説明

ガス遮断弁システム

【課題】モータ弁ユニットにおける設定作業を容易に行うことができるガス遮断弁システムを提供する。
【解決手段】ガス遮断システムは、モータ弁ユニット1と、モータ弁ユニット1と通信可能に接続された操作ユニット2と、を備える。操作ユニット2は、モータ弁ユニット1における設定情報が入力される設定情報入力手段28と、設定情報入力手段28に入力された設定情報をモータ弁ユニット1に送信する送信手段21aと、を備える。モータ弁ユニット1は、送信手段21aによって送信された設定情報を受信する受信手段11aと、受信手段11aによって受信された設定情報を記憶する設定情報記憶手段15と、設定情報記憶手段15に記憶された設定情報に基づいてモータ5の駆動制御を行う駆動制御手段11bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス遮断弁システムに係り、具体的には、モータによって弁体を開閉動作させるモータ弁を備えたガス遮断弁システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス遮断弁として、電磁石を用いて可動鉄片(プランジャ)を動かすことで、該可動鉄片に取り付けられた弁体を開閉動作させるソレノイド弁が用いられていた。この、ソレノイド弁は、電磁石によって弁体を全開位置又は全閉位置に位置づけて開閉動作を行うので、ガス遮断弁が必ず全開状態と全閉状態とのいずれか一方の状態にあり、弁体が全開位置と全閉位置との間(即ち、途中位置)に位置づけられたガス遮断弁の半開状態は存在せず、また、ソレノイド弁は、動作速度が速いので、弁体を素早く動作させることが可能であり、そのため、瞬時にガスを遮断する必要のある遮断弁として適していた。また、ソレノイド弁の駆動制御は、使用者の操作が入力される操作ユニットによって電磁石への印加電圧を制御すること等により行われるので、ソレノイド弁自体に対してその開閉動作に係る駆動制御を規定する設定は不要であった。
【0003】
しかしながら、ソレノイド弁を流量が多いガス配管に適用する場合、ガス流量に見合った大型の弁体とこの弁体の開閉動作が可能な強磁力を発する大型の電磁石とが必要となるので、ガス遮断弁が大型化してしまうという問題があった。また、ソレノイド弁は磁力によって弁体を開閉動作させるものであるので、その開閉動作に重力の影響を受け、そのため、ガス配管への組み付け方向(例えば、可動鉄片移動方向を水平とするなど)に制約があり、ガス配管への組み込み可能な箇所が限られるという問題があった。さらに、ソレノイド弁は、弁体と可動鉄片と電磁石とが一体に構成されており、つまり、それら一部のみ交換することができないので、一部に故障が発生した場合においても全体を交換する必要があり、また、全体を交換するので作業時間が多く必要となり、そのため、メンテナンスコストが高くなるという問題があった。
【0004】
これらのソレノイド弁における問題を回避するため、近年、ガス遮断弁として、モータを用いて弁体を開閉動作させるモータ弁が採用されている。このモータ弁を備えたモータ弁ユニットの一例を図7に示す。
【0005】
図7に示すように、モータ弁ユニットであるガス遮断弁700は、弁体部701と、弁体部701の上部にボルトで固定された弁駆動部702とで構成されている。
【0006】
弁体部701は、それぞれ順次連接された、第1ポート731、弁室733、管路734、及び、第2ポート732と、前記弁室733内に回動可能に配設された球体状の弁体であるボールバルブ704と、を備えている。ボールバルブ704は、中心を貫通して設けられた導通路704aと、上部に連接された従動軸741と、を備えている。
【0007】
弁駆動部702は、それぞれケース702A内に収容された、弁駆動用モータ705と、回転力伝達機構706と、制御部710と、を備えている。弁駆動用モータ705は、周知のステッピングモータである。回転力伝達機構706は、弁駆動用モータ705の主軸751に同軸に固着された小径の歯車761と、歯車761に歯合された大径の歯車762と、歯車762の回動軸となり且つ連結ピン708によってボールバルブ704の従動軸741と同軸に連結された駆動軸707と、を備えている。制御部710は、周知のマイクロコンピュータを備えており、このマイクロコンピュータによって弁駆動用モータ705の駆動制御を行っている。また、マイクロコンピュータを備えることにより、例えば、ガス遮断弁700の故障やガス圧力低下を判定して自動的に弁を遮断するように弁駆動用モータ5を駆動制御するなどの、ガス遮断弁700における自律動作を可能としている。
【0008】
ガス遮断弁700は、弁駆動用モータ705の正逆駆動を、回転力伝達機構706を介してボールバルブ704に伝達することにより、ボールバルブ704を弁室733内で略90度回動させ、それにより、導通路704aと管路734との中心軸を平行(即ち、全開位置)にして第1ポート731と管路734とを導通し(即ち、ガス遮断弁700の全開状態)、又は、導通路704aと管路734との中心軸とを直交(即ち、全閉位置)にしてボールバルブ704自身によって第1ポート731と管路734とを遮断(即ち、ガス遮断弁700の全閉状態)する。
【0009】
また、ガス遮断弁700は、連結ピン708を引き抜くとともに、弁駆動部702を弁体部701に固定しているボルトをはずすことで、容易に弁駆動部702と弁体部701とを分離することができる。
【0010】
このガス遮断弁700によれば、回転力伝達機構706により小型の弁駆動用モータ705でも大型のボールバルブ704を駆動することができるので、ガス流量が多い箇所に設置する場合でもガス遮断弁の大型化を回避することができ、また、そのボールバルブ704の開閉動作に重力等の影響を受けないので、設置箇所に制約がなくガス配管上の任意の箇所に組み込むことができ、さらに、弁体部701と弁駆動部702とが分離可能であるので、弁体部701に比べて故障が生じやすい弁駆動用モータ705のみ交換することが可能であり、メンテナンスコストを低く抑えることが可能なものであった。また、弁駆動用モータ705によりボールバルブ704を回動するためソレノイド弁に比べて動作速度は遅いものの、歯車761と歯車762との減速比を適宜調整することで、ガス遮断弁として必要な動作速度を確保することができた。
【0011】
なお、本発明に関連する文献公知発明のうち、出願人が当該特許出願時に知っているものがないので、開示すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このガス遮断弁700は、マイクロコンピュータによって自律動作を可能としているものであるが、このガス遮断弁700が組み込まれる環境や使用者の要望にあわせて、この自律動作を規定しなければならず、具体的には、ガス配管径や配管容積等から定められるガス圧力低下判定条件や自動遮断動作の有無などを、ガス遮断弁700に設定する必要があった。そのため、制御部710に駆動制御を規定するための設定情報を入力する入力手段を設ける必要があり、そして、この入力手段としては、例えば、ディップスイッチや、設定用端末を接続するためのコネクタなどがあるが、いずれにしても、弁駆動部702のケース702Aを開けてその内部にアクセスする必要があるので、この設定情報を入力する設定作業が繁雑であるという問題があった。また、設定作業の繁雑さを回避するため弁駆動部702のケース702Aに開口部を設けることも考えられるが、弁駆動部702の密閉性が低下して、異物混入による障害の発生など信頼性が低下してしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、モータ弁ユニットにおける設定作業を容易に行うことができるガス遮断弁システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、図1の基本構成図に示すように、ガス配管に接続される流路、前記流路に回動自在に設けられ且つ前記流路を開閉する弁体、及び、前記弁体を駆動するモータ5、を有するモータ弁ユニット1と、前記モータ弁ユニット1と通信可能に接続された操作ユニット2と、を備えたガス遮断弁システム51であって、前記操作ユニット2が、前記モータ弁ユニット1における設定情報が入力される設定情報入力手段28と、前記設定情報入力手段28に入力された前記設定情報を前記モータ弁ユニット1に送信する送信手段21aと、を有し、前記モータ弁ユニット1が、前記送信手段21aによって送信された前記設定情報を受信する受信手段11aと、前記受信手段11aによって受信された前記設定情報を記憶する設定情報記憶手段15と、前記設定情報記憶手段15に記憶された前記設定情報に基づいて前記モータ5の駆動制御を行う駆動制御手段11bと、を有している
ことを特徴とするガス遮断弁システムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された発明によれば、操作ユニットが、その設定情報入力手段に入力されたモータ弁ユニットにおける設定情報をモータ弁ユニットに送信したのち、モータ弁ユニットが、操作ユニットから送信された設定情報を受信して設定情報記憶手段に記憶して、その設定情報に基づいてモータを駆動制御するので、モータ弁ユニットに対する設定を操作ユニットに入力することができ、そのため、モータ弁ユニット側にその設定情報を入力するためのスイッチ若しくはコネクタなどの入力手段を設ける必要がなくなって、モータ弁ユニットに対する煩雑な設定作業が不要となり、その設定作業を容易に行うことができる。また、モータ弁ユニットに開口部を設ける必要もなくなり、信頼性の低下を防ぐことができる。
【0016】
また、モータ弁ユニットにおける設定情報を、操作ユニットにおいて把握することができるので、例えば、それぞれの設定情報を共通化することにより、モータ弁ユニットと操作ユニット2との間で設定内容にずれが生じることを防止することができ、そのため、設定内容のずれによる不正動作を回避することができ、信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を示すガス遮断弁システムを、図2〜図5を参照して説明する。
【0018】
ガス遮断弁システム51は、図2に示すように、操作ユニット2と、モータ弁ユニット1と、を備えている。
【0019】
まず、操作ユニット2について説明する。
【0020】
操作ユニット2は、使用者による各種操作が入力され、若しくは、使用者に対してガス遮断弁システム51に係る情報を通知する装置である。操作ユニット2は、操作用スイッチ26と、設定用スイッチ28と、表示部27と、マイクロコンピュータ20と、を備えている。
【0021】
操作用スイッチ26は、図3に示すように、使用開始ボタン26a、使用停止ボタン26b、及び、警報停止ボタン26cなどの周知の押しボタンスイッチを備えており、これらにより使用者による操作が入力される。例えば、使用開始ボタン26aが押下されると、モータ弁ユニット1が弁開状態となりガスの供給が開始され、使用停止ボタン26bが押下されると、モータ弁ユニット1が弁閉状態となりガスの供給が停止(遮断)される。また、ガス漏れ等の警報鳴動時に、警報停止ボタン26cが押下されると、警報が停止される。
【0022】
設定用スイッチ28は、特許請求の範囲に記載した設定情報入力手段に相当し、モータ弁ユニット1における設定を含むガス遮断弁システム51全体の動作の設定を行うための周知のディップスイッチである。設定用スイッチ28は、通常時は使用者によって操作されないように、操作ユニット2のケース2A下部に設けられたカバー部2Bに覆われており、設定変更時にカバー部2Bが開けられて設定作業者によってその操作が入力される。設定用スイッチ28よる設定内容(設定情報)は、例えば、配管径、配管容積、及び、故障時の動作設定などであり、それぞれ設定用スイッチ28が備える個々のスイッチに対応している。また、これに限らず、配管長、使用中圧力低下判定値、などの他の設定を可能としても良い。本実施形態においては、設定用スイッチ28の備えるスイッチ28a〜28bが配管径に対応し、スイッチ28cが配管容積に対応し、スイッチ28hが故障時の動作設定に対応している。このスイッチ28hは、モータ弁ユニット1における故障時の動作(即ち、故障時自動遮断有り/無し)、及び、操作ユニット2における故障時の動作を共通して規定するスイッチである。
【0023】
表示部27は、ガス遮断弁システム51の動作状態等を使用者に通知するための表示装置であり、詳細な動作状態を示す2桁の動作コードを表示する7セグメントLED27a、ガスの使用可否を表示する第1LED27b、ガスが停止されていることを表示する第2LED27cなどを備えている。また、表示部27は周知の圧電ブザーからなる不図示の警報ブザーを備えている。
【0024】
マイクロコンピュータ20(以下、MPU20という)は、組み込み機器に適した周知の小型コンピュータであり、MPU20は、図2に示すように、予め定められたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)21と、CPU21のためのプログラム及び制御データ等を格納した読み出し専用のメモリであるROM22と、各種のデータを格納するとともにCPU21の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM23と、操作用スイッチ26、設定用スイッチ28、及び、表示部27に接続され、それらとの間で制御情報を送受信するためのI/O部24と、を備えている。詳細には、操作用スイッチ26及び設定用スイッチ28はI/O部14が備える入力ポートに接続され、これらスイッチのオン/オフに応じた信号が入力されて、CPU21に通知される。また、表示部27は、I/O部14が備える出力ポートに接続され、該出力ポートからの信号によって各LED及び圧電ブザーが駆動される。また、I/O部14は、モータ弁ユニット1と接続するための通信用シリアルインタフェースを備えており、この通信用シリアルインタフェースを用いて、モータ弁ユニット1との間で設定情報や各種要求命令などの送受信を行う。また、I/O部14は、これらの他にも、図示しない火災警報器、ガス漏れ警報器、感震器、停電検出部、などから、火災検出信号、ガス漏れ検出信号、振動検出信号、停電検出信号などの各種信号が入力され、それら信号はCPU21に通知される。また、MPU20は、CPU21の処理作業に必要な各種格納エリアを有する電気的消去/書き換え可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)25を備えている。このEEPROM25には、例えば、設定用スイッチ28において設定された設定情報等が格納される。
【0025】
また、CPU21は、ROM22に格納されたプログラムに基づいて、設定用スイッチ28に入力された設定情報をモータ弁ユニット1に送信する送信手段21aとして機能する。また、これ以外にも、CPU21は、使用開始ボタン26aの押下に応じて、モータ弁ユニット1に弁開を要求する弁開要求命令を送信したり、使用停止ボタン26bの押下に応じて、モータ弁ユニット1に弁閉を要求する弁閉要求命令を送信したりするなど、操作ユニット2にて行われた操作に応じた各種要求命令をモータ弁ユニット1に送信する命令送信手段、及び、上述した火災検出信号、ガス漏れ検出信号、振動検出信号、停電検出信号などの各種信号が入力されたとき警報ブザーを鳴動させる警報鳴動手段等、種々の手段としても機能する。
【0026】
次に、上述したCPU21が実行する本発明に係るモータ弁ユニット設定処理の一例を、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0027】
操作ユニット2において、設定作業者による設定用スイッチ28の操作(即ち、設定作業)が行われ、そして、CPU21は、ステップS210において、この設定の確定操作が行われたかを判定する。この設定の確定操作は、例えば、使用開始ボタン26aと使用停止ボタン26bとが同時に所定期間(例えば、3秒間)長押しされる、若しくは、設定用スイッチ28が備える所定のスイッチ(例えば、スイッチ28e)がオフからオンに切り替えられるなど、構成に応じて任意に定められ、CPU21は、各スイッチが接続された入力ポートの信号を監視して、確定操作が行われたかを判定する。そして、設定が確定するまでこの判定処理を繰り返し(S210でN),設定が確定した場合はステップS220に進む(S210でY)。
【0028】
ステップS220では、設定用スイッチ28が接続された入力ポートの信号を読み込んで、その読み込んだ信号の状態に基づいて、配管径、配管容積、及び、故障時の動作設定(即ち、故障時自動遮断有り/無し)の設定情報を含む電文を生成する。そして、ステップS230に進む。
【0029】
ステップS230では、ステップS220で生成した設定情報(電文)を、I/O部24が備える通信用シリアルインタフェースを介して、モータ弁ユニット1に送信する。そして、本フローチャートの処理を終了する。なお、上述したステップS220、S230が、特許請求の範囲に記載した送信手段に相当する。
【0030】
次に、モータ弁ユニット1について説明する。
【0031】
モータ弁ユニット1は、ガス流路3と、バルブ4と、弁駆動用モータ5と、圧力センサ6と、マイクロコンピュータ10と、を備えている。モータ弁ユニット1については機能ブロックで示しているが、例えば、従来のガス遮断弁700を同様の形状とするなど、マイクロコンピュータによって弁駆動用モータが制御されるものであれば、その具体的形状については任意である。
【0032】
ガス流路3は、特許請求の範囲に記載された流路に相当し、不図示のガス供給部に接続された上流側ガス配管31aと不図示のガス需用部に接続された下流側ガス配管31bとを接続する管路である。
【0033】
バルブ4は、特許請求の範囲に記載された弁体に相当し、ガス流路3に組み込まれ且つガス流路3を導通(開状態)及び遮断(閉状態)にすることで、ガス流路3、即ち、ガス配管を流れるガスの流動を制御するものである。バルブ4は、球体状に形成されており、弁駆動用モータ5によって回動されてガス流路3の開閉を行う。
【0034】
弁駆動用モータ5は、特許請求の範囲に記載されたモータに相当し、バルブ4が開閉動作するように回動させるための周知のステッピングモータである。弁駆動用モータ5は、バルブ4と組み合わせることで、球体状のバルブ4を複数の歯車を介して弁駆動用モータ5によって開閉するモータ弁を構成する。
【0035】
圧力センサ6は、歪みによって抵抗値が変化するシリコンチップをダイヤフラム上に備えた、周知の半導体式圧力センサである。圧力センサ6は、ガス流路3が閉状態のときに下流側ガス配管31bの圧力値が測定出来るように、バルブ4よりガス流路3下流寄りに配設されている。
【0036】
マイクロコンピュータ10(以下、MPU10という)は、組み込み機器に適した周知の小型コンピュータであり、MPU10は、図2に示すように、予め定められたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)11と、CPU11のためのプログラム及び制御データ等を格納した読み出し専用のメモリであるROM12と、各種のデータを格納するとともにCPU11の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM13と、弁駆動用モータ5、圧力センサ6、及び、不図示のバルブ4の回動位置を検出する位置検出センサ、に接続され、それらとの間で制御情報を送受信するためのI/O部14と、を備えている。また、I/O部14は、操作ユニット2と接続するための通信用シリアルインタフェースを備えており、この通信用シリアルインタフェースを用いて、操作ユニット2から設定情報や各種要求命令を受信し、また、操作ユニット2に対してモータ弁ユニット1の動作状態等を通知する各種情報などを送信する。また、MPU10は、CPU11の処理作業に必要な各種格納エリアを有する電気的消去/書き換え可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)15を備えている。このEEPROM15には、操作ユニット2から受信した設定情報が格納される。EEPROM15は、特許請求の範囲に記載した設定情報記憶手段に相当する。なお、本実施形態において、EEPROM15を設定情報記憶手段として用いているが、これに限らず、RAM13や、外部に備えた記憶媒体など、情報を記憶できるものであればどのようなものを用いてもよい。
【0037】
CPU11は、ROM12に格納されたプログラムに基づいて、操作ユニット2の送信手段21aによって送信された設定情報を受信する受信手段11a、及び、EEPROM15に記憶された設定情報に基づいて弁駆動用モータ5の駆動制御を行う駆動制御手段11b、として機能する。駆動制御手段11bは、具体的には、EEPROM15に格納された設定情報に基づいて、圧力センサ6によって測定したガス流路3の圧力値が所定の条件を満足することを判定したときに、圧力低下を検出して自動的にバルブ4を閉じるように弁駆動用モータ5を駆動制御する圧力低下自動遮断手段や、モータ弁ユニット1の故障を検出したときに、EEPROM15に格納された設定情報に応じて、自動的にバルブ4を閉じるように弁駆動用モータ5を駆動制御する故障時自動遮断手段など、として機能する手段である。また、これ以外にも、CPU11は、操作ユニット2の送信手段によって送信された上述の弁開要求命令及び弁閉要求命令を受信して、これら要求命令に基づきバルブ4を開閉するように弁駆動用モータ5を駆動制御する弁開閉手段としても機能する。
【0038】
次に、上述したCPU11が実行する本発明に係るモータ弁ユニット設定処理の一例を、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0039】
CPU11は、ステップS110において、I/O部14が備える通信用シリアルインタフェースを介して、操作ユニット2から送信された設定情報を含む電文を受信したかを判定する。そして設定情報を受信するまでこの判定処理を繰り返し(S110でN)、設定情報を受信した場合は、通信シリアルインタフェースを介して操作ユニット2に受信応答を送信したあと、ステップS120に進む(S110でY)。
【0040】
ステップS120では、EEPROM15に設けられた所定の格納エリアに、受信した設定情報を格納し、そして、EEPROM15に格納された各種情報の正当性を判定するためのチェックサムを再計算して、その値を更新する。そして、ステップS130に進む。
【0041】
ステップS130では、受信した設定情報を反映するために再初期化処理を行う。このときEEPROM15から設定情報を読み込み、該設定情報に基づいて弁駆動用モータ5の駆動制御に係る設定(圧力低下判定条件、故障時自動遮断有無など)が更新される。そして、再初期化処理が完了した後、ステップS140に進む。
【0042】
ステップS140では、遮断弁としての機能を実現する遮断弁処理を行う。具体的には、圧力センサ6によって測定したガス流路3の圧力値が所定の条件を満足するか判定を行い、該条件を満足したとき圧力低下を判定して自動的にバルブ4を閉じるように弁駆動用モータを駆動制御したり、また、モータ弁ユニット1の故障を検出したときに、EEPROM15に格納された設定情報に応じて、自動的にバルブ4を閉じるように弁駆動用モータ5を駆動制御したり、また、操作ユニット2から送信される弁開要求命令、弁閉要求命令を受信して、該要求命令に応じてバルブ4を開閉させるように弁駆動用モータ5を駆動制御したりする。そして、本フローチャートの処理を終了する。なお、上述したステップS110、S120が、特許請求の範囲に記載した受信手段に相当し、ステップS140が、同じく駆動制御手段に相当する。
【0043】
次に、ガス遮断弁システム51におけるモータ弁ユニット設定動作の一例について、図6に示すシーケンス図を参照して説明する。以下のカッコ書きの数字は、図6中のカッコ書きの数字に対応する。
【0044】
(1)まず、操作ユニット2において、設定作業者によって設定用スイッチ28が操作されてモータ弁ユニット1における配管径、配管容積、及び、故障時の動作が設定される。
【0045】
(2)そして、確定操作により設定が確定されると、設定用スイッチ28に対して行われた各設定に基づいて設定情報(電文)が生成され、操作ユニット2からモータ弁ユニット1に送信される。モータ弁ユニット1は、設定情報を受信すると、受信応答(電文)を操作ユニット2に送信する。
【0046】
(3)操作ユニット2は、モータ弁ユニット1から受信応答を受信すると、モータ弁ユニット1の起動待機中を示す動作コード(例えば、11)を7セグメントLED27aに点灯表示する。
【0047】
(4)モータ弁ユニット1は、受信した設定情報をEEPROM15に格納したあと、EEPROM15のチェックサムを再計算してその値を更新する。そして、新たな設定を反映するためモータ弁ユニット1の初期化動作を行う。
【0048】
(5)モータ弁ユニット1は、初期化動作終了後に、初期化動作の結果を通知するアラーム情報(電文)を操作ユニット2に送信する。操作ユニット2は、アラーム情報を受信すると、終了応答(電文)をモータ弁ユニット1に送信する。
【0049】
(6)操作ユニット2は、終了応答を送信したあと、モータ弁ユニット1の起動待機が終了して動作可能となったことを示す動作コード(例えば、00)を7セグメントLED27aに点灯表示する。モータ弁ユニット1は、終了応答を受信すると、バルブ4を開く、ガス流路3の圧力値を監視する等の所定の動作を開始する。
【0050】
以上より、本発明によれば、操作ユニット2が、その設定用スイッチ28に入力されたモータ弁ユニット1における設定情報をモータ弁ユニット1に送信したのち、モータ弁ユニット1が、操作ユニット2から送信された設定情報を受信してEEPROM15に記憶して、その設定情報に基づいて弁駆動用モータ5を駆動制御するので、モータ弁ユニット1に対する設定を操作ユニット2に入力することができ、そのため、モータ弁ユニット1側にその設定情報を入力するためのスイッチ若しくはコネクタなどの入力手段を設ける必要がなくなって、モータ弁ユニット1に対する煩雑な設定作業が不要となり、その設定作業を容易に行うことができる。また、モータ弁ユニット1に開口部を設ける必要もなくなり、信頼性の低下を防ぐことができる。
【0051】
また、モータ弁ユニット1における設定情報を、操作ユニット2において把握することができるので、例えば、それぞれの設定情報を共通化することにより、モータ弁ユニット1と操作ユニット2との間で設定内容にずれが生じることを防止することができ、そのため、設定内容のずれによる不正動作を回避することができ、信頼性を向上させることができる。
【0052】
なお、本実施形態において、設定情報入力手段として設定用スイッチ28を用いたが、これに限定するものではなく、例えば、通信用のコネクタを操作ユニット2に設け、設定用端末を接続してモータ弁ユニット1における設定情報の入力を行うなど、その入力手段は任意である。
【0053】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の基本構成図を示す図である。
【図2】本発明の実施形態であるガス遮断弁システムの構成図である。
【図3】操作ユニットの概略外観を示す図である。
【図4】操作ユニットのCPUにおける本発明に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】モータ弁ユニットのCPUにおける本発明に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る処理の一例を示すシーケンス図である。
【図7】従来のガス遮断弁を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 モータ弁ユニット
2 操作ユニット
3 ガス流路(流路)
4 バルブ(弁体)
5 弁駆動用モータ(モータ)
6 圧力センサ
11a 受信手段(モータ弁ユニットのCPU)
11b 駆動制御手段(モータ弁ユニットのCPU)
15 EEPROM(設定情報記憶手段)
21a 送信手段(操作ユニットのCPU)
28 設定用スイッチ(設定情報入力手段)
51 ガス遮断弁システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス配管に接続される流路、前記流路に回動自在に設けられ且つ前記流路を開閉する弁体、及び、前記弁体を駆動するモータ、を有するモータ弁ユニットと、前記モータ弁ユニットと通信可能に接続された操作ユニットと、を備えたガス遮断弁システムであって、
前記操作ユニットが、前記モータ弁ユニットにおける設定情報が入力される設定情報入力手段と、前記設定情報入力手段に入力された前記設定情報を前記モータ弁ユニットに送信する送信手段と、を有し、
前記モータ弁ユニットが、前記送信手段によって送信された前記設定情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、前記設定情報記憶手段に記憶された前記設定情報に基づいて前記モータの駆動制御を行う駆動制御手段と、を有している
ことを特徴とするガス遮断弁システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−287672(P2009−287672A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140997(P2008−140997)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】