説明

ガス浄化装置及び方法

【課題】ガス浄化装置及び方法において、ガス中の粒子状物質を確実に捕集可能であると共に脱硫などの有害ガスの除去性能を向上することでガス浄化効率の向上を図る。
【解決手段】ケーシング21の排気ガス流路22に、所定電圧が印加されることで排気ガスの流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生可能な放電電極25を配設する一方、ケーシング21の内壁面にイオン風を通過可能な所定の開口率を有する集塵電極26を配設し、この集塵電極26に有害成分を吸収するアルカリ吸収液を供給してその表面に液膜を形成する複数の液供給ノズル32からなる吸収液供給装置31を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電用のディーゼルエンジンなどの内燃機関や油を燃焼するボイラなどから排出されるガスを浄化処理するガス浄化装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関やボイラなどから排出される排気ガス中には、粒子状物質(PM:Particulate Matter)や硫黄酸化物(亜硫酸ガスSO2やSO3)などの有害成分が含まれており、これらを効率良く浄化処理する必要がある。一般的には、排気ガス通路に電気集塵機や脱硫装置等を設けてこれらを浄化処理している。
【0003】
従来のガス浄化装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものが提案されている。この特許文献1に記載された排煙脱硫方法は、石灰石膏法脱硫装置の下流側に湿式の電気集塵機を配置し、この電気集塵機にて、コロナ放電場の主として集塵極板側にアルカリ吸収液の液膜を形成させることで排ガス中の硫黄酸化物を除去し、この集塵極板の全表面にわたって均一にアルカリ吸収液膜を流下させて排煙を脱硫するものである。
【0004】
【特許文献1】特開平08−010643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に脱硫などの有害ガス処理において、吸収法では、吸収液を多量に噴霧したり、あるいは吸収液とガスの接触効率を高めるために充填層などを設けているが、これらの方法では主ガスの圧力損失が大きく、エンジンなどの用途では別途ファンが必要となるなどの課題がある。そこで、通風損失の少ない湿式の電気集塵機を利用した上述の特許文献1があるが、この排ガス浄化装置にあっては、湿式の電気集塵機における集塵極板を平板形状とし、放電極に対向する表面にアルカリ溶液の液膜を形成し、排ガスのイオン風を集塵極板の液膜に導いて排煙を脱硫している。このように集塵極板が平板形状であるため、排ガス中の微細なダストは、イオン風で極板の近くまでイオン風で引き寄せられた後、大部分は静電気的に集塵極にひきつけられて捕集されるが、捕集するダストの径が小さければ小さいほどイオン風と同じ挙動を示し、イオン風の反転により巻き戻されて再飛散してしまい、ダストの捕集効率が低下してしまう。また、平板形状をなす集塵極板の表面にアルカリ溶液の液膜が形成されているため、イオン風の増加に伴い気液の接触確率はイオン風の増加に伴い向上はするが、その風の先端部分以外は液に接することなく反転してしまう、即ち、一部の排ガスしか気液接触することができず、効率的に高い脱硫効率を得ることができない。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するものであり、ガス中の粒子状物質を確実に捕集可能であると共に脱硫などの有害ガスの除去性能を向上することでガス浄化効率の向上を図ったガス浄化装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための請求項1の発明のガス浄化装置は、入口部及び出口部が設けられたケーシングと、該ケーシング内にガス流れ方向に沿って配設されて所定電圧が印加されることで前記ケーシング中にガス流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生可能な放電電極と、前記ケーシング内にガス流れ方向に沿って前記放電電極に対向して配設されて前記イオン風が通過可能な所定の開口率を有する集塵電極と、該集塵電極の表面にガス中の有害成分を吸収する有害ガス吸収液の液膜を形成する液膜形成手段とを具えたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の発明のガス浄化装置では、前記集塵電極は、有害ガス吸収液が途絶えることなく連続的に落下する液膜を形成可能なほほ鉛直方向に沿った液路を有することを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明のガス浄化装置では、前記集塵電極に対して、所定の空隙率を有してガス中の有害成分を吸着可能な吸着部材が付設されたことを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明のガス浄化装置では、前記液膜形成手段は、前記集塵電極に対して有害ガス吸収液を供給する吸収液供給手段であり、前記集塵電極の表面に有害ガス吸収液膜を形成可能であると共に、該集塵電極に捕集された粒子状物質を洗浄して剥離可能であることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明のガス浄化装置では、前記ケーシングの下方に前記集塵電極を洗浄した吸収液を貯留する吸収液貯留タンクが設けられ、前記吸収液供給手段に循環可能である一方、廃液処理工程に排出可能であると共に新たな有害ガス吸収液を補充可能であることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明のガス浄化装置では、ガス流れ方向における前記放電電極よりも上流側に、有害ガス吸収液を噴霧する第1噴霧手段が設けられたことを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明のガス浄化装置では、処理するガスが亜硫酸ガスと硫酸ガスの両方を含むものであり、ガス流れ方向における前記放電電極よりも上流側に、ガス処理温度が酸露点以上の条件で塩化物を含む水溶液、または、アルカリ水溶液を噴霧する第2噴霧手段が設けられたことを特徴としている。
【0014】
請求項8の発明のガス浄化方法は、放電電極に所定電圧を印加することで、ガス流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生させ、前記イオン風を表面に有害ガス吸収液膜が形成された集塵電極を通過させることで、ガスの除塵処理及び有害ガス処理を実行することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明のガス浄化装置によれば、入口部及び出口部が設けられたケーシング内に、所定電圧が印加されることでガス流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生可能な放電電極をガス流れ方向に沿って配設すると共に、イオン風を通過可能な所定の開口率を有する集塵電極をガス流れ方向に沿って放電電極に対向して配設し、この集塵電極の表面に有害ガス吸収液の液膜を形成する液膜形成手段を設けている。従って、ケーシング内に導入されたガス中の粒子状物質が放電電極により帯電されると、帯電しやすい粒子状物質は、元来強力な静電気力によって集塵電極に引付けられて捕集されるが、帯電し難い微細な粒子状物質は、微細な静電気力しか作用しないにも拘らずイオン風によってガス流れを横切る方向に加速されたガスと共に集塵電極側に流れ、この集塵電極層の中を通過する間に捕集されると共に、ガスのイオン風が集塵電極層の中を通過、反転する間に、ガス中に含まれる硫黄酸化物などの有害成分が集塵電極の表面に形成された有害ガス吸収液膜に効率良く気液接触して吸収されることとなり、ガス中の粒子状物質を確実に捕集することができると共に、脱硫性能などの有害ガス処理効率を向上することができ、その結果、主ガスの通気損失を抑制しつつ、ガス浄化効率を大幅に向上することができる。
【0016】
請求項2の発明のガス浄化装置によれば、集塵電極に有害ガス吸収液が途絶えることなく連続的に落下する液膜を形成可能なほほ鉛直方向に沿った液路を設けたので、ガスが接触可能な集塵電極における有害ガス吸収液膜の表面積を大幅に拡大することができ、気液接触効率を向上することで脱硫効率を向上することができる。
【0017】
請求項3の発明のガス浄化装置によれば、集塵電極に対して、所定の空隙率を有してガス中の有害成分を吸着可能な吸着部材を付設したので、ガスのイオン風が集塵電極層の中を通過、反転する間に、ガス中に含まれる硫黄酸化物などの有害成分が吸着部材に吸着濃縮され、その結果吸収液との反応効率が促進されることとなり、主ガスの圧力損失を抑制しつつ、排気浄化効率を更に向上することができる。
【0018】
請求項4の発明のガス浄化装置によれば、液膜形成手段を集塵電極に対して有害ガス吸収液を供給する吸収液供給手段とし、集塵電極の表面に有害ガス吸収液膜を形成可能とすると共に、この集塵電極に捕集された粒子状物質を洗浄して剥離可能としたので、この吸収液供給手段により有害ガス吸収液膜の形成処理と粒子状物質の剥離処理を実行することができ、構造の簡素化を図ることができる。
【0019】
請求項5の発明のガス浄化装置によれば、ケーシングの下方に集塵電極を洗浄した吸収液を貯留する吸収液貯留タンクを設け、吸収液供給手段に循環可能とする一方、廃液処理工程に排出可能とすると共に新たな有害ガス吸収液を補充可能としたので、大量の有害ガス吸収液の浪費を抑制することができると共に、有害ガス吸収液による所定の処理効果を確保することができる。
【0020】
請求項6の発明のガス浄化装置によれば、ガス流れ方向における放電電極よりも上流側に有害ガス吸収液を噴霧する第1噴霧手段を設けたので、処理するガスに対して第1噴霧手段により有害ガス吸収液が噴霧されることで、この有害ガス吸収液の噴霧液滴がガス中の有害成分と気液接触し、このガスが高温の場合には、その熱により蒸発した反応生成物、または未蒸発の反応生成物が生成されることとなり、この反応生成物はイオン風により粒子またはミストとして集塵電極に両氏として導かれて捕集されることで、確実に除去することができる。
【0021】
請求項7の発明のガス浄化装置によれば、処理するガスが亜硫酸ガスと硫酸ガスの両方を含むものであり、ガス流れ方向における放電電極よりも上流側にガス処理温度が酸露点以上の条件で塩化物を含む水溶液、または、アルカリ水溶液を噴霧する第2噴霧手段を設けたので、処理するガスに対して第2噴霧手段により塩化物を含む水溶液、または、アルカリ水溶液が噴霧されることで、この吸収液の噴霧液滴がガス中の有害成分に気液接触し、ガス処理温度が酸露点以上であるために液滴が飛散している間に蒸発し、特に、硫黄酸化物としてのSO3の反応生成物が生成されることとなり、この反応生成物はイオン風により集塵電極に粒子として導かれて捕集されることで、確実に除去することができる。
【0022】
請求項8の発明のガス浄化方法によれば、放電電極に所定電圧を印加することで、ガス流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生させ、イオン風を表面に有害ガス吸収液膜が形成された集塵電極を通過させることで、ガスの除塵処理及び有害ガス処理を実行するようにしたので、ガスのイオン風が集塵電極層の中を通過する間に粒子状物質が捕集されると共に、硫黄酸化物などの有害成分が有害ガス吸収液膜に効率良く気液接触して吸収されることとなり、ガス中の粒子状物質を確実に捕集することができると共に、脱硫性能などの有害ガス処理効率を向上することができ、その結果、主ガスの通気損失を抑制しつつ、ガス浄化効率を大幅に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るガス浄化装置及び方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施例1に係るガス浄化装置を表す正面図、図2は、実施例1のガス浄化装置を表す平面図、図3は、実施例1のガス浄化装置における集塵電極を表す概略図、図4及び図5は、実施例1のガス浄化装置における集塵電極の変形例を表す概略図、図6は、実施例1のガス浄化装置の全体構成を表す概略図である。
【0025】
本実施例のガス浄化装置は、内燃機関としてのディーゼルエンジンや油焚きボイラなどから排出される排気ガスを浄化処理するものである。具体的には、放電電極に高電圧を印加することで、この放電電極から集塵電極に向けてコロナ放電により生じるイオンが電界内を対向電極に移動する際に、誘起される排気ガスの流れであるイオン風が排気ガスの主流れとは別に生じる。この場合、集塵電極を開口率の大きな素材で形成することで、イオン風は集塵電極の表面上で反転することなく集塵電極の内部にも導入されることとなり、排気ガス中の粒子状物質を効率良く捕集できる。また、集塵電極の表面に有害ガス吸収液膜を形成することで、イオン風が集塵電極内を通過する間に排気ガス中に含まれる硫黄酸化物などの有害成分がこの有害ガス吸収液膜に効率良く気液接触して吸収できる。その結果、主ガスに直交して設けられる充填層などの通風損失を増大させる層を設けることなく、排気ガス中の粒子状物質や有害成分を確実に除去して排気浄化性能の向上を図ることができる。以下、本実施例のガス浄化装置及び方法を具体的に説明する。
【0026】
実施例1のガス浄化装置において、図6に示すように、ディーゼルエンジンや油焚きボイラなどの排気ガス排出源11からは、粒子状物質(PM)や亜硫酸ガス(硫黄酸化物、SO2,SO3)などの有害成分が含まれて排気ガスが排出されており、ガス処理装置12では、この排気ガスから粒子状物質や亜硫酸ガスなどの有害成分を除去し、浄化ガスを煙突13から大気に放出する一方、ガス処理装置12で使用した処理液は液処理装置14で処理し排水基準値以下に処理した後、系外排出する。反応生成物(有害物質)はたとえば固形分などは分離した後、焼却処理や産廃処理を行う。
【0027】
このガス処理装置12において、図1乃至図3に示すように、ケーシング21は中空箱型形状をなし、内部に排気ガス流路22が形成されており、ケーシング21の一端部に排気ガスを導入する入口部23が形成される一方、他端部に浄化ガスを排出する出口部24が形成されている。なお、このケーシング21の形状は、箱型形状に限らず、円筒形や楕円筒形など、用途や配置場所、排気ガスの処理量などに応じて適宜設定することができる。
【0028】
ケーシング21内の排気ガス流路22には、その中心部側に位置して排気ガス中の粒子状物質を帯電させる放電電極25が排気ガスの流れ方向に沿って配設されている。また、このケーシング21内には、その左右の内壁面に放電電極25により帯電された粒子状物質を捕集する集塵電極26がこの放電電極25に対向し、且つ、排気ガスの流れ方向に沿って配設されている。
【0029】
この放電電極25は、ケーシング21内に排気ガスの流れ方向に直交する鉛直方向に沿って配設された複数本の主部25aと、この主部25aに所定間隔ごとに放射状に突出した複数の放電部25bとから構成されており、各放電部25bは排気ガス流路22を横切る方向に沿って設けられている。そして、ケーシング21の前後には一対の碍子27が固定され、この各碍子27からそれぞれ支持枠28が垂下して固定され、各支持枠28により取付枠29が支持されており、この取付枠29に放電電極25(主部25a)の上下端部が固定されている。なお、本実施例では、1対の碍子としたが、さらに多くの複数列の放電電極を支持する場合には、複数の碍子で支持され、その方法は従来の電気集塵装置などと同様の構造で対応可能である。
【0030】
一方、集塵電極26は、帯電した粒子状物質を含むイオン風が通過可能な所定の開口率を有した素材より構成され、少なくとも放電電極25側に面した排気ガス流路22側には、導電性のネット、具体的には、金網などの導電性素材が設けられている。なお、イオン風により同伴される粒子状物質を通過させるのに十分な開口率を有し、且つ、導電性の材質であれば、ワイヤを平織り等に織り込んだ金網、パンチングメタル、またはエキスパンドメタルとしても良いが、後述するアルカリ吸収液が途絶えることなく連続的に落下する液膜を形成可能なほほ鉛直方向に沿った液路を有する素材であることが望ましい。また、金網を用いる場合、局部的に電界が集中しないようにするために、金網を構成するワイヤの太さが細くなりすぎないように選定する必要がある。更に、この集塵電極26は、その内部を構成する素材は、金網などの導電性素材以外にも十分な開口率を有する素材であれば非導電性の素材であっても構わない。
【0031】
また、集塵電極26は、上述したように、排気ガスの流れ方向と交差する断面に二次流れを有効的に作用させるものであるが、ガス流れを横切る流路断面に沿う方向に程好い開口率、例えば、金網の素材で構成する場合には70%程度の開口率を有する素材を複数重ねて使用すると共に、ガス流れに沿う方向にも開口率を有する構造となっている。ガス流れに対して直角方向に二次元的な流れの循環を確保するためには、集塵電極16に導かれた排気ガスが、再びガス流れ方向に動き得ることも必要である。
【0032】
また、集塵電極26の厚さは、この集塵電極26の圧力損失と要求される集塵性能から決定されるべきである。使用する材料の空隙率とも関連するが、排気ガスが通過できるように圧力損失をなるべく低くすることが好ましい。従って、比較的薄く、且つ、開口率の大きな素材のものが用いられる。但し、排気ガスの流れ方向に直交する断面内の二次流れのパターンを有効なものとし、集塵電極26を設置した部分と排気ガスが流れる流路との対流を効果的なものとするためには、放電電極25との距離を適正に設定することが必要である。
【0033】
高圧電源30は、一方が放電電極25の主部25aに接続され、他方が集塵電極26に接続されており、この放電電極25と集塵電極26との間に高電圧を印加することができる。この場合、放電電極25側をマイナス極に印加し、集塵電極26を接地させており、放電電極25がマイナス極に印加されることにより放電電極25における放電部25bの先端に生じるコロナ放電の起点の近傍で排気ガスに含まれる粒子状物質がイオン化される。そして、イオン化された粒子状物質は、電界によって移動するのに伴って、放電電極25の放電部15bの先端から集塵電極26に向けて周囲の排気ガスも巻き込んでイオン風が発生する。なお、本実施例では、放電電極25側をマイナス極としたが、+極であってもイオン風は発生可能であり、特に限定するものではない。
【0034】
従って、高圧電源30により放電電極25に高電圧を印加すると、この放電電極25から集塵電極26に向けてコロナ放電により生じるイオンが電界内を移動し、このとき、誘起される排気ガスの2次的な流れであるイオン風が主排気ガスの流れと交差する方向に発生し、帯電した粒子状物質を含んだイオン風が集塵電極26の内部に導入され、その結果、排気ガス中の粒子状物質を静電気的に集塵電極26に捕集することができる。
【0035】
ケーシング21には、集塵電極26の表面に有害ガス吸収液の液膜を形成する液膜形成手段として、この集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給する吸収液供給装置31が設けられている。この吸収液供給装置31は、ケーシング21の上部にて、集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給する複数の液供給ノズル32により構成されている。従って、複数の液供給ノズル32から集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給することで、集塵電極26の表面にアルカリ吸収液膜を形成することができる。なお、ここで、液膜形成手段として液供給ノズル32を有する吸収液供給装置31を設けたが、この構成に限らず、集塵電極26の表面に均一に液膜を形成することができるものであればよく、アルカリ吸収液が供給される樋によるオーバーフロー方式としてもよい。
【0036】
そして、ケーシング21の下部には、アルカリ吸収液を貯留する吸収液貯留タンク33が設けられている。そして、この吸収液貯留タンク33から吸収液供給装置31の各液供給ノズル32にアルカリ吸収液を循環可能な吸収液循環通路34が設けられると共に、この吸収液循環通路34に循環ポンプ35が装着されている。なお、吸収液循環通路34には、廃液を液処理装置14(図6参照)に排出する排出通路36が連結されると共に、新たなアルカリ吸収液を補充する補充通路37が連結されている。
【0037】
従って、循環ポンプ35を駆動することで、吸収液貯留タンク33に貯留されているアルカリ吸収液を吸収液循環通路34を通して吸収液供給装置31に循環し、液供給ノズル32から供給することができる。この場合、各液供給ノズル32から集塵電極26に対してアルカリ吸収液を所定時間ごとに間欠供給することで、集塵電極26の表面にアルカリ吸収液膜を形成することができ、排気ガスのイオン風が集塵電極26内を通過、反転する間に、この排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO2)などの有害成分がアルカリ吸収液膜に対して効率良く気液接触して吸収することができる。また、各液供給ノズル32から集塵電極26に対してアルカリ吸収液を所定時間ごとに連続供給することで、アルカリ吸収液を洗浄液として使用し、集塵電極26の表面に捕集された粒子状物質などを洗浄して剥離することができ、洗浄に使用されたアルカリ吸収液は吸収液貯留タンク33に貯留される。
【0038】
なお、アルカリ吸収液としては、苛性ソーダ、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどを含んだ水溶液、または、海水を適用することができる。
【0039】
上述したような観点から、本実施例にて、集塵電極26は、図3に詳細に示すように、複数のエキスパンドメタル38を多層に積層して形成されている。この場合、エキスパンドメタル38は、複数のひし形をなす開口部38aが複数形成され、このエキスパンドメタル38の各開口部38aを複数重ねることで、イオン風により同伴される粒子状物質を通過させるのに十分な開口率を確保することができる。そして、吸収液供給装置31の液供給ノズル32から供給されるアルカリ吸収液により、エキスパンドメタル38の表面にアルカリ吸収液の液膜を形成することができる。
【0040】
なお、集塵電極26の構成はこの構造に限定されるものではない。例えば、図4に示すように、素材に活性炭繊維などの吸着性を有する導電性の吸着部材39を用い、これを一体成形した多孔質のボード状の集塵電極26を構成する。そして、吸着部材39に酸化機能(例えば、酸化触媒を添加)を設けることで、排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO2)などの有害成分を吸着して酸化させることで、アルカリ吸収液に吸収させやすくすることができる。
【0041】
また、図5に示すように、一対をなす導電性のメッシュ(エキスパンドメタル)38の間に、吸着性を有する空隙率の高い非導電性の吸着部材40を挟持して集塵電極26を構成する。そして、吸着部材40の内部に酸化触媒を設けることで、排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO2)などの有害成分を吸着して酸化させることで、アルカリ吸収液に吸収させやすくすることができる。
【0042】
このように構成された本実施例のガス浄化装置において、図1及び図2に示すように、入口部23からケーシング21内に導入された排気ガスは、排気ガス流路22を通って放電電極25に至り、この放電電極25の放電部25bの先端に生じるコロナ放電の起点の近傍で排気ガス中の粒子状物質がイオン化され、イオン化された粒子状物質が放電電極25の先端から集塵電極26に向けて周囲の排気ガスを巻き込んでイオン風が発生する。この結果、ケーシング21内に導入されて排気ガス流路22を流れる排気ガスに対して、この排気ガスの流れと交差する断面内にイオン風によって排気ガスの二次流れが形成され、イオン化された粒子状物質を含む排気ガスが集塵電極26に吹き付けられる。従って、ケーシング21内を流れる排気ガスは、このイオン風によって集塵電極26に向けて加速され、この集塵電極26を通過するときに帯電している粒子状物質が捕集される。
【0043】
この場合、排気ガスの流れと交差する断面内における放電電極15の距離は、適正に選定される。例えば、排気ガスの流れ方向に沿う長手方向断面内で隣り合う放電電極15間の距離を小さくすると、電流は満遍なく流れてコロナ放電を発生してイオン風を生じさせることは可能であるが、あまり短い場合にはお互いに干渉し合うため、ある程度の距離を開けることが必要である。逆に、あまりにも開けすぎた場合には、排気ガスの流れ方向から見て有効にイオン風が作用しない領域が増えて十分な効率を得ることができない。
【0044】
また、吸収液供給装置31は、複数の液供給ノズル32から集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給することで、この集塵電極26の表面にアルカリ吸収液の液膜を形成しており、排気ガスのイオン風が集塵電極26内を通過、反転する間に、この排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO2)などの有害成分がアルカリ吸収液膜に対して効率良く気液接触して吸収除去される。そして、粒子状物質や有害成分が除去された浄化ガスは、出口部24からケーシング21の外部に排出される。
【0045】
そして、吸収液供給装置31は、各液供給ノズル32から集塵電極26に対してアルカリ吸収液を所定時間ごとに連続供給することで、集塵電極26の表面に捕集された粒子状物質などを洗浄して剥離し、洗浄に使用されたアルカリ吸収液が吸収液貯留タンク33に貯留される。この吸収液貯留タンク33に貯留されたアルカリ吸収液の一部は、排出通路36から液処理装置14(図6参照)に排出され、ここでSS(煤塵などの固形物)処理やCOD処理が実行され、廃液の処理後に有害成分は、例えば、焼却処理される一方、浄化されたアルカリ吸収液は補充通路37から吸収液貯留タンク33に戻される。
【0046】
このように実施例1のガス浄化装置にあっては、ケーシング21の排気ガス流路22に、所定電圧が印加されることで排気ガスの流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生可能な放電電極25を配設する一方、ケーシング21の内壁面にイオン風を通過可能な所定の開口率を有する集塵電極26を配設し、この集塵電極26に有害ガス成分を吸収するアルカリ吸収液を供給してその表面に液膜を形成する複数の液供給ノズル32からなる吸収液供給装置31を設けている。
【0047】
従って、ケーシング21内に導入された排気ガスは、含有する粒子状物質が放電電極25により帯電されると、この放電電極25から集塵電極26に向けてイオン風が生じ、このイオン風によって排気ガスが集塵電極26の中を通過する間に粒子状物質を捕集されると共に、硫黄酸化物などの有害成分が集塵電極26の表面に形成されたアルカリ吸収液膜に効率良く気液接触して吸収除去されることとなり、排気ガス中の粒子状物質を確実に捕集することができると共に、脱硫性能などの有害ガス処理効率を向上することができ、その結果、主ガスの通気損失を抑制しつつ、ガス浄化効率を大幅に向上することができる。
【0048】
また、本実施例のガス浄化装置では、放電電極25は、電圧が印加されたときにケーシング21中に排気ガスの流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生可能である一方、集塵電極26は、二次流れを通過可能な所定の開口率を有している。帯電しやすい粒子状物質は、元来強力な静電気力によって集塵電極26に引付けられて捕集されるが、帯電し難い微細な粒子状物質は、微細な静電気力しか作用しないにも拘らずイオン風によってガス流れを横切る方向に加速された排気ガスと共に集塵電極26側に流れ、この集塵電極26の中を通過する間に捕集されることとなり、微細な静電気力しか作用しない帯電し難い微細な粒子状物質をも集塵電極26を通過するように流路を流れるガスを対流させることで効率良く捕集することができる。そして、この場合、集塵電極26の表面、つまり、所定の開口率を有する開口部にアルカリ吸収液膜が形成されているため、排気ガスが集塵電極26の開口部を通過、反転する再に、排気ガスが液膜に効率良く気液接触することとなり、排気ガスの脱硫処理を効率良く行うことができる。
【0049】
更に、本実施例のガス浄化装置では、集塵電極26を複数のエキスパンドメタル38を多層に積層して形成しており、排気ガスが接触可能な集塵電極26におけるアルカリ吸収液膜の表面積を大幅に拡大することができ、気液接触効率を向上することで脱硫効率を向上することができる。
【0050】
また、本発明の液膜形成手段を、集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給する吸収液供給装置31とし、複数の液供給ノズル32により集塵電極26にアルカリ吸収液を供給してその表面にアルカリ吸収液膜を形成可能としており、構造の簡素化を図ることができる。そして、この吸収液供給装置31の各液供給ノズル32により集塵電極26にアルカリ吸収液を連続して噴射することで、集塵電極26に捕集された粒子状物質を剥離して洗浄可能としており、アルカリ吸収液を洗浄液として利用することで、一つの装置でアルカリ吸収液膜の形成処理と粒子状物質の剥離処理を実行することができる。即ち、効率良く除塵とガスの吸収処理を同時に行うことが可能である。
【0051】
また、ケーシング21の下方に集塵電極26を洗浄したアルカリ吸収液を貯留する吸収液貯留タンク33を設け、吸収液循環通路34により吸収液供給装置31に循環可能とする一方、液処理装置14に排出可能とすると共に新たなアルカリ吸収液を補充可能としており、大量のアルカリ吸収液の浪費を抑制することができると共に、アルカリ吸収液による所定の処理効果を確保することができる。
【実施例2】
【0052】
図7は、本発明の実施例2に係るガス浄化装置を表す正面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0053】
実施例2のガス浄化装置において、図7に示すように、中空箱型形状をなすケーシング21は、内部に排気ガス流路22が形成されており、一端部に排気ガスを導入する入口部23が形成される一方、他端部に浄化ガスを排出する出口部24が形成されている。このケーシング21内には、排気ガス中の粒子状物質を帯電させる放電電極25が排気ガスの流れ方向に沿って配設されると共に、その両側に対向して放電電極25により帯電された粒子状物質を捕集する集塵電極26が排気ガスの流れ方向に沿って配設されている。
【0054】
高圧電源30は、一方が放電電極25に接続され、他方が集塵電極26に接続されており、この放電電極25と集塵電極26との間に高電圧を印加することができる。この場合、放電電極25側をマイナス極に印加し、集塵電極26を接地させており、放電電極25がマイナス極に印加されることにより放電電極25の先端に生じるコロナ放電の起点の近傍で排気ガスに含まれる粒子状物質がイオン化される。そして、イオン化された粒子状物質は、電界によって移動するのに伴って放電電極25の先端から集塵電極26に向けて周囲の排気ガスも巻き込んでイオン風が発生する。
【0055】
従って、高圧電源30により放電電極25に高電圧を印加すると、この放電電極25から集塵電極26に向けてコロナ放電により生じるイオンが電界内を移動し、このとき、誘起される排気ガスの2次的な流れであるイオン風が主排気ガスの流れと交差する方向に発生し、帯電した粒子状物質を含んだイオン風が集塵電極26の内部に導入され、その結果、排気ガス中の粒子状物質を静電気的に集塵電極26に捕集することができる。
【0056】
ケーシング21には、集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給することでその表面にアルカリ吸収液膜を形成する吸収液供給装置31が設けられている。この吸収液供給装置31は、ケーシング21の上部にて、集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給する複数の液供給ノズル32により構成されている。従って、複数の液供給ノズル32から集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給することで、集塵電極26の表面にアルカリ吸収液膜を形成することができる。
【0057】
また、ケーシング21には、排気ガスの流れ方向における放電電極25よりも上流側に位置して、アルカリ吸収液を噴霧する第1噴霧装置51が設けられている。この第1噴霧装置51は、排気ガス流路22から放電電極25に流れる排気ガスに対してアルカリ吸収液を噴射する複数の噴射ノズル52により構成されている。従って、複数の噴射ノズル52から排気ガスに対してアルカリ吸収液を噴射することで、噴霧液滴が排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO2)などの有害成分と反応し、排熱により蒸発した反応生成物(ダスト)、または未蒸発の反応生成物(ミスト)を形成することができる。
【0058】
そして、ケーシング11の下部には、アルカリ吸収液を貯留する吸収液貯留タンク33が設けられており、この吸収液貯留タンク33から循環ポンプ35を有する吸収液循環通路34が吸収液供給装置31の各液供給ノズル32に連結されると共に、この吸収液循環通路34から分岐した第1吸収液供給通路53が複数の噴射ノズル52に連結されている。
【0059】
従って、循環ポンプ35を駆動することで、吸収液貯留タンク33に貯留されているアルカリ吸収液を吸収液循環通路34を通して吸収液供給装置31に循環し、液供給ノズル32から供給ことで、集塵電極26の表面にアルカリ吸収液の液膜を形成することができる。また、吸収液貯留タンク33に貯留されているアルカリ吸収液を吸収液循環通路34から第1吸収液供給通路53を通して第1噴霧装置51に供給し、噴射ノズル52から高温の排気ガスに噴射することができる。すると、排気ガスのイオン風が集塵電極26内を通過、反転する間に、この排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO2)などの有害成分がアルカリ吸収液膜に対して効率良く気液接触して吸収することができると共に、噴射ノズル52から噴射されたアルカリ吸収液により反応生成された反応生成物を静電気的に集塵電極26に捕集することができる。
【0060】
このように構成された本実施例のガス浄化装置において、入口部23からケーシング21内に導入された排気ガスは排気ガス流路22を流れ、この排気ガスに対して、第1噴霧装置51の各噴射ノズル52からアルカリ吸収液が噴射されることで、噴霧液滴が排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO2)などの有害成分と反応し、排熱により蒸発した反応生成物(ダスト)や未蒸発の反応生成物(ミスト)が形成される。そして、この反応生成物を含んだ排気ガスは放電電極25に至り、この放電電極25の先端に生じるコロナ放電の起点の近傍で排気ガス中の粒子状物質がイオン化され、イオン化された粒子状物質が放電電極25の先端から集塵電極26に向けて周囲の排気ガスを巻き込んでイオン風が発生する。この結果、ケーシング21内に導入されて排気ガス流路22を流れる排気ガスに対して、この排気ガスの流れと交差する断面内にイオン風によって排気ガスの二次流れが形成され、イオン化された粒子状物質を含む排気ガスが集塵電極26に吹き付けられる。
【0061】
一方、この集塵電極26では、吸収液供給装置31の各液供給ノズル32から集塵電極26に対してアルカリ吸収液が間欠に供給されることで、この集塵電極26の表面にアルカリ吸収液の液膜が形成されている。そのため、排気ガスのイオン風が集塵電極26内を通過、反転する間に、帯電している粒子状物質やアルカリ吸収液の噴霧液滴と反応した硫黄酸化物などの反応生成物(ダスト、ミスト)が捕集される。また、この排気ガスに残留している硫黄酸化物(SO2)などの有害成分がアルカリ吸収液膜に対して効率良く気液接触して吸収除去される。この場合、ケーシング21内に導入される高温の排気ガスは、第1噴霧装置51の各噴射ノズル52から噴射されるアルカリ吸収液により冷却されて低温となるが、含有する硫黄酸化物がほとんど除去されるため、水露点温度以下でも運転可能である。但し、ケーシング21や周辺機器の腐食を考慮すると、ガス温度を水露点温度以上に維持するか、腐食対策を講じることが望ましい。そして、粒子状物質や有害成分が除去された浄化ガスは、出口部24からケーシング21の外部に排出される。
【0062】
このように実施例2のガス浄化装置にあっては、ケーシング21の排気ガス流路22に、所定電圧が印加されることで排気ガスの流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生可能な放電電極25を配設する一方、ケーシング21の内壁面にイオン風を通過させる開口率を有する集塵電極26を配設し、この集塵電極26にアルカリ吸収液を供給してその表面に液膜を形成する複数の液供給ノズル32からなる吸収液供給装置31を設けると共に、排気ガスの流れ方向における放電電極25よりも上流側に排気ガスに対してアルカリ吸収液を噴霧する噴射ノズル52からなる第1噴霧装置51を設けている。
【0063】
従って、ケーシング21内に導入された排気ガスは、含有する硫黄酸化物(SO2)などの有害成分が第1噴霧装置51から噴射されたアルカリ吸収液の噴霧液滴と反応し、排熱により蒸発した反応生成物(ダスト)や未蒸発の反応生成物(ミスト)となり、含有する粒子状物質と共に放電電極25により帯電され、この放電電極25から集塵電極26に向けてイオン風が生じ、このイオン風によって排気ガスが集塵電極26の中を通過する間に捕集されると共に、残留する硫黄酸化物などの有害成分が集塵電極26の表面に形成されたアルカリ吸収液膜に効率良く気液接触して吸収除去されることとなり、排気ガス中の粒子状物質を確実に捕集することができると共に脱硫性能を向上することができ、その結果、排気浄化効率を大幅に向上することができる。
【実施例3】
【0064】
図8は、本発明の実施例3に係るガス浄化装置を表す正面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0065】
実施例3のガス浄化装置は、亜硫酸ガスSO2と硫酸ガスSO3の両方を含む排気ガスを処理するものであり、図8に示すように、中空箱型形状をなすケーシング21は、内部に排気ガス流路22が形成されており、一端部に排気ガスを導入する入口部23が形成される一方、他端部に浄化ガスを排出する出口部24が形成されている。このケーシング21内には、排気ガス中の粒子状物質を帯電させる放電電極25が排気ガスの流れ方向に沿って配設されると共に、その両側に対向して放電電極25により帯電された粒子状物質を捕集する集塵電極26が排気ガスの流れ方向に沿って配設されている。
【0066】
高圧電源30は、一方が放電電極25に接続され、他方が集塵電極26に接続されており、この放電電極25と集塵電極26との間に高電圧を印加することができる。この場合、放電電極25側をマイナス極に印加し、集塵電極26を接地させており、放電電極25がマイナス極に印加されることにより放電電極25の先端に生じるコロナ放電の起点の近傍で排気ガスに含まれる粒子状物質がイオン化される。そして、イオン化された粒子状物質は、電界によって移動するのに伴って放電電極25の先端から集塵電極26に向けて周囲の排気ガスも巻き込んでイオン風が発生する。
【0067】
従って、高圧電源30により放電電極25に高電圧を印加すると、この放電電極25から集塵電極26に向けてコロナ放電により生じるイオンが電界内を移動し、このとき、誘起される排気ガスの2次的な流れであるイオン風が主排気ガスの流れと交差する方向に発生し、帯電した粒子状物質を含んだイオン風が集塵電極26の内部に導入され、その結果、排気ガス中の粒子状物質を静電気的に集塵電極26に捕集することができる。
【0068】
ケーシング21には、集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給することでその表面にアルカリ吸収液膜を形成する吸収液供給装置31が設けられている。この吸収液供給装置31は、ケーシング21の上部にて、集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給する複数の液供給ノズル32により構成されている。従って、複数の液供給ノズル32から集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給することで、集塵電極26の表面にアルカリ吸収液膜を形成することができる。
【0069】
また、ケーシング21の入口部23には、排気ガスの流れ方向における放電電極25よりも上流側に位置して、排気ガスの処理温度が酸露点以上の条件で塩化物を含む水溶液を噴霧する第2噴霧装置61が設けられている。この第2噴霧装置61は、ケーシング21に導入された排気ガスに対して塩化物を含む水溶液、つまり、本実施例では、アルカリ吸収液を噴射する複数の噴射ノズル62により構成されている。従って、複数の噴射ノズル62から排気ガスに対してアルカリ吸収液を噴射することで、噴霧液滴が排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO3)などの有害成分と反応し、排熱により蒸発した反応生成物(ダスト)を形成することができる。なお、塩化物を含む水溶液としては、Na,K,Mg,Caのいずれかの硫酸塩または炭酸塩の溶解塩を含む水溶液であり、苛性ソーダ、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどを含んだ水溶液、または、海水を適用することができる。この場合、噴霧の温度条件を酸露点以上に維持することで、ミスト化しやすいSO3をガス状のままSO2よりも優先的に反応させ、SO3の効率的な除去が可能である。
【0070】
そして、ケーシング11の下部には、アルカリ吸収液を貯留する吸収液貯留タンク33が設けられており、この吸収液貯留タンク33から循環ポンプ35を有する吸収液循環通路34が吸収液供給装置31の各液供給ノズル32に連結されると共に、この吸収液循環通路34から分岐した第2吸収液供給通路63が複数の噴射ノズル62に連結されている。
【0071】
従って、循環ポンプ35を駆動することで、吸収液貯留タンク33に貯留されているアルカリ吸収液を吸収液循環通路34を通して吸収液供給装置31に循環し、液供給ノズル32から供給することで、集塵電極26の表面にアルカリ吸収液の液膜を形成することができる。また、吸収液貯留タンク33に貯留されているアルカリ吸収液を吸収液循環通路34から第2吸収液供給通路63を通して第1噴霧装置61に供給し、噴射ノズル62から高温の排気ガスに噴射することができる。すると、排気ガスのイオン風が集塵電極26内を通過、反転する間に、この排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO2)などの有害成分がアルカリ吸収液膜に対して効率良く気液接触して吸収することができると共に、噴射ノズル62から噴射されたアルカリ吸収液により反応生成された硫黄酸化物(SO3)の反応生成物を静電気的に集塵電極26に捕集することができる。
【0072】
このように構成された本実施例のガス浄化装置において、入口部23からケーシング21内に導入された排気ガスは排気ガス流路22を流れ、この排気ガスに対して、第2噴霧装置61の各噴射ノズル62からアルカリ吸収液が噴射されることで、噴霧液滴が排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO3)などの有害成分と反応し、排熱により蒸発した反応生成物(ダスト)が形成される。この場合、排気ガス中の硫黄酸化物(SO3)をアルカリ吸収液と反応させた後、排熱により蒸発させて固形の反応生成物(ダスト)とする必要から、ここでの排気ガスの処理温度を酸露点温度以上としなければならず、噴射ノズル62から噴射するアルカリ吸収液の噴射量をケーシング21に導入された排気ガスの温度に応じて調整する。なお、酸露点温度以下の場合には、硫黄酸化物(SO3)が一気に非常に微細なミストとなり、電気集塵作用により後段で捕集することになるが、その捕集効率は直接ガスを液で吸収する場合に比べ、超微細なミストを物理的に捕集することとなり、十分な捕集効率が期待できない。
【0073】
そして、この反応生成物を含んだ排気ガスは放電電極25に至り、この放電電極25の先端に生じるコロナ放電の起点の近傍で排気ガス中の粒子状物質がイオン化され、イオン化された粒子状物質が放電電極25の先端から集塵電極26に向けて周囲の排気ガスを巻き込んでイオン風が発生する。この結果、ケーシング21内に導入されて排気ガス流路22を流れる排気ガスに対して、この排気ガスの流れと交差する断面内にイオン風によって排気ガスの二次流れが形成され、イオン化された粒子状物質を含む排気ガスが集塵電極26に吹き付けられる。
【0074】
一方、この集塵電極26では、吸収液供給装置31の各液供給ノズル32から集塵電極26に対してアルカリ吸収液が間欠に供給されることで、この集塵電極26の表面にアルカリ吸収液の液膜が形成されている。そのため、排気ガスのイオン風が集塵電極26内を通過、反転する間に、帯電している粒子状物質や硫黄酸化物(SO3)などの反応生成物(ダスト)が捕集される。また、この排気ガスに残留している硫黄酸化物(SO2)などの有害成分がアルカリ吸収液膜に対して効率良く気液接触して吸収除去される。そして、粒子状物質や有害成分が除去された浄化ガスは、出口部24からケーシング21の外部に排出される。
【0075】
このように実施例3のガス浄化装置にあっては、ケーシング21の排気ガス流路22に、所定電圧が印加されることで排気ガスの流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生可能な放電電極25を配設する一方、ケーシング21の内壁面にイオン風を通過させる開口率を有する集塵電極26を配設し、この集塵電極26にアルカリ吸収液を供給してその表面に液膜を形成する複数の液供給ノズル32からなる吸収液供給装置31を設けると共に、入口部23の排気ガスに対してこの排気ガスの処理温度が酸露点以上の条件でアルカリ吸収液を噴霧する噴射ノズル62からなる第2噴霧装置61を設けている。
【0076】
従って、ケーシング21内に導入された排気ガスは、含有する硫黄酸化物(SO3)などの有害成分が第2噴霧装置61から噴射されたアルカリ吸収液の噴霧液滴と反応し、排熱により蒸発した反応生成物(ダスト)となり、含有する粒子状物質と共に放電電極25により帯電され、この放電電極25から集塵電極26に向けてイオン風が生じ、このイオン風によって排気ガスが集塵電極26の中を通過する間に捕集されると共に、残留する硫黄酸化物(SO2)などの有害成分が集塵電極26の表面に形成されたアルカリ吸収液膜に効率良く気液接触して吸収除去されることとなり、排気ガス中の粒子状物質を確実に捕集することができると共に脱硫性能を向上することができ、その結果、排気浄化効率を大幅に向上することができる。
【実施例4】
【0077】
図9は、本発明の実施例4に係るガス浄化装置を表す正面図、図10は、実施例4のガス浄化装置を表す側面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0078】
実施例4のガス浄化装置において、図9及び図10に示すように、ケーシング71は中空箱型形状をなし、内部に排気ガス流路72が形成されており、下端部に排気ガスを導入する入口部73が形成される一方、上端部に浄化ガスを排出する出口部74が形成されている。このケーシング71内には、排気ガス中の粒子状物質を帯電させる放電電極25が排気ガスの流れ方向に沿って配設されると共に、その両側に対向して放電電極25により帯電された粒子状物質を捕集する集塵電極26が排気ガスの流れ方向に沿って配設されている。
【0079】
高圧電源30は、一方が放電電極25の主部25aに接続され、他方が集塵電極26に接続されており、この放電電極25と集塵電極26との間に高電圧を印加することができる。この場合、放電電極25側をマイナス極に印加し、集塵電極26を接地させており、放電電極25がマイナス極に印加されることにより放電電極25の先端に生じるコロナ放電の起点の近傍で排気ガスに含まれる粒子状物質がイオン化される。そして、イオン化された粒子状物質は、電界によって移動するのに伴って放電電極25の先端から集塵電極26に向けて周囲の排気ガスも巻き込んでイオン風が発生する。
【0080】
従って、高圧電源30により放電電極25に高電圧を印加すると、この放電電極25から集塵電極26に向けてコロナ放電により生じるイオンが電界内を移動し、このとき、誘起される排気ガスの2次的な流れであるイオン風が主排気ガスの流れと交差する方向に発生し、帯電した粒子状物質を含んだイオン風が集塵電極26の内部に導入され、その結果、排気ガス中の粒子状物質を静電気的に集塵電極26に捕集することができる。
【0081】
ケーシング71には、集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給することでその表面にアルカリ吸収液膜を形成する吸収液供給装置31が設けられている。この吸収液供給装置31は、ケーシング71の上部にて、集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給する複数の液供給ノズル32により構成されている。従って、複数の液供給ノズル32から集塵電極26に対してアルカリ吸収液を供給することで、集塵電極26の表面にアルカリ吸収液膜を形成することができる。
【0082】
また、ケーシング71には、排気ガスの流れ方向における放電電極25よりも上流側(図9にて下方側)に位置して、アルカリ吸収液を噴霧する第1噴霧装置51が設けられている。この第1噴霧装置51は、排気ガス流路22から放電電極25に流れる排気ガスに対してアルカリ吸収液を噴射する複数の噴射ノズル52により構成されている。従って、複数の噴射ノズル52から排気ガスに対してアルカリ吸収液を噴射することで、噴霧液滴が排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO2)などの有害成分と反応し、排熱により蒸発した反応生成物(ダスト)、または未蒸発の反応生成物(ミスト)を形成することができる。
【0083】
更に、ケーシング71の入口部73には、排気ガスの流れ方向における放電電極25よりも上流側に位置して、排気ガスの処理温度が酸露点以上の条件で塩化物を含む水溶液を噴霧する第2噴霧装置61が設けられている。この第2噴霧装置61は、ケーシング21に導入された排気ガスに対して塩化物を含む水溶液、つまり、本実施例では、アルカリ吸収液を噴射する複数の噴射ノズル62により構成されている。従って、複数の噴射ノズル62から排気ガスに対してアルカリ吸収液を噴射することで、噴霧液滴が排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO3)などの有害成分と反応し、排熱により蒸発した反応生成物(ダスト)を形成することができる。なお、塩化物を含む水溶液としては、Na,K,Mg,Caのいずれかの硫酸塩または炭酸塩の溶解塩を含む水溶液であり、苛性ソーダ、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどを含んだ水溶液、または、海水を適用することができる。
【0084】
そして、各集塵電極26の上方には、液供給ノズル32から噴射されるアルカリ吸収液が周囲に飛散するのを防止するカバー75が装着される一方、各集塵電極26の下方には、この集塵電極26から流下したアルカリ吸収液を受け止める傾斜した樋76が装着され、この樋76は連結通路77により吸収液貯留タンク33に連結されている。そして、この吸収液貯留タンク33から循環ポンプ35を有する吸収液循環通路34が吸収液供給装置31の各液供給ノズル32に連結されると共に、この吸収液循環通路34から分岐した第2吸収液供給通路63が複数の噴射ノズル62に連結されている。
【0085】
従って、循環ポンプ35を駆動することで、吸収液貯留タンク33に貯留されているアルカリ吸収液を吸収液循環通路34を通して吸収液供給装置31に循環し、液供給ノズル32から供給することで、集塵電極26の表面にアルカリ吸収液の液膜を形成することができる。また、吸収液貯留タンク33に貯留されているアルカリ吸収液を吸収液循環通路34から第2吸収液供給通路63を通して第1噴霧装置61に供給し、噴射ノズル62から高温の排気ガスに噴射することができる。すると、排気ガスのイオン風が集塵電極26内を通過、反転する間に、この排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO2)などの有害成分がアルカリ吸収液膜に対して効率良く気液接触して吸収することができ、また、噴射ノズル52から噴射されたアルカリ吸収液により反応生成された硫黄酸化物(SO2)の反応生成物、噴射ノズル62から噴射されたアルカリ吸収液により反応生成された硫黄酸化物(SO3)の反応生成物を静電気的に集塵電極26に捕集することができる。
【0086】
このように構成された本実施例のガス浄化装置において、入口部73からケーシング71内に導入された排気ガスは排気ガス流路22を流れ、まず、この排気ガスに対して、第2噴霧装置61の各噴射ノズル62からアルカリ吸収液が噴射されることで、噴霧液滴が排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO3)などの有害成分と反応し、排熱により蒸発した反応生成物(ダスト)が形成される。この場合、排気ガス中の硫黄酸化物(SO3)をアルカリ吸収液と反応させた後、排熱により蒸発させて固形の反応生成物(ダスト)とする必要から、ここでの排気ガスの処理温度を酸露点温度以上としなければならず、噴射ノズル62から噴射するアルカリ吸収液の噴射量をケーシング21に導入された排気ガスの温度に応じて調整する。
【0087】
次に、排気ガス流路72を流れる排気ガスに対して、第1噴霧装置51の各噴射ノズル52からアルカリ吸収液が噴射されることで、噴霧液滴が排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO2)などの有害成分と反応し、排熱により蒸発した反応生成物(ダスト)や未蒸発の反応生成物(ミスト)が形成される。そして、この各反応生成物を含んだ排気ガスは放電電極25に至り、この放電電極25の先端に生じるコロナ放電の起点の近傍で排気ガス中の粒子状物質がイオン化され、イオン化された粒子状物質が放電電極25の先端から集塵電極26に向けて周囲の排気ガスを巻き込んでイオン風が発生する。この結果、ケーシング71内に導入されて排気ガス流路72を流れる排気ガスに対して、この排気ガスの流れと交差する断面内にイオン風によって排気ガスの二次流れが形成され、イオン化された粒子状物質を含む排気ガスが集塵電極26に吹き付けられる。
【0088】
一方、この集塵電極26では、吸収液供給装置31の各液供給ノズル32から集塵電極26に対してアルカリ吸収液が間欠に噴射されることで、この集塵電極26の表面にアルカリ吸収液の液膜が形成されている。そのため、排気ガスのイオン風が集塵電極26内を通過、反転する間に、帯電している粒子状物質や硫黄酸化物(SO2,SO3)などの反応生成物(ミスト、ダスト)が捕集される。また、この排気ガスに残留している硫黄酸化物(SO2)などの有害成分がアルカリ吸収液膜に対して効率良く気液接触して吸収除去される。そして、粒子状物質や有害成分が除去された浄化ガスは、出口部74からケーシング71の外部に排出される。
【0089】
このように実施例4のガス浄化装置にあっては、ケーシング21の排気ガス流路22に、放電電極25と集塵電極26を排気ガスの流れ方向に沿って対向して配設し、この集塵電極26にアルカリ吸収液を供給してその表面に液膜を形成する複数の液供給ノズル32からなる吸収液供給装置31を設けると共に、入口部23の排気ガスに対してこの排気ガスの処理温度が酸露点以上の条件でアルカリ吸収液を噴霧する噴射ノズル62からなる第2噴霧装置61と、排気ガスの流れ方向における放電電極25よりも上流側で且つ第2噴霧装置61よりも下流側に排気ガスに対してアルカリ吸収液を噴霧する噴射ノズル52からなる第1噴霧装置51を設けている。
【0090】
従って、ケーシング21内に導入された排気ガスは、含有する硫黄酸化物(SO3)などの有害成分が第2噴霧装置61から噴射されたアルカリ吸収液の噴霧液滴と反応し、排熱により蒸発した反応生成物(ダスト)となり、また、含有する硫黄酸化物(SO2)などの有害成分が第1噴霧装置51から噴射されたアルカリ吸収液の噴霧液滴と反応し、排熱により蒸発した反応生成物(ダスト)や未蒸発の反応生成物(ミスト)となり、粒子状物質と共に放電電極25により帯電され、この放電電極25から集塵電極26に向けてイオン風が生じ、このイオン風によって排気ガスが集塵電極26の中を通過する間に捕集されると共に、残留する硫黄酸化物(SO2)などの有害成分が集塵電極26の表面に形成されたアルカリ吸収液膜に効率良く気液接触して吸収除去されることとなり、排気ガス中の粒子状物質を確実に捕集することができると共に脱硫性能を向上することができ、その結果、排気浄化効率を大幅に向上することができる。
【0091】
なお、上述した各実施例では、本発明のガス浄化装置及び方法を、ディーゼルエンジンや油焚きボイラなどから排出される排気ガスを浄化処理するものとして説明したが、本発明はこの分野に限定されるものではない。例えば、硫黄酸化物などの有害物質を除去する以外にも、空気中に含まれる排気ガス中の窒素酸化物(NOx)の浄化などに使用可能であり、この場合には、一酸化窒素を集塵極層内に付設した酸化触媒で液吸収しやすい二酸化窒素に変換し、有害ガス吸収液で洗い流すことで除去可能であり、例えば、トンネル内や地下駐車場などの空気浄化装置として、煤塵とNOxを同時に除去することができる。
【0092】
また、本発明のガス浄化装置において、集塵電極に微粒子を効率良く捕集できる機能と、液膜を均一に形成して有害ガス成分を吸収できることを利用することで、大量の空気を低圧損で処理し、且つ、空気中に含まれる細菌やウイルスなどの非常に微細な粒子状の生物も効率良く除外して捕集し、その洗浄液を殺菌機能を有する消毒液を用いることにより捕集した菌類を死滅させて安全性の向上を図る殺菌機能を有する空気清浄装置としても用いることが可能である。なお、この場合には、洗浄液を循環使用することは、通常のガス処理装置と同様可能であることはいうまでもない。
【0093】
このように本発明のガス浄化装置は、大風量のガスを圧力損失を上げずに除塵とガス処理を効率良く実行することができるものであり、所定の空間内に設置することで、滋養述した確実な作用効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明に係るガス浄化装置は、ガス中の粒子状物質や硫黄酸化物などの有害成分を除去してガスを浄化処理するものであり、どのような場所に設置されるガス浄化装置及び方法にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施例1に係るガス浄化装置を表す正面図である。
【図2】実施例1のガス浄化装置を表す平面図である。
【図3】実施例1のガス浄化装置における集塵電極を表す概略図である。
【図4】実施例1のガス浄化装置における集塵電極の変形例を表す概略図である。
【図5】実施例1のガス浄化装置における集塵電極の変形例を表す概略図である。
【図6】実施例1のガス浄化装置の全体構成を表す概略図である。
【図7】本発明の実施例2に係るガス浄化装置を表す正面図である。
【図8】本発明の実施例3に係るガス浄化装置を表す正面図である。
【図9】本発明の実施例4に係るガス浄化装置を表す正面図である。
【図10】実施例4のガス浄化装置を表す側面図である。
【符号の説明】
【0096】
11 排気ガス排出源
12 ガス処理装置
13 煙突
14 液処理装置
21,71 ケーシング
22,72 排気ガス流路
23,73 入口部
24,74 出口部
25 放電電極
26 集塵電極
30 高圧電源
31 吸収液供給装置(液膜形成手段、吸収液供給手段)
32 液供給ノズル
33 吸収液貯留タンク
34 吸収液循環通路
35 循環ポンプ
36 排出通路
37 補充通路
51 第1噴霧装置(第1噴霧手段)
52 噴射ノズル
61 第2噴霧装置(第2噴霧手段)
62 噴射ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口部及び出口部が設けられたケーシングと、該ケーシング内にガス流れ方向に沿って配設されて所定電圧が印加されることで前記ケーシング中にガス流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生可能な放電電極と、前記ケーシング内にガス流れ方向に沿って前記放電電極に対向して配設されて前記イオン風が通過可能な所定の開口率を有する集塵電極と、該集塵電極の表面にガス中の有害成分を吸収する有害ガス吸収液の液膜を形成する液膜形成手段とを具えたことを特徴とするガス浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガス浄化装置において、前記集塵電極は、有害ガス吸収液が途絶えることなく連続的に落下する液膜を形成可能なほほ鉛直方向に沿った液路を有することを特徴とするガス浄化装置。
【請求項3】
請求項1に記載のガス浄化装置において、前記集塵電極に対して、所定の空隙率を有してガス中の有害成分を吸着可能な吸着部材が付設されたことを特徴とするガス浄化装置。
【請求項4】
請求項1に記載のガス浄化装置において、前記液膜形成手段は、前記集塵電極に対して有害ガス吸収液を供給する吸収液供給手段であり、前記集塵電極の表面に有害ガス吸収液膜を形成可能であると共に、該集塵電極に捕集された粒子状物質を洗浄して剥離可能であることを特徴とするガス浄化装置。
【請求項5】
請求項4に記載のガス浄化装置において、前記ケーシングの下方に前記集塵電極を洗浄した吸収液を貯留する吸収液貯留タンクが設けられ、前記吸収液供給手段に循環可能である一方、廃液処理工程に排出可能であると共に新たな有害ガス吸収液を補充可能であることを特徴とするガス浄化装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載のガス浄化装置において、ガス流れ方向における前記放電電極よりも上流側に、有害ガス吸収液を噴霧する第1噴霧手段が設けられたことを特徴とするガス浄化装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一つに記載のガス浄化装置において、処理するガスが亜硫酸ガスと硫酸ガスの両方を含むものであり、ガス流れ方向における前記放電電極よりも上流側に、ガス処理温度が酸露点以上の条件で塩化物を含む水溶液、または、アルカリ水溶液を噴霧する第2噴霧手段が設けられたことを特徴とするガス浄化装置。
【請求項8】
放電電極に所定電圧を印加することで、ガス流れを横切る方向へ二次流れを誘起形成するイオン風を発生させ、前記イオン風を表面に有害ガス吸収液膜が形成された集塵電極を通過させることで、ガスの除塵処理及び有害ガス処理を実行することを特徴とするガス浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−117968(P2007−117968A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317469(P2005−317469)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】