説明

ガス生成方法及びガス生成装置

【課題】簡易な構成で安全にしかも自動的にガスを生成することが可能なガス生成方法及びガス生成装置を提供する。
【解決手段】反応槽10には、ガス貯蔵槽30内のガス圧と水貯蔵槽20からの液体供給圧が互いに作用する構成とし、ガス貯蔵槽30のガス圧が液体供給圧より相対的に大きくなると反応槽10内の水が自動的に水貯蔵槽20側に戻り固体原料2と非接触となって反応が停止し、ガス貯蔵槽30のガス圧が液体供給圧より相対的に小さくなると、反応槽10内に水が供給されて固体原料2と接触しガスを生成し、反応槽10内の圧力バランスによってガス貯蔵槽30に所定圧のガスを貯蔵する構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば水素等の各種ガスを生成可能なガス生成方法及びガス生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のガス生成装置としては、たとえば、特許文献1に記載のような水素供給装置が知られている。
この特許文献1に記載のものは、一定量の水が収納される反応室と、反応室に水と反応して水素を発生する水素発生材料を収納する収納室と、発生した水素を燃料電池に供給する供給部とを備えており、水素発生材料を粉体状又は粒状に形成すると共に、収納室と反応室の間に水素発生材料を所定の割合で供給する水素発生量調整機構を設けた構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−189490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記した従来技術の場合には、水素発生量調整機構は、圧力センサによって水素圧力を検出し、必要な量の水素発生材料が反応室に供給する構成で、センサや、供給量を演算処理するコントロールユニットによる制御系が必要となるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、簡易な構成で、安全にしかも自動的に所定圧のガスを生成することが可能なガス生成方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のガス生成方法は、固体原料と反応液体を反応させてガスを生成した後に分離貯蔵し、反応液体の供給圧と分離貯蔵したガスのガス圧との釣り合いによって、固体原料に供給される反応液体の液面を変化させ、ガスの生成を自動的に制御することを特徴とする。
固体原料が、反応液体と反応して水素を生成する水素生成材料であり、反応液体が水であることすることができる。
前記反応液体の供給圧が水頭圧であることが好適である。
【0007】
また、本発明のガス生成装置は、固体原料を収納する反応槽、反応液体を貯蔵する液体貯蔵槽、及び反応槽で生成されたガスを貯蔵するガス貯蔵槽を備え、液体貯蔵槽と反応槽間に前記反応液体の移動を自在とする供給路を設け、反応槽とガス貯蔵槽をガスの流通は許容し反応液体の流通を阻止する分離部材によって分離する構成としたことを特徴する。
前記反応槽への反応液体の供給圧は、液体貯留槽内の水頭圧であることが好適である。
前記液体貯蔵槽、前記ガス貯蔵槽及び反応槽が、上下方向に3槽直列に配置されていることが好ましい。その場合、液体貯蔵槽を上段に、前記ガス貯蔵槽を中段に、さらに反応槽を下段に配置した3槽直列構成とすることが好適である。
反応液体は水、固体原料は水と反応して水素を生成する水素生成材料とすれば、たとえば燃料電池に好適な水素を発生させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、反応液体の供給圧と生成されたガス圧とのバランスにより、ガスの生成が自動的に調整されるので、従来のように複雑な制御をすることなく、供給圧に見合った圧力のガス自動的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明の実施例に係るガス生成装置を示すもので、同図(A)は概略構成図、同図(B)はより具体的に記載した概略構成図、同図(C)は図(B)における分離プレートの部分拡大断面図である。
【図2】図2は図1のガス生成装置の動作状態を示すもので、同図(A)はバルブ閉状態を示す図、同図(B)はバルブが開いて水が落下を開始した状態を示す図、同図(C)は水が落下してガスが発生している状態を示す図、同図(D)はガス貯蔵室内の圧力上昇に伴い水が上昇しガス発生が停止した状態を示す図、同図(E)はガス貯蔵室内の圧力低下に伴い水が落下しガスが発生している状態を示す図である。
【図3】図3(A)乃至(D)は本発明のガス生成装置の各種変形例を示す概略図である。
【図4】図4(A)及び(B)は固体原料を保持した原料カートリッジの第1の構成例を示すもので、同図(A)は断面図、同図(B)は側面図、同図(C)乃至(E)は原料カートリッジの第2の構成例を示すもので、同図(C)は断面図、同図(D)は上面図、同図(E)は一つの筒状体の側面図、同図(F)は図1(A)のガス生成装置の反応槽に原料カートリッジを載置する置き台を配置した構成例を示す概略構成図である。
【図5】図5(A)、(B)は本発明のガス生成方法を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態を、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図5に示すように、固体原料2と反応液体3を反応させてガスGを生成した後に分離貯蔵し、反応液体3の供給圧と分離貯蔵したガスGのガス圧との釣り合いによって、固体原料2に供給される反応液体3の液面Sを変化させ、ガスGの生成を自動的に制御するものである。
【0011】
反応液体3の供給圧PLは、ポンプ等からの制御圧としてもよいが、反応液体3の位置エネルギを利用した水頭圧とすれば、動力が全く不要の装置構成とすることができる。また、反応液体とガスを確実に分離貯蔵するために、ガスの流通を許容し液体の流通を阻止する分離部材等を設けてもよい。
【0012】
図1には、上記ガス生成方法が適用された本発明の実施例に係るガス生成装置が示され
ている。 この実施例では、反応液体として水を用いる場合を例にとり、水の符号を上記した反応液体と同じ符号3を用いて説明するものとする。
図において、ガス生成装置1は、固体原料2が収納される反応槽10と、固体原料2と反応してガスを生成させる反応液体としての水3を貯蔵する水貯蔵槽20と、反応槽10で生成されたガスを貯蔵するガス貯蔵槽30と、を備えた構成となっている。
【0013】
この実施例では、固体原料2は水と反応して水素を生成する水素発生材料であり、たとえば、水素化マグネシウム(MgH)、マグネシウム(Mg)、水素化アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等を用いることができ、形態としては、粉体あるいは粒状物、あるいは多孔質物質などの水との接触面積が大きくなるような形態が好ましい。
【0014】
これらの反応式は、次の通りである。
MgH+2HO → Mg(OH)+2H
Mg+2HO → Mg(OH)+H
2Al+6HO →2Al(OH)+3H
Fe+2HO → Fe(OH)
ここに挙げた水素発生材料は一例であり、本発明がこれらの材料に限定されるものではない。
【0015】
各槽の配置は、水貯蔵槽20を上段に、ガス貯蔵槽30を中段に、さらに反応槽10を下段に配置した3槽直列構成となっており、一体的に構成されてコンパクトになっている。水貯槽槽20と反応槽10は、ガス貯蔵槽30を迂回し上下方向に延びる供給路40を通じて連通され、供給路40には、供給路40を開閉するバルブ50が設けられている。供給路40の上端は水貯蔵槽20の底部に設けられた出口ポート20aに接続され、下端が反応層10の入口ポート10aに接続されている。
【0016】
水貯蔵槽20とガス貯蔵槽30は隔壁21によって離隔されており、反応槽10とガス貯蔵槽30間は、ガスの流通は許容し水の流通は阻止する分離部材である疎水性の分離膜70によって分離される構成となっている。
【0017】
反応槽10には、水貯蔵槽20から供給路40を通じて所定の供給圧でもって水が供給されると共に、反応槽10で生成されたガスが、分離膜70を通してガス貯蔵槽30に貯蔵される構成としている。
このようにすることで、水3のガス供給ポート60への浸入を確実に防ぐことができる。また、固体原料2に接触したことで反応液体(水3)が濁って汚れる場合、その汚れがガス供給ポート60側に伝搬するおそれがない。
【0018】
水貯蔵槽20には水の補給ポート22が設けられ、補給ポート22から水が補給される。水貯蔵槽20には、不図示のフロート弁等を設け、水位を一定に保つようにしてもよい。また、水貯蔵槽20には、適宜、空気置換ポートが設けられる。
ガス貯蔵槽30には、ガス供給ポート60が設けられ、たとえば燃料電池等の供給先に供給される。また、特に図示しないが、反応槽10からガスが水貯蔵槽に逆流しないように、過大なガス圧を逃がすチェック弁等が適宜設けられる。
【0019】
反応液体は、バルブ50が開放中は水貯蔵槽20から反応槽10側に流入する方向及び反応槽10から液体貯蔵槽20側に戻る方向の両方向に移動自在となっており、水貯蔵槽20から反応槽10に所定の供給圧でもって水を供給すると共に、ガス貯蔵槽30と反応槽10を連通し、水の供給圧とガス圧の釣り合いによって反応槽10内における水面が自動的に変化する構成となっている。
【0020】
すなわち、ガス貯蔵槽30のガス圧が水3の供給圧より相対的に大きくなると反応槽10内の水3が自動的に水貯蔵槽20側に戻り固体原料2と非接触となって反応が停止し、ガス貯蔵槽30のガス圧が水供給圧より相対的に小さくなると、反応槽10内に水3が供給されて固体原料2と接触しガスを生成する構成となっている。この例では、水の供給圧は水貯蔵槽20に貯蔵されている水の水頭圧である。
【0021】
また、図1に示すように、分離膜70の配置により、反応槽10が狭く、ガス貯蔵槽30を広くすれば、水3を固体原料2から素早く退け、非接触状態とすることが可能になり、また、水素ガスGを広いガス貯蔵槽30内に蓄えることが出来るので、水素ガスGの生成のON/OFFコントロールや、水素ガスGのガス供給ポート60への供給を安定できる点で好ましくなる。
【0022】
ここで、図1(B)を参照して、各槽のより具体的な構成例について説明する。
すなわち、ガス生成装置は、2段に直列に積み上げられた筒状の第1タンク本体111と、第2タンク本体112とを有し、第1タンク本体111と第2タンク本体112間が隔壁21を構成する中間プレート113を介して連結されている。第1タンク111が下方に位置し、その下端が底プレート114で密閉され、第2タンク112の上端が蓋プレート115で密閉されている。第2タンク112内が水貯蔵槽20を構成し、第1タンク111内が基本的にガス貯蔵槽30を構成している。
【0023】
この第1タンク111内においては、底プレート114には、反応槽10を画成する筒状壁117が固定され、筒状壁117の上端が分離膜を備えた分離プレート70Aによって封止されている。
分離プレート70Aは、一対の支持プレート71,71によって分離膜70を挟んだサンドイッチ構造で、各支持プレート71,71には多数の穴71aがもうけられ、穴71aが開いた部分からガスが流通するようになっている。
【0024】
この構成では、水貯蔵槽20の出口ポート20aは、中間プレート113に設けられ、反応槽10への入口ポート10aは底部プレート114に設けられている。
水貯蔵槽20の出口ポート20aの水貯蔵槽側の開口は水貯蔵槽20の底面に開口し、供給路40に接続される側の開口は中間プレート113の側面に開口している。また、中間プレート113には、ガス貯蔵槽30のガスを送り出すガス供給ポート60が設けられている。ガス供給ポート60のガス貯蔵室側30の開口部はガス貯蔵室30の天面に開口し、ガス送出管61が接続される接続口が中間プレート113の側面に設けられている。
【0025】
底部プレート114の入口ポート10aの反応槽10側の開口部は、反応槽10の底面に開口し、供給通路40に接続される接続口は底部プレート114の側面に設けられている。入口ポート10aの反応槽側の開口部が形成される反応槽10の底面には、筒壁部117の固定面より一段深い凹部10bとなっている。
そして、反応槽10内には、固体原料2が保持された原料カートリッジ200が配置される。この例では、原料カートリッジ200の固体原料2は粉末や粒状ではなく固形化した大型の構造で、図4(A)に示すように、固体原料2を保持筒201に単に嵌めている状態で保持され、反応槽10内の底面に載置される。水は反応槽10の底面の入口ポート10aから供給され、水面の上昇によっての固体原料2と接触して反応する。
【0026】
その際に、保持筒201の側面に、図4(B)に示すような開口部としての縦長の鉛直方向のスリット202を複数設けておいてもよい。このようにすれば、水及び発生するガスの通りがよくなって、反応が効率的に進行する。図示例では、スリット202を周方向に等配するような構成としているが、開口部の形状としては円形等の小穴を多数ランダムに配置してもよいし、また、スリットを斜めに設けてもよい。
【0027】
また、固体原料2として粉末や粒形状の場合には、水(好ましくはさらにガス)を通すが固体原料の粒や粉末を通さない目の細かさの、または材質の膜、または目の細かさを備えた網あるいは穴の開いた部材、多孔質体等を用いて筒状部の底部を覆ってもよいし、水とガスを通す膜,部材で固体原料2を覆うか、筒状部ごと覆っておくとよい。また、粉末あるいは粒状の固体原料が溢れこぼれないように保持筒上端に栓をしてもよい。
【0028】
図4(C)乃至(E)には、原料カートリッジの他の構成例を示している。
この原料カートリッジ210では、保持プレート211上に、小径の筒状体212を複数立設させた構成例で、固体原料2を小分けしたものである。この例では、円形の保持プレート211上に筒状体212を円周方向に沿って複数配置し、中央のスペースにも一つ配置した構成となっている。保持プレート211には、各筒状体212に対応して開口部216が設けられ、この開口部213を通じて各筒状体212に水が進入する。筒状体2
12の側面には、縦長のスリット213が周方向に複数設けられている。もちろん、スリットではなく、小穴を多数設けてもよいし、スリットを斜めにしてもよいし、他の開口形状としてもよい。
【0029】
各筒状体212内に固体原料2が収納される。固体原料2は固形化されていてもよいし、粉体や粒状体でもよい。粉体や粒状体の場合には、前記した通り、保持プレート211の開口部216(底側の穴)を、水(好ましくはさらにガス)を通すが粉や粒状物を通さない目の細かさの、または材質の膜、または目の細かさを備えた網、穴の開いた部材、多孔質体などの分離部材214によって覆ってもよいし、水とガスを通す膜,部材で固体原料2を覆うか、筒状体212ごと覆っておくとよい。また、各筒状体には側面にスリット213が開いているので、上端開口部を栓体215によって封止してもよい。
【0030】
図4(F)には、原料カートリッジを置き台上に配置した例を示している。
原料カートリッジとしては、図4(D)乃至(E)に示したカートリッジを例示しているが、このようなカートリッジ構造に限定するものはなく、図4(A)に示すカートリッジ構成でもよいし、他の構成としてもよいし、固形の固体原料をそのまま載置してもよい。
【0031】
置き台220は、反応槽10の底面に載置される脚部221と、脚部221を介して底面から所定高さ間隔をあけて保持される台板部222とを有し、台板部222に多数の穴223が設けられている。原料カートリッジ210の場合は、上記穴223は各筒状体の開口部と連通するように設けることはもちろんである。
このように、原料カートリッジ210を底面から離間させておくことにより、水面が低下していく際に速やかに固体原料2から水が引くことになり、あるいは、反応槽10の底面に水が残っていたとしても、底面からに残った水からは離間できるので、水素ガスGの生成のON/OFFのコントロールが一層安定あるいは確実となる。
なお、置き台220のほかに、吊り下げ構成として底面から離間させるようにしてもよい。
【0032】
図2には水素ガスの発生工程を示している。
図2(A)は、水供給路40のバルブ50を閉じた状態を示している。この状態では、反応室10には水3は供給されず、水素ガスは発生していない。
【0033】
図2(B)はバルブ50を開いて水貯蔵槽20から水供給路40を通じて水3が落下を開始した状態を示している。落下した水は、図2(C)に示すように、反応槽10に流入し、固体原料2と接触して水素ガスが発生する。発生した水素ガスは分離膜70を通じて、反応槽10の直上に設けられたガス貯蔵室30に流入して水素ガスが溜まっていく。
【0034】
水素ガスの発生によって中段のガス貯蔵槽30内の圧力が高くなり、圧力上昇に伴って、下部の反応槽10内の水が供給路40を通じて上部に押し上げられ、反応槽10内の水位が下がり、固定原料2が水と非接触となって水素ガスの発生が止まる(図2(D)参照)。
【0035】
中段のガス貯蔵槽30のガスが使用されると、ガス貯蔵槽30の槽内が減圧されて、水供給圧より相対的に小さくなると、図2(E)に示すように、反応槽10内に水が供給されて固体原料2と再び接触し、水素ガスを生成する。
水の供給圧は水貯蔵槽20内の水の水頭圧であり、この水位を一定に保持すれば、供給圧を常に一定圧に保持することができ、ガス貯蔵室30内に貯められるガス圧も一定に保持することができる。
【0036】
このように、本実施例によれば、水の供給をポンプなどの動力を使わずに、水頭圧と発生ガス 圧の調整によってガスの発生量を自動的に調整することができる。
この実施例では、水の供給圧を水頭圧としているが、本発明は水頭圧に限定されるものではなく、ポンプ等によって水圧を得るようなものなど、要するに水の供給圧と発生ガス圧の調整によってガスの発生量を自動的に調整するものが含まれる。
【0037】
なお、上記実施例では、水貯蔵槽20が上段で、ガス貯蔵槽30が中段で、反応槽10が下段に配置されているが、たとえば、図3(A)に示すように、ガス貯蔵槽30が上段で、水貯蔵槽20が中段、反応槽10が下段に配置される構成となっていてもよい。
【0038】
また、上記実施例では、水貯蔵槽20、ガス貯蔵槽30及び反応槽10の3槽が上下に直列に配置された構成としたが、場合によっては、図3(B)に示すように、反応槽10とガス貯蔵槽30の2槽を直列に配置し、水貯蔵槽20を並列に配置してもよいし、図3(C)に示すように、水貯蔵槽20と反応槽10の2槽を直列にし、ガス貯蔵槽30を並列に配置してもよい。また、図3(D)に示すように、3槽並列に構成してもよい。
なお、これら実施例と異なる形態について実施する際も、水頭圧が活用できるように水貯蔵槽20の水面が反応槽10内の固体原料2よりなるべく上方にある方が好ましい。
【0039】
また、上記実施例では、水素ガスを発生させる場合を例にとって説明したが、水素ガスに限るものではなく、各種固体原料と液体媒体を選択することにより、酸素、二酸化炭素等各種ガスの発生装置として利用することができる。
【0040】
これらのガス発生の反応式は、次の通りである。
酸素の場合は、超酸化カリウムと水だけで酸素が発生する。
4KO+2HO → 4KOH+3O
できた水酸化カリウムが、二酸化炭素と反応して炭酸カリウムになる。
2KOH+CO→ KCCO+H
また、炭酸カリウムは水と二酸化炭素で最終的に炭酸水素カリウムになる。
CO+CO+HO → 2KHCO
一連の反応をまとめたものが次式である。
4KO+2HO+4CO →3O+4KHCO
【0041】
二酸化炭素の場合は、炭酸カルシウムと塩酸、あるいは炭酸水素ナトリウムと塩酸から、次のような反応で得られる。
CaCO+2HCl → CaCl+CO+H
NaHCO+HCl → HO+NaCl+CO
もちろん、これらは一例にすぎず、本発明は、各種固体原料と液体媒体を選択することにより、各種ガスを発生させることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ガス生成装置
2 固体原料
3 水(反応液体)
10 反応槽
20 水貯蔵槽
30 ガス貯蔵槽
40 水供給路
50 バルブ
60 ガス供給路
70 分離膜(分離部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体原料と反応液体を反応させてガスを生成した後に分離貯蔵し、反応液体の供給圧と分離貯蔵したガスのガス圧との釣り合いによって、固体原料に供給される反応液体の液面を変化させ、ガスの生成を自動的に制御することを特徴とするガス生成方法。
【請求項2】
固体原料が、反応液体と反応して水素を生成する水素生成材料であり、反応液体が水である請求項1に記載のガス生成方法。
【請求項3】
前記反応液体の供給圧が水頭圧である請求項1又は2に記載のガス生成方法。
【請求項4】
固体原料を収納する反応槽、反応液体を貯蔵する液体貯蔵槽、及び反応槽で生成されたガスを貯蔵するガス貯蔵槽を備え、液体貯蔵槽と反応槽間に前記反応液体の移動を自在とする供給路を設け、反応槽とガス貯蔵槽をガス透過疎水性部材によって分離したことを特徴するガス生成装置。
【請求項5】
前記反応槽への反応液体の供給圧は、液体貯留槽内の水頭圧である請求項4に記載のガス生成装置。
【請求項6】
前記液体貯蔵槽、前記ガス貯蔵槽及び反応槽が、上下方向に3槽直列に配置されている請求項4または5に記載のガス生成装置。
【請求項7】
前記液体貯蔵槽を上段に、前記ガス貯蔵槽を中段に、さらに反応槽を下段に配置した3槽直列構成とした請求項6に記載のガス生成装置。
【請求項8】
反応液体は水、固体原料は水と反応して水素を生成する水素生成材料である請求項4乃至7のいずれかの項に記載のガス生成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−188329(P2010−188329A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38549(P2009−38549)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(506074015)バイオコーク技研株式会社 (23)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】