説明

カーボンネガティブなバイオプラスチック製家具

家具は、カーボンネガティブなバイオプラスチックと、バイオプラスチックを型内で発泡させて、カーボンフットプリントがマイナスの家具を製造するための無害な発泡剤とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的に、発泡プラスチックからなる装飾品に関する。特に、限定するものではないが、本発明は、成形されたポリウレタンフォームからなる額縁に関する。
【背景技術】
【0002】
額縁及び他の装飾品は、ポリウレタンフォームを型内に発泡させることによって経済的に製造することができる。ポリウレタンフォームは典型的に、ポリオールと、触媒と、界面活性剤と、発泡剤と、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)との組合せからなる。ポリオールは、有機反応に利用可能な複数のヒドロキシル基を有する化合物である。ポリオールの例としては、芳香族ポリオール、脂肪族ポリオール、及びプロポキシル化又はエトキシル化されたスクロースポリオール又はソルビトールポリオールが挙げられる。顔料及びフィラーをポリオールに添加してもよい。ポリオールを、触媒、界面活性剤及び発泡剤と混合した後、型内でポリオールをMDIと反応させて、発泡ポリウレタンフォームを生成する。ポリウレタンフォームは、型から取り外したら、必要に応じて塗装してもよい。
【発明の概要】
【0003】
一つの実施形態では、家具は、カーボンネガティブなバイオプラスチックと、バイオプラスチックを型内で発泡させて、カーボンフットプリントがマイナスの家具を製造するための無害な発泡剤とを含む。
【0004】
上記及び他の態様、特徴及び利点は、限定的なものでなく例として提示する以下の図面と共に本明細書から明らかとなる。幾つかの図面を通じて同じ参照符号は同様の要素を示す。
【0005】
図中の要素は、簡潔かつ明確にするために例示されるものであり、必ずしも縮尺を合わせて描かれているわけではない。例えば、図中の要素のうちの幾つかの寸法、サイジング及び/又は相対的配置は、例示される実施形態の独特な特徴を明確にするために、他の要素に対して誇張されている場合がある。また、商業上実行可能な実施形態において有用又は必要であり得る一般的によく理解されている要素は、例示される実施形態が見にくくならないように、多くの場合描いていない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】従来技術による発泡プラスチックからなる額縁の断面図である。
【図2】カーボンネガティブなバイオプラスチックを製造する方法に関するフローチャートである。
【図3】図2のカーボンネガティブなバイオプラスチックから額縁を製造する方法に関するフローチャートである。
【図4】図3の方法から製造される額縁の正面図である。
【図5】図4の額縁の拡大正面図である。
【図6】図4の額縁の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下は、他の実施形態を導き出し得る一般原則を具現化する具体的な例の説明である。したがって、例示される実施形態は、添付の特許請求の範囲内の同様の一般原則から導き出され得る他の実施形態を排除するように意図されるものではない。例えば、ある特定の措置又は工程は、実施される具体的な順序で記載されていても又は示されていてもよい。しかしながら、当業者は、具体的な順序が例として挙げられているに過ぎず、具体的な順序は、同様の結果を実質的に達成するような別の順序で記載された工程を実施することを排除するものではないことを理解するであろう。また、本明細書中で使用される用語及び表現は、他の意味が本明細書中に具体的に記載されている場合を除き、対応する各々の調査研究分野におけるような用語及び表現に従って通常の意味を有する。
【0008】
本明細書中に規定されるように、家具は、装飾目的又は装飾的な特徴、例えば、木材、石材、成形プラスチック、又はそれらの組合せからなる、彫刻が施されたか、立体的に造形されたか、風化させたか又はテクスチャ加工された表面を含む製造品である。木材又は石材の装飾的な特徴は、例えば、成形プラスチックによって模擬的に作ることができる。本明細書中に規定される家具の例としては、屋内用及び屋外用両方の模擬的に作られた装飾用石材パネル、建築用モールディング及び建築用トリム、コーベル及びシーリングメダリオン、暖炉枠、壁飾り及び室内装飾、ミラーフレーム及びアートフレーム、ランプ、並びに照明の構成部材及びパーツ、噴水、彫像、容器、ポット及びプランタ、並びに屋内用及び屋外用の家具の構成部材が挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
ポリウレタンフォームは、額縁、飾り板、廻り縁、天井用の木の梁、ミラーフレーム、彫像、家具のパーツ及びトリム、模擬的に作られた彫刻物、時計ケース、並びに多くの他の飾り及び繊細な装飾品等の成形品に広く使用されている。ポリウレタンフォームは、型のキャビティ内で発泡して、型の輪郭を正確に複製することが可能である。ポリウレタンフォームは、木材と同様の方法で仕上げ加工することができる耐久性スキン層を伴って硬化する。テクスチャパターン及び木目柄も、硬化されたポリウレタンフォームの表面上に複製され得る。好適な型は、例えば、木材又は金属から熟練した職人によって特別に作り出されるオリジナル品となり得る原型から鋳造されてもよく、又はポリウレタンフォームにおける複製のために原型を特別に設計してもよい。型の材料は、例えば、ラテックス、シリコーンゴム、ウレタン、エラストマー、及び既知の技術に従って型を作製するのに使用される他の材料であってもよい。
【0010】
額縁は、耐衝撃性ポリスチレンからABSに至る様々なプラスチックから成形されている。ポリウレタンフォームは典型的に、重量及び製造コストの両方を低減させるように額縁を成形するのに使用され、未だに木材の外観を模擬的に作っている。発泡剤としてフレオンを含有するポリウレタンフォームは、容易に装飾を施すことができる高密度の外側スキン層を形成する。しかしながら、フレオンのような「温室効果ガス」のカテゴリに入る発泡剤に対する規制によって、製造業者らは水のような代替物を使用するようになった。残念ながら、ポリウレタンフォームのための発泡剤として水を使用することによって典型的に、外側スキン層にピンホール及び空隙が形成される。この問題の解決策は、ポリウレタンフォームの密度を増大させることである。しかしながら、フォームの密度の増大は、型内の圧力も増大させ、これによって、型の動作寿命が短くなり、型の修復のために多くの手間を要する場合がある。
【0011】
図1は、従来技術による発泡プラスチックからなる額縁の断面図100を示している。図1に示されるものは、成形された額縁102及び木製基材104である。
【0012】
図1において、成形された額縁102は、木製基材104の上に嵌合する中空品として形成されている。木製基材104には、反りを防止し、額縁の内側で絵画を支えるのに必要とされる強度を与えることが要求される。このタイプの成形された額縁は典型的に、約0.19g/cm3〜0.22g/cm3(12lb/cu ft〜14lb/cu ft)の密度を有する。典型的にベースコートすなわち下塗り剤を型の内側に噴霧すると、成形された額縁102を塗装又は染色して、彫刻が施された木材を模擬的に作ることが可能となる。
【0013】
新たな技術のマーケティングにおける一般的な動向は、「自然環境を守る」、すなわち、環境に有害であると言われている物質の使用及び製造を回避し、かつ再生可能資源からなる材料を使用するものである。バイオプラスチックを生成するのに使用され得る再生可能なポリオールの例としては、ダイズ油及びヒマシ油が挙げられる。グリーンプログラムのために生まれた1つの概念は、カーボンフットプリントである。製品の各成分が、プラス又はマイナスになり得る付随するカーボンフットプリント値を有する。総カーボンフットプリント値を最小限に抑えるように製品の成分を選択することによって、製品のグリーン評価が増大する。マイナスのカーボンフットプリント値が最も良好なグリーン評価を受けると考えられる。ポリオールの最も良好なマイナスのカーボンフットプリントを有するヒマシ油は、炭素クレジット1kg当たり−38000グラムのカーボンフットプリント値を有する。ダイズ油は、炭素クレジット1kg当たり−2800グラムのカーボンフットプリント値を有し、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)は、炭素クレジット1kg当たり+5800グラムのカーボンフットプリント値を有する。慎重に選択されたヒマシ油とMDIとの割合、並びに触媒、界面活性剤、発泡剤としての水を含むことによって、バイオプラスチックフォームポリウレタンは、合わせてマイナスのカーボンフットプリントを有する額縁及び他の家具を成形するために製造することができる。
【0014】
額縁を作製するためのこれまでのポリウレタンフォームは、カーボンポジティブな樹脂系及び発泡剤として有害な化学物質を使用している。これまでの樹脂組成とは異なり、バイオベースポリオールを含有するカーボンネガティブな樹脂材料を、アミン触媒及び界面活性剤を用いて水発泡することができる。バイオベースポリオールは、ヒマシ油、ダイズ油、又は別の植物性ポリオール、例えば、スクロースポリオール及びソルビトールポリオールであってもよい。以下は、カーボンネガティブな樹脂系の幾つかの例である。
(1)ソルビトール及びダイズ油を、水、界面活性剤、触媒と混合する。該混合物を、同部の高分子メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)と反応させる。発泡体混合物のフリーライズ密度は、約0.096g/cm3(6lb/cu ft)である。発泡体混合物を、額縁用の型内に流し込み、型を閉じる。発泡体は、約0.16g/cm3(10lb/cu ft)の密度となる。およそ15分後に型を開ける。この樹脂系で作製される額縁は、滑らかな(くぼみのない)表面外観及び剛性を有する。
(2)スクロース及びヒマシ油を、触媒、水、界面活性剤と混合する。先の例と同様に、該混合物をMDIと反応させて、額縁用の型内に流し込む。およそ15分後に型を開ける。この樹脂系で作製される額縁も、良好な表面外観及び剛性を有する。
(3)芳香族ポリオールを、水、触媒、界面活性剤と混合する。先の例と同様に、該混合物をMDIと反応させて、型内に流し込む。およそ15分後に型を開ける。この樹脂系で作製される額縁は、約0.16g/cm3(10lb/cu ft)の密度、及びピンホールがあいた脆い表面を有する。
【0015】
ヒマシ油は、安価であり、0.10MPa(15psi)未満の圧力及び約32°C(90°F)の安全な反応温度の下でカーボンネガティブなバイオプラスチックとなり得る。有益なことに、低い圧力によって、基材のない非加圧環境における反りが回避される。少なくとも35質量パーセント(35%)のヒマシ油をバイオプラスチック中に組み込むと、バイオプラスチックが良好な課税措置に適するものとなり、さらに製造コストを低減することができる。カーボンネガティブなバイオプラスチックは、約0.24g/cm3(15lb/cu ft)の密度を有する高密度で硬質なスキン層を有することで、成形体を型から取り外すことを容易にし、有益には、型を離型剤でコーティングするこれまでの方法の要件を省く。成形体の表面は、くぼみ及び空隙がなく、型内の細かいディテールと正確に一致している。成形体は、約0.13g/cm3〜0.14g/cm3(8lb/cu ft〜9lb/cu ft)の低い密度を有する。他の利点は、二酸化炭素を放出するような発泡剤として水を使用することを含む。水のような無害な発泡剤は、実質的に環境に有害な物質を含有しないだけでなく、環境に有害な化学物質の大気中への放出も回避する。使用される少量の水によって、成形体が塗装される場合に気体を捕捉することも回避される。
【0016】
様々な実施形態において、カーボンネガティブなバイオプラスチック用の樹脂系は、カーボンネガティブな値を有するバイオベースポリオールの混合物である。一つの実施形態において、ポリオール混合物は、165の水酸基価(OH価)を有するヒマシ油(番号1、乾燥)を含む。該ヒマシ油を、300〜500の範囲のOH価を有するスクロースベースポリオールと配合させる。一つの実施形態では、1質量パーセント〜4質量パーセント(1%〜4%)の水を、発泡剤としてポリオール混合物に添加する。ヒマシ油は疎水性であるため、500〜5000の範囲の分子量を有する1質量パーセント〜10質量パーセント(1%〜10%)のエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリオール(EO/PO)を添加して、ヒマシ油を水溶性にする。
【0017】
DABCO8154のような加熱によって活性化されるゲル化遅延作用触媒と併用して作用するBL11のような発泡触媒を、10分の1質量パーセント〜2質量パーセント(0.1%〜2%)の範囲で、混合物に添加する。起泡が起こる際に小セル構造を保護しかつ乳化剤として作用する乳化性シリコーンのような界面活性剤を、2分の1質量パーセント〜2質量パーセント(0.5%〜2%)の範囲で、混合物に添加する。界面活性剤は、ポリオール又はMDIに添加してもよい。ポリオール混合物を、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)と適切な比率で反応させる。好ましくは、型が完全に満たされるまではポリウレタンフォームが気泡を形成し、その後はより高密度となって、厚いスキン層を形成する。一つの実施形態では、発泡体を流し込む前に、塗料を型内に噴霧する。
【0018】
好ましくは、型が完全に満たされるまではバイオプラスチックフォームが気泡を形成し、その後はより高密度となって、空隙のない厚いスキン層を形成する。一つの実施形態では、発泡体を流し込む前に、塗料を型内に噴霧する。バイオプラスチック混合物の発熱反応によって、バイオプラスチックフォームの温度が、ゲル化触媒のアンブロッキング温度、例えば、48.9°C(120°F)まで上昇すると、バイオプラスチックフォーム混合物が急速に固化する。したがって、型を十分に排気し、発泡する発泡体によって型内の空気を置換して、空隙が成形体の表面上に形成されないようにする必要がある。型の温度は、触媒のアンブロッキング温度を超えない温度に維持して、型が満たされる前に発泡体を固化させないようにすることが好ましい。他方、約27°C(80°F)未満の型の温度は、芳しくない表面外観をもたらす可能性がある。概して、型の温度は、好ましくは32°C〜37.8°C(90°F〜100°F)の範囲に維持される。
【0019】
上記のカーボンネガティブなバイオプラスチックを製造する方法は、ポリオール混合物槽の温度を約29°C(85°F)に維持する低圧装置又は高圧装置を用いて実施することができる。カーボンネガティブなバイオプラスチックの典型的なフリーライズ密度は、約0.096g/cm3(6lb/cu ft)から約0.14g/cm3(9lb/cu ft)の範囲である。成形品は、包括的に0.14g/cm3(9lb/cu ft)から0.24g/cm3(15lb/cu ft)の範囲の密度を有する。有益なことに、カーボンネガティブなバイオプラスチックは、これまでのポリウレタン系よりも大きい約0.24g/cm3(15lb/cu ft)のスキン層密度を有する。型内へのカーボンネガティブなバイオプラスチックの導入から、型からの成形品の取出しまでのサイクル時間は、約8分から15分の範囲である。
【0020】
一つの実施形態において、以下の重量部を上記のように混合して、カーボンネガティブなバイオプラスチックを生成する。すなわち、ソルビトール、50;ヒマシ油、50;水とMDIとの反応を促して二酸化炭素を生成させる発泡触媒、例えば、エアプロダクツ社製のBL11、0.5;ゲル化遅延作用触媒、1.0;乳化性シリコーンのような界面活性剤、1.5;水、2.0;エチレンオキシド/プロピレンオキシドポリオール(EO/PO)、5.0;MDI、120である。この混合物のフリーライズ密度は約0.096g/cm3(6lb/cu ft)である。
【0021】
一つの実施形態では、バイオプラスチックを、額縁を作製するための型内に流し込む。添付の特許請求の範囲内の様々な実施形態を実践する同様の方法で、廻り縁及び装飾用トリムのような他の家具を成形することができる。
【0022】
様々な実施形態では、成形プロセス前に、型を、塗料及び/又は離型剤でコーティングして、乾燥させる。型は、約37.8°C(100°F)に維持する。バイオプラスチックを型内で成形して、約0.14g/cm3(9lb/cu ft)の密度を有する額縁を製造する。額縁の表面は、優れた外観及び約0.24g/cm3(15lb/cu ft)のスキン層密度を有する。成形プロセスにかかるサイクル時間は約10分である。
【0023】
バイオプラスチックを調製するこれまでの方法とは異なり、特に家具を製造するための上記実施形態における材料の割合は、広範に調査され、かつ経験的に導かれるものである。したがって、添付の特許請求の範囲内に含まれる家具の様々な実施形態は、以下の特性の1つ又は複数を含む。すなわち、マイナスのカーボンフットプリント値、約0.13g/cm3(8lb/cu ft)から約0.24g/cm3(15lb/cu ft)の範囲の成形密度、表面の空隙又はくぼみの非存在、約0.24g/cm3(15lb/cu ft)のスキン層密度、下塗りの必要性なく塗装することができる表面、型から容易に取り外される表面である。
【0024】
図2は、カーボンネガティブなバイオプラスチックを製造する方法に関するフローチャート200を示している。
【0025】
工程202では、例えば、50重量部のソルビトールと、50重量部のヒマシ油及びポリオールとを配合することによって、ポリオール混合物を作製する。
【0026】
工程204では、約5重量部のエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリオール(EO/PO)をポリオール混合物に添加する。
【0027】
工程206では、1重量部〜4重量部の水を発泡剤としてポリオール混合物に添加する。
【0028】
工程208では、水とMDIとの反応を促して二酸化炭素を生成させるBL11のような発泡触媒をポリオール混合物に添加する。
【0029】
工程210では、DABCO8154のような加熱によって活性化される約1重量部のゲル化遅延作用触媒をポリオール混合物に添加する。
【0030】
工程212では、界面活性剤、例えば、MDIと反応する遊離ヒドロキシルを有しない乳化性シリコーンを、2分の1質量パーセント〜2質量パーセント(0.5%〜2%)の範囲でポリオール混合物に添加する。界面活性剤は、起泡が起こる際に小セル構造を保護しかつ乳化剤として作用し、また、ポリオール又はMDIのいずれかに添加してもよい。
【0031】
工程214では、ポリオール混合物を約120重量部のメチレンジフェニルイソシアネート(MDI)と反応させる。
【0032】
工程216では、ポリオール混合物は、型内に流し込まれ得るバイオプラスチックフォームを形成する。
【0033】
一つの実施形態において、家具は、バイオプラスチックと、型内でバイオプラスチックを発泡させるための無害な発泡剤とを含み、カーボンネガティブなフットプリントを有する家具の少なくとも一部が製造される。
【0034】
別の実施形態では、家具を製造する方法は、カーボンネガティブなバイオプラスチックを製造する工程と、カーボンネガティブなバイオプラスチックを型の一部に導入する工程と、バイオプラスチックを発泡させて型を満たす工程と、型内で成形されたバイオプラスチックを硬化させてマイナスのカーボンフットプリントを有する家具の少なくとも一部を製造する工程とを含む。
【0035】
図3は、図2のカーボンネガティブなバイオプラスチックから額縁を製造する方法に関するフローチャート300を示している。
【0036】
工程302では、離型剤及び/又は防護コートを、型の内面に任意に噴霧する。離型剤は、型から発泡成形体を取り出すのを助け、その後、取り除いても、又は続く仕上げ加工のためのベースコートすなわち下塗り剤として機能するように残してもよい。防護コートは、典型的に所望の色で着色されており、成形体の連続的な外表面となって、発泡体の表面上に形成され得る小さい膨れを被覆する。防護コートは、続く仕上げ加工のためのベースコートすなわち下塗り剤としても機能し得る。
【0037】
工程304では、発泡体を発生させる所定量のカーボンネガティブなバイオプラスチックを型内に分配して、自己発泡性、自己硬化性の組成物をもたらす。概して、型の一部のみを未発泡バイオプラスチックで満たし、発泡体の自己膨張又は発泡の特徴の進行により、型が完全に満たされる。膨張する発泡体によって置換される空気を、閉じた型から外に排気して、自由に逃がすことが好ましく、そうでなければ、閉じ込められた空気によって型の完全な充填が妨げられ、硬化品中に気泡及び空気のポケットのような欠陥が生じる。
【0038】
工程306では、下面に塗布される離型材料でコーティングされた金属のような硬質材料からなるカバー又は蓋を、型のキャビティの上に置き、機械的に又は油圧により型に固定し、型のキャビティを閉じて、発泡する発泡体を閉じ込める。型と、蓋又は背板とを備える、型自体の構成部品は、包括的に不透過性である。蓋又は背板に対する側方鋳物の仕上げ加工を要しない場合には、蓋又は背板を型にゆるく留め、蓋又は背板の周りの空気を排気させてもよい。蓋又は背板の周りの発泡体の任意の浸出は、既知の技術に従い、ばり取り工程において研削又は切断することができる。しかしながら、成形品の全面が仕上げ加工されることが望ましい場合、蓋又は背板からの特殊な排気が必要とされることがある。
【0039】
工程308では、バイオプラスチックフォームを、例えば、8分〜15分、約37.8°C(100°F)において、型内で硬化させる。
【0040】
工程310では、蓋を取り除き、硬化させた額縁を型から取り出す。一つの実施形態では、硬化が完了する前に、額縁がより可撓性で型から取り外し易いうちに額縁を取り出す。
【0041】
工程312では、添付の特許請求の範囲内の様々な実施形態を実践するように、木材仕上げ加工に使用される既知の技術に従って、成形部分を染色するか、成形部分にラッカーを塗るか、又はそうでなければ、成形部分に仕上げ加工を施す。仕上げ加工された額縁は、細かいディテールを正確に複製するものであり、その下部が型から切り取られる。
【0042】
図4は、図3の方法から製造される額縁400の正面図を示している。図4に示されているものは、周縁モールディング402、隅角接合部404、絵画用開口部406である。
【0043】
図4において、周縁モールディング402は、複雑に手彫りが施された木材の形状を有している。様々な実施形態では、額縁400を、既知の技術に従って、市販の木材仕上げ加工製品で塗装又は染色する。額縁400は一体として成形されるため、隅角接合部404は、継ぎ目がなく、木材フレームであれば起こり得るような経時的なゆるみが生じない。絵画用開口部406は、キャンバス画と、木材フレームに使用される既知の技術に従って額縁400に固定され得る他の媒体とに用いられる標準的な幅を有している。
【0044】
図5は、図4の額縁の拡大正面図500を示している。図5に示されているものは、周縁モールディング402、隅角接合部404、絵画用開口部406である。
【0045】
図5において、周縁モールディング402は、細かいディテールを示し、その下部が空隙及び亀裂のない原型から切り取られている。隅角接合部404は、木材フレームがそうであるように接合金具又は接合アセンブリを要しないことが有益である。絵画用開口部406の寸法は、型によって厳密に制御され、標準的な媒体寸法に対する適切で一致する嵌合が確保される。
【0046】
図6は、図4の額縁の拡大断面図600を示している。図6に示されているものは、コア部602、スキン層604、前面606、背面608である。
【0047】
図6において、コア部602は、絵画を額縁に実装して額縁を壁に固定する場合にフレーム形状の維持を助ける安定な構造支持体をもたらす。スキン層604は、細かくやすりがけして研磨された木材を模擬的に作る滑らかな外観を有している。装飾ディテールは、前面606に成形され、他方、背面606は、額縁を例えば平面に実装させるのに都合の良い形状を有している。
【0048】
上記の具体的な実施形態及び用途は、単に例示を目的とするものであり、添付の特許請求の範囲内でなされ得る変更及び変形を除外するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンネガティブなバイオプラスチックと、
無害な発泡剤と
を含む家具であって、
前記バイオプラスチックを型内で発泡させて前記家具の少なくとも一部を製造するときに、前記無害な発泡剤が、前記カーボンネガティブなバイオプラスチックに添加される家具。
【請求項2】
前記カーボンネガティブなバイオプラスチックは、少なくとも30質量パーセントのヒマシ油を含む、請求項1に記載の家具。
【請求項3】
前記カーボンネガティブなバイオプラスチックは、1質量パーセント〜10質量パーセントのエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリオールを含む、請求項2に記載の家具。
【請求項4】
前記家具の前記少なくとも一部は、額縁、廻り縁、幅木のうちの1つの形状を含む、請求項1に記載の家具。
【請求項5】
前記カーボンネガティブなバイオプラスチックが、0.096g/cm3〜0.14g/cm3(6lb/cu ft〜9lb/cu ft)のフリーライズ密度を有する、請求項1に記載の家具。
【請求項6】
前記家具の前記少なくとも一部は、0.14g/cm3〜0.24g/cm3(9lb/cu ft〜15lb/cu ft)の成形密度を有する、請求項1に記載の家具。
【請求項7】
前記カーボンネガティブなバイオプラスチックは、発泡剤として水を含む、請求項1に記載の家具。
【請求項8】
前記家具の前記成形された少なくとも一部は、空隙のないスキン層を含む、請求項7に記載の家具。
【請求項9】
家具を製造する方法であって、
カーボンネガティブなバイオプラスチックを製造する工程と、
該カーボンネガティブなバイオプラスチックを型の一部に導入する工程と、
前記バイオプラスチックを発泡させて前記型を満たす工程と、
前記型内で成形されたバイオプラスチックを硬化させて前記家具の少なくとも一部を製造する工程と
を含む方法。
【請求項10】
少なくとも30質量パーセントのヒマシ油を有する前記カーボンネガティブなバイオプラスチックを製造する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1質量パーセント〜10質量パーセントのエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリオールを有する前記カーボンネガティブなバイオプラスチックを製造する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
額縁、廻り縁、幅木のうちの1つの形状の前記家具の少なくとも一部を製造する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
0.096g/cm3〜0.14g/cm3(6lb/cu ft〜9lb/cu ft)のフリーライズ密度に発泡する前記カーボンネガティブなバイオプラスチックを製造する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
0.14g/cm3〜0.24g/cm3(9lb/cu ft〜15lb/cu ft)の成形密度に発泡する前記カーボンネガティブなバイオプラスチックを製造する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
32°C〜37.8°C(90°F〜100°F)の温度において前記型内で前記カーボンネガティブなバイオプラスチックを発泡させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
29°C〜32°C(85°F〜90°F)の温度において前記カーボンネガティブなバイオプラスチックを製造する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
発泡剤として水を有する前記カーボンネガティブなバイオプラスチックを製造する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記型内で前記カーボンネガティブなバイオプラスチックを硬化して、空隙のないスキン層を形成する工程を含む、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−501640(P2013−501640A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523683(P2012−523683)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/044151
【国際公開番号】WO2011/017271
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(512031312)エイティーアイ・インダストリーズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ATI INDUSTRIES, INC.
【住所又は居所原語表記】P.O. Box 2222, Mission Viejo, California 92691, United States of America
【Fターム(参考)】