説明

カラー画像処理装置

【課題】 ユーザーがどのような目的でスポットカラーの指定をしたか、PDL内でオブジェクト毎の指定か、版指定かを判断して用紙や定着モードを切り替える手段をもうけ、ユーザー所望の再現を行うことを可能にするカラー画像処理装置を提供する。
【解決手段】 PDLすなわちプリンタ記述言語を解釈する手段を有し、スポットカラーの指定がページ単位かオブジェクト単位かのページ判断手段を有し、スポットカラーがどのような印刷条件で作成されているか判断するスポットカラー印刷条件判断手段を有し、前記ページ判断手段、前記印刷条件判断手段の判断結果からプリンタの設定を行うプリンタ設定手段を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDL(Printer Description Language)の中でスポットカラーマッチングに関してNamedProfileを用いて色処理を行うものに関し、特にカラー画像処理装置に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1にはプロファイルに応じて光沢モード、光沢紙を用いる例が記載されている。また、プロファイルに応じてページ全体の切り替えを行うプロファイルに特化している。特許には具体的に記載されていないが、たとえば出力プロファイルに限定されていることは同業他社が見れば明らかである。
【0003】
図1で示すイラストレータなどのアプリでの色指定した際、PDL言語のひとつであるPS(PostScript)でのスポットカラーマッチングでは図2に示す入力ソースの指定にスポットカラーたとえば「PANTONE 100 C」などが用いられ、アプリケーションから出力されるPS言語内の文字列「PANTONE 100 C」に応じて、Named Profileが選択され使用されその文字列での色度からエンジンに最適なカラーマネージメント(CMS)が行われエンジン依存のDeviceCMYKが作成される。このスポットカラーマッチングでは図4のようにオブジェクトの色指定に使われていたり、印刷版の指定に使われていたりとユーザーの使用目的に応じて使用されている。たとえば印刷版の指定の場合はページ全体でスポットカラー指定にNamed Profileが使用されるが、オブジェクト指定の場合はページ内の一部のみNamed Profileが使用され、他のオブジェクトは別の入力ソースたとえばDeviceRGBやDeviceCMYKが使用される。
【0004】
ここでたとえばスポットカラー設定のPantoneといっても図2に示すようにC(コート紙用色見本ターゲット)、UC(非コート紙用色見本ターゲット)、M(マット紙用色見本ターゲット)などのようにいろいろなものが用意されている。これらのスポットカラーはそれぞれ専用紙にプリントされたパッチ(色見本)が元になっている。また従来のスポットカラーマッチングではプリンタに設定された紙でNamed Profileに記載の色度にだけあわせる形を取っていた。
【特許文献1】特開2004−37525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、用紙や定着モードなどをスポットカラーにあわせて変更するものはなかった。また、オブジェクト毎や、版指定などのスポットカラーの指定の方法に応じて用紙や定着モードを切り替えるものもなかった。
【0006】
本発明は、上述の問題点に着目してなされたものであって、ユーザーがどのような目的でスポットカラーの指定をしたか、PDL内でオブジェクト毎の指定か、版指定かを判断して用紙や定着モードを切り替える手段をもうけ、ユーザー所望の再現を行うことを可能にするカラー画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明では、上記課題を解決するために以下の構成を備える。
【0008】
PDLすなわちプリンタ記述言語を解釈する手段を有し、スポットカラーの指定がページ単位かオブジェクト単位かのページ判断手段を有し、スポットカラーがどのような印刷条件で作成されているか判断するスポットカラー印刷条件判断手段を有し、前記ページ判断手段、前記印刷条件判断手段の判断結果からプリンタの設定を行うプリンタ設定手段を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、ユーザーがどのような目的でスポットカラーの指定をしたか、PDL内でオブジェクト毎の指定か、版指定かを判断して用紙や定着モードを切り替える手段をもうけ、ユーザー所望の再現を行うことを可能にする効果が得られる。
【0010】
また、上記PDL内の判断だけでなくUI(ユーザーインターフェース)でユーザー自身が指定できるようにしてユーザー所望の再現を行うことを可能にする効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例1を図を用いて以下に説明する。
【0013】
まずアプリケーション(たとえばイラストレータなど)で図1のような形でスポットカラー指定(スオッチライブラリーカラー指定)を行った場合、スポットカラー指定は図2のような文字列が作成される。PSを解釈するインタプリタにはオブジェクト毎の指定の場合は図4に示すよう(1)の色指定がPS言語で指定されてくる。また、分版指定などで版の色を指定する場合は図4の(2)の色指定がPS言語で指定されてくる。ここまでを図8のシステム図で説明すると801のアプリでスポットカラーの指定が行われ、802のドライバを通して803のPSインタプリタまでデータが送られる。
【0014】
次に通常のスポットカラーのカラーマネージメント処理に関して図3を用いて説明しておく。アプリケーションからの指定に含まれる「PANTONE 100 CVC」という文字列からNamed Profile内を検索し、そのプロファイルから文字列に対応する色度、たとえばLab値を所得してそのLabをプリンタで出力するために最適なCMYK値が記載されている出力プロファイル(図示していない)からカラーマネージメントシステム(CMS)によりLabからCMYK値を求めてプリンタに出力する。以上は図5でスポットカラーマッチングONの場合でOFFの場合はNamed Profileを参照せずアプリケーションからの指定に含まれる「DeviceCMYK…」という文字列の代替色空間の値を用いてプリンタに出力する。以上からもわかるようにスポットカラーマッチングがONのときはLabが使用されるのでデバイスに依存しない色再現ができ、OFFの場合はデバイスに依存した色になってしまうのでプリンタが異なると色も変わってしまうことになってユーザーには好ましくないものになってしまう。
【0015】
基本機能の説明が終わったので本発明の説明にうつる。
【0016】
本発明では図2に記載し、従来例でも説明したように、スポットカラー設定のPantoneといってもC(コート紙用色見本ターゲット)、UC(非コート紙用色見本ターゲット)、M(マット紙用色見本ターゲット)などのようにいろいろなものが用意されている。これらのスポットカラーはそれぞれ専用紙にプリントされたパッチ(色見本)が元になっているので、実際に出力する際にスポットカラーの「PANTONE 100 C」の“C”を参照して処理を切り替えるようにしている。また、スポットカラーは1ページの中でオブジェクト毎に指定したり、1ページの版を指定することが可能なので1ページの倍はそのページすべてでその色指定になるのでそのデータをプリントする紙のメディア、紙の光沢調整などをスポットカラーに応じて変更できるようにする。これらの制御は図5に示すユーザーインターフェースからユーザーが切り替えるようにすることでユーザ―の好ましい設定を可能にする。またAutoのときは完全に自動にするのではなく図7の警告を表示してユーザーに判断させるセミAutoにしてもよい。
【0017】
では実際の処理の流れを図6のフローを用いて説明する。スポットカラーがあったときのメディアタイプ、光沢指定の切り替えを説明する。ここでは図5の指定の場合を説明する。
【0018】
Step101で1Page指定かを判断する。ここでは図4で説明したように分版指定の1ページに全体に関係するものかを判断する。図4の(1)のときはオブジェクト毎なのでページ内にスポットカラー以外の指定がある可能性が高いのでStep102に進みメディアタイプ、光沢指定を変更せずそのままで処理を進める。図4の(2)のときは1ページの版の指定なので次にStep103に進みスポットカラーの拡張子の“C”や“U”をチェックする。ここでは“C”の場合を説明するが他の場合など制御としては、
“C”はCoatedなのでコート紙、定着は光沢モード
“U”はUncoatedなので非コート紙、定着はマットモード
が基本になる。しかし、この指定は一例であって紙、定着などの光沢モードはこれに限ったものではなくユーザーが指定してもいいし、予め機械内で設定しておいてもかまわない。
【0019】
“C”の場合で説明をつづける。次にメディアタイプの確認のためStep105で光沢紙のGLOSSYか確認する。YesのときはStep106でメディアを変更しない。次にStep107で実際にメディア指定を行う。メディアタイプの確認でStep105で光沢紙のGLOSSYでなくNoのときはStep108で図7の警告画面を表示して、Step109でする/しないの変更を確認する。変更YesのときはStep117でGLOSSYに変更し、Step107で実際のメディアの指定を行う。変更NoのときはStep106でメディアタイプそのままということでたとえば普通紙のときは、Step107で実際に普通紙の指定を行う。
【0020】
次に光沢指定の確認のためStep111で光沢か確認する。YesのときはStep112で光沢指定を変更しない。次にStep113で実際に光沢指定を行う。光沢指定の確認でStep111で光沢でなくたとえばマットでNoのときはStep114で図7の警告画面を表示して、Step115でする/しないの変更を確認する。変更YesのときはStep116で光沢に変更し、Step113で実際の光沢の指定を行う。変更NoのときはStep112で光沢指定そのままということでたとえばマットで、Step116で実際にマットの指定を行う。
【実施例2】
【0021】
本発明の実施例1ではPS(PostScript)で説明したがPDFでも同様に判断、制御ができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】アプリケーションでのスポットカラー設定を説明する図
【図2】スポットカラー設定の一例を示す図
【図3】スポットカラー設定のカラーマネージメントの一例を示す図
【図4】スポットカラー設定の一例を示す図
【図5】スポットカラーマッチング設定のUIの一例を示す図
【図6】本発明の処理フロー図
【図7】警告画面を示す図
【図8】本実施例のシステム図
【符号の説明】
【0023】
801 アプリケーション
802 ドライバ
803 PDLインタプリタ
804 CPU
805 RAM
806 HD
807 UI
808 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PDLすなわちプリンタ記述言語を解釈する手段を有し、スポットカラーの指定がページ単位かオブジェクト単位かのページ判断手段を有し、スポットカラーがどのような印刷条件で作成されているか判断するスポットカラー印刷条件判断手段を有し、前記ページ判断手段、前記印刷条件判断手段の判断結果からプリンタの設定を行うプリンタ設定手段を備えることを特徴とするカラー画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷条件とは用紙、光沢度であることを特徴とするカラー画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプリンタ設定手段とは用紙、光沢度であることを特徴とするカラー画像処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のスポットカラーとはNamed Profileを参照して色変換を行うことを特徴とするカラー画像処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のPDLとはPSすなわちPostScriptであることを特徴とするカラー画像処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載のPDLとはPDFであることを特徴とするカラー画像処理装置。

【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−285838(P2006−285838A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−107483(P2005−107483)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】