説明

カラー・エレクトロルミネセンス表示装置

【課題】費用効率が高くかつ操作的に有効な方式でカラー・エレクトロルミネセンス表示装置を提供する。
【解決手段】新規のサブ画素構造を含むカラーエレクトロルミネセンス表示装置を対象とし、サブ画素構造は、青色光を放射するエレクトロルミネセンス蛍光体と、青色光を吸収する結果少なくとも1つの他の色を放射するフォトルミネセンス蛍光体とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー・エレクトロルミネセンス表示装置に関する。より具体的には、本発明は、直接エレクトロルミネセンス発光が青色光を生成し、その青色光の吸収によって引き起こされるフォトルミネセンス発光が少なくとも1つの他の色を生成するカラー・エレクトロルミネセンス表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置は既に開発されており、例えば本出願人の特許文献1(この特許の全体は引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。そのような厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置は、絶縁破壊にきわめて強くかつ薄膜エレクトロルミネセンス(TFEL)表示装置よりも作動電圧が低い。セラミックス基板に付着された厚膜絶縁体構造は、より高い処理温度に耐え、また明るさを改善する高温での蛍光体薄膜のアニーリングを容易にする。これらの利点と青色発光蛍光体材料の最近の進歩によって、そのような表示装置は、従来の陰極線管(CRT)表示装置の技術性能を達成するために必要な明るさと色座標を達成した。しかしながら、表示のカラーバランスの調整を単純化し、表示装置の適切なカラーバランスをその動作寿命中維持しやすくし、表示装置の製造に使用されるプロセスを単純化してコストを削減するために、さらなる改良が望まれている。
【0003】
従来から、青色のエレクトロルミネセンス表示装置にはセリウムで活性化した硫化ストロンチウム蛍光体材料が使用されており、赤色と緑色にはマンガンで活性化した硫化亜鉛材料が使用されている。これらの蛍光体材料からの発光は、赤、緑および青のサブ画素(sub-pixel)に必要な色座標を実現するために適切な色フィルタを通さなければならず、その結果、輝度とエネルギー効率の損失が起こる。マンガンで活性化した硫化亜鉛蛍光体は、入力電力1ワット当たり最大約10ルーメンの比較的高い電気光エネルギー変換効率を有し、セリウムで活性化した硫化ストロンチウム蛍光体は、青色発光では比較的高い1ルーメン/ワットのエネルギー変換効率を有する。そのような蛍光体のスペクトル発光は、硫化亜鉛系の蛍光体材料のスペクトル発光のカラー・スペクトルは緑から赤にわたり、ストロンチウム硫化物系材料のスペクトル発光は青から緑の範囲にわたり、かなり広いので、そのような蛍光体には光学フィルタを使用しなければならない。セリウムで活性化した硫化ストロンチウム蛍光体のスペクトル発光は、付着条件と活性体濃度を制御することによって、青色の方にある程度シフトさせることができるが、光学フィルタの必要をなくすほどではない。
【0004】
より狭い発光スペクトルを有する青色発光蛍光体材料が開発された。そのような蛍光体材料は、良好な青色座標を提供するユーロピウムで活性化したチオアルミン酸バリウム化合物を含む。さらに、2003年4月17日に出願された本出願人の同時係属国際特許出願PCT/CA03/00568号(特許文献2)に開示されているように、ユーロピウムで活性化したチオアルミン酸バリウム蛍光体材料の安定性は、蛍光体薄膜処理中に蛍光体に酸素を適切に添加することによって改善された。この改善は、市販要件に対応する青色蛍光体の寿命を促進し、さらに青色光輝度の低下を動作寿命の間ずっとその初期値の50%にすることを可能にする。この低下は、赤色および緑色エレクトロルミネセンス蛍光体の輝度の低下と関連しており、エレクトロルミネセンス表示装置の所望のカラーバランスをその動作寿命の間ずっと維持する際に考慮されなければならない。一般に、表示装置のサブ画素を構成する赤、緑、および青のエレクトロルミネセンス蛍光体の輝度は、異なる割合で低下し、その結果、年数が経つにつれて表示装置のカラーバランスが変化する。この変化は、駆動回路によってある程度補正することができる。例えば、異なる色の輝度減衰の割合が予測可能な場合、あるいは表示装置寿命の様々な時点でサブ画素輝度を測定するセンサが組み込まれている場合は、サブ画素に対する駆動電圧の調整を行うことができる。しかしながら、そのような測定は、表示装置の製造と操作の複雑さとコストを高める。
【0005】
さらに、表示装置の赤、緑および青の各エレクトロルミネセンス蛍光体はそれぞれ、それぞれが発光し始める特定のしきい電圧を有する。表示装置の電力消費を最小にするためには、そのような特定のしきい電圧をそれぞれ個々の蛍光体に注意深く適合させなければならない。そのような電圧が適切に適合されない場合は、赤、緑および青間の明るさの割合が不適切になる。そのように適合させるには、表示装置内の蛍光体層とその隣りの絶縁体層の厚さと組成を、製造歩留まりが妥協できる程度に正確な制御する必要がある。
【0006】
カラー・エレクトロルミネセンス表示装置の個々のサブ画素を画定するために使用されるパターン形成された蛍光体構造を形成するプロセスは、出願人の特許文献3(この開示はその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。パターン形成プロセスは、各サブ画素蛍光体材料ごとに、フォトレジスト付着、露光、蛍光体薄膜エッチング、および蛍光体薄膜リフトオフのプロセスを含むフォトリソグラフィ工程を必要とし、これは、多数の連続した工程を必要とし、また製造コストを比較的高くする。そのようなフォトリソグラフィ工程で使用される化学薬品は、注意深く浄化されなければならず、またその使用は、パターン形成プロセス中、一般に水分に弱い蛍光体材料の損傷を回避するために注意深く制御されなければならず、これがまた、表示装置製造コストを高める可能性がある。
【0007】
カラー有機発光ダイオード(OLED)表示装置は既知であり、例えば、非特許文献1、特許文献4、非特許文献2、および特許文献5に記載されている。特許文献5に記載されているOLEDは、様々な色を生成するために半導体ナノ結晶層を使用している。しかしながら、OLEDは、適度な輝度を有する多数の画素行を有する受動マトリクス式大面積表示装置の作成には使用できない。この限界は、能動マトリクス式アドレシングを使用することによってある程度緩和することができるが、能動マトリクス式アドレシングに必要な薄膜トランジスタ(TFT)アレイは、それ自体、大型化が難しく、多数のアドレス指定行を有する大面積の表示装置ではコストが高い。
【0008】
特許文献6は、フォトルミネセンス材料を利用して紫外線を可視光線に変換するエレクトロルミネセンス装置について述べている。紫外線を変換する変換効率は比較的低い。さらに、紫外線は、表示装置を劣化させやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5432015号明細書
【特許文献2】国際公開第03/090501号パンフレット
【特許文献3】国際出願第00/70917号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0043926号明細書
【特許文献5】米国特許第6608439号明細書
【特許文献6】米国特許第5670839号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】T. Shimoda, Society for Information Display 99 Digest, pp 376-80
【非特許文献2】C. Hosokawa, Society for Information Display 97 Digest pp 1073-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上から、従来技術の欠点をなくす費用効率が高くかつ操作的に有効な方式でカラー・エレクトロルミネセンス表示装置を提供することがきわめて望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの態様によれば、厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置用の画素サブ構造が提供され、この画素サブ構造は、青色発光エレクトロルミネセンス無機蛍光体層をそれぞれ含む少なくとも2つのサブ画素と、少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層であって、各フォトルミネセンス蛍光体層がサブ画素のそれぞれと関連付けられており、その結果、サブ画素のそれぞれによって放射された青色光が、関連付けられたフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それによりフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにするフォトルミネセンス蛍光体層とを含む。
【0013】
本発明のもう1つの態様によれば、画素サブ構造は、サブ画素の異なるものとそれぞれ関連付けられた複数のフォトルミネセンス蛍光体層を含む。
【0014】
本発明のもう1つの態様によれば、画素サブ構造は、3つのサブ画素を含む。
【0015】
本発明のもう1つの態様によれば、厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置用の画素サブ構造が提供され、この画素サブ構造は、青色発光エレクトロルミネセンス無機蛍光体層をそれぞれ含む2つのサブ画素と、フォトルミネセンス蛍光体層であって、このフォトルミネセンス蛍光体層が、サブ画素のうちの1つと関連付けられており、その結果、サブ画素によって放射された青色光がフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それによりフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにするフォトルミネセンス蛍光体層とを含む。
【0016】
本発明のさらに他の態様によれば、厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置用の画素サブ構造が提供され、この画素サブ構造は、青色発光エレクトロルミネセンス無機蛍光体層をそれぞれ含む3つのサブ画素と、第1のフォトルミネセンス蛍光体層であって、第1のフォトルミネセンス蛍光体層が、サブ画素のうちの1つのサブ画素と関連付けられており、その結果、そのサブ画素によって放射された青色光が、第1のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより第1のフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにする第1のフォトルミネセンス蛍光体層と、サブ画素うちのの他のサブ画素と関連付けられた第2のフォトルミネセンス蛍光体層であって、そのサブ画素によって放射された青色光が、第2のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより第2のフォトルミネセンス蛍光体層が、青色光と第1のフォトルミネセンス蛍光体層の有色光以外の有色光を放射するようにする第2のフォトルミネセンス蛍光体層とを含む。
【0017】
本発明のもう1つの態様によれば、画素サブ構造は、さらに、サブ画素のそれぞれと関連付けられた各前記フォトルミネセンス蛍光体層のうちの少なくとも1つと関連付けられた少なくとも1つの他のフォトルミネセンス蛍光体層をさらに含む。
【0018】
本発明のさらに他の態様によれば、各サブ画素は、青色発光エレクトロルミネセンス無機蛍光体層と関連付けられた表示側電極を含む。
【0019】
本発明のもう1つの態様によれば、フォトルミネセンス蛍光体層が、表示側電極上に配置されている。
【0020】
フォトルミネセンス蛍光体層は、光透過性障壁層上に配置されてもよく、光透過性障壁層は、表示側電極上に配置される。
【0021】
本発明のさらに他の態様によれば、画素サブ構造が、さらに、フォトルミネセンス蛍光体層と関連付けられた少なくとも1つの反射層を含む。1つの反射層は、フォトルミネセンス蛍光体層の表示側電極と反対の面に配置されることが好ましく、その結果、より長い波長光が透過し、青色光はフォトルミネセンス蛍光体層に反射される。より好ましくは、フォトルミネセンス蛍光体層に実質的にすべての光が反射されるようにフォトルミネセンス蛍光体層の他方の面に追加の反射層がある。
【0022】
本発明のさらに他の態様によれば、画素サブ構造は、さらに、フォトルミネセンス蛍光体層と関連付けられた少なくとも1つの光学フィルタを含み、その結果、フィルタが、フォトルミネセンス蛍光体層による青色周囲光の実質的な吸収を抑える。
【0023】
本発明のもう1つの態様によれば、フォトルミネセンス蛍光体層が、少なくとも1つの染料、マトリクス成分中の少なくとも1つの染料、少なくとも1つのフォトルミネセンス粉末、マトリクス成分中の少なくとも1つのフォトルミネセンス粉末、またはこれらの混合物を含む。
【0024】
本発明のもう1つの態様によれば、フォトルミネセンス蛍光体層は、放射された青色光のフォトンのエネルギーよりも少ないエネルギーを有するバンドギャップを有する絶縁材料である。
【0025】
本発明のさらに他の態様によれば、青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層の少なくとも1つの面に少なくとも1つの薄膜絶縁体層がある。
【0026】
本発明のもう1つの態様によれば、画素サブ構造は、さらに、透明カバー・プレートを含み、透明カバー・プレートにフォトルミネセンス蛍光体層が付着されている。必要に応じて、フォトルミネセンス蛍光体層は、光透過性不導態層で被覆される。
【0027】
本発明のもう1つの態様によれば、画素サブ構造は、さらに、サブ画素上に配置された薄膜光透過性シートを含み、少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層が、光透過性シートのサブ画素と反対側の一方の面に付着され、透明カバー・プレートが薄膜光透過性シートの上に配置され、その結果、光透過性シートと透明カバー・プレートの間に、その間に少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層がある状態で、エアギャップが形成される。
【0028】
本発明のさらにもう1つの態様によれば、画素サブ構造は、さらに、表示側電極の上に配置された薄膜光透過性シートを含み、少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層が、光透過性シートの表示側電極と反対側の一方の面に付着されており、透明カバー・プレートが光透過性シートの上に配置され、その結果、光透過性シートと透明カバー・プレートの間に、その間に少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層がある状態で、エアギャップが形成される。
【0029】
本発明のもう1つの態様によれば、画素サブ構造と関連付けられた厚膜絶縁体層をそれぞれ含む画素を有する厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置が提供され、画素サブ構造が、
青色光をそれぞれ放射する少なくとも2つのサブ画素と、
少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層であって、各フォトルミネセンス蛍光体層が、サブ画素のそれぞれと関連付けられており、その結果、サブ画素のそれぞれによって放射された青色光が、関連付けられたフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それによりフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにするフォトルミネセンス蛍光体層とを含む。
【0030】
本発明のもう1つの態様によれば、画素サブ構と関連付けられた厚膜絶縁体層をそれぞれ含む画素を有する厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置が提供され、画素サブ構造が、青色光をそれぞれ放射する2つのサブ画素と、フォトルミネセンス蛍光体層であって、フォトルミネセンス蛍光体層が、サブ画素のうちの1つと関連付けられており、その結果、そのサブ画素によって放射された青色光が、フォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それによりフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにするフォトルミネセンス蛍光体層とを含む。
【0031】
本発明のもう1つの態様によれば、画素サブ構造と関連付けられた厚膜絶縁体層をそれぞれ含む画素を有する厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置が提供され、画素サブ構造は、青色光をそれぞれ放射する3つのサブ画素と、サブ画素のうちの1つと関連付けられた第1のフォトルミネセンス蛍光体層であって、そのサブ画素によって放射された青色光が、第1のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより第1のフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにする第1のフォトルミネセンス蛍光体層と、サブ画素のうちの他のサブ画素と関連付けられた第2のフォトルミネセンス蛍光体層であって、そのサブ画素によって放射された青色光が、第2のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより、第2のフォトルミネセンス蛍光体層が、青色光と第1のフォトルミネセンス蛍光体層の有色光以外の有色光を放射するようにする第2のフォトルミネセンス蛍光体層とを含む。
【0032】
本発明のもう1つの態様によれば、画素サブ構造と関連付けられた厚膜絶縁体層をそれぞれ有する画素を有する厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置が提供され、画素サブ構造が、青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層と、青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層と関連付けられた少なくとも2つの表示側電極と、少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層であって、各フォトルミネセンス蛍光体層が、表示側電極のそれぞれと関連付けられており、その結果、エレクトロルミネセンス蛍光体層によって放射された青色光が、フォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それによりフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにするフォトルミネセンス蛍光体層とを含む。
【0033】
本発明のもう1つの態様によれば、画素サブ構造と関連付けられた厚膜絶縁体層をそれぞれ含む画素を有する厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置が提供され、画素サブ構造が、青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層と、青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層と関連付けられた2つの表示側電極と、フォトルミネセンス蛍光体層であって、フォトルミネセンス蛍光体層が、表示側電極のうちの1つの表示電極と関連付けられており、その結果、エレクトロルミネセンス蛍光体層によって放射された青色光がフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それによりフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにするフォトルミネセンス蛍光体層とを含む。
【0034】
本発明のもう1つの態様によれば、画素サブ構造と関連付けられた厚膜絶縁体層をそれぞれ含む画素を有する厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置が提供され、画素サブ構造が、青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層と、青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層と関連付けられた3つの表示側電極と、表示側電極のうちの1つの表示側電極と関連付けられた第1のフォトルミネセンス蛍光体層であって、エレクトロルミネセンス蛍光体層によって放射された青色光が第1のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより第1のフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにする第1のフォトルミネセンス蛍光体層と、表示側電極のうちの他の表示側電極と関連付けられた第2のフォトルミネセンス蛍光体層であって、エレクトロルミネセンス蛍光体層によって放射された青色光が第2のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより、第2のフォトルミネセンス蛍光体層が、青色光と第1のフォトルミネセンス蛍光体層の有色光以外の有色光を放射するようにする第2のフォトルミネセンス蛍光体層とを含む。
【0035】
本発明のさらに他の態様によれば、画素を有する厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置が提供され、各画素が、基板と、行電極と、厚膜絶縁体層と、前述のような画素サブ構造とを順番に含む。
【0036】
本発明のもう1つの態様によれば、画素を有する厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示が提供され、各画素が、順に、基板と、行電極と、厚膜絶縁体層と、画素サブ構造であって、青色光をそれぞれ放射する3つのサブ画素と、3つのサブ画素のうちの1つのサブ画素と関連付けられた第1のフォトルミネセンス蛍光体層であって、そのサブ画素によって放射された青色光が、第1のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより第1のフォトルミネセンス蛍光体層が赤色光を放射するようにする第1のフォトルミネセンス蛍光体層と、3つのサブ画素のうちの他のサブ画素と関連付けられた第2のフォトルミネセンス蛍光体層であって、そのサブ画素によって放射された青色光が第2のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより第2のフォトルミネセンス蛍光体層が緑色光を放射するようにする第2のフォトルミネセンス蛍光体層とを含む画素サブ構造とを含む。
【0037】
本発明のもう1つの態様によれば、厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置用の前述のような画素サブ構造を作成する方法が提供され、この方法は、サブ画素のそれぞれの上に各フォトルミネセンス蛍光体層を配置し、その結果、サブ画素のそれぞれによって放射された青色光が、関連付けられたフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それによりフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにする段階を含む。
【0038】
本発明のもう1つの態様によれば、厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置用に前述のような画素サブ構造を作成する方法が提供され、この方法は、サブ画素のうちの1つのサブ画素の上に第1のフォトルミネセンス蛍光体層を配置し、その結果、そのサブ画素によって放射された青色光が第1のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより第1のフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにする段階と、サブ画素のうちの他のサブ画素の上に第2のフォトルミネセンス蛍光体層を配置し、そのサブ画素によって放射された青色光が第2のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより第2のフォトルミネセンス蛍光体層が、青色光と第1のフォトルミネセンス蛍光体層の有色光以外の有色光を放射するようにする段階とを含む。
【0039】
本発明のもう1つの態様によれば、サブ画素の上に透明カバー・プレートを配置し、この透明カバー・プレートにフォトルミネセンス蛍光体層を付着させる段階をさらに含む方法が提供される。
【0040】
本発明のもう1つの態様によれば、フォトルミネセンス蛍光体を光透過性不導態層で被覆する段階をさらに含む方法が提供される。
【0041】
本発明のもう1つの態様によれば、青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層の上に少なくとも2つの表示側電極を配置する段階をさらに含む方法が提供される。
【0042】
本発明のもう1つの態様によれば、表示側電極の上に透明カバー・プレートを配置し、この透明カバー・プレートにフォトルミネセンス蛍光体層を付着させる段階をさらに含む方法が提供される。
【0043】
本発明のもう1つの態様によれば、フォトルミネセンス蛍光体を光透過性不導態層で被覆する段階をさらに含む方法が提供される。
【0044】
本発明のもう1つの態様によれば、フォトルミネセンス蛍光体層の少なくとも1つの面上に少なくとも1つの反射層を配置する段階をさらに含む方法が提供される。
【0045】
本発明のもう1つの態様によれば、フォトルミネセンス蛍光体層の上に少なくとも1つの光学フィルタを配置し、その結果、このフィルタが、フォトルミネセンス蛍光体層が青色周囲光を実質的に吸収しないようにする段階をさらに含む方法が提供される。
【0046】
本発明のもう1つの態様によれば、本発明は、特に、高い比誘電率を有する厚膜絶縁体層を使用するエレクトロルミネセンス表示装置の用途に適用可能であり、それにより、青色エレクトロルミネセンス蛍光体からの放射発光を、従来の薄膜エレクトロルミネセンス表示構造に使用されているものよりも大幅に高めることができる。
【0047】
本発明のもう1つの態様によれば、青色光を放射するエレクトロルミネセンス蛍光体層をそれぞれ有する3つのサブ画素を含むフル・カラーac厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置が提供され、3つのサブ画素のうちの2つのサブ画素はそれぞれ、フォトルミネセンス蛍光体層が重ねられている。1つのフォトルミネセンス蛍光体層は、青色エレクトロルミネセンス蛍光体によって放射された光によって励起されたときに赤信号や他の緑色光を放射する。赤色光と緑色光の強度は、青色発光強度を制御することによって制御することができる。
【0048】
本発明のさらに他の態様によれば、各画素ごとに異なる色を提供する少なくとも2つのサブ画素を含むカラー厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置が提供される。表示装置は、各画素ごとに所望の色を得るために、最も短い波長の光を有するサブ画素と個別に制御可能なサブ画素とに対応する周波数の光を放射するエレクトロルミネセンス蛍光体を含む。
【0049】
本発明のもう1つの態様によれば、表示装置は、さらに、エレクトロルミネセンス蛍光体層の青色発光よりも長い波長の光を放射することができる少なくとも1つのサブ画素と関連付けられた蛍光体層を含む。
【0050】
本発明のもう1つの態様によれば、各画素の少なくとも1つのサブ画素に、エレクトロルミネセンス蛍光体層からの短い波長の光を実質的に吸収する特性を有する少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層が重ねられており、それにより、実質的にフォトルミネセンス蛍光体層から生成された光だけが放射される。
【0051】
本発明のもう1つの態様によれば、発光表示装置予のフォトルミネセンス蛍光体材料が提供され、この材料は、有機フォトルミネセンス分子の固溶体を含む顔料粉末と、マトリックス材料とを含み、顔料粉末がマトリックス材料中に分散され、マトリックス材料は、有機フォトルミネセンス分子のフォトルミネセンス効率が実質的に維持されるように顔料粉末と化学的かつ物理的に適合性を有する。
【0052】
フォトルミネセンス蛍光体材料は、厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置、有機発光ダイオード表示装置(OLED)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなど発光表示装置に使用される。
【0053】
本発明のもう1つの態様によれば、フォトルミネセンス蛍光体層が発光表示装置用のフォトルミネセンス蛍光体材料である前述のような画素サブ構造が提供され、この材料は、有機フォトルミネセンス分子の固溶体を含む顔料粉末と、マトリックス材料とを含み、顔料粉末がマトリックス材料中に分散され、マトリックス材料は、有機フォトルミネセンス分子のフォトルミネセンス効率が実質的に維持されるように顔料と化学的かつ物理的な適合性を有する。
【0054】
本発明のさらにもう1つの態様によれば、フォトルミネセンス蛍光体材料を作成する方法が提供され、この方法は、顔料粉末とマトリックス材料を混合してマトリックス材料中の顔料粉末の均一な分散を実現する段階を含み、顔料材料は、有機フォトルミネセンス分子の固溶体を含み、マトリックス材料は、有機フォトルミネセンス分子のフォトルミネセンス効率が実質的に維持されるように顔料粉末と化学的かつ物理的な適合性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明の実施形態の厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明から、本発明の趣旨と範囲内の様々な変更および修正が当業者に明らかになるため、本発明の実施形態を示す詳細な説明と具体的な例は、例示のためにのみ提供されることを理解されたい。
【0057】
次に、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照してより詳しく説明する。
【0058】
本発明は、青色光を生成する直接エレクトロルミネセンス発光と、青色光の吸収によって引き起こされ、少なくとも1つの他の色を生成するフォトルミネセンス発光とを含むエレクトロルミネセンス表示装置または装置を対象とする。
【0059】
本発明の実施形態において、エレクトロルミネセンス表示装置用の画素サブ構造がある。画素サブ構造は、少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層と、それぞれ青色を放射する少なくとも2つのサブ画素とを含む。各フォトルミネセンス蛍光体層が、サブ画素のそれぞれと関連付けられ、その結果、サブ画素のそれぞれによって放射された青色光が、関連付けられたフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それによりフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射する。エレクトロルミネセンス蛍光体層は、少なくとも2つの表示側電極(viewing side electrode)および少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層と関連付けられた青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層であることが好ましい。各フォトルミネセンス蛍光体層が、表示側電極のそれぞれと関連付けられ、その結果、エレクトロルミネセンス蛍光体層によって放射された青色光が、関連付けられたフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それによりフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射する。
【0060】
画素サブ構造のフォトルミネセンス蛍光体層によって放射される有色光は、青色光の波長よりも長い波長の分布を有し、この波長は、赤か緑であることが好ましい。さらに、画素サブ構造は、厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置に組み込まれる。詳細には、厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置は、いくつかの画素を有する。各画素は、画素サブ構造を含む。
【0061】
画素サブ構造は、青色光を放射する1組の2つまたは3つのサブ画素であることが好ましい。したがって、サブ画素が発光し始める電圧であるサブ画素のしきい電圧は、サブ画素が同一であるため等しくなる。しきい電圧は、サブ画素の輝度と上昇する印加電圧の関係を測定して発光し始める電圧を決定することによって決定することができる。フル・カラーac厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置では、赤色、緑色および青色の発光用に3つのサブ画素がある場合があり、各サブ画素は、青色光を放射する青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体を有し、赤色と緑色のサブ画素は、青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体によって放射された光によって励起されたときに赤色と緑色の光を放射するフォトルミネセンス蛍光体層が重ねられている。
【0062】
より単純なカラーac厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置では、2つのサブ画素がある場合があり、各サブ画素は、青色発光青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体を有し、各サブ画素は、青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体によって放射された光によって励起されたときに青色光よりも長い波長の色を放射するフォトルミネセンス蛍光体層が重ねられている。フォトルミネセンス蛍光体層の輝度は、エレクトロルミネセンス蛍光体の青色発光強度を変化させることによって制御される。
【0063】
図面の図1を参照すると、本発明の好ましい実施形態による、画素サブ構造20を含むエレクトロルミネセンス装置10が示されている。エレクトロルミネセンス装置10は、基板12を有し、基板12の上には、行電極14と、続いて厚膜絶縁体層16と、次に薄膜絶縁体層18が配置されている。画素サブ構造20は、薄膜絶縁体層18上に配置されている。画素サブ構造は、ユーロピウムで活性化したアルミン酸バリウムを含む青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層22を含む。エレクトロルミネセンス蛍光体層22は、2003年4月17日に出願された本出願人の同時係属国際特許出願PCT/CA03/00568に記載されたプロセスを使用して付着される(この開示はその全体が本明細書に組み込まれる)。画素サブ構造20は、さらに、その上に配置された3つのサブ画素列24、26および28を含む。サブ画素列24、26および28はそれぞれ、エレクトロルミネセンス蛍光体層22上に配置された薄膜絶縁体層30を有し、各薄膜絶縁体層30上に配置された表示側電極32を有する。
【0064】
薄膜絶縁体層30と表示側電極32の構成は、パターン形成と呼ばれる。各薄膜絶縁体層30は、同じかまたは異なる材料を含むことができる。各表示側電極32は、同じかまたは異なる材料を含むことができる。画素サブ構造20は、さらに、フォトルミネセンス蛍光体層を含む。この実施形態において、フォトルミネセンス蛍光体層は、透明カバー・プレート36の下側に付着されサブ画素列24と位置合わせされたフォトルミネッセント赤色発光染料層34と、透明カバー・プレート36の下側に付着されサブ画素列26と位置合わせされたフォトルミネセンス緑色発光染料層38である。
【0065】
図1に示したように3つの別々の薄膜絶縁体層30を有する代わりに、連続した薄膜絶縁体層をエレクトロルミネセンス蛍光体層22の上に付着させてもよい。したがって、この特定の実施形態では、薄膜絶縁体層はパターン形成されない。
【0066】
染料層34、38は、透明カバー・プレート36の下面に付着されてもよく、あるいは、染料層34、38は、カバー・プレート36の上に付着されてもよい。カバー・プレート36の上に付着されるとき、染料層34と38は、光透過性不動態層の被覆を使用することによって周囲大気から保護されてもよい。これは、これにより、染料から放射された光を、透明カバー・プレート36を介さずに染料層34、38からほぼ1の光屈折率を有する空気または媒体まで直接透過させることができるので有利である。透明カバー・プレートの光屈折率が空気よりも高いため、これにより、光が複数の内部反射によって透明カバー・プレート36内を透過するのが防止される。総合的な効果は、表示輝度を改善し、表示コントラストを高め、サブ画素間の色のにじみを最小にすることである。光透過性不動態化層は既知である。
【0067】
代替として、フォトルミネセンス赤色発光染料層34が、列24の表示側電極32上に直接付着されてもよく、フォトルミネセンス緑色発光染料層38が、列26の表示側電極32上に直接付着されてもよい。この実施形態において、表示側電極32は、染料層34および38と表示側電極32との潜在的な反応を防止するために、不活性材料から作成されることが好ましい。染料層34および38と表示側電極32との潜在的な反応を防ぐために、表示側電極32と付着染料層34および38との間に不活性材料の光透過性障壁層を配置することができる。光透過性障壁層は既知である。
【0068】
さらに他の実施形態において、サブ画素の上に薄膜光透過性シートが配置される。フォトルミネセンス赤色発光染料層34とフォトルミネセンス緑色発光染料層38は、薄膜光透過性シートのサブ画素に面している側と反対の側に適切なパターンで付着される。透明カバー・プレート36は、光透過性シートと透明カバー・プレート36の間にエア・ギャップができるように染料層34と38が付着された光透過性シートの上に配置される。これは、薄膜光透過性シートに沿った光の伝搬による輝度およびコントラストの低下と色のにじみの防止に役立つ。また、パターン形成フォトルミネセンス蛍光体層をその下のサブ画素と別に製造することもでき、これにより、フォトルミネセンス蛍光体のパターン形成プロセスにおける誤差によって、パターン形成フォトルミネセンス蛍光体層よりも実質的に高い値を有するサブ画素構造の他の部分の劣化が生じないので、製造歩留まりが改善される。薄膜光透過性シートに使用することができる材料のいくつかの例は、MylarTMなどの不活性で非歪曲性の任意の透明プラスチックでよい。
【0069】
他の実施形態において、フォトルミネセンス蛍光体層(すなわち、フォトルミネセンス赤色発光染料層34とフォトルミネセンス緑色発光染料層38)は、少なくとも一方の面と、好ましくは両方の面に反射層を有する。反射層は、青色光が実質的にフォトルミネセンス蛍光体層によって吸収されるように、フォトルミネセンス蛍光体層によって最初に吸収されないすべての青色光を反射することができる。換言すると、反射層は、フォトルミネセンス層からの放射光を内部で反射することなく、青色励起光を内部で反射することができる。同時に、染料層34と38の表示側電極と反対側の面上の青色光反射層は、他の色を生成するより長い波長光を反射してはならない。染料層の他の面上の反射層は、すべての波長の光を反射することが好ましい。さらに、反射層は、光学干渉フィルタを含むことがある。
【0070】
もう1つの実施形態において、フォトルミネセンス蛍光体層(すなわち、フォトルミネセンス赤色発光染料層34とフォトルミネセンス緑色発光染料層38)は、フォトルミネセンス蛍光体層の表示側電極と反対の面に少なくとも1つの光学フィルタを有する。この光学フィルタは、フォトルミネセンス蛍光体層が、周囲光(すなわち、外部光源からの光)、詳細には青色周囲光を実質的に吸収するのを防ぐ。同時に、フォトルミネセンス層の表面のフィルタは、フォトルミネセンス蛍光体層によって放射された光を吸収してはならない。
【0071】
一般に、前述の実施形態に関して、様々な基板を使用することができることは、当業者によって理解されるよう。基板は、剛性耐熱シートであることが好ましい。適切な剛性耐熱シート材料の例には、アルミナ、金属セラミックス複合物、ガラスセラミックス材料、および耐熱ガラス材料などがあるが、これらに限定されない。
【0072】
行電極は、当業者に知られている任意の適切な導電性フィルムでよい。行電極は、金または銀合金を含むことが好ましい。
【0073】
厚膜絶縁体層は、表示輝度を生成するのに必要な電圧で表示装置が動作されたときに絶縁破壊に対して高い耐性を提供するように設計される。一般に、厚膜絶縁体膜層は、焼結ペロブスカイト、絶縁破壊を防ぐために数千の比誘電率と約10マイクロメートルを超える厚さとを有するマグネシウムニオブ酸チタン酸鉛(PMN−PT)などの圧電または強誘電性材料を含む。また、本明細書に示した厚膜絶縁体発光表示装置は、ジルコニウム酸チタン酸鉛によって例示され、ゾル・ゲル法または金属有機付着法を使用して付着された高誘電率平滑層と、その上に付着された1つまたは複数の薄膜絶縁体層とを含むことができる。
【0074】
本発明に使用される適切な基板、行電極および厚膜絶縁体層のさらに他の例は、出願人の米国特許第5,432,015号と2001年12月21日に出願された同時係属米国特許出願第60/341,790号に記載されている(これらの開示は、引用により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0075】
本明細書で使用される薄膜絶縁体層は、チタン酸バリウム、アルミナ、シリコンオキシナイトライド、タンタル酸バリウム、酸化タンタルなどを含むことができる。
【0076】
本明細書で使用されるエレクトロルミネセンス蛍光体層は、任意の青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体材料を含む。xが約0.2より小さくyが約0.15より小さいような許容可能なCIE座標と適切に高い輝度を有する青色光を放射する材料を使用することが好ましい。青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体材料は、青色発光する希土類で活性化されたアルカリ土類硫化物を含むことができる。青色発光する希土類で活性化されたアルカリ土類硫化物は、希土類で活性化されたアルカリ土類チオアルミン酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ希土類チオオキシアルミン酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類チオ没食子酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類チオオキシ没食子酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類チオインジウム酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類チオオキシインジウム酸塩類、およびこれらの混合物からなるグループから選択することができる。青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体材料は、ユーロピウムで活性化されたアルミン酸バリウム(BaAl24:Eu)であることが好ましい。
【0077】
エレクトロルミネセンス蛍光体層は、パターン形成されているよりも連続していることが好ましい。エレクトロルミネセンス蛍光体層から放射された青色光は、表示装置または素子によって必ずしも完全に放射されかつ/または変換されなくてもよい。表示装置のエレクトロルミネセンス蛍光体層の下の部分に多少光が入射してもよい。エレクトロルミネセンス蛍光体層が連続しているため、光が表示装置によって放射または変換されるように光が層に沿って伝播できるようにすることによって、放射光が表示装置のエレクトロルミネセンス蛍光体層より下の部分に漏れるのを防ぐことができる。
【0078】
青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体材料のCIE座標は、その上に光学フィルタを使用することにより最適化することができる。
【0079】
表示側電極は、透明導電体層、一般にインジウム酸化錫(ITO)やドープド酸化亜鉛などの酸化物である。
【0080】
本明細書で使用されるフォトルミネセンス蛍光体層は、青色光で励起されたときに所望のCIE座標と輝度を有する所望の色を放射することができる任意の蛍光体材料を含む。フォトルミネセンス蛍光体層は、少なくとも1つの染料、少なくとも1つのフォトルミネセンス粉末、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0081】
染料は、赤色発光染料、黄色発光染料、緑色発光染料などの有機染料であることが好ましい。適切な赤色発光染料の例は、ADSTM-100RE(カナダのAmerican Dye Source Inc.,)である。適切な青信号放射染料の例は、ADSTM-085GE(カナダのAmerican Dye SourceInc., )である。さらに、染料は、青色光で十分に励起できる調整式色素レーザーに使用される染料から選択することができる。有効な発光染料は、LumogenTMF Red(赤色発光)、LumogenTM300 NanocolorantTM(赤色発光)、およびLumogenTMF Yellow 083(黄色発光)(ドイツのBASF Aktiengesellschaft)、およびADSTM 100RE(赤色発光)(カナダのAmerican Dye Source Inc.,)を含むことができるがこれらに限定されない。有効な緑色発光染料は、ADSTM085GE(カナダのAmerican Dye Source Inc.,)を含むことができるがこれに限定されない。
【0082】
いくつかの適切なフォトルミネセンス粉末は、無機フォトルミネセンス粉末であり、これは結晶質粉末でも非晶質粉末でもよい。無機フォトルミネセンス粉末の特定の例には、希土類で活性化されたアルカリ土類チオアルミン酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類チオ没食子酸塩類と希土類で活性化されたアルカリ土類チオインジウム酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類硫化物、イットリウムアルミニウムガーネットおよび希土類で活性化されたアルカリ土類ケイ酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類ゲルマニウム酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類アルミン酸塩類、および希土類で活性化されたアルカリ土類ホウ酸塩類がある。
【0083】
無機フォトルミネセンス粉末は、無機半導体材料、詳細には米国特許第6,608,439号(引用により本明細書に組み込まれる)に記載されたような無機半導体ナノ結晶材料を含む。適切な無機半導体は、サイズが約10〜約200オングストロームの範囲のものでよく、これは、可視スペクトル全体の光変換をカバーする。半導体ナノ結晶は、半導体化合物CdS、CdSe、CdTeおよびそれらの混合物のグループから選択することができる。カドミウム類からのナノ結晶の合成と特性は、C. B.Murray、D. J. NorrisおよびM. G. Bawendiによる論文「Synthesis and characterization of nearly monodisperse CdE (E=S, Se, Te) semiconductor nanocrystallites」J. Am. Chem. Soc. 115 (1993) 8706-8715に記載されている(引用により本明細書に組み込まれる)。半導体ナノ結晶を作成する方法は、米国特許第5,559,057号と米国特許第5,525、377号(やはり引用により本明細書に組み込まれる)に開示されている。フォトルミネセンス蛍光体層中のナノ結晶の添加は、この層がエレクトロルミネセンス蛍光体層から放射された青色光を実質的に吸収するように十分なものである。
【0084】
フォトルミネセンス蛍光体層は、放射される青色光のフォトンよりも小さいエネルギーを有するバンドギャップを有する絶縁材料でよい(すなわち、バンドギャップが、青色発光光よりも長い波長を有するフォトンのエネルギーと等しいエネルギーを有する)。絶縁材は、染料を含むこともできる。
【0085】
一般に、フォトルミネセンス蛍光体層が染料またはフォトルミネセンス粉末であるとき、フォトルミネセンス蛍光体層は、エレクトロルミネセンス蛍光体層よりもかなり厚い。染料は、一般に、エレクトロルミネセンス蛍光体層として真空蒸着薄膜の形ではない。染料またはフォトルミネセンス粉末は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エポキシ、ポリメチルグルタリドイミド(polymethylglutaridimide)などのマトリックス材料中に分散される。
【0086】
フォトルミネセンス蛍光体層は、一般に、放射青色光をすべて吸収するのに十分な厚さでありかつ変換された青色光の放射を可能にするのに十分な薄さである。厚さは、青色光周波数と放射光周波数におけるフォトルミネセンス蛍光体の光吸収長に依存する。フォトルミネセンス蛍光体層の好ましい厚さは、約1〜約10ミクロンである。
【0087】
有機染料の青色光励起の変換効率はきわめて高く、一般に約80%である。もう1つの実施形態において、青と緑と赤の比率がテレビ用途に適した3.8:1.8のフルカラー表示装置は、ユーロピウムで活性化されたバリウム150cd/m2チオアルミン酸蛍光体層を有する厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置からの青色光の80%変換によって構成することができる。
【0088】
本発明のさらに他の実施形態において、新規のフォトルミネセンス蛍光体材料とそのような材料を作成する方法がある。フォトルミネセンス蛍光体材料は、青色光をもっと長い波長の光に変換したい任意のタイプの表示装置に使用することができる。したがって、フォトルミネセンス蛍光体材料は、OLED、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、および厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置などであるがこれらに限定されない、色変換材料を利用できる任意の発光表示装置に組み込むことができる。
【0089】
フォトルミネセンス蛍光体材料は、有機フォトルミネセンス分子の固溶体を含む顔料粉末を含む。顔料粉末は、マトリックス材料中に分散されている。マトリックス材料は、有機フォトルミネセンス分子のフォトルミネセンス効率が実質的に維持されるように顔料粉末と化学的かつ物理的に適合性を有する。この特定のタイプのフォトルミネセンス蛍光体材料は、様々なタイプの発光表示装置に使用されることがある。この蛍光体材料は、単一材料中に有機フォトルミネセンス分子を溶解させる問題を解決する。例えば、顔料粉末の有機フォトルミネセンス分子は、特に有機フォトルミネセンス分子濃度が高くなるとクラスタ化する傾向があり、それにより有機フォトルミネセンス分子のフォトルミネセンス効率が実質的に低下する。
【0090】
本発明のフォトルミネセンス蛍光体材料は、マトリクス中に顔料粉末を分散させることによってそのようなクラスタ化を最小にし、したがって、フォトルミネセンス蛍光体中の平均有機フォトルミネセンス分子濃度を高めやすくなり、それによりフォトルミネセンス効率が向上し、より高い輝度を有する発光表示装置の製造が容易になる。
【0091】
フォトルミネセンス蛍光体材料を作成するために、1つの方法は、顔料粉末とマトリックス材料を混合してマトリックス材料中に顔料粉末を均一に分散させる段階を含む。均一に分散したものを光透過性基板などの基板上に印刷または塗布してフォトルミネセンス蛍光体層を形成することができる。
【0092】
顔料粉末のいくつかの例には、緑色顔料RadiantTMMC-CH5860、緑色顔料RadiantTM MP-CH5510、青色顔料RadiantTM MP-BL5529、赤色顔料RadiantTMMC-RD5515、赤色顔料RadiantTM MC-OR5864、および黄色顔料RadiantTM MC-OY5862、またはこれらの混合物があるが、これらに限定されない。顔料粉末はすべて、Magruder Color Companyから入手した。
【0093】
マトリックス材料は、有機フォトルミネセンス分子のフォトルミネセンス効率が実質的に維持されるように顔料粉末と化学的かつ物理的な適合性を有する任意の材料でよい。マトリックス材料は、UV画像形成(UV-imagable)樹脂LuxuryTM-1010(80-B)などのエポキシでよい。他には、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリメチルグルタリドイミドなどの前述のものがある。フォトリソグラフィ法を使用してパターン形成することができるマトリックス材料を使用することが望ましい(例えば、マトリックス材料は、パターン形成されたマスクを介して光にさらされ、マトリックス材料の不要な部分が溶解して所望の画素パターンを形成できるフォトレジスト材料である。)。
【0094】
マトリックス材料中の顔料粉末の添加は、放射された青色光をフォトルミネセンス蛍光体材料が実質的に吸収するのに十分なものである。例えば、マトリックス材料中の顔料粉末は、エレクトロルミネセンス蛍光体層によって放射された青色光をフォトルミネセンス蛍光体材料が実質的に吸収するのに十分なものである。
【0095】
以上の開示は、本発明を一般的に説明している。以下の具体的な例を参照することにより、より完全な理解を得ることができる。これらの例は、単に説明のために示されており、本発明の範囲を限定するものではない。状況によって方策が示唆されまたは提供されるように、形態の変更と等価物の代用が意図されている。本明細書で特定の用語を使用したが、そのような用語は、説明的な意味で意図されており限定のためではない。

例1
2003年4月17日に出願された本出願人の同時係属国際特許出願PCT/CA03/00568号に記載されているような方法を使用して作成された5センチメートル(長さ)x5センチメートル(幅)x1ミリメートル(厚さ)のアルミナ基板上に、ユーロピウムで活性化されたアルミン酸バリウム蛍光体薄膜を有する青色発光エレクトロルミネセンス画素を作成した(この開示は全体が本明細書に組み込まれる)。画素は、反復交番極性32マイクロ秒幅の方形波パルスと、240光パルス/秒を示す120Hzの周波数で操作される。パルス振幅は、260ボルトまで10ボルト増分で変更された。輝度は、電圧の関数として、しきい電圧より60ボルト上で100〜150カンデラ/平方メートルの輝度を示す。
例2
緑色発光フォトルミネッセンス染料ADS-085GETM(カナダのAmerican Dye SourceInc.,)の溶液を、例1の画素の上に配置された平底ガラス容器内に注いだ。染料溶液は、緑色に明るく発光するのが観察された。
例3
赤色発光フォトルミネセンス染料ADS-100RETM(カナダのAmerican Dye SourceInc.,)の溶液を、ガラス基板上に付着させ乾燥した。これを、染料層が例1の画素と向かい合った状態で配置し、例1に示した手順を使用してテストした。青色励起光が染料を透過することなく染料が赤色に明るく発光するのが観察された。
例4
例1のものと類似の青色発光エレクトロルミネセンス画素に、ユーロピウムで活性化されたストロンチウムチオ没食子酸塩粉末(SrGa2S4:Eu)(英国エセックス州NazeingのPhosphor Technology Ltdから入手した)がEpo-Tek302TM熱硬化エポキシ(米国マサチューセッツ州のEpoxy Technology Inc.)中に分散された厚さ20〜30マイクロメートルの層をスクリーン印刷した。粉末は、エポキシと重量比約1:1で混合された。同じ基板上の別の画素は被覆されていないままにした。
【0096】
被覆されていない画素は、例1で示した駆動条件で動作させたとき110カンデラ/平方メートルの輝度とx=0.135とy=0.116のCIE色座標であった。被覆された画素は、約200カンデラ/平方メートルの輝度と緑色光に対応するx=0.26とy=0.61のCIE色座標であった。
例5
例1のものと類似の共通基板上の青色発光エレクトロルミネセンス画素を作成した。画素のうちの1つに、セリウムで活性化されたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)粉末(ドイツ・ハイデンベルグのLeuchtstoffwerk GmbHから入手した製品番号GP−47)がEpo-Tek302TMエポキシ中に約1:1の重量比で分散された厚さ20〜30マイクロメートルの層をスクリーン印刷した。
【0097】
被覆されていない画素は、例1の同じ動作条件の下でx=0.134とy=0.12のCIE色座標で240カンデラ/平方メートルの青色輝度を有していた。これと対照的に、被覆された画素は、X=0.41とy=0.51のCIE座標と600カンデラ/平方メートルの黄色輝度を有していた。
例6
例1のものと類似の共通基板上の青色発光エレクトロルミネセンス画素を作成した。画素のうちの1つに、ユーロピウムで活性化された硫化ストロンチウム(英国エセックスNazeingのPhosphor Technology Ltd)がEpotek302TMエポキシ中に約1:1の重量比で分散された厚さ20〜30マイクロメートルの層をスクリーン印刷した。
【0098】
被覆されていない画素は、131カンデラ/平方メートルの青色輝度とx=0.135とy=0.11のCIE色座標を有し、被覆された画素は、x=0.61とy=0.36のCIE色座標で84カンデラ/平方メートルの輝度を有していた。最初の被覆の厚さの2倍の厚さの被覆を付着させても色座標は変化しなかったが、輝度は、薄い被覆を有する画素の半分に下がり、これは、薄い被覆でも青色発光が完全に吸収されたことを示している。
例7
共通基板上の2つの画素、すなわち被覆されていないひとつの画素と、ユーロピウムで活性化された硫化カルシウム(Phosphor Technology Ltd)がEpo-Tek302TM中に分散された厚さ20〜30マイクロメートルの層で被覆された別の画素を作成しテストした。この被覆の場合、波長470ナノメートルの青色発光ピークで示されているように、青色光は完全には吸収されなかった。被覆されていない画素は、例1と同じ条件下で動作させたときに121cd/m2の輝度と、x=0.135とy=0.14のCIE座標を有していた。被覆された画素は、61cd/m2の輝度レベルとx=0.53とy=0.31のCIE色座標を有していた。低いx=色座標は、青色発光が完全には吸収されなかったことと、青色と赤色の放射の混合物が画素から放射されたことによるものである。
例8
共通基板上の2つの画素、すなわち、被覆されていない画素と、例7のものと類似しているがもっと厚い50マイクロメートル被覆のユーロピウムで活性化された硫化カルシウム含有薄膜で被覆された画素を作成しテストした。被覆された画素は、青色光を透過しなかったが、赤色発光はされに少なかったた。被覆されていない画素の場合、例1の画素と同じ条件下で動作させたときに、青色輝度が、x=0.135とy=0.12のCIE色座標で約188cd/m2であった。被覆された画素は、66cd/m2の輝度レベルとx=0.66とy=0.31のCIE色座標を有していた。
例9
2つの画素、すなわち被覆されていないひとつの画素と、100グラムのPMMA溶液(米国マサチューセッツ州のMicroChem Inc.,のNano-950 PMMA A-9TM)に約0.5グラムのLumogenTMred R300(ドイツBASF Aktiengesellschaft)を溶かして作成した溶液を画素上にスピンコーティングすることによって作成された厚さ5〜7マイクロメートルの赤色発光薄膜で被覆された他の画素を共通基板上に作成する。連続スピン・コーティング工程と乾燥工程によって所望の厚さを得た。
【0099】
被覆されていない画素の青色輝度は、x=0.135とy=0.112のCIE色座標で160カンデラ/平方メートルであった。被覆された画素からの赤色発光は、x=0.27とy=0.15のCIE座標で110カンデラ/平方メートルであった。青色発光の実質的な部分が赤色発光薄膜を透過したので、被覆された画素の色座標は赤に対応していない。
例10
2つの画素、すなわち被覆されていない画素と、100グラムのPMMA溶液(米国マサチューセッツ州のNano-950 PMMA A-9TM)に約0.4グラムのLumogenTMYellow 083(BASF)を溶かして作成された溶液を画素上にスピン・コーティングすることによって作成された厚さ15マイクロメートルの黄色発光薄膜で被覆された画素を共通基板上に作成する。
【0100】
被覆されていない画素の青色輝度は、x=0.135とy=0.13のCIE座標で147カンデラ/平方メートルであり、被覆された画素の輝度は、黄色発光を提供するx=0.42とy=0.56のCIE座標で450カンデラ/平方メートルであった。
例11
この例は、複数の変換層が、単一赤色発光層による青から赤への全体的な光変換を改善することを実証する。2つの画素は、黄色発光層が、例9に示した方法を使用して厚さ5マイクロメートルの赤色発光層で覆われていること以外、例10と同じように作成された。
【0101】
被覆されていない画素の青色輝度は、x=0.135とy=0.13のCIE座標で147カンデラ/平方メートルであり、二重被覆を有する画素の赤色輝度は、x=0.63とy=0.32のCIE座標で83カンデラ/平方メートルであり、飽和赤色を提供した。したがって、黄色発光層と赤色発光層の組み合わせが、下側の変換層からの青色光と黄色光を完全に吸収して、赤色発光層からの放射だけを提供した。
例12
この例は、層の厚さと層中のLumogen濃度を最適化することによって、例11のものと類似の装置の光変換効率を改善できることを実証する。2つの画素は、PMMA中の黄色LumogenTMの濃度が2分の1に下がり、黄色LumogenTM層の厚さが20マイクロメートルに増えたこと以外、例11と同じように作成された。また、層蒸着プロセスは、LumogenTM含有層を連続的に付着させ、次に層を別々に硬化させるのではなく45分間160℃まで加熱することによって一緒に硬化させた点が異なる。
【0102】
被覆されていない画素の青色輝度は89カンデラ/平方メートルであり、被覆された画素の輝度はx=0.66とy=0.31のCIE座標で70カンデラ/平方メートルであった。したがって、この例の赤色輝度の青色輝度に対する比率は、例11の0.56:1に対して0.89:1である。改善された比率の一部分は、この例において放射照度に対する輝度の比率を高めるために発光をある程度短い方の波長に重みづけしたことによるものである可能性があり、改善の大きな部分は、青色光が赤信号に変換される効率の向上によるものである。
例13
この例は、光変換効率の改善が、画素設計を単純化しかつ変換層の全体の厚さを小さくする単一層中に黄色と赤色のLumogenTM染料を均質に同時にドーピングすることによって実現可能であることを実証する。この例では、同じ基板上の被覆されていない画素と被覆された画素をそれぞれ有する2つの基板に、0.25〜0.8グラムの赤色LumogenTMと0.5〜1.8グラムの黄色LumogenTMを100グラムのPMMAに溶かして作成された溶液を画素上にスピン・コーティングすることによって付着された単一の厚さ5マイクロメートルの層を被覆した。
【0103】
最初の被覆されている画素の場合、100グラムのPMMAに溶かした黄色LumogenTM染料の重量は1.0グラムであり、赤色LumogenTM染料の重量は、黄色LumogenTM染料の赤色LumogenTM染料に対する比率を約2:1にするように0.50グラムであった。x=0.63とy=0.32のCIE座標で、被覆されていない画素は輝度が294カンデラ/平方メートル、被覆された画素は輝度が173カンデラ/平方メートルであり、青色輝度に対する赤色輝度の比率は0.59であった。
【0104】
次の被覆された画素の場合、溶かされた黄色LumogenTM染料の重量は1.10グラムであり、溶かされた赤色LumogenTM染料の重量は0.40グラムであり、黄色LumogenTM染料の赤色LumogenTM染料に対する比率が約2.7:1に高くなった。x=0.68とy=0.32のCIE座標で、被覆されていない画素は253カンデラ/平方メートルの輝度を有し、被覆された画素は161カンデラ/平方メートルの輝度を有し、赤色の青色に対する比率は0.64:1になった。
例14
この例は、変換効率が、LumogensTMが溶かされるマトリックス材料に依存することを実証する。共通基板上の2つの画素は、例12と同じように構成された。この例では、PMMAマトリクス中に黄色LumogenTM染料を有する層の厚さは、15マイクロメートルであった。赤色LumogenTM染料を含む層を形成するために、PMMAの代わりに米国マサチューセッツ州ニュートンのMicroChemから入手したNanoPMGI-SF-19ポリメチルグルタリドイミド10ミリリットルに、約0.1グラムの赤色LumogenTMを溶かし、この溶液から、赤色LumogenTM染料を含む10マイクロメートルの層を黄色層の上に形成した。
【0105】
被覆されていない画素は、230カンデラ/平方メートルの輝度を有し、被覆した画素は、x=0.63とy=0.33のCIE座標で193カンデラ/平方メートルの輝度を有し、赤色輝度の青色輝度に対する比率が0.84:1になった。
例15
この例は、光変換効率の改善が、LumogenTM Red 300染料の代わりに赤色染料粒子LumogenTM Red NanocolorantTM(ドイツのBASF Aktiengessellschaft)を使用することによって実現できることを実証する。ナノ着色染料は、染料粒子の凝集による変換効率の低下なしに赤色染料の装填密度を高めることを可能にする。変換効率を高めるために、被覆層に少量のLumogenTM黄色染料を加えた。
【0106】
2つの基板、すなわち被覆されていない画素を有する基板と、同じ基板上に被覆された画素を有する他方の基板を構成した。被覆は、20グラムのPMMA溶液に0.80〜1.60グラムのLumogenTMRed NanocolorantTMと0.15〜0.50グラムのLumogenTM黄色F 083を溶かすことによって作成された溶液から、画素上にスピン・コーティングすることによって付着された、厚さ5〜8マイクロメートルの単一層であった。PMMA溶液は、100グラムのアニソール中にカナダ・オンタリオ州オークビルのSigma-Aldrich Canada Ltd.から入手した996kの平均分子量を有する15グラムのPMMAを溶かすことによって作成した。
【0107】
x=0.645とy=0.350のCIE座標で、被覆されていない画素は133カンデラ/平方メートルの輝度を有し、被覆された画素は160カンデラ/平方メートルの輝度を有し、赤色輝度の青色輝度に対する比率が1.20になった。
例16
この例は、有機染料を使用して高効率で青色光を緑色光に変換できることを実証する。共通基板上の2つの画素は、例1と同じように構成されたが、一方の画素には、エポキシに溶かしたPyranine染料溶液をスピン・コーティングすることによって被覆が作成された。溶液は、Epotek302TMエポキシの約0.7グラムの部分Bに0.01〜0.04グラムのKeystone Pyranine10GTM120%染料(米国イリノイ州シカゴのKeystone Aniline Corporation)を溶かし、次にエポキシの同じ量の部分Aを加えることによって作成された。この溶液を数分間攪拌して混ぜた後で、攪拌し続けながら数滴のエチレングリコールを添加して、溶液の濃縮を開始した。溶液の粘度がペーストの堅さまで高まったとき、それを画素上にスクリーン印刷して、厚さ20〜30マイクロメートルの膜を形成した。この膜を数時間室温で硬化させた。
【0108】
被覆されていない青色画素は、x=0.134とy=0.12のCIE座標で300カンデラ/平方メートルの輝度を有し、x=0.24とy=0.65のCIE座標で1000カンデラ/平方メートルの緑色輝度を有し、したがって青色輝度に対する緑色輝度の比率が3.3:1であった。
例17
この例は、高いフォトルミネセンス効率を有する緑色顔料を含むフォトルミネセンス層の有用性を示す。
【0109】
Pesiff Corp(カナダ・オンタリオ州トロント)によって配合され提供された100グラムの一液型UV画像形成樹脂Luxul-1010 (80-B)中に、Magruder Color Company (2800 Radiant Ave, Richmond CA, USA) から入手した60グラムの緑色顔料RadiantTMMC-CH5860を分散させることによって、スクリーン印刷可能なペーストを作成した。顔料を樹脂中に均一に分散させるためにペーストを十分に混合した。
【0110】
例1と類似した共通基板上に2つの青色発光画素を作成した。1つの画素には、前述の作成したペーストの厚さ10〜20マイクロメートルの層をスクリーン印刷した。別の画素は被覆しないままにした。
【0111】
得られた被覆された画素の輝度の被覆されていない青色発光画素の輝度に対する比率は4:1であった。被覆されていない画素は、例1に示した駆動条件で動作させたときにx=0.135とy=0.102のCIE色座標で104カンデラ/平方メートルの輝度を有していた。被覆された画素は、約426カンデラ/平方メートルの輝度とx=0.27とy=0.65のCIE色座標を有する明るい緑色発光を有していた。
例18
この例は、緑色発光を提供する他の顔料の有効性を示している。
【0112】
共通基板上の2つの青色発光画素を、例1の画素と同じように作成した。
【0113】
100グラムの一液型UV画像形成樹脂Luxu1-1010 (80-B)中に、Magruder Color Company (2800 Radiant Ave, Richmond CA, USA) から入手した50グラムの緑色顔料RadiantTM MC-CH5510を分散させることによって、スクリーン印刷可能ペーストを作成した。ペーストは、顔料が樹脂中に均一に分散するように十分に混合された。一方の画素には、作成したペーストの厚さ10〜20マイクロメートルの層をスクリーン印刷した。別の画素は、被覆されないままにした。
【0114】
得られた被覆されていない青色発光画素の輝度に対する被覆された画素の輝度の比率は、3.4:1であった。被覆されていない画素は、例1で示した駆動条件で動作させたとき、78カンデラ/平方メートルの輝度とx=0.135とy=0.115のCIE色座標を有していた。被覆された画素は、約267カンデラ/平方メートルの輝度とx=0.265とy=0.65のCIE色座標とを有する明るい緑色発光を有していた。
例19
この例は、輝度が低いがより飽和した緑色発光を得るためにフォトルミネセンス層にさらに顔料粉末を追加する有用性を示す。これにより、フォトルミネセンス層中に含める1つまたは複数の顔料を適切に選択することによって輝度と色飽和のバランスを最適化できることが分かる。
【0115】
1グラムの青色顔料RadiantTM MP-BL5529(Magruder Color Company)を、例16に示したペーストからの25グラムに追加した。例1と類似の共通基板上の青色発光画素を作成した。一方の画素に、作成したペーストの厚さ10〜20マイクロメートルの層をスクリーン印刷した。
【0116】
被覆されていない画素は、例1の動作条件下でx=0.135とy=0.112のCIE色座標で138カンデラ/平方メートルの青色輝度を有していた。被覆された画素は、x=0.23とy=0.67のCIE座標で322カンデラ/平方メートルの濃緑色輝度を有していた。
例20
この例は、フォトルミネセンス層に対する赤色発光顔料粉末の有用性を示す。
100グラムの一液型UV画像形成樹脂Luxu1-1010 (80-B)中に、Magruder Color Company (2800 Radiant Ave, Richmond CA, USA) から入手した80グラムの赤色顔料RadiantTM MC-OR5864を分散させることによって、スクリーン印刷可能ペーストを作成した。ペーストは、樹脂中に顔料を均一に分散させるために十分に混合された。
【0117】
例1のものと類似の共通基板上の2つの青色発光画素を作成した。一方の画素に、作成したペーストの厚さ10〜20マイクロメートルの層をスクリーン印刷した。同じ基板上の別の画素は被覆しないままにした。
【0118】
得られた被覆された画素の輝度の被覆されていない青色発光画素の輝度に対する比率は、1.5:1であった。 例1に示した駆動条件下で動作させたとき、被覆されていない画素は、100カンデラ/平方メートルの輝度とx=0.134とy=0.110のCIE色座標を有していた。被覆された画素は、約148カンデラ/平方メートルの輝度とx=0.622とy=0.337のCIE色座標を有する明赤色発光を有していた。
例21
この例は、青色発光に対する赤色発光の比率を高めるために、例19のフォトルミネセンス層に黄色顔料粉末を添加する有用性を示す。
【0119】
100グラムの一液型UV画像形成樹脂Luxul-1010 (80-B)中に、Magruder Color Company (2800 Radiant Ave, Richmond CA, USA) から共に入手した68グラムの赤色顔料RadiantTM MC-OR5864と2.75グラムの黄色顔料RadiantTMMC-OY5862を分散させることによって、スクリーン印刷可能ペーストを作成した。ペーストは、樹脂中に顔料を均一に分散させるために十分に混合された。
【0120】
例1のものと類似の共通基板上の2つの青色発光画素を作成した。一方の画素には、作成したペーストの厚さ10〜20マイクロメートルの層をスクリーン印刷した。同じ基板上の別の画素は、被覆しないままにした。
【0121】
得られた被覆された画素の輝度の被覆されていない青色発光画素の輝度に対する比率は1.7:1であった。例1に示した駆動条件で動作させたとき、被覆されていない画素は、150カンデラ/平方メートルの輝度とx=0.134とy=0.106のCIE色座標を有していた。被覆された画素は、約256カンデラ/平方メートルの輝度とx=0.63とy=0.34のCIE色座標を有する明赤色発光を有していた。
例22
この例は、赤色顔料と黄色顔料を適切に選択することによって赤色発光のCIE色座標をどのように得ることができるかを示す。
【0122】
100グラムの一液型UV画像形成樹脂Luxu1-1010 (80-B)中に、Magruder Color Company (2800 Radiant Ave, Richmond CA, USA) から共に入手した50グラムの赤色顔料RadiantTM MC-RD5515と43グラムの黄色顔料RadiantTMMC-OY5862を分散させることによって、スクリーン印刷可能ペーストを作成した。ペーストは、樹脂内に顔料を均一に分散させるために十分に混合された。
【0123】
例1の類似の共通基板上の2つの青色発光画素を作成した。一方の画素は、作成したペーストの厚さ10〜20マイクロメートルの層がスクリーン印刷された。同じ基板上の別の画素は被覆されないままにされた。
【0124】
被覆された画素の輝度の被覆されていない画素の輝度に対する比率は、1.6:1であった。例1に示した駆動条件で動作させたとき、被覆されていない画素は、64カンデラ/平方メートルの輝度とx=0.134とy=0.114のCIE色座標を有していた。被覆された画素は、約102カンデラ/平方メートルの輝度とx=0.61とy=0.35のCIE色座標を有する明赤色発光を有していた。
【符号の説明】
【0125】
10 エレクトロルミネセンス装置
12 基板
14 行電極
16 厚膜絶縁体層
18 薄膜絶縁体層
20 画素サブ構造
22 エレクトロルミネセンス蛍光体層
24、26、28 サブ画素列
30 薄膜絶縁体層
32 表示側電極
34 フォトルミネッセント赤色発光染料層
36 透明カバー・プレート
38 フォトルミネセンス緑色発光染料層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と第2電極の間に位置する厚膜絶縁層を備える厚膜絶縁体エレクトロルミネッセンス表示装置用の画素サブ構造であって、
前記画素サブ構造は、少なくとも2つのサブ画素を備え、
前記各サブ画素は、
青色光を放射するエレクトロルミネッセンス無機蛍光体層と、
少なくとも1つのフォトルミネッセンス蛍光体層と、
を備え、各フォトルミネッセンス蛍光体層は、前記サブ画素のそれぞれと関連付けられており、その結果、前記サブ画素のそれぞれによって放射された青色光が、関連付けられたフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより前記フォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにする、画素サブ構造。
【請求項2】
前記サブ構造が、2つのサブ画素と1つのフォトルミネセンス蛍光体層とを含む請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項3】
前記サブ構造が、3つのサブ画素と、第1と第2のフォトルミネセンス蛍光体層とを含み、前記第1のフォトルミネセンス蛍光体層が、青色光以外の有色光を放射し、前記第2のフォトルミネセンス蛍光体層が、青色光と前記第1のフォトルミネセンス蛍光体層の有色光以外の有色光を放射する請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項4】
各サブ画素が、さらに、前記青色発光エレクトロルミネセンス無機蛍光体層と関連付けられた表示側電極を含み、各フォトルミネセンス蛍光体層が、前記サブ画素の前記それぞれの前記表示側電極と関連付けられた請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項5】
前記反射層が、前記フォトルミネセンス蛍光体層の片面または両面の上に配置された請求項4に記載の画素サブ構造。
【請求項6】
各フォトルミネセンス蛍光体層が、前記サブ画素の前記それぞれの前記表示側電極上に配置された請求項4に記載の画素サブ構造。
【請求項7】
各フォトルミネセンス蛍光体層が、光透過性障壁層上に配置され、前記光透過性障壁層が、前記表示側電極上に配置された請求項6に記載の画素サブ構造。
【請求項8】
前記表示側電極の上に配置された薄膜光透過性シートをさらに含み、前記少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層が、前記光透過性シートの前記表示側電極の反対側の一方の面に付着され、透明カバー・プレートが光透過性シート上に配置され、その結果、光透過性シートと透明カバー・プレートの間に、前記少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層がその間にある状態で、エアギャップが形成されるようにする請求項4に記載の画素サブ構造。
【請求項9】
少なくとも2つのフォトルミネセンス蛍光体層を備える、請求項4に記載の画素サブ構造。
【請求項10】
複数のフォトルミネセンス蛍光体層を含み、各フォトルミネセンス蛍光体層が、前記サブ画素のうちの異なるサブ画素と関連付けられている請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項11】
前記少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層と関連付けられた少なくとも1つの反射層をさらに含む請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項12】
前記少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層と関連付けられた少なくとも1つの光学フィルタをさらに含み、その結果、前記フィルタが、前記少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層による青色周囲光の実質的な吸収を抑えるようにする請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項13】
前記フォトルミネセンス蛍光体層の前記表示側電極と反対側の面に1つの光学フィルタが配置され、その結果、前記フィルタが、前記1つのフォトルミネセンス蛍光体層による青色周囲光の実質的な吸収を抑えるようにする請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項14】
3つのサブ画素を含む請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項15】
前記青色発光エレクトロルミネセンス無機蛍光体が、青色発光する希土類で活性化されたアルカリ土類硫化物である請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項16】
前記青色発光する希土類で活性化されたアルカリ土類硫化物が、希土類で活性化されたアルカリ土類チオアルミン酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類チオオキシアルミン酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類チオ没食子酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類チオオキシ没食子酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類チオインジウム酸塩類、および希土類で活性化されたアルカリ土類チオオキシインジウム酸塩類、ならびにこれらの混合物からなるグループから選択された請求項15に記載の画素サブ構造。
【請求項17】
前記青色発光する希土類で活性化されたアルカリ土類硫化物が、ユーロピウムで活性化されたアルミン酸バリウムである請求項16に記載の画素サブ構造。
【請求項18】
前記青色発光エレクトロルミネセンス無機蛍光体が、xが約0.2未満でyが約0.15未満の許容可能なCIE座標を有する青色光を放射する請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項19】
前記少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層が、前記放射された青色光のフォトンのエネルギーよりも少ないエネルギーを有するバンドギャップを有する絶縁材料である請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項20】
前記フォトルミネセンス蛍光体層が、少なくとも1つの染料、マトリクス成分中の少なくとも1つの染料、少なくとも1つのフォトルミネセンス粉末、マトリクス成分中の少なくとも1つのフォトルミネセンス粉末、またはこれらの混合物を含む請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項21】
前記少なくとも1つの染料が、赤色発光染料、緑色発光染料、および黄色発光染料からなるグループから選択された請求項20に記載の画素サブ構造。
【請求項22】
前記少なくとも1つのフォトルミネセンス粉末が、少なくとも1つの無機フォトルミネセンス粉末である請求項20に記載の画素サブ構造。
【請求項23】
前記少なくとも1つの無機フォトルミネセンス粉末が、希土類で活性化されたアルカリ土類チオアルミン酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類チオ没食子酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類チオインジウム酸塩類、希土類で活性化されたアルカリ土類硫化物、イットリウムアルミニウムガーネットおよび希土類で活性化されたアルカリ土類ケイ酸塩類、および希土類で活性化されたアルカリ土類ゲルマニウム酸塩類、 希土類で活性化されたアルカリ土類アルミン酸塩類、および希土類で活性化されたアルカリ土類ホウ酸塩類からなるグループから選択された請求項22に記載の画素サブ構造。
【請求項24】
前記少なくとも1つ無機フォトルミネセンス粉末が、無機半導体材料である請求項22に記載の画素サブ構造。
【請求項25】
前記無機半導体材料が、無機半導体ナノ結晶材料である請求項24に記載の画素サブ構造。
【請求項26】
前記無機半導体ナノ結晶材料が、半導体化合物CdS、CdSe、CdTeおよびこれらの混合物からなるグループから選択された請求項25に記載の画素サブ構造。
【請求項27】
前記無機半導体ナノ結晶材料が、約10〜約200オングストロームの範囲のサイズの結晶を含む請求項25に記載の画素サブ構造。
【請求項28】
前記マトリクス構成要素が、PMMA、エポキシ、およびポリメチルグルタリドイミド(polymethylglutaridimide)からなるグループから選択された請求項20に記載の画素サブ構造。
【請求項29】
少なくとも1つの薄膜絶縁体層が、前記青色発光エレクトロルミネセンス無機蛍光体層の少なくとも1つの面上にある請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項30】
透明カバー・プレートをさらに含み、前記少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層が、前記透明カバー・プレート上に付着された請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項31】
前記少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層が、前記透明カバー・プレートの外側面に付着され、前記少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層が、光透過性不導態層で被覆された請求項30に記載の画素サブ構造。
【請求項32】
前記フォトルミネセンス蛍光体層が、厚さ約1〜約10ミクロンである請求項1に記載の記画素サブ構造。
【請求項33】
厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置用に請求項1に記載の画素サブ構造を作成する方法であって、
前記サブ画素のそれぞれの上に各フォトルミネセンス蛍光体層を配置し、その結果、前記サブ画素のそれぞれによって放射された青色光が、前記関連付けられたフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより前記フォトルミネセンスが青色光以外の有色光を放射するようにする段階を含む方法。
【請求項34】
前記画素サブ構造が、3つのサブ画素と、第1と第2のフォトルミネセンス蛍光体層とを含み、前記配置する段階が、
前記サブ画素のうちの1つの上に前記第1のフォトルミネセンス蛍光体層を配置し、その結果、前記サブ画素によって放射された青色光が、前記第1のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより前記第1のフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにする段階と、
前記サブ画素のうちの別の画素の上に前記第2のフォトルミネセンス蛍光体層を配置し、その結果、前記サブ画素によって放射された青色光が、前記第2のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより前記第2のフォトルミネセンス蛍光体層が、青色光と前記第1のフォトルミネセンス蛍光体層の前記有色光以外の有色光を放射するようにする段階とを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記青色発光エレクトロルミネセンス無機蛍光体層の上に少なくとも2つの表示側電極を配置する段階と、
前記表示側電極のそれぞれの上に各フォトルミネセンス蛍光体層を配置し、その結果、前記エレクトロルミネセンス蛍光体層によって放射された青色光が、前記関連付けられたフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより前記フォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにする段階とを含む請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記画素サブ構造が、3つのサブ画素、3つの表示側電極、および第1と第2のフォトルミネセンス蛍光体層とを含み、前記配置する段階が、
前記表示側電極のうちの1つの表示側電極の上に第1のフォトルミネセンス蛍光体層を配置し、その結果、前記エレクトロルミネセンス蛍光体層によって放射された青色光が、前記第1のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより前記第1のフォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにする段階と、
前記表示側電極のうちの他の表示側電極の上に第2のフォトルミネセンス蛍光体層を配置し、その結果、前記エレクトロルミネセンス蛍光体層によって放射された青色光が、前記第2のフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより前記第2のフォトルミネセンス蛍光体層が、青色光と前記第1のフォトルミネセンス蛍光体層の前記有色光以外の有色光を放射するようにする段階とを含む請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記表示側電極の上に透明カバー・プレートを配置し、前記透明カバー・プレートに前記フォトルミネセンス蛍光体層を付着させる段階をさらに含む請求項35に記載の画素サブ構造を作成する方法。
【請求項38】
前記フォトルミネセンス蛍光体に光透過性不導態層を被覆する段階をさらに含む請求項35に記載の画素サブ構造を作成する方法。
【請求項39】
前記サブ画素の上に透明カバー・プレートを配置し、前記透明カバー・プレート上に前記フォトルミネセンス蛍光体層を付着させる段階をさらに含む請求項33に記載の画素サブ構造を作成する方法。
【請求項40】
前記フォトルミネセンス蛍光体に光透過性不導態層を被覆する段階をさらに含む請求項33に記載の画素サブ構造を作成する方法。
【請求項41】
前記フォトルミネセンス蛍光体層の少なくとも1つの面に少なくとも1つの反射層を配置する段階をさらに含む請求項33に記載の画素サブ構造を作成する方法。
【請求項42】
前記フォトルミネセンス蛍光体層の上に少なくとも1つの光学フィルタを配置し、その結果、前記フィルタが、前記フォトルミネセンス蛍光体層による青色周囲光の実質的な吸収を抑えるようにする段階をさらに含む請求項33に記載の画素サブ構造を作成する方法。
【請求項43】
前記サブ画素上に配置された薄膜光透過性シートをさらに含み、前記少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層が、前記光透過性シートの前記サブ画素と反対側の一方の面に付着されており、透明カバー・プレートが光透過性シート上に配置され、その結果、光透過性シートと透明カバー・プレートの間に、前記少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層がその間にある状態で、エアギャップが形成されるようにする請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項44】
少なくとも2つのフォトルミネセンス蛍光体層を備える、請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項45】
青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層は、使用可能な強度を有する青色光以外の前記他の光を放射するフォトルミネッセンス層を励起するために十分な強度の青色光を提供するために、前記厚膜絶縁体層と結合される、請求項1に記載の画素サブ構造。
【請求項46】
画素を備える厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置であって、
各画素は、第1電極と第2電極との間に配置される厚膜絶縁体層を備え、画素サブ構造と関連付けられており、前記画素サブ構造は、
青色光をそれぞれ放射する少なくとも2つのサブ画素と、
少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層であって、各フォトルミネセンス蛍光体層が、前記サブ画素のそれぞれと関連付けられており、その結果、前記サブ画素のそれぞれによって放射された青色光が、関連付けられたフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより前記フォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにするフォトルミネセンス蛍光体層とを含む厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項47】
前記画素サブ構造が、2つのサブ画素と1つのフォトルミネセンス蛍光体層とを含む請求項46に記載の厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項48】
前記画素サブ構造が、3つのサブ画素と、第1と第2のフォトルミネセンス蛍光体層とを含み、前記第1のフォトルミネセンス蛍光体層が、青色光以外の有色光を放射し、前記第2のフォトルミネセンス蛍光体層が、青色光と前記第1のフォトルミネセンス蛍光体層の前記有色光以外の有色光を放射する請求項46に記載の厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項49】
各サブ画素が、青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層と、前記青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層と関連付けられた表示側電極とを含み、各フォトルミネセンス蛍光体層が、前記サブ画素のそれぞれの前記表示側電極と関連付けられている請求項46に記載の厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項50】
複数のフォトルミネセンス蛍光体層を含み、各フォトルミネセンス蛍光体層が、前記サブ画素のうちの異なるものと関連付けられている請求項49に記載の厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項51】
複数のフォトルミネセンス蛍光体層を含み、各フォトルミネセンス蛍光体層が、前記表示側電極の異なるものと関連付けられている請求項46に記載の厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項52】
前記サブ画素が、青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層を含む請求項46に記載の厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項53】
前記サブ画素がそれぞれ、前記青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層と関連付けられた表示側電極を含む請求項52に記載の厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項54】
各画素が、
基板と、
行電極と、
前記厚膜絶縁体層と、
前記画素サブ構造とを順序通りに含む請求項46に記載の厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項55】
青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層は、使用可能な強度を有する青色光以外の前記他の光を放射するフォトルミネッセンス層を励起するために十分な強度の青色光を提供するために、前記厚膜絶縁体層と結合される、請求項46に記載の画素サブ構造。
【請求項56】
画素を備える厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置であって、
各画素は、第1電極と第2電極との間に配置される厚膜絶縁体層を備え、各画素は、画素サブ構造に関連付けられており、
前記画素サブ構造は、
青色光をそれぞれ放射する少なくとも2つのサブ画素と、
少なくとも1つのフォトルミネセンス蛍光体層であって、各フォトルミネセンス蛍光体層が、前記サブ画素のそれぞれと関連付けられており、その結果、前記サブ画素のそれぞれによって放射された青色光が、関連付けられたフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより前記フォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにするフォトルミネセンス蛍光体層とを含む厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項57】
各画素が、
基板と、
行電極と、
前記厚膜絶縁体層と、
前記画素サブ構造とを順序通りに含む請求項56に記載の厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項58】
青色発光エレクトロルミネセンス蛍光体層は、使用可能な強度を有する青色光以外の前記他の光を放射するフォトルミネッセンス層を励起するために十分な強度の青色光を提供するために、前記厚膜絶縁体層と結合される、請求項56に記載の厚膜絶縁体エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項59】
アドレス指定可能な画素を有し、フォトルミネセンス蛍光体層で構成される発光表示装置であって、
前記フォトルミネセンス蛍光体層は、
有機フォトルミネセンス分子の固溶体を含む顔料粉末と、
マトリックス材料と、
を含み、前記顔料粉末が前記マトリックス材料中に分散され、前記マトリックス材料が、有機フォトルミネセンス分子のフォトルミネセンス効率が実質的に維持されるように前記顔料粉末と化学的かつ物理的に適合性を有する、発光表示装置。
【請求項60】
前記顔料粉末が、緑色顔料、緑色顔料、青色顔料、赤色顔料、赤色含量、および黄色顔料、ならびにこれらの混合物からなるグループから選択された請求項59に記載の発光表示装置。
【請求項61】
前記マトリックス材料が、エポキシ、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、およびポリメチルグルタリドイミドからなるグループから選択された請求項59に記載の発光表示装置。
【請求項62】
前記マトリックス材料がエポキシである、請求項61に記載の発光表示装置。
【請求項63】
前記マトリックス材料がフォトレジスト材料である請求項59に記載の発光表示装置。
【請求項64】
前記発光表示装置が、厚膜エレクトロルミネセンス表示装置、有機発光ダイオード表示装置、液晶ディスプレイ、およびプラズマディスプレイからなるグループから選択された請求項59に記載の発光表示装置。
【請求項65】
発光表示装置における1または複数の画素から放射された青色光を吸収するための方法であって、
前記1または複数の画素と関連付けられており、その結果、前記画素のそれぞれによって放射された青色光が、関連付けられたフォトルミネセンス蛍光体層によって実質的に吸収され、それにより前記フォトルミネセンス蛍光体層が青色光以外の有色光を放射するようにするフォトルミネセンス蛍光体層を提供し、
前記フォトルミネセンス蛍光体層が、有機フォトルミネセンス分子の固溶体を含む顔料粉末と、マトリックス材料とを含み、前記顔料粉末が前記マトリックス材料中に分散され、前記マトリックス材料が、有機フォトルミネセンス分子のフォトルミネセンス効率が実質的に維持されるように前記顔料粉末と化学的かつ物理的に適合性を有する、発光表示装置における1または複数の画素から放射された青色光を吸収するための方法。


【図1】
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【公開番号】特開2011−134732(P2011−134732A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85802(P2011−85802)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【分割の表示】特願2005−501254(P2005−501254)の分割
【原出願日】平成15年10月16日(2003.10.16)
【出願人】(508120846)アイファイアー・アイピー・コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】