説明

カロテノイドの製造方法

【課題】高純度、安価かつ安全なカロテノイド高含有組成物及びその工業的な製造方法の提供。さらには該組成物を含有する機能性食品、医薬組成物、又は化粧品の提供。
【解決手段】カロテノイドを産生する微生物の培養物を、水溶性有機溶媒で抽出する工程;得られる抽出液を、水中に分散させミセル化する工程;得られるミセル化液を、溶媒中で加熱攪拌してミセルを破壊し、目的のカロテノイド成分を沈殿させて沈殿物を得る工程;前記沈殿物を回収してエタノールで加熱洗浄する工程;及び沈殿物をさらに粉砕乾燥する工程を含むカロテノイド含有組成物の製造方法、並びに該カロテノイド含有組成物を含有する食品、医薬組成物、又は化粧品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カロテノイドの製造方法に関し、特に、食品、医薬組成物、又は化粧品の成分として用いるアスタキサンチンの工業的に適した製造方法に関する。具体的には、本発明は、カロテノイドを産生する微生物の培養物の水溶性有機溶媒での抽出液を、水中に分散させてミセル化した後、適切な溶媒濃度にて適切な時間加熱攪拌することによりミセル化を破壊し、目的のカロテノイド成分を優先的に晶析・沈殿化させる精製処理方法に関する。また本発明は、前記精製処理で得られる沈殿物を、エタノールで加熱洗浄後、粉砕乾燥することを特徴とする。また本発明は、有機溶媒としてエタノールのみを用い、カロテノイド含量が85%以上、カロテノイド中のアスタキサンチンが40%以上、アスタキサンチンに対するカンタキサンチン比率が2.5%以下、トランス型アスタキサンチンに対するシス型アスタキサンチン比率が20%以下、エタノール含量が200ppm以下である組成物を得る製造方法に関する。さらに本発明は、上記方法で得られるカロテノイド含有組成物、さらには該カロテノイド含有組成物を含有する食品、医薬組成物、又は化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
カロテノイドは自然界に広く存在する天然色素であり、黄色から赤色又は紫色に及ぶポリエン色素である。アスタキサンチンは天然で見出されるカロテノイドの1種であり、遊離の状態あるいはエステルとして存在するほか、タンパク質と結合して種々の色素タンパク質として存在する。
アスタキサンチンは、魚類、鶏卵の色揚げ剤として広く使用されている。また、食品添加物としても認められており、油脂加工食品、タンパク質性食品、水性液状食品などに幅広く使用されている。さらに、フリーラジカルによって誘起される脂質の過酸化に対する抗酸化活性、α−トコフェロールの数百倍に達する一重項酸素消去作用などから、アスタキサンチンは、その強力な抗酸化活性を生かした機能性食品、化粧品、又は医薬品としての用途が期待されている。
アスタキサンチンは、サケ、マス、マダイ等の魚類、カニ、エビ、オキアミ等の甲殻類など広く自然界に分布すると共に、アグロバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、パラコッカス属に属する細菌類、ヘマトコッカス属緑藻類、ファフィア属酵母類等の微生物によっても生産されている。アスタキサンチンやゼアキサンチン等のカロテノイドは、化学合成法により工業的に生産されているが、安全面の不安から天然物由来のものが求められている。
【0003】
こうした背景から特に、大量生産に適していると考えられている藻類や微生物由来のアスタキサンチンを含有するカロテノイド類の製造方法が数多く報告されている。
例えば、ヘマトコッカス藻類の場合、培養後の藻類のシスト細胞を熱アセトン処理し、夾雑物であるクロロフィルを溶出させた後、該シスト細胞をスプレードライし、得られた乾燥細胞からエタノールでカロテノイドを抽出する方法(特許文献1)などが報告されている。しかしこのような製造方法で得られる組成物には、まだ多くの生体由来の夾雑物が含まれており、1)カロテノイドの含量、2)アスタキサンチンの含量、等の点で満足のいくものではない。
【0004】
アスタキサンチン高含量の組成物を得るために、上述の方法に準じて得た粗キサントフィルを、水存在下でリパーゼを作用させて夾雑物のひとつである中性脂質を分解し、そのリパーゼ酵素処理液を油水分離し、次いで分取した油層から遊離脂肪酸を蒸留にてアスタキサンチンと分離して濃縮精製する方法(特許文献2)などが報告されている。しかし、このような複雑な処理工程を施してもアスタキサンチン含量として30%を超えたものは得られていない。
【0005】
また、超臨界流体抽出法を用いて0.5〜60%含量のアスタキサンチンを得る方法(特許文献3)も報告されているが、この処理工程中に副生産される目的含量未満のアスタキサンチン分画は、廃棄するか含量を上げるために別のさらなる濃縮操作が必要となる。したがって、本製造方法も簡便性と経済性の点で生体由来の夾雑物が少ないアスタキサンチンを高含量に含む高純度カロテノイドを製造する工業的方法として満足できるものではない。
【0006】
また、ファフィア属酵母を用いる方法として、該酵母の破砕菌体を有機溶媒で抽出し、抽出液を濃縮して得られた油状の粗抽出エキスをイオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等の精製を行ってアスタキサンチンを得る方法(特許文献4)が報告されているが、この方法は、低濃度のアスタキサンチンの粗液を複数のカラムクロマトグラフィーにて精製を行っているため工業化することが困難である。
【0007】
さらに、別の方法として、ファフィア属酵母培養後の菌体をアセトンで抽出し、得られた抽出液を濃縮して得られる粗抽出物に炭化水素系溶剤を加えて晶析させる製造方法(特許文献5)が報告されている。この製造方法は、簡便性が高いが、得られる組成物はカロテノイド含量が70〜73%程度(アスタキサンチン含量としては36〜42%)であり、生体由来の夾雑物の少ない高純度カロテノイドの製造方法として満足できるものではないことに加え、カロテノイド中にアセトンおよび炭化水素系溶剤が残留することが危惧される点でも満足できるものではない。
【0008】
一方、アスタキサンチン、アドニキサンチンなどの生産菌株であるE−396株(FERM BP−4283:1993年4月27日付(原寄託日)、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6))を用いた方法として、食品の製造には安全性の面から使用することが危惧される環状親水性有機化合物に菌体を接触させて抽出処理する方法(特許文献6)、特許文献3と同様に超臨界流体抽出を用いた方法(特許文献7)、菌体を水溶性有機溶媒、非極性溶媒および水に接触させ、液液抽出を行う方法(特許文献8)、E−396株を水溶性有機溶媒に接触させて抽出後濃縮晶析し、結晶を溶媒洗浄する方法(特許文献9)、などが報告されている。
こうした状況から、特殊な設備を用いない簡便な方法によってアスタキサンチンを高含量で含む高純度カロテノイドを工業的に製造する方法の確立が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−56346号公報
【特許文献2】特開2002−218994号公報
【特許文献3】特開2004−41147号公報
【特許文献4】特開平10−276721号公報
【特許文献5】特開2004−208504号公報
【特許文献6】特開平7−242621号公報
【特許文献7】特開平8−89280号公報
【特許文献8】特開平8−253695号公報
【特許文献9】特開2006−087223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、高純度でありかつ、大量摂取時に過剰摂取の懸念のあるカンタキサンチン含量が少なくかつ、安全な溶媒のみを使用し溶媒残留量が少ない、カロテノイド高含有組成物およびその工業的な製造方法を提供し、さらには該組成物を含有する機能性食品、医薬組成物、又は化粧品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために微生物培養物に注目して研究した。そして、従来技術である液液抽出法や、水溶性有機溶媒で抽出後濃縮晶析し結晶を洗浄する方法では、1)カンタキサンチンとアスタキサンチンとの比率が精製操作前後で変化せず、得られるカロテノイド含有組成物中に含まれるカンタキサンチンの低減化ができない、2)バルク中に1%以上の大量の残留溶媒が含まれ、粉砕乾燥を繰り返しても官能評価上問題ないレベルまで残留溶媒を低減化することが困難である、との課題を新たに見出した。該課題の解決も含めてさらに鋭意研究を重ねた結果、カロテノイドを産生する微生物の培養物の水溶性有機溶媒での抽出液を、水中に分散させてミセル化し、適切な溶媒濃度にて適切な時間加熱攪拌することによりミセル化を破壊し、アスタキサンチンを優先的に晶析・沈殿化させるとともに、得られるカロテノイド含有組成物中に含まれるカンタキサンチンを低減化した後、沈殿物をエタノールで加熱洗浄後、粉砕乾燥することにより、高純度で、カンタキサンチン含量が少なく、残留溶媒の少ないカロテノイド組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
カンタキサンチンは、摂取許容量が0.025mg/kg/日と定められておりカロテノイド含有物を過剰摂取する際には摂取許容量を超えるおそれがあるという望ましくない状況を伴っていた。本発明のカロテノイド含有組成物においては、目的のカロテノイド成分(例えば、アスタキサンチン)の比率を選択的に高めることによって、所望されないカロテノイド成分(例えば、カンタキサンチン)の含有率を低くすることが可能である。
すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
(1) 以下の1)〜3)の工程を含むカロテノイドの精製方法。
1)カロテノイドを産生する微生物の培養物を、水溶性有機溶媒で抽出する工程
2)得られる抽出液を、水中に分散させミセル化する工程
3)得られるミセル化液を、溶媒中で加熱攪拌してミセルを破壊し、目的のカロテノイド成分を沈殿させる工程
(2) 以下の1)〜5)の工程を含むカロテノイド含有組成物の製造方法。
1)カロテノイドを産生する微生物の培養物を、水溶性有機溶媒で抽出する工程
2)得られる抽出液を、水中に分散させミセル化する工程
3)得られるミセル化液を、溶媒中で加熱攪拌してミセルを破壊し、目的のカロテノイド成分を沈殿させて沈殿物を得る工程
4)前記沈殿物を回収してエタノールで加熱洗浄する工程
5)沈殿物をさらに粉砕乾燥する工程
(3) 水溶性有機溶媒が、エタノールである(1)または(2)に記載の方法。
(4) 目的のカロテノイド成分がアスタキサンチンである、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5) カロテノイド含有組成物が、カロテノイドを85%以上含有する組成物である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6) カロテノイド含有組成物に含まれるカロテノイドに対するアスタキサンチンの比率が40%以上である(1)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(7) カロテノイド含有組成物に含まれるアスタキサンチンに対するカンタキサンチンの比率が2.5%以下である(1)〜(6)のいずれか1項に記載の方法。
(8) カロテノイド含有組成物に含まれるアスタキサンチンのトランス型に対するシス型の比率が20%以下である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の方法。
(9) カロテノイド含有組成物に含まれるエタノール含量が200ppm以下である(1)〜(8)のいずれか1項に記載の方法。
(10) 微生物が、Paracoccus属に属する細菌である(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法。
(11) 微生物の16SリボゾームRNAに対応するDNAの塩基配列が、配列番号1に記載の塩基配列と実質的に相同である(1)〜(10)のいずれか1項に記載の方法。
(12) 微生物が、E−396株(FERM BP−4283)又はその変異株である(1)〜(11)のいずれか1項に記載の方法。
(13) (1)〜(12)のいずれか1項に記載の方法で得られる、カロテノイド含有組成物。
(14) カロテノイドがフリー体である、(13)に記載のカロテノイド含有組成物。
(15) (13)および(14)に記載のカロテノイド含有組成物を含有する食品、医薬組成物、又は化粧品。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、天然物由来の高純度、安全なカロテノイド高含有組成物およびその工業的な製造方法を提供し、さらには、該組成物を含有する機能性食品、医薬組成物、又は化粧品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願発明について具体的に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。
本発明に用いることができる微生物としては、カロテノイドを生産する微生物であればなんら限定されないが、パラコッカス属細菌、ヘマトコッカス属藻類、ファフィア属酵母などを用いることができる。パラコッカス細菌としては、例えばParacoccus carotinifaciens、Paracoccus marcusii、Paracoccus haeundaensis、Paracoccus zeaxanthinifaciens、Paracoccus denitrificans、Paracoccus aminovorans、Paracoccus aminophilus、Paracoccus kourii、Paracoccus halodenitrificansおよびParacoccus alcaliphilusが挙げられる。また、ヘマトコッカス属藻類としては、例えばHaematococcus pluvialis、Haematococcus lacustris、Haematococcus capensis、Haematococcus droebakensisおよびHaematococcus zimbabwiensisなどが挙げられ、ファフィア属酵母としては、例えばPhaffia rhodozymaが挙げられる。ただし、本発明に用いられる微生物は、これに限定されるものではない。
特に増殖速度の速さ、カロテノイド類の生産性から、Paracoccus属に属する細菌が好ましい。また、カロテノイド産生細菌として、好ましくは16SリボソームRNAに対応するDNAの塩基配列が配列番号1に記載されるE−396株の塩基配列と実質的に相同である細菌が好ましい。実質的に相同であるとは、DNAの塩基配列決定のエラー頻度等を考慮し、配列番号1の配列と比較対象の配列とが、95%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは98%以上の相同性を有することを意味する。このような細菌のなかでも、特にParacoccus carotinifaciensE−396株(FERM BP−4283)が好ましい。また、これらの微生物を変異処理してカロテノイド生産性を向上させるために選択したカロテノイド高生産株を用いることも大変に好適な例として挙げられる。
ここで、変異処理する方法は、突然変異を誘発するものであれば特に限定されない。たとえば、N−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、エチルメタンスルホネート(EMS)などの変異剤による化学的方法、紫外線照射、X線照射などの物理的方法、遺伝子組換え、トランスポゾンなどによる生物学的方法などを用いることができる。この変異処理は1回でもよいし、また、例えばこの突然変異処理によりアスタキサンチン生産微生物の変異体を得て、これをさらに突然変異処理するというように2回以上の変異処理を行うこともできる。
【0014】
本発明に用いるカロテノイドを産生する微生物の培養物は、上記微生物を効率良く培養できる方法、例えば、下記の培地を用いて、液体培養、固体培養、又はそれらの組み合わせによって培養する方法を用いることで得られる培養物であれば何ら限定されない。本明細書において「培養物」とは、培養上清、培養菌体、又は菌体の粉砕物のいずれをも意味するものである。
本発明に用いる微生物の培養に使用される栄養培地としては、生産菌の生育に必要な炭素源、窒素源及び無機塩を含む栄養培地であれば十分であるが、ビタミン類を添加するとさらに好ましい場合がある。また、さらにアミノ酸、核酸塩基等を添加すると好ましい場合もある。その他として、酵母エキス、ペプトン、肉エキス、麦芽エキス、コーンスチープリカー、乾燥酵母、大豆粕等を適宜添加しても良い。
炭素源としてはグルコース、シュークロース、ラクトース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール、マルトース等の糖類、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸、ピルビン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソブタノール、グリセノール等のアルコール類、大豆油、ヌカ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ゴマ油、アマニ油等の油脂類などが挙げられ、1種又は2種以上の炭素源を用いることができる。添加割合は炭素源の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1L当たり1〜100g、好ましくは2〜50gである。
窒素源としては、例えば硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニア、尿素等の1種又は2種以上が用いられる。添加割合は窒素源の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.1g〜30g、好ましくは1〜10gである。
無機塩としてはリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸マンガン、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化鉛、硫酸銅、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等の1種又は2種以上が用いられる。添加割合は無機塩の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.001〜10gである。
ビタミン類を加える場合、添加割合はビタミン類の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.1〜1,000mgであり、好ましくは1〜100mgである。
アミノ酸、核酸塩基、酵母エキス、ペプトン、肉エキス、麦芽エキス、コーンスチープリカー、乾燥酵母、大豆粕等の添加割合は、物質の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.2g〜200g、好ましくは3〜100gである。
培地のpHは2〜12、好ましくは6〜9に調整する。培養条件は15〜80℃、好ましくは20〜35℃の温度であり、通常1日〜20日間、好ましくは2〜8日間、好気条件で培養を行う。好気条件としては、例えば、振とう培養又は通気撹拌培養等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いる培養微生物が産生したアスタキサンチンを抽出するに際しては、培養後、培養液、または培養液から得られる菌体の濃縮液、湿菌体又は乾燥菌体を以下の抽出処理に供する方法が、より好適な例としてあげられる。上記菌体の濃縮液は、例えば、培養液を膜濾過濃縮することによって得ることができ、上記湿菌体は、培養液を遠心分離、加圧又は減圧濾過などの一般的に知られている濾過方法に供することによって得ることができる。さらに、この湿菌体を噴霧乾燥、流動乾燥、回転ドラム式乾燥又は凍結乾燥など一般的に知られる乾燥方法により乾燥させることによって、乾燥菌体を得ることができる。また、以下の抽出を行う前に、培養液、菌体濃縮液、湿菌体又は乾燥菌体の段階において、アルカリ試薬や界面活性剤などを用いた化学的処理、溶菌酵素や脂質分解酵素およびタンパク分解酵素などを用いた生化学処理、又は超音波もしくは粉砕などの物理的処理のうち1つ又は2つ以上の処理を単独で、又は適宜組み合わせて行っても良い。乾燥菌体とした場合には、その1g中には、10mg〜30mg程度のアスタキサンチンと0.3mg〜1.2mg程度のカンタキサンチンが含有されていると考えられる。
【0016】
本発明の抽出に用いる水溶性有機溶媒としては、エタノール、アセトン、メタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、テトラヒドロフランが挙げられ、エタノール又はアセトンが好ましく、エタノールが特に好ましく用いられる。また、これらの水溶性有機溶媒の2種以上を混合して用いてもよい。抽出時のエタノールの温度は、80℃以上が好ましく、85℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましく、93℃以上が特に好ましい。この抽出時の温度は、エタノールへのアスタキサンチンを含むカロテノイドの溶解度の上昇と関係しており、抽出効率を上げるために重要である。また抽出時のエタノールの上限温度については、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、120℃以下がさらに好ましく、110℃以下が特に好ましい。この上限温度は、アスタキサンチンを含むカロテノイドの熱分解を抑えるために重要である。このとき、溶媒の沸点以上の温度を必要とするため、密閉式の圧力容器内にて処理することが必要とされる。このときの圧力は、最大でもゲージ圧で0.8MPa以下、好ましくは0.4MPa以下で行うものとする。
エタノールの量としては、抽出時の温度によって規定されるが、菌体内に含有されるアスタキサンチン量を溶解できる量であれば良く、乾燥菌体からエタノールを用いて抽出する場合、菌体内に含まれるアスタキサンチン量1gに対して、300〜3,000g、好ましくは500〜2,000g、より好ましくは、800〜1,600gである。
例えば、前記した約20mgのアスタキサンチンを含む乾燥菌体1gからの抽出を95℃のエタノールで行う場合は、好ましくは10〜35g程度の量のエタノールを用いると良い。
エタノール水溶液から蒸留回収したエタノールのように、含水エタノールで抽出を行っても良い。含水量は特に限定されるものではないが、好ましくは10%以下である。含水エタノールでの抽出の際は、無水エタノールでの抽出の際よりもアスタキサンチンを含むカロテノイドの溶解度が低下することから、抽出温度を高めに設定した方が、抽出効率が高くなる。
【0017】
抽出操作中においてカロテノイドの酸化を極力防止したい場合には、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気で処理することができ、また、医薬品や食品で用いられている酸化防止剤を選択して抽出溶媒に加えて行うことができる。あるいは、これらの処理を組み合わせてもよい。
上記酸化防止剤は、最終的にはカロテノイド組成物から除くことが望ましいが、用いる酸化防止剤の種類(例えば、ビタミンC)によっては除去不要である。
また、光によるカロテノイドの分解を極力防止するために、光を当てない条件下で行うことができる。
また、抽出時間については特に制限する必要はないが、熱分解による収率低下を少なくするためにも短時間処理が良く、好ましくは60分以内であり、30分以内がより好ましい。
【0018】
抽出操作後の抽出液を微生物から分離する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、膜濾過、遠心分離、デカンテーションなどが用いられ、工業的に用いる場合は遠心分離が好ましい。工業的に行う場合は、分離の温度は特に限定されない。93℃以上の高温で抽出し、一度低級アルコール類に溶解したカロテノイド色素は−20℃〜70℃に冷却しても短時間では容易には析出しないので、低い温度でも安定的に抽出液を分離することができる。
【0019】
抽出液を水中に分散させてミセル化するには、たとえば水を攪拌子や攪拌羽で強く攪拌しながら、抽出液を注射器やポンプで添加する方法が挙げられる。分散に用いる水の温度に特に制限はないが、5℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましく、60℃以上が特に好ましい。また水の上限温度は、水の沸点である100℃以下が好ましく、85℃以下がより好ましく、70℃以下がさらに好ましい。水と、添加する抽出液との容量比は、100:100〜100:5、好ましくは100:50〜100:10、より好ましくは100:35〜100:15である。添加の所要時間は、攪拌機の混合能力を考慮して無理なく分散可能となる速度に合わせ決めれば良いが、後述するように溶媒濃度が高くなると沈殿化が始まることから、沈殿化時間を一定にするためにも添加時間は短時間が良く、30分以内が好ましく、10分以内がより好ましい。
【0020】
本発明の方法におけるアスタキサンチンの優先的な晶析・沈殿化は、ミセル化液中の溶媒濃度を保持しながら加熱攪拌し、ミセル化を破壊することにより達成される。「優先的」とは、晶析・沈殿化によって得た本発明のカロテノイド含有組成物において、目的のカロテノイド成分(例えば、アスタキサンチン)が、沈殿原液と比較して高い割合で含まれていることを意味する。カロテノイド組成物中に含まれる各成分濃度についての沈殿化速度は、カンタキサンチンよりもアスタキサンチンの方が速いため、沈殿物のカロテノイド組成は、沈殿原液(ミセル化液)におけるアスタキサンチンとカンタキサンチンの割合と比較して、アスタキサンチンが多く、カンタキサンチンが少なくなる。その結果、得られるカロテノイド組成物に含まれるカンタキサンチンの低減化が達成される。
沈殿化が進行すると、アスタキサンチン沈殿化速度は次第に遅くなるが、カンタキサンチン沈殿化速度はそれほど低下しないため、時間とともに沈殿したカンタキサンチンの量は次第に増え、カンタキサンチンの比率は沈殿原液(ミセル化液)の組成に近づく。従って、望ましい時点で沈殿化を終了し、後述する沈殿物の分離回収を行うことになる。
ミセル化液中で保持する溶媒濃度は、沈殿化速度に影響し、高濃度ほど沈殿化速度が速くなる。エタノールの場合、濃度が1%上昇すると沈殿化速度は約1.7倍速くなる。一方、エタノール濃度を変更しても得られる沈殿物のカロテノイド含量は変わらず品質的に影響しない。また前述のとおり、沈殿化が進行しアスタキサンチン収率が上昇するのに伴い、沈殿物のカンタキサンチン比率が上昇し沈殿原液(ミセル化液)の組成に近づくが、このアスタキサンチン収率とカンタキサンチン比率との関係は溶媒濃度を変更しても変わらず選択性に影響しない。従って、溶媒濃度を適切に設定することにより沈殿化速度のコントロールを行うことが可能である。水と溶媒の混合液全体の容量に対する溶媒の容量パーセントで定義される溶媒濃度は、好ましくは、5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは13%以上であり、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは26%以下である。沈殿化時間は通常10分間〜24時間の範囲で行うが、沈殿物のカンタキサンチン比率の経時変化や分離回収時の濾過所要時間などを考慮して溶媒濃度と沈殿化時間を決定すれば良い。溶媒濃度を調整するには、水と噴射添加する抽出液の容量比を変えても良く、ミセル化後に溶媒を追加あるいは水を添加して希釈することによっても良い。
沈殿化のための加熱温度(沈殿化温度という)は、沈殿化速度に影響し、高温ほど沈殿化速度が速くなる。この時沈殿化温度が高い方が得られる沈殿物のカロテノイド含量は高く品質的に有利である。また沈殿化温度が高いほど、アスタキサンチン収率に対するカンタキサンチン比率が低くなるため、アスタキサンチンに対する選択性が高く有利である。沈殿化温度は40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。温度上限としては、例えばエタノールを使用した場合、沸点を考慮して、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。
沈殿化の際の攪拌速度は、沈殿化速度に影響し、攪拌速度を上げると沈殿化速度は速くなる。一方、このとき得られる沈殿物のカロテノイド含量は変わらず品質に影響しない。またアスタキサンチン収率とカンタキサンチン比率との関係は、撹拌速度を変更しても変わらず選択性に影響しない。従って、攪拌速度により沈殿化速度のコントロールを行うことも可能である。ただし、あまり高速で攪拌すると攪拌子や攪拌羽や容器壁に沈殿物が付着し、沈殿回収に支障が出る場合があるため、容器や攪拌羽の形状に応じ攪拌の上限を決めるべきである。容器内が均一に攪拌できている程度の低速攪拌の場合は、沈殿付着が起こらない点で好ましい。
【0021】
ミセル化や沈殿化操作中においてカロテノイドの酸化を極力防止したい場合には、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気で処理することができ、また、医薬品や食品で用いられている酸化防止剤を選択して水や抽出液やミセル化液(沈殿原液)に加えて行うことができる。あるいは、これらの処理を組み合わせてもよい。
上記酸化防止剤は、最終的にはカロテノイド組成物から除くことが望ましいが、用いる酸化防止剤の種類(例えば、ビタミンC)によっては除去不要である。
また、光によるカロテノイドの分解を極力防止するために、光を当てない条件下で行うことができる。
【0022】
沈殿化操作後の沈殿物を分離回収する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、膜濾過、遠心分離、デカンテーションなどがあげられる。濾過の際は、濾過液の温度が低下すると濾過速度が遅くなるため、冷却せず濾過した方が有利である。また濾過後、沈殿物を温水で洗浄する工程を加えることができる。
【0023】
得られた沈殿物は、洗浄のため、少量のエタノールを用いて加熱懸濁攪拌させる。エタノールは含水エタノールでも良く、その場合含水量は特に限定されるものではないが、好ましくは10%以下である。エタノールは、沈殿乾燥重量に対し、20〜200倍程度の量を使用するのが好ましいが、得られた沈殿物の純度に応じて適宜決定すれば良い。
洗浄の方法としては、例えば75℃付近に加熱し1時間加熱懸濁攪拌後に冷却し濾取する方法が挙げられる。純度に応じてこの操作を2回以上実施しても良い。
この時、カロテノイド以外の不純物はエタノールによって溶解除去され、高純度カロテノイドが得られる。またシス型アスタキサンチンはトランス型アスタキサンチンよりエタノールに易溶性であるため、得られるカロテノイド含有組成物に含まれるシス型アスタキサンチンの量は低減され、トランス型アスタキサンチンの比率が高まる。本発明の方法で得られるカロテノイド含有組成物においては、トランス型アスタキサンチンに対するシス型アスタキサンチンの比率は20%以下であり、好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
本明細書において、フリー体のカロテノイドとは、カロテノイドに存在する水酸基が脂肪酸とエステル結合していない状態を指す。
常温洗浄では得られた沈殿物の洗浄効果は低く、加熱洗浄の方が洗浄効果が高い。
なお、残存溶媒量を減らすため、濾取洗浄の最後に温水で溶媒置換的に洗浄する工程を加えることもできる。
【0024】
加熱洗浄操作中においてカロテノイドの酸化を極力防止したい場合にも、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気で処理することができ、また、医薬品や食品で用いられている酸化防止剤を選択して温水や抽出液やミセル化液(沈殿原液)に加えて行うことができる。あるいは、これらの処理を組み合わせてもよい。
上記酸化防止剤は、最終的にはカロテノイド組成物から除くことが望ましいが、用いる酸化防止剤の種類(例えば、ビタミンC)によっては除去不要である。
また、光によるカロテノイドの分解を極力防止するために、光を当てない条件下で行うことができる。
【0025】
加熱懸濁攪拌後に得られた洗浄後の沈殿物は、40℃12時間真空乾燥した後、残留溶媒低減化のため、粉砕乾燥を行う。例えば、密閉型乳鉢式粉砕機(たとえばCMT社(東京)振動ミル)中で窒素置換下5分間粉砕してから40℃1時間真空乾燥する操作を、2回行う。従来技術での濃縮晶析結晶と比較して、本発明のカロテノイド組成物は、溶媒よりも水を多く含む母液から晶析するため、粉砕前の結晶中の溶媒含量が少ない。さらには粉砕乾燥の工程において、カロテノイド含有組成物は、溶媒が除去されやすい緩い結晶構造をとっていると推定され、上記操作で容易に残留溶媒を低減化でき、エタノール残留濃度は官能評価上問題ないレベルである100ppm以下となる。本発明の方法で得られるカロテノイド含有組成物中のエタノール残留濃度は、200ppm以下であり、好ましくは150ppm以下であり、さらに好ましくは100ppm以下である。
【0026】
上記の製造方法を用いて得られるカロテノイド含有組成物におけるカロテノイド含量、及びアスタキサンチン等の主成分含量の調整は、収量が最大となる様に上記精製工程の条件を適宜変更することによって行うことができる。本発明のカロテノイド含有組成物におけるアスタキサンチン含量は、菌体内におけるカロテノイド中のアスタキサンチン量及びその後の精製工程から粉砕乾燥工程において得られるアスタキサンチンの収率によって規定される。上記菌体としてアスタキサンチンを生産するParacoccus属細菌を使用すると、組成物中の全カロテノイド量に対してアスタキサンチンを50%以上含有するカロテノイド含有組成物を得ることができる。例えば、本発明のカロテノイド含有組成物は、全カロテノイド量に対して40%以上、好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上のアスタキサンチンを含有する。
【0027】
本発明の製造方法は、上記の通り、カロテノイドを産生する微生物の培養物の水溶性有機溶媒での抽出液を、水中に分散させてミセル化した後、適切な溶媒濃度にて適切な時間加熱攪拌することによりミセル化を破壊し、アスタキサンチンを優先的に晶析・沈殿化させて、得られるカロテノイド含有組成物中に含まれるカンタキサンチンを低減化した後、沈殿物をエタノールで加熱洗浄後、粉砕乾燥することを特徴とする。これらの極めて簡便な操作のみにより、カロテノイドを高純度で得ることができ、アスタキサンチンを優先的に晶析・沈殿化させることにより、得られるカロテノイド含有組成物中に含まれるカンタキサンチンを低減化でき、濃縮晶析結晶と比較して粉砕乾燥により容易に残留溶媒を低減化させることができる。本発明で得られるカロテノイド含有組成物におけるカロテノイドの含有率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。また、カロテノイド含有組成物におけるカンタキサンチンのアスタキサンチンに対する比率は、好ましくは2.5%以下であり、より好ましくは1.5%以下である。
本発明の方法は、従来技術に比較して、1)複雑な操作を必要としない、2)低濃度溶液の高純度化のような非効率的な精製操作を必要としない、という点において、工業的な観点から著しく有利である。そして本発明の特徴として、3)アスタキサンチンを高含量で含む高純度カロテノイド組成物を安価に提供できる点、4)カンタキサンチン含量が少なく、食品や医薬組成物として安全なカロテノイド組成物を提供できる点、5)残留溶媒が少なく、食品や医薬組成物や化粧品として安全かつ加工しやすいカロテノイド組成物を提供できる点で優れた工業的製造方法を提供するものである。
【0028】
本発明のカロテノイド含有組成物を含有する食品、医薬組成物、又は化粧品も本発明の範囲内である。
本発明の製造方法により製造されるアスタキサンチン高含量の高純度カロテノイドを含有する医薬品の剤型としては、散剤、顆粒剤、丸剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル剤、速崩剤、シロップ、液剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、粘付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は定法に従って調製されるが、カロテノイドは水に難溶性であるため、植物性油、動物性油等の非親水性有機溶媒に溶解するか又は、乳化剤、分散剤もしくは界面活性剤等とともに、ホモジナイザー(高圧ホモジナイザー)を用いて水溶液中に分散、乳化させたり、温度をかけて溶解させたりして用いる。さらに、カロテノイドの吸収性を高めるために、平均粒子径を1ミクロン程度まで微粉砕し用いることも可能である。
【0029】
製剤化のために用いることができる添加剤としては、例えば大豆油、サフラワー油、オリーブ油、胚芽油、ひまわり油、グレープシード油、牛脂、いわし油等の動植物性油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤、精製水、乳糖、デンプン、結晶セルロース、D−マンニトール、レシチン、アラビアゴム、ソルビトール液、糖液等の賦形剤、その他の甘味料、着色料、pH調整剤、香料などをあげることができる。尚、液体製剤は、服用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形態であってもよい。また、錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしても良いし、ゾル状又はゲル状物質等で包んでもよい。
【0030】
注射剤の形で投与する場合としては、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、経皮、関節内、滑液嚢内、胞膜内、骨膜内、舌下、口腔内などに投与することが好ましく、特に静脈内投与又は腹腔内が好ましい。静脈内投与は、点滴投与、ボーラス投与のいずれであってもよい。
カロテノイドを医薬品として使用する場合、用法及び用量として、大人(体重60 kg)1 日あたり、1mg〜3g 、好ましくは3mg 〜1g 、より好ましくは10mg〜670mgである。大人 1日あたり、体重1kg換算では、それぞれ17μg〜50mg 、50μg〜17mg 、160μg〜12mgとなる。上記用量は1から数回に分けて投与される。但し、薬学的な有効量、投与方法または投与手段および投与期間は、投与対象の臨床状態、性別、年齢、体重などに応じて当業者により適宜設定することができる。
【0031】
本発明のアスタキサンチン高含量の高純度カロテノイドを含有する食品の形態としては、例えばサプリメント(散剤、顆粒剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル錠、速崩錠、シロップ、液剤等)、飲料(お茶、炭酸飲料、乳酸飲料、スポーツ飲料等)、菓子(グミ、ゼリー、ガム、チョコレート、クッキー、キャンデー等)、油、油脂食品(マヨネーズ、ドレッシング、バター、クリーム、マーガリン等)、調味料(ケチャップ、ソース等)、流動食、乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ等)、パン類、麺類(うどん、そば、ラーメン、パスタ、焼きそば、きしめん、ソーメン、冷麦、ビーフン等)等が挙げられる。但し、食品の形態はこれらの形態に限定されるものではない。
【0032】
本発明のアスタキサンチン高含量の高純度カロテノイドを含有する機能性食品には、必要に応じて各種栄養素、各種ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE等)、各種ミネラル類、食物繊維、多価不飽和脂肪酸、その他の栄養素(コエンザイムQ10、カルニチン、セサミン、α−リボ酸、イノシトール、D−カイロイノシトール、ピニトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルDHA、ホスファチジルイノシトール、タウリン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、S−アドノシルメチオニン等)、分散剤、乳化剤などの安定剤、甘味料、呈味成分(クエン酸、リンゴ酸等)、フレーバー、ローヤルゼリー、プロポリス、アガリクス等を配合することができる。また、本発明の食品には、ペパーミント、ベルガモット、カモミール、ラベンダー、タイム等のハーブ類を配合しても良い。また、本発明の食品には、テアニン、デヒドロエピアンドステロン、メラトニンなどの素材を配合しても良い。
【0033】
本発明のアスタキサンチン高含量の高純度カロテノイドを含有する化粧品としては、クリーム、乳液、ローション、マイクロエマルジョンエッセンス、入浴剤等が挙げられ、香料等を混合しても良い。
カロテノイドを食品又はサプリメントとして使用する場合、用法及び用量として特に限定されるものではないが、大人(体重60 kg)1日あたり、体重1kg換算で、17μg〜50mg 、好ましくは50μg〜17mg 、より好ましくは160μg〜12mgである。
また、カロテノイドを化粧品として使用する場合、化粧品100gあたり10μg〜5g 、好ましくは10μg〜2g 、より好ましくは10μg〜1gの量を配合することができる。
【実施例】
【0034】
本発明を実施例、参考例、製剤例及び試験例に基づいて説明するが、本発明の範囲は以下の例に限定されることはない。
なお、実施例におけるアスタキサンチン、カンタキサンチン及びカロテノイドの定量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。カラムはWakosil−II SIL−100(φ4.6×250mm)(和光純薬製)を2本連結して使用した。溶出は、移動相であるn−ヘキサン−テトラヒドロフラン−メタノール混合液(40:20:1)を室温付近一定の温度にて毎分1.0ml流すことで行った。測定においては、サンプルをテトラヒドロフランで溶解したものを移動相にて100倍希釈した液20μlを注入量とし、カラム溶離液の検出は波長470nmで行った。また、定量のための標準品としては、シグマ社製アスタキサンチン(Cat.No.A9335)を用いた。標準液のアスタキサンチン濃度の設定は、標準液の477nmの吸光度(A)及び上記条件でHPLC分析を行ったときのアスタキサンチンピークの面積百分率%(B)を測定した後に、以下の式を用いて行った。
アスタキサンチンの濃度(mg/l)=A÷2150×B×100
【0035】
実施例におけるシス型アスタキサンチンおよびトランス型アスタキサンチンの比率分析は、高速クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。カラムはTSKgel80Ts(φ4.6×150mm)(東ソー)を使用した。溶出は、移動相としてメタノール−水混合液(95:5)(A)と、THF(B)とを、以下のリニアグラジエント組成にて、35℃にて毎分1.0ml流すことで行った。グラジエント組成は、以下のとおりである:A/B=100/0(0分)、A/B=100/0(5分)、A/B=20/80(25分)、A/B=20/80(29分)、A/B=100/0(30分)、A/B=100/0(45分)。
測定においては、サンプルをテトラヒドロフランで溶解した液5μlを注入量とし、カラム溶離液の検出は波長470nmで行った。また、標準品としては、シグマ社製アスタキサンチン(Cat.No.A9335)および、該サンプルをクロロホルムに溶解した後加熱処理したシス型アスタキサンチンとトランス型アスタキサンチンの混合溶液を用いた。
【0036】
実施例における残留エタノール分析は、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー(HS−GC)を用いて行った。ヘッドスペース装置は、HS−40(パーキンエルマー)を使用した。粉砕前のサンプルは10mgを秤量し、粉砕乾燥後のサンプルは50mgを秤量し、それぞれ10mlのクロロベンゼンと共に22ml容量のHS専用バイアルにパッキングし、HS装置にセットした。105℃60分加熱してサンプルを溶解させ、溶解液中に含まれるエタノールを遊離させた後、気相部分を注入分析した。GCカラムは、ZB−624(0.32mmI.D.x30m、df=1.80μm)(フェノメネックス)を用い、キャリアーガスは窒素を用い、流速4ml/min、注入部温度140℃、検出部温度250℃、検出器はFIDを用いた。カラム温度は、分析開始後5分間40℃保持、3.25分かけて170℃まで上昇させ、5分間170℃保持したのち、40℃に戻した。定量のための標準サンプルは、エタノールをクロロベンゼンに0.1ppm、1ppm、および10ppm溶解し、10mlを専用バイアルにパッキングしたものを用いた。
【0037】
[実施例1]アスタキサンチン高含量の高純度カロテノイドの製造1
工程1:エタノール抽出工程
E−396菌株(FERM BP−4283)を培養して得られた菌体であって、その1g中に20mgのアスタキサンチンと0.72mgのカンタキサンチンを含む乾燥菌体25gに、エタノール500mlを加え、高圧容器内で窒素置換した雰囲気下95℃にて2分間攪拌しながらアスタキサンチンを含むカロテノイドの抽出を行った。50℃に冷却後、濾過にて菌体を除き、さらに菌体ケークをエタノールにて洗浄してアスタキサンチン濃度668μg/ml、カンタキサンチン濃度24μg/ml、カロテノイド濃度1370μg/ml、 カンタキサンチン/アスタキサンチン比率3.53%の抽出液589mlを得た。
【0038】
工程2:ミセル化、及び沈殿化工程
本実施例の工程1で得られた抽出液589mlを、65℃の温水2,590ml上に、350rpmで攪拌しながら、200ml注射器を用いて10分間かけて噴射し分散ミセル化させた。この時エタノール濃度は、18.7%であった。これを密封し引き続き65℃に保温しながら150rpmで3.5時間攪拌し、アスタキサンチンを優先的に沈殿化させたのち、冷却せずに沈殿物を濾取し、濾取の最後に沈殿ケーク上に65℃温水100mlを加えて洗浄した。沈殿物のカンタキサンチン/アスタキサンチン比率は1.46%であった。
なお、沈殿化の途中でサンプリングして沈殿物を濾取分析し、沈殿物のカンタキサンチン/アスタキサンチン比率の経時変化を見たところ、2時間目で0.72%、2.5時間目で0.97%、3時間目で1.20%であった。
【0039】
工程3:沈殿加熱洗浄工程
本実施例の工程2で得られた沈殿物を、エタノール70mlに懸濁し、品温75℃で1時間加熱攪拌洗浄したのち室温に冷却し、沈殿物を濾取し、濾取の最後に5mlのエタノール、続いて5mlの65℃温水を加え洗浄した。これを40℃12時間真空乾燥し、350mgの乾燥物を取得した。この乾燥物中のアスタキサンチン含量は71.6%、カロテノイド含量は99.8%、カンタキサンチン/アスタキサンチン比率は1.46%、シス型アスタキサンチン/トランス型アスタキサンチン比率は2.84%、エタノール含量は3,240ppm(w/w)であった。
【0040】
工程4:粉砕乾燥工程
本実施例の工程3で得られた乾燥物を、密閉型乳鉢式粉砕機(CMT社(東京)振動ミル)中で窒素置換下5分間粉砕し、40℃1時間真空乾燥する操作を2回行った。この粉砕乾燥物のアスタキサンチン含量は71.5%、カロテノイド含量は98.9%、カンタキサンチン/アスタキサンチン比率は1.44%、シス型アスタキサンチン/トランス型アスタキサンチン比率は4.80%、エタノール含量は40.3ppm(w/w)であった。
粉砕乾燥によりエタノール含量が大きく低下することがわかる。またこの時シス型アスタキサンチン/トランス型アスタキサンチン比率がやや増加するが、アスタキサンチン含量とカロテノイド含量とカンタキサンチン/アスタキサンチン比率は大きな変化はない。
【0041】
[比較例1]沈殿洗浄を室温で実施した場合の影響
実施例1における沈殿加熱洗浄の代わりに室温洗浄を行う以外は同様に工程1から工程3まで実施したところ、得られた乾燥物中のアスタキサンチン含量は53.5%、カロテノイド含量は80.5%、カンタキサンチン/アスタキサンチン比率は1.46%、シス型アスタキサンチン/トランス型アスタキサンチン比率は12.3%、エタノール含量は119ppm(w/w)であった。
室温洗浄では、加熱洗浄と比較してアスタキサンチン含量とカロテノイド含量とが低く、洗浄による不純物除去効果が低いことがわかる。またシス型アスタキサンチン/トランス型アスタキサンチン比率が高く、シス型アスタキサンチンの除去効果も低いことがわかる。
【0042】
[実施例2]アスタキサンチン高含量の高純度カロテノイドの製造2
工程1:エタノール抽出工程
E−396菌株(FERM BP−4283)を培養して得られた菌体であって、その1g中に20mgのアスタキサンチンと0.72mgのカンタキサンチンを含む乾燥菌体25gに、90%(v/v)エタノール500mlを加え、高圧容器内で窒素置換した雰囲気下100℃にて2分間攪拌しながらアスタキサンチンを含むカロテノイドの抽出を行った。50℃に冷却後、濾過にて菌体を除き、さらに菌体ケークを90%(v/v)エタノールにて洗浄してアスタキサンチン濃度605μg/ml、カンタキサンチン濃度20 μg/ml、カロテノイド濃度1,210μg/ml、 カンタキサンチン/アスタキサンチン比率3.32%の抽出液568mlを得た。
【0043】
工程2:ミセル化、及び沈殿化工程
本実施例の工程1で得られた抽出液568mlを、65℃の温水2,180ml上に、350rpmで攪拌しながら、200ml注射器を用いて10分間かけて噴射し分散ミセル化させた。この時エタノール濃度は、18.7%であった。これを密封し引き続き65℃に保温しながら150rpmで5.4時間攪拌し、アスタキサンチンを優先的に沈殿化させたのち、冷却せずに沈殿物を濾取し、濾取の最後に沈殿ケーク上に65℃温水100mlを加えて洗浄した。沈殿物のカンタキサンチン/アスタキサンチン比率は1.44%であった。
なお、沈殿化の途中でサンプリングして沈殿物を濾取分析し、沈殿物のカンタキサンチン/アスタキサンチン比率の経時変化を見たところ、2時間目で0.53%、3時間目で0.76%、4時間目で1.04%、5時間目で1.34%であった。
【0044】
工程3:沈殿加熱洗浄工程
本実施例の工程2で得られた沈殿物を、90%(v/v)エタノール70mlに懸濁し、品温75℃で1時間加熱攪拌洗浄したのち室温に冷却し、沈殿物を濾取し、濾取の最後に5mlの90%(v/v)エタノール、続いて5mlの65℃温水を加え洗浄した。これを40℃12時間真空乾燥し、264mgの乾燥物を取得した。この乾燥物中のアスタキサンチン含量は70.2%、カロテノイド含量は99.1%、カンタキサンチン/アスタキサンチン比率は1.49%、シス型アスタキサンチン/トランス型アスタキサンチン比率は4.93%、エタノール含量は1,810ppm(w/w)であった。
【0045】
工程4:粉砕乾燥工程
本実施例の工程3で得られた乾燥物を、密閉型乳鉢式粉砕機(CMT社(東京)振動ミル)中で窒素置換下5分間粉砕し、40℃1時間真空乾燥する操作を2回行った。この粉砕乾燥物のアスタキサンチン含量は69.1%、カロテノイド含量は98.3%、カンタキサンチン/アスタキサンチン比率は1.48%、シス型アスタキサンチン/トランス型アスタキサンチン比率は6.08%、エタノール含量は63.2ppm(w/w)であった。
抽出溶媒および沈殿加熱洗浄溶媒に90%(v/v)エタノールを使用しても、実施例1と同様の品質の粉砕乾燥物が取得できることがわかる。
【0046】
[食品例1]マーガリン
抗酸化剤及び着色剤として、実施例1で得たアスタキサンチン組成物を、マーガリンの5重量%になるように植物油に添加した後、乳化剤などと共に均一になるように攪拌し、通常の方法によりマーガリンを作成した。このマーガリンは、通常のマーガリンと比較して、アスタキサンチンの存在により、薄い赤色を呈していた。
【0047】
[食品例2]オリーブ油
実施例1で得たアスタキサンチン組成物を、オリーブ油の0.25重量%になるように添加した後、50℃にて攪拌して溶解させ、常温まで冷却した。このオリーブ油は、通常のオリーブ油と比較して、アスタキサンチンの存在により、濃い赤色を呈していた。またアスタキサンチン組成物の添加量を変更することで色の濃さは変化させることができた。さらに長時間放置しても一度溶解したアスタキサンチンは、析出しなかった。
【0048】
[製剤例1]アスタキサンチン含有錠剤
実施例1で得たカロテノイド含有組成物110重量部に対して結晶セルロース330重量部、カルメロース−カルシウム15重量部、ヒドロキシプロピルセルロース10重量部及び精製水60重量部を用いて通常の方法にて配合、乾燥した後、10重量部のステアリン酸マグネシウムを添加し、打錠を行い、1錠あたりカロテノイド含有組成物を20mg含有する100mgの錠剤を得た。
【0049】
[製剤例2]アスタキサンチン含有ソフトカプセル
実施例1で得たカロテノイド含有組成物1重量部に、5倍重量部の大豆油に懸濁し、均一になるように十分に混合した後、カプセル充填機にてカプセル充填し、内容物約300mgの赤褐色のカプセルを得た。
【0050】
[化粧品例1]アスタキサンチン含有クリーム剤(化粧品)
実施例1で得たアスタキサンチン含有組成物を、白色ワセリンに10重量%になるように添加し、芳香剤などと共に、均一になるように分散し、通常の方法によりクリーム剤を作製した。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、天然物由来の高純度、安価かつ安全なカロテノイド高含有組成物及びその工業的な製造方法を提供することができ、その結果、該組成物を含有する機能性食品、医薬組成物、又は化粧品を提供することができる。
【受託番号】
【0052】
E−396菌株は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに以下の通り国際寄託されている。
国際寄託当局:独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター
(旧名称:通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所)
〒305-8566
茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6
識別のための表示:E−396
受託番号:FERM BP−4283
原寄託日:平成5年(1993年)4月27日
【配列表フリーテキスト】
【0053】
配列番号1:未知生物(E−396)の説明

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の1)〜3)の工程を含むカロテノイドの精製方法。
1)カロテノイドを産生する微生物の培養物を、水溶性有機溶媒で抽出する工程
2)得られる抽出液を、水中に分散させミセル化する工程
3)得られるミセル化液を、溶媒中で加熱攪拌してミセルを破壊し、目的のカロテノイド成分を沈殿させる工程
【請求項2】
以下の1)〜5)の工程を含むカロテノイド含有組成物の製造方法。
1)カロテノイドを産生する微生物の培養物を、水溶性有機溶媒で抽出する工程
2)得られる抽出液を、水中に分散させミセル化する工程
3)得られるミセル化液を、溶媒中で加熱攪拌してミセルを破壊し、目的のカロテノイド成分を沈殿させて沈殿物を得る工程
4)前記沈殿物を回収してエタノールで加熱洗浄する工程
5)沈殿物をさらに粉砕乾燥する工程
【請求項3】
水溶性有機溶媒が、エタノールである請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
目的のカロテノイド成分がアスタキサンチンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
カロテノイド含有組成物が、カロテノイドを85%以上含有する組成物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
カロテノイド含有組成物に含まれるカロテノイドに対するアスタキサンチンの比率が40%以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
カロテノイド含有組成物に含まれるアスタキサンチンに対するカンタキサンチンの比率が2.5%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
カロテノイド含有組成物に含まれるアスタキサンチンのトランス型に対するシス型の比率が20%以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
カロテノイド含有組成物に含まれるエタノール含量が200ppm以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
微生物が、Paracoccus属に属する細菌である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
微生物の16SリボゾームRNAに対応するDNAの塩基配列が、配列番号1に記載の塩基配列と実質的に相同である請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
微生物が、E−396株(FERM BP−4283)又はその変異株である請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法で得られる、カロテノイド含有組成物。
【請求項14】
カロテノイドがフリー体である、請求項13に記載のカロテノイド含有組成物。
【請求項15】
請求項13および14に記載のカロテノイド含有組成物を含有する食品、医薬組成物、又は化粧品。

【公開番号】特開2010−193865(P2010−193865A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46105(P2009−46105)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】