説明

ガス生成システム

【課題】生成されたガスを冷却するためのフィルターを有するガス生成システムを軽く安価にする。
【解決手段】第1のベース部分、および第1のベース部分から延びる複数の第1の突起部分であって、対応する第1の層200を通る複数の第1の開口部を画定する突起部分を有するシート物質の第1の層200を有するフィルターが提供される。シート物質の第2の層201は、第2のベース部分、および第2のベース部分から延びる複数の第2の突起部分であって、対応するシート物質を通る複数の第2の開口部を画定する突起部分を有するシート物質の第2の層201を含む。該シート物質の第2の層201は、シート物質の第1の層200と隣接して配置され、第1のベース部分から伸びる第1の突起部分が第2の層201に向かって伸び、第2のベース部分から伸びる第2の突起部分が第1の層に向かって伸びる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
この出願は、2006年12月20日に出願された仮出願番号60/876,418の利益を要求する。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に自動車での膨張可能な乗員拘束システムで使用される、ガス生成システムまたはインフレータに関係する。また、より特には生成されたガスを冷却するためのフィルターを有するガス生成システムまたはインフレータに関する。
【0003】
発明の背景
すべての新しい乗り物における標準的設備として、一般に「エアバッグ」として知られている膨張可能な乗員拘束システムの設置において、より小さく、軽く、より安価な乗員拘束システムへの探索が強化されている。そのようなシステムの中で使用されるインフレータは、最も重く最も高価なものである傾向があり、より軽くより安価なインフレータに対する必要がある。
【0004】
典型的なインフレータは、乗り物の用途に関連する直径および長さを有している円筒状の鋼またはアルミニウムのハウジングを有し、その内部にプロペラントを含んでいる。インフレータには、エクスパンドメタルまたはメッシュと線径の異なる鋼スクリーンの1つ以上の層を含む内部フィルターが一般に提供される。プロペラントの燃焼に際して生成されたガスは、インフレータを出る前にフィルターを通過される。公知のシステムでのプロペラントの燃焼の際に生産された粒子状物質またはスラグは、ガスがフィルターを通過する際に実質的に除去される。
【0005】
公知のフィルター/ヒートシンク設計は、圧縮され結合されたワイヤーまたはエクスパンドメタルから形成され、サーマルマスによって熱を除去する。しかしながら、これらの公知のフィルターの組成および構造はフィルターの重量を増加させ、かつガスフローの均一性および制御可性を減じるように作用し、それにより、バラスティック特性の変わりやすさを増加させる。
【0006】
本発明の要約
本発明の1つの態様では、フィルターは第1のベース部分を有するシート物質の第1の層、および第1のベース部分から延び、第1の層を通り対応する複数の第1の開口を画定する複数の第1の突起部分を有して提供される。シート物質の第2の層は第2のベース部分、および第2のベース部分から延び、シート物質を通り対応する複数の第2の開口を画定する複数の第2の突起部分を有して提供される。シート物質の第2の層はシート物質の第1の層と隣接して配置され、第1のベース部分から延びる第1の突起部分は第2の層の方向に伸び、第2のベース部分から延びる第2の突起部分は第1の層の方向に伸びるようにされる。
【0007】
詳細な説明
本発明は、概略的には、生成されたガスのための一連の曲がりくねった流路を画定する、エンボスを有するシート物質の連続する層から形成されたフィルターを使用するインフレータまたはガス生成システムを包含する。ガスが、エンボス設計によって形成された曲がりくねった通路を通って移動する時に、エンボスタイプフィルターはガスから熱を取り除く。不適当な量の微粒子を含まない膨張ガスを生成して燃焼することができる適当なガス生成物質組成物の選択は、さらに公知の、比較的重いワイヤーメッシュフィルターの必要を回避する。インフレータ中の公知のフィルターの必要の回避は、より簡単で、より軽く、より安価で、製造がより簡単な装置を許容する。
【0008】
図1および2は、本発明のガス生成システム10の第1の実施態様の横断面図を示す。ガス生成システム10は、炭素鋼または鉄のような丈夫な金属から作られた部材から好ましくは造られるが、たとえば、強靱で耐衝撃性を有するポリマーから作られる部材を含むことができる。当業者は、ガス生成システムの様々な部材のための様々な製造方法を理解するだろう。
【0009】
図1および2を参照する。ガス生成システム10は、閉塞端14、開放端16、および長さ方向の軸「A」に沿って延びる外側壁18を有する一般に円筒状のハウジング12を含む。ハウジング12はキャスト、スタンプ、押出、または他の方法で金属形成されることができる。少なくとも1つおよび好ましくは複数の開口20がハウジング壁18に沿って形成され、ガス生成システムの内部と、エアバッグまたは他の膨張可能な装置(図示されない)の間の流体連絡を許容する。
【0010】
ガス生成システムハウジング12の中への水蒸気の侵入を防ぐために、開口20は、アルミニウムまたはステンレス鋼フォイルのようなフォイル56で覆われることができる。フォイル56は、しばしば「破裂フォイル」と呼ばれ、典型的には、0.01から約0.20mmまでの厚さである。フォイル56は、典型的には、接着剤を使用してガス生成システムハウジングの内側表面に接着される。
【0011】
ガス生成システムハウジング蓋30はクリンプ、溶接または他の方法で、ハウジング12の開放端16に固定される。蓋30はキャスト、スタンプ、または他の方法で金属成型されることができる。別法として、蓋30は、適当な耐高温性のポリマーから成形されることができる。
【0012】
ガス生成システム10は、さらに外側壁内に配置された第1の膨張流体源を含み、例えばエアバッグのような乗り物乗員拘束システムの膨張可能な要素を膨張させるために、膨張流体を解放可能に貯蔵し、生成し、または他の方法で提供する。図1および2の中で示される実施態様では、第1の膨張流体源は、フィルター58(以下に詳細に説明する)と端閉塞部30によって画定されたコンバスションチャンバー24内に配置したガス生成組成物22を含む。
【0013】
ガス生成物質22は、エアバッグ用途において有用である任意の既知の、無煙のガス生成組成物をはじめとするガス生成組成物であることができ、米国特許番号5,035,757、5,872,329、6,074,502、6,287,400、6,306,232、6,475,312に記載される組成物およびプロセスが例示されるが、これらに制限されるものではない。これらの特許は参照され、本明細書の一部として組み込まれる。他の適当な組成物は、参照され本明細書の一部として組み込まれる、米国特許出願番号10/407,300および60/369,775に開示される。本明細書において用語「無煙」は、生成物質の合計に基づいて少なくとも約90%のガス状生成物を燃焼生成物として与えることのできるプロペラントを意味するものと一般に了解されるべきである;また、推論として、固形生成物は生成物質の合計に基づいて約10%以下である。開示された燃焼特性を有する組成物の使用により、他のガス生成システム設計において使用されるようなフィルターを一般的に省くことができることが見出された。
【0014】
イグナイタ26はガス生成システム10にしっかりと取り付けられ、衝突の発生に際してガス生成物質へ点火するために、ガス生成物質22と流体連絡を可能にする。図1および2の中で示される実施態様では、イグナイタ26は、公知の方法を使用して、ハウジング蓋30の環状のボア内に配置され、しっかりと取り付けられる。異なる実施態様(図示されない)では、穿孔されたイグナイタ支持チューブは、イグナイタ26を支持するためにハウジング12内に溶接または他の方法で固定することができる。穿孔された支持チューブは、イグナイタ26によって生成されたフレームフロントがガス生成物質22まで通過することを可能にし、それによりガス生成物質に点火し、膨張ガスを生成する。当該技術分野において公知のようにして、イグナイタ26を形成することができる。1つの例示的なイグナイタ構造は参照され本明細書の一部として組み込まれる、米国特許第6,009,809に記載される。
【0015】
図1および2を再び参照する。所定量の公知のブースタープロペラント28がハウジング12内に配置され、ガス生成システムの起動に際してブースタープロペラントおよびガス生成組成物22の間の流体連絡を可能にすることができる。イグナイタ26を囲み、かつブースタープロペラント28を収容するために、カップ25をガス生成システムハウジング内に配置することができる。カップ25は、スタンプ、押出または他の方法で、金属成形することができ、炭素鋼、ステンレス鋼または他の熱伝導性の金属または、合金から作られることができる。イグナイタ26の起動はブースタープロペラントの燃焼を引き起こし、それにより、当該技術分野において公知の方法でガス生成組成物22を点火する。さらに、キャビティーが、所定量の熱活性化される自己点火化合物29を収容するためにブースターカップの端表面中に形成されることができる。
【0016】
自己点火化合物29をガス生成システム内に配置することができ、ガス生成物質22と自己点火化合物の間の流体連絡を可能にし、および/または、さらにブースタープロペラント28と自己点火化合物の間の流体連絡を可能にすることができる。当該技術分野において公知の方法で、ガス生成物質22の点火は、自己点火化合物29の燃焼に起因する、ブースタープロペラント28の燃焼によって起こされる。あるいは、ガス生成物質22の点火は直接自己点火化合物29の燃焼により起こされることができる。自己点火物質29は、高温(例えば乗り物火災によって引き起こされる)へのガス生成システムハウジングの外側の暴露に反応して、ガス生成物質22の点火温度より低い温度への暴露によって点火される火工品物質である。点火された時、自己点火物質29は熱いガス/微粒子流出物を生産する。適当な自己点火物質は当業者に公知である。適当な自己点火物質の例はニトロセルロースに基づいた組成物および黒色火薬である。ガス生成物質22の燃焼も、自己点火物質を使用しないでブースタープロペラント28の燃焼によって始められることができる。
【0017】
図1および2を再び参照する。本発明のガス生成システムは一般に58で示されるフィルターを使用し、コンバスションチャンバー24と外側壁18の間を膨張流体を通し、通る膨張ガスを冷却する。フィルター58は、ガス生成組成物22とハウジング壁18の間に作用可能に配置される。つまりフィルター58は、ガス生成物質22の燃焼により生成された膨張流体が、ハウジング壁18に達するためにフィルターを通るように構成される。
【0018】
一般に、フィルター58は、第1のベース部分を有するシート物質の第1の層、および第1のベース部分から延びる複数の第1の突起部分を有し、該突起部分は対応する、第1の層を通る複数の第1の開口部を画定する。シート物質の第2の層は第2のベース部分および、第2のベース部分から延びる複数の第2の突起部分を有し、該突起部分は対応する、シート物質を通る複数の第2の開口部を画定する。シート物質の第2の層はシート物質の第1の層に隣接して配置されしっかりと取り付けられ、第1のベース部分から伸びる第1の突起部分が第2の層の方向に伸び、第2のベース部分から伸びる第2の突起部分が第1の層の方向に伸びるようにされる。
【0019】
図1および2の中で示される実施態様では、フィルター58は、エンボスを有するシート物質の2つの円筒状の層200、201から形成される。シート物質は、エンボス加工又は類似のプロセスにより所望の特徴を有する形状に成形することが可能な、アルミニウム、鋼または任意の適当な金属であることができる。成形はたとえば、ローラーによる加圧、相補的な型、パンチまたは他の方法によることができる。シートに使用される物質はさらにより効率的に、生成されたガスから熱を吸収し、かつ熱を移動させることを可能とするために、比較的高い熱伝導率を有することができる。特定の実施態様では、シート200および201は実質的に共軸である。
【0020】
図1−2の中で示される実施態様の中で、エンボスパターンはシート200および201の構造中に形成される。層200および201は対応するベース部分200a、201aを含み、また間隔をおいて配置されたエンボスの第1および第2の突起部分200bおよび201bの部分を含む。突起部分200b、201bはそれぞれのシートの対応するベース部分200a、201aから伸び、それぞれの層を通って伸びる開口200c、201cを画定する。これらの開口は、矢BおよびCによって示された方向である、シート物質のベース部分に実質的に垂直な方向にガスフローを導く。
【0021】
図1−2で見られるように、シート200および201は互いに隣接して配置され、第1の層200上の第1の突起部分200bは、第2の層201のベース部分201aに相対し、間隔をおいて配置され、第1の突起部分200bと第2の層のベース部分201aとの間にクリアランス202aを形成する。これらのクリアランスは、第1の突起部分200bと第2のベース部分201aの間に、対応する複数の流体の流れ経路を提供する。同様に、第2の層201上の第2の突起部分201bは、第1の層200のベース部分200aに相対し、間隔をおいて配置され、第2の突起部分201bと第1の層のベース部分200aとの間にクリアランス202bを形成する。これらのクリアランスは、第2の突起部分201bと第1のベース部分200aの間に、対応する複数の流体の流れ経路を提供する。
【0022】
ここに示された実施態様では、1つの層の上の突起部分は他の層のベース部分に相対する。これは別の層の突起部分の間に1つの層の突起部分が入れ子になることにより、他の層の突起部分の間に空間を作るためである。
【0023】
図2に示されるように、これらの入れ子にされたエンボスのパターンはシート物質のベース部分200a、201aとともに作用し、フィルターの厚さ方向を通る複数の曲がりくねったガスフローを画定する。フィルターを通る生成されたガスの代表的な経路は、図2の中の矢BおよびCによって示される。
【0024】
クリアランス202a、202bを提供するのに必要な層200と201の間の間隔は、多くの方法のうちの任意の方法を使用して形成することができる。例えば、図2に示されるように、1つ以上のスペーサー部分211が1つ又は両方のシートのベース部分に形成されることができ、シートが互いに隣接して配置される場合に、他のシートのベース部分に接することができる。あるいは、様々な他の方法(例えば個別のスタンドアロンのスペーサー)のうちの任意のものを使用して、クリアランス202を提供するためにシート200および201の相対的な配置を達成することができる。
【0025】
フィルターの別の実施態様158(図3の中で示される)では、フィルターまたは他の物質の多孔層210が、突起部分200b、201bおよび開口200c、201cの形成に先立ち、1つまたは両方のシート200、201の内側表面に適用される。図3では、フィルター物質210は層201にのみ適用されている。シートの製造中での突起部分201bの形成は、フィルター物質210を通る対応する開口を切断または他の方法で開け、一方ベース部分201aに適用されるフィルター物質の残りの部分は完全にしておかれている。図3で見られるように、シート200および201が互いに隣接して配置される場合、フィルター物質210の完全な部分は突起部分200bの端に接し、それにより対応する複数の流体の流れ通路をフィルター物質の層内に提供する。したがって、層200および201を通るガスは、さらに多孔質材料の補足層210を通り抜け、ガスの追加のろ過を提供する。
【0026】
特定の実施態様では、フィルター物質210の厚みは、クリアランス202aおよび202bを形成するために必要とされる層200と201の間の間隔を提供する。
【0027】
図4Aおよび4Bは、別の実施態様のフィルター258をさらに示す。この実施態様においては、エンボスの突起部分300b、301bは、対応する層300および301を通る開口を画定する。これは矢「E」によって示された方向である、シート物質のそれぞれのベース部分300a、301aに実質的に平行な方向にガスフローを導く。この実施態様では、突起部分300b、301bが、それぞれのベース部分301aおよび301bの上に延びる距離dは実質的に等しい。また、第1の層300のベース部分300aと第2の層301のベース部分301aの間の間隔は、距離dによって決定される。図4Aおよび4Bにおける突起部分300b、301bは各々、それを通るガスの流れのために単一の開口310を提供する。図4Bは、図4Aの中の矢Fの方向から見た図4Aに示されるフィルターの部分的な断面図である。図4Bは、ガスは層300の突起部分300b中に形成された開口310を通って出て、層301の突起部分301b中に形成された開口に入いることを示す。特定の実施態様(図示されない)では、突起部分は複数の開口をその内部に含み、突起部分を通る複数のガスフロー経路を提供する。例えば、開口はそれぞれの突起部分の相対する側に沿って提供されることができ、ガスが突起部分から出て(入って)、反対側の突起部分に入る(出る)ことを可能にする。
【0028】
突起部分の開口のサイズ、および/または、1つ層から延びる突起部分と別の層のベース部分の間の間隔のような特性を制御することにより、ガス流れ速度、フィルターを通るガスの経路の長さ、ガスからの熱伝導および他のパラメーターのような特性パラメーターに影響を与えることができる。
【0029】
シート物質の2枚のシートまたは層が本発明の上記実施態様の中で示されるが、任意の所望の数のエンボスシートを所望の性能特性、たとえばフィルター内のガスの滞留時間、フィルターを通る平均ガスフロー経路の長さおよびガスからの熱伝導のような特性を最適化するために使用することができる。さらに、上記実施態様は環状のシートを使用するが、一連の実質的に平坦なシート、折られたシート、または他の所望の構造に作られたシートを、具体的なガス生成システム設計の要件に応じて使用することができる。
【0030】
所望であれば、エンボスが形成されたフィルター成分と共に、公知の圧縮し結合されたワイヤー、エキスパンドメタル、他のタイプのフィルターエレメントまたは物質が、追加のろ過能力、または付加的な気体冷却能力のための追加のヒートマスを提供するために使用されてもよい。そのようなフィルタエレメントは、例えば、ガス生成物質コンバスションチャンバーとフィルターの間、フィルターを含むシート物質の層の間、および/またはフィルターの外側に沿って配置した1枚以上のフィルター物質であることができる。
【0031】
ガス生成システムの操作が、図1および2を参照して議論される。
図1では、第1の層200を通る開口の少なくとも一部分は、ガス生成システムのコンバスションチャンバー24と流体連絡にある。衝突に際して、クラッシュセンサー(図示されない)からの信号はイグナイタ26に伝えられ、それにより、ブースタープロペラント28を作動する。ブースタープロペラント28の燃焼からの熱は、ガス生成物質22の点火を引き起こす。矢BおよびC(図2)によって示されるように、ガス生成物質22の燃焼によって生成されたガスは、シート物質の連続する層200および201中に形成されたエンボスパターンを通る。前述のように、追加の冷却性能を提供することが必要ならば、追加のエンボスシートまたは公知のワイヤーメッシュまたは、エキスパンドメタルフィルタエレメントも、コンバスションチャンバーとガス生成システムハウジング中に形成されたガス出口開口部との間に配置することができる。しかしながら、エンボス加工されたフィルター成分の使用は、必要な冷却機能を行なうために、比較的より重い公知のフィルタエレメントを使用する必要を一般的に回避する。したがって、ガス生成システムの全重量は実質的に減じられる。
【0032】
図1−2に示される実施態様では、ガス生成物質22の燃焼によって生成される膨張ガスは、フィルター58を通って半径方向に外側に進み、フィルター58とハウジング12の壁の間に形成されたプラナム64内へ入り、矢BおよびCにより示された方向にフィルター58を通って流れる。その後、膨張ガスは開口20を通ってハウジングから流れ出て、組み合わされるエアバッグ(図示されない)内へ流れる。エンボスのパターンとシート物質の連続した層の中に形成されたスリットによって確立された曲がりくねった流体の流れのパターンは、膨張流体の所定の程度の冷却を提供すると信じられている。エンボスパターンのジオメトリーおよびスリットの数および位置のような要因の適切な改良によって、流体の冷却の程度は具体的な用途での冷却要件を満たすために対応して調節することができる。
【0033】
図5は、上に記載された実施態様のガス生成システム構造の具体的な用途を示す。図5を参照する。前記のフィルターを含むガス生成システムは、乗り物のステアリングカラム中にマウントされた、ドライバーサイドエアーバッグモジュール100に組み入れられる。エアバッグモジュール100または本明細書に記載された任意のガス生成システムの実施態様は、安全ベルトアセンブリー150のような追加の要素を含む、より広範な、より包括的な乗り物乗員拘束システム180に組み入れられることができる。図5は、そのような拘束システムの1つの例示的な実施態様の概略図を示す。エアバッグモジュール100はエアバッグ202、および衝突センサー210を含むか、またはこれと接続される。衝突センサー210は衝突の場合に例えばイグナイター26(図1)の活性化によってエアバッグモジュール100の起動の信号を発生する既知のクラッシュセンサーアルゴリズムと接続される。
【0034】
安全ベルトアセンブリー150は、安全ベルトハウジング152および、ハウジング152から伸びる本発明の安全ベルト225を含む。安全ベルトリトラクタメカニズム154(例えば、ばね式のメカニズム)は、ベルトの端部分153に連結されることができる。さらに、衝突の際にリトラクタメカニズムを始動させるために、安全ベルトプリテンショナー156がベルトリトラクターメカニズム154に連結されることができる。本発明の安全ベルト実施態様と共に使用されることができる典型的なシートベルトリトラクタメカニズムは、米国特許番号5,743,480、5,553,803、5,667,161、5,451,008、4,558,832および4,597,546に開示されている。これらの特許は参照され、本明細書の一部として組み込まれる。本発明の安全ベルトの実施態様が組み合わされることができる典型的なプリテンショナーの例は、米国特許番号6,505,790および6,419,177に開示されている。これらの特許は参照され、本明細書の一部として組み込まれる。
【0035】
安全ベルトシステム150は、例えばプリテンショナーに組み入れられた火工品イグナイタ(図示せず)の起動によって、ベルトプリテンショナー156の起動の信号を発生する既知のクラッシュセンサーアルゴリズムを含む、衝突センサ158(例えば慣性センサあるいは加速度計)を含むか、またはこれと接続されることができる。先に参照され、本明細書の一部として組み込まれた米国特許番号6,505,790および6,419,177は、そのような方法で始動するプリテンショナーの例を提供する。
【0036】
本明細書に記載されたエンボス加工されたシートフィルタ設計は、公知のフィルタ設計に対するいくつかの利点を備える。フィルターのすべてまたは少なくとも一部分が、比較的軽いシート物質の連続する層から形成されるので、フィルターとガス生成システムの重量が低減される。エンボスシート物質は公知のフィルター物質より製造が比較的より簡単でより安価である。フィルターのシート物質に形成されるエンボスのパターンは、さらにフィルター形状に対するより大きな制御を可能にする。したがって、ガスフロー経路の形状および長さはより高い精度で画定することができ、フィルターを通るより均一なガスフロー、フィルター内のガスのより大きな滞留時間、ガス同士の接触、およびフィルターの与えられた全体の厚さについてのフィルター物質のより大きな面積を可能にして、システムパフォーマンスを高めて、バラスティック特性の変化を低減した。
【0037】
さらに、本発明により形成されたフィルターにおける利点は、エアバッグモジュール、および一般に乗り物乗員拘束システムに関して同様の利点を与えるだろうと信じられている。これらの利点としては、たとえば、低いガス出口温度、製造の簡単さ、減じられた製造原価、単純化されたアセンブリー、および組み合わせるエアバッグの膨張プロフィルのあつらえ適合性があげられる。
【0038】
本発明の実施態様の先の記述が例示の目的だけのためにあり、本発明の範囲を何ら制限しないことはさらに理解されるだろう。そのため、ここに示された様々な構造操作上の特徴は、当該技術分野における当業者により、特許請求の範囲により規定される本発明の技術範囲を逸脱することなく多くの改良を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明のフィルターの第1の実施態様を組込むガス生成システムの横断面図である。
【図2】図2は、図1のフィルター部分の拡大された部分的な横断面図である。
【図3】図3は、本発明の別の実施態様のフィルターの部分的な横断面図である。
【図4−A】図4−Aは、本発明の別の実施態様のフィルターの部分的な横断面の側面図である。
【図4−B】図4−Bは、図4−Aに示されるフィルター実施態様の部分的な断面図である。
【図5】図5は、本発明のフィルターを含むガス生成システムを組込む例示的な乗り物乗員拘束システムの概要図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のベース部分、および第1のベース部分から延びる複数の第1の突起部分であって、対応する第1の層を通る複数の第1の開口部を画定する突起部分を有するシート物質の第1の層;
第2のベース部分、および第2のベース部分から延びる複数の第2の突起部分であって、対応するシート物質を通る複数の第2の開口部を画定する突起部分を有するシート物質の第2の層;を含むフィルターであって、
該シート物質の第2の層が、シート物質の第1の層と隣接して配置され、第1のベース部分から伸びる第1の突起部分が第2の層に向かって伸び、第2のベース部分から伸びる第2の突起部分が第1の層に向かって伸びる、フィルター。
【請求項2】
第1の層のベース部分と第2の層のベース部分との間の間隔が、第1の層と第2の層の1つから伸びる第1の層と第2の層の突起部分の距離により決定される、請求項1記載のフィルター。
【請求項3】
シート物質の第1の層と第2層の間に置かれたフィルター物質の層をさらに含む、請求項1記載のフィルター。
【請求項4】
第1の突起部分が第2のベース部分と相対して、間隔をおいて配置され、第1の突起部分と第2のベース部分の間に対応する複数の流体の流れ通路を提供し、第2の突起部分が第1のベース部分と相対して、間隔をおいて配置され、第2の突起部分と第1のベース部分の間に対応する複数の流体の流れ通路を提供する、請求項1記載のフィルター。
【請求項5】
少なくとも1つのスペーサー部分がシート物質の第1の層とシート物質の第2の層の間に、第1の層と第2層の間の距離を制御するために提供される、請求項1記載のフィルター。
【請求項6】
シート物質の第1の層とシート物質の第2の層の間に複数のスペーサー部分が、第1の層と第2層の間の距離を制御するために提供される、請求項5記載のフィルター。
【請求項7】
少なくとも1つのスペーサー部分が、第1の層および第2の層のうちの1つに作られる、請求項5記載のフィルター。
【請求項8】
第1の層および第2の層の少なくとも1つのベース部分に適用されたフィルター物質の層をさらに含み、第1の層と第2の層の他の1つから延びる複数の突起部分の少なくとも一部分が、該フィルター物質の層と接し、対応する複数の流体の流れ通路をフィルター物質の内部に提供する、請求項4記載のフィルター。
【請求項9】
請求項1記載のフィルターを含むガス生成システム。
【請求項10】
第1の層を通る複数の第1の開口の少なくとも一部分が、ガス生成システムのコンバスションチャンバーと流体連絡にある、請求項9記載のガス生成システム。
【請求項11】
請求項1記載のフィルターを含むガス生成システムを含む乗り物乗員保護システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−A】
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【図4−B】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−201404(P2008−201404A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−328151(P2007−328151)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(507000143)ティー ケー ホールディングス インク (18)
【Fターム(参考)】