説明

ガス計測セル及びこれを用いたガス濃度計測装置

【課題】測定誤差を少なくすることができるガス計測セルを提供することにある。
【解決手段】両端が開放され、それぞれ排ガスを流す流路と連結可能な主管と、主管に連結し、主管と連結している側と反対側の端部に光が通過可能な窓部が形成された入射管と、主管に連結し、前記主管と連結している側と反対側の端部に光が通過可能な窓部が形成された出射管と、入射管と連結された第1パージガス供給管と、を有し、入射管は、窓部の端部の開口面積よりも主管と連結している側の端部の開口面積の方を大きくすることで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内を流れるガスに含まれる物質の濃度の計測に用いるガス計測セル及びこれを用いたガス濃度計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管路内を流れるガス(主に排ガス)に含まれる特定物質の濃度計測方法として、管路の所定経路に、レーザ光を通過させ、その入出力から測定対象の特定物質の濃度を計測する方法がある。
【0003】
例えば、本件出願人が出願した特許文献1には、測定対象とされるガス状物質に固有な吸収波長のレーザ光を発振する光源と、この光源から発振されるレーザ光の発振波長を少なくとも2つの異なる周波数で変調する手段と、この変調手段により変調されたレーザ光を前記ガス状物質が存在する測定領域に導く手段と、この測定領域において透過または反射または散乱したレーザ光を受光する受光手段と、この受光手段で受光した信号の中から変調された信号を周波数毎に順次それぞれ復調する複数の位相敏感検波器と、を具備することを特徴とするガス濃度計測装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−74653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、測定対象の物質の固有な吸収波長のレーザ光を透過させ、出力したレーザ光の強度と、通過したレーザ光の強度から測定対象のガスの濃度を検出することができる。また、このような計測は、ガスが流れる配管に計測セルを設け、この計測セルにレーザ光を入出力させることで行われる。ここで、このように、測定対象のガスが流れる経路(配管等)にレーザ光を透過させる測定方式では、測定結果にノイズが発生し、測定誤差が生じることがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、測定誤差を少なくすることができるガス計測セル及びそれを用いたガス濃度計測装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、両端が開放され、それぞれ排ガスを流す流路と連結可能な主管と、前記主管に連結し、前記主管と連結している側と反対側の端部に光が通過可能な窓部が形成された入射管と、前記主管に連結し、前記主管と連結している側と反対側の端部に光が通過可能な窓部が形成された出射管と、前記入射管と連結された第1パージガス供給管と、を有し、前記入射管は、前記窓部の端部の開口面積よりも前記主管と連結している側の端部の開口面積の方が大きいことを特徴とする。
【0008】
これにより、窓部が汚れるのを抑制しつつ、主管と入射管との境界付近で発生する測定光の揺らぎを抑制することができ、ノイズを小さくし、測定誤差を少なくすることができる。
【0009】
ここで、前記入射管は、開口に垂直な方向の断面が直線となる形状であることが好ましい。これにより、入射管が流れる空気に乱れが発生することを抑制することができ、測定誤差を少なくすることができる。
【0010】
また、前記入射管は、開口面積が異なる2つの管状部材を直列で連結させた形状であることも好ましい。この形状としても、測定誤差を少なくすることができる。
【0011】
さらに、前記出射管と連結された第2パージガス供給管を有し、前記出射管は、前記窓部の端部の開口面積よりも前記主管と連結している側の端部の開口面積の方が大きいことが好ましい。これにより、出射管側でも窓部が汚れるのを抑制しつつ、主管と入射管との境界付近で発生する測定光の揺らぎを抑制することができ、測定誤差をより少なくすることができる。
【0012】
また、前記出射管は、前記入射管と同一形状であることが好ましい。同一形状とすることで、測定を安定させることができ、また同じ部材を用いることができるため、作製を簡単にすることができる。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、上記のいずれかに記載のガス計測セルと、前記ガス計測セルのパージガス供給管にパージガスを供給するパージガス供給部と、前記ガス計測セルにレーザ光を入射させる発光部と、前記発光部から入射され、前記ガス計測セルを通過したレーザ光を受光する受光部と、前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記ガス計測セルを流れる排ガスの測定対象の物質の濃度を算出する算出部と、各部の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0014】
これにより、少ない測定誤差で測定対象の物質の濃度を計測することができる。
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、両端が開放され、それぞれ排ガスを流す流路と連結可能な主管、前記主管に連結し、前記主管と連結している側と反対側の端部に光が通過可能な窓部が形成された入射管、前記主管に連結し、前記主管と連結している側と反対側の端部に光が通過可能な窓部が形成された出射管、前記入射管と連結された第1パージガス供給管とで構成されたガス計測セルと、前記ガス計測セルの前記第1パージガス供給管にパージガスを供給するパージガス供給部と、前記ガス計測セルにレーザ光を入射させる発光部と、前記発光部から入射され、前記ガス計測セルを通過したレーザ光を受光する受光部と、前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記ガス計測セルを流れる排ガスの測定対象の物質の濃度を算出する算出部と、各部の動作を制御する制御部と、を有し、前記パージガス供給部は、前記パージガスを加熱する加熱機構を備えることを特徴とする。
【0016】
これにより、第1パージガス供給管を流れるパージガスも加熱することができ、パージガスと主管を流れる排ガスとの温度差を小さくすることができ、ノイズを小さくし、少ない測定誤差で測定対象の物質の濃度を計測することができる。
【0017】
また、前記加熱機構は、前記パージガスが通る配管を加熱するヒータであることが好ましい。ヒータを用いることで、好適にパージガスの温度を調整することができる。
【0018】
また、前記加熱機構は、前記パージガスが通る配管の少なくとも一部が前記主管の内部を通過する構成とすることが好ましい。これにより、主管の内部を流れる排ガスによりパージガスを加熱することができ、排ガスとパージガスとの温度を自動的に近づけることができる。
【0019】
さらに、前記出射管と連結された第2パージガス供給管を有し、前記パージガス供給部は、第2パージガス供給管にもパージガスを供給することが好ましい。これにより、第2パージガス供給管を流れるパージガスも加熱することができ、パージガスと主管を流れる排ガスとの温度差を小さくすることができ、ノイズを小さくし、測定誤差を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかるガス計測セル及びガス濃度計測装置は、測定誤差を少なくすることができ、高い精度で測定対象の物質の濃度を計測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明のガス計測セルを有するガス濃度計測装置の一実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示すガス濃度計測装置のガス計測セルの一部を拡大して示す拡大模式図である。
【図3】図3は、レーザ光の経路を説明するための説明図である。
【図4】図4は、パージ流速とアンモニア濃度の計測結果の変動との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、他の実施形態のガス計測セルの一部を拡大して示す拡大模式図である。
【図6】図6は、ガス濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図7】図7は、図6に示すガス濃度計測装置の一部を拡大した拡大模式図である。
【図8】図8は、ガス濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図9】図9は、ガス濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図10】図10は、ガス濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明にかかるガス計測セルを有するガス濃度計測装置の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、ガス濃度計測装置は、管路を流れる種々のガスについて特定の物質の濃度を計測することができる。例えば、ガス濃度計測装置をディーゼルエンジンに取付、ディーゼルエンジンから排出される排ガスに含まれる物質を計測してもよい。なお、排ガスを排出する機関、つまり測定対象のガスを排出(供給)する装置は、これに限定されず、ガソリンエンジンや、ガスタービン等種々の内燃機関に用いることができる。また、内燃機関を有する装置としては、車両、船舶、発電機等種々の装置が例示される。さらに、ゴミ焼却炉から排出される排ガスに含まれる所定物質の濃度を計測することもできる。また、ガス濃度計測装置は、装置を調整することで、排ガスに含まれる種々の物質の濃度を計測することができる。測定対象としては種々の物質としては、窒素酸化物、硫化酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア等が例示される。
【0023】
図1は、本発明のガス計測セルを有するガス濃度計測装置の一実施形態の概略構成を示す模式図である。図1に示すようにガス濃度計測装置10は、計測セル(ガス計測セル)12と、計測手段14と、パージガス供給手段16とを有する。ここで、ガス濃度計測装置10は、排ガスAが流れる配管6と配管8との間に設けられている。また、排ガスAは、配管6の上流側から供給され、配管6、ガス濃度計測装置10、配管8を通過し、配管8よりも下流に排出される。なお、配管6の上流側には、排ガスの発生装置(供給装置)が配置されている。
【0024】
計測セル12は、基本的に主管20と、入射管22と、出射管24とを有する。また、入射管22には、窓26と、パージガス供給管30とが設けられており、出射管24は、窓28と、パージガス供給管32が設けられている。主管20は、円筒状の管状部材であり、一方の端部が配管6と連結され、他方の端部が配管8と連結されている。つまり、主管20は、排ガスAが流れる流路の一部となる位置に配置されている。これにより、排ガスAは、配管6、主管20、配管8の順に流れる。また、配管6を流れる排ガスAは、基本的に全て主管20を流れる。
【0025】
入射管22は、管状部材であり、一方の端部が主管20に連結されている。また、主管20は、入射管22との連結部が、入射管22の開口(端部の開口)と略同一形状の開口となっている。つまり、入射管22は、主管20と、空気の流通が可能な状態で連結されている。また、入射管22の他方の端部には、窓26が設けられており、窓26により封止されている。なお、窓26は、光を透過する部材、例えば、透明なガラス、樹脂等で構成されている。これにより、入射管22は、窓26が設けられている端部が、空気が流通しない状態で、かつ、光が透過できる状態となる。
【0026】
入射管22は、窓26側の端部から主管20側の端部に向かうに従って開口面積(断面の面積)が大きくなる形状、つまり、中空の円錐の軸方向先端側が切り取られた形状となっている。これにより、窓26側の端部の開口(つまり、窓26により塞がれている開口)の面積よりも、主管20側の端部(つまり、主管20と連結している部分の開口)の面積が大きい形状となっている。
【0027】
また、入射管22には、さらにパージガス供給管30が連結されている。パージガス供給管30は、窓26が封止されている端部と主管20と連結されている端部との間に配置されている。パージガス供給管30は、パージガス供給手段16から供給されたパージガスを入射管22に案内する。
【0028】
出射管24は、入射管22と略同一形状の管状部材であり、一方の端部が主管20に連結され、出射管24の他方の端部には、窓28が設けられている。出射管24も、主管20と空気が流通可能な状態で、窓28が設けられている端部が、空気が流通しない状態で、かつ、光が透過できる状態となる。また、出射管24は、中心軸が入射管22の中心軸と略同一となる位置に配置されている。つまり、入射管22と出射管24とは、主管20の対向する位置に配置されている。
【0029】
また、出射管24も、窓28側の端部から主管20側の端部に向かうに従って開口面積(断面の面積)が大きくなる形状、つまり、中空の円錐の軸方向先端側が切り取られた形状となっている。これにより窓28側の端部の開口(つまり、窓28により塞がれている開口)の面積よりも、主管20側の端部(つまり、主管20と連結している部分の開口)の面積が大きい形状となっている。
【0030】
また、出射管24の、窓28が封止されている端部と主管20と連結されている端部との間には、パージガス供給管32が連結されている。パージガス供給管32は、パージガス供給手段16から供給されたパージガスを出射管24に案内する。
【0031】
次に、計測手段14は、発光部40と、光ファイバ42と、受光部44と、光源ドライバ46と、算出部48と、制御部50とを有する。
【0032】
発光部40は、測定対象の物質が吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光素子である。例えば、計測対象が一酸化窒素の場合、発光部40は、一酸化窒素を吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光素子を有する。また、計測対象が二酸化窒素の場合、発光部40は、二酸化窒素を吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光素子を有する。また、計測対象が亜酸化窒素の場合、発光部40は、亜酸化窒素を吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光素子を有する。なお、測定対象が複数の物質である場合、発光部40は、夫々の物質が吸収する波長域の光を出射する発光素子を複数備えるようにしてもよい。光ファイバ42は、発光部40から出力されたレーザ光を案内し、窓26から計測セル12内に入射させる。
【0033】
受光部44は、計測セル12の主管20の内部を通過し、出射管24の窓28から出力されたレーザ光を受光する受光部である。なお、受光部44は、例えば、フォトダイオード(PD、Photodiode)等の光検出器を備え、光検出器によってレーザ光を受光し、その光の強度を検出する。受光部44は、受光したレーザ光の強度を受光信号として、算出部48に送る。
【0034】
光源ドライバ46は、発光部40の駆動を制御する機能を有し、発光部40に供給する電流、電圧を調整することで、発光部40から出力されるレーザ光の波長、強度を調整する。また、光源ドライバ46は、制御部50により制御される。
【0035】
算出部48は、受光部44で受光したレーザ光の強度の信号と、制御部50により光源ドライバ46を駆動させている条件とに基づいて、計測対象の物質の濃度を算出する。具体的には、算出部48は、制御部50により光源ドライバ46を駆動させている条件に基づいて、発光部40から出力されるレーザ光の強度を算出し、受光部44で受光したレーザ光の強度と比較し、排ガスAに含まれる測定対象の物質の濃度を算出する。
【0036】
制御部50は、各部の動作を制御する制御機能を有し、必要に応じて、各部の動作を制御する。なお、本実施形態では、制御部50を計測手段14の制御部としたが、制御部50をガス濃度計測装置10の全体の動作を制御する制御部としてもよい。
【0037】
計測手段14は、以上のような構成であり、発光部40から出力された近赤外の波長域のレーザ光Lは、光ファイバ42から計測セル12の所定経路、具体的には、窓26、入射管22、主管20、出射管24、窓28を通過した後、受光部44に到達する。このとき、計測セル12内の排ガスA中に測定対象の物質が含まれていると、計測セル12を通過するレーザ光が吸収される。そのため、レーザ光Lは、排ガスA中の測定対象の物質の濃度によって、受光部44に到達するレーザ光の出力が変化する。受光部44は、受光したレーザ光を受光信号に変換し、算出部48に出力する。また、制御部50及び光源ドライバ46は、発光部40から出力したレーザ光Lの強度を算出部48に出力する。算出部48は、発光部40から出力した光の強度と、受光信号から算出される強度とを比較し、その減少割合から計測セル12内を流れる排ガスAの測定対象物の濃度を算出する。このように計測手段14は、いわゆるTDLAS方式(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy:可変波長ダイオードレーザー分光法)を用い、出力したレーザ光の強度と、受光部44で検出した受光信号とに基づいて主管20内の所定位置、つまり、測定位置を通過する排ガスA中の測定対象物質の濃度を、算出及び/または計測する。また、計測手段14は、連続的に測定対象物質の濃度を、算出及び/または計測することができる。
【0038】
パージガス供給手段16は、配管51と、ポンプ52と、ドライヤ54と、流量計56と、を有し、計測セル12のパージガス供給管30、32に所定流量の空気を供給する。なお、本実施形態では、空気を供給しているが、ボンベ等を用いて窒素などを供給するようにしてもよい。
【0039】
配管51は、パージガス供給管30、32と連結している。また、配管51には、パージガス供給管30、32から最も遠い側(空気の流れの上流)から順に、ポンプ52、ドライヤ54、流量計56が配置されている。ポンプ52は、配管51に空気を供給することで、パージガス供給管30、32に空気を供給する。
【0040】
ドライヤ54は、配管51を流れる空気を乾燥させる乾燥機構である。ドライヤ54として、空気中に含まれる水分を低減することができればよく、種々の吸湿機構、吸湿材料を用いることができる。
【0041】
流量計56は、配管51を流れる空気の量、つまり、流量を計測する。パージガス供給手段16は、流量計56での計測結果に基づいて流量を制御することで、配管51を流れる空気の量を制御することができ、パージガス供給管30から入射管22に供給する空気の量、流速、パージガス供給管32から出射管24に供給する空気の量を所定の量とすることができる。また、ドライヤ54で空気を乾燥させることで、流量計56に水分が付着する可能性を低減することができる。
【0042】
次に、ガス濃度計測装置10の動作を説明する。ここで、図2は、図1に示すガス濃度計測装置のガス計測セルの一部を拡大して示す拡大模式図であり、図3は、レーザ光の経路を説明するための説明図である。まず、ガス濃度計測装置10は、計測手段14により上述した方法で排ガスA中の測定対象の物質の濃度を計測する。このとき、ガス濃度計測装置10は、パージガス供給手段16により、パージガス供給管30から入射管22にパージガスGを供給し、パージガス供給管32から出射管24にもパージガスGを供給する。これにより、入射管22と出射管24内に排ガスAが進入することを抑制し、排ガスAに含まれる微粒子等が、窓26、28に付着することを抑制することができる。これにより、計測手段14での計測をより正確に行うことができる。
【0043】
ここで、本発明者らは、パージガス供給手段16により供給されるパージガスGと、主管20を流れる排ガスAとは、異なる性質の空気、具体的には、ガスの温度が異なるため、図2に示すように、パージガス供給手段16から供給され、入射管22を通り主管20に到達するパージガスGと、主管20を流れる排ガスAとが混合される領域に温度境界層80が形成されることを知見した。この温度境界層80を境界としてパージガスGと排ガスAとの温度が異なることで、屈折率が異なる値となる。このため、レーザ光Lは、図3に示すように、温度境界層80を通過することで、屈折する。また、温度境界層80は、不安定であり、温度境界層80とみなすことができる層の角度が変化するため、レーザ光Lの到達位置は、時間によって変化する。このようにレーザ光Lの到達位置が変化すると、計測結果にノイズが発生することになり、測定精度が低下することになる。例えば、温度境界層80がレーザ光Lの進行方向に対して、θ1傾斜していると仮定できる場合、温度境界層80を通過することにより、温度境界層80とのなす角がθ2のレーザ光Lとなる。これにより、θ1とθ2との差分だけ、光の進行方向が変化し、到達位置が変化する。このように到達位置が変化すると、受光部44がレーザ光Lを受光する位置が変化する。つまり計測している条件が変化する。
【0044】
ガス濃度計測装置10の計測セル12は、入射管22を窓26側の端部の開口の面積よりも、主管20側の端部の面積が大きい形状であり、入射管22からパージガスGが排出される部分の面積が大きくなる。これにより、パージガスGと排ガスAとが混合する面積を大きくすることができ、混合速度を低下させ、温度境界層80での光の変動影響(温度境界層80が光に及ぼす影響)を低減できる。このように、温度境界層80が光に及ぼす影響を低減できることで、屈折の変化量を小さくすることができ、計測結果に発生するノイズを小さくすることができ、測定精度を高くすることができる。
【0045】
また、計測セル12を、入射管22を窓26側の端部の開口の面積よりも、主管20側の端部の面積が大きい形状とすることで、主管20側の端部の面積を大きくしつつ、入射管22を窓26側の端部に所定流速以上、また所定圧力以上のパージガスGを供給することができる。これにより、窓26付近に排ガスAが到達することを抑制することができ、窓が汚れる可能性を低減することができる。
【0046】
ここで、測定の一例として、測定対象の物質をアンモニア(NH)とし、パージ流速とアンモニア濃度の測定精度との関係を計測した。ここで、パージ流速とは、入射管22を流れるパージガスGの流速である。また、測定では、入射管22として、開口径が変化しない、つまり、窓26側の端部の開口の面積と、主管20側の端部の面積とが実質的に同一である管を用いた。また、排ガスの流量を一定として、パージガスの流速を変化させて、夫々の場合について、アンモニア(NH3)濃度(ppm)の計測結果の2σ値を算出した。また、排ガスとして、50Nm/h、380℃の排ガスを流した場合、110Nm/h、420℃の排ガスを流した場合、150Nm/h、350℃の排ガスを流した場合について測定を行った。測定結果を図4に示す。図4は、パージ流速とアンモニア濃度の計測結果の変動との関係を示すグラフであり、横軸をパージガスの流速(m/s)とし、縦軸をアンモニア(NH3)濃度(ppm)の2σ値とした。
【0047】
図4に示すように、パージ流速を高くすると、アンモニア(NH)濃度(ppm)の2σ値も大きくなることがわかる。また、図4に示す測定例では、窓の汚れを抑制するには、パージ流速を点線の位置より大きくする必要がある。これに対して、ガス濃度計測装置10の計測セル12は、入射管22を窓26側の端部の開口の面積よりも、主管20側の端部の面積が大きい形状であるため、窓26側は、流速を点線より速くし、かつ、主管20側の端部での流速を、例えば1m/s以下にすることができる。以上より、ガス濃度計測装置10及び計測セル12は、窓26が汚れることを抑制しつつ、測定精度を高くすることができる。
【0048】
また、計測セル12に示すように出射管24の形状も入射管22と同様の形状とすることで、出射管24と主管20との間にできる温度境界層も薄くすることができ、出射管24と主管20との間の温度境界層の通過により生じるノイズも小さくすることができる。なお、このような効果が得られるため、出射管24も入射管22と同様の形状とすることが好ましいが、出射管24の形状は限定されず、少なくとも入射管22が、窓26側の端部の開口の面積よりも、主管20側の端部の面積が大きい形状とすればよい。
【0049】
ここで、入射管22は、窓26側の端部の開口の面積と、主管20側の端部の面積との関係が、2≦(主管20側の端部の面積)/(窓26側の端部の開口の面積)を満たす形状とすることが好ましい。
【0050】
また、パージガスGの流れを安定させることができるため、つまり乱流等の発生を抑制できるため、入射管22のように、断面が直線となる形状とすることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。ここで、図5は、他の実施形態のガス計測セルの一部を拡大して示す拡大模式図である。図5に示す入射管90は、第1管92と、第1管92よりも径が大きい(開口面積が大きい)第2管94とが同軸上に連結された構造である。また、第1管92と第2管94とは、それぞれ、どの位置においても断面が基本的に同一形状、同一面積となる構造である。第1管92は、一方の端部が窓26と連結され、他方の端部が第2管94と連結されている。また、第2管94は、一方の端部が第1管92と連結され、他方の端部が主管20と連結されている。なお、第1管92と第2管94との連結部は、空気が漏れないように連結されている。また、パージガス供給管30は、第1管92に連結されている。
【0051】
図5に示す入射管90のように、開口面積が異なる2つの管を連結した形状としても、窓26側の端部の開口の面積よりも、主管20側の端部の面積が大きい形状となり、窓26の近傍に一定以上の流速のパージガスを供給しつつ、パージガスと排ガスとが混ざる領域で生じる温度境界層を薄くすることができる。これにより、窓26の汚れを抑制しつつ、測定精度を高くすることができる。なお、上記実施形態では、入射管90の形状について説明したが、出射管も同様の形状としてもよい。
【0052】
ここで、本実施形態のように入射管90を2つの管で構成する場合、第2管94は、開口径と管の長さ(開口に直交する方向の長さ)との関係が、5≦(管の長さ)/(開口径)を満たす形状とすることが好ましい。第2管94の形状が上記関係を満たすことで、第2管94と主管20との連結部に到達するパージガスを安定した流れにすることができる。
【0053】
次に、上記実施形態では、入射管の形状により温度境界層を制御(調整)することで、測定精度を向上させたが本発明はこれに限定されない。以下、図6及び図7を用いて、他の実施形態について説明する。ここで、図6は、ガス濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図であり、図7は、図6に示すガス濃度計測装置の一部を拡大した拡大模式図である。なお、図6及び図7に示すガス濃度計測装置100は、一部の構成を除いて他の構成は、ガス濃度計測装置10と同様の構成である。そこで、ガス濃度計測装置100の構成で、ガス濃度計測装置10と同様の構成の部分は、同一の符号を付してその説明は省略し、以下、ガス濃度計測装置100に特有の点を説明する。
【0054】
ガス濃度計測装置100は、計測セル(ガス計測セル)102と、計測手段14と、パージガス供給手段104とを有する。ここで、ガス濃度計測装置100も、排ガスAが流れる配管6と配管8との間に設けられている。また、計測手段14は、ガス濃度計測装置10の計測手段14と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0055】
計測セル102は、主管20と、入射管110と、出射管112とを有する。また、入射管110には、窓26と、パージガス供給管114とが設けられており、出射管112は、窓28と、パージガス供給管116が設けられている。
【0056】
入射管110は、図7に示すように、窓26側の端部の開口(つまり、窓26により塞がれている開口)の面積と、主管20側の端部(つまり、主管20と連結している部分の開口)の面積とが実質的に同一の円筒形状である。また、パージガス供給管114は、図7に示すように、パージガスの吹出し口となる部分が窓26側に向けて傾斜している。パージガス供給管114の吹出し口が窓26側を向いていることで、パージガスを窓26周辺に効率よく供給することができ、窓26が汚れることをより確実に防止することができる。なお、上述したガス濃度計測装置10のパージガス供給管30をパージガス供給管114に置き換えることもできる。
【0057】
また、出射管112も入射管110と同様に、窓28側の端部の開口(つまり、窓28により塞がれている開口)の面積と、主管20側の端部(つまり、主管20と連結している部分の開口)の面積とが実質的に同一の円筒形状である。また、パージガス供給管116も吹出し口が窓28側を向いた形状である。
【0058】
次に、パージガス供給手段104は、配管51と、ポンプ52と、ドライヤ54と、流量計56と、ヒータ118とを有し、計測セル102のパージガス供給管114、116に所定流量の空気を供給する。なお、配管51と、ポンプ52と、ドライヤ54と、流量計56とは、上述したパージガス供給手段16の各部と同様の構成であるので、説明は省略する。
【0059】
ヒータ118は、配管51内を流れる空気を加熱する加熱機構である。ヒータ118としては、配管51内を流れる空気を加熱する種々の機構を用いることができ、配管51の周りに電熱管を巻いて、配管51を加熱することで、空気を加熱する加熱機構や、配管51の周りで燃料を燃焼させて、配管51内の空気を加熱する加熱機構、配管51の周りに高温の液体を流して、配管51内の空気を加熱する加熱機構等を用いることができる。
【0060】
パージガス供給手段104は、ヒータ118により配管51内の空気を加熱することで、パージガス供給管114、116に所定温度に加熱されたパージガスを供給することができる。
【0061】
ガス濃度計測装置100は、パージガス供給手段104による加熱したパージガスを供給することで、パージガスと排ガスとの温度差を小さくすることができ、温度境界層での光の屈折を小さくすることができる。また、パージガスと排ガスとを(実質的に)同一とすることで、温度境界層の発生を抑制することができ、計測セル102を通過するレーザ光が屈折することを抑制することができる。
【0062】
これにより、ガス濃度計測装置100は、レーザ光の屈折等によるノイズの発生を抑制することができ、計測精度を高くすることができる。また、温度境界層の発生を抑制できる、または、温度境界層での屈折を抑制できることで、一定以上の流速でパージガスを供給しても計測精度を高く維持できるため、窓に汚れが発生する可能性も低くすることができる。また、パージガスと排ガスの温度差を小さくし、計測時のノイズを小さくできるため、入射管、出射管の形状を問わず、計測精度を高くしつつ、窓が汚れる可能性を低減することができる。
【0063】
なお、ガス濃度計測装置100は、温度計等を設け、パージガスと排ガスとの温度差がより少なくなるように、ヒータの駆動を制御することが好ましい。温度差が小さくなるように、ヒータの駆動を制御することで、計測精度をより高くすることができる。
【0064】
次に、図8を用いて、パージガスの加熱手段を備えるガス濃度計測装置の他の実施形態について説明する。ここで、図8は、ガス濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。なお、図8に示すガス濃度計測装置120は、一部の構成を除いて他の構成は、ガス濃度計測装置100と同様の構成である。そこで、ガス濃度計測装置120の構成で、ガス濃度計測装置100と同様の構成の部分は、同一の符号を付してその説明は省略し、以下、ガス濃度計測装置120に特有の点を説明する。
【0065】
ガス濃度計測装置120は、計測セル(ガス計測セル)122と、計測手段14と、パージガス供給手段124とを有する。ここで、ガス濃度計測装置120も、排ガスAが流れる配管6と配管8との間に設けられている。また、計測手段14は、ガス濃度計測装置10の計測手段14と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0066】
計測セル122は、主管130と、入射管110と、出射管112とを有する。また、入射管220には、窓26と、パージガス供給管114とが設けられており、出射管112は、窓28と、パージガス供給管116が設けられている。入射管110と、出射管112と、窓26、28と、パージガス供給管114、116は、上述した計測セル102の各部と同様である。
【0067】
主管130は、円筒状の管状部材であり、一方の端部が配管6と連結され、他方の端部が配管8と連結されている。つまり、主管130も、排ガスAが流れる流路の一部となる位置に配置されている。また、主管130には、案内通路132、134が形成されている。
【0068】
案内通路132は、後述する配管140が挿入される通路である。案内通路132は、主管130の外周に入口と出口が形成され、通路となる管状部分は、主管130の内部に配置されている。これにより案内通路132は、通路内部が外気連通しており、通路外側に排ガスが流れている。また、案内通路134も同様に主管130の外周に入口と出口が形成され、通路となる管状部分は、主管130の内部に配置されている。
【0069】
次に、パージガス供給手段124は、配管140と、ポンプ52と、ドライヤ54と、流量計56とを有し、計測セル122のパージガス供給管114、116に所定流量の空気を供給する。なお、ポンプ52と、ドライヤ54と、流量計56とは、上述したパージガス供給手段16の各部と同様の構成であるので、説明は省略する。
【0070】
配管140は、ポンプ52から供給され、ドライヤ54と、流量計56とを通過したパージガスをパージガス供給管114、116に供給する配管である。また、配管140は、主配管142と、主配管142から分岐された分岐管144、146で構成されている。
【0071】
主配管142は、経路上に、ポンプ52、ドライヤ54、流量計56が配置されており、ポンプ52から送られたパージガスを分岐管144、146に供給する。分岐管144は、一方の端部が主配管142に連結され、他方の端部がパージガス供給管114に連結されている。また、分岐管144は、案内通路132に挿入されている。分岐管146は、一方の端部が主配管142に連結され、他方の端部がパージガス供給管116に連結されている。また、分岐管146は、案内通路134に挿入されている。
【0072】
以上の構成により、パージガスは、主配管142、分岐管144、パージガス供給管114を通過して、入射管110に供給される。ここで、パージガスは、分岐管144の案内通路132に対応する領域を通過する際に、排ガスにより加熱されるため、入射管110には加熱された状態で供給される。また、出射管112に供給するパージガスも同様に、主配管142、分岐管146、パージガス供給管116を通過して、出射管112に供給される。このため、分岐管146の案内通路134に対応する領域を通過する際に、排ガスにより加熱され、加熱された状態で、出射管112に供給される。
【0073】
このように、パージガス供給手段124の配管の一部が、主管130の近傍、または内部を通過する構造とし、排ガスの熱によりパージガスを加熱させることでも、パージガスと排ガスとの温度差を小さくすることができる。また、本実施形態のように、排ガスによりパージガスを加熱することで、加熱量を制御しなくとも、排ガスとパージガスとの温度差を小さくすることができる。これにより、制御を簡単にしつつ上述したガス濃度計測装置100と同様の効果を得ることができる。
【0074】
なお、ガス濃度計測装置120では、配管140の一部を主管130の内部を通過する構成としたが、本発明はこれに限定されず、排ガスによりパージガスを加熱することができれば、その構造は限定されない。例えば、主管の外周に巻きつくように配管を配置してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、いずれも主管の軸方向に直交する方向にレーザ光を照射し、排ガス中の特定物質の濃度を計測したが、本発明はこれに限定されない。図9及び図10は、ガス濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。なお、図9及び図10は、排ガスが流れる配管と、計測セル12との関係を説明する図であるため、計測手段14、パージガス供給手段16の図示は、基本的に省略する。また、計測セル12も各部の配置位置が異なるのみで、構成等は、上述した各例と同様である。また、計測手段14、パージガス供給手段16としては、上述した種々の構成を用いることができる。なお、以下では、ガス濃度計測装置10の変形例として説明するが、ガス濃度計測装置100、120の場合も同様である。
【0076】
図9に示すガス濃度計測装置160の計測セル12aは、主管20aと、入射管22aと、出射管24aとを有する。なお、入射管22a、出射管24aには、それぞれ、パージガス供給管が連結され、窓が配置されている。主管20aは、一方の端部が配管6aと接続され、他方の端部が配管8aと接続されている。配管6aを流れた排ガスは、主管20aを通過して、配管8aに到達する。入射管22aと、出射管24aは、主管20aの管の排ガスの流れ方向に対して所定角度傾斜して配置されている。つまり主管の軸方向に直交する向きとのなす角が0度以上90度未満(図9では、約45度)となっている。また、入射管22aと出射管24aとは、管の中心軸が同軸となる位置、向きで配置されている。つまり、入射管22aと出射管24aとは、入射管22aの窓から入射されたレーザ光が、主管20aを通り、出射管24aの窓に到達する位置関係で配置されている。
【0077】
ガス濃度計測装置160のように、排ガスの流れ方向に対して直交する方向以外の向きで入射管22a、出射管24aを配置した構成としても、入射管22a、出射管24aを上述した構成とすることで、ガス濃度計測装置10と同様の効果を得ることができる。
【0078】
次に、図10に示すガス濃度計測装置180の計測セル12bは、主管20bと、入射管22bと、出射管24bとを有する。なお、入射管22b、出射管24bには、それぞれ、パージガス供給管が連結され、窓が配置されている。主管20bは、測定管182と、導入管184と、導出管186とで構成されている。また、主管20bは、測定管182が、導入管184を介して、配管6bと連結され、導出管186を介して配管8bと連結されている。従って、排ガスは、配管6bと、導入管184、測定管182、導出管186、配管8bの順で流れる。
【0079】
また、測定管182は、中空の円柱形状(つまり、上面と下面が塞がれている円筒形状)であり、一方の端部近傍の側面に導入管184が連結され、他方の端部近傍の側面に導出管186が連結されている。また、入射管22bは、導入管184が配置されている側の測定管182の端面に配置され、出射管24bは、導出管186が配置されている側の測定管182の端面に配置されている。つまり、入射管22bと出射管24bとは、円柱の上面と下面とに対向して設けられている。これにより、入射管22bの窓から入射されたレーザ光は、測定管182の軸と平行な向きで測定管182を通過して、出射管24bの窓に到達する。つまり、レーザ光と排ガスの流れる方向が同一となる。
【0080】
ガス濃度計測装置180のように、レーザ光と排ガスの流れる方向が同一となる構成としても、入射管22b、出射管24bを上述した構成とすることで、ガス濃度計測装置10と同様の効果を得ることができる。
【0081】
また、上記実施形態では、入射管と出射管を同軸上に設けたがこれには限定されない。例えば、計測セル内に光学ミラーを設け、入射管の窓から入射されたレーザ光を測定セル内の光学ミラーで多重反射させた後、出射管の窓に到達させるようにしてもよい。このようにレーザ光を多重反射させることで、計測セル内のより多くの領域を通過させることができる。これにより、計測セル内を流れる排ガスの濃度の分布(排ガスの流量や密度のばらつき、排ガス内の濃度分布のばらつき)の影響を小さくすることができ、正確に濃度を検出することができる。
【0082】
また、上記実施形態では、いずれも計測セルの主管と、排ガスを流す案内管とを別部材としたが、一体としてもよい。例えば、計測セルの主管が排ガスを排出する装置に直接連結してもよい。
【0083】
また、計測セルの主管の管形状は、レーザ光が通過できればよく、断面が円となる管としても、断面が多角形になる管としても、断面が楕円形となる管としてもよい。また、管の内周の断面と外周の断面が異なる形状となってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明にかかるガス計測セル及びこれを用いたガス濃度計測装置は、管路内を流れるガスに含まれる測定対象の物質の濃度の計測に有用であり、特に、管路内を流れているガスに含まれる所定成分の濃度を計測するのに適している。
【符号の説明】
【0085】
6、8 配管
10 ガス濃度計測装置
12 計測セル
14 計測手段
16 パージガス供給手段
20 主管
22 入射管
24 出射管
26、28 窓
30、32 パージガス供給管
40 発光部
42 光ファイバ
44 受光部
46 光源ドライバ
48 算出部
50 制御部
52 ポンプ
54 ドライヤ
56 流量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が開放され、それぞれ排ガスを流す流路と連結可能な主管と、
前記主管に連結し、前記主管と連結している側と反対側の端部に光が通過可能な窓部が形成された入射管と、
前記主管に連結し、前記主管と連結している側と反対側の端部に光が通過可能な窓部が形成された出射管と、
前記入射管と連結された第1パージガス供給管と、を有し、
前記入射管は、前記窓部の端部の開口面積よりも前記主管と連結している側の端部の開口面積の方が大きいことを特徴とするガス計測セル。
【請求項2】
前記入射管は、開口に垂直な方向の断面が直線となる形状であることを特徴とする請求項1に記載のガス計測セル。
【請求項3】
前記入射管は、開口面積が異なる2つの管状部材を直列で連結させた形状であることを特徴とする請求項1に記載のガス計測セル。
【請求項4】
さらに、前記出射管と連結された第2パージガス供給管を有し、
前記出射管は、前記窓部の端部の開口面積よりも前記主管と連結している側の端部の開口面積の方が大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のガス計測セル。
【請求項5】
前記出射管は、前記入射管と同一形状であることを特徴とする請求項4に記載のガス計測セル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のガス計測セルと、
前記ガス計測セルのパージガス供給管にパージガスを供給するパージガス供給部と、
前記ガス計測セルにレーザ光を入射させる発光部と、
前記発光部から入射され、前記ガス計測セルを通過したレーザ光を受光する受光部と、
前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記ガス計測セルを流れる排ガスの測定対象の物質の濃度を算出する算出部と、
各部の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とするガス濃度計測装置。
【請求項7】
両端が開放され、それぞれ排ガスを流す流路と連結可能な主管、前記主管に連結し、前記主管と連結している側と反対側の端部に光が通過可能な窓部が形成された入射管、前記主管に連結し、前記主管と連結している側と反対側の端部に光が通過可能な窓部が形成された出射管、前記入射管と連結された第1パージガス供給管とで構成されたガス計測セルと、
前記ガス計測セルの前記第1パージガス供給管にパージガスを供給するパージガス供給部と、
前記ガス計測セルにレーザ光を入射させる発光部と、
前記発光部から入射され、前記ガス計測セルを通過したレーザ光を受光する受光部と、
前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記ガス計測セルを流れる排ガスの測定対象の物質の濃度を算出する算出部と、
各部の動作を制御する制御部と、を有し、
前記パージガス供給部は、前記パージガスを加熱する加熱機構を備えることを特徴とするガス濃度計測装置。
【請求項8】
前記加熱機構は、前記パージガスが通る配管を加熱するヒータであることを特徴とする請求項7に記載のガス濃度計測装置。
【請求項9】
前記加熱機構は、前記パージガスが通る配管の少なくとも一部が前記主管の内部を通過する構成とすることを特徴とする請求項7に記載のガス濃度計測装置。
【請求項10】
さらに、前記出射管と連結された第2パージガス供給管を有し、
前記パージガス供給部は、第2パージガス供給管にもパージガスを供給することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載のガス濃度計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−127988(P2011−127988A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286247(P2009−286247)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】