説明

カンチレバーおよびその利用

【課題】 探針部分の振動振幅を微小にすることが可能である一方、カンチレバーの変位をある程度の大きさの振動振幅で検出することができ、かつ微細加工も可能な構成のカンチレバーおよびその利用を提供する。
【解決手段】 一方の端部11が支持台12に固定されており、もう一方の端部13が自由端である片持ち梁構造のレバー部10と、レバー部10の自由端13に力検出部15と、変位を検出するための変位検出部20と、を備えており、変位検出部20は、力検出部15と共振して振動する構造であり、力検出部15を振動させた場合、変位検出部20の振幅が力検出部15の振幅に比べて大きくなる共振周波数を有するカンチレバー100によれば、探針部分の振動振幅を微小にすることが可能である一方、カンチレバーの変位をある程度の大きさの振動振幅で検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型原子間力顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡やガスセンサ等の検出機器に利用可能なカンチレバーおよびその利用に関するものであり、特に、振動振幅を小さくし、高感度な測定を可能としたカンチレバーおよびその利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子間力顕微鏡(AFM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)に代表される走査型プローブ顕微鏡は、試料表面の微細な形状を観察することができることから広く普及している。AFMの動作原理は、カンチレバーと呼ばれる微小な探針と試料表面間に働く原子間力(斥力あるいは引力)を検出し、その力が一定になるように試料表面を走査し、表面凹凸を描き出すというものである。“力”は、カンチレバーの変位で検出する。例えば、カンチレバー背面にレーザを照射し、反射光を4分割のフォトディテクタに入射させ、光の変位量として検出する。
【0003】
AFMに用いられる一般的なカンチレバーの構造を図8に示す。同図に示すように、従来のカンチレバー500は、レバー部50、支持台52、探針54から構成される。レバー部50は、その一方の端部51が支持台52に固定化された短冊形の片持ち梁構造であり、支持台52に固定化されていないもう一方の端部53に探針54を装着したものである。
【0004】
また、上述のようなカンチレバーの形状を工夫することによって高感度化を達成できることが知られている。例えば、特許文献1には、支持台からレバー部が片持ち梁式に延びており、該レバー部の基部にくびれ部を形成し、該くびれ部に対応するレバー部上に、例えばU字状の抵抗層からなる変位検出器を構成したカンチレバーが開示されている。この発明によれば、前記レバー部の先端に設けられたチップ(探針)に小さな力が働いても前記レバー部はたわみを生ずるので、高感度の力変位センサ付カンチレバーを提供することができるようになると報告されている。
【0005】
ところで、AFM等の走査型プローブ顕微鏡における測定手法としては試料と探針とが静的に接触した状態で観察するコンタクモードと試料と探針とが周期的接触する状態または非接触状態で観察するダイナミックモードの2種類が知られている。
【0006】
このダイナミックモードを用いたAFMは、DFM(dynamic force microscope)とも称され、振動する探針(プローブ)を試料上方から接近させ、試料に極めて近い位置に接近させ、試料のAFM像を得る技術として提唱されたものである。具体的には、カンチレバーを共振振動数の近傍で振動させ、カンチレバーの振動振幅を、例えば、光てこ方式を利用してフォトディテクタで検出し、試料表面を走査中に発生する試料−探針間の相互作用力に由来するカンチレバーの振動特性の変化分を検出し、これらの変化量を一定に保ちながら探針位置の試料表面からの平均距離を制御しながら二次元的に走査し、その軌跡を画像化することで、サンプルの局所的な表面構造や表面の物理化学的特性を示すものである。
【0007】
上述のカンチレバーを用いたダイナミックモードAFMにおける“力”計測の高感度化のためには、カンチレバーの探針の試料表面との平均距離を可能な限り接近させることが好ましいと考えられている。上述した従来のカンチレバー500のような構成では、探針の試料表面との平均距離は、探針54が設けられている端部53の振動振幅の変位量の半分程度の距離であり、試料と探針54とを接近させるには、振動振幅を小さくすればよい。したがって、カンチレバーの振動振幅をできる限り小さくして、カンチレバーの探針を試料表面に可能な限り接近させる技術の開発が求められていた。
【0008】
例えば、非特許文献1には、音叉型水晶振動子を用いて探針を微小に振動振幅させて高感度な力計測を行った報告がある。
【特許文献1】特開平9−304409号公報(公開日:平成9年(1997)11月28日)
【非特許文献1】Franz J. Giessibl, Appl. Phys. Lett. 76, 1470 (2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記非特許文献1に開示の技術では、水晶振動子を用いているため、周波数やばね定数を自由に選ぶことはできず、また探針を安定に作製することが困難であるという問題点があった。このため、シリコン等の微細加工が可能な微小振幅用カンチレバーの開発が求められていた。
【0010】
さらに、カンチレバーの振動振幅を小さくする場合、FM変調方式(FM検出法)における検出信号の位相ノイズが増加し、高感度の検出が困難になるという問題点が発生する。したがって、上記位相ノイズの低減のためには、振動振幅を大きくすることが望ましいといえる。
【0011】
このように、検出感度を向上させるためには、探針を試料表面に対して可能な限り接近させるため、探針部分の振動振幅を可能な限り小さくする必要がある一方で、探針−試料間に発生する相互作用力によってカンチレバーの振動特性に生じる変化を確実に検出するためには、カンチレバーの振動振幅をある程度の大きさに維持する必要があるという相反する問題が存在していた。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、探針部分の振動振幅を微小にすることが可能である一方、カンチレバーの変位をある程度の大きさの振動振幅で検出することができ、かつ微細加工も可能な構成のカンチレバーおよびその利用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、カンチレバーのレバー部分の内側に新たに変位検出用の梁構造を形成したところ、この変位検出用の梁構造の構造共振により、新規な共振モードを有する共振構造カンチレバーが作製できること、そして、新規な共振モードでは、変位検出用の梁構造は比較的大きな振幅で振動するが、探針を設けたカンチレバー先端部では非常に微小な振動となること等から、探針部分の振動振幅が小さいため、探針を試料に接近させることができる一方で、大きな振幅で振動する変位検出用の梁構造の動きを測定することにより変位検出を容易に行えることを見出し、本願発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、産業上有用な物質として、以下の発明(1)〜(10)を包含する。
【0014】
(1)一方の端部が支持台に固定されており、もう一方の端部が自由端である片持ち梁構造のレバー部と、試料と近接した際に発生する力を検出するための力検出部と、変位を検出するための変位検出部と、を備えており、上記変位検出部は、上記力検出部と共振して振動する構造であり、上記カンチレバーは、上記力検出部を振動させた場合、上記変位検出部の振幅が上記力検出部の振幅に比べて大きくなる共振周波数を有するカンチレバー。
【0015】
(2)上記力検出部と変位検出部とは、それぞれ独立して配置されており(別々に配置されており)、上記変位検出部は、上記レバー部に接続部を介して、一端が固定された片持ち梁構造で設けられている(1)に記載のカンチレバー。
【0016】
(3)上記共振周波数にて上記力検出部を振動振幅させた場合、上記変位検出部の振動振幅は、上記力検出部の振動振幅の2〜100倍の大きさである(1)または(2)に記載のカンチレバー。
【0017】
(4)上記変位検出部は、その自由端が上記レバー部の自由端と180°異なった向きに設けられており、かつ、その長手方向の中心軸が上記レバー部の長手方向の中心軸と一致するように設けられている(1)〜(3)のいずれかに記載のカンチレバー。
【0018】
(5)上記レバー部は、上記支持台に固定された端部と自由端との間に空洞部を有しており、上記変位検出部は、上記空洞部の内部に収まるように設けられている(1)〜(4)のいずれかに記載のカンチレバー。
【0019】
(6)上記変位検出部は、上記レバー部の長手方向に対して垂直に設けられている(1)〜(3)のいずれかに記載のカンチレバー。
【0020】
(7)上記変位検出部は、上記レバー部を挟んで、対向するように、複数個設けられている(6)に記載のカンチレバー。
【0021】
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載のカンチレバーと、上記カンチレバーを所定の周波数にて振動させる振動手段と、上記カンチレバーが有する変位検出部の振動振幅を検出する検出手段と、を備える走査型プローブ顕微鏡。
【0022】
(9)上記所定の周波数は、上記カンチレバーが有する共振周波数と略同じ周波数であって、上記カンチレバーにおける力検出部の振幅に比べて、上記変位検出部の振幅がより大きくなる周波数である走査型プローブ顕微鏡。
【0023】
(10)(1)〜(7)のいずれかに記載のカンチレバーを備えることを特徴とするガスセンサ。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るカンチレバーによれば、探針を有するレバーと共振周波数を有し、探針部分の振動振幅を増幅する変位検出部を備えるため、試料表面に接近する探針部分の振動振幅を小さくすることができる一方で、レバーの変位検出には大振動振幅を利用することができる。このため、従来のダイナミックモードAFM等に用いられるカンチレバーに比べて、探針をより試料に接近させることが可能になる。また、比較的大きな振幅で振動する変位検出部の振幅変化を測定することができるため、変位検出も容易に行え、ノイズの影響を低減させることができ、高感度な力計測が可能になるという効果を奏する。
【0025】
さらに、かかる本発明に係るカンチレバーを用いた走査型プローブ顕微鏡やガスセンサも高感度化を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、AFM等の走査型プローブ顕微鏡やガスセンサに利用可能なカンチレバーおよびその利用に関するものである。このため、以下の実施形態では、まず本発明に係るカンチレバーについて説明し、次いでその利用法について記載することとする。
【0027】
<1.本発明に係るカンチレバー>
本発明に係るカンチレバーは、一方の端部が支持台に固定されており、もう一方の端部が自由端である片持ち梁構造のレバー部と、試料と近接した際に発生する力を検出するための力検出部と、変位を検出するための変位検出部と、を備えており、上記変位検出部は、上記力検出部と共振して振動する構造であり、上記カンチレバーは、上記力検出部を振動させた場合、上記変位検出部の振幅が上記力検出部の振幅に比べて大きくなる共振周波数を有する構成であればよく、その他の材質、大きさ(長さ、幅、厚み等)、形状等は特に限定されるものではなく、従来公知のカンチレバーの構成を適宜利用可能である。つまり、上述の機能を達成できるものであれば、本願発明に含まれ得る。
【0028】
本発明の特徴的な構成の一つは、上記力検出部と変位検出部とは、別々に配置されており、上記変位検出部は、上記レバー部に接続部を介して、一端が固定された片持ち梁構造で設けられていることである。このような構成であれば、力検出部と変位検出部とを分離することができ、力検出部は微小振幅で振動させ、その一方で変位検出部を位相ノイズ等の影響を受けない程度に大きく振動させて、力検出部の変位を計測することができる(新共振モード)。つまり、本発明に係るカンチレバーは、上述の新共振モードが可能なように、変位検出部を備える構成であればよいと換言できる。
【0029】
ここで、本発明でいう文言「片持ち梁構造」とは、梁(竿)構造の一方の端部が支持台等の支持部材に固定化されている固定端であり、その他方の端部は支持部材に固定化されることなく、自由端として存在する構成のことである。また、文言「固定端」とは、片持ち梁構造における、支持台等の支持手段に固定されている端部のことをいう。一方、文言「自由端」とは、片持ち梁構造における、支持台等の支持手段に固定されていない端部のことをいい、この自由端は振動可能に構成されている。
【0030】
また、「力検出部」とは、試料と近接した際に発生する力を検出するためのものである。すなわち、カンチレバーの自由端に設けられており、試料と接近し、近接距離において生じる試料表面と力検出部との間の相互作用力を検出するための部材である。この力検出部の具体的な構成も特に限定されるものではなく、従来公知のカンチレバーにおける力検出部の構成を好適に利用可能である。例えば、従来公知の探針をレバー部の自由端に設けることにより、この探針とレバー部の自由端とが、力検出部として機能する。
【0031】
本発明に係るカンチレバーの材質としては、微細加工の点から、シリコン膜、シリコン窒化膜あるいはシリコン酸化膜等が好ましいが、これに限られるものではない。
【0032】
レバー部の形状は、変位検出部や探針等を形成することができる構成であればよく、具体的な形状は特に限定されるものではないが、短冊形や三角形等の形状が好ましい。
【0033】
変位検出部の形状は、レバー部の変位を検出することができる構成であればよく、変位検出のためには、光てこ方式や容量変位計、歪みゲージ、光干渉計等、他の公知の測定技術を用いることになるため、これらの適用が可能な形状であればよい。例えば、レバー部と同様に短冊形や三角形等の形状が好ましい。
【0034】
なお、本発明に係るカンチレバーは、その力検出部として、試料表面との相互作用力を計測するための探針を備えることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、後述するように探針の代わりに所定のガス成分(ガス分子)が吸着するセンサ部を備えていてもよく、特に限定されるものではない。また、本発明に係るカンチレバーにおいて探針やセンサ部を設ける部位は、特に限定されるものではないが、自由端側が好ましい。
【0035】
かかる本発明に係るカンチレバーの具体的な構成について、以下、図面を用いて説明する。
【0036】
〔実施の形態1〕
図1(a)は、本実施の一形態に係るカンチレバーの構造を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)のカンチレバーを電子顕微鏡にて観察した図であり、(c)は(a)のカンチレバーを上方から見た上面図であり、(d)は(a)のカンチレバーを側面から見た側面図を示す。
【0037】
図1に示すように、本実施形態に係るカンチレバー100は、レバー部10、支持台12、探針14、変位検出部20を備えている。レバー部10は、一方の端部11が支持台12に固定されている片持ち梁構造であり、支持台12に固定されている端部である固定端11、支持台12に固定されていない端部である自由端13を備える。探針14は、レバー部10の自由端13に設けられている。なお、本実施の形態では、探針14およびレバー部10の自由端13が、力検出部15として機能する。
【0038】
本実施の形態では、カンチレバー100のレバー部10、探針14、変位検出部20は、ともにシリコン製である。レバー部10、変位検出部20の形状は、ともに短冊形である。探針14は、円錐形状である。なお、探針14は、シリコン膜、シリコン窒化膜あるいはシリコン酸化膜で作ったレバー部10の先端に、カーボンナノチューブを接着して探針14としてもよい。
【0039】
探針14は、その円錐状の先端を試料表面に近接させて走査し、試料−探針14間に生じる分子間力等の相互作用の“力”を計測するためのものである。レバー部10は、探針14および変位検出部20を支持するものであって、探針14に対して振動振幅を伝達する手段としても機能する。変位検出部20は、その表面にレーザ光等の照射を受け、試料−探針14間の相互作用力に由来するカンチレバーの振動特性の変化分(変位)を検出するためのものである。変位を検出する手段としては、例えば、変位検出部20の表面にレーザ光の照射を行う光てこ方式等が挙げられる。
【0040】
レバー部10には、端部11と端部13との間の胴体部分に、空洞部30が設けられている。空洞部30の形状は、短冊形であり、ちょうどレバー部10の胴体をくり抜いた構造となっている。
【0041】
変位検出部20は、空洞部30内部に収まるように設けられており、接続部25を介して空洞部30の端部(レバー部10)と連結されて片持ち梁構造で設けられている。より詳細には、変位検出部20の一方の端部21が、接続部25を介して、空洞部30における、レバー部10の端部11と対向する側(レバー部10の端部11から遠い側)の端部31と連結されている。
【0042】
すなわち、レバー部10および変位検出部20はともに片持ち梁構造であるが、その固定されている固定端の向きが180°異なっている。換言すれば、振動可能なように構成されているレバー部10の自由端13と変位検出部20の自由端22との向きはちょうど180°異なっている。しかし、レバー部10と変位検出部20におけるの長手方向の中心軸は互いに一致するように構成されている。
【0043】
また、変位検出部20の厚みは、レバー部10の厚みと同じ厚みに構成されている。接続部25は、幅(短手方向、幅方向)および厚みは空洞部30や変位検出部20の幅および厚みに比べてそれぞれ細くまたは薄くなるように構成されている。つまり、接続部25は、ヒンジ構造として構成されているといえる。
【0044】
すなわち、変位検出部20は、レバー部10に設けられた空洞部30の内部に収まるように、かつ振動可能なように、片持ち梁構造で設けられており、また、変位検出部20の自由端22は、レバー部10の自由端13の向きと180°異なる向きで振動振幅可能なように構成され、かつ変位検出部20の長手方向の中心軸とレバー部10の長手方向の中心軸とが一致するように、レバー部10と片持ち梁構造にて連結されている。
【0045】
上述した構造のカンチレバー100は、例えば、市販のシリコン製カンチレバーを用いて、FIB加工により容易に製造することができる。カンチレバーの製造方法も従来公知の微細加工技術を好適に利用することができ、特に限定されるものではないことを念のため付言しておく。
【0046】
上述のような構成のカンチレバー100は、レバー部10および変位検出部20という、2つの異なる片持ち梁構造を有することになる。この場合、カンチレバー100は、力検出部15を振動させると、レバー部10と接続して設けられている変位検出部20も振動する共振周波数を有する。
【0047】
この共振周波数には、力検出部15を大きく振動させた場合、変位検出部20の自由端22も大きく振動する周波数(1次共振モード)と、力検出部15を微小に振動させた場合、変位検出部20の自由端22が大きく振動する周波数(新共振モード)とが存在する。つまり、新共振モードでは、自由端22を大きく振動させても、力検出部15の振動振幅は微小となる。
【0048】
上述の新共振モードの共振周波数にてカンチレバー100を振動させる場合、力検出部15の振幅は微小振幅であるが、変位検出部20の振幅は十分大きく、カンチレバー100の振動特性の変化が十分検出できる程度の大きさとなる。
【0049】
このとき、変位検出部20の振動振幅が、力検出部15における振動振幅の2倍〜100倍の大きさになることが好ましく、より好適には、100倍以上の大きさが好ましい。このように、変位検出部20が、その振動振幅が力検出部15における振動振幅より大きくなる場合、本発明の目的をより確実に達成することができる。
【0050】
上記のカンチレバーを所定の共振周波数にて振動させる場合について、具体的に図2、図3を用いて説明する。図2は、カンチレバー100における力検出部15(図中Aで示す円領域)と変位検出部20の自由端22(図中Bで示す円領域)とを、周波数を掃引して強制振動させた場合の振動振幅を計測した結果を示す図である。図3は、カンチレバー100の共振状態を示す図であり、(a)は周波数125kHzの場合、(b)は周波数445kHzの場合を示す図である。
【0051】
図2に示すように、周波数が125kHz付近では、力検出部15および変位検出部20の自由端22のいずれも大きく振動振幅する共振状態であることがわかる(1次共振モード)。このときのカンチレバー100の振幅状態を模式的に示すと、図3(a)に示すように、力検出部15も、変位検出部20の自由端22も、ともに大きく振幅する。
【0052】
一方、周波数が445kHz付近では、変位検出部20の自由端22は大きく振幅するが、力検出部15の振幅は、非常に微小である(新共振モード)。この新共振モード状態を模式的に図に示すと、図3(b)のようになる。なお、有限要素法によるシミュレーション計算の結果から、周波数445kHzの共振周波数にて、カンチレバー100を振動振幅させた場合、変位検出部20の振動振幅は、力検出部15(自由端)における振動振幅の100倍以上の大きさとなることがわかる。
【0053】
上述したような構成を有するカンチレバー100によれば、新共振モードを達成できる所定の共振周波数にて振動させることにより、力検出部15は微小振幅振動させることができる一方で、変位検出部20の自由端22は大きく振幅させることができる。つまり、変位検出部20の自由端の振幅が力検出部15の振幅より大きくなるように構成することができる。このため、例えば、ダイナミックモードAFMにおいて、カンチレバー100を用いた場合、試料表面に対して、探針14をできる限り接近させることができるため、高精度の計測を行うことが可能となる。
【0054】
また、10−10N以下の原子間力を計測するために、振動方式の力検出法、すなわち、ダイナミックモードの力検出法を採用することが好ましい。なかでも、最も高い力検出感度が要求される場合には、探針を支持しているカンチレバーをその共振点で振動させ、外部の強制力に対してシフトした共振点を測定し、探針に作用する弱い力を検出する方式(いわゆるFM変調方式)が一般的に用いられるが、このFM変調方式の場合、カンチレバーの振動振幅が小さいと、FM変調方式における検出信号の位相ノイズが増加し、高感度の検出が困難になる。
【0055】
しかし、本実施の形態に係るカンチレバー100では、変位検出部2の自由端22は大きく振動振幅させることができる。さらに、変位検出部20の振動振幅は、力検出部15の振動振幅と共振しており、この力検出部15の微小な振幅を増幅する機能を果たすことになる。このため、例えば、ダイナミックモードAFMにおいて、カンチレバー100を用いた場合、変位検出部20の振動振幅の変位量を計測することにより、試料と探針14との間に働く“力”を位相ノイズ等の影響を低減することができ、高感度に計測(検出)することができる。
【0056】
したがって、本実施の形態に係るカンチレバー100によれば、ダイナミックモードAFMにおいて、試料表面に接近する探針14部分の振動振幅を微小にすることができるだけでなく、試料との相互作用力によって発生するレバー部10の変位検出には変位検出部20の大きい振動振幅を利用することができる。このため、従来のダイナミックモードAFM等に用いられるカンチレバーに比べて、探針をより試料に接近させることが可能になるとともに、大振幅で振動する変位検出部の振幅変化を測定することができるため、変位検出も容易かつ高精度になり、高感度な力計測が可能になる。
【0057】
〔実施の形態2〕
本発明に係るカンチレバーの他の構成について、図4に基づいて説明すると以下の通りである。なお、ここでは、上述の実施形態1における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。つまり、ここでは、上述の実施形態1との相違点について説明するものとする。
【0058】
図4(a)は、本実施の形態に係る他のカンチレバーの構造を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)のカンチレバーを上方から見た上面図であり、(c)は、(a)のカンチレバーを側面から見た側面図である。
【0059】
図4(a)〜(c)に示すように、カンチレバー100’は、レバー部10、支持台12、探針14、変位検出部20’を備えている。
【0060】
レバー部10には、固定端11と自由端13との間の胴体部分に、空洞部30’が設けられている。空洞部30’は、レバー部10の固定端11から、自由端13の先端近傍まで設けられている。
【0061】
変位検出部20’は、空洞部30’内部に収まるように設けられており、接続部25’を介して空洞部30’の端部と連結されており、いわゆる片持ち梁構造で設けられている。変位検出部20’は、空洞部30’の形状とほぼ一致するように構成されている。
【0062】
より詳細には、変位検出部20’の一方の端部21’が、接続部25’を介して、空洞部30’における、レバー部10の固定端11と対向する側(レバー部10の固定端11から遠い側)の端部31’と連結されている。
【0063】
すなわち、レバー部10および変位検出部20’はともに片持ち梁構造であるが、固定端の向きが180°異なっている。つまり、振動可能なように構成されているレバー部10の自由端13と変位検出部20’の自由端22’との向きはちょうど180°異なっている。ただし、ここでもレバー部10と変位検出部20’におけるの長手方向の中心軸は互いに一致するように構成されている。
【0064】
また、接続部25’における厚みは、空洞部30’や変位検出部20’の厚みに比べて薄く構成されている。本実施の形態では、接続部25’は、レバー部10の厚みの半分まで厚みを削って構成されている。接続部25’は、ヒンジ構造として構成されているといえるため、この接続部25’の変位検出部20’における位置は、図4のように一方の端部21’と接していてもよいが、両方の端部21’と22’との間の任意の位置に置くことができる。
【0065】
つまり、図4に示すカンチレバー100’と、図1に示す実施形態のカンチレバー100とでは、空洞部30’と空洞部30、変位検出部20’と変位検出部20の大きさが異なり、接続部25’と接続部25の形状が異なっている。
【0066】
かかる図4に示す構成のカンチレバー100’も、上述の新共振モードを有する。すなわち、カンチレバー100’は、所定の共振周波数にて、力検出部15を微小に振動振幅させた場合、変位検出部20’の自由端22’の振動振幅は大きくなる。したがって、力検出部15の振動振幅を可能な限り小さくすることができるため、探針を試料表面に対して可能な限り接近させることができ、高感度な検出が可能となる。さらに、変位検出部20’の振動振幅は大きいため、探針14−試料間に発生する相互作用力によってカンチレバー100’の振動特性に生じる変位を確実に検出することも可能である。
【0067】
上述のような構造のカンチレバー100’も、例えば、市販のシリコン製カンチレバーを用いて、FIB加工により容易に製造することができる。
【0068】
〔実施の形態3〕
本発明に係るカンチレバーの他の構成について、図5に基づいて説明すると以下の通りである。なお、ここでは、上述の実施形態1、2における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。つまり、ここでは、上述の実施形態1、2との相違点について説明するものとする。
【0069】
図5(a)は、本実施の形態に係る他のカンチレバーの構造を模式的に示す図であり、(b)は(a)のカンチレバーを上方から見た上面図であり、(c)は(a)のカンチレバーをレバー部の自由端側から見た正面図である。
【0070】
図5(a)〜(c)に示すように、本実施の形態に係るカンチレバー100”では、レバー部10の長手方向に対して垂直な方向に、変位検出部20”が設けられている。変位検出部20”は、接続部25”を介して、レバー部10に片持ち梁構造にて設けられている。接続部25”は、変位検出部20”の厚みよりも薄く、かつ変位検出部20”の幅よりも細く形成されている。より詳細には、接続部25”の厚みは変位検出部20”の厚みの略半分であり、接続部25”は、変位検出部20”の下側の略半分と接続されている。
【0071】
つまり、上記実施形態1、2では、レバー部の内部をくり抜いて空洞部を設けて、そこに変位検出部を設けている構成であったが、本実施の形態では、変位検出部20”を新たにレバー部10に付加した構成である。
【0072】
変位検出部20”の設ける位置は、力検出部15が微小な振幅で振動した際に、変位検出部20”が力検出部15の振幅より大きい振幅で振動するような共振周波数を有するような位置に設けられていれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0073】
上記の構成によれば、カンチレバー100”は上述の新共振モードを有する。すなわち、所定の共振周波数にて、力検出部15を微小に振動振幅させた場合、変位検出部20”の自由端の振動振幅は大きくなる。したがって、力検出部15の振動振幅を可能な限り小さくすることができるため、探針14を試料表面に対して可能な限り接近させることができ、高感度な検出が可能となる。さらに、変位検出部20”の振動振幅は大きいため、探針14−試料間に発生する相互作用力によってカンチレバー100”の振動特性に生じる変位を確実に検出することも可能である。
【0074】
また、変位検出部20”の数は、1つに限られるものではない。例えば、変位検出部20”がレバー部10を挟んで複数個設けられていてもよい。この場合の具体的な構成を図6に示す。図6(a)は、本実施の形態に係る他のカンチレバーの構造を模式的に示す図であり、(b)は(a)のカンチレバーを上方から見た上面図であり、(c)は(a)のカンチレバーをレバー部の自由端側から見た正面図である。
【0075】
図6(a)〜(c)に示すように、本実施の形態に係るカンチレバー100”は、レバー部10の長手方向に対して、垂直な方向に、変位検出部20”・20”を備えている。変位検出部20”・20”は、レバー部10を挟んで、対向するように、設けられている。すなわち、変位検出部20”・20”は、レバー部10を挟んで、対称に設けられている。
【0076】
この場合も、カンチレバー100”は、新共振モードを有する。すなわち、カンチレバー100”は、所定の共振周波数にて力検出部15を微小に振動させた場合、変位検出部20”・20”は力検出部15の振幅よりも大きく振動するように構成されている。
【0077】
上記の構成のように、変位検出部20”・20”を、レバー部10を挟んで、左右対称に配置した場合、振動の対称性を高めることができるため、より安定に、カンチレバー100”の振動特性に生じる変位を検出することができる。
【0078】
<2.カンチレバーの利用>
本発明に係るカンチレバーは、上述したような独自の構成を有することにより、優れた作用効果を奏するものであるため、以下のような利用が可能である。
【0079】
まず、本発明に係るカンチレバーは、走査型プローブ顕微鏡に利用することができる。本発明に係る走査型プローブ顕微鏡は、上述した本発明に係るカンチレバーと、上記カンチレバーを所定の周波数にて振動させる振動手段と、上記カンチレバーが有する変位検出部の振動振幅または位相を検出する検出手段と、を備えるものであればよく、その他の具体的な構成は、特に限定されるものではない。
【0080】
振動手段は、カンチレバーを所定の周波数にて振動させることができるものであればよく、その具体的な構成等は特に限定されるものではない。例えば、外部発振器から加振信号を出力して、加振用ピエゾ素子に入力し、ピエゾ素子の振動により探針を振動させることができる。なお、探針の振動は、外部発振器を使わず、内部の回路網で共振回路系を構成し、これを用いてもよい。
【0081】
検出手段としては、カンチレバーの探針と試料との間に発生する相互作用力によって、カンチレバーの振動特性に生じる変化量を検出することができるものであればよく、その他の具体的な構成等は特に限定されるものではない。例えば、半導体レーザ、位置検出器、力検出回路を備える通常の光てこ方式のものを好適に利用可能である。また、光てこ方式に代えて容量変位計、歪みゲージ、光干渉計等、他の公知の測定技術を用いて測定するようにしてもよい。
【0082】
ここで、「所定の周波数」とは、上記カンチレバーが有する共振周波数と略同じ周波数であって、上記カンチレバーにおけるレバー部の自由端、つまり力検出部の振幅に比べて、上記変位検出部の振幅がより大きくなる周波数であることが好ましい。つまり、カンチレバーにおける探針が設けられた力検出部の振動振幅は微小振幅となるが、変位検出部の振動振幅はカンチレバーの振動特性の変位が検出できる程度の大きさとなる共振周波数と略同じ周波数であることが好ましい。
【0083】
なお、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡における上記構成以外の構成としては、従来公知の走査型プローブ顕微鏡の構成を好適に利用することができる。例えば、試料を載置する試料ステージ、探針を試料表面に沿う方向に2次元的に移動させる探針走査手段、探針を試料表面に対して近づく方向あるいは遠ざかる方向に移動させる探針移動手段、探針の位置を検出する探針位置検出手段等は、従来公知の技術を適用できる。
【0084】
「走査型プローブ顕微鏡」としては、AFMや走査型トンネル顕微鏡等が挙げられるが、特に、ダイナミックモードAFMが好ましい。
【0085】
また、本発明に係るカンチレバーは、例えば、ガスセンサ等にも利用可能である。例えば、本発明に係るカンチレバーの自由端部分に、ガスの成分(ガス分子)を吸着するセンサ部を装着する。自由端に備えられたセンサ部に試料中のガス成分(ガス分子)が吸着すると、センサ部とガス成分との相互作用によって、カンチレバーの共振周波数に変化が発生する。これを変位検出部の振動振幅または位相の変化として捉えることにより、高感度に試料中のガス成分を検出することができる。
【0086】
このようなガスセンサの具体的な構成の一例を、図7を用いて説明する。同図に示すように、本実施の形態に係るガスセンサ300は、8つのカンチレバー100・100…、支持台12を備えている。カンチレバー100における自由端13には、所定のガス成分(ガス分子)を吸着するセンサ部301が設けられている。なお、8つのカンチレバー100…には、それぞれ別のガス成分を吸着するセンサ部301が設けられている。
【0087】
このような構成のガスセンサ300に、計測対象の試料(ガス)を接触させると、試料中のガス成分のうち、カンチレバー100の先端に設けたセンサ部301に吸着する。センサ部301にガス成分が吸着すると、図7に示すように、カンチレバー100の共振周波数が変化する。この変化量を、カンチレバーの変位検出部の振動振幅または位相の変化として検出することにより、ガス成分を高感度で検出することができる。
【0088】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
カンチレバーは、走査型プローブ顕微鏡を主とする局所的な表面解析、電子物性解析や、微小な機能素子であるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等に用いられており、広範な産業上の利用可能性が考えられる。特に、本発明は複雑な装置構成を必要としないことから、ナノテクノロジー分野における利用価値はきわめて高い。また、カンチレバーを用いたガスセンサやDNA解析技術等の研究も活発に進められているため、バイオ関連産業(食品、医薬品、環境等を含む)への利用可能性もある。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】(a)は、本実施形態に係るカンチレバーの構造を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)のカンチレバーを2次元電子顕微鏡にて観察した図である。
【図2】本実施の形態に係るカンチレバーにおけるレバー部の端部(図中Aで示す円領域)と変位検出部(図中Bで示す円領域)とを、周波数を掃引して強制振動させた場合の共振状態を計測した結果を示す図である。
【図3】本実施の形態に係るカンチレバーの共振状態を示す図であり、(a)は周波数125kHzの場合、(b)は周波数445kHzの場合を示す図である。
【図4】(a)は、本実施の形態に係る他のカンチレバーの構造を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)のカンチレバーを上方から見た上面図であり、(c)は、(a)のカンチレバーを側面から見た側面図である。
【図5】(a)は、本実施の形態に係る他のカンチレバーの構造を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)のカンチレバーを上方から見た上面図であり、(c)は、(a)のカンチレバーをレバー部の自由端側から見た正面図である。
【図6】(a)は、本実施の形態に係る他のカンチレバーの構造を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)のカンチレバーを上方から見た上面図であり、(c)は、(a)のカンチレバーをレバー部の自由端側から見た正面図である。
【図7】本実施の形態に係るガスセンサの構成を模式的に示す斜視図である。
【図8】(a)は、AFMに用いられる一般的なカンチレバーの構造を模式的に示す図であり、(b)は(a)のカンチレバーを電子顕微鏡にて観察した図である。
【符号の説明】
【0091】
10 レバー部
11 レバー部の固定端
12 支持台
13 レバー部の自由端
14 探針
15 力検出部
20,20’,20” 変位検出部
22,22’,22” 変位検出部の自由端
25,25’,25” 接続部
30,30’ 空洞部
100,100’,100” カンチレバー
300 ガスセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部が支持台に固定されており、もう一方の端部が自由端である片持ち梁構造のレバー部と、
試料と近接した際に発生する力を検出するための力検出部と、
変位を検出するための変位検出部と、を備えており、
上記変位検出部は、上記力検出部と共振して振動する構造であり、
上記カンチレバーは、上記力検出部を振動させた場合、上記変位検出部の振幅が上記力検出部の振幅に比べて大きくなる共振周波数を有することを特徴とするカンチレバー。
【請求項2】
上記力検出部と変位検出部とは、それぞれ独立して配置されており、
上記変位検出部は、上記レバー部に接続部を介して、一端が固定された片持ち梁構造で設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカンチレバー。
【請求項3】
上記共振周波数にて上記力検出部を振動振幅させた場合、上記変位検出部の振動振幅は、上記力検出部の振動振幅の2〜100倍の大きさであることを特徴とする請求項1または2に記載のカンチレバー。
【請求項4】
上記変位検出部は、その自由端が上記レバー部の自由端と180°異なった向きに設けられており、かつ、その長手方向の中心軸が上記レバー部の長手方向の中心軸と一致するように設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカンチレバー。
【請求項5】
上記レバー部は、上記支持台に固定された端部と自由端との間に空洞部を有しており、
上記変位検出部は、上記空洞部の内部に収まるように設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカンチレバー。
【請求項6】
上記変位検出部は、上記レバー部の長手方向に対して垂直に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカンチレバー。
【請求項7】
上記変位検出部は、上記レバー部を挟んで、対向するように、複数個設けられていることを特徴とする請求項6に記載のカンチレバー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のカンチレバーと、上記カンチレバーを所定の周波数にて振動させる振動手段と、上記カンチレバーが有する変位検出部の振動振幅または位相を検出する検出手段と、を備えることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
【請求項9】
上記所定の周波数は、上記カンチレバーが有する共振周波数と略同じ周波数であって、上記カンチレバーにおける力検出部の振幅に比べて、上記変位検出部の振幅がより大きくなる周波数であることを特徴とする請求項7に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のカンチレバーを備えることを特徴とするガスセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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