説明

ガスコンロ

【課題】バーナヘッドの誤セットと装置異常の発生を判別する手段を備えたガスコンロを実現する。
【解決手段】ガスコンロ10は、コンロバーナ20と検出用回路30とCPU50を備えている。CPU50は、電源32電位とグランド電位の間に設定されている第1閾値電位と、第1閾値電位L1と第2電位の間に設定されている第2閾値電位L2を用いて、下記の判別結果を出力する。(1)中間点40の電位Vmが、電源32の電位と第1閾値電位L1の間の電位である場合には、バーナヘッド22が誤セットされている。(2)中間点40の電位Vmが、第1閾値電位L1と第2閾値電位L2の間の電位である場合には、装置異常が発生しておらず、かつバーナヘッド22がバーナボディ26上に正しく載置されている。(3)中間点40の電位Vmが、第2閾値電位L2とグランド電位の間の電位である場合には、装置異常が発生している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナボディとバーナボディ上に着脱自在に載置されるバーナヘッドとで構成されるコンロバーナが設けられたガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンロバーナが設けられたガスコンロが開示されている。このガスコンロは、バーナボディにバーナヘッドが正しく載置されたことを検知するバーナヘッド検知手段と、バーナヘッド検知手段でバーナヘッドが正しく載置されたと検出されないときに、コンロバーナを燃焼不能状態にする燃焼制限手段とを備える。この技術によれば、ユーザが、バーナボディにバーナヘッドが正しく載置されていないこと(つまり、バーナヘッドが誤セットされていること)に気づかない場合でも、コンロバーナが点火してしまうことを確実に防止することができる。これによって、バーナヘッドが誤セットされた状態で点火することによって発生する逆火等の危険事象の発生を確実に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−029612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のガスコンロでは、バーナヘッド検知手段が故障した場合に、バーナヘッドが誤セットされた時にはコンロバーナが点火してしまう。そのため、バーナヘッド検知手段が故障した時、すなわち装置異常が発生した場合に、燃焼制限手段によってコンロバーナが燃焼不能状態となるように設計される。しかし、ユーザはガスコンロを使用する際に、コンロバーナが燃焼不能状態になったとき、その原因がバーナヘッドの誤セットによるものか、あるいは装置異常によるものなのかを判別することができない。そのため、装置異常の検出が遅れる問題が生じる。
【0005】
本発明は、バーナヘッドの誤セットと装置異常の発生を判別する手段を備えたガスコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載のガスコンロは、バーナボディとバーナヘッドと検出用回路と判別回路を備えている。バーナヘッドは、バーナボディ上に着脱自在に載置されている。検出用回路は、第1電位点と第1抵抗と第2抵抗と接触端子をその順に接続している。判別回路は、第1抵抗と第2抵抗の中間点の電位を検出し、検出した電圧によって判別結果を出力する。このガスコンロでは、バーナボディにバーナヘッドが正しく載置されたときに、接触端子が第2電位点に接続される関係に置かれている。このガスコンロでは、判別回路が、第1電位と第2電位の間に設定されている第1閾値電位と、第1閾値電位と第2電位の間に設定されている第2閾値電位を用い、以下の判断結果を出力する。
(1)中間点の電位が、第1電位と第1閾値電位の間の電位である場合には、バーナヘッドがバーナボディ上に正しく載置されていないとする判断結果を出力する。
(2)中間点の電位が、第1閾値電位と第2閾値電位の間の電位である場合には、装置異常が発生しておらず、かつバーナヘッドがバーナボディ上に正しく載置されているとする判断結果を出力する。
(3)中間点の電位が、第2閾値電位と第2電位の間の電位である場合には、装置異常が発生しているとする判断結果を出力する。
【0007】
(前記(3)の装置異常が発生していない場合)
このガスコンロでは、バーナボディにバーナヘッドが正しく載置された場合、接触端子が第2電位点に接続される。そのため、中間点の電位は第1抵抗と第2抵抗の抵抗値によって分圧された電位となり、第1電位と第2電位の中間電位(以下、これを正常中間電位と呼ぶことがある。)となる。その一方、バーナボディにバーナヘッドが誤セットされた場合、接触端子は第2電位点に接続されず、第1抵抗と第2抵抗を通して第1電位点のみに接続された状態が維持される。この結果、中間点の電位も第1電位に維持される。本明細書に記載のガスコンロでは、判定回路が第1電位と正常中間電位の間の電位に設定された第1閾値電位を備えている。判定回路は、中間点の電位が第1閾値電位よりも第1電位側である場合には、バーナヘッドが誤セットされたと判別することができる。また、判定回路は、中間点の電位が第1閾値電位よりも第2電位側である場合には、バーナヘッドがバーナボディに正しく載置されたと判別することができる。
【0008】
(前記(3)の装置異常が発生している場合)
このガスコンロでは、上述したように、ガスコンロに装置異常が発生していない場合には、バーナヘッドが誤セットされたか否かにかかわらず、中間点の電位が正常中間電位よりも第2電位側とならない。そのため、判別回路が正常中間電位よりも第2電位側となっていることを検出した場合、ガスコンロに何らかの装置異常が発生したことが解る。装置異常としては、例えば検出用回路の開故障(特に、第1電位点と第1抵抗の間の断線や第1抵抗の故障)、あるいは判別回路の故障等が存在する。本明細書に記載のガスコンロでは、第2閾値電位を正常中間電位と第2電位の間の電位に設定しておく。判定回路は、中間点の電位が第2閾値電位よりも第2電位側となった場合に、装置異常が発生していることを判断することができる。
【0009】
本明細書に記載のガスコンロでは、バーナヘッドが誤セットされたか否かを検出する検出用回路において、判別回路が電位を検出する中間点と接触端子の間に第2抵抗を設けることを特徴とする。このガスコンロでは、装置異常が発生していない場合には、中間点の電位が第2電位となることがない。そのため、中間点の電位が第2電位となった場合に、装置異常の発生を検出することができる。これによって、バーナヘッドが誤セットされたか否かを検出する検出用回路を用いて装置異常を検出することができ、バーナヘッドの誤セットと装置異常の発生を判別することができる。
【0010】
上記したガスコンロでは、バーナボディは導電性であるとともに第2電位点に接続されており、バーナヘッドは導電性であり、バーナヘッドがバーナボディに正しく載置されたときに接触端子がバーナヘッドと接触する位置に配置されていることが好ましい。
上記構造を備えることで、バーナヘッドがバーナボディに正しく載置されたときに、接触端子がバーナヘッドとバーナボディを介して第2電位点に接続される構成が実現される。
【0011】
上記したガスコンロでは、判別回路が第1閾値電位と第2閾値電位の間に設定されている第3閾値電位をさらに用いて、以下の判断結果を出力することが好ましい。
(4)中間点の電位が、第1閾値電位と第3閾値電位の間の電位である場合には、バーナヘッドとバーナボディの間に基準量以上の汚れが堆積したとする判断結果を出力する。
【0012】
ガスコンロでは、使用時の煮こぼれ等によりバーナヘッドとバーナボディの間に汚れが堆積することがある。ガスコンロには、バーナヘッドとバーナボディの間に汚れが堆積したことを判別する仕組みが求められる。
【0013】
本明細書に記載のガスコンロでは、判別回路が第1閾値電位と第2閾値電位の間に設定されている第3閾値電位をさらに備えている。バーナヘッドとバーナボディの間に汚れが堆積すると、バーナヘッドとバーナボディの間の抵抗が増大する。この結果、バーナボディにバーナヘッドが正しく載置された際の中間点の電位が第1電位側に変動する。本明細書に記載のガスコンロでは、第3閾値電位を第1電位と正常中間電位の間の電位に設定しておく。中間点の電位が第3閾値電位を超えて第1閾値電位側へと変動した場合には、バーナヘッドとバーナボディの間に基準量以上の汚れが堆積したとする判断結果を出力する。このガスコンロでは、上記の判定結果に基づいて報知手段等で報知することによって、バーナヘッドとバーナボディの間に基準量以上の汚れが堆積した場合には、汚れを除去するようにユーザに促すことができる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書に記載のガスコンロによると、バーナヘッドの誤セットと装置異常の発生の両方を判別する手段を備えたガスコンロを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ガスコンロ10を模式的に示す。
【図2】バーナヘッド22がバーナボディ26に正しく載置された状態のコンロバーナ20を模式的に示す。
【図3】バーナヘッド22がバーナボディ26に誤セットされた状態のコンロバーナ20を模式的に示す。
【図4】検出片24と接触端子38の拡大模式図を示す。
【図5】閾値電位L1,L2を模式的に示す。
【図6】装置異常が発生した状態のコンロバーナ20を模式的に示す。
【図7】ガスコンロ110のコンロバーナ20を模式的に示す。
【図8】閾値電位L1、L2、L3を模式的に示す。
【実施例1】
【0016】
実施例1に係るガスコンロ10について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、ガスコンロ10の上面は、天板12に覆われており、その天板12には、バーナ用開口14が設けられている。ガスコンロ10の内部のバーナ用開口14に臨む位置にコンロバーナ20が配置されている。ガスコンロ10の天板12上のバーナ用開口14に臨む位置に五徳16が配置されている。これによって、天板12上に五徳16を介して載置する調理容器をコンロバーナ20から放出される炎で加熱する構造が実現される。
【0017】
図2に、ガスコンロ10のコンロバーナ20周辺の構造を模式的に示す。コンロバーナ20は、バーナヘッド22とバーナボディ26によって構成されている。バーナボディ26は導電性を有しており、グランド電位V2(第2電位の一例)に接続されている。バーナボディ26は環状形状をしており、燃料ガスと空気を混合した混合気体をコンロバーナ20へと導入する導入路28が形成されている。バーナヘッド22は導電性を有しており、皿状形状をしている。バーナヘッド22の外周面のうち、バーナボディ26と接する境界部には、歯形により外向きに開口する多数の炎孔23が形成されている。また、バーナヘッド22の下面には、下方にのびる検出片24が形成されている。バーナボディ26の検出片24に対応する位置には、貫通孔が形成されている。バーナヘッド22をバーナボディ26に載置する際に、バーナヘッド22にバーナボディ26が正規位相で載置されると、検出片24がバーナボディ26に形成された貫通孔に差し込まれ、図2に示すように、コンロバーナ20の全周に亘って炎孔23が形成される。その一方、バーナヘッド22にバーナボディ26が正規位相で載置されないと、検出片24がバーナボディ26の貫通孔に差し込まれず検出片24がバーナボディ26と干渉し、図3に示すように、バーナヘッド22が浮き上がりコンロバーナ20の全周に炎孔23を形成することができない。
【0018】
ガスコンロ10内部のコンロバーナ20の周辺には、検出用回路30とCPU50(判別回路の一例)が設けられている。
検出用回路30は、図2に示すように、バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置されたか否かを検出するとともに、ガスコンロ10の装置異常を検出するのに用いる回路であり、電源32(第1電位点の一例)と第1抵抗34と第2抵抗36と接触端子38がこの順に接続されて構成されている。
検出用回路30の接触端子38は、バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置された際に、検出片24と対応する位置にバーナボディ26と絶縁されて配置されている。さらに詳しくは、バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置されたときのバーナヘッド22の位置を正規位置とすると、バーナヘッド22が正規位置に存在するときに接触端子38に検出片24の先端が接触する位置に配置されている。そのため、図2に示すように、バーナヘッド22が正規位置に存在する場合、接触端子38はバーナヘッド22と接触し、お互いに接触する導電体であるバーナヘッド22とバーナボディ26を介してグランド電位V2に接続される。その一方、図3に示すように、バーナヘッド22が正規位置に存在しない場合(つまり、バーナヘッド22がバーナボディ26に誤セットされた場合)、接触端子38はバーナヘッド22と接触せず、接触端子38は第1抵抗34と第2抵抗36を介して電源32の電位に維持される。本実施例では、バーナボディ26に正規位相で載置されたか否かによって接触端子38の電位が変化する構造が実現されている。
【0019】
図4に、検出片24の先端と接触端子38を拡大して示す。検出片24の接触端子38と接する下面は、凹型形状をしている。その一方、接触端子38を支持するカバー部材38aの上面は、凸型形状をしており、接触端子38は凸型形状を有するカバー部材38aの上面から突出している。また、接触端子38はバーナヘッド22が正規位置に存在する際にバーナヘッド22が浮き上がらない程度の弾性力を有するバネ39によって支持されている。本実施例のガスコンロ10では、検出片24と接触端子38が上記の構造を有しているので、加熱中の調理容器からの煮こぼれが、検出片24と接触端子38の間に入り込むことが抑制される。これによって、検出片24と接触端子38の間に入り込んだ煮こぼれが、検出片24と接触端子38の間の抵抗を増大させ、バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置されたにも関わらず、検出片24と接触端子38が導通しない事態の発生が抑制される。
【0020】
CPU50は、電位検出端子52を備えている。電位検出端子52は、第1抵抗34と第2抵抗36の間の中間点40に接続されており、中間点40の電位Vmを検出している。CPU50には、第1閾値電位L1と第2閾値電位L2が記憶されている。図5に示すように、第1閾値電位L1と第2閾値電位L2は、電源32の電位V1とグランド電位V2の間に設定されており、第1閾値電位L1は第2閾値電位L2よりも高い電位に設定されている。バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置された場合の中間点40の電位である正常中間電位Vm0は、第1抵抗34の抵抗値R1と第2抵抗36の抵抗値R2と電源32の電位V1とグランド電位V2を用いて次のように表される。
Vm0=V2+(V1−V2)×R2/(R1+R2)
本実施例では、第1閾値電位L1が、電位V1と正常中間電位Vm0の間の電位に設定されている。また、第2閾値電位L2が、正常中間電位Vm0とグランド電位V2の間の電位に設定されている。CPU50は、この2つの閾値電位L1、L2を用いて中間点40の電位Vmを判別し、ガスコンロ10の状態に関する判決結果を出力する。
【0021】
本実施例のガスコンロ10では、図2に示すように、検出用回路30及びCPU50に異常が発生しておらず、かつバーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置されている場合、中間点40の電位Vmが正常中間電位Vm0に設定される。この場合、CPU50は、中間点40の電位Vmが第1閾値電位L1と第2閾値電位L2の間の電位に存在することを判別し、バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置されているとの判断結果を出力する。この場合、ガスコンロ10では、ユーザによる点火作業によって導入路28から導入された混合気体が炎孔23から放出される。それと同時に、コンロバーナ20の周囲に配置された点火プラグ(図示されていない)が作動し、バーナヘッド22の周辺に設けられた炎孔23から均一な炎が放射される。
【0022】
本実施例のガスコンロ10では、バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置されていない場合、中間点40の電位Vmが電源32の電位V1に設定される。CPU50は、中間点40の電位Vmが電位V1と第1閾値電位L1の間の電位に存在する場合に、バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置されていないとの判断結果を出力する。ガスコンロ10は、CPU50が上記の判断結果を出力した場合、ユーザによる点火作業が行われた場合でも、ガスコンロ10はコンロバーナ20に混合気体を導入しないように制御する。また、ガスコンロ10は点火プラグを作動させないように制御する。これによって、ガスコンロ10では、不完全燃焼の発生が確実に抑制される。また、ユーザは、点火作業をしても点火しないことから、バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置されていないことを知ることができる。また、バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置されていないままではコンロバーナ20が点火しないことから、ユーザは、バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置されるように直す作業を必ず実行することとなる。
【0023】
ガスコンロ10では、検出用回路30及びCPU50の故障等、装置異常が発生する場合がある。異常の例としては、図6に示すように、電源32と第1抵抗34の間の断線が起こりえる。この場合、中間点40の電位Vmはグランド電位V2に設定される。また、CPU50の電位検出端子52が故障し、中間点40の電位Vmがグランド電位V2に設定されることもある。本実施例のガスコンロ10では、CPU50が、中間点40の電位Vmが第2閾値電位L2と電位V2の間の電位にあることを検出した場合、装置異常が発生したとの判断結果を出力する。ガスコンロ10は、CPU50が上記の判断結果を出力した場合、ユーザによる点火作業が行われた場合でも、ガスコンロ10はコンロバーナ20に混合気体を導入しないように制御する。また、ガスコンロ10は点火プラグを作動させないように制御する。さらに、ガスコンロ10は内在している報知手段(図示されていない)を用いて、ユーザに装置異常の発生を報知する。ユーザは、点火作業をしても点火しないこと、及びガスコンロ10からの報知によって、ガスコンロ10に装置異常が発生したことを確実に知ることができる。
【0024】
本実施例のガスコンロ10では、従来ではバーナヘッド22の誤セットを検出するのに用いられていた検出用回路30及びCPU50を用いてガスコンロ10の装置異常を検出することができる。つまり、バーナヘッド22の誤セット及び装置異常という異なる2つの異常な状態を検出用回路30及びCPU50を用いて検出することができる。これにより、ガスコンロ10の装置異常を検出するための手段をガスコンロ10に新たに設ける必要がない。
【実施例2】
【0025】
第2実施例に係るガスコンロ110について、図7、図8を参照して説明する。図8に示すように、第2実施例のガスコンロ110は、CPU150が第1閾値電位L1と第2閾値電位L2の間に設定されている第3閾値電位L3を備えている点で、第1実施例のガスコンロ10と異なる。CPU50は、この3つの閾値電位L1、L2、L3を用いて中間点40の電位Vmを判別し、ガスコンロ10の状態に関する判定結果を出力する。なお、その他の構成は、第1実施例と同じであるため、同じ符号を用いて示し、その説明は省略する。
【0026】
表1に、未使用のガスバーナと一般的な環境で8年使用したガスバーナにおけるTCとCO%の試験結果を示す。「TC性能」とは、立消え安全装置の点火時の開弁時間であり、ユーザがガスコンロを点火動作してからバルブが開弁するまでに必要とされる時間を意味する。「CO%」とは、ガスコンロのバーナから排出される排気ガスに含まれる一酸化炭素の割合を意味する。ガスコンロ110では、使用時の煮こぼれ等によりバーナヘッド22とバーナボディ26の間に汚れが堆積することがある。バーナヘッド22とバーナボディ26の間に汚れが堆積すると、表1に示すように、TCが延長される。TCが延長されると、ガスコンロ110が点火するまでに放出される混合気体の量が増大する。また、バーナヘッド22とバーナボディ26の間に汚れが堆積すると、表1に示すように、CO%が増加する。ガスコンロ110では、バーナヘッド22とバーナボディ26の間の汚れを除去するようにユーザに報知することが求められる。
【0027】
【表1】

【0028】
本実施例のガスコンロ110では、CPUが第1閾値電位L1と第2閾値電位L2の間に設定されており、かつ正常中間電位Vm0よりも高い電位に設定されている第3閾値電位L3を備えている。
ガスコンロ110では、煮こばれ等によりバーナヘッド22とバーナボディ26の間に汚れが堆積すると、バーナヘッド22とバーナボディ26の間の抵抗が増大する。これによって、中間点40の電位Vmが増大し、第3閾値電位を超えて上昇する。本実施例のガスコンロ110では、CPU150が、中間点40の電位Vmが第1閾値電位L1と第3閾値電位L3の間の電位にあることを検出した場合、バーナヘッド22とバーナボディ26に堆積した汚れが基準量以上達したとの判断結果を出力する。ガスコンロ110は、内在している報知手段を用いてユーザにバーナヘッド22とバーナボディ26の清掃を促す。ユーザは、ガスコンロ110からの報知によって、バーナヘッド22とバーナボディ26に堆積した汚れが基準量以上達したことを確実に知ることができる。ここで、「基準量」とは、上記したTCやCO%によるユーザへの健康被害を考慮して決定される量を意味する。
【0029】
(その他の実施例)
上記各実施例では、検出用回路30において第1抵抗34と直列に接続される第2抵抗36が設けられている。しかしながら、第2抵抗36として機能するものが存在する場合には、必ずしも第2抵抗36を設ける必要はない。例えば、バーナヘッド22またはバーナボディ26の内部に抵抗成分が存在する場合には、その抵抗成分によって第2抵抗36を構成してもよい。また、バーナヘッド22とバーナボディ26との間の接触抵抗、あるいは検出片24と接触端子38の間の接触抵抗が存在する場合には、その抵抗成分によって第2抵抗36を構成してもよい。
【0030】
また、上記各実施例では、バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置されている場合、接触端子38はバーナヘッド22及びバーナボディ26を介してグランド電位V2に接続される。しかしながら、接触端子38はバーナヘッド22及びバーナボディ26を介さずにグランド電位V2に接続されてもよい。例えば、バーナヘッド22が正規位置に存在する場合に、検出片24の先端が達する位置にスイッチを設けておき、バーナヘッド22がバーナボディ26に正規位相で載置された場合に、このスイッチが接触端子と第2電位とを接続するように構成してもよい。上記のように構成しても、バーナヘッド22の誤セット及び装置異常という異なる2つの異常な状態を検出用回路30及びCPU50を用いて検出することができる。その一方、この方法では、バーナヘッド22とバーナボディ26の間の抵抗を検出することができず、バーナヘッド22とバーナボディ26の間に堆積する汚れを検出することはできない。バーナヘッド22とバーナボディ26の間に堆積する汚れを検出する必要がある場合には、接触端子38がバーナヘッド22及びバーナボディ26を介してグランド電位V2に接続されることが好ましい。
【0031】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0032】
10、110 ガスコンロ
20 コンロバーナ
22 バーナヘッド
23 炎孔
24 検出片
26 バーナボディ
28 導入路
30 検出用回路
32 電源
34 第1抵抗
36 第2抵抗
38 接触端子
40 中間点
50、150 CPU
52、152 電位検出端子
L1 第1閾値電位
L2 第2閾値電位
L3 第3閾値電位
Vm0 正常中間電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナボディと、
バーナボディ上に着脱自在に載置されるバーナヘッドと、
第1電位点と第1抵抗と第2抵抗と接触端子をその順に接続している検出用回路と、
第1抵抗と第2抵抗の中間点の電位を検出し、検出した電圧によって判別結果を出力する判別回路を備えており、
前記接触端子は、バーナボディにバーナヘッドが正しく載置されたときに第2電位点に接続される関係に置かれており、
前記判別回路は、第1電位と第2電位の間に設定されている第1閾値電位と、第1閾値電位と第2電位の間に設定されている第2閾値電位を用い、
(1)前記中間点の電位が、第1電位と第1閾値電位の間の電位である場合には、バーナヘッドがバーナボディ上に正しく載置されていないとする判断結果を出力し、
(2)前記中間点の電位が、第1閾値電位と第2閾値電位の間の電位である場合には、装置異常が発生しておらず、かつバーナヘッドがバーナボディ上に正しく載置されているとする判断結果を出力し、
(3)前記中間点の電位が、第2閾値電位と第2電位の間の電位である場合には、装置異常が発生しているとする判断結果を出力することを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
バーナボディは導電性であるとともに第2電位点に接続されており、
バーナヘッドは導電性であり、
前記接触端子は、バーナヘッドがバーナボディに正しく載置されたときにバーナヘッドと接触する位置に配置されており、バーナヘッドとバーナボディを介して第2電位点に接続されることを特徴とする請求項1に記載のガスコンロ。
【請求項3】
判別回路は、第1閾値電位と第2閾値電位の間に設定されている第3閾値電位を用い、(4)前記中間点の電位が、第1閾値電位と第3閾値電位の間の電位である場合には、バーナヘッドとバーナボディの間に基準量以上の汚れが堆積したとする判断結果を出力することを特徴とする請求項1または2に記載のガスコンロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−127806(P2011−127806A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285092(P2009−285092)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】