説明

ガス化炉の廃棄物供給装置およびガス化炉への廃棄物供給方法

【課題】廃棄物の定量供給性能がより優れたガス化炉の廃棄物供給装置を提供する。
【解決手段】廃棄物供給装置1を構成するシールシュート部7の垂直シュート部分7aに設けられ、外部空気のガス化炉内への流入を阻止するシール機能を有し、交互に開閉操作される上部ダンパ11と下部ダンパ12のうち、前記下部ダンパ12を、シールシュート部7の水平シュート部分7bの幅方向の中心をとおる長手方向の中心線Lcと平行であって、かつ垂直シュート部分7aの相反する内壁側に設けられた下部支持軸12pを介して開閉される下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bとからなり、閉状態における下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bの先端部の併合線12cが、前記中心線Lcの上方に位置するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス化炉に下水汚泥、都市ごみ等の廃棄物を連続的に供給するガス化溶融炉の廃棄物供給装置およびガス化炉への廃棄物供給方法に係り、より詳しくは、廃棄物の定量供給性能に優れたガス化炉の廃棄物供給装置およびガス化炉への廃棄物供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、下水汚泥、都市ごみ等の廃棄物の減容化と灰の無害化を同時に実現することを可能ならしめるようにしたガス化溶融炉が注目されている。このガス化溶融炉は、ガス化炉(500〜600℃)で下水汚泥、都市ごみ等の廃棄物をガス化して、廃棄物を可燃ガスと固定炭素分と灰分とに分解する。次いで、分解した可燃ガスと固定炭素分を溶融炉で燃焼させることにより溶融炉内の温度を1300℃以上にして灰分を溶融すると共に、溶融スラグを、例えば水冷することにより水冷スラグとするものである。
【0003】
ガス化炉に廃棄物を供給する廃棄物供給装置には、廃棄物の定量供給性と、シール性が求められる。
(1)廃棄物の定量供給性
廃棄物の供給量の変動を極力少なくすることにより燃焼を安定させる。これにより、溶融炉の温度も安定するため、灰分の溶融性も安定する。
(2)シール性
ガス化炉への外部空気の流入と、ガス化炉からの可燃ガス(CO,H,CH等)の漏れ出しを防止する。
ガス化炉の廃棄物供給装置としては、例えば、シュート内に二重ダンパが設けられた構成のものが知られている。
【0004】
以下、従来例に係るガス化炉の廃棄物供給装置(可燃物供給装置)を、添付図面を参照しながら説明する。図3は、従来例に係る流動層ガス化炉およびこの流動層ガス化炉に可燃物(以下、廃棄物という)を供給する可燃物供給装置(以下、廃棄物供給装置という)の概略構成を示す図である。図4に示す符号50は、流動層ガス化炉(以下、ガス化炉という)であって、このガス化炉50の廃棄物投入口53にモータ68で駆動されるスクリュコンベヤ64を具備する廃棄物供給機構62が設けられ、この廃棄物供給機構62に接続された二重のダンパ59,59を具備するシュート63が設けられると共に、このシュート63に接続されたコンベヤ65が設けられている。
【0005】
クレーン61等によりホッパ66に投入された廃棄物54は、コンベヤ65により運び上げられ、このコンベヤ65の先端からシュート63の上部開口に投入される。このシュート63に投入された廃棄物54は、シール機能を有する二重のダンパ59,59の動作により間欠的に廃棄物供給機構62に投入される。廃棄物供給機構62はそのスクリュコンベヤ64により、間欠的に投入された廃棄物の間欠性を緩和して所定の一定量で連続的(定量的)にガス化炉50に投入される。
【0006】
ガス化炉50に投入された廃棄物54は、底部の風箱から流入する流動化ガス52により流動している流動層51内の還元雰囲気下でガス化され、ガス化された生成ガス57は流動層51内を抜け出し、フリーボード55を通って生成ガス出口56から図示しない溶融炉に導かれる。この場合、シュート63から間欠的に供給された廃棄物54は廃棄物供給機構62のスクリュコンベヤ64の作用により、略一定量で連続的(定量的)に供給されるから、流動化ガス52の供給制御や炉内温度制御等のガス化炉50の安定したガス化運転を行うための制御が極めて容易となる。しかも、二重のダンパ59,59のシール機能により、廃棄物投入口5からガス化炉50内にリークする外部空気も阻止することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−56822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来例に係るガス化炉の廃棄物供給装置は、シュートに二重ダンパが設けられているから、シール性に関して優れており、またこの廃棄物供給機構はスクリュコンベヤを備えているから、ガス化炉に対する廃棄物の定量供給性もそれなりに優れていると考えられる。しかしながら、この従来例に係るガス化炉の廃棄物供給装置の廃棄物の定量供給性の観点からすれば、必ずしも十分であるとはいえず、不十分である。
【0008】
(1)下側のダンパを開閉自在に支持する支持軸は、シュートのガス化炉側の内壁側に設けられている関係上、廃棄物は廃棄物供給機構62のスクリュコンベヤ64のガス化炉から最も離反した位置に供給される。従って、廃棄物がガス化炉の廃棄物投入口に到達するまでに時間を要する結果、スクリュコンベヤ64上に廃棄物が少ない時間が存在するために、ガス化炉への廃棄物の供給量が変動する。
(2)廃棄物供給機構のスクリュコンベヤが、水平面上おいて互いに平行な回転中心を有する一対の搬送スクリュを備えている場合、スクリュコンベヤの幅方向と長手方向に亘って廃棄物のボリュームに偏りが生じる。より詳しくは、スクリュコンベヤの長手方向に渡って、廃棄物の左側のボリュームが多くなる部分と右側のボリュームが多くなる部分とが生じるため、ガス化炉への廃棄物の供給量が変動する。
【0009】
従って、本発明の目的は、廃棄物の定量供給性能がより優れたガス化炉の廃棄物供給装置およびガス化炉への廃棄物供給方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、従って上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るガス化炉の廃棄物供給装置が採用した手段の要旨は、外部空気のガス化炉内への流入を阻止するシール機能を有し、交互に開閉操作される上部ダンパと下部ダンパとが上下方向に所定の間隔を隔てて設けられた垂直シュート部分と、この垂直シュート部分の下端部に連なり、前記下部ダンパを経て供給される廃棄物を前記ガス化炉の方向に搬送する廃棄物搬送装置が設けられた水平シュート部分とからなるシールシュート部を具備する廃棄物供給シュートを備えてなるガス化炉の廃棄物供給装置において、前記下部ダンパは、前記水平シュート部分の幅方向の中心をとおる長手方向の中心線と平行であって、かつ前記垂直シュート部分の相反する内壁側に設けられた支持軸を介して開閉される下部左側ダンパと下部右側ダンパとからなり、閉状態における下部左側ダンパと下部右側ダンパの先端部の併合線は、前記中心線の上方に位置するように構成されてなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項2に係るガス化炉の廃棄物供給装置が採用した手段の要旨は、請求項1に記載のガス化炉の廃棄物供給装置において、前記下部ダンパの下部左側ダンパと下部右側ダンパは、閉状態においては支持軸側から先端側に向うに連れて低位置になるように構成されてなることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項3に係るガス化炉の廃棄物供給装置が採用した手段の要旨は、請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載のガス化炉の廃棄物供給装置において、前記廃棄物搬送装置は、水平面上おいて互いに平行な回転中心を有する一対の搬送スクリュを備えたスクリュコンベヤであることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項4に係るガス化炉の廃棄物供給装置が採用した手段の要旨は、請求項3に記載のガス化炉の廃棄物供給装置において、前記スクリュコンベヤの先端前方位置に、このスクリュコンベヤにより搬送されてきた廃棄物を解砕する廃棄物解砕機を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項5に係るガス化炉への廃棄物供給方法が採用した手段の要旨は、外部空気のガス化炉内への流入を阻止するシール機能を有し、交互に開閉操作される上部ダンパと下部ダンパとが上下方向に所定の間隔を隔てて設けられた垂直シュート部分と、この垂直シュート部分の下端部に連なり、前記下部ダンパを経て供給される廃棄物を前記ガス化炉の方向に搬送する廃棄物搬送装置が設けられた水平シュート部分とからなるシールシュート部を具備する廃棄物供給シュートを備えてなる廃棄物供給装置によるガス化炉への廃棄物供給方法おいて、前記上部ダンパを閉めた後、前記下部ダンパを、前記水平シュート部分の幅方向の中心をとおる長手方向の中心線と平行であって、かつ前記垂直シュート部分の相反する内壁側に設けられた支持軸を支点として両開きさせ、前記上部ダンパが開かれた際に受け取った廃棄物を、前記廃棄物搬送装置で搬送するために、前記中心線に向かって落下させることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項6に係るガス化炉への廃棄物供給方法が採用した手段の要旨は、請求項5に記載のガス化炉への廃棄物供給方法において、前記廃棄物搬送装置で搬送されてきた廃棄物を、廃棄物解砕機により解砕しながらガス化炉に供給することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に係るガス化炉の廃棄物供給装置では、下部ダンパは、廃棄物供給シュートが具備するシールシュート部の水平シュート部分の幅方向の中心をとおる長手方向の中心線と平行であって、かつ廃棄物供給シュートが具備するシールシュート部の垂直シュート部分の相反する内壁側に設けられた支持軸を介して開閉される下部左側ダンパと下部右側ダンパとからなり、閉状態における下部左側ダンパと下部右側ダンパの先端部の併合線は、前記中心線の上方に位置するように構成されている。また、本発明の請求項5に係るガス化炉への廃棄物供給方法では、上部ダンパを閉めた後、下部ダンパを、水平シュート部分の幅方向の中心をとおる長手方向の中心線と平行であって、かつ垂直シュート部分の相反する内壁側に設けられた支持軸を支点として両開きさせ、前記上部ダンパが開かれた際に受け取った廃棄物を、廃棄物搬送装置で搬送するために、前記中心線に向かって落下させる。
【0017】
従って、本発明の請求項1に係るガス化炉の廃棄物供給装置、または本発明の請求項5に係るガス化炉への廃棄物供給方法によれば、廃棄物搬送装置に、下部ダンパのガス化炉方向の寸法に応じた長さの廃棄物を供給することができ、しかも廃棄物は下部左側ダンパと下部右側ダンパとが開き始めた直後は廃棄物搬送装置の幅方向の中心に落下し、開き幅が広くなるに連れて幅方向の中心から離れる方向にも落下するようになる。そのため、廃棄物搬送装置上の廃棄物のガス化炉方向の長さ方向の各位置における横断断面形状は山形状になり、廃棄物の左右のボリュームの偏りが少なくなるから、廃棄物のガス化炉への定量供給性能が向上する。
【0018】
本発明の請求項2に係るガス化炉の廃棄物供給装置では、下部ダンパの下部左側ダンパと下部右側ダンパは、閉状態においては支持軸側から先端側に向うに連れて低位置になるように構成されている。従って、本発明の請求項2に係るガス化炉の廃棄物供給装置によれば、下部左側ダンパと下部右側ダンパの上面は開く前から傾斜していて、ホッパ状に形成されているため、前記下部左側ダンパと下部右側ダンパとが開き始めると、能率よく廃棄物を廃棄物搬送装置上に供給することができる。
【0019】
本発明の請求項3に係るガス化炉の廃棄物供給装置では、廃棄物搬送装置は、水平面上おいて互いに平行な回転中心を有する一対の搬送スクリュを備えたスクリュコンベヤである。従って、本発明の請求項3に係るガス化炉の廃棄物供給装置によれば、下部ダンパのガス化炉方向の寸法に応じた長さの廃棄物が下部ダンパから、スクリュコンベヤの一対の搬送スクリュの間に供給される。
【0020】
本発明の請求項4に係るガス化炉の廃棄物供給装置では、スクリュコンベヤの先端前方位置に、このスクリュコンベヤで搬送されてきた廃棄物を解砕する廃棄物解砕機が設けられている。また、本発明の請求項6に係るガス化炉への廃棄物供給方法では、廃棄物搬送装置で搬送されてきた廃棄物を、廃棄物解砕機により解砕しながらガス化炉に供給する。
【0021】
従って、本発明の請求項4に係るガス化炉の廃棄物供給装置、または本発明の請求項6に係るガス化炉への廃棄物供給方法によれば、スクリュコンベヤまたは廃棄物解砕機で搬送されてきた廃棄物が廃棄物解砕機により解砕されるので、廃棄物の定量供給性能がより一層向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係るガス化炉の廃棄物供給装置を、添付図面を順次参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態に係るガス化炉の廃棄物供給装置の模式的構成説明図、図2(a)は図1のA−A線断面図であって、上部ダンパと下部ダンパの開閉状態、およびスクリュコンベヤ(廃棄物搬送装置)の一対の搬送スクリュに供給された廃棄物の形状説明図、図2(b)は図1のB−B線断面図であって、スクリュコンベヤの一対の搬送スクリュにより搬送される廃棄物の平面状態を示す説明図である。
【0023】
図に示す符号1は、本発明の実施の形態に係る廃棄物供給装置である。この廃棄物供給装置1は、後述する構成になるシールシュート部7と、このシールシュート部7に連接され、ガス化炉20の廃棄物投入口21に斜め下向きに連通して廃棄物9を供給する先端シュート部8とからなる廃棄物供給シュート6を備えている。即ち、クレーン等の図示しない廃棄物投入装置により廃棄物ホッパ2に投入された廃棄物9は、プッシャ3により押出され、押出された廃棄物9は破砕機4により粗破砕される。そして、前記破砕機4で粗破砕された廃棄物9は、気密可能なコンベヤハウジング内に設けられてなるコンベヤ5によって斜め上方に運び上げられ、前記シールシュート部7に落下供給されるように構成されている。
【0024】
前記シールシュート部7は、後述するシール機能を有する二重ダンパが内設され、横断断面が矩形状に形成されてなる垂直シュート部分7aと、この垂直シュート部分7aの下部に連なり、廃棄物9を前記ガス化炉20側に搬送する廃棄物搬送装置である、後述するスクリュコンベヤや廃棄物解砕機が内設されてなる水平シュート部分7bとから構成されている。さらに、前記シールシュート部7の水平シュート部分7aの先端下部に、前記ガス化炉20の廃棄物投入口21に斜め下向きに連通する先端シュート部8の上端が接続されている。
【0025】
前記垂直シュート部分7aに内設されてなる二重ダンパは、上部ダンパ11と、この上部ダンパ11の下方に所定の間隔を隔てて設けられた下部ダンパ12であり、これらは図2に示すように構成されている。先ず、前記上部ダンパ11の構成を説明すると、この上部ダンパ11は、上部左側ダンパ11aと、上部右側ダンパ11bとを備えている。前記上部左側ダンパ11aは、前記水平シュート部分7bの幅方向の中心をとおる長手方向の中心線Lcと平行、かつ垂直シュート部分7aのガス化炉20の方向に向って左内壁側に設けられた上部支持軸11pを介して開閉されるようになっている。また、前記上部右側ダンパ11bは、水平シュート部分7bの幅方向の中心をとおる長手方向の中心線Lcと平行、かつ垂直シュート部分7aのガス化炉20の方向に向って右内壁側に設けられた上部支持軸11pを介して開閉されるようになっている。
【0026】
前記上部左側ダンパ11aと上部右側ダンパ11bとが閉じられて相対する真直状の先端部の接触によって画成される併合線11cは、前記垂直シュート部分7aの左右方向の幅の中心、つまり水平シュート部分7bの幅方向の中心をとおる長手方向の中心線Lcの上方に位置するように構成されている。そして、前記上部左側ダンパ11aと上部右側ダンパ11bが閉じられた状態においては、上部左側ダンパ11aと上部右側ダンパ11bとは上部支持軸11p側から先端部側に向うに連れて低位置になるように、具体的には上部左側ダンパ11aと上部右側ダンパ11bとのなす角度θが、例えば150°になるように構成されている。なお、本実施の形態においては、上部ダンパ11は上部左側ダンパ11aと上部右側ダンパ11bとからなる2枚構成になっているが、従来例の場合と同様に1枚構成であって、そして垂直シュート部分7aのガス化炉20方向の内壁側に設けられた上部支持軸を介して開閉されるように構成されていてもよい。
【0027】
次に、前記下部ダンパ12の構成を説明すると、この下部ダンパ12は、下部左側ダンパ12aと、下部右側ダンパ12bとを備えている。前記下部左側ダンパ12aは、前記水平シュート部分7bの幅方向の中心をとおる長手方向の中心線Lcと平行、かつ垂直シュート部分7aのガス化炉20の方向に向って左内壁側に設けられた下部支持軸12pを介して開閉されるように構成されている。また、前記下部右側ダンパ12bは、前記水平シュート部分7bの幅方向の中心をとおる長手方向の中心線Lcと平行、かつ垂直シュート部分7aのガス化炉20の方向に向って右内壁側に設けられた下部支持軸12pを介して開閉されるように構成されている。
【0028】
前記下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bとが閉じられて相対する真直状の先端部の接触により画成される併合線12cは、前記垂直シュート部分7aの左右方向の幅の中心、つまり水平シュート部分7bの幅方向の中心をとおる長手方向の中心線Lcの上方に位置するように構成されている。そして、前記下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bとが閉じられた状態においては、下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bとは下部支持軸12p側から先端部側に向うに連れて低位置になるように、より具体的には、下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bとのなす角度θが、例えば150°になるように構成されている。このような構成の下部ダンパ12によれば、下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bの上面は開く前から傾斜していて、ホッパ状に形成されているため、前記下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bとが開き始めると、能率よく廃棄物を後述するスクリュコンベヤ上に供給することができるという優れた効果を得ることができる。
【0029】
前記上部ダンパ11と下部ダンパ12とは、外部空気のガス化炉20内への流入を阻止するために、前記上部ダンパ11と下部ダンパ12のうち必ず一方が閉じるように、交互に開閉されるように構成されている。
【0030】
前記シールシュート部7の水平シュート部分7bの内部には、前記下部ダンパ12から供給された廃棄物をガス化炉20の方向に搬送するスクリュコンベヤ13が収容されている。このスクリュコンベヤ13は、水平面上おいて互いに平行な回転中心を有する一対の搬送スクリュ13aを備えている。また、前記スクリュコンベヤ13の先端側であって、かつその外方位置に、スクリュコンベヤ13で押出された廃棄物を解砕する廃棄物解砕機14が設けられている。なお、本実施の形態における廃棄物解砕機14は回転式であるが、揺動式の構成のものを採用することが可能である。
【0031】
以下、上記構成になる廃棄物供給装置1の作用態様を説明する。廃棄物ホッパ2に供給された廃棄物10はプッシャ3によって押出され、押出された廃棄物は破砕機4によって粗破砕される。前記破砕機4で粗破砕された廃棄物は、コンベヤ5により斜め上方に運び上げられると共に、前記シールシュート部7の垂直シュート部分7aの上部ダンパ11の上に落下供給される。
【0032】
前記上部ダンパ11の上に所定量の廃棄物が溜まると上部ダンパ11が開き、開いてから数秒後に閉じられるが、この間に、上部ダンパ11の上に溜められた所定量の廃棄物と、コンベヤ5により斜め上方に運び上げられた廃棄物とが下部ダンパ12の上面に投入される。次いで、上部ダンパ11が閉じてから数秒後に、下部ダンパ12が開き、開いてから数秒間開状態で保持される。そのため、下部ダンパ12上に投入された廃棄物をスクリュコンベヤ13上に供給するに際しては、下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bとの相対する真直状の先端部が開かれるため、水平シュート部分7bの幅方向の中心をとおる長手方向の中心線Lc上、具体的にはスクリュコンベヤ13の一対の搬送スクリュ13aの間に落下する。
【0033】
従って、スクリュコンベヤ13の一対の搬送スクリュ13a上に、下部ダンパ12のガス化炉20方向の寸法に応じた長さの廃棄物が供給され、しかも廃棄物はスクリュコンベヤ13の一対の搬送スクリュ13aの幅方向に山形状になるため、廃棄物の左右のボリュームの偏りが少なくなる。前記スクリュコンベヤ13に供給された廃棄物は、一対の搬送スクリュ13aの回転により搬送され、廃棄物解砕機14でさらに細かく解砕され、先端シュート部8を介して廃棄物投入口21からガス化炉20に投入される。ガス化炉20に投入された廃棄物は500〜600℃の温度でガス化され、可燃ガスと固定炭素分と灰分とに分解される。次いで、分解した可燃ガスと固定炭素分が図示しない溶融炉で燃焼され、溶融炉の1300℃以上の温度で灰分が溶融されて溶融スラグとなる。なお、下部ダンパ12は、廃棄物をスクリュコンベヤ13に供給した後、数秒間で閉じると共に、先に閉じられた上部ダンパ11が開かれるというように、前記上部ダンパ11と下部ダンパ12とは、所定の秒間間隔で1回ずつ開閉されることが繰り返される。
【0034】
本発明の実施の形態に係る廃棄物供給装置1では、上記のとおり、下部ダンパ12は、廃棄物供給シュート6が具備するシールシュート部7の水平シュート部分7bの幅方向の中心をとおる長手方向の中心線Lcと平行であって、かつ廃棄物供給シュート6が具備するシールシュート部7の垂直シュート部分7aの相反する内壁側に設けられた下部支持軸12pを介して開閉される下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bとからなり、閉状態における下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bの先端部の併合線12cは、前記中心線Lcの上方に位置するように構成されている。
【0035】
従って、本発明の実施の形態に係る廃棄物供給装置1によれば、スクリュコンベヤ13に、下部ダンパ12のガス化炉20方向の寸法に応じた長さの廃棄物を供給することができ、しかも廃棄物は下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bとが開き始めた直後はスクリュコンベヤ13の幅方向の中心(水平シュート部分7bの幅方向の中心をとおる長手方向の中心線Lcの位置),つまり一対の搬送スクリュ13aの間に落下し、開き幅が広くなるに連れて幅方向の中心から離れる方向にも落下するようになる。そのため、スクリュコンベヤ13の一対の搬送スクリュ13a上の廃棄物9のガス化炉方向の長さ方向の各位置における横断断面形状は山形状になり、廃棄物9の左右のボリュームの偏りが少なくなるから、廃棄物のガス化炉への定量供給性能が向上する。
【0036】
また、本発明の実施の形態に係る廃棄物供給装置1では、下部ダンパ12の下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bは、閉状態においては下部支持軸12p側から先端側に向うに連れて低位置になるように構成されている。従って、下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bの上面は開く前から傾斜していて、ホッパ状に形成されているため、前記下部左側ダンパ12aと下部右側ダンパ12bとが開き始めると、能率よく廃棄物をスクリュコンベヤ13の一対の搬送スクリュ13a上に供給することができる。
【0037】
さらに、スクリュコンベヤ13の先端前方位置に、このスクリュコンベヤ13から押出された廃棄物を解砕する廃棄物解砕機14を設けられており、一対の搬送スクリュ13aの回転により搬送された廃棄物が廃棄物解砕機14でさらに細かく解砕されて、先端シュート部8を介して廃棄物投入口21からガス化炉20に投入されるため、大塊の廃棄物の供給がなくなり、定量供給の向上に大いに寄与することができる。また、排ガスの有害成分の発生抑制、ガス発生量の変動抑制が可能になり、ガス化溶融プラントの性能向上や各機器類の余裕率の引き下げが可能になるため、ガス化溶融プラントのコストダウンにも寄与することができる。
【0038】
上記実施の形態に係るガス化炉の廃棄物供給装置は本発明の1具体例に過ぎず、従って本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内における設計変更等は自由自在であるから、ガス化炉の廃棄物供給装置の形態は、上記実施の形態に係る構成に限定されるものではない。
例えば、以上の実施の形態においては、廃棄物供給装置1にコンベヤ5が設けられている場合を例として説明した。しかしながら、コンベヤを設けずに、破砕機4で破砕したごみを直接シールシュート部7に落下供給する構成にすることができる。このような構成にすることにより、設置スペースが狭くてよく、これら設備を収容する建屋を小さくすることができるから、廃棄物供給装置に係る設備コストを低減させることができるという経済効果が得られる。
【0039】
また、破砕機4を廃棄物供給装置1と別置き構成にすることができる。このような構成にすることにより、何らかのトラブルによって稼動中において破砕機4が停止したとしても、廃棄物供給装置1によりガス化炉20に対して連続的に廃棄物を供給することができるから、連続操業性が向上するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係るガス化炉の廃棄物供給装置の模式的構成説明図である。
【図2】図2(a)は図1のA−A線断面図であって、上部ダンパと下部ダンパの開閉状態、およびスクリュコンベヤの一対の搬送スクリュに供給された廃棄物の形状説明図、図2(b)は図1のB−B線断面図であって、スクリュコンベヤの一対の搬送スクリュにより搬送される廃棄物の平面状態を示す説明図である。
【図3】従来例に係る流動層ガス化炉およびこの流動層ガス化炉に廃棄物を供給する廃棄物供給装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1…廃棄物供給装置
2…廃棄物ホッパ
3…プッシャ
4…破砕機
5…コンベヤ
6…廃棄物供給シュート
7…シールシュート部,7a…垂直シュート部分,7b…水平シュート部分
8…先端シュート部
9…廃棄物
11…上部ダンパ,11a…上部左側ダンパ,11b…上部右側ダンパ,11c…併合線,11p…上部支持軸
12…下部ダンパ,12a…下部左側ダンパ,12b…下部右側ダンパ,12c…併合線,12p…下部支持軸
13…スクリュコンベヤ,13a…搬送スクリュ
14…廃棄物解砕機
20…(流動層)ガス化炉,21…廃棄物投入口
Lc…水平シュート部分7bの幅方向の中心をとおる長手方向の中心線
θ…上部左側ダンパと上部右側ダンパとのなす角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空気のガス化炉内への流入を阻止するシール機能を有し、交互に開閉操作される上部ダンパと下部ダンパとが上下方向に所定の間隔を隔てて設けられた垂直シュート部分と、この垂直シュート部分の下端部に連なり、前記下部ダンパを経て供給される廃棄物を前記ガス化炉の方向に搬送する廃棄物搬送装置が設けられた水平シュート部分とからなるシールシュート部を具備する廃棄物供給シュートを備えてなるガス化炉の廃棄物供給装置において、前記下部ダンパは、前記水平シュート部分の幅方向の中心をとおる長手方向の中心線と平行であって、かつ前記垂直シュート部分の相反する内壁側に設けられた支持軸を介して開閉される下部左側ダンパと下部右側ダンパとからなり、閉状態における下部左側ダンパと下部右側ダンパの先端部の併合線は、前記中心線の上方に位置するように構成されてなることを特徴とするガス化炉の廃棄物供給装置。
【請求項2】
前記下部ダンパの下部左側ダンパと下部右側ダンパは、閉状態においては支持軸側から先端側に向うに連れて低位置になるように構成されてなることを特徴とする請求項1に記載のガス化炉の廃棄物供給装置。
【請求項3】
前記廃棄物搬送装置は、水平面上おいて互いに平行な回転中心を有する一対の搬送スクリュを備えたスクリュコンベヤであることを特徴とする請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載のガス化炉の廃棄物供給装置。
【請求項4】
前記スクリュコンベヤの先端前方位置に、このスクリュコンベヤにより搬送されてきた廃棄物を解砕する廃棄物解砕機を設けたことを特徴とする請求項3に記載のガス化炉の廃棄物供給装置。
【請求項5】
外部空気のガス化炉内への流入を阻止するシール機能を有し、交互に開閉操作される上部ダンパと下部ダンパとが上下方向に所定の間隔を隔てて設けられた垂直シュート部分と、この垂直シュート部分の下端部に連なり、前記下部ダンパを経て供給される廃棄物を前記ガス化炉の方向に搬送する廃棄物搬送装置が設けられた水平シュート部分とからなるシールシュート部を具備する廃棄物供給シュートを備えてなる廃棄物供給装置によるガス化炉への廃棄物供給方法おいて、前記上部ダンパを閉めた後、前記下部ダンパを、前記水平シュート部分の幅方向の中心をとおる長手方向の中心線と平行であって、かつ前記垂直シュート部分の相反する内壁側に設けられた支持軸を支点として両開きさせ、前記上部ダンパが開かれた際に受け取った廃棄物を、前記廃棄物搬送装置で搬送するために、前記中心線に向かって落下させることを特徴とするガス化炉への廃棄物供給方法。
【請求項6】
前記廃棄物搬送装置で搬送されてきた廃棄物を、廃棄物解砕機により解砕しながらガス化炉に供給することを特徴とする請求項5に記載のガス化炉への廃棄物供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−47372(P2009−47372A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214926(P2007−214926)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】