説明

ガスセンサ

【課題】特定の取付穴に取り付け可能で、かつ、応答性を高くできるガスセンサを提供すること。
【解決手段】ガスセンサ100は、感ガス膜111を有するガスセンサ素子110と、ガスセンサ素子110を支持するセンサ支持体120と、これらを収容するケース150と、ケース150に設けられたガス導入口151を閉塞するフィルタ膜160とを備える。また、ガスセンサ100は、外部の取付穴TTCに取り付けられるセンサ取付部180であって、環境気体を導入するための開口部181を有するセンサ取付部180を備える。更に、ガスセンサ100は、このセンサ取付部180の開口部181からフィルタ膜160に至る気体誘導路YRを構成する気体誘導部190を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境気体中の特定ガスの濃度を検知するガスセンサ素子を有するガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、環境気体中の特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサ素子を有するガスセンサが知られている。例えば、特許文献1〜3にこのようなガスセンサが開示されている。これらのガスセンサは、自動車に装着され、外気中あるいは内気中に存在する特定ガス成分の濃度を検知し、車内に外気を取り入れる外気ダクトと、内気を循環させる内気ダクトとを切り替えるフラップの自動制御などに利用される。
【0003】
【特許文献1】特開平9−184817号公報
【特許文献2】特開2002−318216号公報
【特許文献3】特開2006−58098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、上記のようなガスセンサとして、図4に概略を示すガスセンサ900を発案した。このガスセンサ900は、ガスセンサ素子910、センサ支持体920、配線基板930、ピン940、ケース950、フィルタ膜960,コネクタ部970等から構成されている。
ガスセンサ素子910は、貫通孔を有するSi基板と、この貫通孔の一端側の開口を塞ぐようにSi基板上に形成された薄膜状の支持膜とを有するダイアフラムの表面に、感ガス膜911を形成した構成をなしている。このガスセンサ素子910は、センサ支持体920のキャビティ(凹部)921内に載置されている。ガスセンサ素子910を搭載したセンサ支持体920は、板状をなす配線基板930の所定位置に固定されている。また、この配線基板930には、入出力端子としてのピン940,940,…が複数立設されている。そして、これらは、外形が直方体形状をなすケース950内に収容されている。
【0005】
ケース950の表面部953(図4中、上方)には、ガス(環境気体)をケース外部からケース内部に導入するガス導入口951が形成されている。このガス導入口951は、通気性及び撥水性を有するフィルタ膜960により閉塞されている。また、ガスセンサ900には、ケース950から突出し、外部との接続に利用されるコネクタ部970が設けられている。このコネクタ部970の内側には、上記のピン940,940,…が配置されている。
【0006】
ここで、このガスセンサ900を、図5に示すような形態をなす外部の取付部TTの取付穴TTCに取り付ける場合を考える。なお、矢印は、ガス(環境気体)の流通方向を示している。上記ガスセンサ900の形態と取付部TTの形態を考慮すると、図6に示すように、ガスセンサ900と取付部TTとが互いに干渉してしまい、ガスセンサ900を取付部TT(取付穴TTC)に取り付けることができない。仮に、コネクタ部970の突出方向を反対側(図6中、右側)に設計変更したとしても、やはりガスセンサ900と取付部TTとが互いに干渉してしまい、取り付けが不可能である。
【0007】
そこで、本発明者は、次に図7に示す形態のガスセンサ800を発案した。このガスセンサ800も、上記ガスセンサ900と同様に、ガスセンサ素子810、センサ支持体820、配線基板830、ピン840、ケース850、フィルタ膜860、コネクタ部870等から構成されている。しかしながら、ケース850の形態やフィルタ膜860の取り付け位置などが、上記ガスセンサ900と異なる。上記ガスセンサ900では、ケース950の表面部953にガス導入口951を設けていたのに対し、このガスセンサ800では、ケース850の側面部855にガス導入口851を設けている。そしてこれに伴い、ガス導入口851を閉塞するフィルタ膜860も、ケース850の側面部855に取り付けられている。
【0008】
このようなガスセンサ800は、図7に示すように、取付部TTの取付穴TTCに取り付けることが可能であり、このように取り付けることにより、ガス(環境気体)中の特定ガスの濃度を検知することができる。
しかしながら、このガスセンサ800では、上記ガスセンサ900に比して、フィルタ膜860からガスセンサ素子810の感ガス膜811までの距離がどうしても長くなる。上記ガスセンサ900のように、フィルタ膜960と感ガス膜911とが対向して平行に配置されていないからである。このため、フィルタ膜860を通過したガス(環境気体)が感ガス膜811まで拡散するのに時間が掛かるので、ガスセンサ800の応答性が低くなりがちである。
【0009】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、特定の取付穴に取り付け可能で、かつ、応答性を高くできるガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
その解決手段は、環境気体中の特定ガスの濃度を検知する感ガス膜を有するガスセンサ素子と、配線基板と、前記ガスセンサ素子と前記配線基板との間に介在して、前記ガスセンサ素子を支持するセンサ支持体と、前記ガスセンサ素子、前記配線基板及び前記センサ支持体を収容するケースであって、前記環境気体をケース外部からケース内部に導入するガス導入口を有するケースと、前記ガス導入口を閉塞するフィルタ膜と、を備えるガスセンサであって、外部の取付穴に取り付けられるセンサ取付部であって、前記取付穴から前記環境気体を導入するための開口部を有するセンサ取付部を備え、前記フィルタ膜は、その厚み方向が前記センサ取付部の前記開口部の軸線方向と直交する姿勢に配置されてなり、前記ガスセンサ素子の前記感ガス膜が、前記フィルタ膜に対向して平行に配置されてなり、かつ、前記環境気体が前記フィルタ膜を通過してから前記感ガス膜に達するまでの通気最短距離が、前記感ガス膜の厚み方向に平面視したときの、前記感ガス膜の外周縁から前記センサ支持体の外周縁までの周縁最短距離よりも小さくされてなり、前記センサ取付部の前記開口部から前記フィルタ膜に至る気体誘導路を構成する気体誘導部を備えるガスセンサである。
【0011】
本発明によれば、ガスセンサ素子の感ガス膜が、フィルタ膜に対向して平行に配置されており、かつ、環境気体がフィルタ膜を通過してから感ガス膜に達するまでの通気最短距離が、感ガス膜の厚み方向に平面視したときの、感ガス膜の外周縁からセンサ支持体の外周縁までの周縁最短距離よりも小さくされている。つまり、フィルタ膜から感ガス膜までの距離(通気最短距離)が非常に短くされている。このため、環境気体は、フィルタ膜通過後、拡散してすぐに感ガス膜に至るので、ガスセンサの応答性を高くできる。
その上、本発明のガスセンサは、センサ取付部の開口部からフィルタ膜に至る気体誘導路を構成する気体誘導部を備えるので、外部の取付穴から導入された環境気体を、センサ取付部の開口部からフィルタ膜まで速やかに導くことができる。従って、ガスセンサの応答性を更に向上させることができる。
【0012】
なお、「ガスセンサ素子」は、上記のように感ガス膜を有するものであればよく、その用途などに応じて、その形態や構造、大きさ、材質等を適宜変更できる。例えば、貫通孔を有するSi基板と、この貫通孔の一端側の開口を塞ぐようにSi基板上に形成された薄膜状の支持膜とを有するダイアフラムの表面に、感ガス膜を形成したものなどが挙げられる。また、ガスセンサ素子の内部にヒータなどを形成してもよい。
「センサ支持体」は、上記のようにガスセンサ素子を支持するものであればよく、ガスセンサ素子の形状等を考慮して、その形態や大きさ、材質等を適宜変更できる。例えば、外形が直方体形状をなし、ガスセンサ素子を収容するキャビティ(凹部)が形成されたものや(金属)管パッケージなどが挙げられる。更に、そのガスセンサ素子を収容したキャビティ等を、通気孔を有する保護カバーなどで覆ってもよい。
【0013】
「ケース」は、上記の要件を満たすものであればよく、外部の取付部の形状などを考慮して、その形態や大きさ、材質等は適宜変更できる。また、ケースに設けるガス導入口も、通気性等を考慮して、その形状や大きさを適宜変更できる。
「フィルタ膜」は、ケースに設けられたガス導入口を閉塞するものであればよく、その通気性や撥水性、防塵性等を考慮して、その構造や材質、大きさ(厚み)等を適宜変更できる。
「センサ取付部」は、上記の要件を満たすものであればよく、外部の取付穴の形状等を考慮して、その形態や大きさ等を適宜変更できる。例えば、センサ取付部をクリップ式により取付穴に取り付ける形態とすることができる。
【0014】
「通気最短距離」とは、上記のように、環境気体がフィルタ膜を通過してから感ガス膜に達するまでの最短距離を指す。フィルタ膜と感ガス膜とは対向して平行に配置されているので、ガスセンサ素子が保護カバー等で覆われていない場合は、フィルタ膜と感ガス膜との間隙が通気最短距離に相当する。一方、ガスセンサ素子が保護カバー等で覆われている場合には、フィルタ膜から保護カバー等の通気孔を経由して感ガス膜に至るまでの最短の距離が通気最短距離に相当する。
「気体誘導部」は、上記の要件を満たすものであればよく、気体誘導路の形態等を考慮して、その形態や材質等を適宜変更できる。また、気体誘導部は、ケースと一体的に成形されたものでも、ケースと別体に成形されたものでもよい。
【0015】
更に、上記のガスセンサであって、前記配線基板は、入出力端子としてのピンが立設されてなり、前記ケースから突出する共に、前記ピンを内側に配置し、外部との接続に利用されるコネクタ部を備え、前記コネクタ部と気体誘導部とが、前記配線基板に対して同じ側に設けられてなるガスセンサとすると良い。
【0016】
本発明によれば、コネクタ部と気体誘導路とが、配線基板に対して同じ側に設けられている。このようにすれば、コネクタ部と気体誘導路とを配線基板に対して互いに異なる側に配設するよりも、ガスセンサを低背化できる。従って、外部の取付部のスペースが小さくても、容易に取り付けやすい。
【0017】
更に、上記のいずれかに記載のガスセンサであって、前記気体誘導部は、その内壁面のうち少なくとも一部に、前記フィルタ膜に近づく方向に滑らかに曲げられてなる屈曲部を有するガスセンサとすると良い。
【0018】
本発明によれば、気体誘導部は、その内壁面の少なくとも一部に、フィルタ膜に近づく方向に滑らかに曲げられた屈曲部を有する。このような屈曲部を設けることで、環境気体が屈曲部に沿ってスムーズに移動できるので、環境気体をフィルタ膜にスムーズに導入できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に本実施形態に係るガスセンサ100の概略を示す。また、図2にこのガスセンサ100を外部の取付穴TTCに取り付けた状態を示す。更に、図3にガスセンサ100のうちのガスセンサ素子110近傍の拡大図を示す。このガスセンサ100は、ガスセンサ素子110、センサ支持体120、配線基板130、ピン140、ケース150、フィルタ膜160、コネクタ部170、センサ取付部180、気体誘導部190等から構成されている。
【0020】
このうちガスセンサ素子110は、図3に示すように、貫通孔113kを有するSi基板113と、この貫通孔113kの一端側の開口(図3中、上側の開口)を塞ぐようにSi基板113上に形成された薄膜状の支持膜115とを有するダイアフラムの表面に、感ガス膜111を形成した構成をなしている。感ガス膜111の表面には、触媒としてAu粒子が分散して形成されており、ガス(環境気体)中の特定ガス(具体的には、NOx)の濃度変化に応じて感ガス膜111の抵抗値が変化する性質を有する。また、ガスセンサ素子110には、感ガス膜111と電気的に接続される一対の検知電極(図示しない)や、感ガス膜111を活性化させるためのヒータ(図示しない)などが設けられている。また、ガスセンサ素子110の外部には、上記の検知電極やヒータと電気的に接続し、次述するセンサ支持体120との電気的な接続に利用される複数の端子パッド(図示しない)などが形成されている。
【0021】
センサ支持体120は、直方体形状をなし、表面120a側(図1〜図3中、上方の面側)に開口する大きなキャビティ(凹部)121が設けられている(図3参照)。センサ支持体120は、複数のセラミック層が積層されてなり、その内部や外部には、配線や端子パッド(図示しない)が複数形成されている。センサ支持体120のキャビティ121内には、上記ガスセンサ素子110が収容され、ガスセンサ素子110の端子パッドとセンサ支持体の端子パッドとが、図示しないボンディングワイヤにより電気的に接続されている。そして、このキャビティ121上(センサ支持体120の表面120a上)には、キャビティ121の外部と内部の間を連通させる複数の通気孔125cを有する金属製の保護カバー125が取り付けられている。
【0022】
配線基板130は、表面130aと裏面130bとを有する板状をなす(図1参照)。この配線基板130には、その内部や表面130a及び裏面130bに、図示しない配線や端子パッドが複数設けられている。そして、配線基板130の表面130a上の所定位置には、ガスセンサ素子110を収容したセンサ支持体120が固着され、センサ支持体120の端子パッドと配線基板130の端子パッドとが電気的に接続されている。また、この配線基板130の所定位置には、入出力端子としてのピン140,140,…が複数立設されている。
【0023】
ケース150は、表面部150aと裏面部150bと4つの側面部150cを有し、外形が直方体形状をなす(図1参照)。ケース150内には、上述のガスセンサ素子110、センサ支持体120、配線基板130等が収容されている。ケース150の表面部150aの所定位置には、ガス(環境気体)をケース外部からケース内部に導入するためのガス導入口151が形成されている。このガス導入口151は、ケース150に固着されたフィルタ膜160により閉塞されている(図3も参照)。これにより、ガスをケース内部に導入する一方、水や異物がケース内部に進入するのを防止する。
【0024】
このフィルタ膜160は、ガスセンサ素子110の感ガス膜111と対向して平行に配置されている(図3参照)。また、このフィルタ膜160は、図1に示すように、その厚み方向(図中、上下方向)が、後述するセンサ取付部180の開口部181の軸線AX方向と直交する姿勢に配置されている。
そして、ガスがフィルタ膜160を通過してから、保護カバー125の通気孔125cを通じて感ガス膜111に達するまでの通気最短距離TKは、1.8mmとされている。一方、感ガス膜111の厚み方向(図3中、上下方向)に平面視したときの、感ガス膜111の外周縁111sからセンサ支持体120の外周縁120sまでの周縁最短距離SKは、2.0mmとされている。従って、通気最短距離TKは、周縁最短距離SKよりも小さくされている。
【0025】
また、ガスセンサ100には、ケース150から筒状に突出し、外部との接続に利用されるコネクタ部170がケース150と一体的に形成されている。このコネクタ部170の内側には、上記のピン140,140,…が配置されている。このコネクタ部170は、配線基板130の表面130a側に設けられている。
【0026】
ガスセンサ100は、外部の取付部TTの取付穴TTCにクリップ式により取り付けられる筒状のセンサ取付部180を有する(図1及び図2参照)。このセンサ取付部180は、外部の取付穴TTCからガスを導入するための開口部181を有する。具体的には、このセンサ取付部180の先端(図中、左側)の上端には、上方に突出する上側突起部183が設けられ、センサ取付部180の先端の下端には、下方に突出する下側突起部184が設けられている。また、センサ取付部180の基端(図中、右側)には、径方向外側に拡がる円盤状延出部185が設けられている。更に、この円盤状延出部185の上端には、上方に延びる上方延出部186が設けられ、この上方延出部186の上端には、先端側(図中、左側)に向かって突出する係合部187が設けられている。
このようなセンサ取付部180を取付部TTの取付穴TTCに対して回り止めすると、図2に示すように、センサ取付部180の上側突起部183及び下側突起部184と円盤状延出部185及び上方延出部186との間に、取付部TTのうち取付穴TTCの周縁部分が狭持される。また、センサ取付部180の係合部187が、取付部TTの所定位置に設けられた凹部TTHに係合する。これにより、ガスセンサ100が取付部TTに固定される。
【0027】
また、ガスセンサ100は、図1に示すように、センサ取付部180の開口部181からフィルタ膜160に至る気体誘導路YRを構成する気体誘導部190を有する。この気体誘導部190は、ケース150の表面部150aの一部と、この上に配設された半円筒状のトンネル部191とから構成されている。このトンネル部191は、ケース150及びセンサ取付部180と一体的に形成されている。
【0028】
トンネル部191は、ケース150の表面部150aに沿って(図1及び図2中、左右方向に)設けられている。そして、トンネル部191の内壁面191nのうち、センサ取付部180と反対側の端部は、フィルタ膜160に近づく方向に滑らかに曲げられてなる屈曲部193とされている。このような屈曲部193を設けることで、ガスが屈曲部193に沿ってスムーズに移動できるので、ガスをフィルタ膜160までスムーズに導入できる。
【0029】
気体誘導部190は、配線基板130の表面130a側に形成されている。従って、気体誘導部190と前述のコネクタ部170とは、配線基板130に対して同じ側に設けられていることになる。このような形態とすることにより、コネクタ部170と気体誘導路190とを配線基板130に対して互いに異なる側に配設するよりも、ガスセンサ100を低背化できる。
【0030】
以上で説明したように、本実施形態のガスセンサ100は、ガスセンサ素子110の感ガス膜111(詳細には感ガス膜111の表面)が、フィルタ膜160(詳細はフィルタ膜160の裏面)に対向して平行に配置されており、かつ、ガスがフィルタ膜160を通過してから感ガス膜111に達するまでの通気最短距離TKが、感ガス膜111の厚み方向に平面視したときの、感ガス膜111の外周縁111sからセンサ支持体120の外周縁120sまでの周縁最短距離SKよりも小さくされている。つまり、フィルタ膜160から感ガス膜111までの距離(通気最短距離TK)が非常に短くされている。このため、ガスは、フィルタ膜160を通過した後、拡散してすぐに感ガス膜111に至るので、ガスセンサ100の応答性を高くできる。
【0031】
その上、ガスセンサ100は、センサ取付部180の開口部181からフィルタ膜160に至る気体誘導路YRを構成する気体誘導部190を備えるので、外部の取付穴TTCから導入されたガスを、センサ取付部180の開口部181からフィルタ膜160まで速やかに導くことができる。従って、ガスセンサ100の応答性を更に向上させることができる。
【0032】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、センサ支持体120に1つのガスセンサ素子110を収容した形態を示したが、センサ支持体に複数のガスセンサ素子を収容するようにしてもよい。なお、この場合には、各ガスセンサ素子を対象としたときに、上記通気最短距離TKが上記周縁最短距離SKよりもそれぞれ小さくなる形態でガスセンサを構成する必要がある。
また、上記実施形態では、ガスセンサ素子110として、NOxの濃度変化に応じて抵抗値が変化する感ガス膜111を有するものを例示したが、感ガス膜はこれに限定されず、HC,CO等の還元性ガスの濃度変化に応じて抵抗値が変化する感ガス膜を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態に係るガスセンサの概略を示す断面図である。
【図2】実施形態に係るガスセンサを外部の取付穴に取り付けた状態を示す説明図である。
【図3】実施形態に係るガスセンサのうち、ガスセンサ素子近傍の概略を示す部分断面図である。
【図4】参考形態に係るガスセンサの概略を示す断面図である。
【図5】参考形態に係り、外部の取付穴等を示す説明図である。
【図6】参考形態に係るガスセンサを外部の取付穴に取り付ける場合を説明する説明図である。
【図7】参考形態に係る他のガスセンサを外部の取付穴に取り付けた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
100 ガスセンサ
110 ガスセンサ素子
111 感ガス膜
111s 周縁
120 センサ支持体
120s 周縁
130 配線基板
140 ピン
150 ケース
151 ガス導入口
160 フィルタ膜
170 コネクタ部
180 センサ取付部
181 開口部
190 気体誘導部
191 トンネル部
191n 内壁面
193 屈曲部
AX 軸線
TK 通気最短距離
SK 周縁最短距離
YR 気体誘導路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境気体中の特定ガスの濃度を検知する感ガス膜を有するガスセンサ素子と、
配線基板と、
前記ガスセンサ素子と前記配線基板との間に介在して、前記ガスセンサ素子を支持するセンサ支持体と、
前記ガスセンサ素子、前記配線基板及び前記センサ支持体を収容するケースであって、前記環境気体をケース外部からケース内部に導入するガス導入口を有するケースと、
前記ガス導入口を閉塞するフィルタ膜と、
を備えるガスセンサであって、
外部の取付穴に取り付けられるセンサ取付部であって、前記取付穴から前記環境気体を導入するための開口部を有するセンサ取付部を備え、
前記フィルタ膜は、その厚み方向が前記センサ取付部の前記開口部の軸線方向と直交する姿勢に配置されてなり、
前記ガスセンサ素子の前記感ガス膜が、前記フィルタ膜に対向して平行に配置されてなり、かつ、前記環境気体が前記フィルタ膜を通過してから前記感ガス膜に達するまでの通気最短距離が、前記感ガス膜の厚み方向に平面視したときの、前記感ガス膜の外周縁から前記センサ支持体の外周縁までの周縁最短距離よりも小さくされてなり、
前記センサ取付部の前記開口部から前記フィルタ膜に至る気体誘導路を構成する気体誘導部を備える
ガスセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスセンサであって、
前記配線基板は、入出力端子としてのピンが立設されてなり、
前記ケースから突出する共に、前記ピンを内側に配置し、外部との接続に利用されるコネクタ部を備え、
前記コネクタ部と気体誘導部とが、前記配線基板に対して同じ側に設けられてなる
ガスセンサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガスセンサであって、
前記気体誘導部は、その内壁面のうち少なくとも一部に、前記フィルタ膜に近づく方向に滑らかに曲げられてなる屈曲部を有する
ガスセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−51627(P2008−51627A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227473(P2006−227473)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】