説明

カード取扱い装置

【課題】搬送路を開くことなく短時間で容易に搬送路中の残留物を自動的に除去することができるようにし、利用者を待たせる等の支障が生じることも抑制する。
【解決手段】カード搬送方向の先端側の曲折部11a下に向けて残留物除去カード11をカード挿入排出口2から搬送路中3に挿入し、この残留物除去カード11を搬送ローラ5a〜5cにより搬送路3の後端部4側に搬送することで前記搬送路3中に残留した取引カード10を搬送路3の後端部4から押出すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引カードに対してデータの読取りあるいは書込み等の処理を行うカード取扱い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のカード取扱い装置として、金融機関の店舗等に設置される自動取引装置(ATM)に組込まれて使用されるものがある。
このようなカード取扱い装置は、一般に一端をカード挿入排出口とした直線状の搬送路に沿って複数の搬送ローラを配置すると共に、搬送路の途中の位置に処理部としての磁気ヘッドを設けた構成となっており、取引開始時にカード挿入排出口から挿入されたキャッシュカード等の取引カードを搬送ローラにより磁気ヘッドの位置に搬送し、磁気ヘッドにより取引カードの磁気ストライプに記録された口座データ等を読取る等の処理を行って、取引終了時に取引カードをカード挿入排出口に逆送して排出するものとなっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−288547号公報(段落「0011」〜段落「0013」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、搬送路中に取引カードが残留したり、紙片等の異物が挿入され、搬送ローラを逆送する方向に回転してもこれら取引カードや異物による残留物が排出できない場合、人手により搬送路を開いて取除かなければならず、時間や手間がかかるだけでなく、その間装置の運用が停止されるため、利用者を待たせる等の支障が生じるという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、搬送路と、取引カードを挟持して前記搬送路中を搬送させる搬送ローラと、搬送路の途中で前記取引カードに対して所定の処理を行う処理部を備えたカード取扱い装置において、少なくともカード搬送方向の先端側に曲折部を形成した残留物除去カードを前記搬送路中を搬送することで前記搬送路中の残留物を前記搬送路から押出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、搬送路中にカードや異物が残留した場合、残留物除去カードを搬送して残留物を押出すようにしているため、搬送路を開くことなく短時間で容易に搬送路中の残留物を自動的に除去することが可能になり、利用者を待たせる等の支障が生じることも抑制できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明によるカード取扱い装置の実施例を説明する。
【実施例】
【0008】
図1は第1の実施例の内部構造を示す概略側面図である。
図において1は金融機関の店舗等に設置される自動取引装置(ATM)に組込まれたカード取扱い装置で、このカード取扱い装置1内には直線状の搬送路3が設けられている。
この搬送路3は上下一対のガイド板に挟まれた空間として形成されており、その前端部はカード取扱い装置1の正面側でカード挿入排出口2として開口し、また、搬送路3の後端部4は残留物排出口としてカード取扱い装置1の後面側で開口している。
【0009】
尚、この残留物排出口4は自動取引装置の後部扉を開くことで操作可能となっている。
5a〜5cは搬送路3に沿って設けられた搬送手段を成す複数対の搬送ローラで、各対毎に上下に対向するように設けられており、この搬送ローラ5a〜5cはモータ6により図示しないギアやベルト等を介して駆動されるものとなっている。
7は後述する取引カードの磁気ストライプに記録された磁気データの読取り処理等を行う磁気ヘッドで、搬送路3の所定の位置、例えば搬送ローラ5bの近傍の位置に上下に対向するように設けられている。
【0010】
これは取引カードに設けられる磁気ストライプが表面と裏面のいずれにあっても対応できるようにしているためで、取り扱う取引カードの磁気ストライプが表面と裏面のいずれか一方に決められている場合は、上下いずれか一方の磁気ヘッド7を省略してもよい。
8a〜8dは搬送路3中のカードや異物などの残留物を検知する検知手段としての検知センサで、各々搬送路3を挟んで上下に対向する発光素子と受光素子からなり、搬送路3全体に渡ってカードを検知できるように配置されている。
【0011】
9は反射式の光学センサで、取引カード表面のエンボス文字等を読取る光学反射式の読取りセンサで、例えば磁気ヘッド7に隣接するように配置されている。
10は磁気ストライプを有する取引カード、11は残留物除去カードである。
図2は残留物除去カードを示す斜視図であり、この図に示したように第1の実施例における残留物除去カード11は、前端側及び後端側の両端部10aを互いに逆方向に向けて折り曲げて曲折部11aを設けた構造にしてある。
【0012】
この残留物除去カード11の素材としては比較的腰のある紙、またはプラスチックなどが用いられ、曲折部11aはそれぞれ上下一対の搬送ローラ5a、5b、5c間を通過する際平らに伸ばされても復元するものとなっている。
上述した構成の作用について説明する。
図3は第1の実施例の作用を示す概略側面図である。
【0013】
尚、以下に説明する各部の動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない制御部により制御されるものとする。
図1に示したように搬送路3中の取引カード10が排出できず、搬送ローラ5a、5b間で残留物として留まると、この取引カード10が検知センサ8bにより検知され、図示しない報知手段により係員に報知される。
【0014】
この報知により係員が駆けつけて残留物除去カード11を搬送方向の先端側の曲折部11aが下向きになるようにカード挿入排出口2から挿入する。
挿入された残留物除去カード11を検知センサ8aが検知すると、制御部はモータ6を駆動して搬送ローラ5a〜5cを回転させ、残留物除去カード11を取込んで搬送路3の後端部側に向かって搬送する。
【0015】
この搬送において残留物除去カード11の曲折部11aは先端が搬送路3の下面を擦るように進むため、図3に示したように取引カード10は残留物除去カード11の曲折部11aにより搬送路3の後端部側に押されて行き、そして最後部の検知センサ8dが取引カード10の先端を検知すると、制御部は検知時点から一定量モータ6を駆動した後、モータ6の駆動を止めて搬送ローラ5a〜5cの回転を停止させる。
【0016】
これにより取引カード10は搬送路3の後端部の残留物排出口4から途中まで押出された状態で保持されるので、係員は自動取引装置の後部扉を開いて取引カード10を抜取り、この抜き取りを検知センサ8dが検知すると、制御部は再びモータ6を駆動して搬送ローラ5a〜5cを回転させ、残留物除去カード11を残留物排出口4から突出させて係員に抜き取らせる。
【0017】
尚、搬送路3中に紙片等の異物が残留物として残った場合も、同様に除去可能である。
また、残留物除去カード11は搬送路前端のカード挿入排出口2から搬送路3の後端部4に向かって搬送するものとして説明したが、逆方向にも搬送可能であるので、往復搬送して残留物の除去を行うことも可能であり、このように制御することで一方向の搬送では除去しにくい残留物をも除去することが可能になる。
【0018】
以上説明したように、第1の実施例では、搬送路中にカードや異物が残留した場合、残留物除去カードを搬送して残留物を押出すようにしているため、搬送路を開くことなく短時間で容易に搬送路中の残留物を自動的に除去することが可能になり、利用者を待たせる等の支障が生じることも抑制できるという効果が得られる。
図4は本発明の第2の実施例の内部構造を示す概略側面図である。
【0019】
尚、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略するが、 本実施例において搬送路3の後端部は残留物排出口4ではなく残留物除去カード11の出入口4として用いられる。
12は搬送路3の出入口4側に設けられたカード収納部で、内部に上下一対の繰出し取込みローラ13と、この繰出し取込みローラ13を図示しないギアやベルト等を介して駆動するモータ14を有しており、本実施例では残留物除去カード11を搬送方向の先端側の曲折部11aが下向きになるようにして繰出し取込みローラ13に挟持させた状態でカード収納部12内にセットしてある。
【0020】
15はカード取扱い装置1の搬送路3の出入口4とカード収納部12の間に設けられた搬送路、16はこの搬送路15に設けられた搬送ローラ、17は図示しないギアやベルト等を介して駆動するモータである。
次に、上述した構成の作用について説明する。
図5は第2の実施例の作用を示す概略側面図である。
【0021】
尚、以下に説明する各部の動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない制御部により制御されるものとする。
図4に示したように搬送路3中の取引カード10が排出できず、搬送ローラ5a、5b間で残留物として留まると、この取引カード10が検知センサ8bにより検知され、その検知信号に基づいて制御部はモータ6、14、17をそれぞれ駆動して搬送ローラ5a〜5c、繰出し取込みローラ13、搬送ローラ16を回転させる。
【0022】
繰出し取込みローラ13の回転により残留物除去カード11をカード収納部12から繰出し、搬送路15に設けられた搬送ローラ16により出入口4から搬送路3に送り込んで搬送ローラ5a〜5cにより搬送路3の前端側に向かって搬送する。
この搬送において残留物除去カード11の曲折部11aは先端が搬送路3の下面を擦るように進むため、図5に示したように取引カード10は残留物除去カード11の曲折部11aにより搬送路3の前端部のカード挿入排出口2側に押されて行き、そして取引カード10が最前部の検知センサ8aが取引カード10の先端を検知すると、制御部は検知時点から一定量モータ6を駆動した後、モータ6、14、17の駆動を止めて搬送ローラ5a〜5c、繰出し取込みローラ13、搬送ローラ16の回転を停止させる。
【0023】
これにより取引カード10はカード挿入排出口2から途中まで押出された状態で保持されるので、カードの保有者である利用者に取引カード10を抜取らせ、この抜取りを検知センサ8aが検知すると、制御部は搬送ローラ5a〜5c、繰出し取込みローラ13、搬送ローラ16が逆転するようにモータ6、14、17を駆動し、残留物除去カード11をカード収納部12に戻して繰出し取込みローラ13に挟持させる。
【0024】
尚、搬送路3中に紙片等の異物が残留物として残った場合も、同様に除去可能である。
また、残留物除去カード11は搬送路前端のカード挿入排出口2から搬送路後端の出入口4に向かって搬送するものとして説明したが、逆方向にも搬送可能であるので、往復搬送して残留物の除去を行うことも可能であり、このように制御することで一方向の搬送では除去しにくい残留物をも除去することが可能になる。
【0025】
以上説明したように、第2の実施例では、搬送路の後端側にカード収納部を設けてこのカード収納部に残留物除去カードをセットしておき、搬送路中にカードや異物が残留した場合、カード収納部から残留物除去カードを繰出して搬送路中を搬送することで、残留物除去カードにより残留物を押出すようにしているため、第1の実施例と同様の効果が得られる。
【0026】
また、この第2の実施例では残留物を装置正面のカード挿入排出口側に押出すため、残留物が利用者の取引カードである場合、取引カードを直接利用者に返却できる利点があり、更に係員の手を煩わすこともないので、金融機関側にとってのメリットも大きいものとなる。
図6は本発明の第3の実施例の内部構造を示す概略側面図である。
【0027】
尚、上述した第1、第2の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
この第3の実施例は、残留物除去カード11の前後の端部に曲げ加工を施す曲げ加工部18を搬送路15に設けたもので、従ってこの第3の実施例では曲折部11aが形成されていない平坦な残留物除去カード11がカード収納部12にセットされている。
【0028】
曲げ加工部18は図示しない機構により搬送路15の上下方向からから動作するものとなっている。
次に、上述した構成の作用について説明する。
図6は第3の実施例の作用を示す概略側面図である。
尚、以下に説明する各部の動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない制御部により制御されるものとする。
【0029】
図6に示したように搬送路3中の取引カード10が排出できず、搬送ローラ5a、5b間で残留物として留まると、この取引カード10が検知センサ8bにより検知され、その検知信号に基づいて制御部はモータ14、17をそれぞれ駆動して繰出し取込みローラ13、搬送ローラ16を回転させる。
繰出し取込みローラ13の回転により残留物除去カード11をカード収納部12から繰出し、搬送路15の搬送ローラ16間に送り込む。
【0030】
残留物除去カード11が所定の位置まで送られたことを図示しないセンサが検知すると、制御部はモータ14、17の駆動を止めて繰出し取込みローラ13、搬送ローラ16の回転を停止させる。
続いて制御部は曲げ加工部18の下側の部分を上昇させると共に、上側の部分を下降させ、これにより曲げ加工部18で残留物除去カード11の前後の端部を表裏方向から挟付けて曲折部11aを形成する。この場合の曲折部11aは搬送方向の前端部側が下方に向くように形成される。
【0031】
曲折部11aを形成すると、制御部は曲げ加工部18の下側の部分を下降させると共に、上側の部分を上昇させて元の位置に戻した後、モータ17、6をそれぞれ駆動して搬送ローラ16及び5a〜5cを回転させ、これにより残留物除去カード11を出入口4から搬送路3に送り込んで搬送ローラ5a〜5cにより搬送路3の前端側に向かって搬送する。
【0032】
この搬送において残留物除去カード11の曲折部11aは先端が搬送路3の下面を擦るように進むため、取引カード10は残留物除去カード11の曲折部11aにより搬送路3前端のカード挿入排出口2側に押されて行き、そして取引カード10が最前部の検知センサ8aが取引カード10の先端を検知すると、制御部は検知時点から一定量モータ6を駆動した後、モータ6、14、17の駆動を止めて搬送ローラ5a〜5c、繰出し取込みローラ13、搬送ローラ16の回転を停止させる。
【0033】
これにより取引カード10はカード挿入排出口2から途中まで押出された状態で保持されるので、カードの保有者である利用者に取引カード10を抜取らせ、この抜取りを検知センサ8aが検知すると、制御部は搬送ローラ5a〜5c、繰出し取込みローラ13、搬送ローラ16が逆転するようにモータ6、14、17を駆動し、残留物除去カード11をカード収納部12に戻して繰出し取込みローラ13に挟持させる。
【0034】
尚、搬送路3中に紙片等の異物が残留物として残った場合も、同様に除去可能である。
また、残留物除去カード11は搬送路前端のカード挿入排出口2から搬送路3の後端部に向かって搬送するものとして説明したが、逆方向にも搬送可能であるので、往復搬送して残留物の除去を行うことも可能であり、このように制御することで一方向の搬送では除去しにくい残留物をも除去することが可能になる。
【0035】
以上説明したように、第3の実施例では、搬送路の後端側にカード収納部を設けてこのカード収納部に平坦な残留物除去カードをセットしておき、搬送路中にカードや異物が残留した場合、カード収納部から残留物除去カードを繰出して曲げ加工部により残留物除去カードに曲折部を形成して搬送路中を搬送することで、残留物除去カードにより残留物を押出すようにしているため、第1、第2の実施例と同様の効果が得られる。
【0036】
また、この第3の実施例でも第2の実施例と同様に残留物を装置正面のカード挿入排出口側に押出すため、残留物が利用者の取引カードである場合、取引カードを直接利用者に返却できる利点があり、更に係員の手を煩わすこともないので、金融機関側にとってのメリットも大きいものとなる。
更に、この第3の実施例では、カード収納部から残留物除去カードを繰出して曲げ加工部により残留物除去カードに曲折部を形成するようにしているため、残留物除去カードの取扱い性も向上する。
【0037】
図8は本発明の第4の実施例の内部構造を示す概略側面図である。
この第4の実施例は、専用の残留物除去カード11に代えて金融機関で一般に使用される振込カードを残留物除去カードとして使用するもので、カード収納部12には複数枚の振込カード19が積層した状態でセットしてある。
このカード収納部12には繰出し取込みローラ13に代えて振込カード19の下面に当接する繰出しローラ20が設けられ、この繰出しローラ20は図示しないギアやベルト等を介してモータ14により駆動されるものとなっている。
【0038】
尚、この他の部分は第3の実施例と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
次に、上述した構成の作用について説明する。
図9は第4の実施例の作用を示す概略側面図である。
尚、以下に説明する各部の動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない制御部により制御されるものとする。
【0039】
図8に示したように搬送路3中の取引カード10が排出できず、搬送ローラ5a、5b間で残留物として留まると、この取引カード10が検知センサ8bにより検知され、その検知信号に基づいて制御部はモータ14、17をそれぞれ駆動して繰出しローラ20、搬送ローラ16を回転させる。
繰出しローラ20の回転により振込カード19をカード収納部12から繰出し、搬送路15の搬送ローラ16間に送り込む。
【0040】
振込カード19が所定の位置まで送られたことを図示しないセンサが検知すると、制御部はモータ14、17の駆動を止めて繰出しローラ20、搬送ローラ16の回転を停止させる。
続いて制御部は図9に示したように曲げ加工部18の下側の部分を上昇させると共に、上側の部分を下降させ、これにより曲げ加工部18で振込カード19の前後の端部を表裏方向から挟付けて曲折部19aを形成する。この場合の曲折部19aは搬送方向の前端側が下方に向くように形成される。
【0041】
曲折部19aを形成すると、制御部は曲げ加工部18の下側の部分を下降させると共に、上側の部分を上昇させて元の位置に戻した後、モータ17、6をそれぞれ駆動して搬送ローラ16及び5a〜5cを回転させ、これにより振込みカード19を搬送路3の後端部から搬送路3に送り込んで搬送ローラ5a〜5cにより搬送路3前端部のカード挿入排出口2側に向かって搬送する。
【0042】
この搬送において振込カード19の曲折部19aは先端が搬送路3の下面を擦るように進むため、取引カード10は振込カード19の曲折部19aにより搬送路3前端のカード挿入排出口2側に押されて行き、そして取引カード10が最前部の検知センサ8aが取引カード10の先端を検知すると、制御部は検知時点から一定量モータ6を駆動した後、モータ6、17の駆動を止めて搬送ローラ5a〜5c、16の回転を停止させる。
【0043】
これにより取引カード10はカード挿入排出口2から途中まで押出された状態で保持されるので、カードの保有者である利用者に取引カード10を抜取らせる。
搬送路3中の振込カード19は、利用者が取引カード10を抜き取った後、カード挿入排出口2から突出するまで再度搬送して利用客に抜き取らせ、廃棄させるようにしてもよいが、悪用を防止する観点から、取引カード10の排除に先立って係員に残留物除去の報知を行い、係員に予め装置の傍に待機させて利用者が取引カード10を抜き取った後、カード挿入排出口2から係員に排出することが望ましい。
【0044】
尚、搬送路3中に紙片等の異物が残留物として残った場合も、同様に除去可能である。
また、残留物除去カードとして利用する振込カード19は搬送路3の後端部から前端部のカード挿入排出口2に向かって搬送するものとして説明したが、逆方向にも搬送可能であるので、往復搬送して残留物の除去を行うことも可能であり、このように制御することで一方向の搬送では除去しにくい残留物をも除去することが可能になる。
【0045】
以上説明した第4の実施例でも第3の実施例と同様の効果が得られ、しかもこの第4の実施例では、金融機関で一般に使用される振込カードを残留物除去カードとして使用するので、専用の残留物除去カードを用意する必要がないという利点がある。
図10は本発明の第5の実施例の内部構造を示す概略側面図、図11は第5の実施例における残留物除去カードを示す斜視図である。
【0046】
この第5の実施例は、図10に示したように搬送路3の後端側に第2、第3の実施例と同様の搬送路15を配置して、この搬送路15に非接触型のICチップを検知する検知手段としてアンテナ21を設け、残留物除去カード11に非接触型のICチップ22を埋め込んだもので、搬送路15には搬送ローラ16、モータ17を備えることも第2、第3の実施例と同様である。
【0047】
尚、この他の部分は第1の実施例と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
上述した構成の作用について説明する。
図12は第5の実施例の作用を示す概略側面図である。
尚、以下に説明する各部の動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない制御部により制御されるものとする。
【0048】
図10に示したように搬送路3中の取引カード10が排出できず、搬送ローラ5a、5b間で残留物として留まると、この取引カード10が検知センサ8bにより検知され、図示しない報知手段により係員に報知される。
この報知により係員が駆けつけて残留物除去カード11をその曲折部11aの先端が下向きになるようにカード挿入排出口2から挿入する。
【0049】
挿入された残留物除去カード11を検知センサ8aが検知すると、制御部はモータ6を駆動して搬送ローラ5a〜5cを回転させ、残留物除去カード11を取込んで搬送路3の後端部側に向かって搬送する。
この搬送において残留物除去カード11の曲折部11aは先端が搬送路3の下面を擦るように進むため、取引カード10は残留物除去カード11の曲折部11aにより搬送路3の後端部側に押されて行き、この後端部から排出されて搬送路15に送り込まれる。
【0050】
そして、アンテナ21が残留物除去カード11に設けられた非接触型のICチップ22を検知すると、制御部はモータ6、17の駆動を止めて搬送ローラ5a〜5c、16による残留物除去カード11の搬送を停止させる。
これにより取引カード10は搬送路15後端から途中まで押出された状態で保持されるので、係員は自動取引装置の後部扉を開いて取引カード10を抜取る。その後、制御部は再びモータ17を駆動して搬送ローラ16を回転させ、残留物除去カード11を搬送路15の後端から突出させて係員に抜き取らせる。
【0051】
尚、搬送路3中に紙片等の異物が残留物として残った場合も、同様に除去可能である。
また、残留物除去カード11は搬送路前端のカード挿入排出口2から搬送路後端の残留物排出口4に向かって搬送するものとして説明したが、逆方向にも搬送可能であるので、往復搬送して残留物の除去を行うことも可能であり、このように制御することで一方向の搬送では除去しにくい残留物をも除去することが可能になる。
【0052】
以上説明した第5の実施例によれば第1の実施例と同様の効果が得られ、しかもこの第6の実施例では、残留物除去カード11の停止の制御を確実に行うことができるという利点がある。
図13は残留物除去カード11の別の例を示す斜視図、図14はその平面図である。
この残留物除去カード11は表裏両面に保護テープ23と清掃テープ24をそれぞれ貼付したもので、保護テープ23は磁気ヘッド7に該当する位置に、また清掃テープ24は搬送ローラ5a〜5cに該当する位置にそれぞれカードの全長に亘るように設けてある。
【0053】
このようにした残留物除去カード11は上述した各実施例に用いることで搬送路3中の残留物を除去する際、保護テープ23の部分が磁気ヘッド7間を通過するため、磁気ヘッド7を傷つけることなく残留物の除去を行うことが可能であり、また清掃テープ24の部分が各対の搬送ローラ5a〜5cにより挟持されて搬送されるので、搬送ローラ5a〜5c表面の汚れや塵埃を取り除いて清掃することが可能となる。
【0054】
尚、保護テープ23と清掃テープ24は必ずしも両方設ける必要はなく、保護テープ23と清掃テープ24の一方を設けるだけにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施例を示す概略側面図
【図2】残留物除去カードを示す斜視図
【図3】第1の実施例の作用を示す概略側面図
【図4】第2の実施例を示す概略側面図
【図5】第2の実施例の作用を示す概略側面図
【図6】第3の実施例を示す概略側面図
【図7】第3の実施例の作用を示す概略側面図
【図8】第4の実施例を示す概略側面図
【図9】第4の実施例の作用を示す概略側面図
【図10】第5の実施例を示す概略側面図
【図11】第5の実施例で用いる残留物除去カードを示す斜視図
【図12】第5の実施例の作用を示す概略側面図
【図13】残留物除去カードの別の例を示す斜視図
【図14】残留物除去カードの別の例を示す平面図
【符号の説明】
【0056】
1 カード取扱い装置
2 カード挿入排出口
3 搬送路
5a〜5c 搬送ローラ
6 モータ
7 磁気ヘッド
8a〜8d 検知センサ
10 取引カード
11 残留物除去カード
11a 曲折部
12 カード収納部
13 繰出し取込みローラ
14 モータ
15 搬送路
16 搬送ローラ
17 モータ
18 曲げ加工部
19 振込カード
20 繰出しローラ
21 アンテナ
22 ICチップ
23 保護テープ
24 清掃テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路と、取引カードを挟持して前記搬送路中を搬送させる搬送ローラと、搬送路の途中で前記取引カードに対して所定の処理を行う処理部を備えたカード取扱い装置において、
少なくともカード搬送方向の先端側に曲折部を形成した残留物除去カードを前記搬送路中を搬送することで前記搬送路中の残留物を前記搬送路から押出すことを特徴とするカード取扱い装置。
【請求項2】
請求項1記載のカード取扱い装置において、
前記搬送路の後端部側に残留物除去カードを収納したカード収納部を備え、
前記カード収納部から繰出した残留物除去カードを前記搬送路の後端部側から前端部側へ搬送することを特徴とするカード取扱い装置。
【請求項3】
請求項2記載のカード取扱い装置において、
前記搬送路の後端部と前記カード収納部との間に曲げ加工部設け、
曲折部を形成していない残留物除去カードを保留部に収納し、
前記カード収納部から繰出した残留物除去カードの端部を前記曲げ加工部により曲折して曲折部を形成した後、前記残留物除去カードを前記搬送路に送り込むことを特徴とするカード取扱い装置。
【請求項4】
請求項3記載のカード取扱い装置において、
前記残留物除去カードとして振込カードを前記カード収納部に収納したことを特徴とするカード取扱い装置。
【請求項5】
請求項1記載のカード取扱い装置において、
前記搬送路の後端側に非接触型ICチップを検知する検知手段を設けると共に、前記残留物除去カードに非接触型ICチップを設けて、
前記残留物除去カードを搬送路の前端側から搬送して、前記検知手段が非接触型ICチップを検知したとき、前記残留物除去カードの搬送を停止させることを特徴とするカード取扱い装置。
【請求項6】
請求項1記載のカード取扱い装置において、
取引カードに対して所定の処理を行う処理部として磁気ヘッドを備え、
前記残留物除去カードの前記磁気ヘッドに該当する位置にカード全長に亘る保護テープを設けたことを特徴とするカード取扱い装置。
【請求項7】
請求項1または請求項6記載のカード取扱い装置において、
前記残留物除去カードの前記搬送ローラに該当する位置にカード全長に亘る清掃テープを設けたことを特徴とするカード取扱い装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−165471(P2008−165471A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353938(P2006−353938)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】