説明

カルシウム拮抗化合物

新規カルシウム拮抗化合物、およびその使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、新規カルシウム拮抗化合物(calcilytic compound)、これらの化合物を含有する薬剤組成物、およびカルシウム受容体拮抗剤としてのその使用に関する。
【0002】
(従来技術)
哺乳類では、細胞外Ca2+は、厳重な恒常性制御下にあり、血液凝固、神経および筋肉興奮性、ならびに適切な骨形成などの様々なプロセスを調節する。細胞外Ca2+は、副甲状腺細胞から副甲状腺ホルモン(「PTH」)の分泌を抑制し、破骨細胞による骨吸収を抑制し、C−細胞からのカルシトニンの分泌を刺激する。カルシウム受容体タンパク質によって、いくつかの特殊な細胞が細胞外Ca2+濃度の変化に応答することが可能になる。
【0003】
PTHは、血液および細胞外液中のCa2+恒常性を調節する主要な内分泌因子である。PTHは、骨および腎臓細胞に作用することによって、血液中のCa2+のレベルを上昇させる。次いで、この細胞外Ca2+の上昇は、負のフィードバック信号として働き、PTH分泌を抑圧する。細胞外Ca2+とPTH分泌との相反関係は、身体のCa2+恒常性を維持する重要な機構を形成する。
【0004】
細胞外Ca2+は、副甲状腺細胞に直接作用して、PTH分泌を調節する。細胞外Ca2+の変化を検出する副甲状腺細胞表面タンパク質の存在が確認されている。非特許文献1を参照のこと。副甲状腺細胞では、カルシウム受容体であるこのタンパク質は、細胞外Ca2+用の受容体として働き、細胞外Ca2+のイオン濃度の変化を検出し、機能細胞応答であるPTH分泌を惹起する。
【0005】
細胞外Ca2+は、様々な細胞機能に影響を及ぼし、非特許文献2に概説されている。例えば、細胞外Ca2+は、傍濾胞(C−細胞)および副甲状腺細胞である役割を果たす。非特許文献3を参照のこと。破骨細胞に対する細胞外Ca2+の役割も研究されている。非特許文献4を参照のこと。
【0006】
様々な化合物が、細胞外Ca2+のカルシウム受容体分子に及ぼす効果を模倣することが知られている。カルシウム拮抗物は、カルシウム受容体活性を抑制し、それによって細胞外Ca2+によって誘起される1種または複数のカルシウム受容体活性の低減を引き起こすことができる化合物である。カルシウム拮抗物は、Ca2+受容体で活性である有用なカルシウムモジュレータの発見、開発、設計、修飾、および/または構築においてリード分子として有用である。このようなカルシウム拮抗物は、1種または複数のCa2+受容体での活性によって調節または影響を受ける異常なレベルの1種または複数の成分、例えばホルモン、酵素、成長因子などのポリペプチド、その発現および/または分泌を特徴とする様々な疾患状態の治療に有用である。カルシウム拮抗化合物の標的疾患または障害には、骨およびミネラル恒常性異常に関する疾患が含まれる。
【0007】
カルシウム恒常性異常は、以下の活性:血清カルシウムの異常な増大または低減;カルシウムの尿中排泄の異常な増大または低減;骨カルシウムレベル(例えば、骨ミネラル密度測定によって評価される)の異常な増大または低減;食事性カルシウム吸収異常;PTHやカルシトニンなど血清カルシウムレベルに影響を及ぼすメッセンジャーの生産および/または放出の異常な増大もしくは低減;ならびに血清カルシウムレベルに影響を与えるメッセンジャーによって誘発される応答の異常な変化のうちの1つまたは複数を特徴とする。
【非特許文献1】Brown et al., Nature 366:574, 1993
【非特許文献2】Nemeth et al., Cell Calcium 11:319, 1990
【非特許文献3】Nemeth, Cell Calcium 11:323, 1990
【非特許文献4】Zaidi, Bioscience Reports 10:493, 1990
【0008】
したがって、カルシウム受容体拮抗剤は、副甲状腺機能低下症、骨肉腫、歯周病、骨折治癒、変形性関節症、関節リウマチ、パジェット病、悪性腫瘍および骨折治癒を伴う液性高カルシウム血症、ならびに骨粗鬆症など、骨またはミネラル恒常性異常を伴う疾患の薬物療法への独自の手法を提供する。
【0009】
(発明の開示)
本発明は、下記の式(I)によって表される新規カルシウム受容体拮抗剤と、副甲状腺機能低下症、骨肉腫、歯周病、骨折治癒、変形性関節症、関節リウマチ、パジェット病、悪性腫瘍および骨折治癒を伴う液性高カルシウム血症、ならびに骨粗鬆症に限定されないがこれらを含めて、骨またはミネラル恒常性異常を伴う様々な疾患の治療におけるカルシウム受容体拮抗剤としてのその使用とを含む。
【0010】
本発明は、ヒトを含めて動物においてカルシウム受容体に拮抗するための方法であって、それを必要とする動物に有効量の本明細書の下記に示す式(I)の化合物を投与する工程を含む方法をさらに提供する。
【0011】
本発明は、ヒトを含めて動物において血清副甲状腺レベルを上昇させるための方法であって、それを必要とする動物に有効量の本明細書の下記に示す式(I)の化合物を投与する工程を含む方法をさらに提供する。
【0012】
(発明の詳細な記載)
本発明の化合物は、本明細書の下記の式(I)から選択される。
【化1】


R1は、CNまたはハロゲンであり、
R2は、ハロゲンまたはHであり、
R3は、置換されていてもよいC3〜7アルキルまたはC3〜7アルケニルであり、
R4は、非置換の、またはOH、ハロゲン、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、CF、OCF、CN、およびNOからなる群から選択される任意の置換基で置換されたアリール、縮合アリール、ジヒドロ、テトラヒドロ縮合アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される。
【0013】
本明細書では、「アルキル」は、炭素−炭素単結合で結合し、共に結合された1〜20個の炭素原子を有する置換されていてもよい炭化水素基を指す。アルキル炭化水素基は、線状、分枝状または環状、飽和または不飽和とすることができる。好ましくは、置換されていてもよいアルキル上の置換基は、アリール、COR、CONHR、OH、OR、CO、NH、ハロ、CF、OCF、およびNOからなる群から選択される。ただし、Rは、H、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、C2〜5アルケニル、C2〜5アルキニル、ヘテロシクロアルキル、またはアリールを表す。追加の置換基は、F、Cl、Br、I、N、S、およびOから選択される。好ましくは、3個以下の置換基が存在する。より好ましくは、アルキルは、1〜12個の炭素原子を有し、非置換である。好ましくは、アルキル基は線状である。
【0014】
本明細書では、「シクロアルキル」は、別段の示唆のない限り、任意の置換基が、F、Cl、Br、I、N(R、SR、およびORからなる群から選択される、置換されていてもよい3〜7員炭素環を指す。
【0015】
本明細書では、「アリール」は、2つまでの共役または縮合環系を含む、共役π電子系を有する少なくとも1つの環を有する置換されていてもよい芳香族基を指す。アリールには、炭素環アリール、およびビアリール基が含まれ、それらはすべて、任意に置換されていてもよい。好ましいアリールには、フェニルおよびナフチルが含まれる。より好ましいアリールには、フェニルが含まれる。好ましい置換基は、ハロゲン、C1〜4アルキル、OCF、CF、OMe、CN、OSOR、およびNOからなる群から選択される。ただし、Rは、C1〜4アルキル、またはC3〜6シクロアルキルを表す。
【0016】
本明細書では、「ヘテロアリール」は、N、S、またはOなどの1、2、または3個のヘテロ原子を含むアリール環を指す。
【0017】
本明細書では、「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、共に結合させた5個までの炭素原子を含む置換されていてもよい炭化水素基を指す。アルケニル炭化水素鎖は、直鎖状、分枝状、または環状とすることができる。任意の置換基は、ハロゲン、C1〜4アルキル、OCF、CF、OMe、CN、OSOR、およびNOからなる群から選択される。ただし、Rは、C1〜4アルキルまたはC3〜6シクロアルキルを表す。
【0018】
本明細書では、「アルキニル」は、炭素原子間に少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、共に結合させた5個までの炭素原子を含む置換されていてもよい炭化水素基を指す。アルキニル炭化水素基は、直鎖状、分枝状、または環状とすることができる。任意の置換基は、ハロゲン、C1〜4アルキル、OCF、CF、OMe、CN、OSOR、およびNOからなる群から選択される。ただし、Rは、
1〜4アルキルまたはC3〜6シクロアルキルを表す。
【0019】
本発明の化合物は、1個または複数の不斉炭素原子を含むことができ、ラセミおよび光学活性の形で存在することができる。これらの化合物およびジアステレオマーはすべて、本発明の範囲内と考えられる。
【0020】
本発明の好ましい化合物には、
(R)−4−[(2−インダン−2−イル−1,1−ジメチル−エチルアミノ)−メチル]−6−オキソ−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−14−カルボニトリル;
(R)−13,14−ジフルオロ−4−[(2−インダン−2−イル−1,1−ジメチル−エチルアミノ)−メチル]−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−6−オン;
(R)−4−{[2−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−1,1−ジメチル−エチルアミノ]−メチル}−13,14−ジフルオロ−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−6−オン;
(R)−4−{[2−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−1,1−ジメチル−エチルアミノ]−メチル}−6−オキソ−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−14−カルボニトリル;
(R)−14−ブロモ−4−[(2−インダン−2−イル−1,1−ジメチル−エチルアミノ)−メチル]−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−6−オン;および
(R)−14−ブロモ−4−{[2−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−1,1−ジメチル−エチルアミノ]−メチル}−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−6−オンが含まれる。
【0021】
薬学的に許容できる塩は、投与される量および濃度において非毒性の塩である。
【0022】
薬学的に許容できる塩には、硫酸塩、塩酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩およびキナ酸塩を含むものなど酸付加塩が含まれる。好ましい塩は、塩酸塩である。薬学的に許容できる塩は、塩酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、フマル酸、およびキナ酸などの酸から得ることができる。
【0023】
薬学的に許容できる塩には、カルボン酸またはフェノールなどの酸性官能基が存在する場合、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、アルキルアミン、および亜鉛を含むものなどの塩基付加塩も含まれる。
【0024】
本発明は、標準技法を使用して調製することができる上記の式(I)の化合物を提供する。本明細書に記載する好ましい化合物を調製するための方策全体を、このセクションで記載するように実施することができる。下記の例は、特有の化合物の合成を示す。本明細書に記載するプロトコルをモデルとして使用して、当業者は、本発明の他の化合物を容易に生成することができる。
【0025】
試薬および溶媒はすべて、商業供給業者から得られた。出発材料は、標準技法および手順を使用して合成した。
【化2】


【化3】

【0026】
一般的調製
合成スキーム1では、以前に公開された順序{GSK Provisional patent applic. 2003}によるペンテン酸3の調製を概説する。既知の臭化物1を、エチル−4−ペンテノエートなどのオレフィンとヘックカップリング(Heck coupling)すると、α,β−不飽和エステルが得られる。これを(精製せずに)エタノールおよび水中で水酸化ナトリウムなどの塩基でケン化して、ペンテン酸2を得る。パラジウム担持炭酸カルシウムなどの触媒の存在下で水素など、当技術分野に一般的な条件下で、ペンテン酸を還元して、飽和酸3を得る。合成スキーム2に示すように、トリクロロベンゾイルクロリド(山口試薬(Yamaguchi’s reagent))で処理し、その後DMAPの存在下で加熱して、マクロラクトン化を促進するなど当技術分野に一般的な条件下で、酸3を環化する。
【0027】
ヒトおよび他の哺乳類の治療用に式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩を使用するために、通常は薬剤の標準慣行に従って薬剤組成物として調製する。
【0028】
カルシウム拮抗化合物は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経口、局所(経皮)、または経粘膜投与を含めて様々な経路で投与することができる。全身投与の場合、経口投与が好ましい。経口投与の場合、例えば化合物は、カプセル剤、錠剤、およびシロップ剤、エリキシル剤、濃縮ドロップなどの液状製剤など通常の経口剤形に調製することができる。
【0029】
あるいは、例えば筋肉内、静脈内、腹腔内、および皮下の注射(非経口投与)を使用することができる。注射の場合、本発明の化合物を、液状溶液、好ましくは食塩液、ハンクス液、リンゲル液などの生理的適合性緩衝剤または溶液に調製する。さらに、化合物を固体の形に調製し、使用する直前に再溶解または懸濁することができる。凍結乾燥した形を生成することもできる。
【0030】
全身投与は、経粘膜または経皮の手段によることもできる。経粘膜または経皮の投与の場合、透過対象のバリアに適した浸透剤を製剤に使用する。このような浸透剤は、一般に当技術分野で知られ、例えば経粘膜投与の場合、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が含まれる。さらに、洗浄剤を使用して、透過を促進することができる。経粘膜投与は、例えば鼻内噴霧、直腸坐剤、または膣坐剤を経由とすることができる。
【0031】
局所投与の場合、一般に当技術分野で知られているように、本発明の化合物を軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに調製することができる。
【0032】
投与対象の様々なカルシウム拮抗化合物の量は、化合物IC50、EC50、化合物の生物学的半減期、患者の年齢、大きさ、および体重、ならびに患者に関連する疾患または障害などの因子を考慮に入れて、標準手順によって決定することができる。考慮すべき上記その他の因子の重要性は、当業者に知られている。
【0033】
投与量は、投与経路、および経口バイオアベイラビリティの程度にも依存する。例えば、低い経口バイオアベイラビリティの化合物の場合、比較的より高い用量を投与しなければならない。
【0034】
好ましくは、組成物は、単位用量形態である。経口適用の場合、例えば錠剤、またはカプセル剤を投与することができ、経鼻適用の場合、定量エアゾールを投与することができ、経皮適用の場合、局所製剤またはパッチを投与することができ、経粘膜輸送の場合、口腔パッチを投与することができる。いずれの場合も、患者が単回投与量を投与できるような投与である。
【0035】
経口投与の場合の用量単位はそれぞれ、遊離の塩基として計算して、適切には0.01〜500mg/kg、好ましくは0.1〜50mg/kgの式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩を含む。非経口、経鼻、経口吸入、経粘膜、または経皮経路の場合の1日の用量は、適切には0.01mg〜100mg/kgの式(I)の化合物を含む。局所製剤は、適切には0.01〜5.0%の式(I)の化合物を含む。当業者には容易に明らかである通り、所望の活性を発現するのに十分な有効成分を例えば1日1〜6回、好ましくは1回投与することができる。
【0036】
本明細書では、疾患の「治療」には、疾患の防止、遅延、および予防が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
罹患細胞に基づいて治療または防止される疾患および障害には、骨およびミネラルに関連した疾患または障害;副甲状腺機能低下症;てんかん発作、発作、頭部外傷、脊髄損傷、心停止または新生児窮迫において起こるなどの低酸素誘導性神経細胞損傷、てんかん、アルツハイマー病、ハンチントン病およびパーキンソン病などの神経変性疾患、認知症、筋肉緊張、うつ病、不安、パニック障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス症候群、統合失調症、悪性症候群、トゥーレット症状群などの中枢神経系のもの;ADH分泌異常症(SIADH)、肝硬変、うっ血性心不全、ネフローゼなどの腎臓による過剰水再吸収が関与する疾患;高血圧;陽イオン性の抗生物質(例えば、アミノグリコシド抗生物質)からの腎毒性の防止および/または低減;下痢や痙攣性結腸などの消化管運動障害;GI潰瘍疾患;サルコイド症など過剰カルシウム吸収を伴うGI疾患;自己免疫疾患および臓器移植拒絶反応;有棘細胞癌;および膵炎が含まれる。
【0038】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明の化合物を使用して、血清副甲状腺ホルモン(「PTH」)レベルを上昇させる。血清PTHレベルを上昇させることが、副甲状腺機能低下症、骨肉腫、歯周病、骨折、変形性関節症、関節リウマチ、パジェット病、液性高カルシウム血症悪性腫瘍、骨粗鬆症などの疾患を治療するのに役に立つ場合がある。
【0039】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明の化合物を、再吸収抑制剤と共に同時投与する。このような作用物質には、エストロゲン、1,25(OH)ビタミンD3、カルシトニン、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、ビトロネクチン受容体拮抗剤、V−H+−ATP分解酵素阻害剤、src SH2拮抗剤、ビスホスホネートおよびカテプシンK阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
本発明の別の態様は、血清PTHレベルを上昇させるのに十分な量の本発明の化合物を患者に投与する工程を含む患者の治療方法を記述する。好ましくは、治療効果をもたせるのに十分な期間および/または量の血清PTHレベルの上昇を引き起こすのに効果的な量の化合物を投与することによってこの方法を実施する。
【0041】
様々な実施形態では、患者に投与された化合物は、1時間まで、約1〜約24時間、約1〜約12時間、約1〜約6時間、約1〜約5時間、約1〜約4時間、約2〜約5時間、約2〜約4時間、または約3〜約6時間の期間、血清PTHの上昇を引き起こす。
【0042】
本発明の一代替実施形態では、患者に投与された化合物は、再吸収抑制剤と共に同時投与されることを条件として、約24時間超の期間、血清PTHの上昇を引き起こす。
【0043】
追加の別の実施形態では、患者に投与された化合物は、患者におけるピークの血清PTHより2倍まで、2〜5倍、5〜10倍、および少なくとも10倍高い血清PTHの上昇を引き起こす。ピークの血清レベルを、治療を受けていない患者に対して測定する。
【0044】
経口的に投与したとき活性である式(I)の組成物、および薬学的に許容できるその塩は、シロップ剤、錠剤、カプセル剤、およびトローチとして調製することができる。シロップ剤製剤は、一般に、矯味剤または着色剤を有する、例えば、エタノール、落花生油、オリーブ油、グリセリンまたは水などの液体キャリア中の化合物または塩の懸濁液または溶液からなる。組成物が錠剤の形の場合、固体製剤を調製するのに通常使用される任意の薬剤キャリアを使用することができる。このようなキャリアの例としては、ステアリン酸マグネシウム、白土、タルク、ゼラチン、アカシア、ステアリン酸、デンプン、ラクトース、およびショ糖がある。組成物がカプセル剤の形の場合、任意のルーチンのカプセル化が適しており、例えば上記のキャリアを硬質ゼラチンカプセルシェル中で使用する。組成物が軟質ゼラチンカプセルシェルの形の場合、分散液または懸濁液を調製するのにルーチンで使用される任意の薬剤キャリア、例えば水性ガム、セルロース、シリケートまたはオイルが考えられ、軟質ゼラチンカプセルシェルに組み込む。
【0045】
典型的な非経口組成物は、非経口的に許容できるオイル、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油、またはゴマ油を場合によっては含む無菌水性または非水性キャリア中の化合物もしくは塩の溶液または懸濁液からなる。
【0046】
典型的な吸入用組成物は、乾燥粉末として投与することができる溶液、懸濁液、または乳濁液の形、またはジクロロジフルオロメタンやトリクロロフルオロメタンなどの通常の噴射材を使用したエアゾールの形である。
【0047】
典型的な坐剤製剤は、このようにして、結合および/または滑沢剤、例えば高分子グリコール、ゼラチン、カカオ脂、または他の低融点植物ろうまたは脂肪あるいはその合成類似体と共に同時投与したとき活性である式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩を含む。
【0048】
典型的な皮膚および経皮の製剤は、通常の水性または非水性ビヒクル、例えばクリーム、軟膏、ローション、またはペーストを含み、あるいは薬用石膏、パッチ、または膜の形態である。
【0049】
好ましくは、組成物は、患者が単回投与量を投与できるような単位用量形態、例えば錠剤、カプセル剤、または定量エアゾールである。
【0050】
本発明の化合物を本発明に従って投与する場合、許容できない毒性効果は全く予想されない。
【0051】
式(I)の化合物の生物活性を下記の試験によって示す。
【0052】
(I)カルシウム受容体阻害剤アッセイ
ヒトカルシウム受容体を安定に発現するHEK 293 4.0−7細胞中で細胞外Ca2+によって誘発された細胞内Ca2+の増大を阻止するための試験化合物のIC50を決定することによって、カルシウム拮抗活性を測定した。HEK 293 4.0−7 細胞は、Rogers et al., J. Bone Miner. Res. 10 Suppl. 1:S483, 1995によって記載されているように作製した(参照により本明細書に組み込まれる)。細胞外Ca2+を1から1.75mMに増大させることによって、細胞内Ca2+増大を誘発した。蛍光カルシウムインジケータのfluo−3を使用して、細胞内Ca2+を測定した。
【0053】
手順は以下の通りであった。
1. T−150フラスコで、選択培地(10%ウシ胎児血清および200ug/mLハイグロマイシンBを補充したDMEM)に、細胞を5%CO:95%空気中、37℃で維持し、飽和密度90%まで増殖させた。
【0054】
2. 媒体をデカントし、細胞単層を、37℃に維持しながら2回リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。2回目の洗浄を行った後、PBS中0.02% EDTAを6mL添加、37℃で4分間インキュベートした。インキュベートした後、細胞を穏やかな撹拌で分散した。
【0055】
3. 2または3個のフラスコからの細胞をプールし、ペレット化した(100×g)。細胞のペレットを10〜15mLのSPF−PCB+で再懸濁し、遠心で再びペレット化した。この洗浄を2回行った。
【0056】
硫酸塩およびリン酸塩を含まない副甲状腺細胞緩衝剤(SPF−PCB)は、20mMのNa−Hepes、pH7.4、126mMのNaCl、5mMのKCl、および1mMのMgClを含む。SPF−PCBを作製し、4℃で貯蔵した。使用する当日に、SPF−PCBに、1mg/mLのD−グルコース、および1mMのCaClを補充し、次いで2つの画分に分けた。一方の画分に、ウシ血清アルブミン(BSA;V画分、ICN)を5mg/mL(SPF−PCB+)添加した。この緩衝剤は、細胞を洗浄、充填、および維持するのに、使用した。BSAを含まない画分は、蛍光測定用のキュベット中で細胞を希釈するのに使用した。
【0057】
4. ペレットを2.2uMのfluo−3(Molecular Probes)を含む10mLのSPF−PCB+中で再懸濁し、室温で35分間インキュベートした。
【0058】
5. インキュベート期間に続いて、細胞を遠心でペレット化した。得られたペレットをSPF−PCB+で洗浄した。この洗浄の後、細胞をSPF−PCB+中、1−2×106細胞/mLという密度で再懸濁した。
【0059】
6. 蛍光信号を記録するため、300uLの細胞懸濁液を、1mMのCaCl、および1mg/mLのD−グルコースを含む1.2mLのSPF緩衝剤で希釈した。蛍光測定は、分光蛍光光度計を使用して一定に撹拌しながら37℃で行った。励起および発光波長を485および535nmでそれぞれ測定した。蛍光信号を校正するために、ジギトニン(エタノール中5mg/mL)を添加してFmaxを得、トリス−EGTA(2.5Mトリス塩基、0.3M EGTA)を添加することによって見かけFminを決定した。細胞内カルシウムの濃度を次の式を用いて算出した。
細胞内カルシウム=(F−Fmin/Fmax)×K;(式中、K=400nM)。
【0060】
7. 試験化合物の潜在的カルシウム拮抗活性を決定するため、細胞外Ca2+の濃度が1から2mMに上昇する前に、細胞を試験化合物(または、対照としてビヒクル)と共に90秒間インキュベートした。カルシウム拮抗化合物を、細胞外Ca2+によって誘発される細胞内Ca2+の濃度の上昇を濃度に依存して阻止する能力で検出した。
【0061】
一般に、カルシウム受容体阻害剤アッセイでより低いIC50値を有する化合物がより好ましい化合物である。50uMより大きいIC50を有する化合物を不活性であると見なした。好ましい化合物は、10uM以下のIC50を有するもの、より「好ましい化合物は、1uMのIC50を有し、最も好ましい化合物は、0.1uM以下のIC50を有する。
【0062】
(II)カルシウム受容体結合アッセイ
ヒト副甲状腺カルシウム受容体(「HuPCaR」)を安定にトランスフェクトさせたHEK 293 4.0−7細胞を、T180組織培養フラスコでスケールアップした。原形質膜は、ポリトロンを用いた均質化(polytron homogenization)で、またはガラスダウンシングで、緩衝剤(50mM トリス−HCl pH7.4、1mM EDTA、3mM MgCl)中、1uMロイペプチン、0.04uMペプスタチン、および1mM PMSFを含有するプロテアーゼ阻害剤カクテルの存在下で得る。分注した膜をスナップ凍結し、−80℃で保存した。H標識化合物を比放射能44Ci/mmoleに放射標識し、分注し、放射化学安定性のため液体窒素中に保存した。
【0063】
典型的な反応混合物は、反応容積0.5mL中、2nM H化合物((R,R)−N−4’−メトキシ−t−3−3’−メチル−1’−エチルフェニル−1−(1−ナフチル)エチルアミン)、またはH化合物(R)−N−[2−ヒドロキシ−3−(3−クロロ−2−シアノフェノキシ)プロピル]−1,1−ジメチル−2−(4−メトキシフェニル)エチルアミン4〜10ug膜を、0.1%ゼラチンおよび10%EtOHを含有する均質化緩衝剤中に含む。氷水浴中、12x75のポリエチレンチューブのインキュベーションを行った。各チューブに、100%EtOH中の試験サンプル25uL、続いて冷たいインキュベーション緩衝剤400uL、および100%EtOH中40nMH−化合物25uLを添加し、最終濃度を2nMにする。インキュベーション緩衝剤で希釈した80〜200ug/mL HEK 293 4.0−7膜50uLを添加することによって結合反応を開始させ、4℃で30分間インキュベートさせる。洗浄緩衝剤は、0.1%PEI含有50mMのトリス−HClである。非特有の結合は、100倍過剰の非標識相同リガンドを添加することによって決定し、一般に全結合の20%である。結合反応は、Brandel Harvestorを使用して、1% PEIで前処理したGF/Cフィルタで急速ろ過することによって終結する。フィルタをシンチレーション流体に入れ、放射活性を液体シンチレーションカウンティングによって評価する。
【0064】
実施例1
(R)−4−[(2−インダン−2−イル−1,1−ジメチル−エチルアミノ)−メチル]−6−オキソ−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−14−カルボニトリル
撹拌した0.5g(1.08mmol)のヒドロキシ酸溶液に、21mLの乾燥ジクロロメタン中の塩酸塩(WO 0153254)、続いて0.17mL(1.08mmol)の2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリドおよび0.38mLの(2.37mmol)のトリエチルアミンを添加した。混合物を1時間撹拌し、シリンジポンプを使用して、430mLの無水トルエン中4−ジメチルアミノピリジン(0.79g、6.48mmol)の還流溶液に7時間かけて徐々に添加した。終了後、反応を周囲温度まで冷却し、酢酸エチル(1000mL)で希釈し、5% HCl(100mL)、続いて飽和CuSO(3x250mL)、および塩水(200mL)で洗浄した。有機層を乾燥(NaSO)し、濃縮し、かつフラッシュカラムクロマトグラフィーで、トリエチルアミン(1%)で処理したジクロロメタン中20%THFを使用して精製した。得られた化合物をさらにHPLC(YMC50x20mm、5ミクロン、C18カラム;0.1%TFA含有40−95%CHCN/HO、10分グラジエント;生成物保持時間:4.88分)で精製して、生成物をTFA塩として11%(0.061g)得た。
【0065】
ラクトンのTFA塩(0.061g、0.11mmol)を、乾燥アセトニトリル(10mL)に懸濁し、エーテル中2.0M HCl(0.27mL、5当量)で処理した。反応混合物を15分間撹拌し、濃縮した。この手順をさらに2回繰返して、ラクトンの塩酸塩(0.052g)を定量的な収率で得た。
H NMR (500 MHz, CDCl): δ 10.3 (m, 1H); 8.25 (m, 1H); 7.43 (d, J = 7.85 Hz, 1H); 7.10−7.18 (m, 5H); 6.83 (d, J = 7.83 Hz, 1H); 5.38 (d, J = 14.03 Hz, 1H); 5.33 (d, J = 8.08 Hz, 1H); 4.36 (d, J = 14.5 Hz, 1H); 3.32 (m, 2H); 3.15 (dd, J = 14.9, 7.3 Hz, 1H); 2.95 (dd, J = 14.6, 7.4 Hz, 1H); 2.5−2.7 (m, 7H); 1.99 (d, m, 3H); 1.62 (m, 3H); 1.53 (s, 3H); 1.46 (s, 3H), 1.25 (m, 2H).
MS(m/z): 447 (M+H)
【0066】
実施例2a
【化4】


(R)−2−(5−ブロモ−2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−オキシラン
市販の5−ブロモ−2,3−ジフルオロフェノール(5.0g、23.93mmol)のアセトン溶液(0.1M、240mL)に、KCO(9.92g、71.77mmol)を添加し、混合物を30分加熱還流した。この混合物を室温に冷却した後、(2R)−(−)−グリシジル 3−ニトロベンゼンスルホネート(6.20g、23.93mmol)を添加し、得られた混合物を終夜加熱還流した。室温まで冷却した後、固体をろ過で取り出し、酢酸エチルで十分洗浄した。ろ液を濃縮し、酢酸エチルと1N HClで分液した。有機部分を連続して5% NaHCOおよび塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、ろ過し、固体になるまで濃縮した。FCC(15%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、生成物を白色固体として収率97%(6.19g)で得た。
【0067】
実施例2b
【化5】


(R)−1−(5−ブロモ−2,3−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(2−インダン−2−イル−1,1−ジメチル−エチルアミノ)−プロパン−2−オール
上記のオキシラン(5g、18.67mmol)、および2−インダン−2−イル−1,1−ジメチル−エチルアミン(遊離塩基、3.57g、18.67mmol)のエタノール性溶液(0.2M、93mL)を12時間加熱還流した。溶媒除去したのち、粗反応混合物をFCC(5%CHOH/CHCl)で精製して、純生成物を黄色オイル(放置すると固化する)として収率84%(7.1g)で得た。
H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ 9.05 (t, J = 9.0 Hz, 1H); 8.65 (t, J = 9.0 Hz, 1H); 7.40 (ddd, J = 9.75, 6.4, 2.2 Hz, 1H); 7.34 (ddd, J = 6.7, 2.0, 2.0 Hz, 1H); 7.18 (m, 2H); 7.10 (m, 2H); 6.0 (d, J = 4.8 Hz, 1H); 4.25 (m, 1H); 4.20 (m, 2H); 3.17 (m, 1H); 3.08 (m, 2H); 2.95 (m, 1H); 2.58 (m, 3H); 1.97 (d, J = 5.43 Hz, 2H); 1.39 (s, 6H).
LCMS (m/z) M+H = 454/456.
【0068】
実施例2c
【化6】


(E)−5−{3,4−ジフルオロ−5−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−インダン−2−イル−1,1−ジメチル−エチルアミノ)−プロポキシ]−フェニル}−ペント−4−エノン酸
表題化合物を下記のようにして2工程で調製した。
脱気したプロピオニトリル(0.25M、440mL)中上記の臭化物(50.0g、110.13mmol)の溶液に、Pd(OAc)(1.24g、5.51mmol)、P(o−tol)(5.03g、16.52mmol)、DIPEA(42.2mL、242.29mmol)、およびエチル−4−ペンテノエート(20.4mL、143.17mmol)を添加した。反応フラスコに冷却器を取り付け、Arで覆い続け、予備加熱した浴(115℃)に3時間入れた。室温まで冷却した後、反応混合物をセライトでろ過し、ろ液を濃縮し、酢酸エチルと1N HClで分液した。層を分離し、有機部分を1N HClおよび塩水で順次洗浄し、乾燥(MgSO)し、ろ過し、茶色オイルになるまで濃縮した。
【0069】
粗残渣(およそ110mmol)をエタノールおよび水(0.2M、440mL、110mL)に持ち込み、2N NaOH(138mL)で処理した。反応混合物を、室温で15時間撹拌した。エタノールを除去し、水性部分(pH14)を500mLにまで希釈し、ジエチルエーテル100mLずつで4回抽出した。撹拌しながら、HCl水溶液を添加して、pHを5に調整し、溶液から生成物をガムとして生成させた。CHClを添加し、2相混合物を2日間よく撹拌すると、白色固体懸濁液の形成が生じた。ろ過によって、固体を純両性イオン(2工程で37.5g、72%)として単離する。
【0070】
両性イオン生成物のアセトニトリル懸濁液に、ジエチルエーテル中2M HClを添加した。材料は直ちに溶液になり、次いで白色結晶固体として沈殿して、表題化合物がHCl塩として得られた。
H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ 8.9 (br m, 1H); 8.55 (br m, 1H); 7.18 (m, 2H); 7.07 (m, 5H); 6.38 (s, 1H); 5.99 (br s, 1H); 4.25 (m, 1H); 4.15 (m, 2H); 3.36 (m, 2H); 3.19 (m, 1H); 3.08 (dd, J = 13.3, 7.05 Hz, 2H); 2.95 (m, 1H); 2.55 (m, 3H); 2.40 (s, 2H); 1.95 (d, J = 5.3 Hz, 2H); 1.39 (s, 6H).
LCMS (m/z) M+H = 474.6.
【0071】
実施例2d
【化7】


5−{3,4−ジフルオロ−5−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(2−インダン−2−イル−1,1−ジメチル−エチルアミノ)−プロポキシ]−フェニル}−ペンタノン酸
酢酸(300mL)および酢酸エチル(150mL)中上記のペンテン酸(19.8g、41.82mmol)溶液に、5% Pd/CaCO(4.0g)を添加した。反応フラスコをHでパージし、Hの風船をつけて15時間封止した。混合物をセライトでろ過し、ろ液を体積50mLまで濃縮した。トルエン(100mL)およびジエチルエーテル(10mL)中2M HClを添加し、溶液をフォームになるまで濃縮した。この手順を3回繰り返した。材料をアセトニトリルに懸濁し、ジエチルエーテル中2M HClで処理した。この溶液を濃縮乾固し、純HCl塩をフォームとして生じた。
H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ 8.75 (m, 1H); 8.50 (m, 1H); 7.19 (m, 2H); 7.10 (m, 2H); 6.90 (m, 2H); 5.95 (d, J = 4.3 Hz, 1H); 4.22 (m, 1H); 4.15 (m, 2H); 3.4 (m, 2H); 3.20 (m, 1H); 3.10 (dd, J = 13.8, 7.2 Hz, 2H); 2.98 (m, 1H); 2.60 (m, 3H); 2.24 (t, J = 7.2 Hz, 2H); 1.95 (d, J = 5.7 Hz, 2H); 1.56 (m, 2H); 1.51 (m, 2H),1.38 (s, 6H).
LCMS (m/z) M+H = 476.
【0072】
実施例2e
【化8】


(R)−13,14−ジフルオロ−4−[(2−インダン−2−イル−1,1−ジメチル−エチルアミノ)−メチル]−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−6−オン
撹拌した2.2mLの乾燥ジクロロメタン中0.11g(0.217mmol)のヒドロキシ酸(塩酸塩)の溶液に、0.034mL(0.217mmol)の2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリドおよび0.033mL(0.239mmol)のトリエチルアミンを順次添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、溶液を乾燥ジクロロメタンで全量7.0mLになるまで希釈し、シリンジポンプを使用して、110mLの無水トルエン中4−ジメチルアミノピリジン(1.856g、15.19mmol)還流溶液に7時間かけて徐々に添加した。終了後、反応を周囲温度まで冷却し、終夜撹拌した。得られた溶液を酢酸エチル(200mL)で希釈し、5% HCl(100mL)、飽和CuSO(3x100mL)、および塩水(100mL)で連続して洗浄した。有機層を乾燥(NaSO)し、濃縮し、HPLC(YMC 75x30mm、5ミクロン、C18カラム;0.1%TFA含有40〜95%CHCN/HO、10分グラジエント;生成物保持時間:5.0分)で精製して、生成物をTFA塩として15%(0.015g)得た。
【0073】
ラクトンのTFA塩を、乾燥アセトニトリルに懸濁し、エーテル中2.0M HClで処理した。反応混合物を15分間撹拌し、濃縮した。この手順をさらに2回繰返して、ラクトンの塩酸塩を得た。
H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ 9.33 (m, 1H); 8.32 (m, 1H); 7.09−7.18 (m, 4H); 6.99 (d, J = 6.8 Hz, 1H); 6.88 (m, 1H); 5.18 (d, J = 8.8 Hz, 1H); 5.11 (d, J = 14.0 Hz, 1H); 4.42 (d, J = 14.0 Hz, 1H); 2.97−3.10 (m, 2H); 2.77 (m, 1H); 2.59 (m, 3H); 2.19 (m, 1H); 1.93 (d, m, 3H); 1.73 (m, 3H); 1.52−1.58 (m, 2H); 1.39 (s, 3H); 1.36 (s, 3H).
MS(m/z): 458 (M+H)
【0074】
特許および特許出願に限定されないが、これらを含めて、この明細書に引用されている刊行物はすべて、それぞれ個別の刊行物が、具体的かつ個別に示されて、あたかも完全に記述されているかのように本明細書に参照により組み込まれるように、出典明示により本明細書の一部とする。
【0075】
上記の説明は、その好ましい実施形態を含めて本発明を完全に開示している。具体的に本明細書に開示されている実施形態の修正形態および改善形態は、下記の特許請求の範囲内である。これ以上細かく説明することなく、当業者は、先の説明を使用して、本発明を十二分に利用できると考えられる。したがって、本明細書の実施例は、単に例示するものでしかなく、いかなる解釈によっても本発明の範囲を限定するものではないと解釈されるべきである。排他的所有権または特権がクレームされている本発明の実施形態は、添付した特許請求の範囲に従って定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I):
【化1】

(I)
[式中、
R1は、CNまたはハロゲンであり;
R2は、ハロゲンまたはHであり;
R3は、置換されていてもよいC3〜7アルキルまたはC3〜7アルケニルであり;
R4は、非置換の、またはOH、ハロゲン、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、CF、OCF、CN、およびNOからなる群から選択される置換基で置換されていてもよいアリール、縮合アリール、ジヒドロ、テトラヒドロ縮合アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
(R)−4−[(2−インダン−2−イル−1,1−ジメチル−エチルアミノ)−メチル]−6−オキソ−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−14−カルボニトリル;
(R)−13,14−ジフルオロ−4−[(2−インダン−2−イル−1,1−ジメチル−エチルアミノ)−メチル]−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−6−オン;
(R)−4−{[2−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−1,1−ジメチル−エチルアミノ]−メチル}−13,14−ジフルオロ−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−6−オン;
(R)−4−{[2−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−1,1−ジメチル−エチルアミノ]−メチル}−6−オキソ−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−14−カルボニトリル;
(R)−14−ブロモ−4−[(2−インダン−2−イル−1,1−ジメチル−エチルアミノ)−メチル]−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−6−オン;および
(R)−14−ブロモ−4−{[2−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−1,1−ジメチル−エチルアミノ]−メチル}−2,5−ジオキサ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエン−6−オンからなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
カルシウム受容体の拮抗方法であって、それを必要とする対象に、有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を含む方法。
【請求項4】
骨またはミネラル恒常性異常を特徴とする疾患または障害の治療方法であって、その治療を必要とする対象に、有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を含む方法。
【請求項5】
骨またはミネラル疾患または障害が、骨肉腫、歯周病、骨折治癒、変形性関節症、関節置換、関節リウマチ、パジェット病、液性高カルシウム血症、悪性腫瘍、および骨粗鬆症からなる群から選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
骨またはミネラル疾患または障害が骨粗鬆症である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
化合物が再吸収抑制剤と共に同時投与される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
再吸収抑制剤が、エストロゲン、1,25(OH)ビタミンD3、カルシトニン、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、ビトロネクチン受容体拮抗剤、V−H+−ATP分解酵素阻害剤、src SH2拮抗剤、ビスホスホネートおよびカテプシンK阻害剤からなる群から選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
血清副甲状腺レベルの上昇方法であって、治療を必要とする対象に、有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を含む方法。
【請求項10】
化合物が再吸収抑制剤と共に同時投与される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
再吸収抑制剤が、エストロゲン、1,25(OH)ビタミンD3、カルシトニン、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、ビトロネクチン受容体拮抗剤、V−H+−ATP分解酵素阻害剤、src SH2拮抗剤、ビスホスホネートおよびカテプシンK阻害剤からなる群から選択される、請求項10記載の方法。

【公表番号】特表2007−506751(P2007−506751A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528144(P2006−528144)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/031120
【国際公開番号】WO2005/030749
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】