説明

ガス流からのH2S除去に有用な触媒、その調製方法、及びその使用

本発明は、ガス流からの硫化水素除去及びその硫黄への変換に有用な触媒、かかる触媒の調製方法、及び前記触媒を使用した硫化水素の除去方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流からの硫化水素除去及びその硫黄への変換のための活性強化のために、0から95重量%の粘土と、0から95重量%の石膏と、0から95重量%のアルミナと、5から60重量%の酸化鉄水和物を含み、かつ100から650℃の温度に加熱される触媒、かかる触媒の調製方法、及び前記触媒を使用した硫化水素の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硫化水素は、汚染防止及び産業における方法の要件のために除去する必要がある、不快臭を有し、毒性が強く、かつ腐食性環境汚染物質である。天然ガス処理複合施設、精製所、硫黄処理化学産業、製薬産業、製糖産業、下水処理場及びバイオガス発生設備は、HS除去及びその安全な廃棄のために経済的に実行可能な解決策を必要とする主要産業の幾つかである。
【0003】
多数の方法が、公知であり、かつガス流から硫化水素を除去するために商業的に使用されている。しかしながら、これらの方法は、幾つかの固有の制限を有する。HSを除去するために使用される方法及びその不利点を、以下で詳細に記載する。
【0004】
クラウス法は、通常、高濃度のHS(20容量%を超えるHS)を含むガスから硫化水素を除去するために使用される。液体レドックス法は、通常、低濃度のHSを含むガスから硫化水素を除去するために使用される。上記方法の両方は、高い資本及び操業コストという不利点を有する。
【0005】
かんな屑上に堆積した酸化鉄が、ガスから硫化水素を除去するために使用される触媒として鉄スポンジを使用する方法が、使用された。これらが、ワンススルー触媒としてのみ使用できる、すなわちH2S除去のために使用された後の触媒が、再生できず、かつそれ故に廃棄物として処理されねばならないというかかる触媒による主要な不利点。従って、かかる処理のコストは、化学量論的量の化学物質を使用し、かつ同様に使用済み材料を廃棄するために高い。更に、装填容量、すなわちかんな屑が酸化鉄を装填できる範囲が、低いので、そのために、単一通過での硫化水素除去能力は、限定される。同様に、使用済み触媒の安全な廃棄は、主要な問題である。
【0006】
硫化水素除去の更にもう1つの方法において、高温酸化亜鉛床が使用される。酸化亜鉛は、酸化鉄よりも高価である。方法のもう1つの制限は、一旦床を通った、化学量論的量の硫化水素を処理した後に、床が消耗することである。効果的な除去のために高温が必要であることは、ガスを、処理の前に予熱する必要があるので、もう1つの不利点である。酸化亜鉛は、床が消耗した後に処分される、硫化亜鉛に変換される。
【0007】
先行技術の上記記載から、再生でき、かつ複数回再使用できる安価な化学物質を組み込んだ固体床を使用して、硫化水素の除去、及びその硫黄元素への変換のためのより経済的かつ簡易な方法の必要性があることが明らかである。これが、本発明の主要な目的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、硫化水素を含むガス流からの硫化水素の除去、及びその硫黄元素への変換のために複数回使用できる酸化鉄をベースとする触媒を提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、前記触媒を調製する方法を提供することである。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、硫黄化合物を含むガス流から硫黄化合物を除去し、かつ前記触媒を使用してそこから硫黄元素を回収する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、硫化水素を含むガス流からの硫化水素の除去、及びその硫黄元素への変換に有用な触媒に関し、前記触媒は、活性強化のために、0から95重量%の粘土と、0から95重量%の石膏と、0から95重量%のアルミナと、5から60重量%の酸化鉄水和物を含み、かつ100から650℃の温度に加熱され、かつ
【0012】
本発明は、ガス流からの硫化水素の除去、及びそこからの硫黄元素の回収に有用な触媒を調製する方法に更に関し、前記方法は、次のステップ:
a)0から95重量%の粘土と、0から95重量%の石膏と、0から95重量%のアルミナと、5から60重量%の酸化鉄水和物の混合と、
b)ステップ(a)の混合物を顆粒化、ペレット化、又は微粉化し、かつそれを100℃から650℃の範囲の温度で加熱し、触媒を得ることを含む。
【0013】
本発明は、硫黄化合物を含むガス流から硫黄化合物を除去し、かつそこから硫黄元素を回収する方法にも関し、前記方法は、次のステップ:
a)硫黄化合物を硫化水素に変換するために、湿潤空気/水を、硫黄化合物を含むガス流と混合することと、
a)化学吸着によって硫化水素を除去するために、0から95重量%の粘土と、0から95重量%の石膏と、0から95重量%のアルミナと、5から60重量%の酸化鉄水和物を含む触媒と、硫化水素を含むガス流を接触させることと、
a)空気を触媒に通し、又は触媒の上に、酸化鉄まで通し、かつ硫化鉄を酸化鉄及び硫黄元素に変換することによって使用済み触媒を再生することを含む。
【0014】
硫化水素に使用される固体材料は、高レベルまでの活性含量の装填を可能にし、かつ単一の熱処理方法によってその活性を改良するために、発明の方法により作られる。方法は、より高いガス浸透及び反応点の利用可能性のために、媒体を多孔性にすることも目的にする。システムにおける活性化学成分を再生する反復した能力により、方法は、性質が触媒的になる。
【0015】
硫化水素を除去し、かつ活性含量の固体媒体を再生する方法を可能にする化学反応を、以下に示す:
【化1】

【0016】
硫化カルボニル及び二硫化炭素は、処理ガスと、又は床中に存在する水による反応によって硫化水素に変換され、かつ生成された硫化水素は次に、式1から4で上記に示すように、硫黄元素に変換される。
【0017】
酸化第二鉄形状の媒体中の酸化鉄は、第1の式に示すように、硫化第二鉄を形成するために硫化水素と反応する。不安定である硫化第二鉄は、より安定した硫化第一鉄及び硫黄に変換される(式2)。この方法中に、鉄は、第一鉄形状に還元され、かつ硫化水素は、部分的に硫黄に酸化される。空気と接触する硫化第一鉄は、式3に示すように硫黄元素及び酸化第二鉄に酸化され、このようにして、それを硫化水素によるもう1つの反応サイクルによって再生する。
【0018】
それ故に、これは、鉄の第二鉄及び第一鉄形状が、反応及び再生サイクル中に形成される触媒レドックス法である。反応生成物は、硫黄元素である。反応サイクルの最終結果は、式4に示すように、空気中の酸素による硫化水素の硫黄元素への酸化である。
【0019】
同様に、硫化カルボニル及び二硫化炭素のような他の硫黄含有化合物も、反応5及び6に示すように硫化水素に、かつその後、式1から4に示すように硫黄元素に変換される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、硫化水素を含むガス流からの硫化水素の除去、及びその硫黄元素への変換に有用な触媒に関し、前記触媒は、活性強化のために、0から95重量%の粘土と、0から95重量%の石膏と、0から95重量%のアルミナと、5から60重量%の酸化鉄水和物を含み、かつ100から650℃の温度に加熱される。
【0021】
本発明の更にもう1つの実施態様において、粘土、石膏及びアルミナの重量パーセントは、同時にゼロに等しくない。
【0022】
本発明の更にもう1つの実施態様において、前記触媒が、5から60重量%の粘土と、5から80重量%の石膏と、5から40重量%のアルミナと、6から40重量%の酸化鉄水和物を含む。
【0023】
本発明の更にもう1つの実施態様において、粘土が、カロナイト(Kalonite)、モンモリロナイト/セメクタイト(Semectite)、イライト及び緑泥石を含む群から選択される。
【0024】
本発明の更にもう1つの実施態様において、粘土が、セメクタイト群から選択される。
【0025】
本発明の更にもう1つの実施態様において、使用される粘土が、ベントナイト粘土である。
【0026】
本発明の更にもう1つの実施態様において、前記触媒が、ガス流に存在する硫化水素を化学吸着し、かつそれを硫黄元素に変換する第二鉄イオンを活性点として含む。
【0027】
本発明の更にもう1つの実施態様において、前記触媒が、8.0から10.0の範囲のpH値を有する。
【0028】
本発明の更にもう1つの実施態様において、前記触媒が、それを活性化するための使用前に、100℃から650℃の範囲の温度で熱処理される。
【0029】
本発明の更にもう1つの実施態様において、100グラムの前記触媒が、1回のサイクルで、前記ガス流から2860から28600mgの硫化水素を化学吸着する。
【0030】
本発明の更にもう1つの実施態様において、硫化鉄を含む前記使用済み触媒が、周囲温度でそれに空気を通すことによって再生される。
【0031】
本発明の更にもう1つの実施態様において、再生触媒が、その後の化学吸着及び再生サイクルにおいて硫化水素を処理し、かつガス流から除去し、かつそれを硫黄元素に変換する。
【0032】
本発明の更にもう1つの実施態様において、触媒が、その使用中、少なくとも15回の化学吸着及び再生サイクルで使用される。
【0033】
本発明の更にもう1つの実施態様において、使用済み触媒中に存在する硫化鉄が、再生中にFeに変換され、それにより硫黄元素を生成し、かつ触媒を再生する。
【0034】
本発明の更にもう1つの実施態様において、回収された硫黄元素が、99%を超える純度を有する。
【0035】
本発明の更にもう1つの実施態様において、前記触媒が、固定床反応器又は流動床反応器で使用される。
【0036】
本発明の更にもう1つの実施態様において、前記触媒が、流動床反応器で使用するために、100μmから2000μmの範囲の粒径を有する微粒子に分割される。
【0037】
本発明の更にもう1つの実施態様において、前記触媒が、固定床反応器で使用するために、0.5mmから10.0mmの範囲の直径を有するペレット/顆粒を得るためにペレット化又は顆粒化される。
【0038】
本発明の更なる実施態様は、ガス流からの硫化水素の除去、及びそこからの硫黄元素の回収に有用な触媒を調製する方法に関し、前記方法は、次のステップ:
a)0から95重量%の粘土と、0から95重量%の石膏と、0から95重量%のアルミナと、5から60重量%の酸化鉄水和物の混合と、
b)ステップ(a)の混合物を顆粒化、ペレット化、又は微粉化し、かつそれを100℃から650℃の範囲の温度で加熱し、触媒を得ることを含む。
【0039】
本発明のなおも更なる実施態様において、ステップ(a)で、酸化鉄水和物が、硝酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄のような一般に入手可能な鉄の塩と、一般に入手可能なアルカリ水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから調製される。
【0040】
本発明の更にもう1つの実施態様において、100グラムのこのようにして得られた触媒が、ガス流から2860から28600mgの硫化水素を化学吸着する。
【0041】
本発明の更にもう1つの実施態様において、このようにして得られた触媒が、8.0から10.0の範囲のpH値を有する。
【0042】
本発明の更にもう1つの実施態様において、このようにして得られた触媒が、固定床反応器又は流動床反応器で使用される。
【0043】
本発明の更にもう1つの実施態様において、このようにして得られた触媒が、第二鉄イオンを活性点として含む。
【0044】
本発明の更にもう1つの実施態様において、このようにして得られた触媒が、流動床反応器で使用するために、微粒子に微粉化される。
【0045】
本発明の更にもう1つの実施態様において、ステップ(b)で、ステップ(a)の混合物が、固定床反応器で使用するために、0.5mmから10.0mmの範囲の直径を有するペレット/顆粒を得るためにペレット化又は顆粒化される。
【0046】
本発明のなおも更なる実施態様は、硫黄化合物を含むガス流から硫黄化合物を除去し、かつそこから硫黄元素を回収する方法に関し、前記方法は、次のステップ:
a)硫黄化合物を硫化水素に変換するために、湿潤空気/水を、硫黄化合物を含むガス流と混合することと、
b)化学吸着によって硫化水素を除去するために、0から95重量%の粘土と、0から95重量%の石膏と、0から95重量%のアルミナと、5から60重量%の酸化鉄水和物を含む触媒と、硫化水素を含むガス流を接触させることと、
c)空気を触媒に通し、又は触媒の上に、酸化鉄まで通し、かつ硫化鉄を酸化鉄及び硫黄元素に変換することによって使用済み触媒を再生することを含む。
【0047】
本発明の更にもう1つの実施態様において、硫黄化合物が、硫化水素、硫化カルボニル(COS)及び二硫化炭素(CS)、並びにその混合物である。
【0048】
本発明の更にもう1つの実施態様において、微量レベルから100%レベルの硫化水素を含むガス流が、硫化水素を含まない出口ガス流を得るために処理される。
【0049】
本発明の更にもう1つの実施態様において、触媒の色が、ステップ(b)の化学吸着中にえび茶色から黒色に変化し、かつそれが、再生するとえび茶色に変化して戻り、この特性は、それぞれ化学吸着及び再生サイクルの進行を視覚的に観察することにおいて有用である。
【0050】
本発明の更にもう1つの実施態様において、使用済み触媒が、酸素含有ガスを触媒に通す、又は触媒の上に通すことによって再生される。
【0051】
本発明の更にもう1つの実施態様において、ガス流からの硫黄化合物の除去と、触媒の再生が、任意に同時に行われる。
【0052】
本発明のなおももう1つの実施態様において、ガス流からの硫黄化合物の除去と、触媒の再生が、硫黄化合物を含むガス流及び酸素含有ガスを、触媒と同時に接触させることによって同時に行われる。
【0053】
本発明の更にもう1つの実施態様において、触媒の同時反応及び再生比率は、ガス流の流量、及びガス流及び酸素含有ガスの比率、並びにガス流の硫化水素含量によって決まる。
【0054】
本発明の更にもう1つの実施態様において、使用済み触媒の再生率は、酸素含有ガスが、使用済み触媒に、又は使用済み触媒の上に通される時、100%である。
【0055】
本発明の更にもう1つの実施態様において、方法は、流動床反応器又は固定床反応器で行われる。
【0056】
本発明の更にもう1つの実施態様において、得られた硫黄元素が、99%を超える純度を有する。
【0057】
本発明の更にもう1つの実施態様において、100グラムの前記触媒が、1サイクルで前記ガス流から2860から28600mgの硫化水素を化学吸着する。
【0058】
本発明は、報告されたものの大部分での水酸化鉄を組み込む固体媒体が、硫化水素の除去及びその硫黄元素への変換に関して高い活性を得るために、天然発生の、非毒性かつ無害な性質の成分を、水酸化鉄と混合し、かつそれを熱処理することによって調製される限りにおいて、報告されたものとは異なる。水酸化鉄は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化アンモニウムのようなアルカリによる処理によって、塩化鉄、硫酸鉄及び硝酸鉄のような、いかなる一般的な鉄の塩からも調製される。水酸化鉄及び担体媒体の混合物は、カラム中で容易に詰め込む(充填する)ために顆粒又はペレットに変換され、かつ酸化鉄の硫化水素に対する反応性を増加させ、かつ酸素含有ガスによるその再生を可能にするために100から600℃の温度で処理される。顆粒は、ガスをカラムに容易に通すことを可能にすることによって、カラムにわたる圧力降下の減少に役立つ。このことは、処理されるガスの高圧の要件を取り除く。
【0059】
媒体中の水酸化鉄は、顆粒/ペレットの熱処理方法によって酸化鉄に変換される。鉄塩を組み込む固体媒体の調製は、か焼された材料が、活性物質の含浸に使用され、水酸化鉄が、媒体の曝露面に付着する最近報告されたもの(米国特許第6500237号明細書参照)と比較して、比較的低温で行われる。全体の硫化水素処理可能性も、先行技術と比較して高いことが認められる。
【0060】
方法のもう1つの利点は、固体媒体上に堆積された硫黄が、二硫化炭素又は四塩化炭素、又は硫黄が可溶性である他の有機溶剤のような、適切な溶剤による抽出によって回収されることである。硫黄は、媒体を固体として硫黄融解温度を超えて加熱すること、あるいは水中でスラリーにし、かつスラリーを硫黄融点を超えて加熱することによっても抽出できる。溶融硫黄は、担体媒体を含むスラリーから分離できる。回収された硫黄は、高品質であり、かつ下流用途に使用できる。使用者が、硫黄の抽出に興味がない場合、床は、媒体及びその含有物の非毒性性質により、更に処理せずに、安全に処分できる。
【0061】
従って、我々は、材料の混合物中に酸化鉄を組み込むことによって作られる新規固体床を使用し、かつ固体中の反応点が容易に利用可能であるために、該固体床を化学的に活性に、かつ多孔質にするために十分に高い温度に加熱して、ガス流から硫化水素を除去する改良された方法を、ここに報告する。材料は、簡易な方法を使用して再生でき、かつ硫化水素を硫黄元素に変換するために、複数回再使用できる。このようにして床に堆積された硫黄は、先行技術で公知の方法を使用して回収できる。
【0062】
従って、本発明は、塩化、硫酸及び硝酸のような一般的な鉄の塩、及び水酸化ナトリウム、カリウム又はアンモニウムのようなアルカリから作られ、かつ混合物から作られた顆粒又はペレットに安定性を与えるために、天然発生粘土及び鉱物から単独で、又は混合物としてなる担体媒体中に組み込まれた微細に分割された酸化鉄又はその水和物形状からなる再生固体床を使用し、かつそれに続き、硫化水素に対するその反応性を強化するために十分に高い温度に顆粒又はペレットを加熱し、かつ酸素含有ガスによる処理後、形成された硫化鉄の硫黄及び酸化鉄への変換により酸化鉄の再生を可能にして、サワーガス流から硫化水素を除去し、かつそれを硫黄に変換する新規の触媒方法を提供し、ペレット又は顆粒の寸法は、固体床媒体の硫化水素除去特性に限定しない。
【0063】
驚くべきことに、出願人は、触媒の組成において、組み込まれる酸化鉄の量が、ガス流からの硫化水素を除去する方法において触媒の安定性の決定に極めて重要な役割を果たすことを発見した。特には、出願人は、触媒組成中に組み込まれる酸化鉄の量が、5重量%未満ならば、触媒は、ガス流からHSを効果的に除去しなかったことに気付いた。出願人は、触媒組成中の酸化鉄水和物の量を増加させることが、ガス流からHSを除去する効果を増加させるという意見であった。しかしながら、驚くべきことに出願人は、上記仮説が誤っていることを発見した。驚くべきことに出願人は、触媒組成中に組み込まれる酸化鉄水和物の量を、ある範囲を超えて増加させることが、触媒の他の特性に悪影響を及ぼし、かつ方法における使用に適さなくすることに気付いた。特には、触媒組成中に組み込まれる酸化鉄水和物の量を、60%を超えて増加させることは、触媒のペレット化及び顆粒化特性に悪影響を及ぼした。本発明の主要な目標が、再生のために十分安定した触媒を提供することなので、触媒のペレット化及び顆粒化特性に対するいかなる悪影響も、触媒を1回の再生用にさえも不適にする。
【0064】
出願人は、加熱ステップにおいて、使用前の触媒が、ガス状態からHSを除去する方法の効果に極めて重要な役割を果たすことをここで強調したいと考える。出願人は、触媒が、事前の加熱なしに使用されるならば、ガス流からのHS含量の除去が、有意でないことに気付いた。このことは、触媒中で細孔形成が行われず、かつそれ故に、非常に少ない接触表面積が、HSガス吸収のために利用できるという事実による。出願人は、触媒が、使用前に加熱されるならば、細孔は、触媒中で発達し、かつより多くの接触表面積を提供することによってHSガスの吸収を強化することにも気付いた。
【0065】
出願人は、触媒が、使用前に加熱されるならば、触媒の内部に存在する、ある酸化鉄が、外面に出て、かつ触媒に強化した活性を提供することにも気付いた。
【0066】
出願人は、触媒を連続的に、かつある温度を超えて加熱することが、触媒の活性に悪影響を及ぼすことにも気付いた。特には、出願人は、触媒を600℃を超えて加熱することが、触媒活性を破壊することに気付いた。出願人は、触媒が、600℃を超えて加熱されると、酸化鉄は、状態において変形を受け、かつ変形状態は、いかなる触媒活性も提供しないことを発見した。
【0067】
それ故に、触媒中に含まれる酸化鉄の量、及び触媒が加熱される温度は、本発明の重大かつ自明でない側面である。利用できる文献のいずれも、これら重大かつ自明でない特徴を教示又は示唆していない。
【0068】
本発明は、例証としてのみ提供され、かつそれ故に本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない次の実施例において、詳細に記載される。
【実施例】
【0069】
(表の簡単な説明)
表1は、種々のガス流量でのガス流からの硫化水素除去の得られた結果を示す。
表2は、熱処理された触媒に関する、ガス流からの硫化水素除去の得られた結果を、熱処理されない触媒と比較する。
表3は、N又はCO又はCH及び空気とのガス流混合からの硫化水素除去の得られた結果を示す。
表4は、前記触媒を通過後の、出口ガス流中の酸素含量を示す。
表5は、前記触媒による硫化水素除去に対して行う再生サイクルの数を示す。
表6は、種々のHS:O比率を有するガス流からの硫化水素除去の得られた結果を示す。
【0070】
(実施例1)
水中の硝酸鉄(III)溶液(1000g)が、調製され、かつ攪拌された容器中で水酸化ナトリウム溶液(100gの水中に20g)によって処理され、水酸化鉄を沈殿させた。沈殿した水酸化鉄は、固まることが可能にされ、上清透明液は、処分され、かつ固体は、濾過によって回収され、かつ水によって洗浄され、溶解塩を除去した。
【0071】
このようにして分離された水酸化鉄(250グラム)は、固体担体材料のベントナイト粘土(250グラム)、アルミナ(125グラム)、及び石膏(700グラム)と徹底的に混合され、かつ顆粒化ドラム中で顆粒(直径3mm)、又はペレット製造機中でペレット(直径4mm)に変換された。
【0072】
顆粒/ペレットは、乾燥され、450から550℃の温度で処理され、かつ以下の実施例に示すようなガス流中に含まれる硫化水素及び他の毒性ガスを除去するために使用された。
【0073】
(実施例2)
水中の硝酸鉄(III)溶液(1000g)が、調製され、かつ攪拌された容器中で水酸化ナトリウム溶液(100gの水中に20g)によって処理され、水酸化鉄を沈殿させた。沈殿した水酸化鉄は、固まることが可能にされ、上清透明液は、処分され、かつ固体は、濾過によって回収され、かつ水によって洗浄され、溶解塩を除去した。
【0074】
以上で得られた湿性水酸化鉄水和物(無水ベースで11.50%の水酸化第二鉄に対応する560グラム)は、固体担体材料のベントナイト粘土(250グラム)、アルミナ(125グラム)、及び石膏(700グラム)と徹底的に混合され、かつ顆粒化ドラム中で顆粒(直径3mm)、又はペレット製造機中でペレット(直径4mm)に変換された。
【0075】
顆粒/ペレットは、乾燥され、450から550℃の温度で処理され、かつ以下の実施例に示すようなガス流中に含まれる硫化水素及び他の毒性ガスを除去するために使用された。このようにして得られたペレットは、6.0重量%の鉄含量、かつ良好な顆粒結着性及び圧潰強さを有した。
【0076】
(実施例3)
以上で得られた湿性水酸化鉄水和物(混合物中の無水ベースで68%の水酸化第二鉄に対応する1500グラム)は、固体担体材料のベントナイト粘土(100グラム)、アルミナ(50グラム)、及び石膏(125グラム)と徹底的に混合された。材料は、顆粒製造機中で顆粒化されたが、良質な圧潰強さを有する顆粒に形成できなかった。ペレット化の試みも失敗した。
【0077】
(実施例4)
上記実施例1に示したように調製された、えび茶色の固体床媒体(225グラム)は、直径32mm、かつ高さ350mmのガラスカラムに詰め込まれた。硫化水素(1.14容量%)及び残りの窒素の混合物を含むガスは、毎分0.30リットルの流量で床を通過した。出口ガスは、硫化水素がないことが認められた。床は、硫化水素が、それと反応するにつれ黒色になり、かつ床が消耗したとき、材料は、出口ガス中の硫化水素の存在によって示されるように、完全に黒色になった。発熱が、化学吸着サイクル中に観察された。
【0078】
今や黒色であるカラム中の媒体を、周囲空気が通過した。ゆっくりとカラムは、その当初のえび茶色に戻り、このようにしてその再生を示した。発熱が、再生サイクル中に観察された。
【0079】
上記再生媒体を、硫化水素含有ガスが、再度上記のように通過し、かつ出口ガスは、サワーガスがないことが認められた。反応−再生サイクルは、このように20回反復され、かつカラムは、硫化水素除去能力の有意な減少なしに、硫化水素除去に反応することが認められた。
【0080】
(実施例5)
上記実施例2に記載したように、硫化水素(4.7容量%、47000容量ppm)及び残りの窒素の混合物を含むガスは、毎分0.140リットルの流量で床を通過した。出口ガスは、硫化水素がないことが認められた。床は、硫化水素が、それと反応するにつれ黒色になり、かつ床が消耗したとき、材料は、出口ガス中に硫化水素の存在によって明らかであるように、完全に黒色になった。
【0081】
(実施例6)
実施例1のように調製された、固体床媒体100グラムは、直径32mmのガラスカラム中に取られた。14センチメートルである触媒床の高さが、測定された。硫化水素(15.4容量%)及び残りの窒素の混合物を含む湿潤ガスは、毎分0.230リットルの流量で床を通過した。混合物は、出口ガス流中の硫化水素濃度が100ppmに達するまで通過した。
【0082】
(実施例7)
上記実施例1に示したように調製された、えび茶色の固体床媒体(150グラム)は、直径32mm、かつ高さ235mmのガラスカラムに詰め込まれた。純粋な硫化水素が、毎分0.04リットルの流量で床を通過した。床は、硫化水素が、それと反応するにつれ黒色になった。処理ガス中で硫化水素の存在を検出するために、カラムの出口は、酢酸カドミウム溶液(100グラムの水中に溶解した1グラムの酢酸カドミウム)に通された。(硫化水素は、酢酸カドミウムと反応し、硫化カドミウムの黄色沈殿物を形成する)。硫化水素は、視覚表示によれば、最終の2cmの未消耗床が硫化水素との反応に利用できるまで、カラム出口で検出されなかった。発熱が、化学吸着サイクル中に観察された。
【0083】
(実施例8)
実施例1のように調製された、固体床媒体100グラムは、高さ14.5センチメートルまで、直径32mmのガラスカラム中に充填された。硫化水素(3容量%)及び残りのメタンの混合物を含むガスは、毎分0.20リットルの流量で床を通過した。出口流の硫化水素濃度の結果は、書き留められ、かつ以下に示す通りである。
【0084】
185分で37リットルのガスを通過させた後、100ppmの硫化水素が出口ガスで観察され、かつカラムは、再生のために取られた。周囲空気を床に通した後、それは、当初の色を取り戻し、かつ次の化学吸着サイクルのために活性になった。
【0085】
(実施例9)
上記実施例1に示したように調製された、えび茶色の固体床媒体(100グラム)は、直径32mmのガラスカラムに詰め込まれた。硫化水素(9.1容量%)及び残りの二酸化炭素の混合物を含むガスは、毎分0.05リットルの流量で床を通過した。硫化水素が、第二鉄イオンと反応し、硫化鉄を形成するにつれ、床の色は、えび茶色から黒色に変わった。処理された流れ中の硫化水素は、15.86リットルのガス混合物が通過するまで、追跡可能なレベル未満であることが認められた。実験は、処理ガス流及び入口ガス流中の硫化水素濃度が、同じになるまで続けられた。合計40.26リットルのガスが、このようにして処理された。
【0086】
今や黒色であるカラム中の固体床を、それがその再生を示す、当初の色を取り戻すまで、周囲空気が通過した。発熱が、再生サイクル中に観察された。
【0087】
(実施例10)
上記実施例1に示したように調製された、えび茶色の固体床媒体(100グラム)は、直径32mmのガラスカラムに詰め込まれた。硫化水素(4.75容量%)の、窒素との混合物を含むガスは、カラムを通過した。実験は、新規床と同一条件で反復されたが、異なるガス流量によった。全てのケースにおいて、ガスは、出口ガス流中の硫化水素レベルが、100ppmレベルに達するまで通過した。処理されたガス及び除去された硫化水素の量が、測定された。結果を、下記表1に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
処理できたガス容量は、300ml/分の流速までほぼ同じままであったので、上記実施例は、反応に必要な滞留時間が約21秒であることを示した。
【0090】
(実施例11)
上記実施例1に示したように調製された、えび茶色の固体床媒体(100グラム)は、直径32mmのガラスカラムに詰め込まれた。硫化水素(5容量%)の、窒素との混合物を含むガスは、カラムを通過した。ガス混合物を同じに保ち、実験は、次の条件で行われた。
i.固体床媒体は、ガスによる処理前に1時間、周囲湿潤空気によって処理された。湿潤ガスは、出口ガス流中の硫化水素濃度が、100ppm超に達するまで触媒床を通過した。
ii.固体床媒体は、ガスによる処理前に1時間、周囲湿潤空気によって処理された。乾燥ガスは、出口ガス流中の硫化水素濃度が、100ppm超になるまで固体床を通過した。
iii.触媒は、実験前にいかなる処理も与えられなかった。乾燥ガス混合物は、出口ガス流中の硫化水素濃度が、100ppm超になるまで固体床を通過した。
【0091】
上記3つのケースの結果を、下記表2に示す。
【0092】
【表2】

【0093】
結果は、床が湿潤周囲空気によって前処理された場合、高い硫化水素除去能力が、湿潤周囲空気による前処理を与えられなかった床と比較して、観察されたことを示している。床中の含水量及び/又はガス中の水分は、硫化水素除去効率を改良することが認められた。
【0094】
(実施例12)
上記実施例1に示したように調製された、えび茶色の固体床媒体(225グラム)は、直径30mmのガラスカラムに、34センチメートルの床の高さで詰め込まれた。二硫化炭素(35容量ppm)の、二酸化炭素との混合物を含むガスは、毎分50mlの流量でカラムを通過した。処理されたガス中の二硫化炭素(CS)濃度が、測定され、かつ追跡可能なレベル未満であることが認められた。
【0095】
(実施例13)
上記実施例1に示したように調製された、えび茶色の固体床媒体は、直径15mmのガラスカラムに、25cmの触媒床の高さで詰め込まれた。硫化カルボニル、COS(5容量ppm)の、窒素との混合物を含むガスは、周囲温度でカラムを通過した。硫化カルボニル(COS)は、処理されたガス中で追跡可能でなかった。
【0096】
(実施例14)
8回の化学吸着及び再生サイクルを受けた固体触媒(25g)は、密閉容器中に取られ、かつ75gの水と混合された。混合物は、30分間125℃で加熱された。これらの条件で、触媒中に含まれる硫黄が、融解し、かつ残りの固体から分離されることが認められた。容器は、冷却され、硫黄の塊が回収された。
【0097】
(実施例15)
ガラスカラム中に詰め込まれた、8回の化学吸着及び再生サイクルを受けた固体触媒床(25g)に、二硫化炭素(CS)が、頂部から毎分20mlの流量で通過した。CSが、カラムを通過するにつれ、それは硫黄を溶解し、かつ硫黄含有溶液が、底部で収集された。硫黄抽出は、1時間このように続けられた。硫黄を含むCS溶液から、CSが、蒸溜され、かつ鮮黄色結晶質の硫黄が、分離された。このようにして得られた硫黄は、99.99%の純度を有した。
【0098】
(実施例16)
上記実施例1に示したように調製された、えび茶色の固体床媒体(100グラム)は、直径32mm、かつ高さ130mmのガラスカラムに詰め込まれた。出口ガス品質を観察しながら、全てのケースで毎分0.2リットルのガス流量で、次のガス混合物は、同一の寸法を有する新規なカラムを通過した。
i.二酸化炭素と硫化水素(4.4容量%)、
ii.窒素と硫化水素(5.1容量%)、
iii.メタンと硫化水素(4.26容量%)、及び
iv.空気と硫化水素(4.25容量%)。
【0099】
全てのケースにおいて、出口での硫化水素濃度は、検出可能な限界未満であることが認められた。ガスは、出口ガス流中の硫化水素濃度が、100容量ppmに達するまで通過した。第1の通過で処理されたガスの量は、他のパラメータと共に以下の表に示す。
【0100】
処理されたガス及び除去された硫化水素の量は、以下の表3に示す。
【0101】
【表3】

【0102】
上記データは、硫化水素除去能力が、二酸化炭素、窒素及びメタンの存在によって、著しく影響を受けないことを示している。空気の場合に、化学吸着及び再生が、同時に行われていることが認められ、かつ床は、連続的に使用でき、それ故に空気の不存在下で1回の通過で処理できたガスの約10倍の処理可能性をもたらした。
【0103】
(実施例17)
硫化水素(黒色)によって処理された固体床媒体(229g)は、直径30mmのガラスカラムに詰め込まれた。触媒床の高さは、300mmであった。黒色の触媒は、再生のため、周囲空気によって処理された。空気は、毎分0.1リットルの率で、カラムを通過した。触媒の色は、黒色から灰色がかった色に、かつ最終的に黄色がかったえび茶色に変化し始めた。色の変化は、底部から始まり、かつ触媒の底層が再生されるにつれ、上方に移動した。出口空気試料が、酸素含量に関して分析された。結果は、以下の表4に示す。
【0104】
【表4】

【0105】
再生は、200分後に完全であることが認められ、かつ床は、硫化水素除去活性を取り戻した。再生中、発熱が、観察され、かつ水分が、カラムの壁に堆積したことが認められた。
【0106】
(実施例18)
上記実施例1に示したように調製された、えび茶色の固体床媒体(225g)は、直径32mmのガラスカラムに詰め込まれた。触媒床の高さは、310mmであった。硫化水素及び二酸化炭素を含むガスは、カラムの底部から通過した。触媒床の消耗後、それは、周囲空気によって再生された。
【0107】
再生された触媒床は、硫化水素除去のために再度使用された。反応及び再生サイクルが、同じカラムで20回行われたが、その後でさえ、床は、その硫化水素除去能力を維持した。床の色は、硫黄元素の存在のために黄色がかってきた。様々な作業の結果は、以下の表5に示す。
【0108】
【表5】

【0109】
(実施例19)
上記実施例1に示したように調製された、えび茶色の固体床媒体(100グラム)は、直径32mmのガラスカラムに取り込まれ、かつ次の実験が、ガス及び空気混合物によって行われた。
【0110】
ケースI.硫化水素(二酸化炭素中1容量%)を含むガス混合物及び空気は、1:0.075の比率(ガス1リットル当たり0.075リットルの空気)で混合され、かつ混合物は、毎分0.30リットルの流量でカラムを通過し、同時の反応及び再生サイクルを可能にした。酸素が再生剤であるので、ガス混合物は、硫化水素対酸素の比率が約1:1.5であるように調製された。処理されたガスは、硫化水素の存在に関して検査された。出口ガス流中の硫化水素は、追跡可能でなかった。結果及び観察結果は、以下の表6に示す。
【0111】
ケースII.硫化水素(二酸化炭素中1.5容量%)を含むガス混合物及び空気は、1:0.30の比率(ガス1リットル当たり0.30リットルの空気)で混合され、かつ混合物は、毎分0.30リットルの流量でカラムを通過し、同時の反応及び再生サイクルを可能にした。酸素が再生剤であるので、ガス混合物は、硫化水素対酸素の比率が約1:4であるように調製された。処理されたガスは、硫化水素の存在に関して検査された。出口ガス流中の硫化水素は、追跡可能でなかった。結果及び観察結果は、以下の表6に示す。
【0112】
【表6】

【0113】
上記実験の結果は、1:4より高いHS対酸素の比率によって、硫化水素除去及びその硫黄への変換が、別個の反応及び再生サイクルなしに、1回のステップで行われ得ることを示している。このことは、硫化水素を含むガスが、下流用途を有さず、それ故にそれを除去するために処理でき、かつ次に空気に通気できるケースで特に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫化水素を含むガス流からの硫化水素の除去、及び、硫黄元素への変換に有用な触媒であって、0から95重量%の粘土と、5から95重量%の石膏と、0から95重量%のアルミナと、5から60重量%の酸化鉄水和物を含み、かつ活性化のために100から650℃の温度に加熱される触媒。
【請求項2】
前記触媒が、5から60重量%の粘土と、5から80重量%の石膏と、5から40重量%のアルミナと、6から40重量%の酸化鉄水和物を含む請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
粘土が、カロナイト(Kalonite)、モンモリロナイト/セメクタイト(Semectite)、イライト及び緑泥石を含む群から選択される請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
粘土が、セメクタイト群から選択される請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
使用される粘土が、ベントナイト粘土である請求項4に記載の触媒。
【請求項6】
前記触媒が、ガス流に存在する硫化水素を化学吸着し、かつそれを硫黄元素に変換する第二鉄イオンを活性点として含む請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
前記触媒が、8.0から10.0の範囲のpH値を有する請求項1に記載の触媒。
【請求項8】
100グラムの前記触媒が、1回のサイクルで、前記ガス流から2860から28600mgの硫化水素を化学吸着する請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
硫化鉄を含む前記使用済み触媒が、周囲温度でそれに空気を通すことによって再生される請求項1に記載の触媒。
【請求項10】
再生触媒が、その後の化学吸着及び再生サイクルにおいて硫化水素を処理し、かつガス流から除去し、かつそれを硫黄元素に変換する請求項1に記載の触媒。
【請求項11】
触媒が、その使用中、少なくとも15回の化学吸着及び再生サイクルで使用される請求項1に記載の触媒。
【請求項12】
使用済み触媒中に存在する硫化鉄が、再生中にFeに変換され、それにより硫黄元素を生成し、かつ触媒を再生する請求項1に記載の触媒。
【請求項13】
回収された硫黄元素が、99%を超える純度を有する請求項1に記載の触媒。
【請求項14】
前記触媒が、固定床反応器又は流動床反応器で使用される請求項1に記載の触媒。
【請求項15】
前記触媒が、流動床反応器で使用するために、100μmから2000μmの範囲の粒径を有する微粒子に分割される請求項1に記載の触媒。
【請求項16】
前記触媒が、固定床反応器で使用するために、0.5mmから10.0mmの範囲の直径を有するペレット/顆粒を得るためにペレット化又は顆粒化される請求項1に記載の触媒。
【請求項17】
ガス流からの硫化水素の除去、及びそこからの硫黄元素の回収に有用な触媒を調製する方法であって、次のステップ:
a)0から95重量%の粘土と、5から95重量%の石膏と、0から95重量%のアルミナと、5から60重量%の酸化鉄水和物の混合と、
b)ステップ(a)の混合物を顆粒化、ペレット化、又は微粉化し、かつそれを100℃から650℃の範囲の温度で加熱し、触媒を得ることを含む方法。
【請求項18】
ステップ(a)で、酸化鉄水和物が、硝酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄のような一般に入手可能な鉄の塩と、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムのような一般に入手可能なアルカリから調製される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
100グラムのこのようにして得られた触媒が、ガス流から2860から28600mgの硫化水素を化学吸着する請求項17に記載の方法。
【請求項20】
このようにして得られた触媒が、8.0から10.0の範囲のpH値を有する請求項17に記載の方法。
【請求項21】
このようにして得られた触媒が、固定床反応器又は流動床反応器で使用される請求項17に記載の方法。
【請求項22】
このようにして得られた触媒が、第二鉄イオンを活性点として含む請求項17に記載の方法。
【請求項23】
このようにして得られた触媒が、流動床反応器で使用するために、微粒子に微粉化される請求項17に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(b)で、ステップ(a)の混合物が、固定床反応器で使用するために、0.5mmから10.0mmの範囲の直径を有するペレット/顆粒を得るためにペレット化又は顆粒化される請求項17に記載の方法。
【請求項25】
硫黄化合物を含むガス流から硫黄化合物を除去し、かつそこから硫黄元素を回収する方法であって、次のステップ:
a)硫黄化合物を硫化水素に変換するために、湿潤空気/水を、硫黄化合物を含むガス流と混合することと、
b)化学吸着によって硫化水素を除去するために、0から95重量%の粘土と、5から95重量%の石膏と、0から95重量%のアルミナと、5から60重量%の酸化鉄水和物を含む触媒と、硫化水素を含むガス流を接触させることと、
c)空気を触媒に通し、又は触媒の上に、酸化鉄まで通し、かつ硫化鉄を酸化鉄及び硫黄元素に変換することによって使用済み触媒を再生することを含む方法。
【請求項26】
硫黄化合物が、硫化水素、硫化カルボニル(COS)及び二硫化炭素(CS)、並びにその混合物である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
微量レベルから100%レベルの硫化水素を含むガス流が、硫化水素を含まない出口ガス流を得るために処理される請求項25に記載の方法。
【請求項28】
触媒の色が、ステップ(b)の化学吸着中にえび茶色から黒色に変化し、かつそれが、再生するとえび茶色に変化して戻り、この特性は、それぞれ化学吸着及び再生サイクルの進行を視覚的に観察することにおいて有用である請求項25に記載の方法。
【請求項29】
使用済み触媒が、酸素含有ガスを触媒に通す、又は触媒の上に通すことによって再生される請求項25に記載の方法。
【請求項30】
ガス流からの硫黄化合物の除去と、触媒の再生が、任意に同時に行われる請求項25に記載の方法。
【請求項31】
ガス流からの硫黄化合物の除去と、触媒の再生が、硫黄化合物を含むガス流及び酸素含有ガスを、触媒と同時に接触させることによって同時に行われる請求項25に記載の方法。
【請求項32】
触媒の同時反応及び再生比率は、ガス流の流量、及びガス流及び酸素含有ガスの比率、並びにガス流の硫化水素含量によって決まる請求項25に記載の方法。
【請求項33】
使用済み触媒の再生率は、酸素含有ガスが、使用済み触媒に、又は使用済み触媒の上に通される時、100%である請求項25に記載の方法。
【請求項34】
方法が、流動床反応器又は固定床反応器で行われる請求項25に記載の方法。
【請求項35】
得られた硫黄元素が、99%を超える純度を有する請求項25に記載の方法。
【請求項36】
100グラムの前記触媒が、1サイクルで前記ガス流から2860から28600mgの硫化水素を化学吸着する請求項25に記載の方法。
【請求項37】
実質的に本明細書に記載され、かつその中で例示されたような、硫化水素を含むガス流からの硫化水素の除去、及びその硫黄元素への変換に有用な触媒。

【公表番号】特表2007−516817(P2007−516817A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511648(P2005−511648)
【出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005687
【国際公開番号】WO2005/056164
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506188747)
【出願人】(506188770)
【出願人】(506188758)
【Fターム(参考)】