説明

カードコネクタ

【課題】幅狭で挿入方向に短い第1のカード媒体(小型カード)と幅広で挿入方向に長い第2のカード媒体(大型カード)とを装着できるカードコネクタでのカード媒体の突出量を同じにする。
【解決手段】規制部109は、ハウジング102の扁平な収納空間106での小型カード401の第1の移動軌跡401Aを、ハウジング102の第1の平坦部102a側に寄せ、大型カード301の第2の移動軌跡301Aを、ハウジング102の第2の平坦部102b側に寄せる。第1の移動軌跡401Aは、第2の移動軌跡301Aよりも幅方向の内側となる。スライダ201や可動ストッパ251に形成される小型カード当接部210,253は、小型カード401を大型カード301よりも挿入方向の手前側で阻止する。大型カード301は、スライダ201や可動ストッパ251の傾斜部211,252に接触し、小型カード当接部210,253を動かす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、電話機、PDA(personal digital assistance)、携帯型オーディオ、ゲーム機、カメラ、プリンタ、情報端末機器等の各種の電子機器に適用され、サイズの異なる複数種のカード媒体を装着できるカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
データを記憶保持するカード媒体を装着するためのカードコネクタを備える各種の電子機器(携帯電話機、電話機、PDA(personal digital assistance)、携帯型オーディオ、ゲーム機、カメラ、プリンタ、情報端末機器等)が普及している。カード媒体には、例えば、CPUやメモリ用のICチップを搭載するICカード及びPCカード、並びに、SDカード及びSIMカード等があり、種類に応じてサイズが異なっている。そして、種々のカード媒体が普及する中、カードコネクタに対し、低背化や小型化のみならず、複数種のカード媒体を装着できるようにすることが求められてきている。また、電子機器のハウジングに蓋部を設け、ハウジングの内部で蓋部の近傍にカードコネクタを配置し、カード媒体の一部をカードコネクタから突出させ、蓋部でこの突出した部分を押さえることも行われている。
【0003】
図15は、カードコネクタの従来例を示す模式図である。従来、図15に示すような、カード媒体の挿入方向にスライド自在のスライダユニット902を備えるカードコネクタ901がある。このカードコネクタ901には、幅狭で挿入方向に短い第1のカード媒体CC1と、第1のカード媒体CC1よりも挿入方向に数ミリメートルほど長い幅広の第2のカード媒体CC2とのいずれも装着できる。スライダユニット902は、第1のカード媒体CC1の先端部CCa1と第2のカード媒体CC2の先端部CCa2とのいずれもが突き当たる当接部903を有する。
【0004】
別のカードコネクタの従来例は、特許文献1に記載のカードコネクタ20である。特許文献1の図1〜図9を参照する。このカードコネクタ20は、カード媒体の挿入方向にスライド自在のスライダ40を備える。スライダ40には、可動部材50が回動自在に取り付けられている。可動部材50には、長いカード(第1のカードC1)の前端部の位置規制をする第1の当接部42及び第1の規制部43、並びに、短いカード(第2のカードC2)の前端部の位置規制をする第2の当接44及び第2の規制部45が、カード媒体の挿入方向に位置を違え、さらに、カード媒体の厚さ方向に違えて設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4436404号公報(特に、図9、図16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図15に示すカードコネクタ901を電子機器のハウジングに収納し、電子機器のハウジングの蓋部904でカードコネクタ901から突出したカード媒体の一部を押さえようとすると、蓋部904は、カードコネクタ901に装着された第1のカード媒体CC1を保持できない。これは、第1のカード媒体CC1と第2のカード媒体CC2とで長さが異なるためである。
【0007】
一方、特許文献1に記載のカードコネクタ20は、幅狭で挿入方向に長いカードと、幅広で挿入方向に短いカードとを装着させるものである。このため、第1のカード媒体CC1(幅狭で挿入方向に短い)と第2のカード媒体CC2(幅広で挿入方向に長い)とを装着させる図15に示すようなカードコネクタ901には、特許文献1に記載のスライダ40及び可動部材50を適用できない。
【0008】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、幅狭で挿入方向に短い第1のカードと幅広で挿入方向に長い第2のカードとを装着できるカードコネクタでのカード媒体の突出量を同じにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカードコネクタは、第1のカード媒体及び前記第1のカード媒体よりも幅広で長い第2のカード媒体のいずれもがスライド挿入される扁平な収納空間を確保し、スライド挿入されたカード媒体の平面部に対向する第1の対向部及び第2の対向部を形成するハウジングと、前記収納空間内で第1のカード媒体が通過する第1の移動軌跡を前記第1の対向部側に寄せ、前記収納空間内で前記第2のカード媒体が通過する第2の移動軌跡を前記第1の移動軌跡よりも前記第2の対向部側に寄せ、前記第1の移動軌跡を前記第2の移動軌跡よりも幅方向の内側に位置付ける規制部と、前記収納空間にスライド挿入される前記第2のカード媒体の先端部が当接する奥側ストッパ部と、前記奥側ストッパ部よりもカード媒体の挿入方向の手前側に位置し、前記収納空間にスライド挿入される前記第1のカード媒体の先端部が当接する手前側ストッパ部と、弾性復元力を有し、前記第1の移動軌跡よりも幅方向外側かつ前記第2の移動軌跡よりも幅方向内側の位置で一方の端部からカード媒体の挿入方向の奥側に向かうにつれて前記第2の対向部に向かうよう傾斜して延び、他方の端部で前記手前側ストッパ部に連結する傾斜部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、幅狭で短い第2のカード媒体の先端部は、手前側ストッパ部に当接する。また、幅広で長い第2のカード媒体については、第2のカード媒体が傾斜部に接触して手前側ストッパ部が第1の対向部側に退避した後に、第2のカード媒体の先端部が奥側ストッパ部に当接する。このように、奥側ストッパ部及び手前側ストッパ部の位置関係によって、幅狭で挿入方向に短い第1のカードと幅広で挿入方向に長い第2のカードとを装着できるカードコネクタでのカード媒体の突出量を同じにすることができる。そして、本発明では、傾斜部の弾性復元力により手前側ストッパ部がカードコネクタの厚さ方向に変位するので、カードコネクタの低背化や小型化も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は、カードコネクタの斜視図である。(b)は、カードコネクタの正面図である。
【図2】(a)は、カバーが取り外された状態のカードコネクタの斜視図である。(b)は、カバーが取り外された状態のカードコネクタの平面図である。(c)は、カバーが取り外された状態のカードコネクタの正面図である。
【図3】大型カードの斜視図である。
【図4】小型カードの斜視図である。
【図5】(a)は、スライダを平面側から見た斜視図である。(b)は、スライダを底面側から見た斜視図である。(c)は、スライダの平面図である。
【図6】可動ストッパの斜視図である。
【図7】大型カードが挿入された状態のカードコネクタの平面図である。
【図8】小型カードが挿入された状態のカードコネクタの平面図である。
【図9】(a)は、大型カードが挿入される途中の状態のスライダの斜視図である。(b)は、大型カードが挿入される途中の状態のスライダの右側面図である。
【図10】(a)は、小型カードが挿入される途中の状態のスライダの斜視図である。(b)は、小型カードが挿入される途中の状態のスライダの右側面図である。
【図11】大型カードが可動ストッパに接触する直前の状態のカードコネクタの斜視図である。
【図12】(a)は、大型カードが挿入されている途中の状態の可動ストッパの右側面図である。(b)は、小型カードが挿入されている途中の状態の可動ストッパの右側面図である。
【図13】大型カードが後壁部に阻止される直前の状態のカードコネクタの斜視図である。
【図14】小型カードが小型カード当接部に阻止された状態を示す斜視図である。
【図15】カードコネクタの従来例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態を、図1(a)、図1(b)ないし図14に基づいて説明する。図1(a)、図1(b)は、それぞれ、カードコネクタ101の斜視図、正面図である。図2(a)、図2(b)、図2(c)は、それぞれ、カバー104が取り外された状態のカードコネクタ101の斜視図、平面図、正面図である。カードコネクタ101は、幅広で長い大型カード301(第2のカード媒体、図3参照)と幅狭で短い小型カード401(第1のカード媒体、図4参照)とのいずれも装着できるものである。カードコネクタ101は、ハウジング102を備える。ハウジング102は、樹脂成形されたボディ103に金属板をプレス加工して形成されたカバー104を被せて構成され、平面視略矩形の平坦な箱型形状をなす。説明の都合上、図1(a)にあらわれているハウジング102の一方の平坦部を、第2の平坦部102bと呼ぶ。また、第2の平坦部102bとは反対側に位置するハウジング102の他方の平坦部を、第1の平坦部102aと呼ぶ。そして、第2の平坦部102b側を上方とし、第1の平坦部102a側を下方とする。なお、第1の平坦部102aは、特許請求の範囲でいうところの第1の対向部に相当する。また、第2の平坦部102bは、特許請求の範囲でいうところの第2の対向部に相当する。
【0013】
ハウジング102の正面側の側面には、挿入口105が開口する。ハウジング102の内部には、挿入口105に連通する収納空間106が形成される。この収納空間106は、大型カード301や小型カード401がスライド挿入される扁平なものである。第1の平坦部102a及び第2の平坦部102bは、収納空間106の下限と上限とをそれぞれ規定し、収納空間106にスライド挿入されたカード媒体(大型カード301、小型カード401)の平面部に対向する。
【0014】
ボディ103には、カード支持段部107が設けられる。カード支持段部107は、挿入口105の両側部分の下側に位置し、カードコネクタ101の正面側から背面側に向けて延びる。それぞれのカード支持段部107の上方には、ガイド部108が形成される。ガイド部108は、コ字形状で、挿入口105の内側に開く。
【0015】
大型カード301は、その両端部をガイド部108に入り込ませて、挿入口105から、上方側(第2の平坦部102b側)に寄せて、第1の平坦部102aや第2の平坦部102bに平行に収納空間106に押し込まれる。また、小型カード401は、挿入口105から、二つのカード支持段部107の間に位置付けられて、大型カード301の移動軌跡(第2の移動軌跡301A)よりも下方側(第1の平坦部102a側)に寄せて、第1の平坦部102aや第2の平坦部102bに平行に収納空間106に押し込まれる。これにより、小型カード401の移動軌跡(第1の移動軌跡401A)は、大型カード301の移動軌跡(第2の移動軌跡301A)よりも第1の平坦部102a側に位置することになる。そして、第1の移動軌跡401Aは、第2の移動軌跡301Aに対してカードコネクタ101の幅方向(カードコネクタ101の右側面から左側面に向かう方向)の内側に位置することになる。また、図2(c)に示すように、第1の移動軌跡401Aと第2の移動軌跡301Aとは、カードコネクタ101の厚さ方向に重複している。
【0016】
カードコネクタ101は、第1のコンタクト111と、第2のコンタクト112とを備える。第1のコンタクト111は、収納空間106に挿入された大型カード301のパッド部302(図3参照)に接触する。第2のコンタクト112は、収納空間106に挿入された小型カード401のパッド部402(図4参照)に接触する。第1のコンタクト111及び第2のコンタクト112は、いずれも、挿入口105とは反対側でボディ103の上面から立設する後壁部103aに圧入され、カードコネクタ101の幅方向に複数並んでいる。第1のコンタクト111は、後壁部103aから収納空間106側に突出し、第2の平坦部102b(図1(a)及び図1(b)参照)の近傍に位置する。第2のコンタクト112は、後壁部103aから収納空間106側に突出し、第1の平坦部102a(図1(b)参照)の近傍で第2の平坦部102bよりも下方に位置する。
【0017】
図3は、大型カード301の斜視図である。大型カード301は、小型カード401(図4参照)よりも長く幅広で、長方形の一の角部に切欠部303を形成した五角形の板状をなす。切欠部303は、大型カード301の長辺及び短辺のいずれに対しても傾斜する。大型カード301において切欠部303から延びる短辺を、大型カード301の先端側と呼ぶ。大型カード301の一方の面の先端側には、パッド部302が列状に並んでいる。パッド部302は、第1のコンタクト111(図2(a)及び図2(b)参照)に接触し、カードコネクタ101を搭載している電子機器(図示せず)との電気信号の通信経路を構成する。大型カード301において切欠部303から延びる長辺には、大型カード係合部207(図5(a)及び図5(c)参照)が入り込む係合溝304が形成される。このような大型カード301の一例は、SDメモリーカード(商品名)である。
【0018】
図4は、小型カード401の斜視図である。小型カード401は、大型カード301と略同じ厚さで、大型カード301よりも短く幅狭な長方形の一の角部に切欠部403を形成した概ね五角形の板状をなす。この切欠部403は、厳密には、平面視において丸みを帯びて外側に凸となっている。小型カード401において切欠部403から延びる短辺を、小型カード401の先端部と呼ぶ。小型カード401の一方の面401aの先端側には、十個のパッド部402が、切欠部403とは反対側に位置する長辺側に寄せて列状に並んでいる。各パッド部402は、いずれも、小型カード401の平面部から凹んだ箇所に設けられる。各パッド部402の間には、細仕切部404が、小型カード401の挿入方向に櫛歯状に延びている。パッド部402は、第2のコンタクト112(図2(a)及び図2(b)参照)に接触し、カードコネクタ101を搭載している電子機器(図示せず)との電気信号の通信経路を構成する。このような小型カード401の一例は、メモリースティックDuoカード(商品名)である。
【0019】
十個のパッド部402からなる群は、第1の太仕切部405a及び第2の太仕切部405bに挟まれる。第1の太仕切部405a及び第2の太仕切部405bは、いずれも、細仕切部404よりも太く、小型カード401の挿入方向に延びている。第1の太仕切部405aは、切欠部403とは反対側に位置する長辺に沿う。第2の太仕切部405bは、切欠部403から延びる長辺から離れた箇所に位置する。第2の太仕切部405bと切欠部403から延びる長辺との間には、溝部406が設けられる。溝部406は、小型カード401の先端から小型カード401の挿入方向に延びている。切欠部403と溝部406とにより、切欠部403から延びる長辺の先端は、細仕切部404の先端、第1の太仕切部405aの先端及び第2の太仕切部405bの先端のいずれよりも挿入方向の手前側に位置する。これにより、小型カード401における切欠部403から延びる長辺の先端に、挿入方向の手前側に位置する段部407が形成される。また、小型カード401において切欠部403から延びる長辺には、小型カード係合部208(図5(a)〜図5(c)参照)が入り込む係合溝408が形成される。
【0020】
段部407の先端部分の形状を、小型カード401の厚さ方向について詳細に述べる。段部407は、溝部406を形成する溝部底面406aから小型カード401の一方の面401aに至る方向に略垂直に立ち上がっている。そして、段部407の先端部分で溝部底面406aから面401aまでの厚さ方向の距離の略半分は、小型カード401の面401aと直交する面で構成される。段部407の先端部分の残りの略半分は、小型カード401の面401aに向けて面取りされている。
【0021】
図2(a)及び図2(b)を再び参照する。カードコネクタ101は、イジェクト機構121を備える。イジェクト機構121は、収納空間106における挿入口105から見て左側の側部で後壁部103aの近傍に位置する。イジェクト機構121は、大型カード301や小型カード401の先端部における切欠部303、403側の角部を受け止め、カード媒体(大型カード301、小型カード401)を保持したり、この角部を挿入口105側に押し戻してカード媒体(大型カード301、小型カード401)を排出したりする。イジェクト機構121は、スライダ201と、カムレバー122と、スプリング123とを備える。スライダ201の構造の詳細は、図5(a)〜図5(c)に基づいて後述する。スライダ201は、挿入口105から後壁部103aに向かう方向(カード媒体の挿入方向)にスライド往復自在である。スライダ201からは、ガイド突起209(図5(b)参照)が突出しており、このガイド突起209はボディ103に設けられたガイド溝103b(図14も参照)に入り込んでいる。ガイド溝103bの後壁部103a側の幅はガイド突起209の幅と略一致し、挿入口105に向かうにつれてガイド溝103bの幅は広くなっている。これにより、スライダ201は、後壁部103a側に動くと幅方向の動きを規制され、挿入口105側に動くとカードコネクタ101の幅方向にも動くことができるようになる。
【0022】
スライダ201の上面には、ハート形カム202と、カム溝203とが形成される。カム溝203は、ハート形カム202の周りに周状に設けられる。カムレバー122の一方の端部は、後壁部103aに拘束される。カムレバー122の他方の端部は、カム溝203に入り込んでカム溝203の底面に圧力をもって接する。カム溝203の底面は段状になっている。これにより、スライダ201がカード媒体の挿入方向にスライド往復すると、カムレバー122の他方の端部は所定の周回方向にのみ動く。スプリング123は、カード媒体の挿入方向に延び、後壁部103aとスライダ201とを連結する。
【0023】
カードコネクタ101は、規制部109を備える。規制部109は、第1の移動軌跡401A(小型カード401の移動軌跡)を第1の平坦部102a側に寄せ、第2の移動軌跡301A(大型カード301の移動軌跡)を第1の移動軌跡401Aよりも第2の平坦部102b側に寄せ、かつ、第1の移動軌跡401Aを第2の移動軌跡301Aよりもカードコネクタ101の幅方向の内側に位置付けるものである。規制部109は、カード支持段部107(前述)と、ガイド部108(前述)と、シャッタ131と、トーションバネ131d(図7及び図8参照)と、連動板132とにより構成される。カード支持段部107及びガイド部108によって第1の移動軌跡401Aが第2の移動軌跡301Aよりもカードコネクタ101の幅方向の内側に位置付けられることは、既に述べた。以下、規制部109が第1の移動軌跡401Aを第1の平坦部102a側に寄せ、第2の移動軌跡301Aを第2の平坦部102b側に寄せる点について述べる。
【0024】
シャッタ131は、挿入された小型カード401の浮き上がりを抑え、小型カード401を第1のコンタクト111に接触させないようにする。シャッタ131は、長尺の板状部131aを有する。板状部131aは、収納空間106内でカードコネクタ101の幅方向に延びる。板状部131aの両端部からは、シャッタ脚部131bが下方に延びる。シャッタ131は、板状部131aとシャッタ脚部131bとによって、全体として門形状をなし、小型カード401が通過するコ字型の通過空間131cを形成する。シャッタ脚部131bのそれぞれからは、シャッタ軸部131e(図7及び図8参照)が延びる。シャッタ軸部131eは、板状部131aに平行に延びる。シャッタ131は、ボディ103の左内側壁103c及び右内側壁103dのそれぞれにシャッタ軸部131eを保持され、シャッタ軸部131eの軸回り方向に回転自在である。
【0025】
トーションバネ131dは、シャッタ軸部131eの外周に巻きつくように配置される。トーションバネ131dは、シャッタ131を図2(a)に示す矢印Rの方向に押し、シャッタ131を第1の平坦部102aや第2の平坦部102b(いずれも図1(b)参照)に直交する方向に向ける。これにより、シャッタ131の板状部131aは、第2の移動軌跡301A(大型カード301の移動軌跡)中に配置される。
【0026】
連動板132は、シャッタ131よりも後壁部103a側に延び、シャッタ131の板状部131aの上方部分に回転自在に連結される板状の部材である。連動板132からは、棒状の押え部132aが、後壁部103aに向けて突出する。トーションバネ131dがシャッタ131を矢印Rの方向に回転させると、連動板132は上方側(第2の平坦部102b側)に持ち上げられる。連動板132が上方側に持ち上げられると、押え部132aは、通過空間131cを通過した小型カード401の上面に対面し、小型カード401の上方側への移動を防ぐ。大型カード301に押されてシャッタ131が矢印Rとは逆の方向に回転すると、連動板132が下方側(第1の平坦部102a側)に動く。連動板132が下方側に動くと、押え部132aは、大型カード301の下面に対面し、大型カード301の下方側への移動を防ぐ。押え部132aは、小型カード401や大型カード301の平面部を押さえつけて、小型カード401や大型カード301に生じた歪みを矯正する。
【0027】
カードコネクタ101は、さらに、大型カード挟持部137と、押上部138とを備える。大型カード挟持部137は、ガイド部108と同じ高さ位置で収納空間106に向けて突出するバネ体である。大型カード挟持部137は、挿入口105から挿入された大型カード301を幅方向に挟み込み、大型カード301の幅方向のガタつきを防止する。押上部138は、ボディ103の底面における二つのカード支持段部107の間の部分を上方に切り起こして形成される。押上部138は、挿入口105から挿入された小型カード401を上方に押し上げる。
【0028】
本実施の形態のカードコネクタ101では、大型カード301は、その両端部をガイド部108に入り込ませて、挿入口105から、上方側(第2の平坦部102b側)に寄せて、第1の平坦部102aや第2の平坦部102bに平行に挿入され、シャッタ131を挿入方向の奥側に押す。シャッタ131の板状部131aは、大型カード301に押されて矢印Rとは逆の方向に回転する。そして、大型カード301は、ガイド部108や連動板132によって上方側(第2の平坦部102b側)に寄った状態で収納空間106に収納される。つまり、第2の移動軌跡301A(大型カード301の移動軌跡)は、規制部109によって第2の平坦部102b側に寄る。大型カード301が収納空間106から排出されると、トーションバネ131dは、押されたシャッタ131を元の位置に戻す。
【0029】
また、本実施の形態のカードコネクタ101では、小型カード401は、挿入口105から、二つのカード支持段部107の間に位置付けられて、下方側(第1の平坦部102a側)に寄せて、第1の平坦部102aや第2の平坦部102bに平行に挿入され、通過空間131cを通過する。小型カード401は、シャッタ131の板状部131aや連動板132によって浮き上がらず、下方側(第1の平坦部102a側)に寄った状態で収納空間106に収納される。つまり、第1の移動軌跡401A(小型カード401の移動軌跡)は、規制部109によって第1の平坦部102a側に寄る。
【0030】
図5(a)は、スライダ201を平面側から見た斜視図である。図5(b)は、スライダ201を底面側から見た斜視図である。図5(c)は、スライダ201の平面図である。図2(a)及び図2(b)、並びに、図5(a)〜図5(c)を参照する。スライダ201は、樹脂成形されて剛性を有する第1の部材としてのスライダ基部204に、金属板をプレス加工して形成されて弾性復元力を有する第2の部材としてのセミロック部材205を組み付けてなる。
【0031】
スライダ基部204は、カード媒体の挿入方向に延びる基礎部分201Aと、この基礎部分201Aの後壁部103a側の端部から収納空間106の内側方向に突出する突出部201AAとを有して、全体として略L字形状をなす。基礎部分201Aは、矩形状の板部201Bと、この板部201Bの上面で挿入口105から見て左側の領域から立ち上がる台部201Cとからなる。台部201Cの上面で後壁部103a側の端部側には、ハート形カム202及びカム溝203(いずれも前述)が設けられる。また、板部201Bの上面で挿入口105から見た右側で後壁部103a側の端部寄りの領域からは、押え部201Dが上方に延びる。押え部201Dは、組み付けられたセミロック部材205が上方に外れることを防ぐ。押え部201Dからは、突出部201AAが収納空間106の内側方向に延びる。
【0032】
スライダ基部204は、大型カード当接部206と、大型カード係合部207と、小型カード係合部208と、ガイド突起209とを有する。突出部201AAにおける挿入口105側の側面は、大型カード当接部206として機能する。大型カード当接部206には、スライド挿入される大型カード301(図3参照)の先端部が当接する。つまり、大型カード当接部206は、収納空間106にスライド挿入される大型カード301の先端部が当接する奥側ストッパ部T1として機能する。大型カード当接部206の一部には、傾斜領域206aが形成される。傾斜領域206aには、大型カード301の切欠部303(図3参照)が接触する。傾斜領域206aよりも挿入口105側には、板部201Bの上面と面一な大型カード支持部206bが延出する。
【0033】
大型カード係合部207は、台部201Cの挿入口105側の端部で収納空間106の内側方向に延びる突起である。大型カード係合部207は、大型カード301の係合溝304に入り込む。
【0034】
小型カード係合部208は、板部201Bの挿入口105側の端部で収納空間106の内側方向に延びる突起である。小型カード係合部208は、小型カード401の係合溝408に入り込む。
【0035】
ガイド突起209は、板部201Bの下面で小型カード係合部208の近傍の箇所から下方に突出する。ガイド突起209は、ガイド溝103b(図2(b)及び図14参照)に入り込んでいる。
【0036】
セミロック部材205は、小型カード当接部210と、傾斜部211と、U字係合部212と、内側壁接触部213と、抜止部214と、摺動部215を有する。小型カード当接部210は、大型カード当接部206よりもカード媒体の挿入方向の手前側に位置し、板部201Bの上方からこの板部201Bよりも収納空間106の内側方向に突出し、そこから下方側(第1の平坦部102a側)に落ち込んでいる。小型カード当接部210における挿入口105側の部分は、上方側(第2の平坦部102b側)に折り曲げられている。ここで、この折り曲げられた部分は、傾斜部211の傾斜により板部201Bの上面よりも上方に位置しているものの、傾斜部211の第2の端部211b(後述)よりも上方に突出していない。そして、この折り曲げられた部分には、スライド挿入される小型カード401(図4参照)の先端部、とりわけ、小型カード401に形成される段部407(図4参照)が当接する。つまり、小型カード当接部210は、収納空間106にスライド挿入される小型カード401の先端部が当接する手前側ストッパ部T2として機能する。
【0037】
傾斜部211は、カード媒体の挿入方向に延びる長尺の部分である。傾斜部211は、板部201Bの上方に位置して、板部201Bの上面に対し傾斜している。傾斜部211における挿入口105側の端部(第1の端部211a)は、爪部212a(後述)が台部201Cに引っ掛かっていて、スライダ基部204に対して動かない。傾斜部211は、第1の端部211aから後壁部103aに向かうにつれて上方側(第2の平坦部102b側)に向かうよう傾斜する。傾斜部211における後壁部103a側の端部(第2の端部211b)は、前述の小型カード当接部210に連結している。ここで重要なのは、図2(b)に示されるように、傾斜部211は第1の移動軌跡401A(小型カード401の移動軌跡)よりも幅方向の外側に位置し、かつ、第2の移動軌跡301A(大型カード301の移動軌跡)よりも幅方向の内側に配置されるという点である。これにより、傾斜部211には、大型カード301のみが接触しうる。
【0038】
U字係合部212は、傾斜部211の第1の端部211aよりもボディ103の左内側壁103c側に位置し、この第1の端部211aに連なっている。U字係合部212は、直交するように折り曲げられ、平面視において挿入口105側に開くU字形状をなす。U字係合部212は、台部201Cの挿入口105側の上面に形成されたU字溝201CCに嵌り込む。U字溝201CCの内側面には、爪受部(図示せず)が形成されている。爪受部には、U字係合部212から切り起こされた爪部212aが引っかかり、セミロック部材205の上方への抜けが防止される。
【0039】
内側壁接触部213は、U字係合部212におけるボディ103の左内側壁103c側の端部を折り曲げて形成される。内側壁接触部213は、U字係合部212のU字形状により、左内側壁103cに弾性接触する。ところで、台部201Cにおける左内側壁103c側の側面には、この左内側壁103cに沿った平行側面201Caと、スライダ201よりも挿入口105側で左内側壁103cから離れるよう傾斜する傾斜側面201Cbとが形成される。また、前述の通り、ガイド溝103bの形状によって、スライダ201は挿入口105側に動くとカードコネクタ101の幅方向にも動くことができるようになっている。これにより、スライダ201は、挿入口105側に動くと、平行側面201Caと傾斜側面201Cbの境界線201Ccを支点として旋回できる。そこで、内側壁接触部213は、大型カード301や小型カード401が大型カード係合部207や小型カード係合部208を左内側壁103c側に押してスライダ201を旋回させたとき、このスライダ201を収納空間106の内側方向に押し戻す。
【0040】
抜止部214は、傾斜部211の第2の端部211bから後壁部103a側に突出し、上方を向いている。抜止部214は、押え部201Dに引っかかる。これにより、セミロック部材205の上方への抜けが防止される。
【0041】
摺動部215は、傾斜部211の第2の端部211bから左内側壁103c側に突出し、上方を向いている。摺動部215は、台部201Cにおける収納空間106側の側面に接し、傾斜部211の第2の端部211bの上下変位に伴って摺動する。
【0042】
図6は、可動ストッパ251の斜視図である。図2(a)、図2(b)及び図6を参照する。カードコネクタ101は、可動ストッパ251を備える。可動ストッパ251は、収納空間106における挿入口105から見て右側の側部で、後壁部103aの近傍に位置し、ボディ103に嵌めこまれる。可動ストッパ251は、小型カード401の先端部で切欠部403とは反対側の角部を受け止めて小型カード401の位置決めをし、収納空間106内での小型カード401のガタつきを抑える。
【0043】
可動ストッパ251は、金属板をプレス加工して形成され、弾性復元力を有する。可動ストッパ251は、平面視において略T字形状をなし、ボディ103の右内側壁103dの端部が上方かつ後壁部103a側に延びている。可動ストッパ251は、傾斜部252と、小型カード当接部253と、摺動部254と、爪部255とを有する。
【0044】
傾斜部252は、カード媒体の挿入方向に延びる長尺をなす部分である。傾斜部252は、ボディ103の底面103eに対して傾斜する。傾斜部252における挿入口105側の端部(第1の端部252a)は、爪部255(後述)がボディ103に引っ掛かることにより、ボディ103の底面103eに対し圧力を持って接する。傾斜部252は、第1の端部252aから後壁部103aに向かうにつれて上方側(第2の平坦部102b側)に向かうよう傾斜する。傾斜部211における後壁部103a側の端部(第2の端部252b)は、小型カード当接部253(後述)に連結している。
【0045】
傾斜部252の第2の端部252bから収納空間106の内側方向へは、舌状部256が延びている。舌状部256の先端部は、下方側(第1の平坦部102a側)に折り曲げられている。舌状部256の先端部は、ボディ103の底面103eに接しておらず、下方に変位することができる。
【0046】
小型カード当接部253は、舌状部256における挿入口105側の端面である。小型カード当接部253は、後壁部103aよりもカード媒体の挿入方向の手前側に位置し、ボディ103の底面103eから上方に突出している。小型カード当接部253には、スライド挿入される小型カード401(図4参照)の先端部で、切欠部403とは反対側の角部が当接する。つまり、小型カード当接部253は、収納空間106にスライド挿入される小型カード401の先端部が当接する手前側ストッパ部T2として機能する。
【0047】
第2の端部252bから右内側壁103d側へは、支持部257が延びる。支持部257は、右内側壁103dに向かうにつれて下方側(第1の平坦部102a側)に向かうよう傾斜し、その途中に、上方に曲がった曲り部257aが形成される。曲り部257aは、爪部255(後述)がボディ103に引っ掛かることで、ボディ103の底面103eに対して圧力を持って接する。
【0048】
摺動部254は、舌状部256において後壁部103a側の縁部から上方に延びる。摺動部254は、後壁部103aにおける挿入口105側の側面に接し、傾斜部252の第2の端部252bの上下変位に伴って摺動する。
【0049】
曲り部257aには、垂直平板部255aが連なる。垂直平板部255aは、曲り部257aから上方かつ後壁部103a側に位置する。爪部255は、この垂直平板部255aの一部を後壁部103aに切り起こして形成される。爪部255は、後壁部103aに形成される爪受部(図示せず)に引っかかる。これにより、可動ストッパ251の上方への抜けが防止される。
【0050】
ここで重要なのは、図2(b)に示されるように、可動ストッパ251の傾斜部252も、スライダ201のセミロック部材205の傾斜部211と同様に、第1の移動軌跡401A(小型カード401の移動軌跡)よりも幅方向の外側に位置し、かつ、第2の移動軌跡301A(大型カード301の移動軌跡)よりも幅方向の内側に配置されるという点である。このため、傾斜部252には、大型カード301のみが接触しうる。
【0051】
図7は、大型カード301が挿入された状態のカードコネクタ101の平面図である。なお、説明のため、図7では、カバー104は省略されている。大型カード301は、パッド部302を有する面を上方に向け、大型カード301の両縁部301aをガイド部108内に位置付けて挿入口105からスライド挿入される。大型カード301が挿入口105から挿入されると、規制部109によって上方側(第2の平坦部102b側)に寄せられた状態で後壁部103aに向けてスライド移動する。その後、大型カード301は、シャッタ131の板状部131aを押し、スライダ201に接触する。
【0052】
大型カード301は、まず、スライダ201の大型カード係合部207に接触する。これにより、スライダ201は境界線201Ccを中心に回転し、スライダ201の挿入口105側の端部が左内側壁103c側に動く。その後、大型カード301がさらに挿入方向の奥側に進み係合溝304が大型カード係合部207の位置に到達すると、スライダ201のU字係合部212での弾性復元力によってスライダ201の挿入口105側の端部が収納空間106の内側方向に動き、大型カード係合部207が係合溝304に入り込む。これにより、大型カード301が挿入口105から抜けにくくなる。
【0053】
そして、大型カード301が収納空間106内で挿入方向の奥側に進むと、大型カード301の先端部がスライダ201の大型カード当接部206に当接する。特に、大型カード301の切欠部303は、傾斜領域206aに当接する。スライダ201は、大型カード301に押されて挿入方向の奥側に進む。
【0054】
その後、大型カード301への押し込みが解除されると、スプリング123は、スライダ201を挿入口105側に押し、カムレバー122がハート形カム202に引っ掛かる。これにより、スライダ201は、大型カード301を挿入口105から所定長さだけはみ出させる位置で停止する。また、大型カード301の下面側に位置する連動板132によって、大型カード301は下方に沈み込まない。さらに、大型カード301の両側面は、スライダ201と大型カード挟持部137に挟まれ、大型カード301のガタつきが減少する。
【0055】
この状態で、再び大型カード301が後壁部103a側に押し込まれると、カムレバー122とハート形カム202とが離反する。そして、大型カード301への押し込みが解除されると、スプリング123は、スライダ201を挿入口105側に押す。これにより、スライダ201は、大型カード301を挿入口105から排出させる。
【0056】
図8は、小型カード401が挿入された状態のカードコネクタ101の平面図である。なお、説明のため、図8では、カバー104は省略されている。小型カード401は、パッド部402(図4参照)を有する面を下方に向け、二つのカード支持段部107の間に位置付けられて挿入口105からスライド挿入される。小型カード401が挿入口105から挿入されると、規制部109によって下方側(第1の平坦部102a側)に寄せられた状態で後壁部103aに向けてスライド移動する。その後、小型カード401は、シャッタ131により形成される通過空間131cを通過し、スライダ201に接触する。
【0057】
小型カード401は、まず、スライダ201の小型カード係合部208に接触する。これにより、スライダ201は、境界線201Ccを中心に回転し、スライダ201の挿入口105側の端部が左内側壁103c側に動く。その後、小型カード401がさらに挿入方向の奥側に進み係合溝408が小型カード係合部208の位置に到達すると、スライダ201のU字係合部212での弾性復元力によってスライダ201の挿入口105側の端部が収納空間106の内側方向に動き、小型カード係合部208が係合溝408に入り込む。これにより、小型カード401は挿入口105から抜けにくくなる。
【0058】
スライダ201は、小型カード401に押されて後壁部103a側に動く。小型カード401の押し込みを解除した後及び小型カード401を再度押し込む際の、カムレバー122、スプリング123及びスライダ201の動きは、大型カード301の場合と同じであり、説明を省略する。小型カード401は、その平面部を押上部138(図2(a)及び図2(b)参照)とシャッタ131に挟まれて、ガタつきが抑えられる。
【0059】
以下、大型カード301や小型カード401がカードコネクタ101に挿入されるときのスライダ201の動きを説明する。図9(a)、図9(b)は、それぞれ、大型カード301が挿入される途中の状態のスライダ201の斜視図、右側面図である。なお、説明のために、図9(a)及び図9(b)において、大型カード301の形状を一点鎖線で示している。図7、図9(a)及び図9(b)を参照する。挿入口105から挿入された大型カード301は、規制部109によって、スライダ201の台部201Cよりも収納空間106の内側方向かつ板部201Bの上方を通過する。ここで、傾斜部211は、板部201Bの上面で、挿入方向の奥側に向かうにつれて上方側(第2の平坦部102b側)に向かうよう傾斜している。大型カード301の先端部は、この傾斜部211に接触し、傾斜部211における挿入方向の奥側の端部(第2の端部211b)を下方側(第1の平坦部102a側)に動かす。これにより、小型カード当接部210も下方側に動く。その結果、小型カード当接部210は大型カード301に干渉しなくなり、大型カード301はスムーズに挿入方向の奥側に進んで、大型カード当接部206に当接する。
【0060】
図10(a)、図10(b)は、それぞれ、小型カード401が挿入される途中の状態のスライダ201の斜視図、右側面図である。なお、図10(a)及び図10(b)において、小型カード401の形状を一点鎖線で示している。図8、図10(a)及び図10(b)を参照する。挿入口105から挿入された小型カード401は、規制部109によって、スライダ201の板部201Bよりも収納空間106の内側方向で、収納空間106内を挿入方向の奥側に進む。このとき、小型カード401の下面は、板部201Bの上面よりも下方側(第1の平坦部102a側)に位置する。また、小型カード401の上面は、板部201Bの上面よりも上方側(第2の平坦部102b側)に位置する。
【0061】
以下、大型カード301や小型カード401がカードコネクタ101に挿入されるときの可動ストッパ251の動きを説明する。図11は、大型カード301が可動ストッパ251に接触する直前の状態のカードコネクタ101の斜視図である。図12(a)は、大型カード301が挿入されている途中の状態の可動ストッパ251の右側面図である。図12(b)は、小型カード401が挿入されている途中の状態の可動ストッパ251の右側面図である。挿入口105(図2(a)等参照)から挿入された大型カード301は、規制部109(図2(a)等参照)に進行位置を規制された状態で収納空間106を挿入方向の奥側に進む。このとき、大型カード301の先端部における切欠部303(図3等参照)とは反対側の角部の下面は、可動ストッパ251の傾斜部252に接触し、可動ストッパ251を下方側(第1の平坦部102a側)に押し下げる。これにより、可動ストッパ251では、傾斜部252の第1の端部252aがボディ103の底面103eに支持されたままで、傾斜部252の第2の端部252bが下方側に下がり、小型カード当接部253も下方側に動く。その結果、小型カード当接部253は大型カード301に干渉しなくなり、大型カード301はスムーズに挿入方向の奥側に進んで、後壁部103aにおける挿入口105側の側面に当接する。つまり、後壁部103aの挿入口105側の側面は、収納空間106にスライド挿入される小型カード401の先端部が当接する奥側ストッパ部T1として機能する。
【0062】
これに対し、挿入口105から挿入された小型カード401は、規制部109によって進行位置を規制された状態で収納空間106を挿入方向の奥側に進む。このとき、小型カード401は可動ストッパ251の傾斜部252に接触せず、この傾斜部252の収納空間106の内側方向の領域を進んで、小型カード当接部253に阻止される。
【0063】
図13は、大型カード301が後壁部103aに阻止される直前の状態のカードコネクタ101の斜視図である。図14は、小型カード401が小型カード当接部210,253に阻止された状態を示す斜視図である。図13、図14及び図7を参照する。なお、図7では、大型カード301が後壁部103aに阻止された後の状態が示されている。上記のように、大型カード301は、挿入口105から挿入されると、スライダ201の傾斜部211に接触して小型カード当接部210を下方側(第1の平坦部102a側)に退避させ、大型カード当接部206に突き当たりスライダ201を挿入方向の奥側に動かす。また、挿入された大型カード301は、可動ストッパ251の傾斜部252に接触して小型カード当接部253を下方側に退避させ、後壁部103aに突き当たる。その後、スライダ201は、イジェクト機構121を構成するスプリング123の弾性復元力によって大型カード301を挿入方向の手前側に若干押し戻される。
【0064】
一方、小型カード401は、挿入口105から挿入されると、スライダ201の小型カード当接部210と可動ストッパ251の小型カード当接部253とのいずれにも接触する。その後、スライダ201は、スプリング123の弾性復元力によって小型カード401を挿入方向の手前側に若干押し戻される。
【0065】
ここで、スライダ201において小型カード当接部210は大型カード当接部206よりも挿入方向の手前側に位置するから、大型カード301と小型カード401との長さの違いによる大型カード301のカードコネクタ101からの突出量と小型カード401のカードコネクタ101からの突出量の違いを抑え、幅狭で挿入方向に短い小型カード401(第1のカード)と幅広で挿入方向に長い大型カード301(第2のカード)とを装着できるカードコネクタ101でのカード媒体の突出量を同じにすることができる。
【0066】
そして、可動ストッパ251の小型カード当接部253は後壁部103a(手前側ストッパ部T2)よりも挿入方向の手前側に位置するから、大型カード301と小型カード401との大きさ(長さ、幅)が違っても、収納空間106内でのカード媒体のガタつきを抑えることができる。
【0067】
大型カード301と小型カード401との幅の違いにより、大型カード301が挿入されたときのみ小型カード当接部210,253が下方側(第1の平坦部102a側)に動く。そして、大型カード301が排出されたときに、傾斜部211,252の復元力により小型カード当接部210,253が上方側(第2の平坦部102b側)に戻る。このように、小型カード当接部210,253は、カードコネクタ101の厚さ方向に変位する。このため、図2(c)に基づいて前述したように、第2の移動軌跡301A(大型カード301の移動軌跡)と第1の移動軌跡401A(小型カード401の移動軌跡)とは、カードコネクタ101の厚さ方向に重複させて、カードコネクタ101の低背化や小型化に貢献することができる。
【符号の説明】
【0068】
101 カードコネクタ
102 ハウジング
102a 第1の平坦部(第1の対向部)
102b 第2の平坦部(第2の対向部)
103a 後壁部(奥側ストッパ部)
106 収納空間
109 規制部
201 スライダ
204 スライダ基部(第1の部材)
205 セミロック部材(第2の部材)
206 大型カード当接部(奥側ストッパ部)
210 小型カード当接部(手前側ストッパ部)
211 傾斜部
251 可動ストッパ
252 傾斜部
253 小型カード当接部(手前側ストッパ部)
301 大型カード(第2のカード媒体)
301A 第2の移動軌跡
401 小型カード(第1のカード媒体)
401A 第1の移動軌跡
T1 奥側ストッパ部
T2 手前側ストッパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のカード媒体及び前記第1のカード媒体よりも幅広で長い第2のカード媒体のいずれもがスライド挿入される扁平な収納空間を確保し、スライド挿入されたカード媒体の平面部に対向する第1の対向部及び第2の対向部を形成するハウジングと、
前記収納空間内で第1のカード媒体が通過する第1の移動軌跡を前記第1の対向部側に寄せ、前記収納空間内で前記第2のカード媒体が通過する第2の移動軌跡を前記第1の移動軌跡よりも前記第2の対向部側に寄せ、前記第1の移動軌跡を前記第2の移動軌跡よりも幅方向の内側に位置付ける規制部と、
前記収納空間にスライド挿入される前記第2のカード媒体の先端部が当接する奥側ストッパ部と、
前記奥側ストッパ部よりもカード媒体の挿入方向の手前側に位置し、前記収納空間にスライド挿入される前記第1のカード媒体の先端部が当接する手前側ストッパ部と、
弾性復元力を有し、前記第1の移動軌跡よりも幅方向外側かつ前記第2の移動軌跡よりも幅方向内側の位置で一方の端部からカード媒体の挿入方向の奥側に向かうにつれて前記第2の対向部に向かうよう傾斜して延び、他方の端部で前記手前側ストッパ部に連結する傾斜部と、
を備える、カードコネクタ。
【請求項2】
前記手前側ストッパ部は、前記ハウジングに拘束されている、
請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項3】
前記収納空間の一方の側部に寄せて配置され、カード媒体の挿入方向にスライド自在のスライダを更に備え、
前記奥側ストッパ部と前記手前側ストッパ部と前記傾斜部とは、前記スライダに設けられる、
請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項4】
前記スライダは、剛性を有する第1の部材と弾性復元力を有する第2の部材とを組み付けて構成され、
前記奥側ストッパ部は、前記第1の部材に設けられ、
前記手前側ストッパ部と前記傾斜部とは、前記第2の部材に設けられる、
請求項3記載のカードコネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−43715(P2012−43715A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185613(P2010−185613)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】