説明

カルボン酸アミド誘導体及びその製造方法、並びに洗浄剤組成物

アミドエステルの含有量の少ないカルボン酸アミド誘導体及びその製造方法、並びに該カルボン酸アミド誘導体を含み、低温安定性に優れた洗浄剤組成物の提供。脂肪酸エステルに対し、ジアミンを1.20〜1.60のモル比で反応させてカルボン酸アミドを合成するカルボン酸アミド合成工程を含み、アミドエステルを0.02〜0.18質量%含有するカルボン酸アミドの製造方法により製造されたカルボン酸アミドと、過酸化水素とを反応させるカルボン酸アミド誘導体の製造方法。前記カルボン酸アミドとモノハロアルキルカルボン酸及びその塩のいずれかとを反応させるカルボン酸アミド誘導体の製造方法。該カルボン酸アミド誘導体の製造方法により製造されるカルボン酸アミド誘導体。該カルボン酸アミド誘導体を含む洗浄剤組成物。カルボン酸アミド誘導体がアミドアミンオキシド、アミドベタインである態様等が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミドエステルの含有量の少ないカルボン酸アミド誘導体及びその効率的な製造方法、並びに該製造方法により製造されたカルボン酸アミド誘導体を含み、低温安定性に優れた洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボン酸アミドは、リンスやコンディショナー等に用いられると共に、アミドベタインやアミドアミンオキシド等のカルボン酸アミド誘導体の中間体として使用される。特に、カルボン酸アミド誘導体は皮膚に対する刺激が低く、また生分解性が良好であること等の理由により、ヘアーシャンプーや台所用洗剤等の洗浄剤、香粧品、化粧品などの用途に幅広く用いられている。
通常、カルボン酸アミドは、脂肪酸又はそのエステルとジアミンとを、反応温度80〜200℃、常圧若しくは減圧下で縮合させることにより製造することができる。また、カルボン酸アミドを過酸化水素で酸化させることにより、カルボン酸アミド誘導体としてのアミドアミンオキシドが得られることが知られており、カルボン酸アミドをモノハロアルキルカルボン酸又はその塩でベタイン化させることにより、カルボン酸アミド誘導体としてのアミドベタインが得られることが知られている。
例えば、高純度のカルボン酸アミドを製造するためには、脂肪酸又はそのエステルに対しジアミンが、0.83〜1.25倍モル使用されるのが好ましいとされ、1.0〜1.2倍モル使用されるのがより好ましいとされている(特許文献1参照)。また、アミドアミンオキシドを製造する際に、有機ホスホン酸を添加することにより、色相及び香りについて、50℃の高温における保存安定性に優れたアミドアミンオキシド含有組成物を得ることができることが知られている(特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、脂肪酸エステルを用いて、脂肪酸エステルに対するジアミン量が1.20倍モル以下で反応させて得られたカルボン酸アミドと、過酸化水素とを反応させて得られるアミドアミンオキシド、及び、前記カルボン酸アミドとモノハロアルキルカルボン酸又はその塩とを反応させて得られるアミドベタインを低温保存すると、低温保存時にオリの析出が見られ、アミドアミンオキシド及びアミドベタインの商品価値を低下させると共に、これらを用いた洗浄剤組成物等の低温安定性を劣化させるという問題が生じる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−349542号公報(段落番号[0017])
【特許文献2】特開平11−152260号公報(段落番号[0022],[0023])
【発明の開示】
【0005】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、アミドエステルの含有量が少ないカルボン酸アミド誘導体及びその効率的な製造方法、並びに該製造方法により製造されたカルボン酸アミド誘導体を含み、低温安定性に優れた洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【0006】
本発明者らは、前記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、カルボン酸アミド誘導体の低温安定性の劣化は、カルボン酸アミドに副生物として含まれるアミドエステルに起因することを知見した。また、脂肪酸エステルとジアミンとを反応させてカルボン酸アミドを製造する際、脂肪酸エステルに対するジアミンのモル比を大きくすることにより、アミドエステルの副生を抑制することができ、低温安定性に優れたカルボン酸アミド誘導体を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式(1)で表される脂肪酸エステルに対し、下記一般式(2)で表されるジアミンを1.20〜1.60のモル比で反応させてカルボン酸アミドを合成するカルボン酸アミド合成工程を含み、下記一般式(3)で表されるアミドエステルを0.02〜0.18質量%含有することを特徴とするカルボン酸アミドの製造方法である。
【化1】

但し、前記一般式(1)中、Rは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示し、Rは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。
【化2】

但し、前記一般式(2)中、R及びRは、同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは2〜4の整数を示す。
【化3】

但し、前記一般式(3)中、R及びRは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。nは2〜4の整数を示す。
<2> 前記<1>に記載のカルボン酸アミドの製造方法により製造されるカルボン酸アミドと、過酸化水素とを反応させて下記一般式(4)で表されるカルボン酸アミドの誘導体を製造することを特徴とするカルボン酸アミド誘導体の製造方法である。
【化4】

但し、前記一般式(4)中、Rは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。R及びRは同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは2〜4の整数を示す。
<3> 前記<1>に記載のカルボン酸アミドの製造方法により製造されるカルボン酸アミドと、下記一般式(5)で表されるモノハロアルキルカルボン酸及びその塩のいずれかとを反応させて、下記一般式(6)で表されるカルボン酸アミドの誘導体を製造することを特徴とするカルボン酸アミド誘導体の製造方法である。
【化5】

但し、前記一般式(5)中、Yはハロゲン原子を示し、Rは炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、Zは水素原子及びアルカリ金属原子のいずれかを示す。
【化6】

但し、前記一般式(6)中、Rは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。R及びRは同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは2〜4の整数を示す。
<4> 下記一般式(3)で表されるアミドエステルの含有量が0.05質量%以下である前記<2>から<3>のいずれかに記載のカルボン酸アミド誘導体の製造方法である。
【化7】

但し、前記一般式(3)中、R及びRは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。nは2〜4の整数を示す。
<5> 前記<2>から<4>のいずれかに記載のカルボン酸アミド誘導体の製造方法により製造されることを特徴とするカルボン酸アミド誘導体である。
<6> アミドアミンオキシドである前記<5>に記載のカルボン酸アミド誘導体である。
<7> アミドベタインである前記<5>に記載のカルボン酸アミド誘導体である。
<8> 前記<5>から<7>のいずれかに記載のカルボン酸アミド誘導体を含むことを特徴とする洗浄剤組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(カルボン酸アミドの製造方法)
本発明のカルボン酸アミドの製造方法は、カルボン酸アミド合成工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【0009】
<カルボン酸アミド合成工程>
前記カルボン酸アミド合成工程は、脂肪酸エステルとジアミンとを反応させてカルボン酸アミドを合成する工程である。
【0010】
−脂肪酸エステル−
前記脂肪酸エステルとしては、下記一般式(1)で表される脂肪酸エステルが挙げられる。
【0011】
【化8】

但し、前記一般式(1)中、Rは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示し、Rは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。
【0012】
前記脂肪酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物油又は動物油脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、グリセライド、これらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、Rが炭素数1〜4のアルキル基である高級脂肪酸又はその低級アルキルエステルが好ましく、Rが炭素数9〜21の直鎖アルキル基であって、R2がメチル基であるのが特に好ましい。
前記植物油又は動物油脂肪酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸、牛脂脂肪酸、ババス油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、鯨油脂肪酸、パーム油脂肪酸、等が挙げられる。
【0013】
−ジアミン−
前記ジアミンとしては、下記一般式(2)で表されるジアミンが挙げられる。
【0014】
【化9】

但し、前記一般式(2)中、R及びRは、同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは2〜4の整数を示す。
【0015】
前記ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、等が挙げられる。これらの中でも、ジメルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミンが好適に使用可能である。
【0016】
前記カルボン酸アミド合成工程における反応温度としては、80〜220℃が好ましく、100〜200℃がより好ましく、160〜200℃が更に好ましい。また、反応時間としては、3〜20時間が好ましく、5〜10時間がより好ましい。
【0017】
前記カルボン酸アミド合成工程における、前記脂肪酸エステルに対する前記ジアミンのモル比率としては、1.20〜1.60が好ましく、1.25〜1.40がより好ましい。
前記モル比率が1.60を超えると、反応中に前記ジアミンの還流が激しくなり、反応温度を160〜200℃に保持することができず、反応が遅くなることがある。また、有効成分濃度が低くなり、生産性が低下することがある。前記モル比率が1.20未満であると、反応中に副生するアミドエステル量が多くなり、後述するカルボン酸アミド誘導体の低温安定性に悪影響を及ぼすことがある。
なお、前記カルボン酸アミドの生産性は、次式、生産性(g/(g・h)=固形分濃度(質量%)/転化率99.5%到達時間(h)、により求めることができる。
【0018】
前記ジアミンは、前記カルボン酸アミド合成工程において、反応初期から仕込んでいてもよいし、反応中に気相部から滴下する、あるいは反応液中に添加してもよい。また、反応中のジアミンの留出を抑制するため、前記エステルに対し、モル比が0.3〜1.0となるように前記ジアミンを仕込み、150〜170℃にて反応させた後、残りのジアミンを滴下し、170〜220℃に昇温し、未反応ジアミンが少なくなるまで熟成させてもよい。
【0019】
前記カルボン酸アミド合成工程は、減圧下、常圧下、及び加圧下のいずれで行ってもよい。
前記カルボン酸アミド合成工程は、例えば、ナトリウムメトキサイド等のアルカリ触媒の存在下で行ってもよい。該アルカリ触媒の存在下で行うことにより、反応温度の低下や反応時間の短縮を図ることができる。
【0020】
以上の工程により、前記脂肪酸エステルと前記ジアミンとが反応してカルボン酸アミドが製造される。
【0021】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、留去工程、回収工程等が好適に挙げられる。
【0022】
前記留去工程は、前記カルボン酸アミド合成工程において副生される低級アルコールを留去する工程である。
前記留去の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、前記カルボン酸アミド合成工程において、凝縮器を用いて、前記低級アルコールの沸点以上、かつ前記ジアミンの沸点以下の温度にコントロールする方法等が挙げられる。このとき、前記留去を促進させることができる点で、窒素ガス等の不活性ガスを吹き込むのが好ましい。
以上の工程により、前記低級アルコールが反応液中から留去される。
【0023】
前記回収工程は、前記カルボン酸アミド合成工程の終了後、未反応の前記ジアミンを留去し、回収する工程である。該回収工程により回収された前記ジアミンは、前記カルボン酸アミド合成工程において再利用することができる。
前記回収の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、減圧、窒素ブロー等を行う方法等が挙げられる。
以上の工程により、未反応の前記ジアミンが反応液中から回収される。
【0024】
前記その他の工程として、前記低級アルコールのみを留去し、未反応の前記ジアミンを還流させることにより、前記カルボン酸アミド合成工程において、前記カルボン酸アミドが効率的に製造される。
【0025】
(カルボン酸アミド)
本発明のカルボン酸アミドは、本発明の前記カルボン酸アミドの製造方法により製造される。前記カルボン酸アミドは、アミドエステルを副生物として含む。
【0026】
前記カルボン酸アミドの具体例としては、デカン酸ジメチルアミノプロピルアミド、デカン酸ジメチルアミノエチルアミド、デカン酸ジエチルアミノエチルアミド、デカン酸ジエチルアミノプロピルアミド、デカン酸ジブチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ラウリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ラウリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジブチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジブチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジブチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジブチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノエチルアミド、オレイン酸ジエチルアミノエチルアミド、オレイン酸ジエチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジブチルアミノプロピルアミド、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノプロピルアミド、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノエチルアミド、ヤシ油脂肪酸ジエチルアミノエチルアミド、ヤシ油脂肪酸ジエチルアミノプロピルアミド、ヤシ油脂肪酸ジブチルアミノプロピルアミド、硬化牛脂ジメチルアミノプロピルアミド、硬化牛脂ジメチルアミノエチルアミド、硬化牛脂ジエチルアミノエチルアミド、硬化牛脂ジエチルアミノプロピルアミド、硬化牛脂ジブチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジブチルアミノプロピルアミド、イソステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、イソステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、イソステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、イソステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、イソステアリン酸ジブチルアミノプロピルアミド、等が挙げられる。
前記カルボン酸アミドは、室温下で固体として保存してもよいし、加温することにより液体として保存してもよい。その際、色調の劣化を抑制するため、窒素シールをするのが好ましい。
【0027】
前記アミドエステルとしては、下記一般式(3)で表されるアミドエステルが挙げられる。
【化10】

但し、一般式(3)中、R及びRは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。nは2〜4の整数を示す。
【0028】
前記アミドエステルの具体例としては、例えば、下記一般式(7)〜(13)で表されるアミドエステルが挙げられる。
【0029】
【化11】

【0030】
【化12】

【0031】
【化13】

【0032】
【化14】

【0033】
【化15】

【0034】
【化16】

【0035】
【化17】

【0036】
前記アミドエステルの前記カルボン酸アミドにおける含有量としては、0.02〜0.18質量%が好ましい。該含有量が多くなると、後述するカルボン酸アミド誘導体の低温安定性に悪影響を及ぼすことがある。
なお、前記脂肪酸エステルとして、前記脂肪酸エステルの混合物を用いた場合には、前記アミドエステルのアルキル鎖長が単一鎖ではなく、使用する前記脂肪酸エステルのアルキル鎖長の混合物となる。
【0037】
(カルボン酸アミド誘導体の製造方法)
本発明のカルボン酸アミド誘導体の製造方法は、前記カルボン酸アミドと過酸化水素とを反応させることにより行われる。
【0038】
前記カルボン酸アミドと過酸化水素との反応の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができる。
前記過酸化水素は、溶媒に溶解させて溶液として用いるのが好ましく、該溶液は水溶液であるのがより好ましい。
前記溶媒としては、例えば、水及びアルコール類の少なくともいずれかから選択される1種以上の溶媒が好適に挙げられる。
前記アルコール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノール、2−プロパノール、プロピレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、生成されるカルボン酸アミド誘導体の有効成分濃度を高くすることができる点で、2−プロパノール、エタノールが好適に使用可能である。
前記溶媒の使用量としては、反応生成物を攪拌混合するのに十分な量であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、反応生成物中の前記カルボン酸アミド誘導体の有効成分濃度は10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましいため、該有効成分濃度を満たす量を使用するのが好ましい。前記使用量が少なすぎると反応生成物の混合状態が悪くなり、ゲル化することがある。前記使用量が多すぎると反応生成物中の前記カルボン酸アミド誘導体の濃度が小さくなり、生産性が低下することがある。
【0039】
前記カルボン酸アミドに対する前記過酸化水素のモル比としては、0.9〜1.4が好ましく、1.0〜1.3がより好ましく、1.02〜1.10が更に好ましい。前記過酸化水素のモル比が小さいと反応時間が長くなると共に、前記カルボン酸アミドが多くなり、前記過酸化水素のモル比が大きいと反応後の残存過酸化水素量が多くなり、副反応が生じやすくなることがあるため好ましくない。
前記過酸化水素溶液中の過酸化水素濃度としては、5〜60質量%が好ましく、8〜45質量%がより好ましい。該過酸化水素濃度が高すぎると前記過酸化水素の自己分解が生じたり、局部的な反応が生じる一方、前記過酸化水素濃度が低すぎると溶媒に対する前記カルボン酸アミドの濃度が高くなり、反応組成物の液性が悪くなる他、生産性が低下することがある。なお、過酸化水素溶液の仕込み量としては、前記モル比を満たす量が好ましい。また、反応途中において、前記カルボン酸アミド及び前記過酸化水素溶液は、追加してもよい。
【0040】
前記過酸化水素の添加後、前記カルボン酸アミドの転化率を高めるためには、攪拌状態を保つのが好ましい。
前記過酸化水素の添加及び攪拌の際の保持温度としては、反応物が攪拌混合できる温度以上、かつ生成される前記カルボン酸アミド誘導体の分解濃度以下であるのが好ましい。このような温度としては、例えば、50〜100℃が好ましく、80〜90℃がより好ましい。また、保持時間としては、例えば、30分〜24時間が好ましく、1〜8時間がより好ましい。
なお、前記カルボン酸アミドと前記過酸化水素との反応は、加圧下で行ってもよいし、常圧下で行ってもよい。
また、反応終了後、反応生成物中に未反応の前記過酸化水素を多く含む場合には、必要に応じて、例えば、前記カルボン酸アミドを添加するほか、公知の方法の中から適宜選択して、更に分解反応を行わせることができる。該分解反応の方法としては、例えば、水酸化ナトリウムを添加する方法が挙げられる。
【0041】
また、本発明のカルボン酸アミド誘導体の製造方法は、前記カルボン酸アミドと、下記一般式(5)で表されるモノハロアルキルカルボン酸及びその塩のいずれかとを反応させることにより行われてもよい。
【0042】
【化18】

但し、前記一般式(5)中、Yはハロゲン原子を示し、Rは炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、Zは水素原子及びアルカリ金属原子のいずれかを示す。
【0043】
前記カルボン酸アミドと、モノハロアルキルカルボン酸及びその塩のいずれかとの反応の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、前記カルボン酸アミドと、前記モノハロアルキルカルボン酸及びその塩のいずれかと、水とを混合して反応させる方法が挙げられる。このとき、水酸化ナトリウム等のアルカリを用い、pHを8〜13の範囲に保って反応させるのが好ましく、反応温度としては50〜100℃の範囲に設定するのが好ましい。また、前記反応は加圧下で行ってもよいし、常圧下で行ってもよい。
【0044】
前記モノハロアルキルカルボン酸及びその塩は、溶媒に溶解させて溶液として用いるのが好ましく、該溶液は水溶液であるのがより好ましい。
前記溶媒としては、例えば、水及びアルコール類の少なくともいずれかから選択される1種以上の溶媒が好適に挙げられる。
前記アルコール類としては特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、エタノール、2−プロパノール、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0045】
前記モノハロアルキルカルボン酸及びその塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノクロロ酢酸、モノブロモ酢酸、モノクロロプロピオン酸、モノブロモプロピオン酸、及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。これらの中でも、モノクロロ酢酸及びその塩が特に好ましい。
前記カルボン酸アミドに対する前記モノハロアルキルカルボン酸又はその塩のモル比としては、1〜1.3が好ましく、1〜1.15がより好ましい。
【0046】
(カルボン酸アミド誘導体)
本発明のカルボン酸アミド誘導体は、本発明の前記カルボン酸アミド誘導体の製造方法により製造される。
【0047】
前記カルボン酸アミド誘導体としては、例えば、前記カルボン酸アミドと前記過酸化水素とを反応させることにより製造され、下記一般式(4)で表されるアミドアミンオキシド、前記カルボン酸アミドと前記モノハロアルキルカルボン酸及びその塩のいずれかとを反応させることにより製造され、下記一般式(6)で表されるアミドベタイン、が好適に挙げられる。
【0048】
【化19】

但し、前記一般式(4)中、Rは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。R及びRは同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは2〜4の整数を示す。
【0049】
【化20】

但し、前記一般式(6)中、Rは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。R及びRは同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは2〜4の整数を示す。
【0050】
前記カルボン酸アミド誘導体としては、前記アミドアミンオキシド、前記アミドベタインのほか、例えば、アミド4級塩、アミドカルボン酸塩、等が挙げられる。
前記カルボン酸アミド誘導体は前記一般式(3)で表されるアミドエステルを副生物として含み、該アミドエステルの前記カルボン酸アミド誘導体における含有量は、少ないほど好ましく、具体的には0.05質量%以下が好ましい。
前記含有量が0.05質量%を超えると、前記アミドエステルが可溶化することができず、前記カルボン酸アミド誘導体を含む溶液中に析出し、オリとなって白濁することがある。該アミドエステルの析出は、鎖長にもよるが、例えば、ラウリン酸アミドプロピルラウリルエステルの場合、30℃以上に加熱しなければ溶解せず、特に、冬季においては、加熱保管しない限り、保存時に析出して白濁するという問題が生じる。前記含有量が0.05質量%以下であると、低温、例えば0℃での保存時でも析出の見られない低温安定性に優れた前記カルボン酸アミド誘導体を得ることができる。
【0051】
本発明のカルボン酸アミドの製造方法により製造されたカルボン酸アミドを用いて、本発明のカルボン酸アミド誘導体の製造方法により製造されるカルボン酸アミド誘導体は、前記アミドエステルの含有量が少なく、低温安定性に優れるため、以下の本発明の洗浄剤組成物に特に好適に使用可能である。
【0052】
(洗浄剤組成物)
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の前記カルボン酸アミド誘導体の製造方法により製造された前記カルボン酸アミド誘導体を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0053】
前記洗浄剤組成物に含まれる前記カルボン酸アミド誘導体としては、例えば、本発明の前記アミドアミンオキシド及び前記アミドベタインが好適に挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、洗浄剤組成物に従来より使用されている公知の成分の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0054】
前記アニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、石鹸、アミドエーテルカルボン酸塩、スルホコハク酸塩、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アシルザルコシン塩、N−メチル−β−アラニン塩、アシルメチルタウリン塩等が挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(12)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(15)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(15)ミリスチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ミリスチルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ラウリルエーテル)、アルキルポリグリコシド、アルカノールアミド(カプリン酸モノエタノールアミド、カプリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、椰子脂肪酸モノエタノールアミド、椰子脂肪酸ジエタノールアミド等)、ポリオキシエチレンモノエタノールアミド(ポリオキシエチレン(2)ラウリン酸モノエタノールアミド等)、N−メチルグルカミドエステル、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルアミドベタイン、アルキル酢酸ベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミノプロピオン酸、等が挙げられる。更にその他の成分として、高重合シリコーン化合物、クエン酸、リンゴ酸、乳酸等の有機酸又はその塩、グルタミン酸、グリシン、アラニン等のアミノ酸、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、両性ポリマー、ノニオン性ポリマー、殺菌剤、高級アルコール、炭化水素、天然油脂、エステル油、酸化防止剤、金属封鎖剤、着色料、香料、溶剤(例えばエタノール、カルビトール誘導体等)、多価アルコール、脂肪酸などが挙げられる。これらその他の成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0055】
本発明の洗浄剤組成物は、前記アミドエステルの含有量の少ない本発明の前記カルボン酸アミド誘導体を含むため、低温安定性が良好で、洗浄力、起泡力にも優れる。このため、あらゆる態様の洗浄剤に好適に使用可能であり、特に、ヘアーシャンプー、ボディシャンプー、洗顔剤、毛髪処理剤、台所用洗浄剤、各種住居用洗浄剤等に好適に使用することができる。
【0056】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
<カルボン酸アミドの製造>
−カルボン酸アミド合成工程−
脂肪酸エステルとして、ラウリン酸メチルエステル(ライオンオレオケミカル製、「パステルM12」、分子量214)352gを、攪拌器と温度計と還流式冷却管とを備えた1リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素置換(減圧6.7kPaから常圧、窒素戻し)を2回行った。次いで、180℃に昇温し、ジアミンとして、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(以下、「DMAPA」という。東京化成製、分子量102)202g(ラウリン酸メチルエステルに対するモル比1.20)を、190〜200℃にて4時間かけて滴下した。その後190〜200℃にて5時間かけて熟成し、カルボン酸アミドを得た。該カルボン酸アミドはラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミドであった。
【0058】
−留去工程及び回収工程−
前記還流式冷却管に80℃の温水を流し、前記カルボン酸アミド合成工程において副生されるメタノールを留去した。また、未反応のDMAPAを分縮して回収し、反応器に戻した。
【0059】
−−脂肪酸エステルのカルボン酸アミドへの転化率の測定−−
以下のGC条件に基づいてGC分析により、未反応のラウリン酸メチルエステル量を測定し、ラウリン酸メチルエステルのカルボン酸アミドへの転化率を算出した。転化率99.5%到達時間は6.2時間であった。
〔GC条件〕
GC装置はHP5860を用い、カラムはDB17(J&W社製、0.25mm径×30m、膜厚0.25μm)を用いた。カラム温度は60℃を開始温度として、280℃になるまで5℃/分で昇温した。その後、280℃で40分間保持した。注入温度は280℃、検出器温度は280℃、キャリアーガスはヘリウム、スピリット比は1:10、検出器はFID、サンプル濃度は2質量%(2−プロパノール)、注入量は1μLである。
【0060】
−−固形分濃度の測定−−
以下の固形分分析条件に基づいて、反応混合物の固形分濃度を測定した。固形分濃度は93.5質量%であった。
〔固形分分析条件〕
装置はPD600(KETT ELECTRIC LABORATORY製)を用い、105℃、60分で分析した。サンプル量は2gである。また、固形分の量は固形分(質量%)=100−揮発分(質量%)で算出した。
【0061】
−−アミドエステル量の測定−−
反応混合物を190℃で2.0kPaに減圧し、1時間トッピングを行い、未反応のDMAPAを留去した。次いで、90℃まで冷却し、反応混合物を取り出した。この反応混合物中のアミドエステル量を以下のGC−MS分析条件に基づいてGC−MS分析により算出した。なお、アミドエステルはGCのクロマトグラム上で、ラウリン酸メチルのピーク(18.2分)及びC12カルボン酸アミドのピーク(35.1分)の後に出現(54.3分)する。アミドエステル(C1123CONH(CHOCOC1123、分子量439)量は0.18質量%(GC面積%)であった。
〔GC−MS分析条件〕
GC装置はHP−6890/5972を用い、カラムはDB−17(J&W社製、0.25mm径×30m)、膜厚0.25μm)を用いた。カラム温度は60℃を開始温度として、280℃になるまで5℃/分で昇温した。その後、280℃で40分間保持した。注入温度は280℃、検出器温度は280℃、キャリアーガスとしては、ヘリウムを1.0mL/分で注入した。イオン化の方法はEI法を採用し、イオン電圧は70eVを印加した。スピリット比は1:10、サンプル濃度は2質量%(2−プロパノール)、注入量は1μLである。
【0062】
(実施例2)
−カルボン酸アミドの製造−
実施例1において、ラウリン酸メチルエステルを340g、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(DMAPA)を211g(ラウリン酸メチルエステルに対するモル比1.30)用いた以外は、実施例1と同様な方法により、カルボン酸アミドを製造した。該カルボン酸アミドはラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミドであった。
【0063】
ラウリン酸メチルエステルに、DMAPAを190〜195℃で4時間かけて滴下後、190〜195℃で3時間熟成を行った。経時で未反応メチルエステル量を測定し、転化率99.5%到達時間を求めると、6.1時間であった。反応混合物の固形分濃度は、90.5質量%であった。その後、実施例1と同様に減圧し、トッピングを行い、反応生成物を得た。反応生成物のアミドエステル量をGCで分析した結果、0.05質量%であった。
【0064】
(実施例3)
−カルボン酸アミドの製造−
実施例1において、ラウリン酸メチルエステルを237g、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(DMAPA)を310g(ラウリン酸メチルエステルに対するモル比1.60)用いた以外は、実施例1と同様な方法により、カルボン酸アミドを製造した。該カルボン酸アミドはラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミドであった。
【0065】
ラウリン酸メチルエステルに、DMAPAを190〜195℃で4時間かけて滴下した。なお、DMAPAを滴下し、未反応のDMAPAの還流量が多くなると、DMAPAの蒸発潜熱で熱が奪われるため、170℃以上に加熱することができなかった。次いで、170℃で2時間熟成を行った。経時で未反応のラウリン酸メチルエステル量を測定し、転化率99.5%到達時間を求めると、5.3時間であった。反応混合物の固形分濃度は、82.4質量%であった。その後、実施例1と同様に減圧し、トッピングを行い、反応生成物を得た。反応生成物のアミドエステル量をGCで分析した結果、0.02質量%であった。
【0066】
(実施例4)
−カルボン酸アミドの製造−
実施例1において、脂肪酸エステルとしてカプリン酸メチルエステルを222g、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(DMAPA)を337g(カプリン酸メチルエステルに対するモル比1.20)用いた以外は、実施例1と同様な方法により、カルボン酸アミドを製造した。該カルボン酸アミドはカプリン酸ジメチルアミノプロピルアミドであった。
【0067】
カプリン酸メチルエステルに、DMAPAを190〜200℃で4時間かけて滴下後、4時間熟成を行った。経時で未反応メチルエステル量を測定し、転化率99.5%到達時間を求めると、6.2時間であった。反応混合物の固形分濃度は、92.8質量%であった。その後、実施例1と同様に減圧し、トッピングを行い、反応生成物を得た。反応生成物のアミドエステル量をGCで分析した結果、0.15質量%であった。
【0068】
(比較例1)
−カルボン酸アミドの製造−
実施例1において、ラウリン酸メチルエステルを364g、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(DMAPA)を191g(ラウリン酸メチルエステルに対するモル比1.10)用いた以外は、実施例1と同様な方法により、カルボン酸アミドを製造した。該カルボン酸アミドはラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミドであった。
【0069】
ラウリン酸メチルエステルに、DMAPAを190〜200℃で4時間かけて滴下後、4時間熟成を行った。経時で未反応メチルエステル量を測定し、転化率99.5%到達時間を求めると、7.8時間であった。反応混合物の固形分濃度は、96.7質量%であった。その後、実施例1と同様に減圧し、トッピングを行い、反応生成物を得た。反応生成物のアミドエステル量をGCで分析した結果、0.4質量%であった。
【0070】
(比較例2)
−カルボン酸アミドの製造−
実施例1において、ラウリン酸メチルエステルを293g、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(DMAPA)を238g(ラウリン酸メチルエステルに対するモル比1.70)用いた以外は、実施例1と同様な方法により、カルボン酸アミドを製造した。該カルボン酸アミドはラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミドであった。
【0071】
ラウリン酸メチルエステルに、DMAPAを4時間かけて滴下中、未反応のDMAPA量が多くなると共に、DMAPAの還流量が多くなり、蒸発潜熱で熱が奪われるために、滴下終了時では160℃以上には加熱することができなかった。160℃で熟成しながら、経時で未反応メチルエステル量を測定し、転化率99.5%到達時間を求めると、6.2時間であった。反応混合物の固形分濃度は、80.1質量%であった。その後、実施例1と同様に減圧し、トッピングを行い、反応生成物を得た。反応生成物のアミドエステル量をGCで分析した結果、0.02質量%であった。
【0072】
実施例1〜4及び比較例1〜2の各測定結果を表1に示す。
また、実施例1〜4及び比較例1〜2について、カルボン酸アミドの生産性を、次式、生産性(g/(g・h)=固形分濃度(質量%)/転化率99.5%到達時間(h)、に基づいて算出した。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】

なお、表1において、DMAPAはN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンである。
【0074】
表1の結果より、脂肪酸エステルに対するジアミンのモル比が大きくなるにつれて、副生されるアミドエステルが減少することが認められ、脂肪酸エステルに対するジアミンのモル比を1.20〜1.60で反応させると、アミドエステル含有量の少ない、即ち、アミドエステル含有量が0.02〜0.18質量%であるカルボン酸アミドを製造することができることが判った。また、実施例1〜4では、比較例1〜2と比較して生産性が高く、カルボン酸アミドが効率よく得られることが判った。
なお、比較例2において、脂肪酸エステルに対するジアミンのモル比が1.70である場合にも、アミドエステル含有量が0.02質量%であることが認められるが、カルボン酸アミド合成工程において、未反応DMAPA量が多くなると共に、DMAPAの還流量が多くなり、生産性が著しく劣るため、前記モル比の好適な範囲は、1.20〜1.60であることが判った。
【0075】
(実施例5)
−カルボン酸アミド誘導体の製造−
カルボン酸アミドとして、実施例1で製造したラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド(アミン価から算出した分子量285、アミドエステル量0.18質量%)200g及び精製水345gを、有効成分が30質量%になるように、攪拌器と温度計と還流式冷却管とを備えた1リットルの四ツ口フラスコに仕込んだ。次いで、これを攪拌しながら、45質量%の過酸化水素の製品を精製水希釈し、15.6質量%に調製した過酸化水素(対アミン1.05モル比)200gを75℃で2時間かけて滴下した。滴下終了後、85℃にて5時間熟成し、カルボン酸アミド誘導体としてのアミドアミンオキシドを含む反応生成物を得た。
【0076】
得られた反応生成物中の未反応のラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド量を、以下のHPLC分析条件に基づいて、HPLCにより測定した。未反応のカルボン酸アミド量は0.15質量%であった。
〔HPLC分析条件〕
検出器は、示差屈折計(RI)検出計及びUV検出計を用い、カラムはCapcell Pak SCX UG80(資生堂製、4.6mm径×150mm、膜厚5μm)を用いた。移動相は0.2質量%NaClO及び0.2質量%ClCHCOOHを含むMeOH/水が8/2溶液、カラム温度は40℃、流速は0.75ml/min、注入量は10μである。
【0077】
また、有効成分濃度(アミドアミンオキシドの反応生成物における濃度)を、N/5塩酸-2−プロパノール溶液を用いた電位差滴定にて分析した結果、30.2質量%であった。更に、実施例1と同様な方法によりGC分析を行い、アミドアミンオキシド30質量%水溶液中のアミドエステル量を測定した結果、0.05質量%であった。
【0078】
(実施例6)
−カルボン酸アミド誘導体の製造−
実施例5において、カルボン酸アミドとして、実施例3で製造したラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド(アミン価から算出した分子量285、アミドエステル量0.02質量%)200gを用い、精製水を300g、24.3質量%の過酸化水素水を103g使用した以外は、実施例5と同様な方法により反応を行い、カルボン酸アミド誘導体としてのアミドアミンオキシドを含む反応生成物を得た。
【0079】
得られた反応生成物中の未反応のラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド濃度は0.24質量%であった。また、有効成分濃度(アミドアミンオキシドの反応生成物における濃度)は35.3質量%であった。更に、実施例1と同様な方法によりGC分析を行い、アミドアミンオキシド35質量%水溶液中のアミドエステル量を測定した結果、0.006質量%であった。
【0080】
(実施例7)
−カルボン酸アミド誘導体の製造−
実施例5において、カルボン酸アミドとして、実施例4で製造したカプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド(アミン価から算出した分子量256、アミドエステル量0.15質量%)200gを用い、精製水を146g、24.3質量%の過酸化水素水を103g使用した以外は、実施例5と同様な方法により反応を行い、カルボン酸アミド誘導体としてのアミドアミンオキシドを含む反応生成物を得た。
【0081】
得られた反応生成物中の未反応のカプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド濃度は0.26質量%であった。また、有効成分濃度(アミドアミンオキシドの反応生成物における濃度)は39.8質量%であった。更に、実施例1と同様な方法によりGC分析を行い、アミドアミンオキシド40質量%水溶液中のアミドエステル量を測定した結果、0.04質量%であった。
【0082】
(比較例3)
−カルボン酸アミド誘導体の製造−
実施例5において、カルボン酸アミドとして、比較例1で製造したラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド(アミン価から算出した分子量285、アミドエステル量0.40質量%)200gを用い、精製水を345g、15.6質量%の過酸化水素水を200g使用した以外は、実施例5と同様な方法により反応を行い、カルボン酸アミド誘導体としてのアミドアミンオキシドを含む反応生成物を得た。
【0083】
得られた反応生成物中の未反応のラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド濃度は0.14質量%であった。また、有効成分濃度(アミドアミンオキシドの反応生成物における濃度)は30.1質量%であった。更に、実施例1と同様な方法によりGC分析を行い、アミドアミンオキシド40質量%水溶液中のアミドエステル量を測定した結果、0.11質量%であった。
【0084】
(比較例4)
−カルボン酸アミド誘導体の製造−
実施例5において、カルボン酸アミドとして、比較例1で製造したラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド100gを用い、精製水を504g、15.6質量%の過酸化水素水を100g使用した以外は、実施例5と同様な方法により反応を行い、カルボン酸アミド誘導体としてのアミドアミンオキシドを含む反応生成物を得た。
【0085】
得られた反応生成物中の未反応のラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド濃度は0.09質量%であった。また、有効成分濃度(アミドアミンオキシドの反応生成物における濃度)は15.1質量%であった。更に、実施例1と同様な方法によりGC分析を行い、アミドアミンオキシド15質量%水溶液中のアミドエステル量を測定した結果、0.06質量%であった。
【0086】
実施例5〜7及び比較例3〜4の各測定結果を表2に示す。
また、実施例5〜7及び比較例3〜4で製造したカルボン酸アミド誘導体としてのアミドアミンオキシドを、0℃で1週間保存し、保存後の低温安定性について評価した。低温安定性は、アミドアミンオキシド水溶液の外観を目視で観察し、その透明性を評価した。結果を表2に示す。
【0087】
【表2】

【0088】
表2の結果より、アミドアミンオキシド15〜40質量%水溶液において、アミドエステルの含有量が0.05質量%を超えると、低温保存時にアミドエステルが析出し、外観が白濁するが、アミドエステルの含有量が0.05質量%以下であると、低温安定性に優れることが判った。
【0089】
(実施例8)
−カルボン酸アミド誘導体の製造−
カルボン酸アミドとして、実施例1で製造したラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド(アミン価から算出した分子量285、アミドエステル量0.18質量%)150g、精製水399g、モノクロロ酢酸ナトリウム(関東化学製、分子量116.5)66g、及び30質量%水酸化ナトリウム(関東化学製)2.7gを、有効成分が30質量%になるように、攪拌器と温度計と還流式冷却管とを備えた1リットルの四ツ口フラスコに仕込んだ。次いで、85〜90℃にて5時間熟成し、カルボン酸アミド誘導体としてのアミドプロピルベタインを含む反応生成物を得た。
【0090】
得られた反応生成物中の固形分濃度を測定したところ、35.4質量%であった。また、硝酸銀滴定法により食塩分を測定した結果、食塩濃度は5.1質量%であり、有効成分濃度(アミドプロピルベタインの反応生成物における濃度)は30.3質量%であった。更に、反応生成物を下記石油エーテル法により抽出し、蒸発乾固後、2−プロパノールに希釈した。そして、実施例1と同様な方法によりGC分析を行い、アミドプロピルベタイン中のアミドエステル量を測定した結果、0.05質量%であった。
〔石油エーテル抽出法〕
石油エーテル抽出法は、化粧品原料基準分析法に準じて行った。
まず、試料10gを量り、水100ml及びエタノール100mlを加えて溶かし、分液ロートに移し、石油エーテル50mlずつ3回にわたって抽出した。石油エーテル抽出物を合わせ、水50mlで洗浄する操作を3回行った後、エバポレーターを用いて石油エーテルを留去し、蒸発乾固物を得た。
【0091】
(比較例5)
−カルボン酸アミド誘導体の製造−
実施例8において、カルボン酸アミドとして、比較例1で製造したラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド(アミン価から算出した分子量285、アミドエステル量0.40質量%)150gを用いた以外は、実施例8と同様な方法により反応を行い、カルボン酸アミド誘導体としてのアミドプロピルベタインを含む反応生成物を得た。
【0092】
得られた反応生成物中の固形分濃度を測定したところ、35.5質量%であった。また、硝酸銀滴定法により食塩分を測定した結果、食塩濃度は5.1質量%であり、有効成分濃度(アミドプロピルベタインの反応生成物における濃度)は30.4質量%であった。更に、反応生成物を前記石油エーテル法により抽出し、蒸発乾固後、2−プロパノールに希釈した。そして、実施例1と同様な方法により石油エーテル可溶物についてGC分析を行い、アミドプロピルベタイン中のアミドエステル量を測定した結果、0.11質量%であった。
【0093】
実施例8及び比較例5の各測定結果を表3に示す。
また、実施例8及び比較例5で製造したカルボン酸アミド誘導体としてのアミドプロピルベタインを、0℃で1週間保存し、保存後の低温安定性について評価した。低温安定性は、アミドプロピルベタイン水溶液の外観を目視で観察し、その透明性を評価した。結果を表3に示す。
【0094】
【表3】

【0095】
表3の結果より、カルボン酸アミドに含まれるアミドエステル量が0.40質量%であると、該カルボン酸アミドを用いて製造したアミドプロピルベタイン中にアミドエステルが0.11質量%含まれ、低温保存時にアミドエステルが析出し、外観が白濁するが、カルボン酸アミドに含まれるアミドエステル量が0.18質量%であると、該カルボン酸アミドを用いて製造したアミドプロピルベタイン中のアミドエステル量が0.05質量%に低減させることができ、低温安定性に優れることが判った。
【0096】
(実施例9)
−台所用洗浄剤組成物−
本発明のカルボン酸アミド誘導体を用いた洗浄剤組成物として、実施例5で製造したアミドアミンオキシド10質量%、ラウリルエーテル硫酸Na(ライオン製、C12AESNa(平均付加モル数3))15質量%、C12POEアルキルエーテル(ライオン製、平均付加モル数15)10質量%、C12脂肪酸ジエタノールアミド(ライオンオレオケミカル製)5質量%、PEG1000(ライオン化学製)1質量%、エタノール(関東化学製)3質量%、安息香酸Na(関東化学製)1質量%、パラトルエンスルホン酸(関東化学製)5質量%を混合し、台所用洗浄剤組成物を調製した。得られた台所用洗浄剤組成物のpHを6.6に調整した。
【0097】
(比較例6)
−台所用洗浄剤組成物−
カルボン酸アミド誘導体を用いた洗浄剤組成物として、比較例3で製造したアミドアミンオキシド10質量%、ラウリルエーテル硫酸Na(ライオン製、C12AESNa(平均付加モル数3))15質量%、C12POEアルキルエーテル(ライオン製、平均付加モル数15)10質量%、C12脂肪酸ジエタノールアミド(ライオンオレオケミカル製)5質量%、PEG1000(ライオン化学製)1質量%、エタノール(関東化学製)3質量%、安息香酸Na(関東化学製)1質量%、パラトルエンスルホン酸(関東化学製)5質量%を混合し、台所用洗浄剤組成物を調製した。得られた台所用洗浄剤組成物のpHを6.6に調整した。
【0098】
実施例9及び比較例6の台所用洗浄剤組成物について、下記試験を行い、洗浄力、泡立ち、及び低温安定性について評価した。結果を表4に示す。
【0099】
<洗浄力>
−試験方法−
牛脂1gを10cm×15cmのタッパ容器に均一になるように塗布し、激しく汚れた疎水表面汚垢を形成した。次いで、11.5cm×7.5cm×3cmの食器洗い用スポンジに、38gの水と、2gの実施例8及び比較例3の台所用洗浄剤組成物とをとり、数回手で揉んだ後、前記汚染したタッパ容器を25℃で通常家庭で行われるのと同様にして洗浄した。洗浄後、水でよくすすいだ。
−評価方法−
洗浄後、タッパ容器の汚染されていた表面を手で触ったときの触感について、下記の基準に基づき官能評価を行った。
〔評価基準〕
○:タッパ容器のいずれの部位を触っても、キュッキュと音がするような摩擦感があり、油の残留によるぬめりが全く感じられない
△:タッパ容器の平滑な表面を触ると摩擦感があり、油の残留は認められないが、端や角の部位に僅かにぬめりが残っている
×:タッパ容器全体にぬめりが感じられ、油が残留していることが明瞭である
【0100】
<泡立ち>
−試験方法−
11.5cm×7.5cm×3cmの食器洗い用スポンジに、38gの水と、2gの実施例9及び比較例6の台所用洗浄剤組成物とをとり、数回手で揉んだ。
【0101】
−評価方法−
手で揉んだ後の食器洗い用スポンジについて、台所用洗浄剤組成物の泡立ち方を目視で観察し、下記の基準に基づき官能評価を行った。
〔評価基準〕
○:泡質がよく、豊富な泡が立つ
△:若干泡が立つ
×:泡が殆ど立たない
【0102】
<低温安定性>
−試験方法−
実施例9及び比較例6の台所用洗浄剤組成物を100mlのガラス瓶に充填し、−20℃の恒温槽に1日保存し凍結させた後、0℃の恒温槽に1日保存し、解凍、復元させ、これを1サイクルとし、このサイクルを3回繰り返した。
【0103】
−評価方法−
3サイクル終了後、0℃にて台所用洗浄剤組成物の外観を目視で観察し、下記の基準に基づき、官能評価を行った。
〔評価基準〕
○:均一に透明である
×:白濁又は析出物がある
【0104】
【表4】

【0105】
表4の結果より、実施例5で製造したアミドエステル含有量の少ないアミドアミンオキシドを用いた実施例9の台所用洗浄剤組成物は、洗浄力、泡立ち、及び低温安定性の全てに優れることが判った。一方、比較例3で製造したアミドエステル含有量の多いアミドアミンオキシドを用いた比較例6の台所用洗浄剤組成物は、低温安定性に劣ることが判った。
【0106】
(実施例10)
−ヘアーシャンプー−
本発明のカルボン酸アミド誘導体を用いた洗浄剤組成物として、実施例5で製造したアミドアミンオキシド20質量%、ラウリルエーテル硫酸Na(ライオン製、C12AESNa(平均付加モル数3))10質量%、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド3質量%(ライオンオレオケミカル製)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン液(ライオン製)20質量%、カチオン化セルロース(ライオン化学製)2.0質量%、エチレングリコールジステアレート(一方社油脂製)2.5質量%、香料0.1質量%を混合し、毛髪用洗浄剤組成物であるシャンプーを調製した。得られたヘアーシャンプーのpHを6.0に調整した。
【0107】
(比較例7)
−ヘアーシャンプー−
実施例10において、比較例3で製造したアミドアミンオキシドを使用した以外は、実施例10と同様な方法により、毛髪用洗浄剤組成物であるヘアーシャンプーを調製した。
【0108】
実施例10及び比較例7のヘアーシャンプーについて、下記試験を行い、泡質及び低温安定性について評価した。結果を表5に示す。
【0109】
<泡質>
実施例10及び比較例7のヘアーシャンプー中の界面活性剤の量が5質量%となるように水で希釈し、希釈したヘアーシャンプーの5mLを手に取り、頭髪を洗い、そのときの泡質について、下記の基準に基づき、官能評価を行った。
〔評価基準〕
○:クリーミーである
△:ややクリーミーである
×:クリーミーでない
【0110】
<低温安定性>
実施例10及び比較例7のヘアーシャンプーを100mlのガラス瓶に充填し、−20℃の恒温槽に1日保存し凍結させた後、0℃の恒温槽に1日保存し、解凍、復元させ、これを1サイクルとし、このサイクルを3回繰り返した。3サイクル終了後、0℃にてヘアーシャンプーの外観を目視で観察し、下記の基準に基づき、官能評価を行った。
〔評価基準〕
○:均一に透明である
×:白濁又は析出物がある
【0111】
【表5】

【0112】
表5の結果より、実施例5で製造したアミドエステル含有量の少ないアミドアミンオキシドを用いた実施例10のヘアーシャンプーは、泡質及び低温安定性に優れることが判った。一方、比較例3で製造したアミドエステル含有量の多いアミドアミンオキシドを用いた比較例7のヘアーシャンプーは、低温安定性に劣ることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明のカルボン酸アミドの製造方法により製造されたカルボン酸アミドを用いて、本発明のカルボン酸アミド誘導体の製造方法により製造されるカルボン酸アミド誘導体は、アミドエステルの含有量が少なく、低温安定性に優れるため、洗浄剤組成物に好適に使用可能である。また、本発明のカルボン酸アミド誘導体を含む洗浄剤組成物は、低温安定性が良好で、洗浄力、起泡力にも優れる。このため、あらゆる態様の洗浄剤に好適に使用可能であり、特に、ヘアーシャンプー、ボディシャンプー、洗顔剤、毛髪処理剤、台所用洗浄剤、各種住居用洗浄剤等に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される脂肪酸エステルに対し、下記一般式(2)で表されるジアミンを1.20〜1.60のモル比で反応させてカルボン酸アミドを合成するカルボン酸アミド合成工程を含み、下記一般式(3)で表されるアミドエステルを0.02〜0.18質量%含有することを特徴とするカルボン酸アミドの製造方法。
【化21】

但し、前記一般式(1)中、Rは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示し、Rは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。
【化22】

但し、前記一般式(2)中、R及びRは、同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは2〜4の整数を示す。
【化23】

但し、前記一般式(3)中、R及びRは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。nは2〜4の整数を示す。
【請求項2】
請求項1に記載のカルボン酸アミドの製造方法により製造されるカルボン酸アミドと、過酸化水素とを反応させて下記一般式(4)で表されるカルボン酸アミドの誘導体を製造することを特徴とするカルボン酸アミド誘導体の製造方法。
【化24】

但し、前記一般式(4)中、Rは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。R及びRは同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは2〜4の整数を示す。
【請求項3】
請求項1に記載のカルボン酸アミドの製造方法により製造されるカルボン酸アミドと、下記一般式(5)で表されるモノハロアルキルカルボン酸及びその塩のいずれかとを反応させて、下記一般式(6)で表されるカルボン酸アミドの誘導体を製造することを特徴とするカルボン酸アミド誘導体の製造方法。
【化25】

但し、前記一般式(5)中、Yはハロゲン原子を示し、Rは炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、Zは水素原子及びアルカリ金属原子のいずれかを示す。
【化26】

但し、前記一般式(6)中、Rは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。R及びRは同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは2〜4の整数を示す。
【請求項4】
下記一般式(3)で表されるアミドエステルの含有量が0.05質量%以下である請求項2から3のいずれかに記載のカルボン酸アミド誘導体の製造方法。
【化27】

但し、前記一般式(3)中、R及びRは炭素数5〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを示す。nは2〜4の整数を示す。
【請求項5】
請求項3から4のいずれかに記載のカルボン酸アミド誘導体の製造方法により製造されることを特徴とするカルボン酸アミド誘導体。
【請求項6】
アミドアミンオキシドである請求項5に記載のカルボン酸アミド誘導体。
【請求項7】
アミドベタインである請求項5に記載のカルボン酸アミド誘導体。
【請求項8】
請求項5から7のいずれかに記載のカルボン酸アミド誘導体を含むことを特徴とする洗浄剤組成物。

【国際公開番号】WO2005/063686
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【発行日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516586(P2005−516586)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019074
【国際出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000115407)ライオン・アクゾ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】