説明

カレンダ設備

【課題】カレンダ設備において、冷却装置に供給するためのシートの引き上げ距離を短くするあるいは無くすことによって、シート変形やシート位置ズレの発生を抑制できる製造設備を提供する。
【解決手段】シートの形成を行うカレンダ装置2と、カレンダ装置2から排出されたシート100を一時的に溜置き可能な溜置装置9とを備えるカレンダ設備S1であって、溜置装置9が備えるローラ9aの少なくとも1つがシート100の冷却を行う冷却ローラである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの形成を行うカレンダ装置と、上記シートが廻し掛けられる複数のロール間の距離を変更することによって該カレンダ装置から排出された上記シートを一時的に溜置き可能な溜置装置とを備えるカレンダ設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、所望の機能を有するシートを形成するカレンダ装置(特許文献1参照)や該カレンダ装置から排出されたシートを冷却する冷却装置を備えるカレンダ設備が、例えばタイヤ等の製造工場の一部において用いられている。
【0003】
カレンダ設備が備える冷却装置は、複数の冷却ローラが上方に積み上げられて構成されており、各冷却ローラに順に廻し掛けられたシートを各冷却ローラで順次冷却することによってカレンダ装置から連続的に排出されるシートを連続的に冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−234755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、冷却装置が備える冷却ローラの数は、カレンダ装置から排出されるシートの冷却温度に依存して決定される。つまり、加熱されたシートを冷却温度に冷却するために、同様の冷却能力を有する冷却ローラが何個必要であるかが決定される。
ただし、単一の冷却ローラの冷却能力は限られており、時には冷却装置における冷却ローラの数が十数個に及ぶ場合もある。このため、冷却装置が非常に背丈の高い構造となる。
【0006】
一方で、カレンダ装置では、冷却装置より下流側においてシートを搬送する駆動力を低減するために、複数の冷却ローラのうち、少なくとも最下流側の冷却ローラを駆動ローラとする必要がある。そして、駆動ローラにはモータ等の駆動源が接続されるため、メンテナンスの行い易さ、及び冷却装置の重量バランスの観点から最下流側の冷却ローラは、冷却装置の下方に設置される。
【0007】
つまり、従来の冷却装置は、背丈の高い構造であると共に最下流側の冷却ローラが最下方に設置される構成を有している。このため、カレンダ装置から排出されたシートは、冷却装置に対して上方から供給される。
しかしながら、背丈の高い冷却装置の上方にシートを供給するためには、カレンダ装置から排出されたシートを長い距離上方に引き上げる必要が生じ、シートを引き上げている間にシートの変形やシートの位置ズレが生じ易くなる。
【0008】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、カレンダ設備において、冷却装置に供給するためのシートの引き上げ距離を短くするあるいは無くすことによって、シート変形やシート位置ズレの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0010】
第1の発明は、シートの形成を行うカレンダ装置と、上記シートが廻し掛けられる複数のロール間の距離を変更することによって該カレンダ装置から排出された上記シートを一時的に溜置き可能な溜置装置とを備えるカレンダ設備であって、上記溜置装置が備えるローラの少なくとも1つが上記シートの冷却を行う冷却ローラであるという構成を採用する。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記溜置装置が設置面に対して固定される固定フレームと上記設置面に対して移動可能とされる移動フレームとを備えると共に、上記固定フレームと上記移動フレームとに上記ローラが設置されている場合に、上記固定フレームに設置された上記ローラが上記冷却ローラであるという構成を採用する。
【0012】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記溜置装置が、上記シートの搬送方向における最上流側に、上記シートのテンションカットが可能な駆動ローラを備えるという構成を採用する。
【0013】
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記駆動ローラが上記冷却ローラであるという構成を採用する。
【0014】
第5の発明は、上記第1〜第4いずれかの発明において、上記カレンダ装置から排出された上記シートを上記溜置装置が備える冷却ローラのみで冷却するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溜置装置が備えるローラの少なくとも1つがシートの冷却を行う冷却ローラとされている。このため、溜置装置においてシートの冷却を行うことが可能となり、冷却装置における冷却性能を低減させる、あるいは冷却装置を設置しない構成を採用することが可能となる。
冷却装置の冷却性能を低減可能である場合には、冷却装置が備える冷却ローラの数が減少し、冷却装置の背丈を抑えることが可能となり、シートの引き上げ距離を短くすることが可能となる。また、冷却装置を設置しない構成を採用する場合には、シートの引き上げ距離をなくすことが可能となる。
したがって、本発明によれば、冷却装置に供給するためのシートの引き上げ距離を短くするあるいは無くすことによって、シート変形やシート位置ズレの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態におけるカレンダ設備の概略構成を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるカレンダ設備の概略構成を示す平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるカレンダ設備が備えるワインドアップアキュムレータ装置の拡大図である。
【図4】本発明の第2実施形態におけるカレンダ設備の概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係るカレンダ設備の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0018】
(第1実施形態)
図1及び図2は、本実施形態のカレンダ設備S1の概略構成を示す図であり、図1が側面図であり、図2が平面図である。
本実施形態のカレンダ設備S1は、タイヤの製造工場に設置されるものであり、複数の金属ワイヤからなるコードがゴムシートによって挟み込まれたタイヤの構成部品(以下、製品シート100と称する)を製造するための設備である。
そして、図1及び図2に示すように、本実施形態のカレンダ設備S1は、スプライスプレス装置1と、カレンダ装置2と、コンベア装置3と、ロードセル4と、厚み計測装置5と、オーバテンションブライダルローラ装置6と、ライナ送出装置7と、冷却装置8と、ワインドアップアキュムレータ装置9(溜置装置)と、センタリング装置10と、ワインドアップフィードローラ装置11と、巻取装置12と、カッタ装置13とを備えている。
【0019】
スプライスプレス装置1は、本実施形態のカレンダ設備S1に供給される上記コード200同士を接続するものであり、先に供給されたコード200の後端と後に供給されるコード200の先端とを、供給されるゴムによって接続するものである。
【0020】
カレンダ装置2は、コード200の両面に対してゴムシートを貼り付けることによって製品シート100(シート)を形成するものであり、スプライスプレス装置1の下流側(コード200が送出される方向側)に配置されている。
このカレンダ装置2は、S字状に配列される4つの加熱ローラ2aと、該加熱ローラ2aを駆動するモータ2b等を備えており、上流側(コード200が送出される方向と反対側)から供給されるコード200に、加熱ローラ2a間で成型したゴムシートを貼り付けることによって製品シート100を形成する。そして、カレンダ装置2は、製品シート100を斜め上方に向けて送出する。
なお、カレンダ装置2は、各加熱ローラ2aの傾きや湾曲を調節するための不図示の調節機構を備えている。
【0021】
コンベア装置3は、混練された後にシート状に成型されたゴムをカレンダ装置2に供給する装置であり、カレンダ装置2の加熱ローラ2a間にゴムを供給する。
なお、コンベア装置3は、加熱ローラ2a間に均等にゴムを供給するために供給する側の先端が左右に回動可能とされたウィグワグコンベア装置3aと、該ウィグワグコンベア装置3aにゴムを供給するためのフィードコンベア装置3bとを備えている。
【0022】
ロードセル4は、カレンダ装置2から送出された製品シート100に掛かる張力を検出するためのセンサであり、カレンダ装置2の下流側(製品シート100の送出される方向側)に配置されている。そして、ロードセル4は、斜め下方から供給される製品シート100を水平方向に送出する。
なお、ロードセル4の検出結果は、冷却装置8の駆動ローラの回転を制御する制御信号として用いられる。
【0023】
厚み計測装置5は、製品シート100の幅方向の厚みを検出するためのセンサであり、ロードセル4の下流側に配置されている。
なお、厚み計測装置5の検出結果は、カレンダ装置2の各加熱ローラ2aの傾きや湾曲を調節するための調節機構を制御する制御信号として用いられる。
【0024】
オーバテンションブライダルローラ装置6は、製品シート100に対して異常な張力が掛かった場合に製品シート100の支持を解除することによって製品シート100への損傷を抑制するためのものであり、厚み計測装置5の下流側に配置されている。
なお、オーバテンションブライダルローラ装置6は、製品シート100に対して正常な張力が掛かっている場合には、製品シート100を支持し、水平方向から供給された製品シート100を下方に送出するガイドローラとして機能する。
【0025】
ライナ送出装置7は、オーバテンションブライダルローラ装置6の下方に配置されており、製品シート100の両面に貼付されるライナが巻回されたローラを軸支すると共に、ブレーキを利かせながらライナを送出するものである。
なお、ライナ送出装置7の下方には、ガイドローラ14が設置されており、当該ガイドローラ14によって上方から供給される製品シート100が水平方向に送出される。
【0026】
冷却装置8は、4つの冷却ローラ8aと、該冷却ローラ8aを支持部材8bとを備えている。
各冷却ローラ8aは、内部に冷媒が供給されることによって表面が冷却されており、廻し掛けられる製品シート100を冷却するものである。また、支持部材8bは、鉛直方向に立設されている。
そして、冷却ローラ8aは、支持部材8bの左右に交互に支持されて鉛直方向に配列されている。
【0027】
そして、冷却装置8において製品シート100は、まず最上方に設置された冷却ローラ8aに廻しかけられ、順次下方の冷却ローラ8aに廻し掛けられる。そして、製品シート100は、最下方に設置された冷却ローラ8aから略水平方向に送出される。
なお、最下流の冷却ローラ8aを含む3つの冷却ローラ8aが、モータ8c(図2参照)によって回転駆動される駆動ローラとして機能する。
【0028】
ワインドアップアキュムレータ装置9は、図3に示すように、複数のローラ9aを備えており、ローラ9a間の距離を変更することによってカレンダ装置2から排出された製品シート100を一時的に溜置き可能とするものである。
このようなワインドアップアキュムレータ装置9によれば、冷却装置8からの製品シート100の供給を止めることなく、ワインドアップアキュムレータ装置9の下流側の製品シート100の搬送を停止することができる。
ワインドアップアキュムレータ装置は、設置面に対して固定される固定フレーム9bと、油圧シリンダ9dによって支持されることによって設置面に対して移動可能とされるキャリッジ9c(移動フレーム)とを備えている。そして、複数のローラ9aが、固定フレーム9bとキャリッジ9cとに分かれて設置されている。なお、以下の説明において、固定フレーム9bに設置されたローラ9aを固定ローラ9a1と称し、キャリッジ9cに設置されたローラ9aを移動ローラ9a1と称する。
このようなワインドアップアキュムレータ装置9においては、キャリッジ9cが上昇することによって、固定ローラ9a1と移動ローラ9a2との間が離間され、多くの製品シート100を溜め置くことが可能となる。このため、製品シート100の供給速度に合わせてキャリッジ9cが上昇されることによって、冷却装置8からの製品シート100の供給を止めることなく、ワインドアップアキュムレータ装置9の下流側の製品シート100の搬送を停止することができる。
【0029】
そして、本実施形態のカレンダ設備S1においては、ワインドアップアキュムレータ装置9が備える固定ローラ9a1が冷却ローラとされている。
具体的には、内部に冷媒が供給されることによって表面が冷却され、廻し掛けられた製品シート100の冷却を行う。
【0030】
センタリング装置10は、製品シート100の幅方向の位置ズレを修正するものであり、ワインドアップキュムレータ装置9の下流側に配置されており、ワインドアップアキュムレータ装置9のフレームに対して固定されている。
【0031】
ワインドアップフィードローラ装置11は、冷却装置8より下流側における製品シート100に掛かる張力を設定するものであり、駆動ローラ11aを備えている。
このワインドアップフィードローラ装置11は、センタリング装置10の下流側に設置されており、センタリング装置10との間に設置されたガイドローラ15によって略水平方向に送出された製品シート100が供給され、この供給された製品シート100を下方に送出する。
【0032】
巻取装置12は、製品シート100を巻き取るものであり、ワインドアップフィードローラ装置11の下方に2つ配置されている。
そして、いずれかの巻取装置12によってワインドアップフィードローラ装置11から送出される製品シート100が巻き取られる。
【0033】
カッタ装置13は、ワインドアップフィードローラ装置11と巻取装置12との間に設置され、巻取装置12における製品シート100の巻回量が所定量となるタイミングで製品シート100を切断する。
【0034】
また、本実施形態のカレンダ設備S1は、不図示の制御装置を備えており、各装置が電気的に接続される制御装置によって制御されている。
【0035】
次に、このように構成された本実施形態のカレンダ設備Sにおいて製品シート100を巻取装置12にて巻き取るまでの動作について説明する。
なお、以下の動作において、特に断りがない限り、動作の主体者は制御装置である。
【0036】
まず、外部よりコード200が本実施形態のカレンダ設備Sに供給されると、コード200は、スプライスプレス装置1を介してカレンダ装置2に供給される。
ここで、コード200の後端がスプライスプレス装置1を通過する際には、スプライスプレス装置1によって、コード200の後端と次のコード200の先端とがゴムによって接続される。
なお、コード200に掛かる張力は、カレンダ装置2の上流側に設置されたブレーキ装置によって制御されている。
【0037】
一方で、コンベア装置3によって混練された後にシート状に成型されたゴムがカレンダ装置2に供給される。
そして、カレンダ装置2に供給されたコード200は、その両面に加熱ローラ2aによって形成されたゴムシートが貼付されることによって製品シート100とされる。
【0038】
そして、カレンダ装置2から送出された製品シート100は、ロードセル4、厚み計測装置5、オーバテンションブライダルローラ装置6を介して冷却装置8に供給される。
なお、ロードセル4によって製品シート100に掛かっている張力が検出され、当該検出結果に基づいて冷却装置8の駆動ローラ(冷却ローラ8a)の回転駆動が制御されることによってカレンダ装置2から冷却装置8までの間に製品シート100に掛かる張力が一定に保たれる。
また、厚み計測装置5によって、製品シート100の幅方向の厚みが検出され、当該検出結果に基づいて、製品シート100の厚みが均一化されるようにカレンダ装置2の加熱ローラ2aの傾き及び湾曲が調節される。
また、製品シート100に掛かる張力が異常に増加した場合には、オーバテンションブライダルローラ装置6が製品シート100の支持を解除することによって製品シート100への損傷が抑制される。
また、製品シート100は、冷却装置8に供給される前にライナ送出装置7の近傍を通過し、ライナ送出装置7から送出されるライナが両面に貼付される。
【0039】
冷却装置8に供給された製品シート100は、冷却装置8の各冷却ローラ8aによって冷却されて排出される。
冷却装置8から送出された製品シート100は、ワインドアップアキュムレータ装置9を介してセンタリング装置10に供給されることによって位置ズレを修正される。
そして、本実施形態のカレンダ設備S1においては、製品シート100がワインドアップアキュムレータ装置9を通過する際に、固定ローラ9a1において冷却される。
【0040】
その後、製品シート100は、ワインドアップフィードローラ装置11を介して巻取装置12に供給されて巻回される。
なお、巻取装置12を切り替える際には、カッタ装置13によって製品シート100が切断されると共に、ワインドアップフィードローラ装置11の回転駆速度が低減されてワインドアップアキュムレータ装置9のキャリッジ9cが上昇されることによって、ワインドアップアキュムレータ装置9より下流側の製品シート100の搬送が停止される。そして、巻取装置12の切り切り替えが完了した後は、ワインドアップフィードローラ装置11の回転駆速度が通常状態よりも増加されてワインドアップアキュムレータ装置9に溜まった製品シート100を送出し、その後ワインドアップフィードローラ装置11の回転駆動力が通常状態となる。
【0041】
以上のような本実施形態のカレンダ設備S1によれば、ワインドアップアキュムレータ装置9が備える固定ローラ9a1が製品シート100の冷却を行う冷却ローラとされている。このため、ワインドアップアキュムレータ装置9において製品シートの冷却を行うことが可能となり、冷却装置8における冷却性能を低減させることが可能となる。
このため、従来のカレンダ設備と比較して冷却装置8が備える冷却ローラ8aの数が減少し、冷却装置8の背丈を抑えることが可能となり、製品シート100の引き上げ距離を短くすることが可能となる。
したがって、本実施形態のカレンダ設備S1によれば、冷却装置8に供給するためのシートの引き上げ距離を短くすることによって、製品シート100の変形や製品シート100の位置ズレの発生を抑制することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態の本実施形態のカレンダ設備S1においては、ワインドアップアキュムレータ装置9が備える固定ローラ9a1のみが冷却ローラとされている。
このため、移動体に対して冷媒を供給する必要がなく、冷媒の供給を容易に行うことが可能となる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0044】
図4は、本実施形態のカレンダ設備S2の概略構成を示す側面図である。
本実施形態のカレンダ設備S2においては、ワインドアップアキュムレータ装置9の固定ローラ9a1に加えて移動ローラ9a2に対しても冷媒が供給されており、これによってワインドアップアキュムレータ装置9の冷却能力が増強されている。
そして、図4に示すように、本実施形態のカレンダ設備S2においては、ワインドアップアキュムレータ装置9が備える固定ローラ9a1(冷却ローラ)と移動ローラ9a2(冷却ローラ)のみで製品シート100を冷却し、上記実施形態で示した冷却装置8を省略する構成を採用している。
【0045】
また、本実施形態のカレンダ装置S2においては、駆動ローラ9eを備えている。駆動ローラ9eは、ワインドアップアキュムレータ装置9において、製品シート100の搬送方向における最上流側に配置されており、3つの駆動ローラによって構成されている。そして、図4に示すように、3つの駆動ローラに製品シート100がS字状に廻しかけられ、各駆動ローラの回転数を調節することによって、製品シート100のテンションカットが可能となっている。
そして、本実施形態のカレンダ設備S2においては、固定ローラ9a1及び移動ローラ9a2に加えて駆動ローラ9eも冷却ローラとされている。
【0046】
このような構成を有する本実施形態のカレンダ設備S2によれば、ワインドアップアキュムレータ装置9のみで製品シート100の冷却を行い、上記実施形態で示した冷却装置8を備えないため、製品シート100の引き上げ距離をなくすことが可能となる。
したがって、本実施形態のカレンダ設備S2によれば、より確実に製品シート100の変形や製品シート100の位置ズレの発生を抑制することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態のカレンダ設備S2によれば、ワインドアップアキュムレータ装置9で製品シート100の冷却を行い、上記実施形態で示した冷却装置8を備えないため、カレンダ設備全体のライン長を短くすることができる。
【0048】
また、本実施形態のカレンダ設備S2によれば、ワインドアップアキュムレータ装置9が、製品シート100のテンションカットを可能とする駆動ローラ9eを備えている。
このため、冷却装置8を備えていない場合であっても、製品シート100のテンションカットを行うことが可能となる。
【0049】
さらに、本実施形態のカレンダ設備S2によれば、駆動ローラ9eが冷却ローラとされているため、ワインドアップアキュムレータ装置9の冷却能力をさらに増強させることが可能となる。
【0050】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態においては、カレンダ装置2及びワインドアップアキュムレータ装置9以外に複数の装置を備えるカレンダ設備Sについて説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、カレンダ装置2及びワインドアップアキュムレータ装置9を除く装置構成については、製品シート100の仕様に応じて任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0052】
S1,S2……カレンダ設備、2……カレンダ装置、8……冷却装置、9……ワインドアップアキュムレータ装置(溜置装置)、9a……ローラ、9a1……固定ローラ(冷却ローラ)、9a2……移動ローラ(冷却ローラ)、9e……駆動ローラ(冷却ローラ)、100……製品シート(シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの形成を行うカレンダ装置と、前記シートが廻し掛けられる複数のロール間の距離を変更することによって該カレンダ装置から排出された前記シートを一時的に溜置き可能な溜置装置とを備えるカレンダ設備であって、
前記溜置装置が備えるローラの少なくとも1つが前記シートの冷却を行う冷却ローラであることを特徴とするカレンダ設備。
【請求項2】
前記溜置装置が設置面に対して固定される固定フレームと前記設置面に対して移動可能とされる移動フレームとを備えると共に、前記固定フレームと前記移動フレームとに前記ローラが設置されている場合に、前記固定フレームに設置された前記ローラが前記冷却ローラであることを特徴とする請求項1記載のカレンダ設備。
【請求項3】
前記溜置装置が、前記シートの搬送方向における最上流側に、前記シートのテンションカットが可能な駆動ローラを備えることを特徴とする請求項1または2記載のカレンダ設備。
【請求項4】
前記駆動ローラが前記冷却ローラであることを特徴とする請求項3記載のカレンダ設備。
【請求項5】
前記カレンダ装置から排出された前記シートを前記溜置装置が備える冷却ローラのみで冷却することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のカレンダ設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−188553(P2010−188553A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33097(P2009−33097)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(000198329)株式会社IHI機械システム (27)
【Fターム(参考)】