、オーブンで230℃20分加熱、放冷後、得られた塗膜のC光源での色差1(L*(1),a*(1),b*(1))を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱試験としてオーブンで250℃1時間加熱し、C光源での色差2(L*(2),a*(2),b*(2))を測定した。以下、表5にその結果を示す。
【0156】
測定した色差値を用いて、下記計算式により、色差変化率ΔEab*を算出し、塗膜の耐熱性を下記の3段階で評価した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1)) 2+( b*(2)- b*(1)) 2)
○:ΔEab*が2.5未満
△:ΔEab*が2.5以上、5.0未満
×:ΔEab*が5.0以上
以下、表6にその結果を示す。
【0157】
(塗膜耐光性試験の方法)
塗膜耐熱性試験と同じ手順で試験用基板を作製し、C光源での色差1(L*(1),a*(1),b*(1))を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)を用いて測定した。その後、基板を耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、500時間放置した。基板を取り出した後、C光源での色差2(L*(2),a*(2),b*(2))を測定し、塗膜耐熱性試験と同様にして色差変化率ΔEab*を算出し、耐熱性と同様の基準により塗膜の耐光性を3段階で評価した。
○:ΔEab*が2.5未満
△:ΔEab*が2.5以上、5.0未満
×:ΔEab*が5.0以上
以下、表5にその結果を示す。
【0158】
(塗膜耐溶剤性試験の方法)
耐熱性試験と同じ手順で試験用基板を作製し、C光源での色差1(L*(1),a*(1),b*(1))を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)を用いて測定した。その後、基板をN−メチルピロリドンに30分間浸漬した。基板を取り出した後、C光源での色差2(L*(2),a*(2),b*(2))を測定し、塗膜耐熱性試験と同様にして色差変化率ΔEab*を算出し、耐熱性と同様の基準により塗膜の耐溶剤性を3段階で評価した。
○:ΔEab*が2.5未満
△:ΔEab*が2.5以上、5.0未満
×:ΔEab*が5.0以上
以下、表5にその結果を示す。
【0159】
【表5】

【0160】
実施例7〜40のレジスト材(R−1〜34)は、明度が高く、また耐熱性、耐光性、耐溶剤性においても良好な結果であった。これに対し比較例2、4、6のレジスト材(R−35、37、39)は着色剤に顔料のみが用いられているため耐熱性、耐光性、耐溶剤性には優れていたが明度が低い結果となった。また比較例3、5、7のレジスト材(R−36、38、40)は明度が高い値となったが耐熱性、耐光性、耐溶剤性においては悪い結果となった。これらの結果より、本発明の着色剤を用いたレジスト材は色特性(明度)、耐候性の両方において優れた品位が得られていた。
【0161】
[カラーフィルタの製造例1]
本発明の赤色着色組成物、緑色着色組成物、および青色着色組成物を用いて、基板上にスピンコートにより、乾燥膜厚が1.7μmとなるように塗布し、この膜と非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行い、その後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成したのち230℃にて1時間加熱した。同様の操作をRGB各色について繰り返してカラーフィルタを製造することにより、明度が高く、耐熱性に優れた、カラーフィルタを作成することができた。
【0162】
[カラーフィルタの製造例2]
本発明の赤色着色組成物、緑色着色組成物、黄色着色組成物および青色着色組成物を用いて、基板上にスピンコートにより、乾燥膜厚が1.7μmとなるように塗布し、この膜と非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行い、その後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成したのち230℃にて1時間加熱した。同様の操作をRGBY各色について繰り返してカラーフィルタを製造することにより、明度が高く、耐熱性に優れた、カラーフィルタを作成することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着色剤と樹脂とからなるカラーフィルタ用着色組成物において、該着色剤が、下記一般式(1)で示される化合物と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物(A)および有機顔料を含むことを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
一般式(1):
【化1】

(式中R1からR8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、もしくはスルホン酸基である。スルホン酸基は1〜13個の範囲であり、nは1〜13の整数である。)
【請求項2】
四級アンモニウム塩化合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ用着色組成物。

一般式(2):
【化2】

(式(2)中、R〜R は、それぞれ独立に、炭素数1乃至20のアルキル基またはベンジル基を示し、R1、R2、R3、R4の少なくとも2つ以上がCの数が8〜20個である。Yは無機または有機のアニオンを表す。)
【請求項3】
四級アンモニウム塩化合物のカチオン部分の分子量が250〜960の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ用青色着色組成物。
【請求項4】
有機顔料がC.I.ピグメント レッド 177、242、254から選ばれる1種類以上を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項5】
さらに有機顔料がC.I.ピグメント イエロー 138、139、150、185から選ばれる1種類以上を含むことを特徴とする請求項4記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項6】
有機顔料がC.I.ピグメント グリーン 7、36、58から選ばれる1種類以上を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項7】
さらに有機顔料がC.I.ピグメント イエロー 138、139、150、185から選ばれる1種類以上を含むことを特徴とする請求項6いずれかに記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項8】
有機顔料がC.I.ピグメント イエロー 138、139、150、185から選ばれる1種類以上を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項9】
さらに光重合性単量体及び/または光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載のカラーフィルタ用青色着色組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント及び少なくとも1つの青色フィルタセグメントを備えるカラーフィルタにおいて、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント及び/または緑色フィルタセグメントが、請求項1〜7、および9いずれかに記載のカラーフィルタ用着色組成物により形成されてなるカラーフィルタ。
【請求項11】
少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント及び少なくとも1つの黄色フィルタセグメントを備えるカラーフィルタにおいて、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、黄色フィルタセグメントの少なくとも1つのフィルタセグメントが請求項1〜3および8〜9いずれかに記載のカラーフィルタ用着色組成物により形成されてなるカラーフィルタ。

【公開番号】特開2011−118219(P2011−118219A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276462(P2009−276462)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】