説明

カーボンナノ構造物の製造方法

【課題】カーボンナノ構造物をより効率よく製造するために、高い成長効率を達成することができるカーボンナノ構造物の製造方法を実現する。
【解決手段】本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法は、流動層を用いた化学的気相成長法によってカーボンナノ構造物を製造する方法であって、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合してなる混合触媒を用い、炭素源となる原料ガスを、上記混合触媒と接触させることによってカーボンナノ構造物を生成させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノ構造物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル等のカーボンナノ構造物を製造する方法として、反応管に炭素源となる原料ガスを導入し、原料ガスを熱分解して触媒と接触させることによって目的物質を成長させる化学的気相成長法(CVD法、Chemical Vapor Deposition)が知られている。
【0003】
かかるCVD法としては、基板法、流動層法および浮遊法が知られている。特に、カーボンナノ構造物を大量に製造する方法としては、流動層法が優れている。流動層法は、触媒粒子または触媒を担持した粒子状の触媒担持用基材を、気流により流動させながら、炭素源となる原料ガスを、流動する触媒と接触させることによってカーボンナノ構造物を生成させる方法である。
【0004】
特許文献1には、担体表面に担持させる触媒の粒径を制御することによって、流動層法によって、単層のカーボン材料のみを高純度に製造する方法が開示されている。特許文献1の方法によれば、不純物である多層のナノカーボン材料を製造せず、単層のナノカーボン材料のみを製造することができる。
【0005】
特許文献2には、表面に触媒材料を有する基材粒子の形状を制御することによって、流動層法において、絡み合いのない整列されたナノチューブナノチューブを成長させる方法が開示されている。特許文献2の方法によれば、整列されたナノチューブまたはナノファイバ配列を基材粒子のあらゆる側から成長させることができるため、高歩留まりで、高品質の高純度ナノチューブを多量に生産することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−231107号公報(2006年9月7日公開)
【特許文献2】特表2006−506304号公報(2006年2月23日公表)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の流動層法では、触媒量が多い程、カーボンナノ構造物は多く生成されることが知られている。しかし、触媒の量が多い場合は、触媒からカーボンナノ構造物が成長する過程で、触媒に到達した炭素の殆どが触媒の還元および炭化に使われる。このため、カーボンナノ構造物の成長に時間がかかる。一方、触媒量が少ない場合は、触媒からカーボンナノ構造物が成長する過程での触媒の還元および炭化、並びに飽和した炭素の析出がスムーズに行われるため、カーボンナノ構造物の成長速度は速くなるが、カーボンナノ構造物の成長量は少ない。このように、従来の流動層法では、カーボンナノ構造物の成長速度を向上させながら、カーボンナノ構造物の成長量を増加させることは困難であった。
【0008】
特許文献1および2の方法では、純度の高いカーボンナノ構造物を大量に生産することはできるが、カーボンナノ構造物の成長速度を向上させることについては考慮されていないので、カーボンナノ構造物の成長効率が十分ではない。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カーボンナノ構造物をより効率よく製造するために、高い成長効率を達成することができるカーボンナノ構造物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合してなる混合触媒を用い、流動層法を行ったところ、混合触媒における触媒担持基材と触媒非担持基材との混合の割合によってカーボンナノ構造物の成長速度が異なることを見出した。また、炭素源となる原料ガスを、上記混合触媒に含まれる触媒の重量に対する上記原料ガスに含まれる炭素の重量が少なくとも15倍以上となるように、上記混合触媒と接触させることによって、全体的な(50%以上の)カーボンナノ構造物の成長が開始されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法は、流動層を用いた化学的気相成長法によってカーボンナノ構造物を製造する方法であって、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合してなる混合触媒を用い、炭素源となる原料ガスを、上記混合触媒と接触させることによってカーボンナノ構造物を生成させる工程を含むことを特徴としている。
【0012】
本発明にかかるカーボンナノ構造物の製造方法では、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合してなる混合触媒を用いる。触媒非担持基材と混合することで、触媒担持基材に担持された触媒の一部が触媒非担持基材に部分的に付着する。これによって、カーボンナノ構造物の成長サイト(見掛け上の表面積)が増加する。また、触媒担持基材に担持された触媒の一部が、触媒非担持基材に部分的に付着するので、触媒非担持基材に付着した触媒では、近辺の空間から効率的に炭素が取り込まれやすくなる。
【0013】
この結果、カーボンナノ構造物の成長速度を向上させながら、カーボンナノ構造物の成長量を増加させることができる。それゆえ、本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法によれば、カーボンナノ構造物を、より効率よく製造することができる。
【0014】
さらに、本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法によってカーボンナノコイルを製造する場合は、カーボンナノコイルの成長速度を向上させながら、カーボンナノコイルの成長量を増加させることができるだけでなく、カーボンナノコイルの成長の前段階に生じる炭化物層の層厚を減少させることもできる。
【0015】
従来の流動層法によってカーボンナノコイルを製造する場合は、目的のカーボンナノコイル以外に、繊維状カーボンナノ構造物および非繊維状の炭化物が高密度で形成されている炭化物層が形成される。図2は、従来の流動層法によってカーボンナノコイルを製造した場合の、触媒担持粒子の断面を走査型電子顕微鏡によって倍率2000倍で観察した結果を示す図である。図2に示すように、触媒担持粒子23の表面には、カーボンナノコイル層21の下に、繊維状カーボンナノ構造物および非繊維状の炭化物が高密度で形成された炭化物層22が形成されていることがわかる。このように、従来の流動層法では、カーボンナノコイルの合成のために供給された原料ガスは、炭化物層の形成のためにも使われるので、炭化物層の層厚が大きくなると、カーボンナノコイルの成長効率が低下するという問題がある。
【0016】
一方、本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法によれば、カーボンナノコイルの成長の前段階に生じる炭化物層の層厚を減少させることもできるので、カーボンナノコイルをより効率よく成長させることができる。また、炭化物層の層厚を減少させることができるので、得られたカーボンナノコイル中の不純物量を少なくすることができる。このため、例えば、超音波を用いてカーボンナノコイルを剥離する効率を向上させることができる。
【0017】
本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法では、上記触媒担持基材は、基材と、溶媒に触媒を懸濁してなる溶液触媒とを混合しながら乾燥させる乾燥工程と、当該乾燥工程で得られた混合物を焼成する焼成工程とを含む方法によって作製されたことが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、カーボンナノ構造物をより高効率に成長させることができる。
【0019】
本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法では、上記カーボンナノ構造物は、カーボンナノコイルであることが好ましい。
【0020】
本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法によってカーボンナノコイルを製造する場合は、カーボンナノコイルの成長の前段階に生じる炭化物層の生成を抑えることができるため、従来の流動層法と比較して、炭化物層の層厚を減少させることができる。このため、カーボンナノコイルの高い成長効率を達成することができるとともに、得られたカーボンナノコイル中の不純物量を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法は、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合してなる混合触媒を用い、炭素源となる原料ガスを、上記混合触媒と接触させることによってカーボンナノ構造物を生成させる工程を含む構成を備えている。
【0022】
本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法によれば、カーボンナノ構造物の成長速度を向上させながら、カーボンナノ構造物の成長量を増加させることが可能となる。それゆえ、カーボンナノ構造物を、より効率よく製造することができる。
【0023】
また、本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法によってカーボンナノコイルを製造する場合は、炭化物層の層厚を減少させることができる。このため、高い成長効率を達成することができるとともに、得られたカーボンナノコイル中の不純物量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】カーボンナノ構造物製造装置10の構成を模式的に示す図である。
【図2】従来の流動層法によってカーボンナノコイルを製造した場合の、触媒担持粒子の断面を走査型電子顕微鏡によって倍率2000倍で観察した結果を示す図である。
【図3】カーボンナノコイル合成後の実施例3の触媒非担持粒子の表面を、走査型電子顕微鏡により観察した結果を示す図である。(a)は、(b)で丸囲みした粒子を、高倍率(3000倍)で拡大して観察した結果を示す図であり、(b)は、走査型電子顕微鏡により倍率500倍で粒子の表面を観察した結果を示す図である。
【図4】CVD後の実施例3の触媒非担持粒子の表面および触媒担持粒子の表面を走査型電子顕微鏡によって観察した結果を示す図である。(a)は、走査型電子顕微鏡により倍率5000倍で触媒非担持粒子の表面を観察した結果を示す図であり、(b)は、図4の(a)で観察した触媒非担持粒子を、さらに高倍率(10000倍)で拡大して観察した結果を示す図である。(c)は、走査型電子顕微鏡により倍率5000倍で触媒担持粒子の表面の断面を観察した結果を示す図である。
【図5】実施例および比較例で得られた炭化物の量を測定した結果を表す図である。(a)は、単位触媒量あたりの成長した炭化物量を算出した結果を表すグラフである。(b)は、実施例で用いた触媒担持粒子に関して、触媒の割合と単位触媒量あたりの投入炭素量との関係を表すグラフである。
【図6】投入炭素量/触媒量が10倍、20倍および40倍の場合のCVD後の触媒非担持粒子の表面および触媒担持粒子の表面を走査型電子顕微鏡によって観察した結果を示す図である。(a)は、投入炭素量/触媒量が10倍の場合の触媒非担持粒子の表面を、走査型電子顕微鏡により観察した結果を示す図であり、(b)は、投入炭素量/触媒量が20倍の場合の触媒非担持粒子の表面を、走査型電子顕微鏡により観察した結果を示す図であり、(c)は、投入炭素量/触媒量が40倍の場合の触媒非担持粒子の表面を、走査型電子顕微鏡により観察した結果を示す図である。
【図7】原料ガスの流速とカーボンナノコイルの成長量との関係を示すグラフである。図7の(a)は、増加した全炭素量の変化を示し、(b)は、剥離したカーボンナノコイル量の変化を示す。
【図8】触媒担持粒子を50%および触媒非担持粒子を50%の割合で混合した混合触媒を用いてCDVを行ったときの触媒非担持粒子の表面および触媒担持粒子の表面を走査型電子顕微鏡によって低倍率(200倍)で観察した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものである。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。尚、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
【0026】
本発明は、流動層を用いた化学的気相成長法(以下、「流動層法」と称する)によってカーボンナノ構造物を製造する方法に関する。本明細書において上記「カーボンナノ構造物」とは、炭素原子から構成されるナノサイズの物質が意図され、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブにビーズが形成されたビーズ付カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブが多数林立したカーボンナノブラシ、カーボンナノチューブが捩れを有したカーボンナノツイスト、コイル状のカーボンナノコイル等を含む趣旨である。
【0027】
(I)混合触媒
本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法では、流動層法において、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合してなる混合触媒を用いる。上記「触媒担持基材」とは、触媒を担持している基材が意図され、上記「触媒非担持基材」とは、触媒を担持していない基材が意図される。
【0028】
上記「触媒担持基材」に担持される触媒としては、カーボンナノ構造物を製造するために用いられる触媒であれば特に限定されるものではないが、遷移金属を含む触媒を好適に用いることができる。かかる触媒を用いることによりカーボンナノコイルを効率よく製造することができる。例えば、Fe系触媒、Ni系触媒、Co系触媒、これらの合金を含む触媒;またはこれらの触媒とMo、Al、アルミナ等とを併用する多元触媒系;Fe−Sn系触媒、Fe−Sn−In系触媒等を用いることができる。
【0029】
用いられる触媒の種類によって、得られるカーボンナノ構造物の種類、比率および量は異なる。つまり、カーボンナノ構造物としてカーボンナノコイルを製造する場合には、用いられる触媒の種類によって、得られるカーボンナノコイルの種類、比率および量は異なる。このため、用いる触媒の種類は、目的に応じて適宜選択され得る。例えば、カーボンナノ構造物としてカーボンナノコイルを製造する場合には、Fe−Sn系触媒、すなわち、FeとSnとを含む2成分系触媒、またはFe−Sn−In系触媒、すなわち、FeとSnとInとを含む3成分系触媒等を好適に用いることができる。
【0030】
また、カーボンナノ構造物としてカーボンナノチューブを製造する場合には、Fe系触媒、Ni系触媒、Co系触媒等を好適に用いることができる。
【0031】
触媒の粒子の大きさとしては、平均粒子径が2nm〜300nmであることが好ましい。触媒粒子の大きさが上記範囲であれば、カーボンナノ構造物を効率よく成長させることができる。
【0032】
触媒担持基材を構成する基材としては、流動床状態が維持できる粒子状の基材であれば、その材質、形状、大きさ等は特に限定されるものではない。かかる基材の形状としては、例えば、球状基材;繊維状基材;棒状基材等を好適に用いることができる。安定した流動状態を得ることができること、および表面積を増やすことができること等の理由から、中でも、球状基材であることが好ましい。
【0033】
また、上記基材の材質としては、上記触媒を担持することができ、且つ原料ガスと反応しないものであれば、特に限定されるものではない。例えば、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、石英、ガラス、シリコンウェーハ、サファイア、イットリア安定化ジルコニア等からなる基材を好適に用いることができる。CVDにおける反応性がよいこと、および触媒との反応性が極めて小さい材質であること等の理由から、中でも、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、イットリア安定化ジルコニア(ysz)であることが好ましい。
【0034】
また、上記基材の大きさとしては、後述するカーボンナノ構造物製造装置の反応炉内で上記混合触媒を良好に流動させることができるように、基材の材質、混合触媒の量、反応炉の直径、分散板の孔径等を考慮して適宜設定することができる。
【0035】
上記触媒担持基材において、上記触媒は、基材に担持されていればよく、担持の状態も特に限定されるものではない。また、上記触媒担持基材において、触媒を基材に担持させる方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。
【0036】
尚、カーボンナノ構造物を高効率で成長させる観点から、上記触媒担持基材は、基材と、溶媒に触媒を懸濁してなる溶液触媒とを混合しながら乾燥させる乾燥工程と、上記乾燥工程で得られた混合物を焼成する焼成工程とを含む、触媒担持基材の作製方法によって作製されたものであることが好ましい。
【0037】
従来公知の触媒担持基材の作製方法では、上記基材と、上記溶液触媒とを一度乾燥させることなく一気に焼成を行う。この場合、突沸が起こり、触媒の濡れにも斑ができる。
【0038】
これに対し、本発明の一実施形態に係る触媒担持基材の作製方法では、上記溶液触媒と上記基材とを混合した状態で一度乾燥させ、その後焼成を行うので、斑が少ない触媒担持基材を作製することができる。その結果、カーボンナノ構造物をより高効率で成長させることが可能な触媒担持基材を得ることができる。尚、触媒の濡れにも斑ができることによって触媒担持基材の色に斑ができる。つまり、従来公知の方法によって触媒担持基材を作製すると、目視で焼成後の触媒担持基材の色に斑が認められる。一方、本発明の一実施形態に係る触媒担持基材の作製方法では、触媒担持基材が均一に濡れるので、触媒担持基材の色の斑はほとんど認められない。従来公知の斑のある触媒担持基材を用いてCVDを行うと、斑の無い触媒担持基材よりもカーボンナノ構造物の成長量が少なくなる。
【0039】
以下に、本発明の一実施形態に係る触媒担持基材の作製方法に含まれる各工程について説明する。
【0040】
(乾燥工程)
上記「基材」については、上述したとおりである。上記「溶液触媒」は、従来公知の触媒担持基材の作製方法において通常用いられる溶液触媒であり、上述したようなカーボンナノ構造物を製造するために一般的に用いられる触媒を、エタノール等の溶媒に懸濁してなる。
【0041】
上記乾燥工程において、上記基材と上記溶液触媒とを混合しながら乾燥させる方法としては、上記「溶液触媒」の溶媒を乾燥させることができる限り特に限定されない。
【0042】
(焼成工程)
焼成方法については、触媒溶液に含まれていた塩化物を蒸発させるとともに、触媒を酸化させて触媒の結晶性を高めることができる限り特に限定されない。従来公知の触媒担持基材の作製方法における焼成方法を採用することができ、例えば、上記乾燥工程で得られた混合物を、空気中において800℃近辺にて焼成すればよい。
【0043】
ここで、本発明の一実施形態に係る触媒担持基材の作製方法の一例を、以下に具体的に説明する。例えば、カーボンナノコイル用の触媒担持基材を作製する場合は、基材として100gのアルミナ製担持粒子(直径約70μm)を用い、これに対して、約0.3mol/lのカーボンナノコイル用溶液触媒20gを合わせて乾燥させる。その後、空気中において800℃近辺にて焼成を行うことによって触媒担持基材を作製することができる。このようにして調製した触媒担持粒子(触媒担持基材)を用いてCVDを行うことによって、カーボンナノコイルを高効率で成長させることができる。
【0044】
また、上記触媒担持基材において、基材に担持させる触媒の量は特に限定されるものではない。触媒や目的とするカーボンナノ構造物に応じて適宜選択すればよい。例えば、カーボンナノコイル用の触媒担持基材の場合は、基材に担持される触媒の量は、触媒担持基材の総重量(基材の重量+触媒の重量)に対して0.5重量%〜2重量%であることが好ましく、0.5重量%〜1.2重量%であることがより好ましい。
【0045】
基材に担持される触媒の量が少なすぎる場合は、カーボンナノ構造物は成長しない。これは、担持される触媒膜厚がカーボンナノコイルを成長させるためのそれよりも小さいためである。このため、基材に担持される触媒の量が、触媒担持基材の総重量に対して0.5重量%以上であれば、カーボンナノ構造物を成長させることができる。
【0046】
一方、基材に担持される触媒の量が多すぎる場合は、触媒層が基材から剥がれてしまう。また、カーボンナノコイルを成長させた場合に、炭化物層の厚さが厚くなる。このため、基材に担持される触媒の量が、触媒担持基材の総重量に対して2重量%以下であれば、カーボンナノコイルを効率よく成長させることができる。さらに、基材に担持される触媒の量が、触媒担持基材の総重量に対して1.2重量%以下であれば、カーボンナノコイルの成長速度をより向上させることができる。
【0047】
触媒非担持基材を構成する基材としては、触媒担持基材を構成する基材について上述したとおりである。触媒担持基材を構成する基材と同じ基材を、触媒非担持基材として用いてもよいし、流動床状態を維持できる限りは、触媒担持基材を構成する基材とは材質、形状、大きさ等が異なる基材を触媒非担持基材として用いてもよい。
【0048】
本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法で用いられる混合触媒は、上述したとおり、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合してなる。かかる混合触媒の調製方法としては、具体的には、触媒担持基材および触媒非担持基材を、任意の割合になるように、均一に混ぜた状態で反応炉へ投入することによって調製することができる。
【0049】
上記混合触媒における触媒担持基材と触媒非担持基材との混合比は特に限定されるものではない。混合触媒において、触媒非担持基材は、触媒担持基材に担持された触媒の付着サイトになり得、触媒担持基材が有する触媒(触媒層)の一部が剥離され、触媒非担持基材に付着する。触媒非担持基材に付着した触媒層からはカーボンナノ構造物が成長するので、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合することによって、カーボンナノ構造物の成長サイトを増加させる(見掛け上の表面積を増加させる)ことができる。このため、混合触媒には、ある程度の割合で触媒非担持基材が含まれていることが好ましい。具体的には、上記混合触媒は、上記触媒担持基材に含まれる基材の全表面積に対して、上記混合触媒に含まれる基材の全表面積が1倍〜10倍になるように、上記触媒担持基材と上記触媒非担持基材とが混合されてなることが好ましい。
【0050】
尚、触媒非担持基材には部分的に触媒層が付着しているため、例えば、走査型電子顕微鏡等を用いて基材を確認することによって、触媒担持基材と、触媒層が付着した後の触媒非担持基材とを区別することができる。図6は、触媒担持粒子を50%および触媒非担持粒子を50%の割合で混合した混合触媒を用いてCDVを行ったときの触媒非担持粒子の表面および触媒担持粒子の表面を走査型電子顕微鏡によって低倍率(200倍)で観察した結果を示す図である。図6に示すように、触媒担持粒子に限らず、ほぼ全ての粒子にカーボンナノコイルが成長していることが確認できる。また、触媒担持基板から成長したカーボンナノコイルは炭化物層の厚さが大きく、触媒非担持基板へ付着した状況で成長したカーボンナノコイルは炭化物層の厚さが触媒担持粒子からの炭化物層の厚さと比較して小さい傾向がある。このため、形成された炭化物層の厚さによっても触媒担持基板と触媒非担持基板とを区別することができる。
【0051】
(II)カーボンナノ構造物製造装置
本発明の実施形態であるカーボンナノ構造物の製造方法において用いられるカーボンナノ構造物の製造装置(以下、「カーボンナノ構造物製造装置」と称する)の構成の一例を、図1に基づき説明する。図1は、カーボンナノ構造物製造装置10の構成を模式的に示す図である。図1中、白色の丸は触媒非担持粒子を表し、黒色の丸は触媒担持粒子を表している。白色の丸および黒色の丸をまとめて混合触媒3として表している。また、図1中の太い矢印は、混合ガス4を表している。
【0052】
図1に示すように、本実施形態に係るカーボンナノ構造物製造装置10は、原料ガスを、触媒と接触させることによってカーボンナノ構造物を生成させるための反応炉1と、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合してなる混合触媒3を流動させる分散板2と、反応炉1を加熱するための加熱装置5とを備えている。流動層法では、混合触媒3を気流によって流動させながら、反応炉1を流れる原料ガスを、混合触媒3と接触させることによってカーボンナノ構造物を生成させる。
【0053】
反応炉1は鉛直方向に延びる円筒状の縦型炉であり、反応炉1の内部には、混合触媒3を流動させる平板状の分散板2が設置されている。分散板2の上には混合触媒3が堆積されており、気流により混合触媒3を流動させることができるようになっている。原料ガスおよび/またはキャリアガスを含む混合ガス4は、ガス導入部(図示しない)を通じて、反応炉1の下方(分散板2の下方)から導入される。分散板2は複数の孔を有し、その上に充填された混合触媒3を通さないが、下方から供給される混合ガス4を通すようになっている。混合ガス4は反応炉1の下方から分散板2を通して導入され、混合触媒3を分散板の上で流動させることができるため、カーボンナノ構造物を効率よく製造することができる。反応炉1において、原料ガスが混合触媒3に接触する部分には、加熱装置5が設置されている。加熱装置5によって、反応炉1に導入された原料ガスおよび反応炉1内に充填された混合触媒3を加熱することができる。反応炉1に供給された混合ガス4は、ガス排気部(図示しない)から反応炉1の外に排出される。
【0054】
本実施形態では、反応炉1は石英製であるが、石英製に限られるものではなく、原料ガスと反応しない材料、例えば、SUS系金属、セラミック系、内部にセラミックをコートした金属等からなるものを用いることができる。
【0055】
本実施形態では、分散板2として石英製の平板状の分散板を用いているが、分散板2の形状は、混合触媒3を流動させることができる限り平板状に特に限定されない。また、石英製に限られるものではなく、原料ガスと反応しない材料、例えば、SUS系金属、セラミック系、内部にセラミックをコートした金属等分散板を好適に用いることができる。
【0056】
分散板2が設置される位置は、反応炉1内の空間を上下方向に二分するように設置されていれば、特に限定されるものではない。
【0057】
また、分散板2の孔径は、混合触媒3に含まれる触媒担持基材および触媒非担持基材の粒子径よりも小さく、触媒担持基材および触媒非担持基材を実質的に通さないが、混合ガス4は通すことができる範囲であればよい。分散板2の孔径、孔数および孔の場所は、原料ガスの流速を、後述する「(III)カーボンナノ構造物の製造方法」の項において規定する範囲内とすることができるように、基材の材質、基材の大きさ、混合触媒の量、反応炉1の直径等を考慮して、適宜設定することができる。
【0058】
加熱装置5としては、従来公知の加熱装置を用いればよく、例えば、電気炉、赤外線炉、IH加熱器、マントルヒーター、ベルトヒーター、リボンヒーターなどを用いることができる。
【0059】
また、本実施形態では、加熱装置5は反応炉1の外周部に設置されているが、加熱装置5が設置された部分における反応炉1の温度を一定温度にすることができればよく、反応炉1の内部に加熱装置5が設置されていてもよい。加熱装置5により、反応炉1に導入された原料ガスおよび反応炉1内に充填された混合触媒3を加熱することができるとともに、混合触媒3と原料ガスとを反応させる間に、混合触媒3と原料ガスとが反応する領域(反応領域)を加熱することができる。
【0060】
カーボンナノ構造物製造装置10は、上述した構成を有する製造装置に限定されるものではない。例えば、反応炉1、分散板2、加熱装置5以外に、触媒担持基材取出し口、触媒担持基材投入口、熱伝対等が設けられていてもよい。
【0061】
(III)カーボンナノ構造物の製造方法
本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称する)について、例えば、図1に示したカーボンナノ構造物製造装置10を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0062】
本発明の製造方法では、従来公知の流動層を用いた化学的気相成長法(流動層法)において、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合してなる混合触媒3を用い、炭素源となる原料ガスを、混合触媒3に含まれる触媒の重量に対する上記原料ガスに含まれる炭素の重量が15倍以上となるように、混合触媒3と接触させることによってカーボンナノ構造物を生成させる工程(反応工程)を含んでいる。尚、「混合触媒3」については、「(I)混合触媒」で説明したとおりであるので、ここでは省略する。
【0063】
(i)反応工程
本工程では、混合触媒3の加熱下で、分散板2の下方から原料ガスおよび/またはキャリアガスを含む混合ガス4を、分散板2を通して供給することによって、分散板2を通る混合ガス4によって混合触媒3を流動させながら、混合触媒3に含まれる触媒と原料ガスとを接触させて、触媒上にカーボンナノ構造物を成長させる。
【0064】
上述したように、混合触媒3は、媒担持基材と触媒非担持基材とを混合してなるので、混合触媒3が流動されるときに、これらの媒担持基材と触媒非担持基材が混ざり合い、触媒担持基材に担持された触媒の一部が、触媒非担持基材に付着する。これによって、混合触媒3における、カーボンナノ構造物の成長サイトを増加させることができる。この結果、カーボンナノ構造物の成長量を増加させることができる。また、触媒非担持基材に付着した触媒は、触媒非担持基材の一部を覆うように付着しているので、触媒非担持粒子表面に付着した触媒には触媒の近辺の空間から効率的に、炭素源ガスの熱分解により生じる炭素が取り込まれ易くなる。この結果、カーボンナノ構造物を効率よく成長させることができる。
【0065】
流動層を用いてカーボンナノ構造物を効率的に成長させるためには、以下の(a)〜(c)の3つのパラメータと、少なくとも流動するという条件が必要である:
(a)反応炉に投入する炭素の重量
(b)全体の触媒量
(c)ナノカーボン構造物が成長可能な、基板に付けることのできる最低触媒量。
【0066】
従来の方法では、混合触媒を用いないため、上述した条件を満たすためには、例えば、全体の触媒量に対する炭素の重量を増加させるためには、原料ガスをより多く反応炉に投入することが考えられる。しかし、原料ガスをより多く反応炉に投入するためには、原料ガスの流速を上げなければならず、原料ガスの流速が速すぎると安定した流動を得ることができない。この結果、カーボンナノ構造物を効率的に成長させることができない。
【0067】
また、流動層を用いてカーボンナノ構造物を効率的に成長させるためには、少なくとも流動を行うことのできる程度の量の粒子量が必要である(流動を行うための好ましい粒子量については、後述するL/d値によって規定される)。混合触媒を用いずに全体の触媒量を少なくする場合には、例えば、反応炉1に投入する触媒担持基材の量を少なくすることによって、全体の触媒量を調整することが考えられるが、単純に触媒担持基材の量を少なくするだけでも、安定した流動を得ることができない。
【0068】
また、混合触媒を用いずに全体の触媒量を少なくする場合には、例えば、触媒担持基材に担持させる触媒の総量を単純に少なくすることが考えられる。しかし、上述したように、触媒担持基材に担持させる触媒の量が少な過ぎると、ナノカーボン構造物の形成が妨げられてしまう。
【0069】
一方、本発明に係る製造方法では、媒担持基材と触媒非担持基材とを混合してなる混合触媒3を用いるので、触媒担持基材と触媒非担持基材との割合を変化させることで、カーボンナノ構造物の成長に供する、全体の触媒量を調整することができるという効果を奏する。さらに、触媒担持基材と触媒非担持基材との割合を変化させることで、全体の触媒量を調整するため、基材当たりに担持させることのできる触媒量が、ナノカーボン構造物を形成できない程の少量になることを防ぐことができるという効果を奏する。
【0070】
本発明に係る製造方法によって、カーボンナノコイルを製造する場合は、反応工程において、原料ガス(混合ガス4)を、混合触媒3に含まれる触媒の重量に対する上記原料ガスに含まれる炭素の重量が15倍以上となるように反応炉1に導入して、混合触媒3と接触させることによってカーボンナノ構造物を生成させることが好ましい。かかる構成とすることによって、全体的な(50%以上の)カーボンナノコイルの成長を効率よく開始させることができる。混合触媒3に含まれる触媒の重量に対する原料ガスに含まれる炭素の重量(以下、「触媒重量に対する炭素重量」と称する)が15倍以上となるとは、例えば、反応炉1に混合ガス4の導入を開始してから1分後に、上記「触媒重量に対する炭素重量」が15倍に到達してもよく、反応炉1に混合ガス4の導入を開始してから10分後に、上記「触媒重量に対する炭素重量」が15倍に到達してもよい。本発明に係る製造方法によれば、上記「触媒重量に対する炭素重量」が15倍に到達するまでの時間に関わらず、上記「触媒重量に対する炭素重量」が15倍以上となれば、全体的な(50%以上の)カーボンナノコイルの成長が開始される。このため、カーボンナノコイルの成長時間を早めるためには、カーボンナノコイルが成長効率を下げない程度まで触媒担持基材量を減少させるまたは原料ガスの流速を早めることによって上記「触媒重量に対する炭素重量」が15倍に到達するまでの時間を短くすればよい。
【0071】
カーボンナノコイルが良好に成長することから、原料ガスを、混合触媒3に含まれる触媒の重量に対する上記原料ガスに含まれる炭素の重量が30倍以上となるように反応炉1に導入することが好ましい。本発明に係る製造方法によれば、上記「触媒重量に対する炭素重量」が30倍に到達するまでの時間に関わらず、上記「触媒重量に対する炭素重量」が30倍以上であれば、カーボンナノコイルが良好に成長する。
【0072】
尚、上記「混合触媒に含まれる触媒の重量」は、混合触媒の調製に用いた触媒担持粒子に含まれていた触媒の量に等しいといえる。かかる「触媒担持粒子に含まれる触媒の量」は、例えば、重量を測定する対象となる触媒担持粒子(測定対象触媒担持粒子)の重さを予め測定しておき、測定対象触媒担持粒子を塩酸で処理することによって測定対象触媒担持粒子に含まれる触媒を溶解する。基材は溶解されないので、触媒が完全に溶けた後の基材を乾燥させ、基材の重さを測定することによって、測定対象触媒担持粒子に担持されていた触媒の量を測定することができる。
【0073】
また、上記「原料ガスに含まれる炭素の重量」は、炭素源となる原料ガスの組成および原料ガスの重量から算出することができる。
【0074】
上記「原料ガス」は、多くの場合、キャリアガスとともにカーボンナノ構造物製造装置10の反応炉1に供給される。上記原料ガスは、上記「炭素源」としての炭素を含有し、ガスカーボンナノ構造物を成長させる炭素源ガスであれば特に限定されるものではない。例えば、炭化水素のみならず、窒素含有有機ガス、硫黄含有有機ガスおよびリン含有有機ガス等の有機ガスが広く利用される。余分な物質を生成しないことから、原料ガスとしては、炭化水素を好適に用いることができる。
【0075】
上記炭化水素としては、例えば、メタン、エタン、エチレン、ブタジエン、アセチレン、ベンゼン、トルエン、スチレン、ナフタリン、フェナントレン、シクロプロパン、シクロヘキサン等の炭化水素を用いることができる。上記炭化水素は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記炭化水素は、アセチレン、エチレン、メタン、エタン、ベンゼン等であることがより好ましい。これらの炭化水素は、成長温度領域において触媒金属と反応して分解された炭素がカーボンナノ構造物へ変換されるための原料ガスとして好ましい。
【0076】
また、上記キャリアガスとしては、キャリアガスとして通常用いられる不活性ガスであれば特に限定されるものではない。例えば、He、Ne、Ar、N、H等を好適に用いることができる。キャリアガスは上記原料ガスを搬送するガスであり、原料ガスが反応により消費されるのに対して、キャリアガスは全く無反応で消耗しないガスが使用される。
【0077】
また、混合ガス4に含まれる原料ガスの濃度は、混合ガスの全体積に対して、12体積%〜48体積%であることが好ましく、12体積%〜30体積%であることがより好ましい。原料ガスの濃度が、混合ガスに対して、48体積%より大きい場合、カーボンナノコイルの成長を阻害し成長速度が低下する傾向がある。また、原料ガスの濃度が、混合ガスに対して、30体積%以下であることにより、カーボンナノコイルの効率的な成長を維持することができる。
【0078】
混合ガス4を、分散板2の下方から分散板2を通して供給する方法は特に限定されるものではない。例えば、反応炉の底部にガス導入口等のガス導入部(図示しない)を設け、ガス導入部から、混合ガス4を導入することができる。
【0079】
反応炉1に導入される上記原料ガスの流速は、分散板2の上に堆積された混合触媒3を良好に流動させることができる限り特に限定されない。混合触媒3を良好に流動させることによって、混合触媒の触媒担持基材に担持された触媒を、触媒担持基材へと良好に付着させることができる。これによって、カーボンナノ構造物の成長サイトを増加させることができる。その結果、カーボンナノ構造物の合成を良好に行うことができる。上記原料ガスの流速は、例えば、マスフローコントローラを用いてガス流量を変化させることによって、原料ガスの流速を所望の速度に調節することができる。尚、上記「原料ガスの流速」とは、「原料ガスの空塔速度」のことであり、反応炉1の断面の単位面積当たりの原料ガスの流量、すなわち、原料ガスの流量(m/s)を反応炉1の断面積(m)で割った値をいう。
【0080】
本工程において、混合触媒3を分散板2の上に充填(堆積)する方法は特に限定されるものではなくどのような方法であってもよい。例えば、反応炉1に設けられた触媒導入管、触媒導入口等の触媒導入部(図示せず)から導入することができる。
【0081】
また、混合触媒3を分散板2の上に充填(堆積)する方法は特に限定されるものではない。しかし、図1に示す反応炉1の塔径(d)に対する混合触媒層の高さ(L)の割合を表す「L/d値」が大きくなるほど、1度に成長できるカーボンナノ構造物の量を増やすことができるため、反応炉の塔径(d)や混合触媒に含まれる触媒担持基材および触媒非担持基材の形状や大きさ等を適宜変化させて、L/d値がより大きくなるように設定することが好ましい。
【0082】
具体的には、カーボンナノコイルを成長させる場合は、L/d値が0.5〜4であることが好ましく、カーボンナノチューブを成長させる場合は、L/d値が3〜4であることが好ましい。L/d値を上記範囲とすることによって、混合触媒を良好に流動させることができ、その結果カーボンナノ構造物を効率よく成長させることができる。尚、上記「塔径(d)」は、反応炉の形状が円筒状であれば円筒の直径を指し、反応炉の形状が円柱状等の形状である場合は、反応炉の断面を内接させた円の直径を指す。
【0083】
本工程では、混合触媒3を加熱しながらカーボンナノ構造物を合成する。尚、混合触媒3の加熱は、混合触媒3と原料ガスとを接触させるときに行えばよいが、上記原料ガスの導入前に、混合触媒3を予め加熱しておくことが好ましい。これにより、最初から好適な温度条件下でカーボンナノ構造物の合成を行うことができる。それゆえ、カーボンナノ構造物を効率的に合成することができる。また、原料ガスと酸素の反応を防止する観点から、反応炉中の酸素を除去しておくことが好ましい。
【0084】
混合触媒3を加熱する方法は、特に限定されるものではないが、少なくとも、混合触媒3に含まれる触媒と原料ガスとを接触させる反応領域、つまり分散板2の上に充填された混合触媒3が流動によって拡散する領域の温度が一定になるように加熱することが好ましい。例えば、図1に示すように、外周部に加熱装置5が備えられた反応炉1を用いれば、加熱装置5によって反応領域を加熱することができる。
【0085】
また、本工程では、反応領域に加えて、分散板2を通過する前の混合ガス4を予め加熱しておくことが好ましい。分散板2を通過する前の混合ガス4を予め加熱することにより、供給される混合ガス4によって反応領域の温度が低下することを防ぐことができる。それゆえ、反応領域における反応温度を一定に制御することができ、カーボンナノ構造物を効率よく合成することができる。
【0086】
反応領域の温度は、触媒の種類及び原料ガスの種類によって加熱温度は適宜調整されるが、通常、700℃程度に制御される。反応領域の温度を上記温度に制御することにより、カーボンナノ構造物を好適に製造することができる。分散板2を通過する前の混合ガス4の温度も、反応領域の温度に併せて制御することができる。
【0087】
また、反応炉1内の圧力は特に限定されるものではなく、真空下でも反応させることができる。
【0088】
(ii)その他の工程
本発明にかかるカーボンナノコイルの製造方法は、上記反応工程の他に、基材に触媒を担持させることによって触媒担持基材を作製する工程(触媒担持基材作製工程)、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合することによって混合触媒を調製する工程(混合触媒調製工程)等を含んでいてもよい。
【0089】
尚、触媒担持基材を作製する方法、および混合触媒を調製する方法については、上記「(I)混合触媒」で説明したとおりであるので、ここでは省略する。
【0090】
本発明のカーボンナノ構造物の製造方法によれば、カーボンナノ構造物の成長速度を向上させながら、カーボンナノ構造物の成長量を増加させることが可能となる。それゆえ、カーボンナノ構造物を、より効率よく製造することができる。
【0091】
また、本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法によってカーボンナノコイルを製造する場合は、炭化物層の層厚を減少させることができる。このため、高い成長効率を達成することができるとともに、得られたカーボンナノコイル中の不純物量を少なくすることができる。
【0092】
尚、上記「炭化物層の層厚を減少させる」とは、本発明のカーボンナノ構造物の製造方法によってカーボンナノコイルを製造した場合に形成される炭化物層の層厚が、従来の流動層法によって、カーボンナノコイルを製造した場合に形成される炭化物層の厚みと比較して減少させることを意図している。具体的には、本発明のカーボンナノ構造物の製造方法によってカーボンナノコイルを製造した場合に、炭化物層が形成されない領域や炭化物層の層厚が10μmよりも小さい領域が認められることを意図している。尚、従来の流動層法によって、カーボンナノコイルを製造した場合は、通常、10μm〜30μmの厚さの炭化物層が形成される。上記「炭化物層の層厚」は、例えば、走査型電子顕微鏡像より炭化物層の層厚を測定することができる。具体的には、走査型電子顕微鏡像中、カーボンナノコイルが生成している層の直下に位置する黒く見える部分を炭化物層として厚さを測定することができる。
【0093】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0094】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0095】
〔実施例1〕
<触媒担持粒子および触媒非担持粒子>
触媒非担持粒子として、TA6XK(69μm平均径、アルミナ材質、株式会社マイクロン社製)を用いた。触媒担持粒子は、後述する触媒担持粒子の作製方法に従って作製したものを用いた。
【0096】
<触媒担持粒子の作製方法>
基材として触媒非担持粒子と同じTA6XK(69μm平均径、アルミナ材質、株式会社マイクロン社製)を用いた。カーボンナノコイル用溶液触媒は、Fe(NO)・9HO:InCl:SnCl・5HO=3:1:0.4(mol比)をエタノール(特級エタノール,キシダ化学株式会社製)に懸濁して0.3mol/lの濃度に調製した。基材100gに対して、0.3mol/lのカーボンナノコイル用溶液触媒20gを合わせて、パン型造粒機を用いて、基材と溶液触媒とを動きを与えながら乾燥させることによって、大きなムラの認められない触媒担持粒子を作製した。このようにして得られた触媒担持粒子を、さらに空気中において800℃近辺にて焼成を行った。実施例の触媒非担持粒子としては、焼成後の触媒担持粒子を用いた。
【0097】
<触媒担持粒子に含まれる触媒量の測定>
触媒担持粒子を一定量用意し、その重さを事前に測定した上で塩酸を用いて触媒を溶かし、触媒が完全に溶けた後に、残った担持粒子を乾燥させ、残った担持粒子の重さを測定することで、担持粒子に付着していた触媒量を測定した。その結果、実施例1で用いた触媒担持粒子に含まれる触媒の量は、触媒担持基材の総重量(基材の重量+触媒の重量)に対して0.7重量%であった。
【0098】
<混合触媒の調製>
実施例1では、混合触媒3の重量に対する触媒担持粒子の重量の割合(以下「触媒の割合」と称する)が10重量%となるように、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合して混合触媒を調製した。
【0099】
<カーボンナノコイルの合成>
実施例1におけるカーボンナノコイルの合成方法を、図1に示すカーボンナノ構造物製造装置10の図に基づき説明する。実施例では、反応炉1として、円筒状の金属製反応管(材質SUS310S,塔径26mmまたは53mm)を用いた。混合触媒3は層厚が16mmとなるように分散板2の上に積層した。実施例1では、反応炉1の塔径(d)に対する混合触媒層の高さ(L)の割合を表すL/d値は0.3〜0.6であった。
【0100】
反応炉1を700℃まで加熱し、反応炉1の温度が700℃で安定したら、マスフローコントローラを用いて流速が1.4cm/s〜11.5cm/sとなるように制御しながら混合ガス4を流した。反応炉1内に投入した原料ガスに含まれる全炭素重量は3.1gであった。尚、本実施例において示した「混合ガスの流量」は、マスフローコントローラの設定値を読み取った値である。
【0101】
実施例1では、混合ガス4は、キャリアガスとしてアルゴンガス、原料ガスとしてアセチレンガスを、混合ガス4に含まれる原料ガスの濃度が、混合ガスの全体積に対して、12体積%〜48体積%となるように混合したものを用いた。混合ガス4を反応炉1に45分流した後、反応炉1を自然冷却し、カーボンナノコイルが合成された混合触媒3を反応炉1から取り出した。
【0102】
〔実施例2〕
触媒の割合が25重量%となるように、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合することによって調製した混合触媒を用いた以外は実施例1と同様にして、カーボンナノコイルを合成した。
【0103】
〔実施例3〕
触媒の割合が50重量%となるように、触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合することによって調製した混合触媒を用いた以外は実施例1と同様にして、カーボンナノコイルを合成した。
【0104】
〔比較例1〕
触媒の割合が100重量%となるように、触媒担持粒子のみを用いた以外は実施例1と同様にして、カーボンナノコイルを合成した。
【0105】
<得られたカーボンナノコイルの走査型電子顕微鏡(SEM)による観察>
実施例1〜3および比較例1で得られた炭化物を、走査型電子顕微鏡(型番JSM−7401F,日本電子株式会社製)を用いて観察した。図3は、カーボンナノコイル合成後の実施例3の触媒非担持粒子の表面を、走査型電子顕微鏡により観察した結果を示す図である。図3の(a)は、走査型電子顕微鏡により倍率500倍で粒子の表面を観察した結果を示す図であり、図3の(b)は、図3の(a)で丸囲みした粒子を、さらに高倍率(3000倍)で拡大して観察した結果を示す図である。尚、図3の(a)中のスケールバーは10μmを示し、図3の(b)中のスケールバーは1μmを示す。
【0106】
図3に示すように、粒子の表面にカーボンナノコイルの繊維が成長していることがわかる。また、(1)CVD後には、混合触媒に含まれる触媒担持粒子では、全面に繊維(カーボンナノコイル)が成長していたこと、(2)触媒担持粒子と触媒非担持粒子とを混合して用いているにも関わらず、CVD後には、殆どの粒子の表面にカーボンナノコイルが成長していたことから、図3(a)および(b)において、粒子の表面に部分的にカーボンナノコイルが成長している場所は、流動中に触媒担持粒子から触媒非担持粒子へと触媒が付着したことで繊維が成長した場所であると考えられた。つまり、図3の(a)において丸囲みした、部分的に繊維が成長している粒子は、触媒非担持粒子であると考えられた。
【0107】
図4は、CVD後の実施例3の触媒非担持粒子の表面および触媒担持粒子の表面を走査型電子顕微鏡によって観察した結果を示す図である。図4の(a)は、図4の(b)で観察した触媒非担持粒子を、高倍率(10000倍)で拡大して観察した結果を示す図であり、図4の(b)は、走査型電子顕微鏡により倍率5000倍で触媒非担持粒子の表面を観察した結果を示す図である。図4の(c)は、走査型電子顕微鏡により倍率5000倍で触媒担持粒子の表面の断面を観察した結果を示す図である。尚、図4の(a)および(b)中のスケールバーは1μmを示し、図4の(c)中のスケールバーは1μmを示す。
【0108】
図4の(a)および(b)に示すように、触媒非担持粒子の表面には、炭化物層が形成されていない状況でカーボンナノコイルの繊維が成長していることがわかる。このような現象は、触媒担持粒子の触媒が触媒非担持粒子へ付着している箇所について多く認められた。
【0109】
一方、図4の(c)に示すように、触媒担持粒子の表面には、カーボンナノコイルだけでなく炭化物層が形成されていた。炭化物層は、図4の(c)の走査型電子顕微鏡像中、カーボンナノコイルが生成している層の直下に位置する黒く見える部分である。
【0110】
これらの結果から、触媒担持粒子と触媒非担持粒子とを混合して調製した混合触媒を用いることで、カーボンナノコイルの成長の前段階に生じる炭化物層の生成を抑えることができることが明らかになった。
【0111】
<炭化物量の測定>
次いで、投入した触媒量に対して、CVDによって炭化物がどの程度成長したかを検討するために、実施例1〜3、比較例1で得られた炭化物の量をそれぞれ測定した。具体的には、炭化物の量は、反応炉1からCVD後の混合触媒3をすべて回収し、CVD後の混合触媒3の重量から、反応炉1に投入したCVD前の混合触媒3の重量を引くことによって測定した。尚、このようにして求められた炭化物の量は、合成されたカーボンナノコイルの量と炭化物層の量の合計量である。
【0112】
実施例1〜3および比較例1で得られた炭化物の量の測定結果を図5にまとめた。図5は、実施例1〜3および比較例1で得られた炭化物の量を測定した結果を表す図である。図5の(a)は、単位触媒量あたりの成長した炭化物量を算出した結果を表すグラフである。図5の(b)は、実施例で用いた触媒担持粒子に関して、触媒の割合と単位触媒量あたりの投入炭素量との関係を表すグラフである。
【0113】
図5(a)に示すように、触媒の割合が50%以上の場合は、CVDによって炭化物が殆ど成長していなかった。一方、触媒の割合が50%以下の場合は、CVDによって炭化物が良好に成長していた。この結果から、混合触媒における触媒担持粒子の割合を少なくすることで、生成される炭素量を効率よく増加させることができることが明らかになった。
【0114】
図6には、投入炭素量/触媒量が10倍、20倍および40倍の場合のCVD後の触媒非担持粒子の表面および触媒担持粒子の表面を走査型電子顕微鏡によって観察した結果を示した。図6の(a)は、投入炭素量/触媒量が10倍の場合の触媒非担持粒子の表面を、走査型電子顕微鏡により観察した結果を示す図であり、図6の(b)は、投入炭素量/触媒量が20倍の場合の触媒非担持粒子の表面を、走査型電子顕微鏡により観察した結果を示す図であり、図6の(c)は、投入炭素量/触媒量が40倍の場合の触媒非担持粒子の表面を、走査型電子顕微鏡により観察した結果を示す図である。図6の(a)〜(c)に示した図は、走査型電子顕微鏡により倍率10000倍で触媒担持粒子の表面の断面を観察した結果を示し、図中のスケールバーは1μmを示している。
【0115】
図6の(a)および(b)からわかるように、投入炭素量/触媒量が15倍以上となると、全体的な(50%以上の)カーボンナノコイルの成長が開始されることが明らかになった。また、図6の(b)および(c)からわかるように、投入炭素量/触媒量が30倍程度まで増えると、カーボンナノコイルの成長は良好であることが明らかになった。
【0116】
触媒担持粒子と触媒非担持粒子とを混合して調製した混合触媒では、炭素源供給の前および炭素源供給中の両方で、触媒担持粒子の触媒が触媒非担持粒子へ付着すると推測される。触媒担持粒子が有する触媒が触媒非担持粒子に付着することによって、カーボンナノコイルの成長サイト(見掛け上の表面積)が増加し、その結果、合成されるカーボンナノコイルの量が増加すると考えられた。
【0117】
また、触媒担持粒子と触媒非担持粒子とを混合して調製した混合触媒では、触媒担持粒子の外層の触媒層の一部(全層ではなく表層のみが剥離していると推測される)が、触媒非担持粒子の表面に部分的に付着する、または触媒非担持粒子の表面を剥離した触媒層が殆ど覆ったとしても触媒層の厚みが薄いと推測される。このため、触媒非担持粒子表面に付着した触媒層には触媒の近辺の空間から効率的に、炭素源ガスの熱分解により生じる炭素が取り込まれやすくなり、カーボンナノコイルが効率よく成長すると考えられた。
【0118】
さらには、触媒担持粒子と触媒非担持粒子とを混合して調製した混合触媒を用いることによって、カーボンナノコイルの成長の前段階に生じる炭化物層の生成を抑えることができる。この結果、カーボンナノコイルが効率よく成長すると考えられた。
【0119】
混合触媒における触媒担持粒子の割合を少なくすることで、生成される炭素量を効率よく増加させることができた結果から、全体の触媒量を少なくし、全ての担持粒子を触媒担持粒子としてもカーボンナノコイルを効率よく成長させることができるとも考えられる。しかし、流動中(原料ガスの投入前および投入中)の触媒担持粒子と触媒非担持粒子との相互作用によって、触媒量がカーボンナノコイルの成長のために自己最適化されることがカーボンナノコイルを効率よく成長させるために必要であると考えられた。
【0120】
また、実施例3において、原料ガス濃度が12体積%であり、流速が1.43cm/s、2.87cm/s、4.30cm/s、5.74cm/s、7.17cm/sまたは8.60cm/sである場合の、各条件において得られたカーボンナノコイルの全炭素量と、超音波処理によって混合触媒から剥離したカーボンナノコイルの重量とを図7に示す。
【0121】
図7は、原料ガスの流速とカーボンナノコイルの成長量との関係を示すグラフである。図7の(a)は、増加した全炭素量の変化を示し、(b)は、剥離したカーボンナノコイル量の変化を示す。
【0122】
図7の(a)に示すように、実施例3の成長条件では、原料ガスの流速(空塔速度)が5.7cm/s程度であるときに最も効率よくカーボンナノコイルを成長させることができることが明らかになった。また、図7の(b)に示すように、実施例3の成長条件では、原料ガスの流速(空塔速度)が5.7cm/s程度であるときに、剥離したカーボンナノコイルの量が最も多いことが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明にかかるカーボンナノ構造物の製造方法を用いれば、カーボンナノ構造物の成長速度を向上させながら、カーボンナノ構造物の成長量を増加させることが可能となる。それゆえ、カーボンナノ構造物を、より効率よく製造することができる。それゆえ、本発明は、カーボンナノ構造物を製造する産業において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 反応炉
2 分散板
3 混合触媒
4 混合ガス(原料ガス)
5 加熱装置
10 カーボンナノ構造物製造装置
21 カーボンナノコイル層(カーボンナノ構造物層)
22 炭化物層
23 触媒担持粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動層を用いた化学的気相成長法によってカーボンナノ構造物を製造する方法であって、
触媒担持基材と触媒非担持基材とを混合してなる混合触媒を用い、炭素源となる原料ガスを、上記混合触媒と接触させることによってカーボンナノ構造物を生成させる工程を含むことを特徴とするカーボンナノ構造物の製造方法。
【請求項2】
上記触媒担持基材は、基材と、溶媒に触媒を懸濁してなる溶液触媒とを混合しながら乾燥させる乾燥工程と、
当該乾燥工程で得られた混合物を焼成する焼成工程とを含む方法によって作製されたことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノ構造物の製造方法。
【請求項3】
上記カーボンナノ構造物は、カーボンナノコイルであることを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノ構造物の製造方法。

【図1】
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【図5】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−213518(P2011−213518A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81945(P2010−81945)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【Fターム(参考)】