説明

ガスタービンエンジンおよびこれに配設される汚れ分離装置

【課題】径方向外側空気から汚れを分離して、ガスタービンエンジンの種々の部品に送られる空気を清浄する。
【解決手段】径方向外側冷却空気流26がガスタービンエンジン120に供給される。径方向外側冷却空気流26の経路内に汚れ分離装置130が設けられ、これは汚れや他の不純物を捕集するための空間133を画定する径方向外側脚部134を有する。汚れ分離装置130の径方向内側脚部135は、ガスタービンエンジン120内の種々の部品を冷却するように内側脚部135を通して下流に空気を流すことができる空気流開口通路136を含む。ハウジング140内でかつ汚れ分離装置130の外側脚部134付近の領域内に孔142が設けられる。この孔142は、分離された汚れを清浄装置150が定期的に除去するためのアクセスを与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はガスタービンエンジン部品のために径方向外側冷却空気の供給通路に設けられた汚れ分離装置であって、多くの汚れを含んだ空気を下流のガスタービン部品に向かって流さない装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは極度に苛酷な環境で運転する多数の部品を組み込んでいる。一例として、タービン部は静止ベーンと回転ベーンとシールを含む。これらの部品は、高温、高応力等の環境に晒される。
【0003】
冷却空気が、ベーン内の冷却通路、ブレード内の冷却通路、および種々のシール内の冷却通路に流れる。この冷却空気は、エンジン内の径方向内側位置と径方向外側位置から供給される。幾つかの理由から、径方向外側位置からの空気はより多くの汚れや不純物を導入しがちである。従来、この汚れは上記部品の小さな冷却通路を詰まらせる要因となっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は径方向外側空気から汚れを分離して、ガスタービンエンジンの種々の部品に送られる空気を清浄することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示された一態様においては、汚れ分離装置が、ガスタービンエンジン用のハウジング内にかつ径方向外側の冷却空気供給流路内に固定される。開示された汚れ分離装置は、概ね中実の外側脚部と大部分が開口している内側脚部とでもって頂点(Vertex)が概ね形成されている。より重い汚れが空気流の径方向に最も外側の位置にきやすいので、中実の外側脚部に向かって移動する。よりきれいな空気が内側脚部の多孔を通過して、ベーン、回転ブレード、ブレード外側空気シール等の部品を冷却するように下流へ移動する。
【0006】
本発明の開示された態様においては、ハウジング内でかつ汚れ分離装置の外側脚部付近の領域内に孔が設けられる。この孔は、分離された汚れを清掃装置が定期的に除去するためのアクセスを与える。
【0007】
本発明の上記および他の特徴は、下記の詳細な説明と下記に簡単な説明が付された添付の図面とから最も良く把握されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1にガスタービンエンジン20の一部が示されている。図示のように、ベーン22と回転ブレード23とブレード外側空気シール27とがガスタービンエンジン内に設けられる。ベーン22、ブレード23、およびシール27のための冷却空気流は、径方向内側の供給源24と径方向外側の供給源26の双方を含む。技術的に知られているように、径方向外側の空気流供給源26の一部が径方向内側(例えば位置30においてベーン22へ向けて)に案内され、径方向外側(位置32においてシール27に向かって下流へ)に案内される。内側の供給源24は、ベーン22の径方向内側面28にある孔(図示せず)を通して移動し、また、ベーン22の径方向外側面29にある孔(図示せず)を通して流路30から移動する。
【0009】
技術的に知られているように、外側通路26の空気は、内側通路24の空気に比べ、より多くの汚れを運んでしまいがちである。この外側通路26の空気は上流側ディフューザから導入されたものである。この点から、遠心力がより重くて汚い空気を径方向外側に押しやる。この冷却空気の汚れは上記部品の冷却通路を詰まらせる可能性がある。
【0010】
本発明は、外側通路26の空気から上記汚れを除去することを主目的とする。
【0011】
この目的を達成するために、本発明のガスタービンエンジン120は図1のガスタービン構造と同様の基本構造を有する。しかしながら、汚れ分離装置130が上記流路26内に挿入される。外側脚部134が概ね中実(剛固)であり、汚れを捕集するための空間133を画定する。内側脚部135が多くの穿孔136を有し、これにより空気流26が該径方向内側脚部135を通り抜け可能になる。汚れ分離装置の頂部161が汚れを外側脚部134へ案内し、空気を内側脚部135へ案内する。複数のボルト138,139がこの汚れ分離装置130をハウジング構造140へ固定する。
【0012】
空気流24は、ベーンの径方向内側面28へ、そして回転ブレード23およびシール27へ向かって下流に流れ続ける。この時点でもはや、外側空気流26は従来含んでいた不純物の大半を除去している。従って、位置230でのベーン22の外周29へ移動する空気はより清められ、また、さらに下流に向かう空気132は、一層清浄化されるであろう。
【0013】
図3に示すように、ハウジング140の孔142には真空装置150用の接続孔が設けられ、汚れや他の不純物152を空間133から除去する。この孔142は清掃されないときには図2に示されるようにプラグ式に塞がっている。
【0014】
従って、本発明は、径方向外側の空気流に含まれる大量の汚れを、空気流が冷却チャンバに到達する前に除去する簡単な方法を提供する。従来は、上記汚れは、より小さな冷却通路の幾つかを詰まらせていた。従って、本発明はこのような詰まりを減少しあるいは除去するといった効果を奏する。
【0015】
本発明の好適な態様を開示したが、当該技術の分野における通常の知識を有する者が本発明の範囲内に属する幾つかの改良を認識するであろう。こうした理由により、本発明の真の範囲や内容を定めるにあたっては添付の特許請求の範囲を検討すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のガスタービンエンジンの一部を示す。
【図2】本発明の汚れ分離装置を組み込んだガスタービンエンジンの一部を示す。
【図3】本発明に係るガスタービンエンジンの清掃を示す。
【符号の説明】
【0017】
22…ベーン
23…回転ブレード
24…径方向内側空気流
26…径方向外側空気流
28…径方向内側面
120…ガスタービンエンジン
130…汚れ分離装置
133…空間
134…外側脚部
135…内側脚部
136…穿孔
138,139…ボルト
140…ハウジング構造
142…孔
150…真空装置
152…不純物
161…頂部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止ベーンと回転ロータとを取り囲むハウジングと、
上記静止ベーンと上記回転ロータとが設けられ、かつ、上記静止ベーンおよび上記回転ロータの少なくとも1つに、上記ハウジングの径方向外側位置に隣接した位置から径方向外側冷却空気流が供給されるところのタービン部と、
上記径方向外側冷却空気流の流路に設けられた汚れ分離装置であって、上記径方向外側冷却空気流から不純物を除去することで、上記汚れ分離装置よりも下流にかつ上記静止ベーンおよび上記回転ロータの上記少なくとも1つへ流れる空気がより少ない不純物を運ぶように動作可能な汚れ分離装置と、
を備えたガスタービンエンジン。
【請求項2】
上記汚れ分離装置は不純物を捕集する空間を画定するために概ね中実の径方向外側脚部と、空気をさらに下流へ流すことを可能にする開口空間を含んだ径方向内側脚部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項3】
清掃装置が上記空間と連通し、捕集された不純物を除去できるように上記ハウジングに孔が形成されることを特徴とする請求項2に記載のガスタービンエンジン。
【請求項4】
径方向内側の冷却空気流もまた上記静止ベーンおよび上記回転ロータの少なくとも1つに流れることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項5】
上記回転ロータ付近にブレード外側空気シールが設けられ、上記径方向外側冷却流が該ブレード外側空気シールを冷却するように通過することを特徴とする請求項1に記載に記載のガスタービンエンジン。
【請求項6】
複数のボルトが上記汚れ分離装置を上記ガスタービンエンジン内に固定することを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項7】
径方向外側脚部と径方向内側脚部とを含んだ汚れ分離装置本体を備え、
上記径方向外側脚部は上記径方向内側脚部よりも小さな開口空間を有し、上記径方向内側脚部は上記外側脚部が汚れを捕集できるように、複数の開口空間を有し、上記径方向内側脚部は上記開口空間への空気流の通過を許容することを特徴とする、ガスタービンエンジンに配設される汚れ分離装置。
【請求項8】
上記径方向外側脚部は概ね中実であることを特徴とする請求項7に記載の汚れ分離装置。
【請求項9】
静止ベーンと回転ロータとを取り囲むハウジングと、
上記静止ベーンと上記回転ロータとが設けられ、該静止ベーンには上記ハウジングの径方向外側位置付近の位置から径方向外側空気流が供給されるところのタービン部と、
上記径方向外側冷却空気流の流路に設けられた汚れ分離装置であって、上記径方向外側冷却空気流から不純物を除去することで、上記汚れ分離装置よりも下流にかつ上記静止ベーンに向かって流れる空気がより少ない不純物を運ぶように動作可能であり、かつ、不純物を捕集するための空間を画定する径方向外側脚部と、上記内側脚部を通して空気を下流へ流す開口空間を含んだ径方向内側脚部と、を有した汚れ分離装置と、
上記回転ロータ付近に設けられたブレード外側空気シールであって、上記ブレード外側冷却空気流が該ブレード外側空気シールを冷却するように通過するところのブレード外側空気シールと、
を備えたガスタービンエンジン。
【請求項10】
清掃装置が上記空間と連通して捕集された不純物を除去するように上記ハウジングに孔が形成されていることを特徴とする請求項9に記載のガスタービンエンジン。
【請求項11】
上記静止ベーンへも径方向内側冷却空気流が通過することを特徴とする請求項9に記載のガスタービンエンジン。
【請求項12】
上記径方向外側脚部は概ね中実であることを特徴とする請求項9に記載のガスタービンエンジン。
【請求項13】
複数のボルトが上記汚れ分離装置を上記ガスタービンエンジン内に固定することを特徴とする請求項9に記載のガスタービンエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−64211(P2007−64211A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219112(P2006−219112)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【Fターム(参考)】