ガス濃縮装置
本発明は、ガス混合物におけるガス成分の量を増大させる、特に空気を酸素で富化させる分野に関する。本発明によれば、ガス濃縮装置は、入力側及び出力側を含んでいる放電チャンバ1、前記放電チャンバ1の出力側及び/又は入力側に圧力勾配を発生させるために、前記補電チャンバの内部にガス放電を発生させるためのガス放電装置2、並びに前記チャンバ1の入力側及び/又は出力側に配されると共に、前記圧力勾配により生じたガス流にさらすことができるガス選択装置を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス混合物におけるガス成分の量を増大させる、特に空気を酸素で富化させる分野に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素療法は、酸素を治療モダリティとして投与することである。酸素療法は、肺への酸素の供給を増大させること、それにより身体の組織への酸素の利用可能性を増大させることにより患者のためになる。酸素療法の主な家庭医療への応用は、慢性閉塞性肺疾患(COPC)を患う患者に対してであり、米国では1300万人以上の患者が冒される病気である。
【0003】
酸素をオンデマンドで発生させるために、市販溶液、いわゆる酸素濃縮器が過去において開発されてきた。国際特許公開番号WO98/56488号は酸素濃縮器を開示し、この酸素濃縮器は4方向弁に接続される第1の分子篩ベッド(molecular sieve bed)を持ち、4方向弁はこの篩ベッドを圧搾空気源に結合するか又は代わってそれを大気に放出するかの何れか一方である。第2の分子篩ベッドも対応する方法で4方向弁に結合される。これら第1及び第2の分子篩ベッドは、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気のようなガス成分を吸収する。一方のベッドは、酸素富化空気(oxygen enriched air)を発生させるために、前記圧搾空気源に結合される一方、他方のベッドは、排出させるために大気に放出される。これら篩ベッドは、出口端において生成物貯留槽に結合される。酸素富化した生成ガスは、前記貯留槽から患者に送られる。圧搾空気を供給するために、酸素濃縮器は圧縮機ユニットを有する。
【0004】
従来の酸素濃縮器は、かさばり、重く、そして患者及び在宅医療供給業者による継続的な保守整備を必要とする。圧縮機ユニットのせいで、上記装置はノイズ及び熱を発生させる。さらに、(圧縮機ユニットが大きく貢献する)原価、再発性の購入費用及び修理の減少が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コストを削減し、低ノイズで動作することができ、保守整備が簡単である、ガス濃縮装置、ガス濃縮システム及びガスポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、前記ガス濃縮装置は、
−入力側及び出力側を含む放電チャンバ、
−前記放電チャンバの出力側及び/又は入力側に圧力勾配を発生させるために、前記放電チャンバの内部にガス放電を発生させるためのガス放電装置、並びに
−前記チャンバの入力側又は出力側に配されると共に、前記圧力勾配により生じたガス流にさらすことができるガス選択装置
を有する。
【0007】
本発明によるガス濃縮装置は、プラズマを生じさせることにより加圧ガスを発生させるためのガス放電装置を有する。放電チャンバ内の圧力は、プラズマの高出力動作の間、増大し、この圧力は、低出力動作の間又はプラズマをオフにする間、減少する。圧力の振りは、放電チャンバにおいて電力変調した放電を実行することにより得られる。
【0008】
放電チャンバにおける放電装置による加圧ガスの発生は、原価、修理及びノイズに関して利点を有する。圧搾空気は本質的に消毒及び滅菌されていることがさらに利点である。
【0009】
前記ガス選択装置は、ガス混合物、好ましくは空気の1つ以上のガス成分を、例えばこれら1つ以上のガス成分の吸着又は吸収によって選択する。このようなガス成分が流れるのに、ガス選択装置が邪魔をする。それ故に、ガス選択装置を流れるガス混合物は、ガス選択装置を簡単に流れるこれら1つ以上のガス成分で富化される。
【0010】
好ましい実施例において、ガス選択装置は、窒素選択性であり、酸素非選択性である。この場合、ガス選択装置を出てくるガス混合物は酸素で富化されている。
【0011】
好ましい実施例において、ガス選択装置は少なくとも、1つの選択分子篩及び/又は1つの選択膜を有する。分子篩又は選択膜(membrane)に使用される好ましい材料は、ゼオライト(zeolite)、炭素又はポリアミドである。これらの材料は主に吸着によってガス成分を選択する。
【0012】
好ましい実施例において、前記ガス放電装置は、容量、誘導、表面波及び/又はマイクロ波結合によってガス放電を発生させるための結合装置を有する。
【0013】
前記結合装置は、ガス放電チャンバの外側に配されることが好ましい。結合装置の一部、特に電極の摩滅(wearing down)はかなり減少することができる。しかしながら、前記結合装置の一部を放電チャンバの内部に少なくとも部分的に配することも可能である。
【0014】
好ましい実施例において、前記ガス濃縮装置はさらに、放電チャンバの入力側に配される吸気弁、及び出力側に配される出口弁を有する。吸気弁及び出口弁の動作を電力変調したガス放電に適合させることにより、特定の方向を持つガス流が発生することができる。好ましくは、吸気弁及び出口弁は、例えば逆平行方法で周期及び位相シフトで動作する。
【0015】
好ましい実施例において、ガス濃縮装置はさらに、ガス放電チャンバの出力側又は入力側に配されるガス貯留槽を有する。ガス放電装置を電力変調した放電で動作させた場合でさえも、略一定の超過圧力又は圧力不足が貯留槽に発生し、これは、好ましくはこの貯留槽の出口又は吸気口にある弁又は開口部(orifice)を使用することにより、連続するガス流を生じさせるのに使用される。
【0016】
好ましい実施例において、ガス濃縮装置はさらに、前記ガス選択措置により発生した排ガスを噴出するための排ガス出口装置を有する。
【0017】
好ましい実施例において、前記放電チャンバは、ガス吸気口、第1のガス出口及び第2のガス出口を有し、ここで、ガス出口装置は前記第1のガス出口に接続され、前記ガス放電装置は、第2のガス出口に接続される。これがガス濃縮装置のコンパクトなデザインを可能にする。
【0018】
本発明によるガス濃縮システムは、少なくとも2つの発明性のあるガス濃縮装置を有し、これら2つの装置は、それらの出力側で結合されている。
【0019】
このようなガス濃縮システムは、第1の装置及び第2の装置を位相シフトで、特に逆平行方法で動作することにより、略連続するガス流を提供することができる。
【0020】
本発明によるガスポンプは、入力側及び出力側を含んでいる放電チャンバ、この放電チャンバの出力側及び/又は入力側に圧力勾配を発生させるために、放電チャンバの内部にガス放電を発生させるためのガス放電装置、放電チャンバの入力側に配される吸気弁、並びに出力側に配される出口弁を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】高出力プラズマの使用によりガス選択装置を流れるガスを発生させている状態のガス濃縮装置の第1の実施例の概略図。
【図2】ガス選択装置のガス放出の状態のガス濃縮装置の第1の実施例の概略図。
【図3】放電チャンバを新鮮な空気で満たした状態のガス濃縮装置の第1の実施例の概略図。
【図4】ガス濃縮装置の第2の実施例の概略図。
【図5】ガス濃縮装置の第3の実施例の概略図。
【図6】ガス濃縮装置の第4の実施例の概略図。
【図7】ガス濃縮装置の第1の実施例の別の概略図。
【図8】ガス濃縮装置の第5の実施例の概略図。
【図9】ガス濃縮装置の第6の実施例の概略図。
【図10】時間に依存するrms電流を表示する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明される実施例から明らかであると共に、これら実施例を参照して説明される。
【0023】
図1から図3は、本発明によるガス濃縮装置の第1の実施例を表示している。この第1の実施例は図7にも示される。
【0024】
第1の実施例によるガス濃縮装置は、入力側及び出力側を含む放電チャンバ1、この放電チャンバ1の出力側に圧力勾配を発生されるために、この放電チャンバ1の内部にガス放電を発生させるためのガス放電装置2、並びに前記チャンバ1の出力側に配されると共に、前記圧力勾配により生じたガス流にさらすことができるガス選択装置3を有する。放電チャンバ1の"入力側"は、ガスがその側からチャンバ1に流入する放電チャンバ1の側であり、放電チャンバ1の"出力側"は、ガスが放電チャンバ1から流出する放電チャンバ1の側である。
【0025】
ガス放電装置は、容量、誘導、表面波及び/又はマイクロ波結合によりガス放電を発生させるための結合装置、並びにこの結合装置に交流を供給するためのエネルギー源10を有する。本実施例において、前記結合装置は、2つの電極11a、11bを有し、これら電極は、容量結合するためにガス放電チャンバ1の外側に配される。このエネルギー源10を用いてこれら2つの電極11a、11b間に電圧が印加され、これがガス放電をまねき、放電チャンバ1の内部にプラズマ13の発生をまねく。交流は、プラズマ13の電力が変調され得る交流の振幅の変更により、このプラズマ13を長い期間持続することを可能にする。
【0026】
放電チャンバ1は、ガス吸気口7、第1のガス出口8a及び第2のガス出口8bを有する。ガス選択装置3により発生した排ガスを噴出するために、ガス排気装置4は第1のガス出口8aに接続される(図7参照)。例えば、出口装置4は、簡単な二方弁とすることができ、この二方弁は、一方は放電チャンバ1に接続され、他方は大気12又は排ガス用の貯留槽に接続される。ガス放電装置2は、第2のガス出口8bに接続される。ガス吸気口7及び第2のガス出口8を流れるガスを制御するために、吸気弁5はガス吸気口7と接続され、出口弁6は第2のガス出口8bと接続される。ここでガス選択装置3は、この第2のガス出口8bと出口弁6との間に配される。吸気弁5及び出口弁6として、例えば逆止め弁又は二方弁が使用されることができる。逆止め弁は、これら弁は制御を行う必要が無いので好ましい。
【0027】
ガス選択装置3は、少なくとも1つの選択性分子篩及び/又は1つの選択膜を有し、この装置は窒素選択性であり、酸素非選択性である。好ましくは、前記分子篩及び前記膜はゼオライトを有する。ゼオライトは、窒素、炭素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気及び空気の他の重要な構成要素を吸収するが、酸素に対しては非選択性である。
【0028】
以下において、ガス濃縮装置の動作が説明される。
【0029】
第1のステップ(圧搾及び酸素拡散)において、1バールの圧力並びに排気装置4及び吸気弁5を閉じて始まり、放電チャンバ1の内部に高出力プラズマ13を発生させ及び持続することにより、この放電チャンバ1にある空気は圧搾される。このプラズマは、ガスの温度の上昇につながり、このことが放電チャンバ1は周囲空気に対し閉じられているという事実によって、圧力の上昇をもたらす。チャンバ1の内部にある空気、特に酸素及び窒素は、ガス選択装置3を通過して拡散する(O2)又は吸収によってガス選択装置3に拡散する(N2)ことによって、チャンバ1から出るしかない。酸素富化空気は出口弁6を流れる。この酸素富化空気は、患者に送られるか又は貯留槽に蓄えられることができる。
【0030】
ある時間間隔の後、第2のステップにおいて、ガス排気装置4は周囲空気に開かれ、出口弁6は閉じる又は閉じられる(図2参照)。この段階の間、放電チャンバ内の圧力は、大気圧まで下がる。プラズマ13は、粒子密度を大きく減少させるために高出力で維持される。それ故に、ガス選択装置3に吸収される窒素は、放電チャンバ1及びガス排気装置4を通り、ガス選択装置3から大気12に向けて拡散する。
【0031】
他の時間間隔の後、第3のステップ(図3参照)において、放電電力は大幅に減少するか又はスイッチが切られ、ガス排気装置4は閉じられ、出口弁6は閉じる又は閉じられ、及び吸気弁5は開く又は開かれる。放電チャンバの内部にある圧力は、それと共にガスの温度を低下させる。ガス吸気口7を介して放電チャンバ1に新鮮な空気が流入する。
【0032】
他の時間間隔の後、このサイクルは終了する。継続するために、電力変調したガス放電装置2は再び第1のステップから始まる。プラズマ13のスイッチが切られていない場合、以下のステップにおいてプラズマを点火するステップは省略される。
【0033】
ガス濃縮装置は第1、第2及び第3のステップを重複せずに動作することができる。一方、ガス濃縮装置は1つ以上のステップを重複させて動作することができる。
【0034】
本実施例において、放電チャンバ1、放電装置2、吸気弁5及び出口弁6は、ガスポンプとして機能し、方向付けられたガスの流れを生じさせる。
【0035】
図4は、ガス濃縮装置の第2の実施例を表示する。
【0036】
第2の実施例によるガス濃縮装置は、吸気弁5、ガス放電チャンバ1、ガス放電装置3、出口弁6、ガス排気装置4、ガス選択装置3及び第3の弁14を有し、これらは述べた順で互いに接続されている。第3の弁14は例えば二方弁又は好ましくは逆止め弁である。
【0037】
本実施例において、放電チャンバ1は、4cmの内径を持つガラス球、例えばハードガラスであり、放電装置2の電極11a、11bは、電極の直径が4mm、及び10mmより小さな電極間距離を持つ内部の炭素棒(carbon rod)電極である。放電チャンバ1は、ガス吸気口7及びガス出口8aとして2つのガラス管(図示せず)を持つ。第1の実施例と比較して、第2のガス出口8aが設けられていない。ガス吸気口7及びガス出口8bに逆止め弁5、6が取り付けられる。これら逆止め弁5、6によって、ガスは吸気口7から出口8bにだけ流れることができる。ガス流の測定は、適切な流れメータを、逆止め弁5、6の前に又は後ろにある吸気管及び出口管に入れることにより、行われる。
【0038】
前記炭素電極は、方形波電流Iを300Hzで、可変の出力電力と共に伝送するエネルギー源10に接続される、すなわち、300Hzの駆動周波数での電流の二乗平均平方根(rms)の値Imeanは、t=50msより上の時間スケールで変化することができる。数アンペアまでの電流Imean及び数百ワットの電力は、電子駆動装置を用いて実行可能である。エネルギー源10はさらに、開始段階がガス絶縁破壊(gas breakdown)/プラズマ13の点火を得るために20kVまでのピーク電圧も送る。
【0039】
第2の実施例を試験するために、電流の波形Imeanは、図10に示されるように選択される。放電チャンバ1の内部にある電極11a、11bの間においてガス絶縁破壊を達成するために、20kVのパルスをこれら電極に印加した後、空気中のガス放電は、システムを安定化させるために、約7秒間、Imean=1.6Aで動作する。次いで、Imeanは、図10に示されるように、約12秒間、Imean=1.2AからImean=4Aの間で変調される。その後、電流は補償を目的に再び1.6Aに設定される。
【0040】
ガス放電装置が変調した電流(電力)で動作した期間、すなわちt=7秒から12秒の間(図10参照)にかなりの空気流量が観測される。その期間の前後(t=0秒から7秒及びt=20秒から25秒)、Imean=1.6Aで一定であるこれら時間期間では、空気の出口において空気流量は殆ど検出できない。変調した電流の段階において、周囲の圧力に対しFair=5 l/h、及び70mbarの超過気圧に対しFair=1.2 l/hの流量Fairが出口弁6の後ろで測定される。
【0041】
空気を酸素で富化させるために、第2の実施例による装置は、以下の方法で動作することができる。
【0042】
第1のステップにおいて、新鮮な空気は、前記チャンバ1の内部にある変調したガス放電によって、周囲から又は貯留槽から、吸気弁5、放電チャンバ1及び出口弁6を介して、ガス排気装置4及びガス選択装置3に注入され、開放弁14を通る酸素富化空気の流れとなる。このステップにおいて、例えば3方向弁であるガス排気装置4は、周囲空気12に対し閉じられている。
【0043】
第2のステップにおいて、ガス排気装置4は、ガス選択装置3と周囲空気12との間の接続を開き、出口弁6との接続は閉じる。パージ(purge)ガス(図示せず)により支援され得るガス選択装置3のガス放出後、このサイクルは第1のステップを続けることができる。
【0044】
図5は、ガス濃縮装置の第3の実施例を表示している。
【0045】
前記第2の実施例に加え、第3の実施例は、第2のガス選択装置3、他の第3の弁14及び第4の弁15を有し、ここで第2のガス選択装置3及び他の第3の弁14は、第1のガス選択装置3及び弁14と並列して排ガス装置4に接続されている。ガス選択装置3と第3の弁14との間に、第4の弁15がこれら2つのラインと平行に接続される。第3の弁14の後、両方のラインは結合される。代わりに、第4の弁15が開口部により置き換えられることができる。
【0046】
前記装置は以下の方法で動作することができる。
【0047】
第1のステップにおいて、新鮮な空気は、前記チャンバ1の内部にある変調したガス放電によって、周囲から又は貯留槽から、吸気弁5、放電チャンバ1、出口弁6及びガス排気装置4を介して、2つのガス選択装置3の一方に注入され、2つの開放弁14の一方を通る酸素富化空気の流れとなる。他方のガス選択装置3は、出口弁6から切り離されるが、ガス排気装置4によって周囲12に接続される。
【0048】
第2のステップにおいて、ガス排気装置4は、他方のガス選択装置3と周囲12との接続を閉じて、出口弁6との接続を開くので、新鮮な空気がこの他方のガス選択装置3を介し注入され、第2の開放弁14を通る酸素富化空気の流れとなる。さらに、出口弁6と第1のガス選択装置3との間の接続は、ガス排気装置4により閉じられると共に、周囲12との接続が開かれ、第1のガス選択装置3のガス放出を可能にする。
【0049】
ガス選択装置3のガス放出後、このサイクルは、第1のステップを続けることができる。第4の弁15によって、酸素富化空気の量は、周囲12に接続されるガス選択装置3を通るパージガスとして誘導されることができ、ガス選択装置3のガス放出を支援する。第3の弁14は好ましくは、酸素富化空気の逆流を防ぐ逆止め弁である。ガス排気装置4として、例えば4方向弁が使用されることができる。
【0050】
第3の実施例による装置は、酸素富化空気をさらに連続して製造することを可能にする。
【0051】
図6は、ガス濃縮装置の第4の実施例を表示している。
【0052】
第3の実施例に加え、第4の実施例は、ガス貯留槽9及び貯留槽弁16を有する。代わりに、弁16が開口部により置き換えられることができる。
【0053】
ガス貯留槽9は、出口弁6とガス排気装置4との間に配される。ガス放電チャンバ1からの空気をガス貯留槽9の内部に注入することにより、この貯留槽9の内部に超過圧力は、好ましくは弁16若しくはその代わりに開口部を用いることにより、ガス貯留槽9より後ろの流れ抵抗を増大させることにより生じる。一定又は略一定の超過圧力は、連続する又は略連続するガス流を発生させるのに使用されることができる。2つのガス選択装置3を交互に行うことにより、一定又は略一定の酸素富化空気流が前記装置の出力部に発生することができる。
【0054】
図8は、ガス濃縮装置の第5の実施例を表示している。
【0055】
この第5の実施例によれば、第1の実施例に従う2つのガス濃縮装置は、平行に接続され、それらの出口弁6の後ろで結合される。これら2つのガス濃縮装置を位相シフトで又は逆平行方法で動作させることにより、酸素富化空気の連続する又は略連続する流れは、前記装置の出力部に発生することができる。
【0056】
さらなるガス濃縮装置は同様の方法で加えられることができる。
【0057】
図9は、ガス濃縮装置の第6の実施例を表示している。
【0058】
この第6の実施例によれば、ガス濃縮装置は、2つのガス放電チャンバ1及び2つのガス放電装置2を有し、これらは前記装置の2つの異なるラインに配される。これら2つのラインは、2つのガス放電チャンバ1の入力側で結合され、吸気弁17、例えば2方向弁を介して新鮮な空気又はガス貯留槽に接続される。出力側において、前記ラインの一方は、出力弁6を介して周囲12に接続され、他方のラインは、出力弁6介して例えばガス貯留槽又は患者に接続される。出力弁6として、逆止め弁又は2方向弁が好ましい。前記周囲12に接続されるラインにおいて、弁18、例えば2方向弁はガス放電チャンバ1の入力側に配される。他方のラインにおいて、ガス選択装置3が前記ガス放電チャンバ1の入力側に設けられる。
【0059】
本実施例において、ガス放電装置2を用いて、圧力勾配が前記放電チャンバ1の各々の入力側に生じることができる。
【0060】
空気を酸素で富化させるために、第6の実施例による装置は、以下の方法で動作することができる。
【0061】
第1のステップにおいて、弁17は開かれ、弁18は閉じられる。ガス選択装置3の出力側の圧力は、ガス選択装置3と同じライン上に配されるガス放電チャンバ1の内部にある変調したガス放電により減少する。周囲又は貯留槽からの新鮮な空気は、前記開いた弁17を通りガス選択装置3に流れ、放電チャンバ1及び開いた出口弁6を通る酸素富化空気の流れとなる。
【0062】
第2のステップにおいて、弁17は閉じられ、弁18は開かれる。ガス選択装置2の入力側の現在の圧力は、他方のライン上に配されるチャンバ1の内部にある変調したガス放電により減少する。特に窒素は、前記ガス選択装置3により脱着され、開いた弁18、放電チャンバ1及び開いた出口弁6を介して周囲空気12に流れる。このサイクルは前記第1のステップを続けることができる。
【0063】
この原則は、この原則に従って放電チャンバ1の入力側にガス選択装置が設けられ、図4から図8に示される第1から第5の実施例に伝えられる。
【0064】
本発明は、図面及び上記説明において詳細に説明及び開示されている一方、このような説明及び開示は、説明的又は例示的であり、限定的ではないと考えるべきである、つまり本発明は開示される実施例に限定されない。開示した実施例に対する他の変更例は、図面、明細書及び添付の特許請求の範囲の検討により本発明を実施する当業者によって理解及び行われることができる。請求項において"有する"という言葉は、それ以外の要素又はステップを排除するものではなく、複数あることを述べないことが、それらが複数あることを排除するものでもない。幾つかの測定が互いに異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら方法の組み合わせが有利に用いられることができないことを指しているのではない、請求項における如何なる参照符号もその範囲を限定すると考えるべきではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス混合物におけるガス成分の量を増大させる、特に空気を酸素で富化させる分野に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素療法は、酸素を治療モダリティとして投与することである。酸素療法は、肺への酸素の供給を増大させること、それにより身体の組織への酸素の利用可能性を増大させることにより患者のためになる。酸素療法の主な家庭医療への応用は、慢性閉塞性肺疾患(COPC)を患う患者に対してであり、米国では1300万人以上の患者が冒される病気である。
【0003】
酸素をオンデマンドで発生させるために、市販溶液、いわゆる酸素濃縮器が過去において開発されてきた。国際特許公開番号WO98/56488号は酸素濃縮器を開示し、この酸素濃縮器は4方向弁に接続される第1の分子篩ベッド(molecular sieve bed)を持ち、4方向弁はこの篩ベッドを圧搾空気源に結合するか又は代わってそれを大気に放出するかの何れか一方である。第2の分子篩ベッドも対応する方法で4方向弁に結合される。これら第1及び第2の分子篩ベッドは、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気のようなガス成分を吸収する。一方のベッドは、酸素富化空気(oxygen enriched air)を発生させるために、前記圧搾空気源に結合される一方、他方のベッドは、排出させるために大気に放出される。これら篩ベッドは、出口端において生成物貯留槽に結合される。酸素富化した生成ガスは、前記貯留槽から患者に送られる。圧搾空気を供給するために、酸素濃縮器は圧縮機ユニットを有する。
【0004】
従来の酸素濃縮器は、かさばり、重く、そして患者及び在宅医療供給業者による継続的な保守整備を必要とする。圧縮機ユニットのせいで、上記装置はノイズ及び熱を発生させる。さらに、(圧縮機ユニットが大きく貢献する)原価、再発性の購入費用及び修理の減少が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コストを削減し、低ノイズで動作することができ、保守整備が簡単である、ガス濃縮装置、ガス濃縮システム及びガスポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、前記ガス濃縮装置は、
−入力側及び出力側を含む放電チャンバ、
−前記放電チャンバの出力側及び/又は入力側に圧力勾配を発生させるために、前記放電チャンバの内部にガス放電を発生させるためのガス放電装置、並びに
−前記チャンバの入力側又は出力側に配されると共に、前記圧力勾配により生じたガス流にさらすことができるガス選択装置
を有する。
【0007】
本発明によるガス濃縮装置は、プラズマを生じさせることにより加圧ガスを発生させるためのガス放電装置を有する。放電チャンバ内の圧力は、プラズマの高出力動作の間、増大し、この圧力は、低出力動作の間又はプラズマをオフにする間、減少する。圧力の振りは、放電チャンバにおいて電力変調した放電を実行することにより得られる。
【0008】
放電チャンバにおける放電装置による加圧ガスの発生は、原価、修理及びノイズに関して利点を有する。圧搾空気は本質的に消毒及び滅菌されていることがさらに利点である。
【0009】
前記ガス選択装置は、ガス混合物、好ましくは空気の1つ以上のガス成分を、例えばこれら1つ以上のガス成分の吸着又は吸収によって選択する。このようなガス成分が流れるのに、ガス選択装置が邪魔をする。それ故に、ガス選択装置を流れるガス混合物は、ガス選択装置を簡単に流れるこれら1つ以上のガス成分で富化される。
【0010】
好ましい実施例において、ガス選択装置は、窒素選択性であり、酸素非選択性である。この場合、ガス選択装置を出てくるガス混合物は酸素で富化されている。
【0011】
好ましい実施例において、ガス選択装置は少なくとも、1つの選択分子篩及び/又は1つの選択膜を有する。分子篩又は選択膜(membrane)に使用される好ましい材料は、ゼオライト(zeolite)、炭素又はポリアミドである。これらの材料は主に吸着によってガス成分を選択する。
【0012】
好ましい実施例において、前記ガス放電装置は、容量、誘導、表面波及び/又はマイクロ波結合によってガス放電を発生させるための結合装置を有する。
【0013】
前記結合装置は、ガス放電チャンバの外側に配されることが好ましい。結合装置の一部、特に電極の摩滅(wearing down)はかなり減少することができる。しかしながら、前記結合装置の一部を放電チャンバの内部に少なくとも部分的に配することも可能である。
【0014】
好ましい実施例において、前記ガス濃縮装置はさらに、放電チャンバの入力側に配される吸気弁、及び出力側に配される出口弁を有する。吸気弁及び出口弁の動作を電力変調したガス放電に適合させることにより、特定の方向を持つガス流が発生することができる。好ましくは、吸気弁及び出口弁は、例えば逆平行方法で周期及び位相シフトで動作する。
【0015】
好ましい実施例において、ガス濃縮装置はさらに、ガス放電チャンバの出力側又は入力側に配されるガス貯留槽を有する。ガス放電装置を電力変調した放電で動作させた場合でさえも、略一定の超過圧力又は圧力不足が貯留槽に発生し、これは、好ましくはこの貯留槽の出口又は吸気口にある弁又は開口部(orifice)を使用することにより、連続するガス流を生じさせるのに使用される。
【0016】
好ましい実施例において、ガス濃縮装置はさらに、前記ガス選択措置により発生した排ガスを噴出するための排ガス出口装置を有する。
【0017】
好ましい実施例において、前記放電チャンバは、ガス吸気口、第1のガス出口及び第2のガス出口を有し、ここで、ガス出口装置は前記第1のガス出口に接続され、前記ガス放電装置は、第2のガス出口に接続される。これがガス濃縮装置のコンパクトなデザインを可能にする。
【0018】
本発明によるガス濃縮システムは、少なくとも2つの発明性のあるガス濃縮装置を有し、これら2つの装置は、それらの出力側で結合されている。
【0019】
このようなガス濃縮システムは、第1の装置及び第2の装置を位相シフトで、特に逆平行方法で動作することにより、略連続するガス流を提供することができる。
【0020】
本発明によるガスポンプは、入力側及び出力側を含んでいる放電チャンバ、この放電チャンバの出力側及び/又は入力側に圧力勾配を発生させるために、放電チャンバの内部にガス放電を発生させるためのガス放電装置、放電チャンバの入力側に配される吸気弁、並びに出力側に配される出口弁を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】高出力プラズマの使用によりガス選択装置を流れるガスを発生させている状態のガス濃縮装置の第1の実施例の概略図。
【図2】ガス選択装置のガス放出の状態のガス濃縮装置の第1の実施例の概略図。
【図3】放電チャンバを新鮮な空気で満たした状態のガス濃縮装置の第1の実施例の概略図。
【図4】ガス濃縮装置の第2の実施例の概略図。
【図5】ガス濃縮装置の第3の実施例の概略図。
【図6】ガス濃縮装置の第4の実施例の概略図。
【図7】ガス濃縮装置の第1の実施例の別の概略図。
【図8】ガス濃縮装置の第5の実施例の概略図。
【図9】ガス濃縮装置の第6の実施例の概略図。
【図10】時間に依存するrms電流を表示する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明される実施例から明らかであると共に、これら実施例を参照して説明される。
【0023】
図1から図3は、本発明によるガス濃縮装置の第1の実施例を表示している。この第1の実施例は図7にも示される。
【0024】
第1の実施例によるガス濃縮装置は、入力側及び出力側を含む放電チャンバ1、この放電チャンバ1の出力側に圧力勾配を発生されるために、この放電チャンバ1の内部にガス放電を発生させるためのガス放電装置2、並びに前記チャンバ1の出力側に配されると共に、前記圧力勾配により生じたガス流にさらすことができるガス選択装置3を有する。放電チャンバ1の"入力側"は、ガスがその側からチャンバ1に流入する放電チャンバ1の側であり、放電チャンバ1の"出力側"は、ガスが放電チャンバ1から流出する放電チャンバ1の側である。
【0025】
ガス放電装置は、容量、誘導、表面波及び/又はマイクロ波結合によりガス放電を発生させるための結合装置、並びにこの結合装置に交流を供給するためのエネルギー源10を有する。本実施例において、前記結合装置は、2つの電極11a、11bを有し、これら電極は、容量結合するためにガス放電チャンバ1の外側に配される。このエネルギー源10を用いてこれら2つの電極11a、11b間に電圧が印加され、これがガス放電をまねき、放電チャンバ1の内部にプラズマ13の発生をまねく。交流は、プラズマ13の電力が変調され得る交流の振幅の変更により、このプラズマ13を長い期間持続することを可能にする。
【0026】
放電チャンバ1は、ガス吸気口7、第1のガス出口8a及び第2のガス出口8bを有する。ガス選択装置3により発生した排ガスを噴出するために、ガス排気装置4は第1のガス出口8aに接続される(図7参照)。例えば、出口装置4は、簡単な二方弁とすることができ、この二方弁は、一方は放電チャンバ1に接続され、他方は大気12又は排ガス用の貯留槽に接続される。ガス放電装置2は、第2のガス出口8bに接続される。ガス吸気口7及び第2のガス出口8を流れるガスを制御するために、吸気弁5はガス吸気口7と接続され、出口弁6は第2のガス出口8bと接続される。ここでガス選択装置3は、この第2のガス出口8bと出口弁6との間に配される。吸気弁5及び出口弁6として、例えば逆止め弁又は二方弁が使用されることができる。逆止め弁は、これら弁は制御を行う必要が無いので好ましい。
【0027】
ガス選択装置3は、少なくとも1つの選択性分子篩及び/又は1つの選択膜を有し、この装置は窒素選択性であり、酸素非選択性である。好ましくは、前記分子篩及び前記膜はゼオライトを有する。ゼオライトは、窒素、炭素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気及び空気の他の重要な構成要素を吸収するが、酸素に対しては非選択性である。
【0028】
以下において、ガス濃縮装置の動作が説明される。
【0029】
第1のステップ(圧搾及び酸素拡散)において、1バールの圧力並びに排気装置4及び吸気弁5を閉じて始まり、放電チャンバ1の内部に高出力プラズマ13を発生させ及び持続することにより、この放電チャンバ1にある空気は圧搾される。このプラズマは、ガスの温度の上昇につながり、このことが放電チャンバ1は周囲空気に対し閉じられているという事実によって、圧力の上昇をもたらす。チャンバ1の内部にある空気、特に酸素及び窒素は、ガス選択装置3を通過して拡散する(O2)又は吸収によってガス選択装置3に拡散する(N2)ことによって、チャンバ1から出るしかない。酸素富化空気は出口弁6を流れる。この酸素富化空気は、患者に送られるか又は貯留槽に蓄えられることができる。
【0030】
ある時間間隔の後、第2のステップにおいて、ガス排気装置4は周囲空気に開かれ、出口弁6は閉じる又は閉じられる(図2参照)。この段階の間、放電チャンバ内の圧力は、大気圧まで下がる。プラズマ13は、粒子密度を大きく減少させるために高出力で維持される。それ故に、ガス選択装置3に吸収される窒素は、放電チャンバ1及びガス排気装置4を通り、ガス選択装置3から大気12に向けて拡散する。
【0031】
他の時間間隔の後、第3のステップ(図3参照)において、放電電力は大幅に減少するか又はスイッチが切られ、ガス排気装置4は閉じられ、出口弁6は閉じる又は閉じられ、及び吸気弁5は開く又は開かれる。放電チャンバの内部にある圧力は、それと共にガスの温度を低下させる。ガス吸気口7を介して放電チャンバ1に新鮮な空気が流入する。
【0032】
他の時間間隔の後、このサイクルは終了する。継続するために、電力変調したガス放電装置2は再び第1のステップから始まる。プラズマ13のスイッチが切られていない場合、以下のステップにおいてプラズマを点火するステップは省略される。
【0033】
ガス濃縮装置は第1、第2及び第3のステップを重複せずに動作することができる。一方、ガス濃縮装置は1つ以上のステップを重複させて動作することができる。
【0034】
本実施例において、放電チャンバ1、放電装置2、吸気弁5及び出口弁6は、ガスポンプとして機能し、方向付けられたガスの流れを生じさせる。
【0035】
図4は、ガス濃縮装置の第2の実施例を表示する。
【0036】
第2の実施例によるガス濃縮装置は、吸気弁5、ガス放電チャンバ1、ガス放電装置3、出口弁6、ガス排気装置4、ガス選択装置3及び第3の弁14を有し、これらは述べた順で互いに接続されている。第3の弁14は例えば二方弁又は好ましくは逆止め弁である。
【0037】
本実施例において、放電チャンバ1は、4cmの内径を持つガラス球、例えばハードガラスであり、放電装置2の電極11a、11bは、電極の直径が4mm、及び10mmより小さな電極間距離を持つ内部の炭素棒(carbon rod)電極である。放電チャンバ1は、ガス吸気口7及びガス出口8aとして2つのガラス管(図示せず)を持つ。第1の実施例と比較して、第2のガス出口8aが設けられていない。ガス吸気口7及びガス出口8bに逆止め弁5、6が取り付けられる。これら逆止め弁5、6によって、ガスは吸気口7から出口8bにだけ流れることができる。ガス流の測定は、適切な流れメータを、逆止め弁5、6の前に又は後ろにある吸気管及び出口管に入れることにより、行われる。
【0038】
前記炭素電極は、方形波電流Iを300Hzで、可変の出力電力と共に伝送するエネルギー源10に接続される、すなわち、300Hzの駆動周波数での電流の二乗平均平方根(rms)の値Imeanは、t=50msより上の時間スケールで変化することができる。数アンペアまでの電流Imean及び数百ワットの電力は、電子駆動装置を用いて実行可能である。エネルギー源10はさらに、開始段階がガス絶縁破壊(gas breakdown)/プラズマ13の点火を得るために20kVまでのピーク電圧も送る。
【0039】
第2の実施例を試験するために、電流の波形Imeanは、図10に示されるように選択される。放電チャンバ1の内部にある電極11a、11bの間においてガス絶縁破壊を達成するために、20kVのパルスをこれら電極に印加した後、空気中のガス放電は、システムを安定化させるために、約7秒間、Imean=1.6Aで動作する。次いで、Imeanは、図10に示されるように、約12秒間、Imean=1.2AからImean=4Aの間で変調される。その後、電流は補償を目的に再び1.6Aに設定される。
【0040】
ガス放電装置が変調した電流(電力)で動作した期間、すなわちt=7秒から12秒の間(図10参照)にかなりの空気流量が観測される。その期間の前後(t=0秒から7秒及びt=20秒から25秒)、Imean=1.6Aで一定であるこれら時間期間では、空気の出口において空気流量は殆ど検出できない。変調した電流の段階において、周囲の圧力に対しFair=5 l/h、及び70mbarの超過気圧に対しFair=1.2 l/hの流量Fairが出口弁6の後ろで測定される。
【0041】
空気を酸素で富化させるために、第2の実施例による装置は、以下の方法で動作することができる。
【0042】
第1のステップにおいて、新鮮な空気は、前記チャンバ1の内部にある変調したガス放電によって、周囲から又は貯留槽から、吸気弁5、放電チャンバ1及び出口弁6を介して、ガス排気装置4及びガス選択装置3に注入され、開放弁14を通る酸素富化空気の流れとなる。このステップにおいて、例えば3方向弁であるガス排気装置4は、周囲空気12に対し閉じられている。
【0043】
第2のステップにおいて、ガス排気装置4は、ガス選択装置3と周囲空気12との間の接続を開き、出口弁6との接続は閉じる。パージ(purge)ガス(図示せず)により支援され得るガス選択装置3のガス放出後、このサイクルは第1のステップを続けることができる。
【0044】
図5は、ガス濃縮装置の第3の実施例を表示している。
【0045】
前記第2の実施例に加え、第3の実施例は、第2のガス選択装置3、他の第3の弁14及び第4の弁15を有し、ここで第2のガス選択装置3及び他の第3の弁14は、第1のガス選択装置3及び弁14と並列して排ガス装置4に接続されている。ガス選択装置3と第3の弁14との間に、第4の弁15がこれら2つのラインと平行に接続される。第3の弁14の後、両方のラインは結合される。代わりに、第4の弁15が開口部により置き換えられることができる。
【0046】
前記装置は以下の方法で動作することができる。
【0047】
第1のステップにおいて、新鮮な空気は、前記チャンバ1の内部にある変調したガス放電によって、周囲から又は貯留槽から、吸気弁5、放電チャンバ1、出口弁6及びガス排気装置4を介して、2つのガス選択装置3の一方に注入され、2つの開放弁14の一方を通る酸素富化空気の流れとなる。他方のガス選択装置3は、出口弁6から切り離されるが、ガス排気装置4によって周囲12に接続される。
【0048】
第2のステップにおいて、ガス排気装置4は、他方のガス選択装置3と周囲12との接続を閉じて、出口弁6との接続を開くので、新鮮な空気がこの他方のガス選択装置3を介し注入され、第2の開放弁14を通る酸素富化空気の流れとなる。さらに、出口弁6と第1のガス選択装置3との間の接続は、ガス排気装置4により閉じられると共に、周囲12との接続が開かれ、第1のガス選択装置3のガス放出を可能にする。
【0049】
ガス選択装置3のガス放出後、このサイクルは、第1のステップを続けることができる。第4の弁15によって、酸素富化空気の量は、周囲12に接続されるガス選択装置3を通るパージガスとして誘導されることができ、ガス選択装置3のガス放出を支援する。第3の弁14は好ましくは、酸素富化空気の逆流を防ぐ逆止め弁である。ガス排気装置4として、例えば4方向弁が使用されることができる。
【0050】
第3の実施例による装置は、酸素富化空気をさらに連続して製造することを可能にする。
【0051】
図6は、ガス濃縮装置の第4の実施例を表示している。
【0052】
第3の実施例に加え、第4の実施例は、ガス貯留槽9及び貯留槽弁16を有する。代わりに、弁16が開口部により置き換えられることができる。
【0053】
ガス貯留槽9は、出口弁6とガス排気装置4との間に配される。ガス放電チャンバ1からの空気をガス貯留槽9の内部に注入することにより、この貯留槽9の内部に超過圧力は、好ましくは弁16若しくはその代わりに開口部を用いることにより、ガス貯留槽9より後ろの流れ抵抗を増大させることにより生じる。一定又は略一定の超過圧力は、連続する又は略連続するガス流を発生させるのに使用されることができる。2つのガス選択装置3を交互に行うことにより、一定又は略一定の酸素富化空気流が前記装置の出力部に発生することができる。
【0054】
図8は、ガス濃縮装置の第5の実施例を表示している。
【0055】
この第5の実施例によれば、第1の実施例に従う2つのガス濃縮装置は、平行に接続され、それらの出口弁6の後ろで結合される。これら2つのガス濃縮装置を位相シフトで又は逆平行方法で動作させることにより、酸素富化空気の連続する又は略連続する流れは、前記装置の出力部に発生することができる。
【0056】
さらなるガス濃縮装置は同様の方法で加えられることができる。
【0057】
図9は、ガス濃縮装置の第6の実施例を表示している。
【0058】
この第6の実施例によれば、ガス濃縮装置は、2つのガス放電チャンバ1及び2つのガス放電装置2を有し、これらは前記装置の2つの異なるラインに配される。これら2つのラインは、2つのガス放電チャンバ1の入力側で結合され、吸気弁17、例えば2方向弁を介して新鮮な空気又はガス貯留槽に接続される。出力側において、前記ラインの一方は、出力弁6を介して周囲12に接続され、他方のラインは、出力弁6介して例えばガス貯留槽又は患者に接続される。出力弁6として、逆止め弁又は2方向弁が好ましい。前記周囲12に接続されるラインにおいて、弁18、例えば2方向弁はガス放電チャンバ1の入力側に配される。他方のラインにおいて、ガス選択装置3が前記ガス放電チャンバ1の入力側に設けられる。
【0059】
本実施例において、ガス放電装置2を用いて、圧力勾配が前記放電チャンバ1の各々の入力側に生じることができる。
【0060】
空気を酸素で富化させるために、第6の実施例による装置は、以下の方法で動作することができる。
【0061】
第1のステップにおいて、弁17は開かれ、弁18は閉じられる。ガス選択装置3の出力側の圧力は、ガス選択装置3と同じライン上に配されるガス放電チャンバ1の内部にある変調したガス放電により減少する。周囲又は貯留槽からの新鮮な空気は、前記開いた弁17を通りガス選択装置3に流れ、放電チャンバ1及び開いた出口弁6を通る酸素富化空気の流れとなる。
【0062】
第2のステップにおいて、弁17は閉じられ、弁18は開かれる。ガス選択装置2の入力側の現在の圧力は、他方のライン上に配されるチャンバ1の内部にある変調したガス放電により減少する。特に窒素は、前記ガス選択装置3により脱着され、開いた弁18、放電チャンバ1及び開いた出口弁6を介して周囲空気12に流れる。このサイクルは前記第1のステップを続けることができる。
【0063】
この原則は、この原則に従って放電チャンバ1の入力側にガス選択装置が設けられ、図4から図8に示される第1から第5の実施例に伝えられる。
【0064】
本発明は、図面及び上記説明において詳細に説明及び開示されている一方、このような説明及び開示は、説明的又は例示的であり、限定的ではないと考えるべきである、つまり本発明は開示される実施例に限定されない。開示した実施例に対する他の変更例は、図面、明細書及び添付の特許請求の範囲の検討により本発明を実施する当業者によって理解及び行われることができる。請求項において"有する"という言葉は、それ以外の要素又はステップを排除するものではなく、複数あることを述べないことが、それらが複数あることを排除するものでもない。幾つかの測定が互いに異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら方法の組み合わせが有利に用いられることができないことを指しているのではない、請求項における如何なる参照符号もその範囲を限定すると考えるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側及び出力側を含んでいる放電チャンバ、
前記放電チャンバの前記出力側及び/又は入力側に圧力勾配を発生させるために、前記放電チャンバの内部にガス放電を発生させるためのガス放電装置、並びに
前記チャンバの前記入力側又は出力側に配されると共に、前記圧力勾配により生じたガス流にさらすことができるガス選択装置
を有するガス濃縮装置。
【請求項2】
前記ガス選択装置は、窒素選択性であり、酸素非選択性である、請求項1に記載のガス濃縮装置。
【請求項3】
前記ガス選択装置は少なくとも、1つの選択分子篩及び/又は1つの選択膜を有する請求項1又は2に記載のガス濃縮装置。
【請求項4】
前記ガス放電装置は、容量、誘導、表面波及び/又はマイクロ波結合によってガス放電を発生させるための結合装置を有する請求項1、2又は3に記載のガス濃縮装置。
【請求項5】
前記放電チャンバの入力側に配される吸気弁、及び前記出力側に配される出口弁をさらに有する請求項1乃至4の何れか一項に記載のガス濃縮装置。
【請求項6】
前記出力側又は前記入力側に配されるガス貯留槽をさらに有する請求項1乃至5の何れか一項に記載のガス濃縮装置。
【請求項7】
前記ガス選択装置により発生した排ガスを噴出するための排ガス出口装置をさらに有する請求項1乃至6の何れか一項に記載のガス濃縮装置。
【請求項8】
前記放電チャンバは、ガス吸気孔、第1のガス出口及び第2のガス出口を有し、前記ガス出口装置は、前記第1のガス出口に接続され、前記ガス放電装置は、前記第2のガス出口に接続される、請求項7に記載のガス濃縮装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のガス濃縮装置を少なくとも2つ有し、前記2つのガス濃縮装置は、当該装置の出力側で結合されているガス濃縮装置。
【請求項10】
入力側及び出力側を含んでいる放電チャンバ、
前記放電チャンバの前記出力側及び/又は入力側に圧力勾配を発生させるために、前記放電チャンバの内部にガス放電を発生させるためのガス放電装置、
前記放電チャンバの入力側に配される吸気弁、並びに
前記出力側に配される出口弁
を有する、ガスを注入するためのガスポンプ。
【請求項1】
入力側及び出力側を含んでいる放電チャンバ、
前記放電チャンバの前記出力側及び/又は入力側に圧力勾配を発生させるために、前記放電チャンバの内部にガス放電を発生させるためのガス放電装置、並びに
前記チャンバの前記入力側又は出力側に配されると共に、前記圧力勾配により生じたガス流にさらすことができるガス選択装置
を有するガス濃縮装置。
【請求項2】
前記ガス選択装置は、窒素選択性であり、酸素非選択性である、請求項1に記載のガス濃縮装置。
【請求項3】
前記ガス選択装置は少なくとも、1つの選択分子篩及び/又は1つの選択膜を有する請求項1又は2に記載のガス濃縮装置。
【請求項4】
前記ガス放電装置は、容量、誘導、表面波及び/又はマイクロ波結合によってガス放電を発生させるための結合装置を有する請求項1、2又は3に記載のガス濃縮装置。
【請求項5】
前記放電チャンバの入力側に配される吸気弁、及び前記出力側に配される出口弁をさらに有する請求項1乃至4の何れか一項に記載のガス濃縮装置。
【請求項6】
前記出力側又は前記入力側に配されるガス貯留槽をさらに有する請求項1乃至5の何れか一項に記載のガス濃縮装置。
【請求項7】
前記ガス選択装置により発生した排ガスを噴出するための排ガス出口装置をさらに有する請求項1乃至6の何れか一項に記載のガス濃縮装置。
【請求項8】
前記放電チャンバは、ガス吸気孔、第1のガス出口及び第2のガス出口を有し、前記ガス出口装置は、前記第1のガス出口に接続され、前記ガス放電装置は、前記第2のガス出口に接続される、請求項7に記載のガス濃縮装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のガス濃縮装置を少なくとも2つ有し、前記2つのガス濃縮装置は、当該装置の出力側で結合されているガス濃縮装置。
【請求項10】
入力側及び出力側を含んでいる放電チャンバ、
前記放電チャンバの前記出力側及び/又は入力側に圧力勾配を発生させるために、前記放電チャンバの内部にガス放電を発生させるためのガス放電装置、
前記放電チャンバの入力側に配される吸気弁、並びに
前記出力側に配される出口弁
を有する、ガスを注入するためのガスポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2013−506544(P2013−506544A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531528(P2012−531528)
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054289
【国際公開番号】WO2011/039682
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054289
【国際公開番号】WO2011/039682
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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