説明

ガス状流出物中の酸性ガスを富化させる方法

【課題】本発明は、ガス状流出物中の酸性化合物を富化させる方法を提供する。
【解決手段】以下の段階:− 酸性化合物と、水相を含む互いに混和しない少なくとも2つの液相、少なくとも1種の両親媒性化合物および少なくとも1つの促進剤混合物を含む組成物と、を含むフィードガスを接触器に供給する段階と、− 水、促進剤、および酸性化合物からなるハイドレートを形成するための所定の圧力および温度条件を前記接触器において成立させる段階と、− 水相に混和しない相に分散したハイドレートを、ハイドレート解離ドラムにポンプ輸送する段階と、− ハイドレート解離条件を前記ドラムにおいて成立させる段階と、− 解離から得られる、フィードガスに対して酸性化合物が富化されたガスを排出する段階とを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ガス流、例えば天然ガス、合成ガス、排ガス(fumes)またはその他の工業的流出物(effluent)に含まれる硫化水素(H2S)または二酸化炭素(CO2)などの酸性化合物を分離する分野に関する。本発明は、ガス状流出物に含まれる酸性化合物の分離方法において、水相を含む互いに混和しない2つの液相の混合物と促進剤の混合物とを含む組成物を使用して、この方法の効率を高めることを目的とする。本発明を適用して、燃焼排ガスに含まれるCO2を捕捉することができる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ガスハイドレート(gas hydrates)は、ガス分子が或る圧力および温度条件下で水が存在するときに形成される固体結晶である。水分子は、CO2、H2S、メタン、エタンなどのガス分子を閉じ込める十二面体ケージを形成して、大量のガスの貯蔵を可能にする。一般に、ガスハイドレートは、CO2100%のガスについては0℃で16バール(1.6MPa)、CO2を16%含有するガスについては0℃で72バール(7.2MPa)の低温と高圧で自然に形成される。
【0003】
文献WO2008/142,262は、ガス状流出物中の酸性ガスを富化させる方法を記載している。この方法では、前記ガス状流出物を、水相を含む互いに混和しない少なくとも2つの液相の混合物と接触させてハイドレートを形成する。次いで、このハイドレートは、水に混和しない相で、このハイドレートが解離(dissociate)される解離ドラムへ輸送される(carried)。解離段階から得られるガスは、フィード(feed)ガスに対して酸性化合物が富化されている。この方法は工業用途には適していない。何故ならば、この方法はエネルギー消費が大きいからである。実際、ガスハイドレートの形成を可能にするには、ガス状流出物を少なくとも50バール(5MPa)の圧力に圧縮しなければならない。このようなエネルギー消費は、酸性ガスを捕捉するために多大の運転費用を必要とする。工業用途では、処理すべきガスの量が非常に多いので、ガスハイドレートを形成する条件(速度、圧力、温度など)のどんな改良でも、設備規模の縮小およびこの方法のコストダウンを可能にするであろう。
【発明の概要】
【0004】
したがって、ハイドレートの形成によってガスフィード中の酸性化合物を富化させる方法であって、単純であると同時に効率的であり、製造コストを著しく上昇させることなく大量のガスフィードの処理を可能にする方法が必要である。
【0005】
本出願人は、意外にも、少なくとも1つの、互いに混和しない2つの液相の混合物(それらのうちの少なくとも1つは水からなる)と、少なくとも1つの両親媒性化合物と、少なくとも1つの、促進剤(promoters)の混合物とを含む組成物が、ハイドレート形成の効率を上昇させることができることを見出した。
【0006】
より詳細には、本発明の目的は、ガス状流出物中の酸性ガスを富化させる方法であって、より高い効率を有し、この方法の経済コストの低下を可能にする方法を提供することである。本発明による方法を実施する設備の規模は小さいものとなる。
【0007】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、ガス状流出物中の酸性化合物を富化させる方法であって、以下の段階:
・酸性化合物と組成物とを含むフィードガスを接触器(contactor)に供給する段階と、
ただし前記組成物は、
− 水相を含む互いに混和しない2つの液相の混合物を少なくとも1つ、
− 両親媒性化合物を少なくとも1つ、および、
− テトラヒドロフラン(tetrahydrofurane)と少なくとも1つの式(I)の促進剤とを含む促進剤(複数形)の混合物を少なくとも1つ
含む、
【0008】
【化1】

【0009】
(但し、Xは、S、N−R4またはP−R4であり、
Yは、水酸基、スルフェート(sulfate)、およびハロゲンからなる群から選択されるアニオンであり、
1、R2、R3、R4は、同一または異なっており、直鎖または分岐C1〜C5アルキル基からなる群から選択される)、
・水、促進剤、および前記酸性化合物からなるハイドレートを形成するための所定の圧力および温度条件を前記接触器において成立させる(establishing)段階と、
・前記組成物の、水相に混和しない相に分散した前記ハイドレートを、ハイドレート解離ドラムにポンピング(pumping)によって輸送する段階と、
・ハイドレート解離条件を前記ドラムにおいて成立させる段階と、
・解離から得られるガスを排出する段階であって、前記ガスはフィードガスに対して酸性化合物が富化されている段階と
を含む方法である。
【0010】
本発明の特に重要な別の目的は、
− 水相を含む互いに混和しない2つの液相の混合物を少なくとも1つ、
− 両親媒性化合物を少なくとも1つ、および、
− テトラヒドロフランと少なくとも1つの式(I)の促進剤とを含む促進剤(複数形)の混合物を少なくとも1つ
含む組成物である。
【0011】
【化2】

【0012】
(但し、Xは、S、N−R4またはP−R4であり、
Yは、水酸基、スルフェート、およびハロゲンからなる群から選択されるアニオンであり、
1、R2、R3、R4は、同一または異なっており、直鎖または分岐C1〜C5アルキル基からなる群から選択される)。
【0013】
本発明の別の目的は、ガスハイドレートの形成および/または輸送のための、この組成物の使用である。
【0014】
図面の簡単な説明
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、非制限的な例として与えられた以下の説明を読むことにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による方法を示す概略図である。
【図2】ハイドレート形成反応速度について検討するための装置を示す図である。
【図3】ハイドレート形成反応速度についての検討に際する、被試験組成物に接触するガスの温度(点線)および圧力(実線)の変化を示す図である。
【図4】試験した様々な組成物について、初期圧力(単位:バール、横座標)の関数としてハイドレート形成反応の時定数(単位:時間、縦座標)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
本発明は、特に以下の利点を提供する:
− 促進剤を含まない、または単一の促進剤を含む組成物を使用する方法でハイドレートを形成するのに必要な圧力より低い圧力でガスハイドレートを形成して、CO2および/またはH2Sなどの酸性化合物を捕捉できること、
− 促進剤を含まない、または単一の促進剤を含む組成物を使用する方法で観察される速度より高い速度でガスハイドレートを形成して、CO2および/またはH2Sなどの酸性化合物を捕捉できること、
− 好ましくはCO2および/またはH2Sなどの酸性化合物を捕捉すること。
【0017】
本発明によるガス状流出物の酸性ガスを富化させる方法は、図1によって示される3つの主要な段階を含む:
(1)酸性化合物を含有するフィードガスを、組成物と接触させるための第1の処理段階。ここでこの組成物は、互いに混和しない少なくとも2つの液相(それらの少なくとも1つは水からなる)の混合物を少なくとも1種、両親媒性化合物を少なくとも1種、および本発明による促進剤の混合物を少なくとも1種含む。フィードガスと組成物は、酸性化合物、水および促進剤から構成されるハイドレート相の形成に適合した(compatible)圧力および温度条件下で接触する。非制限的な例としては、ハイドレート形成圧力および温度は、それぞれ、3と30バールの間(0.3〜3MPa)、および0℃と30℃の間の範囲である。出願人は、意外にも、互いに混和しない2つの液相(それらの少なくとも1つは水からなる)の混合物に少なくとも2種の特定の促進剤を組み合わせると、促進剤を含まない場合よりも低い圧力で、かつ促進剤無しで、または単一の促進剤の存在下で組成物を使用する場合より高いガス捕捉速度で、ガスハイドレートの形成が可能になることに注目した。
【0018】
この第1段階により、ハイドレート相における大量の酸性ガスの隔離(sequestration)が可能になり、ハイドレート形成中のガス捕捉速度は先行技術の方法に対して高くなる。この速度は重要な尺度である。何故ならば、この速度がガスと液状組成物の間の接触時間を規定するからである。この速度が高ければ高いほど、この方法の効率は高く、またこの方法を実施する設備の規模は小さい。こうして酸性化合物が富化されたガスハイドレート粒子は、非水混和性液体に分散し、固体懸濁液の形態で輸送される。したがって、ハイドレートに変換されなかったガスは酸性化合物が除去されている。このガスが、要求される規格を依然として満たしていない場合は、これをハイドレートによる除去の二回目の段階にかけることができる。あるいは、これを任意選択で別のガス脱酸法によって処理することができる。図1では、ハイドレートは接触器R1で形成される。接触器R1には、ライン1を通って入ってくるガスをコンプレッサーK1で圧縮した後、フィードガスがライン2を通って流れ込む。互いに混和しない2つの液相(それらの少なくとも1つは水からなる)の混合物を少なくとも1種、両親媒性化合物を少なくとも1種、および促進剤の混合物を少なくとも1種含む組成物が、ライン7から接触器R1に供給される。酸性化合物が除去されたガスはライン9を通って放出され、一方、ハイドレートスラリーはライン3を通って接触器の底部から出てくる。
【0019】
(2)前段階からの流出物の酸性ガス分圧を上げることを目的とする第2の処理段階。この段階は、特にハイドレート相を含む固体懸濁液を、フィードガスの圧力より2〜200倍高い圧力で、好ましくは2〜100倍高い圧力でポンピング(P1)すること、およびこれを、ライン4を通って解離ドラムR2へ圧力下送ることである。このドラムでは、この懸濁液を加熱して、酸性ガスが富化されたハイドレート粒子を、少なくとも1種の両親媒性化合物および促進剤の混合物を含有する最初の混和しない2つの液体の混合物と、酸性化合物が富化された気相とに高圧で解離する。こうして得られたガス流は、フィードガスより2〜100倍高い酸性ガス含有量および分圧を有する。酸性化合物が富化されたガスは、ライン5を通って放出され、任意選択でコンプレッサーK2によって圧縮され、ライン8を通って例えば地下タンクに注入される。
【0020】
(3)主に2つの混和しない液体、両親媒性化合物(複数可)および促進剤の混合物を含む、段階(2)からの液体の混合物を膨張/冷却し、ライン6および7を通って第1段階の接触器R1へ送り返す。
【0021】
ハイドレート形成/解離プロセスは、フィードガスの例えばCO2を除去し、さらにこのプロセスからの流出物中のCO2を富化させることを目的としており、水−ハイドレート成分−非水混和性溶媒の混合物を含む組成物で行われる。この混合物には、2種の促進剤の混合物を少なくとも1種、ならびに、任意選択でエマルション形態の、水/非水混和性溶媒混合物を安定させる特性を有する両親媒性化合物を少なくとも1種加える。
【0022】
この方法に使用される溶媒は、いくつかの群:炭化水素含有溶媒、シリコーン系溶媒、ハロゲン化もしくは過ハロゲン化溶媒の中から選択することができる。
【0023】
炭化水素含有溶媒の場合、溶媒は、以下のものからなる群から選択することができる:
− 脂肪族留分、例えば、本発明による方法に適合する十分高い引火点を有するイソパラフィン留分、
− 芳香族留分またはナフテン留分タイプの有機溶媒が同様の引火点条件で使用することもでき、
− 分岐アルカン、シクロアルカンおよびアルキルシクロアルカン、芳香族化合物、アルキル芳香族の中から選択される純粋な製品または混合物。
【0024】
本発明による方法で使用される炭化水素含有溶媒は、引火点が40℃を超えており、好ましくは75℃を超えており、より精密には100℃を超えていることを特徴とする。その結晶点は−5℃未満である。
【0025】
シリコーン系の溶媒は、単独でまたは混合物として、例えば以下のものからなる群から選択される:
− (CH33−SiO−((CH32−SiO)n−Si(CH33型の直鎖ポリジメチルシロキサン(PDMS)(但し、nは1と900の間の範囲であり、これは周囲温度(ambient temperature)において0.1と10,000mPa.sの間の範囲の粘度に相当する)、
− 周囲温度において0.1と10,000mPa.sの間の範囲の粘度を有するポリジエチルシロキサン、
− D4からD10、好ましくはD5からD8の環状ポリジメチルシロキサン(但し、単位Dはジメチルシロキサンのモノマー単位を表す)、
− ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)。
【0026】
この方法で使用されるハロゲン化もしくは過ハロゲン化溶媒は、パーフルオロカーバイド(PFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)の中から選択される。
【0027】
本発明による方法を実施するために使用されるハロゲン化もしくは過ハロゲン化溶媒は、その沸点が大気圧で70℃以上であり、その粘度が周囲温度および大気圧で1Pa.s未満であることを特徴とする。
【0028】
水/溶媒混合物の比率は、組成物の全容積に対して、それぞれ、0.5/99.5と60/40容量%の間、好ましくは10/90と50/50容量%の間、より精密には20/80と40/60容量%の間、より好ましくは20/80と35/65容量%間の範囲とすることができる。
【0029】
両親媒性化合物は、水相と高い親和性を有する少なくとも1個の親水性または極性の化学基を有するとともに、溶媒と高い親和性を有する(一般に疎水性と呼ばれる)少なくとも1個の化学基を有する化合物(モノマーまたはポリマー)である。両親媒性化合物は、任意選択でエマルション形態において、水/非水混和性溶媒混合物を安定化させ、非水混和性相中のハイドレート粒子を分散させる特性を有している。
【0030】
両親媒性化合物は、中性またはアニオン性、またはカチオン性、または双性イオン性でありうる親水性部分を含む。溶媒と高い親和性を有する(疎水性と呼ばれる)部分は、炭化水素含有、シリコーン含有またはフルオロシリコーン含有、あるいはハロゲン化もしくは過ハロゲン化部分とすることができる。
【0031】
単独でまたは混和物として使用される炭化水素含有両親媒性化合物は、非イオン性、アニオン性、カチオン性または双性イオン性両親媒性化合物からなる群から選択される。
【0032】
非イオン性化合物は、以下の部分を含む点で特徴づけられる:
− ヒドロキシアルキレンオキシド基またはアミノアルキレン基のいずれかを含む親水性部分、
− アルコール、脂肪酸、フェノールもしくはポリオレフィンのアルキル化誘導体に由来する、例えばイソブテンまたはブテンに由来する、炭化水素鎖を含む疎水性部分。
【0033】
親水性部分と疎水性部分の間の結合は、例えば、エーテル、エステルまたはアミド官能基とすることができる。この結合は、窒素または硫黄原子によって得ることもできる。非イオン性両親媒性炭化水素含有化合物の例としては、オキシエチル化脂肪アルコール、アルコキシル化アルキルフェノール、オキシエチル化および/またはオキシプロピル化誘導体、糖エーテル、ポリオールエステル(グリセロール、ポリエチレングリコール、ソルビトールおよびソルビタンなど)、モノエタノールアミド、ジエタノールアミド、カルボン酸アミド、スルホン酸またはアミノ酸が挙げられる。
【0034】
アニオン性両親媒性炭化水素含有化合物は、水相において負に帯電したイオンを形成するようにイオン化できる1個または複数個の官能基を含んでおり、これらの陰性基が分子の表面活性を与えることを特徴とする。こうした官能基は、金属またはアミンによってイオン化される酸性基である。酸としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、硫酸またはリン酸を挙げることができる。以下のアニオン性両親媒性炭化水素含有化合物を挙げることができる:
− 金属石鹸、アルカリ性石鹸または有機石鹸(N−アシルアミノ酸、N−アシルサルコシン酸塩、N−アシルグルタミン酸塩およびN−アシルポリペプチドなど)などのカルボン酸塩、
− アルキルベンゼンスルホン酸塩(すなわちアルコキシル化アルキルベンゼンスルホン酸塩)、パラフィンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩(ligosulfonates)またはスルホコハク酸(sulfonsuccinic)誘導体(スルホコハク酸塩、ヘミスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなど)などのスルホン酸塩、
− アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩などの硫酸塩、ならびにリン酸塩。
【0035】
カチオン性両親媒性炭化水素含有化合物は、水相において正に帯電したイオンを形成するようにイオン化できる1個または複数個の官能基を含んでいることを特徴とする。カチオン性炭化水素含有化合物の例としては、以下が挙げられる:
− アルキルアミンエーテル、アルキルジメチルベンジルアンモニウム誘導体およびアルコキシル化アルキルアミン誘導体からなる群から選択されるアルキルアミン塩、
− ピリジニウム、イミダゾリウム、キノリニウム、ピペリジニウムまたはモルホリニウム誘導体などの複素環誘導体。
【0036】
双性イオン性炭化水素含有化合物は、少なくとも1個が正に帯電し少なくとも1個が負に帯電する、少なくとも2個のイオン性基を有することを特徴とする。これらの基は、例えばベタイン、アルキルアミドベタイン誘導体、スルホベタイン、ホスホベタインまたはカルボキシベタインなどの上記のアニオン基およびカチオン基の中から選択される。
【0037】
中性、アニオン性、カチオン性または双性イオン性親水性部分を含む両親媒性化合物は、さらにシリコーンまたはフルオロシリコーン疎水性部分(非水混和性溶媒と高い親和性を有すると定義される)も有することができる。これらのシリコーン両親媒性化合物、オリゴマーまたはポリマーは、水/有機溶媒混合物、水/ハロゲン化もしくは過ハロゲン化溶媒混合物、あるいは水/シリコーン溶媒混合物にも使用することができる。
【0038】
中性のシリコーン両親媒性化合物は、メチル基が(エチレンポリオキシドもしくはプロピレンポリオキシド型、またはエチレンポリオキシドとプロピレンとの混合ポリマーの)アルキレンポリオキシド基あるいはピロリドン基で部分的に置換された、PDMS型のオリゴマーまたはコポリマー、例えば、PDMS/ヒドロキシ−アルキレンオキシプロピル−メチルシロキサン誘導体またはアルキルメチルシロキサン/ヒドロキシ−アルキレンオキシプロピル−メチルシロキサン誘導体とすることができる。
【0039】
ヒドロシリル化反応で得られたこれらのコポリオールは、反応性の末端水酸基を有する。したがって、これらは、例えば脂肪酸、アルカノールアミド基、またはグリコシド基の反応によってエステル基を得るために使用することができる。
【0040】
ケイ素原子に直接結合したアルキル側基(疎水性)を含むシリコーンポリマーは、フルオロアルコール型分子(親水性)と反応させて変性し、両親媒性化合物を形成することもできる。
【0041】
界面活性剤特性は、親水基/疎水基比で調節される。
【0042】
PDMSコポリマーは、リン酸基、カルボン酸基、硫酸基またはスルホコハク酸基などのアニオン基によって両親媒性にすることもできる。これらのポリマーは、一般にポリシロキサンアルキレンポリオキシド側鎖の末端ヒドロキシド官能基への酸の反応によって得られる。
【0043】
PDMSコポリマーは、第四級アンモニウム基、四級化アルキルアミドアミン基、四級化アルキルアルコキシアミン基または四級化イミダゾリンアミンなどのカチオン基によっても両親媒性にすることもできる。例えば、PDMS/ベンジルトリメチルアンモニウムメチルシロキサンクロリドコポリマーまたはハロゲノN−アルキル−N,Nジメチル−(3−シロキサニルプロピル)アンモニウム誘導体を使用することができる。
【0044】
PDMSコポリマーは、カルボキシベタイン、アルキルアミドベタイン、ホスホベタインまたはスルホベタインなどのベタイン型基によっても両親媒性にすることができる。この場合、このコポリマーは、疎水性シロキサン鎖および、例えば、以下の一般式で表される親水性オルガノベタイン部分を含む:
(Me3SiO)(SiMe2O)a(SiMeRO)SiMe3
但し、R=(CH23+NMe2(CH2bCOO-;a=0、10;b=1、2。
【0045】
中性、アニオン性、カチオン性または双性イオン性親水性部分を含む両親媒性化合物は、ハロゲン化もしくは過ハロゲン化疎水性部分(非水混和性溶媒と高い親和性を有すると定義される)を有することもできる。これらのハロゲン化両親媒性化合物、オリゴマーまたはポリマーは、水/有機溶媒または水/ハロゲン化もしくは過ハロゲン化溶媒または水/シリコーン溶媒混合物に使用することもできる。
【0046】
例えば、フッ素化合物などのハロゲン化両親媒性化合物は、イオン性または非イオン性とすることができる。特に、以下のものを挙げることができる;
− 一般式Rf(CH2)(OC24nOHの化合物(但し、Rfは部分水素化されたパーフルオロカーボンもしくはフルオロカーボン鎖であり、nは少なくとも1に等しい整数である)、ポリオキシエチレン−フルオロアルキルエーテル型のフッ化非イオン界面活性剤などの非イオン性両親媒性のハロゲン化もしく過ハロゲン化化合物、
− パーフルオロカルボン酸およびその塩、またはパーフルオロスルホン酸およびその塩、パーフルオロリン酸塩化合物、パーフルオロポリエーテルおよびその塩に由来するモノカルボン酸およびジカルボン酸、パーフルオロポリエーテルおよびその塩に由来するモノスルホン酸およびジスルホン酸、パーフルオロポリエーテルリン酸塩両親媒性化合物およびパーフルオロポリエーテル二リン酸塩両親媒性化合物などの、アニオン性化合物を形成するイオン性両親媒性化合物、
− 過フッ化カチオン性もしくはアニオン性両親媒性のハロゲン化合物、あるいは1、2もしくは3個の疎水性側鎖を有するパーフルオロポリエーテル、エトキシル化フルオロアルコール、フッ化スルホンアミドまたはフッ化カルボキサミドに由来するもの。
【0047】
両親媒性化合物は、水相に混和しない相、すなわち溶媒に対して、0.1と10重量%の間、好ましくは0.1と5重量%の間の範囲の比率で、前記水/溶媒混合物に加える。
【0048】
「促進剤」と呼ばれるものは、本発明の意味では、ハイドレート形成圧力を低下させる特性および/またはハイドレート形成速度を改良する特性を有する任意の化合物である。
【0049】
本発明による促進剤混合物は、テトラヒドロフラン(THF)および少なくとも1種の式(I)の促進剤を含む。
【0050】
【化3】

【0051】
式中、Xは、S、N−R4またはP−R4であり、
Yは、水酸基、スルフェートまたはハロゲンからなる群から選択されるアニオンである。このハロゲンは、臭素、フッ素、塩素およびヨウ素からなる群から選択することができ、
1、R2、R3、R4は、同一または異なっており、直鎖または分岐C1〜C5アルキル基からなる群から選択される。炭素原子1〜5個を有する直鎖または分岐アルキル基は、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルおよびペンチル基である。
【0052】
式(I)の促進剤の中では、アンモニウムアルキルおよびホスホニウムアルキルが好ましく使用される。
【0053】
好ましくは、式(I)の促進剤は、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEAB)、テトラプロピルアンモニウムブロミド(TPAB)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(TBAHS)、テトラブチルアンモニウムクロリド水和物(TBACl)、テトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAOH)、テトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(TBAF)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPB)からなる群から選択される。
【0054】
特に、以下の式(II):
【0055】
【化4】

【0056】
の促進剤のサブグループを選択することができる。
式中、Zは、NまたはPであり、
Yは、水酸基、スルフェートまたはハロゲンからなる群から選択されるアニオンである。このハロゲンは、臭素、フッ素、塩素およびヨウ素からなる群から選択することができ、
1、R2、R3、R4はブチルである。
【0057】
好ましくは、式(II)の促進剤は、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(TBAF)およびテトラブチルホスホニウムブロミド(TBPB)からなる群から選択することができる。
【0058】
テトラヒドロフラン促進剤は、水相に対して1と15モル%の間、好ましくは水相に対して3と12モル%の間、より好ましくは水相に対して6と9モル%の間の範囲の比率で組成物に加えることができる。
【0059】
式(I)の促進剤は、水相に対して1と20質量%の間、好ましくは水相に対して5と15質量%の間、より好ましくは水相に対して7と12質量%の間の範囲の比率で組成物に加えることができる。
【0060】
促進剤を式(II)の化合物の中から選択する場合、この促進剤は、水相対して1と20質量%の間、好ましくは水相に対して5と15質量%の間、より好ましくは水相に対して7と12質量%の間の範囲の比率で組成物に加えることができる。
【0061】
本発明によるガス状流出物の酸性ガスを富化させる方法は、様々なフィードガスに適用することができる。例えば、この方法は、燃焼排ガスを脱炭酸し、天然ガスまたはクラウステールガス(Claus tail gas)を脱酸(deacidize)することができる。この方法により、さらに合成ガス、変換ガス(conversion gases)、複合石炭(integrated coal)または天然ガスの燃焼プラントからのガス、バイオマス発酵ガス、セメントプラントガスおよび焼却炉排ガスに含まれる酸性化合物も除去することができる。本発明の意味において「酸性化合物」と呼ばれるものは、CO2および/またはH2Sである。
【0062】

本発明を例証する以下の例は、制限的なものと見なされるべきでない。
【0063】
実験設備および条件
本発明による方法で使用される組成物の効率を試験するために、図2に示した装置において、窒素85モル%およびCO215モル%を含むガス混合物のハイドレート形成段階をシミュレートする。ハイドレート形成段階は、サーモスタットで制御された密閉した反応器で検討し、気相の圧力変化ならびに気相および液相の温度変化を測定する。これらの変化はハイドレートの形成と関連付けられる。
【0064】
図2によると、この装置は、ガス入口12およびガス出口14、撹拌装置16、温度および圧力検出器26、28、24を備えた3リットルの反応器10を有する。
【0065】
反応器を、ミリQ水(milli−Q water)270mlとエチレングリコール2mlの混合物22で満たす。700mlの被試験組成物20を含むガラスタンク18を、反応器10とタンク18の間の熱交換を行うエチレングリコール/水混合物中に置く。エチレングリコール/水浴の温度はクライオスタット30によって制御される。反応器を密閉した後、反応器とタンクを、上記のガス混合物を用いて10バール(10バール=1MPa)で2回の連続パージを行った後に20℃で熱平衡に至らせる。
【0066】
次いで、反応器に、初期運転圧(実験によって5、15および20バール(0.5、1.5および2MPa))で上記ガス混合物を供給して、20℃の設定値温度まで到達させる。次いで、反応器へのガス供給を止める。この段階で実験設備は固定され、その後実験中に他の材料を加えることはない。
【0067】
所定時間tにおいて被試験組成物を250rpmで撹拌し、実験中撹拌し続ける。温度は、20℃で3時間安定させ、次いでこれを0.4℃/分の速度で−3℃まで下げ、この温度で4時間安定させる。被試験組成物の温度変化、ならびに上方空間のガスの温度変化および圧力変化を、それぞれ、検出器42、38および40によって測定する。温度(点線)および圧力(実線)変化を、時間に対してグラフ上にプロットする。こうした図の一例を図3に示す。ガスと被試験液状組成物の間の接触は、ガスの一部が被試験組成物へ移動することにより圧力低下をもたらす(a)。この移動は速く、圧力についての新しい安定状態は数分内に得られる。次いで、発熱ピーク(b)および圧力低下(c)が観察される;これらの事象は、被試験組成物中にガスハイドレートが形成されたことに対応している。時間の関数として圧力曲線をモデル化することにより、ハイドレート形成反応の時定数(K)を求めることができる。
【0068】
材料の添加が不可能で、このように実験設備が固定され、ハイドレートの形成に影響を及ぼすことができる唯一のパラメーターは反応器の内部温度である。温度低下は、サーモスタットで制御された浴に設定され、すべての実験に標準として使用される温度プロフィールによって制御される。設備、反応器に含まれる流体および引き起こされた発熱および吸熱現象の熱慣性により、反応器内の温度は、サーモスタットで制御された水/エチレングリコール混合物の温度よりはるかにゆっくり展開することが認められる。これが、高温および低温の水平域(hot and cold plateaus)がやや長い理由を説明するものである。実験の終わりに、ガス混合物の最終組成をクロマトグラフィーで解析する。
【0069】
基本組成物
被試験組成物は、1種または複数種の促進剤が加えられた基本組成物から調製される。
【0070】
基本組成物は、水1/3容と溶媒2/3容から作製され、これに、ポリイソブテニルコハク酸無水物とポリエチレングリコールの間の反応で得られた両親媒性化合物が加えられる。この両親媒性化合物は、溶媒の量(volume)に対して0.17重量%の濃度で加えられる。溶媒の重量組成は以下のとおりである:
− 炭素原子11個未満の分子:パラフィンおよびイソパラフィン20%、ナフテン48%、芳香族10%;
− 炭素原子11個以上の分子:パラフィン、イソパラフィン、ナフテンおよび芳香族の混合物22%。
【0071】
例No.1(本発明によるものではない):
水相に対して9モル%のテトラヒドロフラン(THF)を上記の基本組成物に加える。この組成物を、3つの異なる初期圧力値:5、15および20バール(0.5、1.5および2MPa)について、前述の実験条件下で試験する。
【0072】
クライオスタットの温度が低下している際の圧力低下および発熱ピークの出現によって、ガスハイドレートの形成が認められる。
【0073】
ガス消費速度、したがってガスハイドレート形成速度は、一次反応(first order reaction)のモデルによってモデル化することができる。この組成物を用いると、圧力20バール(2MPa)では、ハイドレート形成反応の時定数(K)は2時間である。圧力15バール(1.5MPa)では、ハイドレート形成反応の時定数(K)は3時間であり、5バール(0.5MPa)では4時間である。
【0074】
ガス混合物の最終組成は、CO29%およびN291%である。
【0075】
例No.2(本発明によるものではない):
水相に対して9質量%のTBABを上記の基本組成物に加え、 この組成物を、3つの異なる初期圧力値:5、15および20バール(0.5、1.5および2MPa)について、前述の実験条件下で試験する。
【0076】
発熱ピークおよび圧力低下は観察されない。
【0077】
これらの実験条件下および試験した組成物で、ハイドレートは形成されない。
【0078】
ガス混合物の最終組成は、反応器に注入されたガス混合物の組成と同一である:N285%およびCO215%。
【0079】
例No.3(本発明によるもの):
水相に対して9モル%のTHFおよび水相に対して9質量%のTBABを含む促進剤混合物を、基本組成物に加える。この組成物を、3つの異なる初期圧力値:5、15および20バール(0.5、1.5および2MPa)について、前述の実験条件下で試験する。
【0080】
発熱ピークの出現および圧力低下によって、ガスハイドレートの形成が認められる。
【0081】
ガス消費速度、したがってガスハイドレート形成速度は、一次反応のモデルによってモデル化することができる。この組成物を用いると、圧力20バール(2MPa)では、ハイドレート形成反応の時定数(K)は1時間である。圧力15バール(1.5MPa)では、ハイドレート形成反応の時定数(K)は1.84時間であり、5バール(0.5MPa)では2時間である。
【0082】
ガス混合物の最終組成は、CO25%およびN295%である。
【0083】
これら3例の結果を図4にまとめて示す。この図は、THFを含む組成物(黒ひし形(full diamond))、TBABを含む組成物(黒三角)、および2種の促進剤:THFおよびTBABの混合物を含む組成物(白丸)について、ハイドレート形成反応の時定数(K)(単位:時間、縦座標)を、初期圧力(単位:バール、横座標)の関数として示している。この図では、初期圧力5および15バール(0.5および1.5MPa)について、2種の促進剤(TBABおよびTHF)の混合物を含む組成物の時定数は、THFのみを含む組成物の時定数の1/2であることが分かる。このように、ガスハイドレートは、促進剤としてTHFのみを含む組成物より、2種の促進剤(TBABおよびTHF)の混合物を含む組成物の方がより速く形成される。
【0084】
さらに、圧力5、15または20バール(0.5、1.5および2MPa)において、単一の促進剤を含む組成物(TBABを含む組成物について黒三角)では、ガスハイドレートは形成されないことが認められる。これらの圧力は、この促進剤のみでハイドレート形成を可能にするほど高くはない。少なくとも40バール(4MPa)の圧力が必要であろう。一方、促進剤混合物を含む組成物(TBABおよびTHF、白丸)を使用すると、ハイドレート形成は5バール(0.5MPa)から認められる。
【0085】
結論として、本発明(例No.3)による組成物では以下が可能になる:
− 単一の促進剤を用いた組成物(例No.1および2)より大量の酸性化合物を捕捉する、
− 単一の促進剤を用いた組成物に対してハイドレート形成反応速度を著しく上昇させる、
− ハイドレート形成に必要な圧力を低下させる。
【0086】
これらの例は、ハイドレート形成速度への2種の促進剤の相乗効果を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状流出物の酸性化合物を富化させる方法において、以下の段階:
・酸性化合物と組成物とを含むフィードガスを接触器に供給する段階と、
ただし前記組成物は、
− 水相を含む互いに混和しない2つの液相の混合物を少なくとも1つ、
− 両親媒性化合物を少なくとも1つ、および、
− テトラヒドロフランと少なくとも1つの式(I)の促進剤とを含む促進剤の混合物を少なくとも1つ:
【化1】

(但し、Xは、S、N−R4またはP−R4であり、
Yは、水酸基、スルフェートおよびハロゲンからなる群から選択されるアニオンであり、
1、R2、R3、R4は、同一また異なっており、直鎖または分岐C1〜C5アルキル基からなる群から選択される)
含む、
・水、促進剤、および前記酸性化合物からなるハイドレートを形成するための所定の圧力および温度条件を前記接触器において成立させる段階と、
・前記組成物の水相に混和しない相に分散した前記ハイドレートを、ハイドレート解離ドラムにポンピングによって輸送する段階と、
・ハイドレート解離条件を前記ドラムにおいて成立させる段階と、
・解離から得られるガスを排出する段階であって、前記ガスがフィードガスに対して酸性化合物が富化されている段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記促進剤の混合物が、テトラヒドロフランおよび少なくとも1つの式(II)の促進剤:
【化2】

(但し、Zは、NまたはPであり、
Yは、水酸基、スルフェートおよびハロゲンからなる群から選択されるアニオンであり、
1、R2、R3、R4はいずれもブチルである)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の促進剤が、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEAB)、テトラプロピルアンモニウムブロミド(TPAB)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(TBAHS)、テトラブチルアンモニウムクロリド水和物(TBACl)、テトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド (TBAOH)、テトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(TBAF)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPB)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(II)の促進剤が、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(TBAF)およびテトラブチルホスホニウムブロミド(TBPB)からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
水/溶媒混合物の比率が、それぞれ、0.5/99.5容量%と60/40容量%の間、好ましくは10/90容量%と50/50容量%の間、より精密には20/80容量%と40/60容量%の間の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
両親媒性化合物の比率が、水相に混和しない相に対して、0.1重量%と10重量%の間、好ましくは0.1重量%と5重量%の間の範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
テトラヒドロフランの比率が、水相に対して、1モル%と15モル%の間の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の促進剤の比率が、水相に対して、1質量%と20質量%の間の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
水相に混和しない相が、炭化水素含有溶媒、シリコーン系溶媒、ハロゲン化もしくは過ハロゲン化溶媒、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
炭化水素含有溶媒が、
− 脂肪族留分、特にイソパラフィン留分、
− 芳香族留分またはナフテン留分型の有機溶媒、
− 分岐アルカン、シクロアルカンおよびアルキルシクロアルカン、芳香族化合物、アルキル芳香族
からなる群から選択され、
炭化水素含有溶媒が、40℃を超える、好ましくは75℃を超える、より精密には100℃を超える引火点と、−5℃未満の結晶点とを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
シリコーン系溶媒が、単独でまたは混合物として、
− (CH33−SiO−((CH32−SiO)n−Si(CH33型の直鎖ポリジメチルシロキサン(PDMS)(但し、nは1と900の間の範囲であり、周囲温度において0.1と10,000mPa.sの間の範囲の粘度に相当する)、
− 同様の粘度範囲のポリジエチルシロキサン、
− D4からD10、好ましくはD5からD8の環状ポリジメチルシロキサン(但し、単位Dはジメチルシロキサンのモノマー単位を表す)、
− ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)
からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ハロゲン化もしくは過ハロゲン化溶媒が、パーフルオロカーバイド(PFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)からなる群から選択され、ハロゲン化もしくは過ハロゲン化溶媒が、大気圧で70℃以上の沸点を有し、周囲温度および大気圧で1Pa.s未満の粘度を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
両親媒性化合物が、親水性部分と、水相に混和しない相と高い親和性を有する部分とを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記非イオン性両親媒性化合物が、
− ヒドロキシアルキレンオキシド基またはアミノアルキレン基を含む親水性部分と、
− アルコール、脂肪酸、フェノールもしくはポリオレフィンのアルキル化誘導体に由来する、好ましくはイソブテンまたはブテンに由来する炭化水素鎖を含む疎水性部分と、
を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記非イオン性両親媒性化合物が、以下の群:オキシエチル化脂肪アルコール、アルコキシル化アルキルフェノール、オキシエチル化および/またはオキシプロピル化誘導体、糖エーテル、ポリオールエステル(グリセロール、ポリエチレングリコール、ソルビトールおよびソルビタンなど)、モノエタノールアミド、ジエタノールアミド、カルボン酸アミド、スルホン酸またはアミノ酸、から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アニオン性両親媒性化合物が、以下の群:
− 金属石鹸、アルカリ性石鹸または有機石鹸(N−アシルアミノ酸、N−アシルサルコシン酸塩、N−アシルグルタミン酸塩およびN−アシルポリペプチドなど)などのカルボン酸塩、
− アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩またはスルホコハク酸誘導体(スルホコハク酸塩、ヘミスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなど)などのスルホン酸塩、
− アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩などの硫酸塩、ならびにリン酸塩、
から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記カチオン性両親媒性化合物が、以下の群:
− アルキルアミンエーテル、アルキルジメチルベンジルアンモニウム誘導体およびアルコキシル化アルキルアミン誘導体からなる群から選択されるアルキルアミン塩、
− ピリジニウム、イミダゾリウム、キノリニウム、ピペリジニウムまたはモルホリニウム誘導体などの複素環誘導体、
から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記双性イオン性両親媒性化合物が、以下の群:ベタイン、アルキルアミドベタイン誘導体、スルホベタイン、ホスホベタイン、カルボキシベタイン、から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記両親媒性化合物が、シリコーン部分またはフルオロシリコーン部分を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記両親媒性化合物が、ハロゲン化もしくは過ハロゲン化部分を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ハイドレート分散液圧力を、フィードガス圧力の2倍と200倍の間の範囲の倍率だけ上昇させる、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
− 水相を含む互いに混和しない2つの液相の混合物を少なくとも1つ、
− 両親媒性化合物を少なくとも1つ、および、
− テトラヒドロフランと少なくとも1つの式(I)の促進剤とを含む促進剤の混合物を少なくとも1つ:
【化3】

(式中、Xは、S、N−R4またはP−R4であり、
Yは、水酸基、スルフェートおよびハロゲンからなる群から選択されるアニオンであり、
1、R2、R3、R4は、同一また異なっており、直鎖または分岐C1〜C5アルキル基からなる群から選択される)
含む組成物。
【請求項23】
ガスハイドレートの形成および/または輸送のための請求項22に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−245481(P2011−245481A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−118694(P2011−118694)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】