説明

ガスディスペンサー

本体(42)と脆弱なステム(44)を有するカプセル(40)から送出装置までガスを放出するためのガスディスペンサー(10)を提供する。ガスディスペンサーは、カプセルの本体を収容するための第1ハウジング部分(15)と、第1ハウジング部分を送出装置に連結するための第2ハウジング部分(20)とを有する。第1ハウジング部分は、第2ハウジング部分によって収容されたカプセルのステムを収容するためのキャビティ(47)を有する。少なくとも1つのハウジング部分が、互いに可動であり、この相対的な動きにより、カプセルに作用するせん断力が生じ、カプセルが破裂してカプセルからガスが放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスディスペンサーに係り、特に、本体と脆弱なステムとを有するタイプのカプセルからガスを放出し、このガスを送出装置へ供給するガスディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
上述したタイプのガスカプセルがヨーロッパ特許第0757202号で記載されたような注射針の薬剤送出装置の分野で知られている。このような装置のカプセルは、そこに収容されているガスを放出するために破裂する。そして、このガスは、患者の皮膚に送り込む1回の投与量の特殊な薬剤の推進剤として作用する。
【0003】
既知の薬剤送出装置に組み込まれているガスディスペンサーは、典型的にはガスカプセルが配置される容積を備えている。この容積は、カプセルの破裂した位置からディスペンサーの放出口までのガスの通過のために生じている。或いは、このガスの通過に加えて、ガスディスペンサーの操作は、カプセルを収容する装置に関するガスカプセルの動きを含み、カプセルの動きの外側の囲いにより、この動きに適合するためにさらなる容積が生じている。
【0004】
医療の用途に関しては、例えばヘリウムガスが格別に高い純度であることが要求されている。このような要求は、患者に投与すべき薬剤の推進剤として働くガスが、患者の皮膚を通過するよりはむしろ患者の皮膚で反射することを確実にするために要求される。
【0005】
他の用途では、例えば工業上の分野において、周囲の空気が推進剤に混入するのを回避することが好ましい。ある環境においては、カプセルは潜在的に可燃性のある混合ガスを収容してもよい。カプセルの内容物が周囲空気の容量で満たされている場合には、供給されるガスの酸化剤のレベルが向上する。このことにより、混合ガスの濃度を変更して混合ガスを可燃域内にもたらすことができ、点火源がある場合には燃焼が起こる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、供給されるガスがカプセル内に準備されたガスの混合物に厳密に反射するのを確実にする十分に低減させた内部容積を有するガスディスペンサーを提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、本体と、脆弱なステムと、を有するカプセルから送出装置までガスを放出するためのガスディスペンサーであって、カプセルの本体を収容するための第1ハウジング部分と、上記第1ハウジング部分によって収容されたカプセルのステムを収容するためのキャビティを有する第2ハウジング部分と、を有し、上記第1ハウジング部分及び上記第2ハウジング部分うちの少なくとも一方のハウジング部分は、他方のハウジング部分に対して可動であり、上記収容されたカプセルに与えるべきせん断力を生じさせることにより、上記カプセルを破裂させて上記カプセルからガスを放出させることを特徴としている。
【0008】
カプセルにせん断力を与えてカプセルを破裂させることにより、カプセル自体の本体が、これを保持するハウジング部分に対して動く必要がない。したがって、カプセルを収容するように設けられた囲いはカプセルの外側の境界とより密接することができ、ガスディスペンサー内の内部容積を最適化することができる。
【0009】
ディスペンサーは、これを送出装置に連結するためのコネクターを備えていてもよい。ガスディスペンサーは、第1ハウジング部分と第2ハウジング部分との間の相対移動時に、収容されたカプセルの本体とステムのそれぞれに対して力を与える第1ハウジング移動止め及び第2ハウジング移動止めを備えていてもよい。
それぞれの力は、収容されたカプセルのそれぞれの部分に対向する方向に与えられ、せん断力がカプセルに与えられる。第1ハウジング移動止めは、収容されたカプセルの本体を第1ハウジング部分内に固定する手段によって与えられてもよく、第2ハウジング移動止めは、キャビティを構成する表面によって与えられてもよい。
【0010】
ディスペンサーは、カプセルのステムがせん断力が与えられるとカプセルの残部から完全に切り離されるように構成されている。切り離されたカプセルのステムは、ディスペンサー内に保有される。
【0011】
第2ハウジング部分は、第1ハウジング部分に取り付けられていてもよく、好ましくは、第1ハウジング部分に回転可能に取り付けられているのがよい。ガスカプセルは、第1ハウジング部分と第2ハウジング部分との間で相対的な回転運動が生じるように構成されている場合には、第1ハウジング部分は、第1ハウジング部分と第2ハウジング部分との間の相対回転の軸線から間隔を置いた位置でカプセルを収容するように構成されているのがよい。その結果、カプセルは、第1ハウジング部分と第2ハウジング部分との間の相対回転時にこの軸線を中心に回転する。
【0012】
カプセルから放出されたガスを収容するためのプレナムを設けてもよい。送出装置へのガスの送出を調整するためのバルブをプレナムとガスディスペンサーの放出口との間に設けてもよい。
【0013】
ガスディスペンサーは、複数のカプセルからガスを放出するように構成されていてもよく、第1ハウジング部分は、複数のカプセルの本体部分を収容するように構成され、第2ハウジング部分は、第1ハウジングによって収容されたそれぞれのカプセルのステムをそれぞれ受け入れるための複数のキャビティを有する。第2ハウジング部分のキャビティは、第1ハウジング部分と第2ハウジング部分との間の相対的な動きにより、カプセルが同時に破裂するように構成されている。
変形例として、第2ハウジング部分のキャビティの形態は、第1ハウジング部分と第2ハウジング部分との間の相対的な動きにより、カプセルが順次破裂するように構成されていてもよい。ガスディスペンサーは、少なくとも3つのカプセルを収容するように構成されていてもよい。ガスディスペンサーは手持ち式の装置であってもよい。送出装置はレギュレーター及び/又はマスク、又はノズルを含んでもよい。送出装置は薬剤送出装置であってもよい。ガスディスペンサーは、少なくとも1つのカプセルの本体を収容するための更なる第1ハウジング部分を有していてもよい。
【0014】
多数のガスカプセルを収容することができる装置を提供することによって、ガスディスペンサーは、標準的なガスカプセルを使用することによって非標準的な用途の範囲に役立つように使用することができる。これらの異なる用途により、単一のガスカプセルによって与えられるよりもより大きな圧力の充填、又は多重の射出圧力の充填のいずれも要求される。多重射出装置は、投与量が種々の推進ガスを要求した場合であっても、送出装置から単一の付与で多数の種々の投与量を送出するのに使用することができる。変形例として、同一のガスディスペンサーを多重射出送出装置に連結するか、ディスペンサーを多数の単一射出送出装置に順次連結することによって、同じ投与量を多数の別々の機会に送出してもよい。
【0015】
ガスディスペンサーと、本体部分及び脆弱なステムを有するガスカプセルとの組み合わせを提供してもよい。
【0016】
上述したようなガスディスペンサーを薬剤送出装置と共に提供してもよい。薬剤送出装置への流入口をガスディスペンサーの放出口と一致するように構成し、この流入口と放出口との間をシールしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好ましい特徴を添付図面を参照しながら以下に説明する。
ガスディスペンサーとしては、薬剤の送出装置が代表的である。しかしながら、ここで記載するガスディスペンサーの用途は、また、高純度の供給ガスと特別な用途に対する適合性を要求する産業上の用途において有益であると考えられている。図1に示すガスディスペンサーは第1ハウジング部分15を有し、この第1ハウジング部分15は、第2ハウジング部分20内に部分的に取り付けられている。第2ハウジング部分には、多数の保持部材25が設けられ、これら保持部材25は、より明確には図2に示すように、第1ハウジング部分15に形成された隆起部35を係止し、2つの構成部品が不注意に切り離されるのを防いでいると同時に、ハウジング部分同士の共通軸まわりの相対回転を可能にしている。第2ハウジング部分20は、送出装置(図示せず)に固定的に連結することができるような形態にしてもよいし、取り外し可能に連結することができるような形態にしてもよい。図1では、この連結部30は、送出装置の嵌合部品に形成された差込ピンタイプの取付部品と協働するように形成された凹部が代表的である。変形例として、ガスディスペンサー及び送出装置に嵌合可能なねじ山を設けて、ねじ形態の取り付けを実現させてもよい。
【0018】
第1ハウジング部分15は、1つ又は2つ以上のガスカプセル40を収容するように設計されている。この例では、3つのカプセルが図示されているが、より多くの又はより少ないカプセル40が第1ハウジング部分15によって収容されてもよい。各カプセル40は、本体部分42と、カラー部分43と、脆弱なステム44とを有する。このようなカプセルは、国際公開第04/063633号に記載されているように当該技術において知られている。ポケット45は、図3に示されているように、第1ハウジング部分15内に形成され、それぞれがガスカプセル40の本体部分42を収容して位置決めしている。この例では、ポケット45は共通軸を中心に均等に配置されている。しかしながら、ポケット45の配置の設計は対称的である必要はないが、むしろガスディスペンサー10又は薬剤の送出装置の全体的な設計上の制限によって支配される。プレート48は、第1ハウジング部分15の開口部内に設けられ、カプセル40の本体部分45を第1ハウジング部分15内に固定する。プレート48には、多数の凹部47が設けられているが、これらの凹部47は、ポケット45の数と一致し、共通軸を中心にポケット45の軸と同じ間隔と配置を有する。各凹部47は、カプセル40の1つのカラー部分43を受け入れる。カプセルの本体42のまわりの精密な取付用のポケット45と、カプセルのカラー43のまわりのよりいっそう精密な取付用の凹部47との組み合わせにより、カプセル40が第1ハウジング部分15によって確実に保持されるのを保証する。さらに、プレート48と第1ハウジング部分15との間の界接面と、プレート48とそれぞれのカプセル40のカラーとの間の界接面には、共にシール手段75(図7参照)が設けられている。この例では、シール手段75としてオーリングが用いられている。
【0019】
第2ハウジング部分20には、キャビディ50が設けられている。これらのキャビティ50は、(図4に示されているように)第1ハウジング部分15内のポケット45の配置と対応する配置で共通軸を中心に間隔を置いて配置されている。したがって、第1ハウジング部分15と第2ハウジング部分20が単一の装置10に一緒に組み立てられたときに、第1ハウジング部分15によって保持されているカプセル40のステム44のそれぞれが、各キャビティ50の中に突出する。この例では、キャビティ50は、互いに同様な寸法であり、したがって、第1ハウジング部分15と第2ハウジング部分20の組み立て中の整合性を調整するのに機能する。
【0020】
図2を参照すると、第2ハウジング部分20には、通気孔55が設けられ、この通気孔55は共通軸に沿って形成されているが、第2ハウジング部分20のキャビティ50同士の間の領域に配置してもよい。この通気孔55は、第1ハウジング部分15と嵌合するように設計された第2ハウジング部分20の領域から、薬剤送出装置(図示せず)と嵌合するように設計された第2ハウジング部分20の出口領域まで貫いて延びている。この例では、通気孔55と連通するガスチャンバー60は、第2ハウジング部分20の出口領域に形成されている。しかしながら、チャンバー60が薬剤送出装置の機能のために要求される場合には、チャンバー60を薬剤送出装置自体の内部に配置してもよい。変形例として、送出装置の幾何学形態について、チャンバー60と嵌合する突出物を有するようにして、組み立てた装置内の容積をさらに低減させてもよい。
【0021】
ディスペンサー10の第1ハウジング部分15と第2ハウジング部分20を一旦組み合わせると、第1ハウジング部分15のプレート48の表面と、第2ハウジング部分20の表面との間にプレナム65が形成される。プレナム65は、通気孔55とカプセル40との間に流路をもたらす。プレナム65の機能については、以下に、より詳細に述べる。
【0022】
ガスディスペンサー10の作用では、少なくとも1つのハウジング部分15,20が、共通軸を中心に回転し、互い同士の間で相対的な回転運動が行われる。例えば、第2ハウジング部分20をそれが連結されている薬剤送出装置と共に固定すると、第1ハウジング部分15が第2ハウジング部分20に対して回転した状態となる。第1ハウジング部分15が回転するにつれて、それぞれのカプセル40の本体部分42が、プレート48によって第1ハウジング部分15内に固く保持され、カプセル40は共通軸を中心に回転し、それぞれがプレート48の凹部47の表面と接触するようになる。この表面は、それぞれの収容されたカプセル40の本体に力を与えるための第1ハウジング移動止めをもたらし、カプセル40のカラー43と第1ハウジング部分15との間の動きは制限される。実際には、各凹部47とそこに受け入れられるカプセル40のカラー43との間の嵌め合いは、非常に精密で、ハウジング部分15,20の相対回転下においても凹部47とカラー43との間に実質的に動きが発生しない。
【0023】
さらに、ハウジング部分15,20の間の相対的な回転時には、カプセル40のステム44のそれぞれが、それぞれのキャビティ50の表面と急速に接触するようになる。この表面は、それぞれの収容されたカプセル40のステム44に反発力を与えるための第2ハウジング移動止めとして作用する。この力は、ステム44と第2ハウジング部分20との間の相対的な動きが第2ハウジング移動止めとステム44との間の相互作用によって抑制されるときに生ずる。言い換えれば、ステム44のそれぞれが、一旦それぞれのキャビティ50の表面と係合すると、第2ハウジング部分20に対する第1ハウジング部分15のさらなる動きにより、カプセル40に与えられるべきせん断力が生ずる一方、力は、第1ハウジング移動止めによって第1ハウジング部分15の回転によりプレート48を介してカプセル40のそれぞれのカラー43に伝達され、他方では、ステム44とこれに対応するキャビティ50の第2ハウジング移動止めとの間の接触により、カプセル40のそれぞれのステム44に反発力が与えられる。これらの対向する力、集約すれば、せん断力によりカプセルが破裂し、それぞれのカプセル40のステム44がそれぞれのカプセル40のカラー43から切り離される。こうして、各カプセル40の完全性は破られ、それらに収容されたいかなる圧縮ガスもプレナム65の中に漏出することが可能となる。シーリング手段75は、カプセル40から第1ハウジング部分15のポケット45の中に放出された高い圧縮性流体の進入を抑制する。ガスは通気孔55に沿ってガスチャンバー60の中に運ばれ、そこから薬剤送出装置の中に運ばれる。ステム44がカプセル40の残部から切り離された場合には、それらはキャビティ50内に保持されてもよい。
【0024】
図4に示すように、この例では、キャビティ50は同じ寸法であり、ハウジング部分15,20の間の相対回転と共にステム44はそれぞれの第2ハウジングの移動止めと一斉に係合する。その結果として、カプセル40は同時に破裂し、ガスディスペンサー10は、装置10内に収容された多数のガスカプセル40に比例する量のガスについて単一の射出送出を行うことができる。変形例として、第2ハウジング部分20内のキャビティについては、図5に示すような形態にしてもよい。図示されているように、キャビティ51,52,53は異なる寸法と形状を有し、キャビティは、ハウジング部分15,20の間の相対回転の方向に沿って順次長形になっている。このように形成されたキャビティの場合、ハウジング部分15,20間の相対回転によって、カプセル40のステム44は、第2ハウジング移動止めのそれぞれに順次接触し、その結果、カプセル40の連続的な破裂となる。キャビティー51,52,53のこのような形態を有するガスディスペンサー10は、ガスの多重の射出送出を行うことができる。
【0025】
実際には、各カプセル40が破裂するにつれ、カプセル40からプレナム65へのガスの通路により、圧力が低減するまで抵抗すべきさらなる回転運動が生じる。このような抵抗により、機構の感度を低減させ、一回あたりの単一射出送出が実際的に効果をもたらす。したがって、このようなタイプのガスディスペンサーは、多数の種々の薬剤送出装置と組み合わせて使用してもよいし、変形例として、多重の射出薬剤送出装置と組み合わせて使用してもよい。
【0026】
図6〜図8は、上述したものと同様なタイプのガスディスペンサーを示しているが、例えば、スプールバルブようなバルブ70の備え付けによってカプセル40からガスが放出されるごとにある程度のガスの調整を行っている。図7では、第1ハウジング部分15内に配置されたカプセル40の破裂前の装置を示している。バルブ70は閉鎖位置に設定され、薬剤送出装置は連結部30(図示せず)によってガスディスペンサー10に連結されている。ガスディスペンサー10には、バルブ70が閉鎖位置に設定されていない場合に薬剤送出装置の取り付けを阻止する機構を設けてもよく、このようにして、機構の不注意な動きを確実に阻止する。このような作用は、送出すべき薬剤の投与量を減らすことにつながる可能性がある。
【0027】
単一の射出送出に関しては、図4のキャビティの形態が実施され、キャビティ50は類似する寸法からなる。バルブ70が閉鎖位置に維持された状態で、第1ハウジング部分15が第2ハウジング部分20に対して回転し、上述したようにガスディスペンサー10内に収容されたカプセル40が破裂する。これらのカプセルからのガスは、プレナム65を通過し、通気孔55を通過するが、バルブ70の位置の効果によってガスチャンバー60に運ばれるのは阻止される。したがって、ガスの圧力はカプセルの本体42間で平衡に達し、プレナム65及び通気孔55に到達する。ハウジング部分15,20間、第1ハウジング部分15とプレート48との間、及びプレート48とカプセルのカラー43との間に設けられたシール手段75は、プレナム65と通気孔55内の高圧ガスを維持するのに役立つ。さらに、シール80にはバルブ70が一体に設けられ、ガスがガスチャンバー60に進むのを防ぐ。
【0028】
ガスを薬剤送出装置の中に放出するのが好ましいときには、バルブ70は(図8に示すように)作動位置まで移動し、通気孔55とガスチャンバー60との間に流路が形成され、圧縮されたガスを薬剤送出装置に送出することができる。
【0029】
多重の射出供給が要求される場合には、図5に示すキャビティの形態を図6〜図8のバルブ70の組み合わせで実施してもよい。カプセル40は上述したように次々に破裂するが、バルブ70はハウジング部分15,20間の相対回転の間に閉鎖位置までリセットされる。バルブ70の使用により、高圧ガスを送出するのに高水準の調整をもたらす。
結果として、各カプセル40からの放出を利用して、多重の射出薬剤送出装置或いは多数の別々の薬剤送出装置のどちらかを用いながら一人又は二人以上の患者に別々の投与量の薬剤を送出することができる。
【0030】
さらなる例では、図9a及び図9bに示すように、双対型のガス送出ディスペンサー110を提供してもよい。一対の第1ハウジング部分115は、変形第2ハウジング部分120と組み合わせて与えられる。二組のカプセルをディスペンサー110内に収容してもよい。各組のカプセル40の本体部分42は、上述した方法と同様な方法でそれぞれの第1ハウジング部分115によって収容される。各組のカプセルのステム44は、図示されているような変形第2ハウジング部分120の対向する面に設けられたキャビティ内に保持される。プレナム165は、破裂したカプセル40からのガスを装置の作動中に一時的に貯えるようになっている。1つ又は2つ以上のバルブ170は、これらのプレナム165からチャンバー160へ、その後、連結部130によって第2ハウジング部分120に連結された送出装置へのガスの送出を調整することができる。
【0031】
ガス供給装置110の作動は、第1ハウジング部分115の1つを変形第2ハウジング部分120に対して回転させることにより行われる。一組のカプセルの各カプセル40のステム44と本体42は、結果として等しく対向する力、上述したように総称してせん断力をもたらし、各カプセルを破裂させてカプセル内に収容されたガスをプレナム165の1つに漏出させる。
【0032】
双対型の装置の提供により、ガスディスペンサーの概念の柔軟性をさらに向上させる。使用者はもはや、単一のカプセルからのガス、又はいくつかのカプセルからのガス、この例では、各組が3つのカプセル40まで有して最大6つまでのカプセルからのガスを供給する。この方法では、送出されるガスの容量、圧力、及び組成を多いに多様化することができる。
【0033】
上で指摘したように、いかなる第1ハウジング部分に収容されるカプセルの数は自由であり、実際にはディスペンサーの大きさよって制限されるだけである。ディスペンサーの大きさは、所望の用途における軽便さの要求によって制限される。一組あたり3つのカプセル40までの例では、医療又は分析の分野で見られるような、精密な用途に使用される携帯可能な手持ち式の装置に役立つ。
【0034】
第2ハウジング部分に対するさらなる変形として、3つ、4つ、或いは5つの第1ハウジング部分を有するディスペンサーを容易に実現することができる。したがって、ディスペンサーの能力、供給されるべきガスの容量、圧力、及び、組成の多様化をさらに向上させることができる。
【0035】
ガスディスペンサーの他の用途が、膨張制御の分野にある。例えば、パーティ用の風船は一般的にはヘリウムが充填されており、ここで述べたようなガスディスペンサーはこのような用途に適している。しかしながら、高圧ガスの風船への迅速な送出により、風船が破裂する可能性がある。したがって、可変流量制御装置を有するバルブを用いてガスの段階的な供給を行ってもよい。このような放出ガスをある程度調整するガスディスペンサーは、例えば、鼻及び/又は口に合うように設計されたマスクを介して酸素又はヘリオックスを患者やレクリエーションのユーザーに供給し且つ連結部30を介してガスディスペンサーに取り付けられる吸入装置のような、他の分野での応用を見出す。
【0036】
同程度の調整を実現するために、図7及び図8に示すようなバルブを有するガスディスペンサー、又はバルブを備えていないガスディスペンサーについて、レギュレーターを有する送出装置と組み合わせて使用してもよい。このタイプの膨張制御送出装置はノズルとレギュレーターを有するが、このタイプの吸入送出装置はマスクとレギュレーターを有する。
【0037】
ガスディスペンサー10には、例えば少なくとも1つのさらなるプレナム65及び関連する通気孔55を設けることにより、カプセル40と送出装置との間に1つ又は2つ以上の追加的なガス流路が設けられていてもよい。
【0038】
保持部材25は、2つのハウジング部品を切り離して破裂したカプセルを交換するために、例えば環状のレリーズリングを使用して分離してもよい。レリーズリングは、ガスディスペンサー(図示せず)と別々でもよく、要求された場合に第1ハウジング部分15を簡単に滑ってもよいし、図10a〜図10cに示すように第1ハウジング部分15と一体であってもよい。図示されているように、このようなレリーズリング85は第1ハウジング部分15に設けられてもよく、ねじ山を利用して第1ハウジング部分15に取り付けてもよい。第1ハウジング部分15に対するリング85の回転により、リング85がガスディスペンサー10に沿って軸線方向に移動する。図10cに示すように、さらに軸線方向に移動すると、リング85が第1ハウジング部分15と保持部材25との間を進み、これらの保持部材25が半径方向外方に広がる。このように、保持部材25は隆起部35を切り離すようになり、ハウジング部分15,20は結果として互いに切り離される。
【0039】
図11に示すように、変形例として、(切断されたステム44と共に)破裂したカプセル40の取り外しとそれらの交換を行うことができるように、ガスディスペンサー10の第1ハウジング部分15に取り外し可能なエンドキャップ90を設けてもよい。
【0040】
ガスディスペンサー10は、手持ち式の予防接種用の器具のような自動送出装置に組み込まれてもよい。この変形例では、ハウジング部分15,20間の相対回転を機械的な又は電気機械的な装置を使用して実現してもよい。このような装置は、例えば引き金機構を利用することによって手動で制御してもよい。変形例として、ガスディスペンサー10は、より大型の自動化された装置に組み込まれてもよいし、例えば、車椅子の基部に取り付けられてもよい。このような供給の制御に関する実施形態では手動的に制御するよりもむしろ自動的に制御する方が有益である。
【0041】
示した例により、第1ハウジング部分15,115と第2ハウジング部分20,120との間の相対回転運動が実施され、カプセル40によって与えられるせん断力を生じさせる。この形態は小型の装置となり、その作動により、装置のいかなる構成部品も装置の外側に出てしまうことはない。変形例として、第1及び第2ハウジング部分に対して互いに相対移動与えることによってせん断力を生じさせてもよい。破裂したカプセル40のステム44は装置内に保有され、装置の安全性と使いやすさを向上させている。
【0042】
図12は送出機器200を概略的に示しており、この送出機器200はガスディスペンサー10を有し、このガスディスペンサー10は、例えば薬剤送出装置、吸入マスク、或いはパーティー用の風船に取り付け可能なノズルのような送出装置190に取り外し可能に連結された第1ハウジング部分15及び第2ハウジング部分20を含む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ガスディスペンサーの概略図である。
【図2】図1に示すガスディスペンサーの縦断面図である。
【図3】図2の線X−X’における断面図である。
【図4】図2の線Y−Y’における断面図である。
【図5】図2の線Y−Y’における変形例の断面図である。
【図6】バルブを有するガスディスペンサーの斜視図を示す。
【図7】バルブが閉鎖位置にある図6のガスディスペンサーの縦断面図を示す。
【図8】バルブが開放位置にある図6のガスディスペンサーの縦断面図を示す。
【図9a】双対型のガスディスペンサーを示す。
【図9b】図9aの線Z−Z’における断面図である。
【図10a】一体のカラーを備えたガスディスペンサーを示す。
【図10b】一体のカラーを備えたガスディスペンサーを示す。
【図10c】一体のカラーを備えたガスディスペンサーを示す。
【図11】エンドキャップを備えたガスディスペンサーを示す。
【図12】ガスディスペンサーを有する送出機器の概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、脆弱なステムと、を有するカプセルから送出装置までガスを放出するためのガスディスペンサーであって、
カプセルの本体を収容するための第1ハウジング部分と、
上記第1ハウジング部分によって収容されたカプセルのステムを収容するためのキャビティを有する第2ハウジング部分と、
を有し、上記第1ハウジング部分及び上記第2ハウジング部分うちの少なくとも一方のハウジング部分は、他方のハウジング部分に対して可動であり、上記収容されたカプセルに与えるべきせん断力を生じさせることにより、上記カプセルを破裂させて上記カプセルからガスを放出させることを特徴とするガスディスペンサー。
【請求項2】
上記第2ハウジング部分は、上記ガスディスペンサーを送出装置に連結するためのコネクターを有する請求項1記載のガスディスペンサー。
【請求項3】
上記第1ハウジング部分と上記第2ハウジング部分との間の相対移動時に、収容されたカプセルの本体に対して第1の方向に力を与える第1ハウジング移動止めと、
上記カプセルにせん断力を与えるために上記相対移動時に、収容されたカプセルのステムに第1の方向と対向する第2の方向に力を与える第2ハウジング移動止めと、
を有する請求項1又は2に記載のガスディスペンサー。
【請求項4】
上記第1ハウジング移動止めは、収容されたカプセルの本体を上記第1ハウジング部分内に固定する手段よって与えられる請求項3記載のガスディスペンサー。
【請求項5】
第2ハウジング移動止めは、キャビティを構成する表面によって与えられる請求項3又は4に記載のガスディスペンサー。
【請求項6】
上記ディスペンサーは、上記第1ハウジング部分と上記第2ハウジング部分との間の相対移動がさらに続くと、収容されたカプセルのステムがせん断力によりカプセルの本体から切り離されるように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスディスペンサー。
【請求項7】
上記第2ハウジング部分は、上記カプセルの切り離されたステムを保有するように構成されている請求項6記載のガスディスペンサー。
【請求項8】
上記第2ハウジング部分は、第1ハウジング部分に取り付けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスディスペンサー。
【請求項9】
上記第2ハウジング部分は、上記第1ハウジング部分に回転可能に取り付けられている請求項8記載のガスディスペンサー。
【請求項10】
上記ガスディスペンサーは、第1ハウジング部分と第2ハウジング部分との間の相対回転の軸線から間隔を置いた位置でカプセルを収容するように構成され、収容されたカプセルは、第1ハウジング部分と第2ハウジング部分との間の相対回転時に上記軸線を中心に回転する請求項9記載のガスディスペンサー。
【請求項11】
収容されたカプセルから放出されたガスを収容するためのプレナムを有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のガスディスペンサー。
【請求項12】
送出装置へのガスの送出を調整するガスディスペンサーの放出口とプレナムとの間に位置決めされたバルブを有する請求項11に記載のガスディスペンサー。
【請求項13】
本体と、脆弱なステムと、を有する複数のカプセルから送出装置までガスを放出するように構成されており、第1ハウジング部分は複数のカプセルの本体部分を収容し、第2ハウジング部分は複数のキャビティを有し、それぞれのキャビティは第1ハウジング部分によって収容されたそれぞれのカプセルのステムを収容する請求項1〜12のいずれか1項に記載のガスディスペンサー。
【請求項14】
第1ハウジング部分と第2ハウジング部分との間の相対的な動きにより、収容されたカプセルを同時に破裂させる請求項13に記載のガスディスペンサー。
【請求項15】
キャビティは異なる寸法で構成され、第1ハウジング部分と第2ハウジング部分との間の相対的な動きにより、収容されたカプセルの破裂が順次に起こる請求項13に記載のガスディスペンサー。
【請求項16】
少なくとも3つのカプセルを収容するように構成されている請求項13〜15のいずれか1項に記載のガスディスペンサー。
【請求項17】
ディスペンサーは手持ち式の装置である請求項1〜16のいずれか1項に記載のガスディスペンサー。
【請求項18】
少なくとも1つのカプセルの本体を収容するための更なる第1ハウジング部分を有する請求項1〜17のいずれか1項に記載のガスディスペンサー。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のガスディスペンサーと、本体部分及び脆弱なステムを有するガスカプセルとの組み合わせ。
【請求項20】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のガスディスペンサーと、
送出装置であって、この送出装置への流入口がガスディスペンサーの放出口と一致するように構成され、上記流入口と上記放出口との間がシールされている上記送出装置と、
を有することを特徴とする送出機器。
【請求項21】
上記送出装置はガスレギュレーターを有する請求項20記載の機器。
【請求項22】
上記送出装置は、使用者の口及び/又は鼻に合うように構成されたマスクを含む請求項20または21に記載の機器。
【請求項23】
上記送出装置は、ガスを容器に送出するためのノズルを含む請求項20または21に記載の装置。
【請求項24】
送出装置は、患者の皮膚に薬剤を投与する注射針用の薬剤送出装置である請求項20記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−500568(P2009−500568A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518983(P2008−518983)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【国際出願番号】PCT/GB2006/050161
【国際公開番号】WO2007/000611
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(591004445)ザ ビーオーシー グループ ピーエルシー (59)
【Fターム(参考)】