説明

カード用コネクタ

【課題】部品が共通化できる両面プリント基板に実装するカード用コネクタを提供する。
【解決手段】第1及び第2ハウジング1・2は、第1傾斜面15a及び第2段差16bを一方の端部に設け、第1段差15b及び第2傾斜面16aを他方の端部に設ける一対のクランク状の鉤形突起17をそれらの両側面に有する。第1及び第2カバー板5・6は、第1段差15b又は第2段差16bに係止する係止辺55bを設け、第1傾斜面15a又は第2傾斜面16aを逃げるクランク状の鉤形開口57をそれらの両翼片に有する。第1カバー板5の左右を反転して、第2ハウジング2に結合できる。第2カバー板6の左右を反転して、第1ハウジング1に結合できる。第1及び第2ハウジング1・2と第1及び第2カバー板5・6とを共通部品にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関する。特に、プリント基板の両面に実装可能なカード用コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、上下にメモリカードを装着できる上下2段のドライブ装置を有するメモリカードドライブ装置が実用化している。そして、組付脚を用いて上下ドライブ装置を組み付け、同時に上下2段のメモリカードドライブ装置をプリント基板上に実装するメモリカードドライブ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1によるメモリカードドライブ装置は、上下2段のドライブ装置を備えている。これら上下のドライブ装置は、各々がメモリカード装着空間を有する一組のシェルを有している。又、これらのドライブ装置は、各メモリカード装着空間内に装着されたメモリカードの導体に接続する一組の電気コネクタを有している。
【0004】
更に、これらのドライブ装置は、一組の電気コネクタに設ける各端子と、各端子に嵌合接続したメモリカードを外脱するイジェクト機構を有している。
【0005】
これらのドライブ装置は、各々個々独立にドライブ可能であり、この別体であって個々独立して機能する上下ドライブ装置を上下2段に組付けるに当り、上下2段のメモリカードドライブ装置をプリント基板に実装する一対の組付脚を用いて上下2段に組付けて2段構成としている。
【0006】
一対の組付脚は、上下ドライブ装置の各シェルに形成された一対の係合片間を差込み式にて橋渡しできる組付片と、この組付片に対し一体に連なり、かつ水平に形成されていてプリント基板に座す脚板により構成している。
【0007】
特許文献1によるメモリカードドライブ装置は、メモリカードを上下に装着できると共に、上下に各々メモリカードを装着するのに代えて、上下の間に一つのハードディスクを装着できる構成となっている。
【特許文献1】特開平7−302645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1によるメモリカードドライブ装置は、上下ドライブ装置の間に介在する中継プリント基板と、その中継プリント基板に実装された中継用電気コネクタを有している。この中継用電気コネクタが上下2段のメモリカードドライブ装置を実装するプリント基板に接続されている。
【0009】
ここで、メモリカードの導体に接続する一組の電気コネクタをプリント基板の両面に直接、表面実装できるように構成すれば、中継プリント基板、中継用電気コネクタ、一対の組付脚を不要として構成を簡易できる。
【0010】
カードが挿入される凹部を設けるハウジングと、この凹部を覆うカバー(シェル)と、カードの導体に接続するコンタクトと、カバーに設けるイジェクト機構と、を備えるカード用コネクタであって、一方のカード用コネクタをプリント基板の一方の面に実装し、他方のカード用コネクタをプリント基板の他方の面に実装することにより、構成が簡易な2段のカード用コネクタを実現できる。
【0011】
ハウジング、カバー、コンタクト、及びイジェクト機構の各構成品の取付穴や嵌合形状を工夫することにより、これら構成品の組み立て方を変えるだけで、カード及びイジェクトボタンが同じ向きに並び、かつ、プリント基板の両面に実装可能なカード用コネクタを実現できる。
【0012】
図10は、従来技術によるカード用コネクタの部分拡大斜視図であり、図10(A)は、カバーとハウジングが結合する前の状態図、図10(A)は、カバーとハウジングが結合した状態図である。なお、図10は、プリント基板の一方の面に実装するカード用コネクタを示している。
【0013】
図11は、従来技術によるカード用コネクタの部分拡大斜視図であり、図11(A)は、カバーとハウジングが結合する前の状態図、図11(A)は、カバーとハウジングが結合した状態図である。なお、図11は、プリント基板の他方の面に実装するカード用コネクタを示している。
【0014】
図10を参照すると、カード用コネクタ8は、プリント基板1pの一方の面11pに実装している。カード用コネクタ8は、ハウジング81とカバー82を備えている。ハウジング81は、カード(図示せず)が挿入される凹部80を設けている。カバー82は、凹部80を覆っている。
【0015】
図10を参照すると、ハウジング81は、両側面から隆起する四角柱状の突起(ディテント)81aを有している。突起81aは、一方の端部に傾斜面811を設け、他方の端部に段差812を設けている。
【0016】
一方、図10を参照すると、カバー82は、矩形の開口(インデント)82aとリード端子82bを両翼に有している。開口82aは、突起81aに嵌合できる。リード端子82bは、プリント基板1pに設けられたスルーホール1tに挿入されて、はんだ接合される。
【0017】
図10において、カバー82をハウジング81に向かって挿入すると、カバー82の両翼が突起81aの傾斜面811で押し広げられる。カバー82をハウジング81に完全に挿入すると、開口82aが突起81aの段差812に係止される。そして、リード端子82bをプリント基板1pにはんだ接合することにより、カード用コネクタ8は、プリント基板1pの一方の面11pに実装(固定)される。
【0018】
図11において、カード用コネクタ9は、プリント基板1pの他方の面12pに実装している(図10参照)。カード用コネクタ9は、ハウジング91とカバー92を備えている。ハウジング91は、カード(図示せず)が挿入される凹部90を設けている。カバー92は、凹部90を覆っている。
【0019】
図11を参照すると、ハウジング91は、両側面から隆起する四角柱状の突起(ディテント)91aを有している。突起91aは、一方の端部に傾斜面911を設け、他方の端部に段差912を設けている。
【0020】
一方、図11を参照すると、カバー92は、矩形の開口(インデント)92aとリード端子92bを両翼に有している。開口92aは、突起91aに嵌合できる。リード端子92bは、プリント基板1pに設けられたスルーホール1tに挿入されて、はんだ接合される(図10参照)。
【0021】
図11において、カバー92をハウジング91に向かって挿入すると、カバー92の両翼が突起91aの傾斜面911で押し広げられる。カバー92をハウジング91に完全に挿入すると、開口92aが突起91aの段差912に係止される。そして、リード端子92bをプリント基板1pにはんだ接合することにより、カード用コネクタ9は、プリント基板1pの他方の面12pに実装(固定)される(図10参照)。
【0022】
図10と図11を対比すると、カバー82の左右を反転すれば、カバー92となってプリント基板1pに実装可能なことが理解できる。つまり、カバー82とカバー92とは、共通の部品であることが理解できる。
【0023】
しかし、図10と図11を対比すると、突起81aと突起91aとは、傾斜面と段差の関係が逆になっているので、カバー82とカバー92とを共通化できても、ハウジング81とハウジング91を共通の部品とすることが困難である。そして、ハウジングとカバーの結合構造がハウジングを共通化する上での障害となっていた。
【0024】
カード又はイジェクトボタンが同じ向きに並び、かつ、プリント基板の両面に実装可能なカード用コネクタにおいて、ハウジング及びカバーが共通部品となるように、ハウジングとカバーの結合構造を構築できれば、異なる部品が削減されて、製造原価の低減に寄与できる。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0025】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、プリント基板の両面に実装可能なカード用コネクタであって、構成部品の共通化が可能なカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明者は、ハウジングとカバーの結合構造において、ハウジングの両側面に設ける突起(ディテント)及びカバーの両翼に設ける開口(インデント)の各形状を創案することにより、上記の課題が解決可能なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たなカード用コネクタを発明するに至った。
【0027】
(1) プリント基板の一方の面の端部に実装してカードを挿入可能な第1スロットを有する第1コネクタ、及び前記プリント基板の他方の面の端部に実装してカードを挿入可能な第2スロットを有する第2コネクタを備え、前記プリント基板を間にして前記第1スロットと前記第2スロットとが略同一面上に配置されるカード用コネクタであって、前記第1コネクタは、カードを収容する平板状の第1ハウジングと、この第1ハウジングの基端部に配置してカードに設けた端子と接続する第1コンタクト群と、前記第1ハウジングの一方の面、及び当該第1ハウジングの両側面を覆う第1カバー板と、を有し、前記第2コネクタは、カードを収容する平板状の第2ハウジングと、この第2ハウジングの基端部に配置してカードに設けた端子と接続する第2コンタクト群と、前記第2ハウジングの他方の面、及び当該第2ハウジングの両側面を覆う第2カバー板と、を有し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジング、前記第1コンタクト群と前記第2コンタクト群、及び前記第1カバー板と前記第2カバー板は、同じ部品又は部品群からなり、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、それらの両側面から隆起する第1突起であって、一方の方向に向かう第1傾斜面を一方の端部に設け、他方の方向に向かう第1段差を他方の端部に設ける一対の第1突起と、それらの両側面から隆起する第2突起であって、一方の方向に向かう第2段差を前記第1傾斜面より後方となるように一方の端部に設け、他方の方向に向かう第2傾斜面を前記第1段差より前方となるように他方の端部に設ける一対の第2突起と、を有し、前記第1カバー板及び前記第2カバー板は、それらの両翼片に開口されて、前記第1段差又は前記第2段差に係止する係止辺を設けると共に、前記第1段差が当該係止辺に係止するときは前記第1傾斜面を逃げ、前記第2段差が当該係止辺に係止するときは前記第2傾斜面を逃げる逃げ部を設ける一対の第1開口と、それらの両翼片に開口されて、一方の前記第1開口が前記第1段差に係止するときは一方の前記第2突起を逃げ、他方の前記第1開口が前記第2段差に係止するときは他方の前記第2突起を逃げる一対の第2開口と、を有するカード用コネクタ。
【0028】
(1)の発明によるカード用コネクタは、第1コネクタ、及び第2コネクタを備えている。第1コネクタは、プリント基板の一方の面の端部に実装しており、カードを挿入可能な第1スロットを有している。第2コネクタは、プリント基板の他方の面の端部に実装しており、カードを挿入可能な第2スロットを有している。そして、プリント基板を間にして、第1スロットと第2スロットとが略同一面上に配置されている。
【0029】
第1コネクタは、平板状の第1ハウジング、第1コンタクト群、及び第1カバー板を有している。第1ハウジングは、カードを収容できる。第1コンタクト群は、第1ハウジングの基端部に配置しており、カードに設けた端子と接続する。第1カバー板は、第1ハウジングの一方の面、及び第1ハウジングの両側面を覆っている。
【0030】
第2コネクタは、平板状の第2ハウジング、第2コンタクト群、及び第2カバー板を有している。第2ハウジングは、カードを収容できる。第2コンタクト群は、第1ハウジングの基端部に配置しており、カードに設けた端子と接続する。第1カバー板は、第2ハウジングの他方の面、及び第2ハウジングの両側面を覆っている。
【0031】
そして、第1ハウジングと第2ハウジング、第1コンタクト群と第2コンタクト群、及び第1カバー板と第2カバー板は、同じ部品又は部品群からなっている。
【0032】
第1ハウジング及び第2ハウジングは、それらの両側面から隆起する一対の第1突起及び一対の第2突起を有している。
【0033】
第1突起は、一方の方向に向かう第1傾斜面を一方の端部に設け、他方の方向に向かう第1段差を他方の端部に設けている。第2突起は、一方の方向に向かう第2段差を第1傾斜面より後方となるように、一方の端部に設けている。又、第2突起は、他方の方向に向かう第2傾斜面を第1段差より前方となるように、他方の端部に設けている。
【0034】
第1カバー板及び第2カバー板は、それらの両翼片に開口される一対の第1開口と一対の第2開口を有している。
【0035】
第1開口は、第1段差又は第2段差に係止する係止辺を設けると共に、第1段差が係止辺に係止するときは第1傾斜面を逃げ、第2段差が係止辺に係止するときは第2傾斜面を逃げる逃げ部を設けている。
【0036】
第2開口は、一方の第1開口が第1段差に係止するときは一方の第2突起を逃げ、他方の第1開口が第2段差に係止するときは他方の第2突起を逃げている。
【0037】
ここで、第1ハウジング及び第2ハウジングは、絶縁性を有している。絶縁性のハウジングとは、非導電性の材料からなるハウジングのことであってよく、合成樹脂を成形して、所望の形状の絶縁性のハウジングを得ることができる。
【0038】
例えば、第1ハウジング及び第2ハウジングは、基端部から先端部に向かって略平行に延びる一対のアームと、これら一対のアームの基端部同士を連結する連結部と、を有してよく、一対のアームには、互いに対向しかつ先端部から基端部に至る溝を設けてよく、これらの溝にカードの両翼が案内されて、カードを第1ハウジング又は第2ハウジングに収容できる。
【0039】
第1コンタクト群及び第2コンタクト群は、第1ハウジング及び第2ハウジングの基端部に圧入又はモールディング(一体成型)により固定してよく、コンタクトの一端がカードの端子(電気端子)に接触してよく、コンタクトの他端がプリント基板にはんだ接合されることが好ましい。コンタクトの他端は、プリント基板に無はんだ接続されてもよい。
【0040】
コンタクトは、ピンコンタクトであってよく、ソケットコンタクトであってよく、カンチレバーコンタクトなどのばね性を有する板コンタクトであってもよい。カードに設けられた端子の種別に対応して、適宜なコンタクトが選択される。
【0041】
第1カバー板及び第2カバー板は、例えば、金属薄板からなり、展開された金属薄板を成形加工することにより、所望の形状のカバー板を得ることができる。カバー板は、導電性の金属薄板からなることが好ましく、カバー板の平坦面がハウジングを覆うことによりシールド効果が得られる。
【0042】
第1カバー板及び第2カバー板は、これらの両翼が直角に折り曲げ加工されて、一対の両翼片を形成してよく、これらの両翼片に第1開口を形成し、ハウジングの両側面に突出する第1突起又は第2突起に係止できる。ここで、第1開口は、第1カバー板又は第2カバー板の挿入方向に対応して、ランスとして機能する。又、これらの両翼片に第2開口を形成し、第1突起又は第2突起を逃げることができる。
【0043】
そして、第1カバー板を第1ハウジングに取り付けて、第1スロットを構成してよく、第2カバー板を第2ハウジングに取り付けて、第2スロットを構成できる。第1スロットと第2スロットは、プリント基板を間にして上下2段に取り付けてよく、プリント基板を間にして左右に取り付けてもよい。
【0044】
第1カバー板を第1ハウジングの一方の方向に向けて移動すると、第1カバー板の両翼片の端縁が第1傾斜面及び第2傾斜面により押し広げられる。第1カバー板を更に移動すると、一対の係止辺が第1段差及び第2段差に係止できる。この状態では、一対の第2開口は、第1突起又は第2突起を逃げているので、第1カバー板の両翼片は、初期の状態に復帰できる。
【0045】
一方、第2カバー板を第2ハウジングの他方の方向に向けて移動すると、第2カバー板の両翼片の端縁が第1傾斜面及び第2傾斜面により押し広げられる。第2カバー板を更に移動すると、一対の第2辺が第1段差及び第2段差に係止できる。この状態では、一対の第1開口は、第1突起又は第2突起を逃げているので、第2カバー板の両翼片は、初期の状態に復帰できる。
【0046】
このように、(1)の発明によるカード用コネクタは、プリント基板の両面に実装可能なカード用コネクタであって、第1及び第2ハウジング、第1及び第2コンタクト群、及び第1及び第2カバー板は、同じ部品又は部品群からなっている。
【0047】
(1)の発明によるカード用コネクタは、第1カバー板の左右を反転して、第2ハウジングに結合できる。一方、第2カバー板の左右を反転して、第1ハウジングに結合できる。第1及び第2ハウジングと第1及び第2カバー板とを共通部品とすることができる。つまり、ハウジング及びカバーが共通部品となるように、ハウジングとカバーの結合構造を構築できる。
【0048】
(2) 前記第1突起と前記第2突起とが隣接すると共に、前記第1開口と前記第2開口と連通している(1)記載のカード用コネクタ。
【0049】
(2)の発明によるカード用コネクタは、第1突起と第2突起とが隣接して、クランク状の鉤形に一体に合成されてよく、第1開口と第2開口と連通して、クランク状の鉤形に一体に開口される。
【0050】
(3) プリント基板の一方の面の端部に実装してカードを挿入可能な第1スロットを有する第1コネクタ、及び前記プリント基板の他方の面の端部に実装してカードを挿入可能な第2スロットを有する第2コネクタを備え、前記プリント基板を間にして前記第1スロットと前記第2スロットとが略同一面上に配置されるカード用コネクタであって、前記第1コネクタは、カードを収容する平板状の第1ハウジングと、この第1ハウジングの基端部に配置してカードに設けた端子と接続する第1コンタクト群と、前記第1ハウジングの一方の面、及び当該第1ハウジングの両側面を覆う第1カバー板と、を有し、前記第2コネクタは、カードを収容する平板状の第2ハウジングと、この第2ハウジングの基端部に配置してカードに設けた端子と接続する第2コンタクト群と、前記第2ハウジングの他方の面、及び当該第2ハウジングの両側面を覆う第2カバー板と、を有し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジング、前記第1コンタクト群と前記第2コンタクト群、及び前記第1カバー板と前記第2カバー板は、同じ部品又は部品群からなり、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、それらの両側面から隆起するH字状の第3突起であって、相反する向きに向かう一対の第3段差を中央部に設け、相反する向きに向かう一対一組の第3傾斜面を前記第3段差より前方となるように当該第3段差の両翼に設ける一対の第3突起を有し、前記第1カバー板及び前記第2カバー板は、それらの両翼片に開口されたH字状の第3開口であって、前記第3突起のいずれか一方の第3段差に係止する係止片を中央部に設けると共に、前記第3突起の一対の第3傾斜面を逃げる一対の凹部を係止片の両翼に設ける一対の第3開口を有するカード用コネクタ。
【0051】
(3)の発明によるカード用コネクタは、第1コネクタ、及び第2コネクタを備えている。第1コネクタは、プリント基板の一方の面の端部に実装しており、カードを挿入可能な第1スロットを有している。第2コネクタは、プリント基板の他方の面の端部に実装しており、カードを挿入可能な第2スロットを有している。そして、プリント基板を間にして、第1スロットと第2スロットとが略同一面上に配置されている。
【0052】
第1コネクタは、平板状の第1ハウジング、第1コンタクト群、及び第1カバー板を有している。第1ハウジングは、カードを収容できる。第1コンタクト群は、第1ハウジングの基端部に配置しており、カードに設けた端子と接続する。第1カバー板は、第1ハウジングの一方の面、及び第1ハウジングの両側面を覆っている。
【0053】
第2コネクタは、平板状の第2ハウジング、第2コンタクト群、及び第2カバー板を有している。第2ハウジングは、カードを収容できる。第2コンタクト群は、第2ハウジングの基端部に配置しており、カードに設けた端子と接続する。第2カバー板は、第2ハウジングの他方の面、及び第2ハウジングの両側面を覆っている。
【0054】
そして、第1ハウジングと第2ハウジング、第1コンタクト群と第2コンタクト群、及び第1カバー板と第2カバー板は、同じ部品又は部品群からなっている。
【0055】
第1ハウジング及び第2ハウジングは、それらの両側面から隆起する一対のH字状の第3突起を有している。第3突起は、相反する向きに向かう一対の第3段差を中央部に設け、相反する向きに向かう一対一組の第3傾斜面を第3段差より前方となるように第3段差の両翼に設けている。
【0056】
第1カバー板及び第2カバー板は、それらの両翼片に開口された一対のH字状の第3開口を有している。第3開口は、第3突起のいずれか一方の第3段差に係止する係止片を中央部に設けている。又、第3開口は、第3突起の一対の第3傾斜面を逃げる一対の凹部を係止片の両翼に設けている。
【0057】
第1カバー板及び第2カバー板は、これらの両翼が直角に折り曲げ加工されて、一対の両翼片を形成してよく、これらの両翼片に第3開口を形成し、ハウジングの両側面に突出する第3突起に係止できる。ここで、第3開口の係止片は、第1カバー板又は第2カバー板の挿入方向に対応して、ランスとして機能する。
【0058】
そして、第1カバー板を第1ハウジングに取り付けて、第1スロットを構成してよく、第2カバー板を第2ハウジングに取り付けて、第2スロットを構成できる。第1スロットと第2スロットは、プリント基板を間にして上下2段に取り付けてよく、プリント基板を間にして左右に取り付けてもよい。
【0059】
第1カバー板を第1ハウジングの一方の方向に向けて移動すると、第1カバー板の両翼片の端縁が一方の一組の第3傾斜面により押し広げられる。第1カバー板を更に移動すると、一対の係止片が一対の第3段差に係止できる。この状態では、一対の凹部は、一対の第3突起を逃げているので、第1カバー板の両翼片は、初期の状態に復帰できる。
【0060】
一方、第2カバー板を第2ハウジングの他方の方向に向けて移動すると、第2カバー板の両翼片の端縁が他方の一組の第3傾斜面により押し広げられる。第2カバー板を更に移動すると、一対の係止片が一対の第3段差に係止できる。この状態では、一対の凹部は、一対の第3突起を逃げているので、第2カバー板の両翼片は、初期の状態に復帰できる。
【0061】
このように、(3)の発明によるカード用コネクタは、プリント基板の両面に実装可能なカード用コネクタであって、第1及び第2ハウジング、第1及び第2コンタクト群、及び第1及び第2カバー板は、同じ部品又は部品群からなっている。
【0062】
(3)の発明によるカード用コネクタは、第1カバー板の左右を反転して、第2ハウジングに結合できる。一方、第2カバー板の左右を反転して、第1ハウジングに結合できる。第1及び第2ハウジングと第1及び第2カバー板とを共通部品とすることができる。つまり、ハウジング及びカバーが共通部品となるように、ハウジングとカバーの結合構造を構築できる。
【0063】
(4) 前記第1コネクタは、前記第1カバー板に連結して、カードを排出可能な第1イジェクト機構を含み、前記第2コネクタは、前記第2カバー板に連結して、カードを排出可能な第2イジェクト機構を含み、前記第1イジェクト機構と前記第2イジェクト機構は、同じ部品群からなる(1)から(3)のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【0064】
(4)の発明によるカード用コネクタは、第1コネクタが第1イジェクト機構を含んでいる。第1イジェクト機構は、第1カバー板に連結しており、カードを排出可能となっている。又、(4)の発明によるカード用コネクタは、第2コネクタが第2イジェクト機構を含んでいる。第2イジェクト機構は、第2カバー板に連結しており、カードを排出可能となっている。そして、第1イジェクト機構と第2イジェクト機構は、同じ部品群からなっている。
【0065】
第1イジェクト機構及び第2イジェクト機構は、てこ式のリンク機構を用いることが好ましく、第1スロット及び第2スロットにそれぞれ隣接するイジェクトボタンを押すことにより、カードが排出されるリンク機構とすることが好ましい。第1イジェクト機構及び第2イジェクト機構は、第1カバー板又は第2カバー板の片翼に取り付けられることが好ましい。ここで、第1イジェクト機構と第2イジェクト機構とは、互い独立して運動できる。
【0066】
(4)の発明によるカード用コネクタは、プリント基板の両面に実装可能なカード用コネクタにおいて、イジェクトボタンを同じ向きに並べることができる。
【0067】
(5) 前記第1カバー板及び前記第2カバー板は、前記プリント基板にはんだ接合される複数のリード端子を両翼片に有する(1)から(4)のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【0068】
(5)の発明によるカード用コネクタは、複数のリード端子をプリント基板にはんだ接合することにより、一組のカード用コネクタをプリント基板の両面に実装できる。
【発明の効果】
【0069】
本発明によるカード用コネクタは、プリント基板の両面に実装可能なカード用コネクタであって、第1及び第2ハウジング、第1及び第2コンタクト群、及び第1及び第2カバー板は、同じ部品又は部品群からなっている。
【0070】
本発明によるカード用コネクタは、ハウジングとカバーの結合構造において、ハウジングの両側面に設ける突起(ディテント)及びカバーの両翼に設ける開口(インデント)の各形状をクランク状の鉤形、又はH字状の形状とすることにより、構成部品の共通化が可能なカード用コネクタを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0072】
図1は、本発明によるカード用コネクタ(以下、コネクタと略称する)の第1実施形態を示す斜視図であり、カードが装着された状態図である。図2は、前記第1実施形態によるコネクタの斜視分解組立図である。
【0073】
図3は、前記第1実施形態によるコネクタの内の第1コネクタの要部を拡大した斜視分解組立図である。図4は、前記第1実施形態による第1コネクタの要部を拡大した斜視分解組立図であり、図4(A)は、第1カバーを第1ハウジングに取り付ける前の状態図、図4(B)は、第1カバー板を第1ハウジングに取り付けた状態図である。
【0074】
図5は、前記第1実施形態による第2コネクタの要部を拡大した斜視分解組立図であり、図5(A)は、第2カバー板を第2ハウジングに取り付ける前の状態図、図5(B)は、第2カバー板を第2ハウジングに取り付けた状態図である。
【0075】
図6は、本発明によるコネクタの第2実施形態を示す斜視図であり、カードが装着された状態図である。
【0076】
図7は、前記第2実施形態によるコネクタの内の第1コネクタの要部を拡大した斜視分解組立図である。図8は、前記第2実施形態による第1コネクタの要部を拡大した斜視分解組立図であり、図8(A)は、第1カバー板を第1ハウジングに取り付ける前の状態図、図8(B)は、第1カバー板を第1ハウジングに取り付けた状態図である。
【0077】
図9は、前記第2実施形態による第2コネクタの要部を拡大した斜視分解組立図であり、図9(A)は、第2カバー板を第2ハウジングに取り付ける前の状態図、図9(B)は、第2カバー板を第2ハウジングに取り付けた状態図である。
【0078】
最初に、本発明の第1実施形態によるコネクタの構成を説明する。図1又は図2を参照すると、第1実施形態によるコネクタ100は、第1コネクタ10、及び第2コネクタ20を備えている。
【0079】
図1を参照すると、第1コネクタ10は、プリント基板1pの一方の面11pの端部に実装しており、カード1cを挿入可能な第1スロット1sを有している。第2コネクタ20は、プリント基板1pの他方の面12pの端部に実装しており、カード1cを挿入可能な第2スロット2sを有している。そして、プリント基板1pを間にして、第1スロット1sと第2スロット2sとが略同一面上に配置されている。
【0080】
図1又は図2を参照すると、第1コネクタ10は、平板状の第1ハウジング1、第1コンタクト3の群、第1カバー板5、及び第1イジェクト機構71を有している。第1ハウジング1は、カード1cを収容できる。第1コンタクト3の群は、第1ハウジング1の基端部に配置しており、カード1cに設けた端子(図示せず)と接続する。
【0081】
図1又は図2を参照すると、第1カバー板5は、第1ハウジング1の一方の面、及び第1ハウジング1の両側面を覆っている。第1イジェクト機構71は、第1カバー板5に連結しており、カード1cを排出可能となっている。
【0082】
図1又は図2を参照すると、第2コネクタ20は、平板状の第2ハウジング2、第2コンタクト4の群、第2カバー板6、及び第2イジェクト機構72を有している。第2ハウジング2は、カード1cを収容できる。第2コンタクト4の群は、第2ハウジング2の基端部に配置しており、カード1cに設けた端子(図示せず)と接続する。
【0083】
図1又は図2を参照すると、第2カバー板6は、第2ハウジング2の一方の面、及び第2ハウジング2の両側面を覆っている。第2イジェクト機構72は、第2カバー板6に連結しており、カード1cを排出可能となっている。
【0084】
図1から図9において、第1ハウジング1と第2ハウジング2、第1コンタクト3と第2コンタクト4、及び第1カバー板5と第2カバー板6は、後述するように同じ部品からなっている。又、第1イジェクト機構71と第2イジェクト機構72は、後述するように同じ部品群からなっている。ここで、これらの部品又は部品群は、説明の便宜上、符号を付して区別している。
【0085】
図2を参照すると、第1ハウジング1は、基端部から先端部に向かって略平行に延びる一対のアーム13・13と、一対のアーム13・13の基端部同士を連結する連結部14と、を有している。
【0086】
図1又は図2を参照すると、一対のアーム13・13には、互いに対向しかつ先端部から基端部に至る一対の溝13a・13aを設けている。一対の溝13a・13aにカード1cの両翼が案内されて、カード1cを第1ハウジング1に収容できる。
【0087】
同様に、図2を参照すると、第2ハウジング2は、基端部から先端部に向かって略平行に延びる一対のアーム23・23と、一対のアーム23・23の基端部同士を連結する連結部24と、を有している。
【0088】
図1又は図2を参照すると、一対のアーム23・23には、互いに対向しかつ先端部から基端部に至る一対の溝23a・23aを設けている。一対の溝23a・23aにカード1cの両翼が案内されて、カード1cを第2ハウジング2に収容できる。
【0089】
図1又は図2を参照すると、第1コンタクト3は、第1ハウジング1の基端部に固定されている。第1コンタクト3の一端がカード1cの端子(図示せず)に接触してよく、第1コンタクト3の他端がプリント基板1pの一方の面11pにはんだ接合される。
【0090】
同様に、図1又は図2を参照すると、第2コンタクト4は、第2ハウジング2の基端部に固定されている。第2コンタクト4の一端がカード1cの端子(図示せず)に接触してよく、第2コンタクト4の他端がプリント基板1pの他方の面12pにはんだ接合される。
【0091】
図2を参照すると、第1コンタクト3と第2コンタクト4とは、同じものであるが、第1ハウジング1又は第2ハウジング2に固定する向きを反転して、プリント基板1pの両面に実装できる。
【0092】
図1又は図2を参照すると、第1イジェクト機構71は、てこ式のリンク機構を用いている。第1イジェクト機構71は、中間の支点C1が第1カバー板5の平坦面50と回動自在に連結する揺動レバー711を備えている。又、第1イジェクト機構71は、第1スロット1sに隣接する第1イジェクトボタン71aを備えている。
【0093】
図1又は図2を参照すると、第1イジェクトボタン71aを押すと、第1カバー板5の片翼にスライド自在に連結されたリンク(図示せず)の運動により、揺動レバー711を一方の方向に回動できる。そして、揺動レバー711の力点に相当する折り曲げ片がカード1cを排出する。
【0094】
同様に、図1又は図2を参照すると、第2イジェクト機構72は、てこ式のリンク機構を用いている。第2イジェクト機構72は、中間の支点C2が第2カバー板6の平坦面60と回動自在に連結する揺動レバー721(図示せず)を備えている。又、第2イジェクト機構72は、第2スロット2sに隣接する第2イジェクトボタン72aを備えている。
【0095】
図1又は図2を参照すると、第2イジェクトボタン72aを押すと、第2カバー板6の片翼にスライド自在に連結されたリンク(図示せず)の運動により、揺動レバー721を一方の方向に回動できる。そして、揺動レバー721の力点に相当する折り曲げ片がカード1cを排出する。
【0096】
図1又は図2において、第1カバー板5に取り付けられた第1イジェクト機構71は、それらの構成部品の取り付け方を反転して、第2カバー板6に取り付けている。すなわち、第1イジェクト機構71と第2イジェクト機構72を同じ部品群で構成できる。
【0097】
図1又は図2に示されるように、部品群を変えることなく、第1イジェクトボタン71aと第2イジェクトボタン72aとを同じ向きに並べることができる。なお、第1イジェクト機構71と第2イジェクト機構72とは、互い独立して運動できる。
【0098】
図1又は図2を参照すると、第1カバー板5は、その両翼が直角に折り曲げ加工されて、一対の両翼片を形成しており、この一対の両翼片にクランク状の鉤形開口57を形成している。一方、第1ハウジング1は、その両側面にクランク状の鉤形突起17を突出している。
【0099】
同様に、図1又は図2を参照すると、第2カバー板6は、その両翼が直角に折り曲げ加工されて、一対の両翼片を形成しており、この一対の両翼片にクランク状の鉤形開口57を形成している。一方、第2ハウジング2は、その両側面にクランク状の鉤形突起17を突出している。
【0100】
図3又は図4を参照すると、第1ハウジング1は、それらの両側面から隆起する一対の第1突起15及び一対の第2突起16を有している。なお、図3又は図4において、一方の側面に形成された第1突起15及び第2突起16を図示しており、他方の側面に形成された第1突起15及び第2突起16は、図示を割愛している。
【0101】
図3又は図4を参照すると、第1突起15は、一方の方向に向かう第1傾斜面15aを一方の端部に設け、他方の方向に向かう第1段差15bを他方の端部に設けている。第2突起16は、一方の方向に向かう第2段差16bを第1傾斜面15aより後方となるように、一方の端部に設けている。又、第2突起16は、他方の方向に向かう第2傾斜面16aを第1段差15bより前方となるように、他方の端部に設けている。
【0102】
そして、図2を参照すると、第1突起15と第2突起16とが隣接して、クランク状の鉤形突起17に一体に合成されている。
【0103】
図3又は図4を参照すると、第1カバー板5は、それらの両翼片に開口される一対の第1開口55と一対の第2開口56を有している。なお、図3又は図4において、一方の片翼片Rに形成される第1開口55及び第2開口56を図示しており、他方の片翼片Lに形成される第1開口55及び第2開口56は、図示を割愛している。
【0104】
図3又は図4を参照すると、第1開口55は、第1段差15bに係止する係止辺55bを設けている。又、第1開口55は、第1傾斜面15aを逃げる逃げ部55aを設けている。第2開口56は、係止辺55bが第1段差15bに係止したときに、第2突起16を逃げるように開口している。
【0105】
図2又は図4を参照すると、第1カバー板5は、その両翼片にリード端子58を有している。リード端子58は、プリント基板1pに設けたスルーホール1tに挿入されて、はんだ接合することにより、第1カバー板5をプリント基板1pの一方の面11pに固定できる。
【0106】
図5を参照すると、第2ハウジング2は、それらの両側面から隆起する一対の第1突起15及び一対の第2突起16を有している。なお、図5において、一方の側面に形成された第1突起15及び第2突起16を図示しており、他方の側面に形成された第1突起15及び第2突起16は、図示を割愛している。
【0107】
図5を参照すると、第1突起15は、一方の方向に向かう第1傾斜面15aを一方の端部に設け、他方の方向に向かう第1段差15bを他方の端部に設けている。第2突起16は、一方の方向に向かう第2段差16bを第1傾斜面15aより後方となるように、一方の端部に設けている。又、第2突起16は、他方の方向に向かう第2傾斜面16aを第1段差15bより前方となるように、他方の端部に設けている。
【0108】
そして、図2を参照すると、第1突起15と第2突起16とが隣接して、クランク状の鉤形突起17に一体に合成されている。
【0109】
図5を参照すると、第2カバー板6は、それらの両翼片に開口される一対の第1開口55と一対の第2開口56を有している。なお、図5において、一方の片翼片Rに形成される第1開口55及び第2開口56を図示しており、他方の片翼片Lに形成される第1開口55及び第2開口56は、図示を割愛している。
【0110】
図5を参照すると、第1開口55は、第2段差16bに係止する係止辺55bを設けている。又、第1開口55は、第2傾斜面16aを逃げる逃げ部55aを設けている。第2開口56は、係止辺55bが第2段差16bに係止したときに、第1突起15を逃げるように開口している。
【0111】
図2又は図5を参照すると、第2カバー板6は、その両翼片にリード端子58を有している。リード端子58は、プリント基板1pに設けたスルーホール1tに挿入されて、はんだ接合することにより、第2カバー板6をプリント基板1pの他方の面12pに固定できる(図4参照)。
【0112】
次に、本発明の第1実施形態によるコネクタ100の作用を説明する。
【0113】
図4を参照すると、第1カバー板5を第1ハウジング1の一方の方向に向けて移動すると、第1カバー板5の両翼片の端縁が第1傾斜面15a及び第2傾斜面16aにより押し広げられる。第1カバー板5を更に移動すると、一対の係止辺55b・55bが第1段差15b及び第2段差16bに係止できる。
【0114】
図4(B)に示された状態では、一対の第2開口56・56は、第1突起15又は第2突起16を逃げているので、第1カバー板5の両翼片は、初期の状態に復帰できる。つまり、一対の第2開口56・56は、一方の第1開口55が第1段差15bに係止するときは一方の第2突起16を逃げ、他方の第1開口55が第2段差16bに係止するときは他方の第2突起16を逃げている。
【0115】
図5を参照すると、第2カバー板6を第2ハウジング2の一方の方向に向けて移動すると、第2カバー板6の両翼片の端縁が第1傾斜面15a及び第2傾斜面16aにより押し広げられる。第2カバー板6を更に移動すると、一対の係止辺55b・55bが第1段差15b及び第2段差16bに係止できる。
【0116】
図5(B)に示された状態では、一対の第2開口56・56は、第1突起15又は第2突起16を逃げているので、第2カバー板6の両翼片は、初期の状態に復帰できる。つまり、一対の第2開口56・56は、一方の第1開口55が第1段差15bに係止するときは一方の第2突起16を逃げ、他方の第1開口55が第2段差16bに係止するときは他方の第2突起16を逃げている。
【0117】
図4と図5を対比すると、第1カバー板5の左右を反転して、第2ハウジング2に結合できることが理解される。一方、第2カバー板6の左右を反転して、第1ハウジング1に結合できることも理解できる。
【0118】
このように、本発明の第1実施形態によるカード用コネクタ100は、第1及び第2ハウジング1・2と第1及び第2カバー板5・6とを共通部品とすることができる。つまり、本発明の第1実施形態によるカード用コネクタ100は、ハウジング及びカバー板が共通部品となるように、ハウジングとカバー板の結合構造を構築できる。
【0119】
次に、本発明の第2実施形態によるコネクタの構成を説明する。なお、以下の説明において、既に使用された符号と同じ符号の構成品は、その作用を同一とするので、説明を割愛することがある。
【0120】
図6を参照すると、第2実施形態によるコネクタ200は、第1コネクタ10、及び第2コネクタ20を備えている。第1コネクタ10は、プリント基板1pの一方の面の端部に実装しており、カード1cを挿入可能な第1スロット1sを有している。第2コネクタ20は、プリント基板1pの他方の面の端部に実装しており、カード1cを挿入可能な第2スロット2sを有している。そして、プリント基板1pを間にして、第1スロット1sと第2スロット2sとが略同一面上に配置されている。
【0121】
図6から図9を参照すると、第1コネクタ10は、平板状の第1ハウジング1、第1コンタクト3の群(図2参照)、及び第1カバー板5を有している。第1ハウジング1は、カード1cを収容できる。第1コンタクト3の群は、第1ハウジング1の基端部に配置しており(図2参照)、カード1cに設けた端子(図示せず)と接続する。第1カバー板5は、第1ハウジング1の一方の面、及び第1ハウジング1の両側面を覆っている。
【0122】
図6から図9を参照すると、第2コネクタ20は、平板状の第2ハウジング2、第2コンタクト4の群(図2参照)、及び第2カバー板6を有している。第2ハウジング2は、カード1cを収容できる。第2コンタクト4の群は、第2ハウジング2の基端部に配置しており(図2参照)、カード1cに設けた端子(図示せず)と接続する。第2カバー板6は、第2ハウジング2の他方の面、及び第2ハウジング2の両側面を覆っている。
【0123】
図6から図9において、第1ハウジング1と第2ハウジング2、第1コンタクト3と第2コンタクト4、及び第1カバー板5と第2カバー板6は、同じ部品又は部品群からなっている。
【0124】
図6において、第1コネクタ10は、第1イジェクト機構71を含んでいる。第1イジェクト機構71は、第1カバー板5に連結しており、カード1cを排出可能となっている。又、第2コネクタ20は、第2イジェクト機構72を含んでいる(図2参照)。第2イジェクト機構72は、第2カバー板6に連結しており、カード1cを排出可能となっている。そして、第1イジェクト機構71と第2イジェクト機構72は、同じ部品群からなっている。
【0125】
図6を参照すると、第1カバー板5は、その両翼が直角に折り曲げ加工されて、一対の両翼片を形成しており、この一対の両翼片にH字状の第3開口59を形成している。一方、第1ハウジング1は、その両側面から隆起する一対のH字状の第3突起19を形成している。
【0126】
同様に、図6に明確に図示していないが、第2カバー板6は、その両翼が直角に折り曲げ加工されて、一対の両翼片を形成しており、この一対の両翼片にH字状の第3開口59を形成している。一方、第2ハウジング2は、その両側面から隆起する一対のH字状の第3突起19を形成している。
【0127】
図7又は図8を参照すると、第1ハウジング1は、それらの両側面から隆起する一対のH字状の第3突起19を有している。なお、図7又は図8において、一方の側面に形成された第3突起19を図示しており、他方の側面に形成された第3突起19は、図示を割愛している。
【0128】
図7又は図8を参照すると、第3突起19は、相反する向きに向かう一対の第3段差19a・19bを中央部に設けている。第3突起19は、一方の方向に向かう一組の第3傾斜面19c・19cを第3段差19aより前方となるように、第3段差19aの両翼に設けている。
【0129】
又、図7又は図8を参照すると、第3突起19は、他方の方向に向かう一組の第3傾斜面19d・19dを第3段差19bより前方となるように、第3段差19bの両翼に設けている。一組の第3傾斜面19c・19cと一組の第3傾斜面19d・19dとは、相反する向きに配置している。
【0130】
図7又は図8を参照すると、第1カバー板5は、それらの両翼片に開口された一対のH字状の第3開口59を有している。なお、図7又は図8において、一方の片翼片Rに形成される第3開口59を図示しており、他方の片翼片Lに形成される第3開口59は、図示を割愛している。
【0131】
図7又は図8を参照すると、第3開口59は、第3突起19の第3段差19bに係止する係止片59bを中央部に設けている。又、第3開口59は、第3突起19の一対の第3傾斜面19d・19dを逃げる凹部59dを係止片59bの両翼に設けている。
【0132】
図9を参照すると、第2ハウジング2は、それらの両側面から隆起する一対のH字状の第3突起19を有している。なお、図9において、一方の側面に形成された第3突起19を図示しており、他方の側面に形成された第3突起19は、図示を割愛している。
【0133】
図9を参照すると、第3突起19は、相反する向きに向かう一対の第3段差19a・19bを中央部に設けている。第3突起19は、一方の方向に向かう一組の第3傾斜面19c・19cを第3段差19aより前方となるように、第3段差19aの両翼に設けている。
【0134】
又、図9を参照すると、第3突起19は、他方の方向に向かう一組の第3傾斜面19d・19dを第3段差19bより前方となるように、第3段差19bの両翼に設けている。一組の第3傾斜面19c・19cと一組の第3傾斜面19d・19dとは、相反する向きに配置している。
【0135】
図9を参照すると、第2カバー板6は、それらの両翼片に開口された一対のH字状の第3開口59を有している。なお、図9において、一方の片翼片Rに形成される第3開口59を図示しており、他方の片翼片Lに形成される第3開口59は、図示を割愛している。
【0136】
図9を参照すると、第3開口59は、第3突起19の第3段差19aに係止する係止片59aを中央部に設けている。又、第3開口59は、第3突起19の一対の第3傾斜面19c・19cを逃げる凹部59cを係止片59aの両翼に設けている。
【0137】
次に、本発明の第2実施形態によるコネクタ200の作用を説明する。
【0138】
図8を参照すると、第1カバー板5を第1ハウジング1の一方の方向に向けて移動すると、第1カバー板5の両翼片の端縁が一対一組の第3傾斜面19c・19cにより押し広げられる。第1カバー板5を更に移動すると、係止片59bを第3段差19bに係止できる。
【0139】
図8(B)に示された状態では、一対の第3開口59に設けられた凹部59dは、一組の第3傾斜面19d・19dを逃げているので、第1カバー板5の両翼片は、初期の状態に復帰できる。つまり、一対の第3開口59・59は、係止片59bが第3段差19bに係止するときは、一組の第3傾斜面19c・19c及び第3傾斜面19d・19dを逃げている。
【0140】
図9を参照すると、第2カバー板6を第2ハウジング2の一方の方向に向けて移動すると、第2カバー板6の両翼片の端縁が一対一組の第3傾斜面19d・19dにより押し広げられる。第2カバー板6を更に移動すると、係止片59aを第3段差19aに係止できる。
【0141】
図9(B)に示された状態では、一対の第3開口59に設けられた凹部59cは、一組の第3傾斜面19c・19cを逃げているので、第2カバー板6の両翼片は、初期の状態に復帰できる。つまり、一対の第3開口59・59は、係止片59aが第3段差19aに係止するときは、一組の第3傾斜面19c・19c及び第3傾斜面19d・19dを逃げている。
【0142】
図8と図9を対比すると、第1カバー板5の左右を反転して、第2ハウジング2に結合できることが理解される。一方、第2カバー板6の左右を反転して、第1ハウジング1に結合できることも理解できる。
【0143】
このように、本発明の第2実施形態によるカード用コネクタ200は、第1及び第2ハウジング1・2と第1及び第2カバー板5・6とを共通部品とすることができる。つまり、本発明の第2実施形態によるカード用コネクタ200は、ハウジング及びカバー板が共通部品となるように、ハウジングとカバー板の結合構造を構築できる。
【0144】
本発明の実施形態によるカード用コネクタは、ハウジングとカバー板の結合構造において、ハウジングの両側面に設ける突起(ディテント)及びカバー板の両翼に設ける開口(インデント)の各形状をクランク状の鉤形、又はH字状の形状とすることにより、構成部品の共通化が可能なカード用コネクタを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明によるカード用コネクタの第1実施形態を示す斜視図であり、カードが装着された状態図である。
【図2】前記第1実施形態によるカード用コネクタの斜視分解組立図である。
【図3】前記第1実施形態によるカード用コネクタの内の第1コネクタの要部を拡大した斜視分解組立図である。
【図4】前記第1実施形態による第1コネクタの要部を拡大した斜視分解組立図である。
【図5】前記第1実施形態による第2コネクタの要部を拡大した斜視分解組立図である。
【図6】本発明によるカード用コネクタの第2実施形態を示す斜視図であり、カードが装着された状態図である。
【図7】前記第2実施形態によるカード用コネクタの内の第1コネクタの要部を拡大した斜視分解組立図である。
【図8】前記第2実施形態による第1コネクタの要部を拡大した斜視分解組立図である。
【図9】前記第2実施形態による第2コネクタの要部を拡大した斜視分解組立図である。
【図10】従来技術によるカード用コネクタの部分拡大斜視図である。
【図11】従来技術によるカード用コネクタの部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0146】
1 第1ハウジング
1c カード
1p プリント基板
1s 第1スロット
2 第2ハウジング
2s 第2スロット
3 第1コンタクト
4 第2コンタクト
5 第1カバー板
6 第2カバー板
10 第1コネクタ(第1カード用コネクタ)
11p 一方の面(プリント基板の一方の面)
12p 他方の面(プリント基板の他方の面)
15 第1突起
15a 第1傾斜面
15b 第1段差
16 第2突起
16a 第2傾斜面
16b 第2段差
20 第2コネクタ(第2カード用コネクタ)
55 第1開口
55a 逃げ部
55b 係止辺
56 第2開口
100 コネクタ(カード用コネクタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の一方の面の端部に実装してカードを挿入可能な第1スロットを有する第1コネクタ、及び前記プリント基板の他方の面の端部に実装してカードを挿入可能な第2スロットを有する第2コネクタを備え、前記プリント基板を間にして前記第1スロットと前記第2スロットとが略同一面上に配置されるカード用コネクタであって、
前記第1コネクタは、カードを収容する平板状の第1ハウジングと、この第1ハウジングの基端部に配置してカードに設けた端子と接続する第1コンタクト群と、前記第1ハウジングの一方の面、及び当該第1ハウジングの両側面を覆う第1カバー板と、を有し、
前記第2コネクタは、カードを収容する平板状の第2ハウジングと、この第2ハウジングの基端部に配置してカードに設けた端子と接続する第2コンタクト群と、前記第2ハウジングの他方の面、及び当該第2ハウジングの両側面を覆う第2カバー板と、を有し、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジング、前記第1コンタクト群と前記第2コンタクト群、及び前記第1カバー板と前記第2カバー板は、同じ部品又は部品群からなり、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、
それらの両側面から隆起する第1突起であって、一方の方向に向かう第1傾斜面を一方の端部に設け、他方の方向に向かう第1段差を他方の端部に設ける一対の第1突起と、
それらの両側面から隆起する第2突起であって、一方の方向に向かう第2段差を前記第1傾斜面より後方となるように一方の端部に設け、他方の方向に向かう第2傾斜面を前記第1段差より前方となるように他方の端部に設ける一対の第2突起と、を有し、
前記第1カバー板及び前記第2カバー板は、
それらの両翼片に開口されて、前記第1段差又は前記第2段差に係止する係止辺を設けると共に、前記第1段差が当該係止辺に係止するときは前記第1傾斜面を逃げ、前記第2段差が当該係止辺に係止するときは前記第2傾斜面を逃げる逃げ部を設ける一対の第1開口と、
それらの両翼片に開口されて、一方の前記第1開口が前記第1段差に係止するときは一方の前記第2突起を逃げ、他方の前記第1開口が前記第2段差に係止するときは他方の前記第2突起を逃げる一対の第2開口と、を有するカード用コネクタ。
【請求項2】
前記第1突起と前記第2突起とが隣接すると共に、前記第1開口と前記第2開口と連通している請求項1記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
プリント基板の一方の面の端部に実装してカードを挿入可能な第1スロットを有する第1コネクタ、及び前記プリント基板の他方の面の端部に実装してカードを挿入可能な第2スロットを有する第2コネクタを備え、前記プリント基板を間にして前記第1スロットと前記第2スロットとが略同一面上に配置されるカード用コネクタであって、
前記第1コネクタは、カードを収容する平板状の第1ハウジングと、この第1ハウジングの基端部に配置してカードに設けた端子と接続する第1コンタクト群と、前記第1ハウジングの一方の面、及び当該第1ハウジングの両側面を覆う第1カバー板と、を有し、
前記第2コネクタは、カードを収容する平板状の第2ハウジングと、この第2ハウジングの基端部に配置してカードに設けた端子と接続する第2コンタクト群と、前記第2ハウジングの他方の面、及び当該第2ハウジングの両側面を覆う第2カバー板と、を有し、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジング、前記第1コンタクト群と前記第2コンタクト群、及び前記第1カバー板と前記第2カバー板は、同じ部品又は部品群からなり、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、それらの両側面から隆起するH字状の第3突起であって、相反する向きに向かう一対の第3段差を中央部に設け、相反する向きに向かう一対一組の第3傾斜面を前記第3段差より前方となるように当該第3段差の両翼に設ける一対の第3突起を有し、
前記第1カバー板及び前記第2カバー板は、それらの両翼片に開口されたH字状の第3開口であって、前記第3突起のいずれか一方の第3段差に係止する係止片を中央部に設けると共に、前記第3突起の一対の第3傾斜面を逃げる一対の凹部を係止片の両翼に設ける一対の第3開口を有するカード用コネクタ。
【請求項4】
前記第1コネクタは、前記第1カバー板に連結して、カードを排出可能な第1イジェクト機構を含み、
前記第2コネクタは、前記第2カバー板に連結して、カードを排出可能な第2イジェクト機構を含み、
前記第1イジェクト機構と前記第2イジェクト機構は、同じ部品群からなる請求項1から3のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記第1カバー板及び前記第2カバー板は、前記プリント基板にはんだ接合される複数のリード端子を両翼片に有する請求項1から4のいずれかに記載のカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−123482(P2010−123482A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297845(P2008−297845)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】