説明

ガス冷却式電気設備

本発明は、少なくともローター(1)と、ステーター(2)と、ステーターの周囲を取り囲むステーター筐体(3)と、巻線頭部空間(5)とを有するガス冷却式電気設備(13)、特に、ガス冷却式発電機に関する。この場合、ローター(1)内とステーター(2)内の両方には、冷却ガス用の流路が配備されており、巻線頭部空間(5)、特に、その中に配置されたコネクター(7)及び/又は分流加減器(7)には、ローター(1)から流出した冷却ガス流(8)の少なくとも一部が吹き当てられる。特に目的通りで、制御された形の冷却を実現することができるように、少なくともコネクター(7)及び分流加減器(7)が、冷却ガス流(8)を誘導するための少なくとも一つのガイド機器(14)の作用範囲内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス冷却式電気設備、特に、ガス冷却式発電機に関する。更に、本発明は、そのような電気設備の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機として構成された電気設備は、通常ローター、ステーター及びステーターを取り囲む筐体を有する。その場合、溝内に重ね合わせて配置され、互いに絶縁された部分導体から成るステーター巻線ロッドは、ステーター本体内、特に、ステーター板状本体内に配置されており、その正面側では、巻線頭部空間内に突出している。そこでは、ステーター巻線ロッドが、半径方向及び円周方向に曲げられて、それらの終端が、巻線と電気的及び機械的に接続されている。その場合、巻線頭部空間は、ステーター巻線頭部及びコネクター、分流加減器などを収容している。ステーター巻線を間接的に冷却する電気設備では、ガス状の冷媒、通常冷気は、ローターのローターハブの領域に導入されている。その冷媒は、ステーターのほぼ半径方向に延びる流路に吹き当たって、ステーター巻線を冷却することを目的として、ローターリムのスリットを通って空隙内に流出している。冷却ガス流の部分フローは、軸方向に向かって巻線頭部空間の方向に偏向されて、そこに配置された構成部品、特に、コネクター及び分流加減器を冷却するために使用されている。それに代わって、この部分フローは、ローターの正面側に取り付けられた換気機器、特に、送風機又は巻線頭部の領域に配置された外部送風機によって供給することもできる。この場合、特に、最新の高出力装置では、コネクター及び分流加減器の確実な冷却は、益々高まってきた挑戦すべき課題である。巻線溝内に埋め込まれた巻線部分が目的通り冷却される一方、巻線頭部空間内に露出している巻線部分、特に、コネクター及び分流加減器は、過熱する危険性に曝されている。コネクター及び分流加減器は、言わば、巻線頭部のスリップストリーム内に位置するために、所定通りの冷却を実現することは難しい。更に、その領域における冷却ガス流の流速は遅く、冷却ガス流は一様に分散されておらず、その結果全体としてフローパラメータを制御することは難しい。
【0003】
更に、巻線頭部を貫流する際の圧力損失及びフローの偏向は、その後に配置された冷却すべき構成部品への吹き当てを不均一にするとともに、流速を比較的遅くしてしまい、その結果必然的にそれらの構成部品の冷却が少なくとも局所的に不十分となる危険性を生じさせるように作用する。この領域における冷却ガス流の体積流を理論的に可能な程度に上昇させることは、この問題を大きく軽減させることにはならない。
【0004】
それに対して、ステーター巻線を直接的に冷却する電気設備では、空洞の導管を流れる冷却ガスが、導体ロッドの十分な冷却を生じさせるので、前記の問題は発生しない。しかし、そのような導体ロッドを直接的に冷却するための措置は、多大な負担を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここから、本発明の説明を始める。本発明の課題は、請求項に記載されている通り、巻線頭部空間の構成部品、特に、コネクター及び分流加減器の確実な冷却を保証するとともに、その際に小さい負担で製造及び/又は改造することが可能なガス冷却式電気設備、特に、空冷式発電機の冷却ガス誘導方式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明にもとづき、独立請求項に記載された内容によって解決される。有利な実施構成は、従属請求項に記載された内容である。
【0007】
本発明は、ガス冷却式電気設備において、所定のフロー状況を設定することを目的として、その巻線頭部の領域にフローを誘導するためのガイド機器を配置して、過熱する危険に曝されている構成部品に冷却ガスを目的通り供給することができるようにするとの共通の技術思想をベースとする。そうすることによって、従来制御されていなかった冷却ガス流を巻線頭部空間内に配置された構成部品に本発明にもとづき目的通り誘導して供給し、それによって、構成部品の耐用年数を高めることとなる構成部品の確実な冷却が実現される。
【0008】
本発明の目的に適うこととして、このガイド機器は、半径方向に対してコネクター及び分流加減器の外側に位置する少なくとも一つのガイド部材と、半径方向に対してコネクター及び分流加減器の内側に位置する少なくとも一つのガイド部材とを有する。この場合、互いに間隔を開けて配置された両方のガイド部材は、冷却すべき構成部品を所定のフロー条件に曝すとともに、特に、冷却ガス流の速度上昇を起こすことが可能な冷却ガス流路を構成し、それによって、先に述べた構成部品の確実な冷却を保証することができる。
【0009】
本発明の解決策の有利な改善構成では、ガイド部材のステーター筐体と逆側の端部は、冷却ガス流用の入口を構成する。そのように形成された、両方のガイド部材によって構成される流路内に明確なフロー状況を設定するには、冷却ガス用の流入開口部又は流出開口部を相応に配置することが必要である。同時に、ガイド部材により構成される所定の入口が、所定の流入横断面を形成し、それによって、巻線頭部空間内に配置された構成部品の精確に規定した冷却ガス流又は所定の確実な冷却が実現されることとなる。
【0010】
一般的に、本発明の利点は、本発明にもとづき冷却ガス流が目的通り誘導され、それによって、コネクター及び分流加減器の領域において、明確なフロー状況と流速の上昇が実現されることである。
【0011】
本発明による設備の更に別の重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面及び以下の図面にもとづく図の説明から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の有利な実施例を図面に図示するとともに、以下の記述で詳しく説明するが、同じ符号は、同一の又は同様な、或いは機能的に同じ構成部分を示す。
【0013】
図2に対応して、電気設備13、特に、発電機は、ローター1とその周りを取り囲むステーター2とを有し、ステーター2は、互いに間隔を開けた本体部分、特に、板状の本体部分から成るステーター本体、特に、ローターリムと同様に、分割された部分、特に、金属板から構成され、隣接する板状の本体部分間を半径方向に延びる冷却用スリットを備えた板状のステーター本体を有する。この板状のステーター本体は、一方の側を図示されていない台座上で支持され、他方の側を垂直及び水平方向の力を軸受から受けて、支持構造に伝える支持ブラケットと接続されたステーター支持構造によって取り囲まれている。
【0014】
更に、この設備13は、巻線頭部カバー4を備えた巻線頭部空間5を有し、巻線頭部空間5内には、構成部品7、特に、コネクター7及び分流加減器7が配置されている。これらの巻線頭部空間5内の構成部品7を冷却するために、ローター1から流出した冷却ガスの冷却ガス流8、特に、部分フロー8は、軸方向に偏向されて、ステーター2の正面側の方向に向かって巻線頭部6の方に誘導されている。そこでは、(部分的な)冷却ガス流8が、又もや半径方向への偏向を受けて、先ずは巻線頭部6を貫流し、次に半径方向に対して更に外側に配置されたコネクター7及び分流加減器7の周囲を流れるようになっている。更に進むと、冷却ガスは、開口部12を介してステーター筐体3内に流出又は吸入されて、電気設備13の冷却方式に応じて、排出されるか、或いは冷却器に供給される。その後に配置された冷却すべき構成部品7への吹き当てを不均一にするとともに、流速を比較的遅くして、その結果必然的にそれらの構成部品7の冷却が少なくとも局所的に不十分となる危険性を生じさせるように作用する、巻線頭部6を貫流する際の圧力損失及びフローの偏向を回避するために、少なくともコネクター7及び分流加減器7は、冷却ガス流8を誘導するための少なくとも一つのガイド機器14の作用範囲内に配置されており、このガイド機器は、半径方向に対して構成部品7の外側に位置する少なくとも一つのガイド部材10と、半径方向に対して構成部品7の内側に位置する少なくとも一つのガイド部材9とを有する。この場合、両方のガイド部材9,10は、有利には、互いに間隔を開けた、円周方向にリング状に延びる二つの壁面の形で構成されるとともに、一緒になって(部分的な)冷却ガス流8のための流路形式の誘導部を形成する。
【0015】
ガイド部材9,10のステーター筐体3の側の端部は、ステーター筐体と機械的に接続されている。この場合、半径方向に対して内側のガイド部材9と半径方向に対して外側のガイド部材10は、それらが構成部品7、特に、コネクター7及び分流加減器7を完全に包み込むように、ステーター筐体3上において、有利には、ステーター筐体に対してほぼ垂直に、かつ互いに平行に配置されている。コネクター7は、複数の相異なる平面(選定した実施例では、重なり合う五つの平面)、ここでは、水平な平面内に配置されているので、ガイド部材9,10は、それに対応して、コネクター7及び分流加減器7の周りを取り囲んで包み込むために、それに適合した軸方向の延びを有する。この場合、ガイド部材9,10は、一般的に相異なる軸方向の延びを持つことができ、特に、半径方向に対して内側のガイド部材9の軸方向の延びは、半径方向に対して外側のガイド部材10よりも短くすることができる。
【0016】
両方のガイド部材9,10のステーター筐体3と逆側の端部は、冷却ガス流8のための入口11を構成する。この場合、図1では、構成部品7を取り囲む形で形成された流路は、上方に向かって開いている。
【0017】
このような構成によって、ガス状の冷媒が制御されない形又は不均一な形でコネクター7及び分流加減器7に吹き当たることを防止している。冷却ガス流8が、半径方向に向かって巻線頭部6を貫流した後、先ずは構成部品7に直接的に制御されない形で吹き当たることを防止している。それによって、内側のガイド部材9は、その表面に沿って、そのステーター2と逆側の開放端にまで冷却ガス流8を軸方向に偏向させるように作用する。そこでは、支配的な圧力状況の結果、ガイド部材9,10によって構成される流路内へのフローの偏向が起こる。ガイド部材9,10間の有効なフロー横断面11が制限されているために、冷却ガス流の収斂と加速が起こり、その結果冷却ガスが強力に、かつ制御された形で構成部品7に吹き当たることとなる。従って、速度が低下した冷却ガス流が、巻線頭部6のスリップストリーム内に位置するコネクター7及び分流加減器7に制御されない形で吹き当たることが防止される。
【0018】
この場合、端部を開放したガイド部材9,10の構成は、非常に簡単であり、安価に製造及び/又は改造することが可能である。しかし、そのような構成は必須ではない。それに代わって、ガイド部材9,10間の入口11における構造上の好適な措置によって、冷却すべき構成部品7に(部分的な)冷却ガス流8を最適に吹き当てることを支援することも提案する。即ち、例えば、前述した通り、ガイド部材9,10を異なる長さで、つまり、軸方向の延びが異なるように構成して、例えば、半径方向に対して内側のガイド部材9をより短く構成することが考えられる。流入する冷却ガス流8の方向又はそのフロー横断面11に渡る体積流の分布を所望の通り制御するために、そのようなガイド部材9,10の領域に、例えば、バッフルプレートなどのフロー誘導機器を配置することも考えられる。それは、特に、流入する冷却ガスを均一化する、或いは場合によっては目的通りに不均一化するようにも作用することができ、その場合常に冷却すべき構成部品7への最適な吹き当てを実現するようにする。
【0019】
一般的に、半径方向に対して外側のガイド部材10は、巻線頭部カバー4の外壁の少なくとも一部を構成することができる。更に、図1に図示されている通り、両方のガイド部材9,10のステーター筐体3の側の端部は、ステーター筐体3と固く接続されており、冷却ガス流8は、開口部12を通してステーター筐体3内に吸入することができる。
【0020】
従って、本発明による設備13によって、精確に規定された冷却ガス流を生成するとともに、それによって、構成部品7、特に、コネクター7及び/又は分流加減器7の必要に応じた冷却を実現することが可能となり、そうすることによって、特に、設備13の耐用年数を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による電気設備の巻線頭部領域における冷却ガスの誘導を改善した構成の細部の模式図
【図2】本発明による図1の構成を適用することができる従来技術による電気設備の断面の模式図
【符号の説明】
【0022】
1 ローター
2 ステーター
3 ステーター筐体
4 巻線頭部カバー
5 巻線頭部空間
6 巻線頭部
7 構成部品、コネクター、分流加減器
8 部分フロー/冷却ガス流
9 半径方向に対して内側のガイド部材
10 半径方向に対して外側のガイド部材
11 入口/流入横断面
12 冷却ガスをステーター筐体3内に吸入するための開口部
13 電気設備
14 ガイド機器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス冷却式電気設備(13)、特に、ガス冷却式発電機であって、
・少なくともローター(1)と、ステーター筐体(3)が周囲を取り囲むステーター(2)と、巻線頭部空間(5)とを有し、
・ローター(1)内とステーター(2)内の両方に、冷却ガス用の流路が配備されており、
・巻線頭部空間(5)、特に、その中に配置された巻線頭部(6)、コネクター(7)及び/又は分流加減器(7)には、ローター(1)から流出した、或いは換気機器が発生させた冷却ガス流(8)の少なくとも一部が吹き当てられ、
・少なくともコネクター(7)及び分流加減器(7)が、冷却ガス流(8)を誘導するための少なくとも一つのガイド機器(14)の作用範囲内に配置されている、
ガス冷却式電気設備。
【請求項2】
ガイド機器(14)が、半径方向に対してコネクター(7)及び分流加減器(7)の外側に位置する少なくとも一つのガイド部材(10)と、半径方向に対してコネクター(7)及び分流加減器(7)の内側に位置する少なくとも一つのガイド部材(9)とを有することを特徴とする請求項1に記載のガス冷却式電気設備。
【請求項3】
ガイド部材(9,10)が、互いに間隔を開けた、円周方向にリング状に延びる二つの壁面の形で構成されていることを特徴とする請求項2に記載のガス冷却式電気設備。
【請求項4】
ガイド部材(9,10)が、ステーター筐体(3)と機械的に接続されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のガス冷却式電気設備。
【請求項5】
ガイド部材(9,10)のステーター筐体(3)と逆側の端部が、冷却ガス流(8)用の入口(11)を構成することを特徴とする請求項2から4までのいずれか一つに記載のガス冷却式電気設備。
【請求項6】
ガイド部材(9,10)の軸方向の延びが異なることを特徴とする請求項2から5までのいずれか一つに記載のガス冷却式電気設備。
【請求項7】
半径方向に対して内側のガイド部材(9)の軸方向の延びが、半径方向に対して外側のガイド部材(10)の軸方向の延びよりも短いことを特徴とする請求項6に記載のガス冷却式電気設備。
【請求項8】
少なくとも一つのガイド部材(9,10)のステーター筐体(3)と逆側の端部が、フロー誘導機器を備えていることを特徴とする請求項2から7までのいずれか一つに記載のガス冷却式電気設備。
【請求項9】
半径方向に対して外側のガイド部材(10)が、巻線頭部カバー(4)の外壁の少なくとも一部を構成することを特徴とする請求項2から8までのいずれか一つに記載のガス冷却式電気設備。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一つに記載の電気設備(13)、特に、ガス冷却式発電機の冷却方法であって、
巻線頭部空間(5)の領域内において、冷却ガス流(8)の少なくとも一部を半径方向に対して内側のガイド部材(9)と半径方向に対して外側のガイド部材(10)の間に導入させ、それによって加速させて、その結果目的通り速度を上昇させた冷却ガス流(8)を巻線頭部空間(5)内に配置された構成部品(7)、特に、コネクター(7)及び/又は分流加減器(7)に吹き当てる方法。
【請求項11】
冷却ガス流(8)を巻線頭部空間(5)の領域内において偏向させて、軸方向に向かってステーター筐体(3)、コネクター(7)及び/又は分流加減器(7)の方に流すことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
冷却ガス流(8)を開口部(12)を通してステーター筐体(3)内に吸入することを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−524380(P2009−524380A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549888(P2008−549888)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050375
【国際公開番号】WO2007/082877
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】