説明

ガスバリア性エポキシ樹脂組成物

【課題】エポキシ樹脂が本来有する優れた性能に加え、高いガスバリア性及び耐食性を有するエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含むガスバリア性エポキシ樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂中のハロゲン含有量が0.6質量%以下であり、前記エポキシ樹脂及び/又はエポキシ樹脂硬化剤が下記一般式(1)で表される骨格構造を分子内に有し、かつ該樹脂組成物中の下記一般式(1)で表される骨格構造の含有量が30質量%以上である、ガスバリア性エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスバリア性エポキシ樹脂組成物に関するものであり、酸素やガソリン等の透過防止、防錆、防食を目的とする塗料、及び酸素や臭気成分等に対して高いガスバリア性が要求される食品や医薬品等の包装材料に用いるラミネート用接着剤等の広い産業分野に利用されうる。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は各種基材に対する接着性、耐熱性、耐薬品性、電気特性、機械特性等、他の樹脂に比較して多くの優れた特性を有するため、防錆、防食、美粧を目的とする塗料や、土木、建築用接着剤等広い産業分野で利用されている。一般に、塗料や接着剤分野で使用されるエポキシ樹脂組成物のガスバリア性は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂等と比較すれば良好であるが、ガスバリア材料に分類されるポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコール等には及ばない。したがって、エポキシ樹脂を塗料や接着剤分野に利用する場合には、ガスバリア性の観点から、樹脂厚みを大きくする、他材料を重ねて被覆する、フィラーを併用する等の様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば特許文献1及び2には、エポキシ樹脂を用いた樹脂組成物に関して、組成物中のアミン窒素含有率を高くすることにより、酸素や二酸化炭素等に対するガスバリア性を向上させる方法が提案されている。しかしながら、特許文献1及び2に開示された樹脂組成物のガスバリア性は必ずしも十分ではなく、また高湿度条件下ではガスバリア性が低下するという問題がある。
【0004】
特許文献3には、ポリアミン中の活性アミン水素とポリエポキシド中のエポキシ基との比が少なくとも1.5:1であって、該ポリアミンが開始ポリアミンであって炭素原子の少なくとも50%が芳香族であるポリアミンの変性物である樹脂組成物を用いることにより、特許文献1及び2に記載された樹脂組成物よりさらにバリア性を向上させ、また高湿度条件下でのバリア性を向上させる方法が提案されている。しかしながら、特許文献3に開示された樹脂組成物は、塗布後の反応生成物中に未反応の活性アミン水素を有するアミン基が多量に残存するため、防錆、防食目的で金属やコンクリート等への塗布を考えた場合に、接着性、耐熱性、耐薬品性及び電気特性等のエポキシ樹脂が本来有する優れた性能が発現しないという問題がある。
【0005】
特許文献4には、エポキシ樹脂の優れた性能に加え、高湿度条件下でも高いガスバリア性を有するエポキシ樹脂組成物を提供することを目的として、特定のエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを使用したエポキシ樹脂組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平7−91367号公報
【特許文献2】特公平7−91368号公報
【特許文献3】特表平9−511537号公報
【特許文献4】特開2002−256208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、特にエレクトロニクス関連分野において、基材の劣化や金属の腐触を防止する観点から、可能な限りハロゲン含有量が低減されたエポキシ樹脂組成物の供給が強く望まれている。しかし、エポキシ樹脂は、原料としてエピクロロヒドリンが一般的に使用されるため、他の樹脂に比べて相対的にハロゲン含有量が高くなりやすい。
【0008】
本発明の課題は、上記問題点を解決し、エポキシ樹脂が本来有する優れた性能に加え、高いガスバリア性及び耐食性を有するエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記[1]〜[14]に関する。
[1]エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含むガスバリア性エポキシ樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂中のハロゲン含有量が0.6質量%以下であり、前記エポキシ樹脂及び/又はエポキシ樹脂硬化剤が下記一般式(1)で表される骨格構造を分子内に有し、かつ該樹脂組成物中の下記一般式(1)で表される骨格構造の含有量が30質量%以上である、ガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
【化1】

[2]前記一般式(1)で表される骨格構造を分子内に有する前記エポキシ樹脂が、下記工程(I)〜(IV)を含む方法によって得られる下記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂である、上記[1]に記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
工程(I):水の存在下、下記一般式(3)で表されるジアミンと、該ジアミンに対して化学量論的に過剰量の下記一般式(4)で表されるエピハロヒドリンとを反応させる付加反応工程
工程(II):工程(I)で得られた付加反応生成物を、少なくとも1種のオニウム塩化合物の共存下、ハロゲン除去反応剤と反応させる第一次脱ハロゲン化水素反応工程
工程(III):工程(II)の反応生成物から未反応のエピハロヒドリンを留去して粗ポリグリシジルアミノ化合物を得、該粗ポリグリシジルアミノ化合物を、少なくとも1種のオニウム塩化合物の共存下、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属フェノキシドと反応させる第二次脱ハロゲン化水素反応工程、及び
工程(IV):工程(III)で得られる反応生成物を水洗する工程
【化2】

(一般式(2)中、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を表す。)
【化3】

【化4】

(一般式(4)中、Xは塩素原子又は臭素原子を表し、Rは一般式(2)におけるRと同義である。)
[3]前記オニウム塩化合物がベンジルトリエチルアンモニウムクロリドである、上記[2]に記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
[4]前記アルカリ金属アルコキシドがカリウム−t−ブトキシドである、上記[2]又は[3]に記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
[5]前記工程(III)において、粗ポリグリシジルアミノ化合物を、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル及びN−メチルピロリドンからなる群より選ばれる1種以上を含有する溶媒に溶解させてから、少なくとも1種のオニウム塩化合物の共存下、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属フェノキシドと反応させる、上記[2]〜[4]のいずれかに記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
[6]前記溶媒がジメチルスルホキシドを含有する、上記[5]に記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなる塗料。
[8]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなるラミネート用接着剤。
[9]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなるアンカーコート剤。
[10]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなるガスバリアコート剤。
[11]上記[7]に記載の塗料を使用して作製した塗膜。
[12]上記[8]に記載のラミネート用接着剤を使用して作製したラミネートフィルム。
[13]上記[9]に記載のアンカーコート剤を使用し、押出しラミネート法により作製したラミネートフィルム。
[14]上記[10]に記載のガスバリアコート剤を使用して作製したコートフィルム。
【発明の効果】
【0010】
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂が本来有する優れた性能に加え、高いガスバリア性及び耐食性を有する。すなわち、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、従来のエポキシ樹脂が適用される用途に適用することができ、さらに、高いガスバリア性及び耐食性が要求される用途にも適用することができる。
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物及びそれから得られる塗料は、金属の防錆やコンクリートの防食等を目的として、金属やコンクリート等の従来のエポキシ樹脂塗料が使用されている被塗材料に同様に塗布することができる。さらに、残存ハロゲン含有量が極めて少ないため、エレクトロニクス技術分野においても基材の劣化や金属の腐食といった致命的な欠陥の原因をなくすことが可能であり、有用である。また、従来のエポキシ樹脂塗料ではそのバリア性の低さから今まで適用されていなかった高ガスバリア性が要求される各種ガス透過性基材、例えば食品や医薬品等の包装材料用途に使用されているポリオレフィンやポリエステル、ポリアミド等のプラスチックフィルム、あるいはプラスチック容器等への適用も可能となる。
【0011】
また、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物から得られる接着剤は、各種フィルム材料に対する好適な接着性能に加え、高いガスバリア性を有することから、ガスバリア性能と接着性能を1つの層に兼備させることが可能になる。
従来の包装材料用ラミネートフィルムでは、ガスバリア機能を有する層と、該層とシーラント層との接着のために塗工される接着層とをそれぞれ別途形成する必要があったが、本発明のラミネート用接着剤を使用することにより、ガスバリア層を別途設けることなく高いガスバリア性を有する包装材料用ラミネートフィルムを作製することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[ガスバリア性エポキシ樹脂組成物]
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含み、該エポキシ樹脂中のハロゲン含有量が0.6質量%以下(6000ppm以下)であり、前記エポキシ樹脂及び/又はエポキシ樹脂硬化剤が下記一般式(1)で表される骨格構造を分子内に有し、かつ該樹脂組成物中の下記一般式(1)で表される骨格構造の含有量が30質量%以上である。
【化5】

【0013】
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。前記一般式(1)で表される骨格構造が高いレベルで含有されることにより、該樹脂組成物から形成される樹脂硬化物に高いガスバリア性が発現する。なお、樹脂組成物中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は、例えば実施例に記載の方法で測定することができる。
【0014】
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂中のハロゲン含有量は、好ましくは0.55質量%以下(5500ppm以下)、より好ましくは0.5質量%以下(5000ppm以下)である。ハロゲン含有量を低く抑えることにより、エレクトロニクス技術分野においても基材の劣化や金属の腐食といった致命的な欠陥の原因をなくすことが可能となる。なお、エポキシ樹脂中のハロゲン含有量は、例えば実施例に記載の方法で測定することができる。
【0015】
エポキシ樹脂は、原料としてエピクロロヒドリンが一般的に使用されるため、他の樹脂に比べて相対的にハロゲン含有量が高くなりやすい。特に、上記の特許文献1〜4に開示されたエポキシ樹脂組成物には、加水分解性ハロゲンが千ppm程度あるいはそれ以上の量で含まれている。
これに対し、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂中の加水分解性ハロゲン含有量は、好ましくは0.05質量%以下(500ppm以下)、より好ましくは0.03質量%以下(300ppm以下)、更に好ましくは0.025質量%以下(250ppm以下)である。加水分解性ハロゲン含有量が高い場合、遊離したハロゲンイオンが鋼板素地を腐食させ、錆などの発生の抑制が困難となる。加水分解性ハロゲン含有量を低く抑えることにより、当該ハロゲンが加水分解によりエポキシ樹脂から溶出して基材の劣化等を招くのを防止することができる。
【0016】
<エポキシ樹脂>
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、飽和又は不飽和の脂肪族化合物や脂環式化合物、芳香族化合物、あるいは複素環式化合物のいずれであってよいが、ガスバリア性の観点から、芳香環を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましく、前記一般式(1)で表される骨格構造を分子内に有するエポキシ樹脂がより好ましい。
【0017】
本発明に用いることができるエポキシ樹脂の具体例としては、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基及び/又はグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。なお、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性等の諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を適切な割合で混合して使用することもできる。
【0018】
これらの中でも、芳香環を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましく、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂及びレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましい。
さらに、前記一般式(1)で表される骨格構造を分子内に有するエポキシ樹脂がより好ましく、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂がより好ましい。
【0019】
前記一般式(1)で表される骨格構造を分子内に有する前記エポキシ樹脂は、下記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂であることが好ましい。
【化6】

(一般式(2)中、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を表す。)
【0020】
前記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂は、下記工程(I)〜(IV)を含む方法によって得ることができる。
工程(I):水の存在下、下記一般式(3)で表されるジアミンと、該ジアミンに対して化学量論的に過剰量の下記一般式(4)で表されるエピハロヒドリンとを反応させる付加反応工程
工程(II):工程(I)で得られた付加反応生成物を、少なくとも1種のオニウム塩化合物の共存下、ハロゲン除去反応剤と反応させる第一次脱ハロゲン化水素反応工程
工程(III):工程(II)の反応生成物から未反応のエピハロヒドリンを留去して粗ポリグリシジルアミノ化合物を得、該粗ポリグリシジルアミノ化合物を、少なくとも1種のオニウム塩化合物の共存下、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属フェノキシドと反応させる第二次脱ハロゲン化水素反応工程、及び
工程(IV):工程(III)で得られる反応生成物を水洗する工程
【0021】
【化7】

【0022】
【化8】

(一般式(4)中、Xは塩素原子又は臭素原子を表し、Rは前記一般式(2)におけるRと同義である。)
【0023】
(工程(I))
工程(I)は、水の存在下、前記一般式(3)で表されるジアミンと、該ジアミンに対して化学量論的に過剰量の前記一般式(4)で表されるエピハロヒドリンとを反応させる付加反応工程である。
工程(I)において、前記一般式(3)で表されるジアミンと前記一般式(4)で表されるエピハロヒドリンとを付加反応させて、ハロヒドリン体を調製する。
前記一般式(3)で表されるジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
前記一般式(4)で表されるエピハロヒドリンとしては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロロヒドリンが挙げられるが、エピクロロヒドリンが好ましい。
【0024】
エピハロヒドリンはジアミンに対して化学量的に過剰に用いられるが、通常、ジアミン1モルに対して5.5〜15モルの範囲の量で用いられる。
付加反応系に存在させる水は、付加反応の促進と結晶性物質の析出の抑制に寄与し、通常、ジアミン1モルに対して0.5〜15モルの範囲の量で用いられる。
付加反応は発熱反応であることから、エピハロヒドリンと水との混合系にジアミンを徐々に添加し、反応系の温度が60℃を超えることがないように制御しながら反応を行うことが好ましい。
【0025】
(工程(II))
工程(II)は、工程(I)で得られた付加反応生成物を、少なくとも1種のオニウム塩化合物の共存下、ハロゲン除去反応剤と反応させる第一次脱ハロゲン化水素反応工程である。
工程(II)において、工程(I)で得られた付加反応生成物をハロゲン除去反応剤と反応させて脱ハロゲン化水素反応を行う。この脱ハロゲン化水素反応は、少なくとも1種のオニウム塩化合物の共存下で行われる。
【0026】
オニウム塩化合物は、相間移動作用を有する化合物であり、ハロゲン除去反応剤に作用してハロゲン除去反応剤を有機相に可溶化し、脱ハロゲン化水素反応を促進する。オニウム塩化合物の共存下で脱ハロゲン化水素反応を行うことで、従来通常行われているアルカリ単独での脱ハロゲン化水素反応に比べて、副反応を抑制しつつ脱ハロゲン化水素反応を効率よく進行させることができ、生成物中の残存ハロゲン量を低減できる。
オニウム塩化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、N−ラウリルピコリニウムクロリド等で例示される第四級アンモニウム塩;テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド、トリベンジルエチルホスホニウムクロリド、トリブチルエチルホスホニウムクロリド等で例示される第四級ホスホニウム塩;トリメチルスルホニウムヨウデイド、ジベンジルメチルスルホニウムブロミド等で例示される第三級スルホニウム塩を挙げることができる。中でも第四級アンモニウム塩が好ましく、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドが特に好ましい。
【0027】
ハロゲン除去反応剤としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機酸塩、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族カルボン酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、炭素数1〜10の脂肪族アルコールのアルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属フェノキシド等が挙げられ、中でもアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭素数1〜10の脂肪族アルコールのアルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属フェノキシドが好ましい。これらのハロゲン除去反応剤は、所望に応じて2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機酸塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩又はチオシアン酸塩が挙げられ、具体例としては、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族カルボン酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩の具体例としては、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、安息香酸カリウム等が挙げられる。
炭素数1〜10の脂肪族アルコールのアルカリ金属アルコキシドの具体例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられる。
アルカリ金属フェノキシドの具体例としては、ナトリウムフェノキシド等が挙げられる。
【0028】
工程(II)におけるハロゲン除去反応剤の使用量は、原料ジアミンを基準にしてジアミン1モルに対して化学理論量で4モルより過剰量であることが好ましい。また、ハロゲン除去反応剤が多すぎる場合には生成したエポキシ基が消費されることから、ジアミン1モルに対して化学理論量で5モル以下であることが好ましい。
工程(II)におけるオニウム塩化合物の使用量は、いわゆる触媒量でよく、通常、ジアミン1モルに対して1×10-4〜1×10-1モルの範囲で選ばれればよい。
【0029】
工程(II)の第一次脱ハロゲン化水素反応は、70℃を超えない温度で行われるのが好ましく、20〜50℃の温度に維持されるのがより好ましい。
なお、工程(II)において、金属アルコキシドのような、系内の水分によって反応が妨げられるハロゲン除去反応剤を使用する場合には、工程(I)の終了後、反応系内の水分を十分に除去する必要があるが、微量の水分は特に支障とはならない。
【0030】
(工程(III))
工程(III)は、工程(II)の反応生成物から未反応のエピハロヒドリンを留去して粗ポリグリシジルアミノ化合物を得、該粗ポリグリシジルアミノ化合物を、少なくとも1種のオニウム塩化合物の共存下、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属フェノキシドと反応させる第二次脱ハロゲン化水素反応工程である。
工程(III)では、まず、工程(II)の反応生成物に水を添加してから分液し、水相に含まれる脱ハロゲン化水素反応によって生成した金属ハロゲン化物を除去する。得られる有機相について蒸留等を行うことによって、有機相に含まれる未反応のエピハロヒドリンを留去する。
【0031】
次いで、未反応のエピハロヒドリンを留去して得られた反応生成物は、水洗工程に付される。この水洗工程に際して、反応生成物は有機溶剤に溶解される。ここで用いられる有機溶剤としては、目的生成物であるポリグリシジルアミノ化合物に対して可溶性且つ不活性であり、実質的に水と相溶性のない溶剤が選ばれる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好適に用いられる。溶剤の使用量は、ポリグリシジルアミノ化合物100質量部に対して好ましくは30〜500質量部、より好ましくは50〜300質量部である。
【0032】
当該水洗を行うに際して使用する水の量は、ポリグリシジルアミノ化合物100質量部に対して好ましくは10〜400質量部、より好ましくは20〜200質量部である。水洗は、洗浄効果の観点から2回以上行ってもよい。
【0033】
なお、水洗工程は、上記の有機相について蒸留等を行わず、未反応のエピハロヒドリンを留去させずに溶解させたまま実施してもよい。この場合、水洗工程の後に未反応のエピハロヒドリンを留去し、得られた反応生成物を上記有機溶剤に溶解させた後に第二次脱ハロゲン化水素反応工程に付される。
【0034】
次いで、水洗を終えた反応生成物は第二次脱ハロゲン化水素反応工程に付される。該工程において、粗ポリグリシジルアミノ化合物を、少なくとも1種のオニウム塩化合物の共存下、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属フェノキシドと反応させる。
【0035】
該工程では、粗ポリグリシジルアミノ化合物を溶解させるために、水洗を終えた反応生成物に非プロトン性極性溶媒等を添加してもよい。非プロトン性極性溶媒の具体例としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等が挙げられ、ジメチルスルホキシドが特に好ましい。非プロトン性極性溶媒の使用量は、粗ポリグリシジルアミノ化合物100質量部に対して好ましくは0〜100質量部、より好ましくは0.1〜50質量部の範囲で選ばれる。
【0036】
該工程で用いられるオニウム塩化合物としては、上記工程(II)で説明したものを用いることができ、上記工程(II)で用いたオニウム塩化合物と同じものでもよく、異なるものでもよい。
該工程では、ハロゲン除去反応剤としてアルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属フェノキシドが用いられる。アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属フェノキシドは、オニウム塩化合物による触媒作用を受けて脱ハロゲン化水素反応に極めて効果的に作用する。アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等で例示される炭素数1〜10の脂肪族アルコールのアルカリ金属アルコキシドが挙げられ、アルカリ金属フェノキシドとしては、ナトリウムフェノキシド等が挙げられる。中でも、カリウム−t−ブトキシドが特に好ましい。これらは、所望に応じて2種以上を併用してもよい。
【0037】
工程(III)におけるアルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属フェノキシドの使用量は、工程(II)において生成した粗ポリグリシジルアミノ化合物中に残存する全ハロゲン量を基準にして定められ、残存全ハロゲン1モルに対して1〜2モルに相当する範囲が好ましい。
工程(III)におけるオニウム塩化合物の使用量も同様に、工程(II)において生成した粗ポリグリシジルアミノ化合物中に残存する全ハロゲン量を基準にして定められ、残存ハロゲン1モルに対して好ましくは1×10-4〜2モル、より好ましくは1×10-3〜1×10-1モルに相当する範囲である。
工程(III)の第二次脱ハロゲン化水素反応は、70℃を超えない温度で行われるのが好ましく、20〜50℃の温度に維持されるのがより好ましい。
【0038】
(工程(IV))
工程(IV)は、工程(III)で得られる反応生成物を水洗する工程である。当該工程は、上述した工程(III)における水洗工程と同様である。
【0039】
なお、上記の工程(I)〜(IV)のほかに、所望に応じて濾過工程その他の工程が付加されてもよい。
【0040】
このようにして得られた反応生成物から、水洗工程を行う際に用いた溶剤を除去することによって、目的とする前記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂が得られる。このような方法で得られたエポキシ樹脂は、淡色且つ低粘度であり、保存安定性も極めて良好である。また、エポキシ樹脂中のハロゲン含有量が0.6質量%以下であり、エレクトロニクス関連分野における厳しい要望にも十分応え得る高品位のエポキシ樹脂として重用され得る。
【0041】
<エポキシ樹脂硬化剤>
本発明に用いられるエポキシ樹脂硬化剤は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物又は複素環式化合物のいずれであってもよく、ポリアミン類、フェノール類、酸無水物又はカルボン酸類等の一般に使用され得るエポキシ樹脂硬化剤を使用することができる。
【0042】
ポリアミン類は二価以上の多価アミンであり、その具体例としては、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミンが挙げられる。
脂肪族ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミンや、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香環を有する脂肪族ポリアミンが挙げられる。
脂環式ポリアミンとしては、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン等が挙げられる。
芳香族ポリアミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。
また、これらのポリアミン類とエポキシ樹脂との変性反応物、ポリアミン類とモノグリシジル化合物との変性反応物、ポリアミン類とエピクロルヒドリンとの変性反応物、ポリアミン類と炭素数2〜4のアルキレンオキシドとの変性反応物、ポリアミン類と少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応により得られたアミドオリゴマー、ポリアミン類と、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸及び/又はその誘導体との反応により得られたアミドオリゴマー等もエポキシ樹脂硬化剤として使用できる。
【0043】
フェノール類としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の多価フェノール及びレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。
酸無水物又はカルボン酸類としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物等の脂肪族酸無水物、(メチル)テトラヒドロ無水フタル酸、(メチル)ヘキサヒドロ無水フタル酸等の脂環式酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族酸無水物、及びこれらのカルボン酸等が使用できる。
【0044】
ガスバリア性の観点から、芳香環を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤が好ましく、前記一般式(1)で表される骨格構造を分子内に有するエポキシ樹脂硬化剤がより好ましい。
本発明に用いられるエポキシ樹脂硬化剤の好ましい具体例としては、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミン等のポリアミン類、該ポリアミン類とエポキシ樹脂との変性反応物、該ポリアミン類とモノグリシジル化合物との変性反応物、該ポリアミン類とエピクロルヒドリンとの変性反応物、該ポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物、該ポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸及び/又はその誘導体との反応生成物等が挙げられる。
【0045】
また、ガスバリア性及び各種材料との接着性の観点からは、エポキシ樹脂硬化剤として、下記の(A)及び(B)の反応生成物、又は(A)、(B)及び(C)の反応生成物を用いることが特に好ましい。
(A)メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸及び/又はその誘導体
【0046】
前記の(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸等のカルボン酸及びそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物等が挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸及びそれらの誘導体が好ましい。
また、前記(C)の炭素数1〜8の一価のカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、安息香酸等が挙げられ、また、それらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物等も使用することができる。これらは上記多官能性化合物と併用してポリアミン(メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミン)と反応させてもよい。
【0047】
また、エポキシ樹脂硬化剤を合成する反応における反応比は、ガスバリア性、塗膜性能、粘度及び接着性の観点から、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比で0.3〜0.95の範囲が好ましい。反応により導入されるアミド基部位は高い凝集力を有しており、エポキシ樹脂硬化剤中に高い割合でアミド基部位が存在することにより、より高い酸素バリア性及び金属やコンクリート、プラスチック等の基材への良好な接着強度が得られる。
【0048】
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との配合割合については、一般にエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応によりエポキシ樹脂反応物を作製する場合の標準的な配合範囲とすることができる。具体的には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性アミン水素数のモル比が好ましくは0.5〜5.0、より好ましくは0.8〜3.0の範囲である。
【0049】
<その他の成分>
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリウレタン系樹脂組成物、ポリアクリル系樹脂組成物、ポリウレア系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物を含有してもよい。
【0050】
また、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を金属やコンクリート、プラスチック等一般的な基材に塗布する場合においては、撹拌混合や塗布時に発生する泡の消失を助けるため、あるいは各種基材の表面の湿潤を助けるために、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、シリコーン系あるいはアクリル系化合物を含有する消泡剤や湿潤剤を含有してもよい。
消泡剤の市販品としては、ビックケミー社から入手しうるBYK019、BYK052、BYK065、BYK066N、BYK067N、BYK070、BYK080等が挙げられるが、特にBYK065が好ましい(いずれも商品名)。
また、湿潤剤の市販品としては、ビックケミー社から入手しうるBYK331、BYK333、BYK340、BYK344、BYK348、BYK381等がある(いずれも商品名)

これらを含有する場合には、エポキシ樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜2.0質量%の範囲が好ましい。
【0051】
また、耐衝撃性等の諸性能を向上させるために、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク等の無機フィラーを含有してもよい。これらを含有する場合には、エポキシ樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜10.0質量%の範囲が好ましい。
【0052】
さらに、プラスチックフィルム、金属箔、紙等の各種材料に対する接着性を向上させるために、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤を含有してもよい。
カップリング剤としては、一般に市販されているものが使用できるが、中でもチッソ(株)、東レ・ダウコーニング(株)、信越化学工業(株)等から入手しうるN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’−ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン等のアミノ系シランカップリング剤;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリロキシ系シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤;東レ・ダウコーニング(株)製のSH−6026、Z−6050(いずれも商品名)等のアミノシラン系カップリング剤;信越化学工業(株)製のKP−390、KC−223(いずれも商品名)等のアミノ基含有アルコキシシラン等の本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物と反応しうる有機官能基を有するものが好ましい。
これらを含有する場合には、エポキシ樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜5.0質量%の範囲が好ましい。なお、基材がシリカ、アルミナ等の各種無機化合物を蒸着させたフィルムの場合は、シランカップリング剤がより好ましい。
【0053】
さらに、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、各種フィルム材料に塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂等の粘着付与剤を含有してもよい。これらを含有する場合には、ガスバリア性エポキシ樹脂組成物の全質量を基準として0.01〜5.0質量%の範囲が好ましい。
【0054】
また、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、酸素捕捉機能を有する化合物等を含有してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機リン化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
【0055】
さらに、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて低温硬化性を増大させるため、例えばN−エチルモルホリン、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸コバルト、塩化第一錫等の硬化促進触媒;ベンジルアルコール等の有機溶剤;リン酸亜鉛、リン酸鉄、モリブデン酸カルシウム、酸化バナジウム、水分散シリカ、ヒュームドシリカ等の防錆添加剤;フタロシアニン系有機顔料、縮合多環系有機顔料等の有機顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、カーボンブラック等の無機顔料等の各成分を適宜含有してもよい。
【0056】
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物の硬化反応は、その硬化反応物を得るのに十分な濃度及び温度で実施されるが、これは樹脂組成物の用途及び開始材料の選択により適宜決定される。すなわち、該樹脂組成物を塗料、接着剤あるいはコート剤用途に用いる場合において、樹脂組成物の濃度は、選択した材料の種類及びモル比等に応じて、溶剤を含有しないものから、ある種の適切な有機溶媒及び/又は水を用いて約5質量%程度の組成物濃度にする場合までの様々な状態をとり得る。同様に、硬化反応温度は室温から約140℃までの範囲で選択できる。
適切な有機溶媒としては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノール等のグリコールエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、トルエン、キシレン、酢酸エチル等の非水溶性系溶媒等が挙げられるが、グリコールエーテル類、アルコール類等の水溶性系溶媒がより好ましい。
【0057】
[ガスバリア性エポキシ樹脂組成物の用途]
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、そのまま、又は必要に応じて溶剤や着色顔料、体質顔料等の各種顔料を混合して、塗料あるいはガスバリアコート剤として使用することができる。また、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、そのまま、又は必要に応じて溶剤や他の添加剤を混合して、ラミネート用接着剤又はアンカーコート剤(接着助剤)として使用することもできる。
【0058】
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を塗装する際には、塗布法、浸漬法、スプレー法等の任意の方法の中から被塗装体の形態等に応じて適宜選択できる。塗布法としては、ロール塗布、しごき塗り、刷毛塗り、流し塗り等任意の方法が採用できる。またこれらの処理後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、塗布後、必要に応じて加熱装置によって硬化させることができる。加熱装置による加熱方法は、ドライヤー、高周波誘導加熱、遠赤外線加熱、ガス加熱等の任意の方法の中から適宜選択して用いることができる。加熱処理は、好ましくは50〜300℃、より好ましくは80〜250℃の範囲で行うことができる。
【0059】
<塗料及び塗膜>
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなる塗料は、防食、美粧等を目的として金属やコンクリート等従来のエポキシ樹脂塗料が使用されている被塗材料に同様に塗布され得る。さらに残存ハロゲン含有量が極めて少ないため、エレクトロニクス技術分野においても基材の劣化や金属の腐食といった致命的な欠陥の原因をなくすことが可能であり、有用である。
【0060】
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなる塗料を塗装して得られる塗膜の厚さは、耐食性及び膜厚制御の観点から、好ましくは1〜100μm程度、より好ましくは3〜50μmが実用的である。
【0061】
<ガスバリアコート剤及びコートフィルム>
また、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、従来のエポキシ樹脂塗料ではそのバリア性の低さから適用されていなかった高ガスバリア性が要求される各種ガス透過性基材、例えば食品や医薬品等の包装材料用途に使用されているポリオレフィンやポリエステル、ポリアミド等のプラスチックフィルムあるいはプラスチック容器等へのガスバリアコート剤としての塗布も可能であり、高バリア性のコートフィルムや容器を得ることができる。
【0062】
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなるガスバリアコート剤を使用して作製したコートフィルムにおいて、該ガスバリアコート剤を塗布して得られる皮膜層の厚さは、耐食性及び膜厚制御の観点から、好ましくは1〜100μm程度、より好ましくは3〜50μmが実用的である。
【0063】
<ラミネート用接着剤、アンカーコート剤及びラミネートフィルム>
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなるラミネート用接着剤は各種フィルム材料に対する好適な接着性能に加え、高いガスバリア性を有する。その結果、該接着剤を使用して作製したラミネートフィルムは、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)コート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)フィルム層、アルミナ(Al23)やシリカ(SiO2)等を蒸着した無機蒸着フィルム層等のガスバリア性材料を使用することなく、非常に高いレベルのガスバリア性が発現する。また、これら従来のガスバリア性材料とシーラント材料とを貼り合せる接着剤として併用することにより、得られるフィルムのガスバリア性を著しく向上させることもできる。
また、本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなるアンカーコート剤(接着助剤)は、各種フィルム材料に対する接着性を高めることができ、高いガスバリア性を有する。
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなるラミネート用接着剤又はアンカーコート剤を使用して作製したラミネートフィルムは、靭性、耐湿熱性に優れ、耐衝撃性、耐レトルト処理性等に優れる。
【0064】
本発明の接着剤又はアンカーコート剤によりラミネートされ得るフィルム材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム;ナイロン6、ナイロン6,6、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド系フィルム;ポリ(メタ)アクリル系フィルム;ポリスチレン系フィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)系フィルム;ポリビニルアルコール系フィルム;ポリアクリロニトリル系フィルム;ポリカーボネート系フィルム;ポリ乳酸等の生分解性フィルム;カートン等の紙類、アルミや銅等の金属箔、及びこれらの材料に各種ポリマーによるコーティングを施したり、酸素捕捉機能を付与したフィルム等が使用できる。
これらの材料に酸素捕捉機能を付与させる方法としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機リン化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等を含む組成物を少なくとも一部に使用する方法等が挙げられる。
これらのフィルム材料の厚さとしては10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、プラスチックフィルムの場合は一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよい。
【0065】
これらのフィルム材料の表面には、膜切れやはじき等の欠陥のない接着層が形成されるように、必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理等の各種表面処理が実施されることが好ましい。このような処理は各種フィルム材料に対する接着層の良好な接着を促進する。
また、フィルム材料の表面に適切な表面処理がなされた後で、必要に応じて印刷層を設けることもできる。
印刷層を設ける際には、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機等の従来のポリマーフィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷設備が同様に適用され得る。また、印刷層を形成するインキについても、アゾ系、フタロシアニン系等の顔料、ロジン、ポリアミド樹脂、ポリウレタン等の樹脂、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の溶剤等から形成される従来のポリマーフィルムへの印刷層に用いられてきたインキが同様に適用され得る。
【0066】
これらのフィルム材料の中で、シーラント材料として使用するものとしては、良好なヒートシール性の観点から、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系フィルムが好ましい。
これらのフィルムの厚さは、10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、フィルムの表面には火炎処理やコロナ放電処理等の各種表面処理が実施されていてもよい。
【0067】
本発明のラミネート用接着剤又はアンカーコート剤を使用して、各種フィルム材料をラミネートする場合には、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、押出しラミネート等公知のラミネート法を用いることが可能である。
【0068】
ラミネート用接着剤をポリマーフィルムに塗布する際の塗装形式としては、ロール塗布やスプレー塗布、ダイコーティング、エアナイフ塗布、浸漬、はけ塗り等の一般的に使用される塗装形式のいずれも使用され得る。そのうちロール塗布又はスプレー塗布が特に好ましい。例えば、ポリウレタン系接着剤成分をポリマーフィルムに塗布し、ラミネートする場合と同様のロールコートあるいはスプレー技術及び設備が適用され得る。
【0069】
続いて、各ラミネート方法での具体的な操作について説明する。
ドライラミネート法の場合には、基材となるフィルム材料に本発明のラミネート用接着剤の有機溶剤及び/又は水による希釈溶液をグラビアロール等のロールにより塗布後、溶剤を乾燥させ、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。この場合、ラミネート後に必要に応じて室温〜60℃で一定時間のエージング、例えば40℃の温度において3〜5日あるいは60℃の温度において1〜3日のエージングを行い、硬化反応を完了させることが好ましい。一定時間のエージングを行うことにより、十分な反応率でエポキシ樹脂硬化反応物が形成され、高いガスバリア性が発現するが、もちろん本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物はラミネート用接着剤として用いられた場合にも、硬化促進剤の添加によって硬化乾燥条件の短縮が可能になる。
【0070】
また、ノンソルベントラミネート法の場合には、基材となるフィルム材料に予め40℃〜100℃程度に加熱しておいた本発明のラミネート用接着剤を40℃〜120℃に加熱したグラビアロール等のロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。この場合もドライラミネート法の場合と同様にラミネート後に必要に応じて一定時間のエージングを行うことが望ましい。
【0071】
押出しラミネート法の場合には、前記フィルム材料に本発明のアンカーコート剤(接着補助剤)の有機溶剤及び/又は水による希釈溶液をグラビアロール等のロールにより塗布し、室温〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行った後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることによりラミネートフィルムを得ることができる。
溶融させるポリマー材料としては低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0072】
本発明のラミネート用接着剤を各種フィルム材料等に塗布、乾燥、貼り合わせ、熱処理した後の接着層の厚さは、ガスバリア性、接着性及び膜厚制御の観点から、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜10μmが実用的である。
【0073】
本発明のラミネートフィルムは優れたラミネート強度を有する。熱処理後の300mm/minの剥離速度でのラミネート強度は、基材やシーラント層の材質により異なるが、例えば、基材が延伸ポリプロピレンの場合は、80g/15mm以上が好ましく、100g/15mm以上がより好ましく、特に好ましくは120g/15mm以上である。一方、基材が延伸ナイロンやポリエチレンテレフタレートの場合は、シーラント層が低密度ポリエチレンであれば600g/15mm以上が好ましく、700g/15mm以上がより好ましく、特に好ましくは800g/15mm以上であり、シーラント層が無延伸ポリプロピレンであれば300g/15mm以上が好ましく、400g/15mm以上がより好ましく、特に好ましくは500g/15mm以上である。
また、本発明のラミネート用接着剤を使用して作製したラミネートフィルムは、ラミネート直後(エージング前)に300mm/minの剥離速度でのラミネート強度(初期粘着力)が30g/15mm以上であることが好ましく、40g/15mm以上であることがより好ましく、50g/15mm以上であることが特に好ましい。この初期粘着力が十分でない場合、ラミネートフィルムのトンネリングやフィルムを巻き取る際の巻きズレなどの問題が発生するおそれがある。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0075】
<塩素含有量の測定>
調製したエポキシ樹脂中の塩素含有量は以下の方法で測定した。なお、塗布液中の塩素含有量は、エポキシ樹脂の仕込み量から塗布液中の固形分に対する含有量として算出した。
(1)全塩素含有量(ppm)
各サンプルの全塩素含有量を自動試料燃焼装置付イオンクロマトグラフで測定した。
(2)加水分解性塩素含有量(ppm)
精密秤量したサンプル0.5gを0.1N−KOH/MeOH溶液約20mlに溶解させ、70℃に加熱して約15分反応させた。これに濃HNO3 0.3mlを添加し、0.001N−AgNO3aq.で電位差滴定し、加水分解性塩素含有量を測定した。
【0076】
<一般式(1)で表される骨格構造の含有量の算出>
塗布液中の一般式(1)で表される骨格構造の含有量は、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤の仕込み量から塗布液中の固形分に対する含有量として算出した。
【0077】
<評価>
(1)塗装鋼板の防錆性能
作製した塗装鋼板の防錆性能は、塩水噴霧後の塗装外観及びさび進行距離により評価した。
(塩水噴霧後の塗装外観)
樹脂組成物を塗装した鋼板について、塗板の非塗装部分を錆止め塗料で被覆して35℃の環境下で塩水噴霧(JIS K 5400に準拠)を行い、噴霧直後(初期)、2週間後、4週間後、6週間後、8週間後及び10週間後のそれぞれの時点で、塗膜外観を目視判定により4段階で評価した。
Ex:全く変化なし
G:1,2点の点錆が発生
F:3,4点の点錆が発生
P:5点以上の点錆が発生
(塩水噴霧後のさび進行距離)
樹脂組成物を塗装した鋼板について、塗板の非塗装部分を錆止め塗料で被覆し、塗装部分において対角線上に傷を入れた後、35℃の環境下で塩水噴霧(JIS K 5400に準拠)を行い、2週間後、4週間後及び6週間後のそれぞれの時点で、傷からの錆の進行距離(mm)を計測した。
【0078】
(2)コートフィルムのガスバリア性能
作製したコートフィルムのガスバリア性能は、酸素透過率及び酸素透過係数により評価した。
(酸素透過率)
コートフィルムについて、酸素透過率測定装置(モコン社製、商品名:OX−TRAN10/50A)を使用して、23℃、相対湿度60%の条件下での酸素透過率を測定した。
(酸素透過係数)
また、コートフィルムの塗布層の酸素透過係数を以下の式を用いて計算した。酸素透過係数が低いほどガスバリア性が高いことを示す。
1/Rcoat=1/R+DFT/P
ここで、Rcoat=コートフィルムの酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
R=コートフィルムにおける基材フィルムの酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
DFT=塗布層の厚み(mm)
P=塗布層の酸素透過係数(ml・mm/m2・day・MPa)
【0079】
(3)ラミネートフィルムのガスバリア性及びラミネート強度
作製したラミネートフィルムのガスバリア性能は、酸素透過率及び酸素透過係数により評価した。また、ラミネート強度は、以下の方法で測定した。
(酸素透過率)
ラミネートフィルムについて、酸素透過率測定装置(モコン社製、商品名:OX−TRAN10/50A)を使用して、23℃、相対湿度60%の条件下での酸素透過率を測定した。
(酸素透過係数)
また、塗布層の酸素透過係数を以下の式を用いて計算した。酸素透過係数が高いほどガスバリア性が低いことを示す。
1/Rlaminate=1/Rn(n=1,2,・・・)+DFT/P
ここで、Rlaminate=ラミネートフィルムの酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
Rn(n=1,2,・・・)=ラミネートフィルムにおける各基材フィルムの酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
DFT=塗布層の厚み(mm)
P=塗布層の酸素透過係数(ml・mm/m2・day・MPa)
(ラミネート強度)
JIS K 6854に準拠し、積層フィルムのラミネート強度をT型剥離試験により300mm/minの剥離強度(g/15mm)で測定した。また、同様の方法で、ラミネート直後(エージング前)における300mm/minの剥離速度でのラミネート強度(初期粘着力)を測定した。
【0080】
<エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤の調製>
エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤は以下の方法で調製した。なお、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤の調製は、内容積2Lのセパラブルフラスコを用い、これに真空シール付撹拌器、ジムロート冷却器、滴下ロート及び窒素ガス導入管を配備した温度調節可能な反応器を使用した。
【0081】
(エポキシ樹脂A)
反応器にエピクロロヒドリン740g(8モル)及び水36g(2モル)を加え、系に窒素気流(25ml/min)を流しつつ室温下から始めて3.5時間を要してメタキシリレンジアミン136g(1モル)を滴下した。滴下中及び滴下終了後2時間に亘って反応系の温度は35℃に保った。
次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド50%水溶液3.6g(0.008モル)を添加した後、48%苛性ソーダ水溶液375g(4.5モル)を30分かけて滴下した。さらに、3時間反応温度を35℃に保って第1次脱ハロゲン化水素反応を行った。
反応終了後、反応生成物に水480g(30モル)を加えて、析出した塩化ナトリウムを溶解し、静置、分液した。有機相に新たに水240g(15モル)を加えて洗浄し、分液した。次いで、有機相から未反応のエピクロロヒドリンを減圧下90℃において留去した。
得られた粗ポリグリシジルメタキシリレンジアミンにトルエン644g(7モル)を添加し、濾紙(No.1)を用いて濾過した。有機相に反応剤としてカリウム−t−ブトキシド7.2g(0.064モル)、触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド1.8g(0.008モル)を添加し、30℃において1時間を要して第2次脱ハロゲン化水素反応を行った。
次いで、水240g(15モル)を用いて2回有機相を水洗した。得られた有機相からトルエンを含む揮発分を減圧下、110℃を超えない温度で3時間かけて留去した。揮発分を充分除いた後、熱時に桐山ロート(40φ)を用いて濾過した。最終的に330g(収率91.6%)のポリグリシジルメタキシリレンジアミンを得た。
エポキシ樹脂A中の塩素含有量は、全塩素含有量4,600ppm、加水分解性塩素含有量210ppmであった。
【0082】
(エポキシ樹脂B)
エポキシ樹脂Aの調製において、粗ポリグリシジルメタキシリレンジアミンを溶解する溶剤として、トルエンの代わりにトルエン(520g)とジメチルスルホキシド(130g)との混合溶媒を用いた以外は、エポキシ樹脂Aと同様にしてエポキシ樹脂Bを調製した。
エポキシ樹脂B中の塩素含有量は、全塩素含有量2,950ppm、加水分解性塩素含有量205ppmであった。
【0083】
(エポキシ樹脂C)
エポキシ樹脂Aの調製において、第1次脱ハロゲン化水素反応工程を終え、第2次脱ハロゲン化水素反応工程を行うことなく水洗し、エピクロロヒドリンを含む揮発分を留去して最終製品を得る以外は、エポキシ樹脂Aと同様にしてエポキシ樹脂Cを調製した。
エポキシ樹脂C中の塩素含有量は、全塩素含有量8,600ppm、加水分解性塩素含有量は1,790ppmであった。
【0084】
(エポキシ樹脂D)
エポキシ樹脂Aの調製において、第2次脱ハロゲン化水素反応工程においてカリウム−t−ブトキシド7.2gに代えて苛性ソーダ12gを用いた以外は、エポキシ樹脂Aと同様にしてエポキシ樹脂Dを調製した。
エポキシ樹脂D中の塩素含有量は、全塩素含有量6,800ppm、加水分解性塩素含有量580ppmであった。
【0085】
(エポキシ樹脂硬化剤)
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。滴下終了後120℃で1時間撹拌し、さらに、生成するメタノールを留去しながら3時間で180℃まで昇温した後、100℃まで冷却し、固形分濃度が65質量%になるように所定量のメタノールを加え、エポキシ樹脂硬化剤を得た。
【0086】
実施例1
エポキシ樹脂硬化剤100質量部及びエポキシ樹脂A30質量部を配合し、これをメタノールに固形分濃度35質量%となるように溶解させ、そこに消泡剤(ビックケミー社製、商品名:BYK065)0.05質量部を加え、よく撹拌して塗布液(1)を得た。塗布液(1)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は59.9質量%であった。また、塗布液(1)中の全塩素含有量は1490ppm、加水分解性塩素含有量は60ppmであった。
(塗装鋼板の製造)
塗布液(1)を、グリッドブラスト処理した冷間圧延鋼板(40×150×6.0mm)に膜厚約40μmになるようにバーコーターを使用して塗布し、120℃で10分及び180℃で8分硬化させて皮膜を形成させて塗装鋼板を作製した。塗装鋼板の防錆性能の評価結果を表1に示す。
(コートフィルムの製造)
塗布液(1)を、厚み12μmの延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製、商品名:エステルフィルムE5100)にバーコーターNo.3を使用して塗布し(塗布量:1.0g/m2(固形分))、190℃で20秒乾燥させてコートフィルムを得た。コートフィルムの塗布層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.31ml・mm/m2・day・MPa、コートフィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率は257ml/m2・day・MPaであった。
【0087】
実施例2
エポキシ樹脂Aの代わりにエポキシ樹脂Bを用いた以外は実施例1と同様の方法で、塗布液(2)を調製し、該塗布液(2)を用いて塗装鋼板及びコートフィルムを作製した。塗布液(2)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は59.9質量%であった。また、塗布液(2)中の全塩素含有量は950ppm、加水分解性塩素含有量は60ppmであった。また、コートフィルムの塗布層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.32ml・mm/m2・day・MPa、コートフィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率は265ml/m2・day・MPaであった。
【0088】
実施例3
エポキシ樹脂硬化剤100質量部の代わりに400質量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で、塗布液(3)を調製し、該塗布液(3)を用いて塗装鋼板及びコートフィルムを作製した。塗布液(3)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は67.4質量%であった。また、塗布液(3)中の全塩素含有量は460ppm、加水分解性塩素含有量は20ppmであった。また、コートフィルムの塗布層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は1.2ml・mm/m2・day・MPa、コートフィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率は630ml/m2・day・MPaであった。
【0089】
実施例4
エポキシ樹脂硬化剤100質量部の代わりに40質量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で、塗布液(4)を調製し、該塗布液(4)を用いて塗装鋼板及びコートフィルムを作製した。塗布液(4)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は52.7質量%であった。また、塗布液(4)中の全塩素含有量は2470ppm、加水分解性塩素含有量は110ppmであった。また、コートフィルムの塗布層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.50ml・mm/m2・day・MPa、コートフィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率は363ml/m2・day・MPaであった。
【0090】
比較例1
エポキシ樹脂A30質量部の代わりにビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂(三菱化学(株)製、商品名:エピコート828)を120質量部用いた以外は実施例1と同様の方法で、塗布液(c1)を調製し、該塗布液(c1)を用いて塗装鋼板を作製した。塗布液(c1)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は20.4質量%であった。また、塗布液(c1)中の全塩素含有量は1300ppm、加水分解性塩素含有量は30ppmであった。また、コートフィルムの塗布層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は4.2ml・mm/m2・day・MPa、コートフィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率は1012ml/m2・day・MPaであった。
【0091】
比較例2
エポキシ樹脂A30質量部の代わりにエポキシ樹脂C75質量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で、塗布液(c2)を調製し、該塗布液(c2)を用いて塗装鋼板及びコートフィルムを作製した。塗布液(c2)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は52.7質量%であった。また、塗布液(c2)中の全塩素含有量は4610ppm、加水分解性塩素含有量は980ppmであった。また、コートフィルムの塗布層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.31ml・mm/m2・day・MPa、コートフィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率は250ml/m2・day・MPaであった。
【0092】
比較例3
エポキシ樹脂A30質量部の代わりにエポキシ樹脂D75質量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で、塗布液(c3)を調製し、該塗布液(c3)を用いて塗装鋼板及びコートフィルムを作製した。塗布液(c3)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は52.7質量%であった。また、塗布液(c3)中の全塩素含有量は3650ppm、加水分解性塩素含有量は320ppmであった。また、コートフィルムの塗布層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.32ml・mm/m2・day・MPa、コートフィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率は262ml/m2・day・MPaであった。
【0093】
【表1】

【0094】
表1から、塗布液(エポキシ樹脂組成物)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量が30質量%未満である比較例1では、ガスバリア性が低く、また、耐食性に劣ることがわかる。また、ハロゲン含有量が0.6質量%(6000ppm)を超えるエポキシ樹脂C及びDを用いた比較例2及び3では、10週後に顕著にさびが進行し、耐食性に劣ることがわかる。
これに対し、塗布液(エポキシ樹脂組成物)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量が30質量%であり、かつ、エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂中のハロゲン含有量が0.6質量%以下(6000ppm以下)である実施例1〜4は、いずれも優れたガスバリア性及び耐食性を示す。すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、優れたガスバリア性及び耐食性を両立することができる。
【0095】
実施例5
エポキシ樹脂硬化剤100質量部及びエポキシ樹脂A30質量部を配合し、これをメタノール/酢酸エチル=9/1(質量比)溶液に固形分濃度35質量%となるように溶解させ、そこに消泡剤(ビックケミー社製、商品名:BYK065)0.05質量部を加え、よく撹拌し、ザーンカップ(No.3)粘度14秒(25℃)の塗布液(5)を得た。塗布液(5)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は59.9質量%であった。また、塗布液(5)中の全塩素含有量は1480ppm、加水分解性塩素含有量は70ppmであった。
(ラミネートフィルムの製造)
塗布液(5)を、厚み15μmの延伸ナイロンフィルム(東洋紡績(株)製、商品名:ハーデンN1102)に110線/インチ深さ95μmグラビアロールを使用して接着剤を塗布し(塗布量:3.8g/m2(固形分))、次いで60℃(入り口付近)〜90℃(出口付近)の乾燥オーブンで乾燥させた後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)製、商品名:TUX−MCS)を70℃に加熱したニップロールにより貼り合わせ、巻取り速度120m/minで巻取り、40℃で2日間エージングすることによりラミネートフィルムを得た。ラミネートフィルムの塗布層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.31ml・mm/m2・day・MPa、ラミネートフィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率は76ml/m2・day・MPaであった。また、ラミネートフィルムの剥離強度は950g/15mm、初期粘着力は70g/15mmであった。
【0096】
実施例6
エポキシ樹脂Aの代わりにエポキシ樹脂Bを用いた以外は実施例5と同様の方法で、塗布液(6)を調製し、該塗布液(6)を用いてラミネートフィルムを作製した。塗布液(6)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は59.9質量%であった。また、塗布液(6)中の全塩素含有量は960ppm、加水分解性塩素含有量は70ppmであった。また、ラミネートフィルムの塗布層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.32ml・mm/m2・day・MPa、ラミネートフィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率は75ml/m2・day・MPaであった。また、ラミネートフィルムの剥離強度は890g/15mm、初期粘着力は65g/15mmであった。
【0097】
実施例7
(コートフィルムの製造)
エポキシ樹脂硬化剤100質量部及びエポキシ樹脂A30質量部を配合し、これをメタノール/酢酸エチル=5/5(質量比)溶液に固形分濃度20質量%となるように溶解させ、そこに硬化促進剤(ドデシルベンゼンスルホン酸のアミン塩)4.5質量部、シランカップリング剤(チッソ(株)製、商品名:サイラエースS330)4.5質量部、消泡剤(ビックケミー社製、商品名:BYK065)0.05質量部を加え、よく撹拌して塗布液(7)を得た。塗布液(7)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は59.9質量%であった。また、塗布液(7)中の全塩素含有量は1490ppm、加水分解性塩素含有量は70ppmであった。
(コートフィルムの製造)
この塗布液(7)を使用して実施例1と同様の方法でコートフィルムを作製した。コートフィルムの塗布層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.32ml・mm/m2・day・MPa、コートフィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率は264ml/m2・day・MPaであった。
【0098】
実施例8
エポキシ樹脂Aの代わりにエポキシ樹脂Bを用いた以外は実施例7と同様の方法で、塗布液(8)を調製し、該塗布液(8)を用いてコートフィルムを作製した。塗布液(8)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量は59.9質量%であった。また、塗布液(8)中の全塩素含有量は960ppm、加水分解性塩素含有量は70ppmであった。また、コートフィルムの塗布層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.31ml・mm/m2・day・MPa、コートフィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率は270ml/m2・day・MPaであった。
【0099】
【表2】

【0100】
表2から、塗布液(エポキシ樹脂組成物)中の前記一般式(1)で表される骨格構造の含有量が30質量%であり、かつ、エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂中のハロゲン含有量が0.6質量%以下(6000ppm以下)である実施例5〜6のラミネートフィルム及び実施例7〜8のコートフィルムは、いずれも優れたガスバリア性を示すことがわかる。また、実施例5〜6のラミネートフィルムは、接着強度が十分であり、従来使用されているエポキシ樹脂接着剤に代えて本発明のエポキシ樹脂組成物を利用してなるラミネート用接着剤を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明のガスバリア性エポキシ樹脂組成物は、酸素やガソリン等の透過防止、防錆、防食を目的とする塗料、及び酸素や臭気成分等に対して高いガスバリア性が要求される食品や医薬品等の包装材料に用いるラミネート用接着剤等の広い産業分野に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含むガスバリア性エポキシ樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂中のハロゲン含有量が0.6質量%以下であり、前記エポキシ樹脂及び/又はエポキシ樹脂硬化剤が下記一般式(1)で表される骨格構造を分子内に有し、かつ該樹脂組成物中の下記一般式(1)で表される骨格構造の含有量が30質量%以上である、ガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
【化1】

【請求項2】
前記一般式(1)で表される骨格構造を分子内に有する前記エポキシ樹脂が、下記工程(I)〜(IV)を含む方法によって得られる下記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂である、請求項1に記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
工程(I):水の存在下、下記一般式(3)で表されるジアミンと、該ジアミンに対して化学量論的に過剰量の下記一般式(4)で表されるエピハロヒドリンとを反応させる付加反応工程
工程(II):工程(I)で得られた付加反応生成物を、少なくとも1種のオニウム塩化合物の共存下、ハロゲン除去反応剤と反応させる第一次脱ハロゲン化水素反応工程
工程(III):工程(II)の反応生成物から未反応のエピハロヒドリンを留去して粗ポリグリシジルアミノ化合物を得、該粗ポリグリシジルアミノ化合物を、少なくとも1種のオニウム塩化合物の共存下、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属フェノキシドと反応させる第二次脱ハロゲン化水素反応工程、及び
工程(IV):工程(III)で得られる反応生成物を水洗する工程
【化2】

(一般式(2)中、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を表す。)
【化3】

【化4】

(一般式(4)中、Xは塩素原子又は臭素原子を表し、Rは一般式(2)におけるRと同義である。)
【請求項3】
前記オニウム塩化合物がベンジルトリエチルアンモニウムクロリドである、請求項2に記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記アルカリ金属アルコキシドがカリウム−t−ブトキシドである、請求項2又は3に記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
前記工程(III)において、粗ポリグリシジルアミノ化合物を、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル及びN−メチルピロリドンからなる群より選ばれる1種以上を含有する溶媒に溶解させてから、少なくとも1種のオニウム塩化合物の共存下、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属フェノキシドと反応させる、請求項2〜4のいずれかに記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
前記溶媒がジメチルスルホキシドを含有する、請求項5に記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなる塗料。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなるラミネート用接着剤。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなるアンカーコート剤。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性エポキシ樹脂組成物を利用してなるガスバリアコート剤。
【請求項11】
請求項7に記載の塗料を使用して作製した塗膜。
【請求項12】
請求項8に記載のラミネート用接着剤を使用して作製したラミネートフィルム。
【請求項13】
請求項9に記載のアンカーコート剤を使用し、押出しラミネート法により作製したラミネートフィルム。
【請求項14】
請求項10に記載のガスバリアコート剤を使用して作製したコートフィルム。

【公開番号】特開2012−184294(P2012−184294A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46998(P2011−46998)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】