説明

カード型端末用温度通知装置

【課題】コストを可及的低く抑えながら、高温状態のカード型端末が電子機器から取外されることを防ぐ。
【解決手段】電子機器3と、電子機器3からカード型端末2を取外すときに所定の処理を行う端末制御部6とを備える。カード型端末2の温度を検出する温度検出部4と、この温度検出部4が検出した温度が予め定めた通知温度に達している状態で所定の通知動作を行う通知部5とを備える。端末制御部6は、前記検出された温度が通知温度に達している場合、この温度が通知温度を下回るまで前記所定の処理を一時的に中断させる処理制御部(終了処理制御部7)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード型端末が高温状態であることを使用者に通知するカード型端末用温度通知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(以下、単にPCという)などの電子機器に装着されるカード型端末としては、例えばW−CDMA等の通信規格を採用したカード型データ通信端末がある。この種のカード型データ通信端末は、PCなどのカード用スロット内に挿入されて使用されることが多い。
【0003】
前記カード型データ通信端末は、通信時に多くの電力を消費するために温度が上昇するものである。このため、カード型データ通信端末は、使用状態において前記スロットの外に露出する部分の温度が所定の温度より低くなるように設計されている。これは、ユーザが前記露出部分に接触したときに、ユーザに熱によって不快感を与えることがないようにするためである。
【0004】
前記カード型データ通信端末における前記スロット内に挿入されている部分は、熱が熱伝導によりPC側に伝達されることによって冷却される。このため、カード型データ通信端末において、前記スロット内に挿入されている部分の温度は、PC側の温度に依存することになり、高い温度に達することがある。カード型データ通信端末がこのような高温の状態で前記スロットから取出された場合、ユーザが高温部分に接触し、ユーザに不快感を与えるおそれがある。
【0005】
このような場合にユーザに不快感を与えることがないようにするためには、例えば特許文献1に記載されているように、前記スロット側にロック機構を設けることが考えられる。
特許文献1に開示されている装置は、カード型端末(PCカード)の温度が予め定めた温度より高い場合にカード型端末をスロットから取出すことができないようにするためにロック機構を備えている。このロック機構は、ソレノイドを駆動源とし、カード型端末を取外すために使用するリンク機構の動作を規制する構成が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−247224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている装置では、ロック機構を備える分だけコストアップになるという問題があった。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、コストを可及的低く抑えながら、高温状態のカード型端末が電子機器から取外されることを防ぐことが可能なカード型端末用温度通知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係るカード型端末用温度通知装置は、カード型端末が着脱可能に装着される電子機器と、前記電子機器に設けられ、前記電子機器からカード型端末を取外すときに所定の処理を行う端末制御部と、前記カード型端末の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部が検出した温度が予め定めた通知温度に達している状態で所定の通知動作を行う通知部とを備え、前記端末制御部は、前記温度検出部が検出した温度が前記通知温度に達している場合、前記温度検出部が検出した温度が前記通知温度を下回るまで前記所定の処理を一時的に中断させる処理制御部を備えているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カード型端末の温度が予め定めた通知温度に達していることを通知部を用いてユーザに知らせることができる。カード型端末の温度が前記通知温度に達している状態でカード型端末を電子機器から取外す場合は、カード型端末の温度が通知温度を下回るまで処理制御部が前記所定の処理を中断する。このため、ユーザは、カード型端末の温度が低下するまでカード型端末を電子機器から取外すことはできない。すなわち、本発明においては、カード型端末の高温時の取外しを規制するに当たって、特別なアクチュエータやリンク機構などは不要である。
したがって、本発明によれば、コストを可及的低く抑えながら、高温状態のカード型端末がPCなどから取外されることを防ぐことが可能なカード型端末用温度通知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るカード型端末用温度通知装置の基本的な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るカード型端末用温度通知装置の具体的な実施例を示すブロック図である。
【図3】端末使用時の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】端末取外し時の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るカード型端末用温度通知装置の基本的な構成を図1を使用して説明する。
図1に示すカード型端末用温度通知装置1は、カード型端末2が着脱可能に装着される電子機器3と、前記カード型端末2に設けられた温度検出部4および通知部5と、前記電子機器3に設けられた端末制御部6および終了処理制御部7などを備えている。
【0012】
前記温度検出部4は、カード型端末2の温度を検出する構成が採られている。前記通知部5は、前記温度検出部4が検出した温度が予め定めた通知温度に達している状態で所定の通知動作を行う構成が採られている。前記通知温度は、ユーザがカード型端末2に触れたときにユーザに熱により不快感を与えるような温度に設定されている。前記所定の通知動作とは、光や音を用いてユーザに知らせる動作である。
【0013】
前記端末制御部6は、前記電子機器3からカード型端末2を取外すときにカード型端末2を取外し可能とする終了処理を行う構成が採られている。この実施例においては、この終了処理によって、本発明でいう「所定の処理」が構成されている。この端末制御部6に設けられている前記終了処理制御部7は、前記温度検出部4が検出した温度が前記通知温度に達している場合、前記温度検出部4が検出した温度が前記通知温度を下回るまで前記終了処理を一時的に中断させる構成が採られている。この実施例においては、この終了処理制御部7によって、本発明でいう「処理制御部」が構成されている。
【0014】
この実施例によれば、カード型端末2の温度が予め定めた通知温度に達している場合、通知部5が所定の通知動作を行うために、このことを通知部5を用いてユーザに知らせることができる。カード型端末2の温度が前記通知温度に達している状態でカード型端末2を電子機器3から取外す場合は、カード型端末2の温度が通知温度を下回るまで前記終了処理制御部7が終了処理を中断する。
【0015】
このため、ユーザは、カード型端末2の温度が通知温度より低くなるまでの間はカード型端末2を電子機器3から取外すことができない。すなわち、この実施例においては、カード型端末2の高温時の取外しを規制するに当たって、特別なアクチュエータやリンク機構などは不要である。
したがって、この実施例によれば、コストを可及的低く抑えながら、高温状態のカード型端末2が電子機器3から取外されることを防ぐことが可能なカード型端末用温度通知装置を提供することができる。
【0016】
次に、本発明に係るカード型端末用温度通知装置の具体的な実施例を図2〜図4によって詳細に説明する。ここでは、電子機器としてPCを使用し、カード型端末としてカード型通信データ端末を用いる例について説明する。
本実施例によるカード型端末用温度通知装置11に使用するカード型データ通信端末12は、PC13の図示していないカード用スロットに装着された状態でデータ通信を行うものである。
【0017】
このカード型データ通信端末12は、データ通信の機能を実現するための構成の他に、使用時に前記スロット内に挿入される部分(以下、この部位を単に非可触部という)の温度を測定するための温度検出部14と、この温度検出部14が検出した使用時の非可触部の温度がユーザに対して不快感を与えるおそれがある温度(通知する温度)であるか否かを判断する温度判定部15と、この温度判定部15の判断結果(高温な状態であるか否か)をユーザに通知するための表示部16および表示制御部17と、カード型データ通信端末12が接続されるPC13との通信を行うためのインタフェース制御部18とを有する。
【0018】
このカード型データ通信端末12が接続されるPC13は、PCとしての機能を実現するための構成の他に、前記端末12との通信を行うためのインタフェース制御部21と、前記カード型データ通信端末12の動作を制御するための端末制御用ドライバ22と、ユーザにカード型データ通信端末12の状態(高温な状態であるか否か)を通知するための表示部23および表示制御部24とを有する。
【0019】
この実施例においては、前記温度判定部15と、カード型データ通信端末12側の表示部16、表示制御部17と、PC13側の表示部23、表示制御部24とによって、本発明でいう通知部が構成されている。また、この実施例においては、前記端末制御用ドライバ22によって本発明でいう端末制御部と終了処理制御部とが構成されている。
【0020】
前記カード型データ通信端末12の表示部16は、カード型データ通信端末12の温度の状態をユーザに通知するためのもので、LEDやLCD等の装置を用いて構成されている。カード型データ通信端末12の表示制御部17は、前記表示部16を使用してユーザに通知する機能を実現するための装置およびソフトウェアによって構成されている。
【0021】
前記表示部16および表示制御部17は、本発明の機能を実現するために、カード型データ通信端末12の機能を実現するための構成とは独立させて構成することができる。なお、前記表示部16と表示制御部17とは、カード型データ通信端末12の機能を実現するための構成を使用して構成することができる。例えば、通信中は継続して点灯しているLEDを、高温であることをユーザに通知する場合は点滅させる。
【0022】
前記温度検出部14は、カード型データ通信端末12を使用するときに前記非可触部の温度を測定するための装置で、サーミスタ等の温度検出素子25と、この温度検出素子25の出力を温度情報に変換するために必要な装置およびソフトウェアによって構成されている。サーミスタ等の温度検出素子25の設置位置は、温度検出の目的が使用時の非可触部の温度判断であることから、非可触部における使用時に最高温度となる部分に設置することが望ましい。なお、温度検出部14は、PC13のカード用スロット側に設けることも可能である。この場合、温度検出部14は、非接触式の温度センサを用いて構成される。
【0023】
この実施例による温度検出部14は、前記温度検出素子25の検出値に基づいて前記カード型データ通信端末12の表面の最高温度を推定するために最高温度推定部26を備えている。この最高温度推定部26は、温度検出素子25の検出値に対するカード型データ通信端末12の最高温度となる部位の温度を予め測定しておき、実際に検出した温度検出素子25の検出値に対応する前記測定値を最高温度とする。また、最高温度推定部26としては、温度シミュレーションにより最高温度を演算によって求める構成を採ることもできる。
【0024】
前記温度判定部15は、後述する二つの機能を有している。第1の機能は、温度検出部14にて得られた温度情報に基づいて、カード型データ通信端末12の使用時の非可触部の温度が予め定めた通知温度に達しているかどうかを判断する機能である。ここでいう予め定めた通知温度とは、ユーザが触れたときにユーザに熱いと不快感を与えるような温度をいう。
【0025】
第2の機能は、ユーザへ通知を行うために表示制御部17およびインタフェース制御部18との通信を行う機能である。この実施例による温度判定部15は、上記二つの機能を実現するための装置およびソフトウェアによって構成されている。
前記温度判定部15を実現するに当たっては、カード型データ通信端末12の本来の機能を実現するための構成とは独立した構成を用いて行う他に、カード型データ通信端末12の本来の機能を実現するための構成を使用して行うこともできる。
【0026】
カード型データ通信端末12のインタフェース制御部18およびPC13側のインタフェース制御部21は、カード型データ通信端末12とPC13との通信を行う機能を実現するための装置およびソフトウェアによって構成されている。この実施例による前記両インタフェース制御部18,21を実現するに当たっては、それぞれカード型データ通信端末12をPC13に接続するための本来の機能を実現するための構成を使用して行っている。
【0027】
端末制御用ドライバ22は、PC13からカード型データ通信端末12を制御するために必要なソフトウェアによって構成されている。この実施例による端末制御用ドライバ22は、カード型データ通信端末12の本来の機能を実現するための処理以外に、端末取外し時に端末温度が前記通知温度に達しているか否かの問い合わせ処理を行い、PC13上でユーザにカード型データ通信端末12の状態(高温状態であるか否か)を通知するために表示制御部24と通信する機能を有する。
【0028】
PC13の表示部23は、カード型データ通信端末12と接続されたPC13上にて、カード型データ通信端末12の温度の状態をユーザに通知するためのもので、LCD等の装置にて構成されている。
PC13の表示制御部24は、前記表示部23にてユーザに通知する機能を実現するための装置およびソフトウェアによって構成されている。この表示制御部24を実現するに当たっては、PC13の本来の機能を実現するための構成を使用して行っている。
【0029】
このように構成されたカード型端末用温度通知装置11は、図3および図4に示すフローチャートに示すように動作する。この実施例によるカード型端末用温度通知装置11においては、カード型データ通信端末12の使用時および端末取外し時に温度確認処理が実施される。端末使用時の温度確認処理は、図2のフローチャートに示すように実施され、端末取外し時の温度確認処理は、図3のフローチャートに示すように実施される。
【0030】
カード型データ通信端末12を使用する場合、カード型データ通信端末12は、あらかじめソフトウェアにて規定されたタイミングによる要求、もしくはユーザからの要求により、後述するように温度確認処理を実行する。端末使用時の温度確認処理が開始されると、先ず、前記温度検出部14が温度測定を実行する(ステップS1)。
【0031】
次に、温度判定部15が前記温度検出部14による測定値に基づいてカード型データ通信端末12の非可触部の表面の温度(以下、単に端末表面温度という)を推定する(ステップS2)。なお、温度検出素子25が非可触部において使用時の最高温度となる部位に設置されている場合は、ステップS2において表面温度を推定することなく、ステップS1において検出された温度をそのまま使用してもよい。
【0032】
前記温度検出素子25が非可触部における使用時に最高温度となる部位に設置されていない場合は、前記最高温度推定部26が前記ステップS1において検出された温度と、そのときのカード型データ通信端末12の動作状態などに基づいて、最高温度となる端末表面温度を推定する。温度判定部15は、この推定した温度に基づいて、後述するようにユーザに通知する動作を行うか否かを判断する。
【0033】
前記最高温度となる端末表面温度の推定は、測定部位と最高温度となる部位との温度関係を予め測定しておき、測定部位の温度に基づいて最高温度となる部位の温度を求めることによって行うことができる。また、前記推定は、温度シミュレーション等などの演算処理により行うことも可能である。
【0034】
温度判定部15は、前記ステップS1〜S2で得られた端末表面温度に基づいて温度判定を行う(ステップS3→ステップS4)。このとき、温度判定部15は、カード型データ通信端末12の非可触部の表面温度が予め定めた通知温度以下であると判断した場合、現在の端末状態の情報を通知温度ではない状態に更新し(ステップS4→ステップS5)、温度確認処理を終了する。
【0035】
一方、温度判定部15は、カード型データ通信端末12の非可触部の表面温度が前記通知温度以上であると判断した場合は、カード型データ通信端末12の表示制御部17を介して表示部16を制御し、ユーザに対して温度が高い状態であることを通知する(ステップS5→ステップS6)。
【0036】
カード型データ通信端末12の非可触部が高温状態であることをユーザに通知するに当たっては、色や点灯状態を変えたLEDによる表示や、LCDによる文字や絵による表示で行うことができる。前記温度判定部15は、上述した温度状態表示処理の前後において、現在の端末状態の情報を通知温度である状態に更新し(ステップS5)、温度確認処理を終了する。
【0037】
一方、カード型データ通信端末12をPC13から取外す場合は、先ず、ユーザがPC13においてカード型データ通信端末12を取外すための操作を行う。この操作が行われることにより、前記端末制御用ドライバ22は、PC13上の0S(Operating System)から終了要求を受け、その終了処理内にて後述するように端末取外し時の温度確認処理を実行する。
【0038】
この端末取外し時の温度確認処理が開始されると、図4に示すフローチャートのステップS1〜S3に示すように、図3に示した端末使用時の処理と同様に温度検出部14による温度測定(ステップS1)、非可触部における端末表面温度の推定(ステップS2)、温度判定部15による温度判定(ステップS3)が実行される。
【0039】
ステップS3において、非可触部の表面温度が前記通知温度以下であると判断した場合、温度判定部15は、現在の端末状態の情報を通知温度ではない状態に更新し(図4のステップS4→ステップS5)、その後、ステップP1〜P2に示すように、端末制御用ドライバ22の終了処理を完了させる。端末制御用ドライバ22の終了処理が完了することで、PC13上のOSは、ユーザに対し端末の取り外し許可を通知し(ステップP2)、ユーザが端末の取り外しを実行する(ステップP3)。
【0040】
一方、図4のステップS4において、非可触部の表面温度が通知温度以上であると判断した場合は、温度判定部15は、カード型データ通信端末12の表示制御部17を介して表示部16を制御し、ユーザにカード型データ通信端末12が高温状態であることを通知する(ステップP4)。
【0041】
そして、端末制御用ドライバ22は、PC13の表示制御部24を介してPC13の表示部23を制御し、ユーザにカード型データ通信端末12が高温状態であることを通知し(ステップP5)、カード型データ通信端末12の取外し操作を保留させる。温度判定部15は、その後、ステップS5において、現在の端末状態の情報を通知温度である状態に更新し、非可触部の端末表面温度が通知温度以下になり、端末状態の情報が通知温度でない状態になるまで、温度検出部14による温度測定(図4のステップS1)の処理に戻り、温度検出から端末状態情報の更新処理(ステップS5)までの処理を繰り返す。
【0042】
カード型データ通信端末12は、上述した終了処理が開始された後は通信を停止する。このため、カード型データ通信端末12の温度は、前記終了処理の開始後に徐々に低下する。この温度が前記通知温度を下回ると、図4のステップS3からステップS4、S5およびステップP1を経てステップP2に進み、端末制御用ドライバ22が前記終了処理を完了させる。このときには、例えばPC13の表示部23において、カード型データ通信端末12をPC13から取外すことが可能になったことを表示させることができる。このように前記終了処理が完了した後、ユーザは、ステップP3において、カード型データ通信端末12をPC13から取外す。
【0043】
この実施例によるカード型端用温度通知装置11は、カード型データ通信端末12の非可触部の表面温度が予め定めた通知温度より高い場合、カード型データ通信端末12をPC13から取外そうとしても終了処理が中断されるから、ユーザがカード型データ通信端末12をPC13から取外すことはできないものである。このため、この装置11においては、ユーザは、カード型データ通信端末12の温度が通知温度より低くなるまではカード型データ通信端末12をPC13から取外すことはできない。すなわち、この実施例によれば、カード型データ通信端末12の高温時の取外しを規制するに当たって、特別なアクチュエータやリンク機構などは不要である。
【0044】
カード型データ通信端末12をPC13から取外す際に行われる終了処理は、必ず実行しなければならない処理である。このため、この処理を中断させるということは、カード型データ通信端末12を取外すための操作をロック機構により機械的に規制する場合と実質的に同じ効果を奏する。すなわち、カード型データ通信端末12の取外しを規制するに当たって、温度が高いことを単に表示によって通知する場合はユーザに対しては何ら強制力をもたないが、前記終了処理を中断させることは、ユーザに半強制的に前記取外し操作を止めさせることを意味する。
【0045】
したがって、この実施例によれば、コストを可及的低く抑えながら、高温状態のカード型データ通信端末12がPC13から取外されることを確実に防ぐことが可能なカード型端末用温度通知装置を提供することができる。
【0046】
この実施例による前記温度検出部14は、温度検出素子25と、この温度検出素子25の検出値に基づいて前記カード型データ通信端末12の表面の最高温度を推定する最高温度推定部26とを備えている。
このため、この実施例によれば、温度検出素子25を取付ける位置の自由度が高くなるとともに、カード型データ通信端末12の最高温度を正確に検出することが可能になる。
【0047】
上述した各実施例に示すカード型端末用温度通知装置1,11は、カード型端末2(カード型データ通信端末12)の使用時の非可触部が通知温度に達している場合にユーザへ通知を行うものである。この装置においては、カード型端末2(カード型データ通信端末12)の使用時の可触部(カード用スロットの外に露出している部分)についても、同様に通知温度に達しているかどうかを判断し、ユーザへ通知する構成を採ることができる。
【0048】
上述した実施例においては、使用時に前記可触部は通知温度に達することがないよう設計されているという前提を基に、使用時の可触部の温度判断を行っていない。しかし、使用時の可触部についても非可触部と同様に温度判断を行うことにより、端末全体を監視することとなり、異常動作による端末温度上昇時の温度判断が可能になる。この構成を採ることにより、カード型端末2(カード型データ通信端末12)の全ての部位において、ユーザが触れたときにユーザに不快感を与えることがなくなる。
【0049】
上述した実施例においては、カード型端末2(カード型データ通信端末12)の使用時の非可触部が通知温度に達している場合にユーザへ通知を行うが、これと合わせてロック機構等による物理的な端末の取り外しを妨げる処理を行ってもよい。カード型端末2(カード型データ通信端末12)の使用時の非可触部が通知温度であると判断している間、ユーザの物理的な端末の取外しを妨げることで、熱による不快感をユーザにより一層与え難くなる。
【0050】
上述した実施例では、カード型端末2(カード型データ通信端末12)の使用時の非可触部が通知温度に達している場合にユーザへ通知を行うが、これと合わせてファン等による端末温度を下げるための強制冷却を行う処理を行ってもよい。すなわち、カード型端末2(カード型データ通信端末12)の使用時の非可触部が通知温度であると判断されている間は、前記ファンによるカード型端末2(カード型データ通信端末12)の冷却処理を行い、端末温度を下げる。この構成を採ることにより、端末表面をユーザが触れたときにユーザに不快感を与えることは殆どなくなる。
【符号の説明】
【0051】
1,11…カード型端末用温度通知装置、2…カード型端末、3…電子機器、5…通知部、6…端末制御部、7…終了処理制御部、12…カード型データ通信端末、13…PC、14…温度検出部、15…温度判定部、16,23…表示部、17,24…表示制御部、22…端末制御用ドライバ、25…温度検出素子、26…最高温度推定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード型端末が着脱可能に装着される電子機器と、
前記電子機器に設けられ、前記電子機器からカード型端末を取外すときに所定の処理を行う端末制御部と、
前記カード型端末の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部が検出した温度が予め定めた通知温度に達している状態で所定の通知動作を行う通知部とを備え、
前記端末制御部は、前記温度検出部が検出した温度が前記通知温度に達している場合、前記温度検出部が検出した温度が前記通知温度を下回るまで前記所定の処理を一時的に中断させる処理制御部を備えているカード型端末用温度通知装置。
【請求項2】
請求項1記載のカード型端末用温度通知装置において、前記端末制御部が行う前記所定の処理は、前記カード型端末を取外し可能とする終了処理であるカード型端末用温度通知装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のカード型端末用温度通知装置において、前記温度検出部は、温度検出素子と、この温度検出素子の検出値に基づいて前記カード型端末の表面の最高温度を推定する最高温度推定部とを備えているカード型端末用温度通知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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