説明

ガソリン組成物

本発明は、成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分を含み、成分Aは、式Iの化合物


[式中、Rは、メチル基によって場合によって置換された、3から5個の炭素原子を含有する直鎖状アルケニル基であり、Rは、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状のアルキル基である。]から選択されるアルケン酸アルキル化合物またはアルケン酸アルキル化合物の混合物であり、但し、成分Aは、90から200℃の温度範囲内の沸点または沸点範囲を有し、成分Bはエタノールであり、成分Cは式(II)または式(III)の化合物


[式中、R基、R基、R基およびR基は、水素およびC1−6ヒドロカルビル基から独立して選択される。]であり、但し、成分Cは、最高で110℃の沸点または沸点範囲を有し、成分Dはブタノールであり、成分Eは一般式(IV)のエーテル:R−O−C(Me)[式中、Rは、メチル、エチルまたはこれらの混合物から選択される。]である組成物を提供する。本発明は、上記組成物を含むガソリン組成物をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンでの使用に好適な含酸素組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エステルは、香料および香味用途での使用のための公知の成分である。不飽和酸のエステルはまた、一般的な化学物質として、例えば溶媒としての用途も見出されている。
【0003】
アルカノールは、エステルの調製および他の化学プロセスにおいて用いられ得る。JP02164848AおよびJP58021630Aの要約は、メタクリル酸メチルとエチルアルコールおよびブチルアルコールの混合物とのブレンドの使用によるメタクリル酸エステルの調製ならびにアクリル酸エチルの添加による粗エタノール/ブタノール混合物の精製をそれぞれ開示している。EP488721A1は、アクリル酸アルキルにアルカノールを添加してプロパン酸3−アルキルを形成することを立証している。GB1,174,148は、アルコールおよびアミノアルコールとのエステル交換を介した、不飽和酸のエステル、特にアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの生成に関する。US5,606,102は、アクリレートとエステル化アルコール、ブタノールとの共沸混合物からのアクリル酸ブチルの精製に関係している。
【0004】
不飽和エステルは、ディーゼル燃料用途においてこれまで;特に、不飽和エステルが脂肪酸メチルエステル(FAME)の形態でまたは組成物内に含有されて用いられてきた。
【0005】
低炭素数のアクリレートおよびメタクリレート、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチルおよびtert−ブチルは、皮膚感作性物質であることが知られており、少量、例えば、0.1重量%でさえも、問題を引き起こす可能性がある。したがって、かかる化合物を燃料組成物の成分として用いることは望ましくない。
【0006】
EP1731589A2は、向上された低温流動性を有するパーム系バイオディーゼル配合物を開示している。C−C18の飽和または不飽和脂肪酸のアルキルエステルが、バイオディーゼルの1種の可能性のある成分として開示されている。
【0007】
US2002/0026744A1は、酸素含有成分および場合によって炭化水素成分を含む自動車燃料組成物を開示している。該文献に開示されている酸素含有成分は、酸素含有官能基を有する有機化合物の混合物を含む。該文献に開示されている酸素含有官能基として、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、エステル、無機酸エステル、アセタール、エポキシドおよびペルオキシドが挙げられる。US2002/0026744A1の自動車燃料組成物は、種々のディーゼルエンジン、ジェットエンジン、ガスタービンエンジンおよびターボジェットエンジンのための燃料として用いられた。
【0008】
エーテル、アルコール、ケトンおよび他の含酸素成分を有する、一般的なクラスの化合物としてのエステルもまた、US2001/0024966A1において、蒸気圧特性を改善するための燃料用添加剤として提案されている。しかし、US2001/0024966A1は、低炭素数のアルケン酸アルキル化合物の使用を具体的に開示または例示しておらず、好ましい使用は、飽和カルボン酸のC−Cアルキルエステルの使用である。
【0009】
FR2757539A1は、燃料および植物性物質から燃料を製造するプロセスを開示している。開示されている該プロセスは、植物性物質からのエステルの生成および該エステルの燃料中への包含を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平02−164848号公報
【特許文献2】特開昭58−021630号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第488721号明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第1174148号明細書
【特許文献5】米国特許第5606102号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1731589号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2002/0026744号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2001/0024966号明細書
【特許文献9】仏国特許出願公開第2757539号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
環境への懸念により、バイオ成分、すなわち生物源から誘導される成分のガソリンにおける使用に対する需要が高まっている。
【0012】
エタノールは、ガソリンにおいて現在用いられている周知のバイオ成分であるが、ベースガソリンへのエタノールの添加が、ベースガソリンと比べて、配合されたガソリンのE70およびE100を増大させる効果を有することが観察されている。したがって、相当量のエタノールをガソリン中に含ませるには、添加されるベースガソリンが、配合されたガソリンが世界中のガソリン仕様を満たすように特に配合されなければならない。
【0013】
ベースガソリンとブレンドされてベースガソリンのE70値およびE100値を大幅に変更することなくガソリン組成物を提供することができるある一定の含酸素物質のブレンドが調製され得ることがここで見出された。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本発明は、成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分を含み、
成分Aは、式I:
【0015】
【化1】

[式中、Rは、メチル基によって場合によって置換された、3から5個の炭素原子を含有する直鎖状アルケニル基であり、Rは、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状のアルキル基である。]を有するアルケン酸アルキル化合物またはアルケン酸アルキル化合物の混合物であり、但し、成分Aは、90から200℃の温度範囲内の沸点または沸点範囲を有し、
成分Bはエタノールであり、
成分Cは式(II)または式(III)の化合物:
【0016】
【化2】

[式中、R基、R基、R基およびR基は、水素およびC1−6ヒドロカルビル基から独立して選択される。]であり、但し、成分Cは、最高で110℃の沸点または沸点範囲を有し、
成分Dはブタノールであり、
成分Eは一般式(IV)のエーテル:
−O−C(Me)
[式中、Rは、メチル、エチルまたはこれらの混合物から選択される。]である組成物を提供する。
【0017】
本発明は、成分Aならびに以下のカテゴリー(a)および(b):
(a)成分Bならびに
(b)成分C、DおよびEから選択される一成分
から選択される少なくとも1種の成分を含む、本明細書に記載されている組成物をさらに提供する。
【0018】
本発明は、成分Aならびに上記カテゴリー(a)および(b)から選択される少なくとも1種の成分を含み、これらの成分の濃度が、以下の方程式(方程式I):
【0019】
【数1】

[式中、
n=1は、成分Bであり、
n=2は、成分Aであり、
n=3は、成分C、DまたはEのいずれか1種であり、
fnは、成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分を含む組成物中の成分n=1、2または3の体積分率であり、
E70は、nによって表される成分のブレンドE70値であり、
E100は、nによって表される成分のブレンドE100値であり、
E70ベースは、5から65体積%の範囲であり、
E100ベースは、30から85体積%の範囲である。]
から算出される、好ましい組成物をさらに提供する。
【0020】
本発明は、ベースガソリンおよび本明細書に記載されている組成物を含むガソリン組成物をさらに提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な記述)
本発明の含酸素組成物は、成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分を含む。
【0022】
本発明の組成物は、成分Aならびに以下のカテゴリー(a)および(b):
(a)成分Bならびに
(b)成分C、DおよびEから選択される一成分
から選択される少なくとも1種の成分を好ましくは含む。
【0023】
すなわち、本発明の組成物は、成分A、B、C、DおよびEの以下の混合物:
・成分Aおよび成分B;
・成分Aおよび成分C;
・成分Aおよび成分D;
・成分Aおよび成分E;
・成分A、成分Bおよび成分C;
・成分A、成分Bおよび成分D;ならびに
・成分A、成分Bおよび成分E
のいずれかを好ましくは含む。
成分Aは、式I:
【0024】
【化3】

[式中、Rは、メチル基によって場合によって置換された、3から5個の炭素原子を含有する直鎖状アルケニル基であり、Rは、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状のアルキル基である。]を有するアルケン酸アルキル化合物またはアルケン酸アルキル化合物の混合物であり、但し、成分Aは、90から200℃の温度範囲内の沸点または沸点範囲を有する。
【0025】
好ましくは、R基は、3または4個の炭素原子、とりわけ4個の炭素原子を含有するアルケニル基である。特に好ましいR基は、4個の炭素原子を含有する非置換の直鎖状アルケニル基である。典型的には、R基の炭素鎖は、ただ1つの不飽和点(モノ−オレフィン)を含有する。
【0026】
好ましくは、R基は、1から5個の炭素原子、より好ましくは1から4個の炭素原子、とりわけ2から4個の炭素原子を含有するアルキル基である。特に好ましいR基は、2から4個の炭素原子を含有する直鎖状アルキル基である。特に好ましいR基の例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ−プロピル基、ブチル基、イソ−ブチル基およびtert−ブチル基が挙げられる。とりわけ好ましいR基は、エチルである。
【0027】
成分Aは、最高で210℃の上限を有する沸点または沸点範囲を有する。しかし、好ましくは、成分Aは、最高で190℃、最高で180℃、最高で170℃または最高で160℃の上限を有する沸点または沸点範囲を有する。化合物Aの沸点または沸点範囲は、少なくとも90℃の下限も有する。しかし、好ましくは、成分Aは、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃または少なくとも130℃の下限を有する沸点または沸点範囲を有する。
【0028】
典型的には、成分Aの沸点または沸点範囲は、90℃、100℃、110℃、120℃および130℃のいずれか1つから選択される下限ならびに200℃、190℃、180℃、170℃および160℃のいずれか1つから選択される上限を有する範囲内である。
【0029】
式Iによる好適な化合物の例として、ブテン酸メチル、ブテン酸エチル、ブテン酸プロピル、ブテン酸ブチル、ペンテン酸メチル、ペンテン酸エチル、ペンテン酸プロピル、ペンテン酸ブチル、ヘキセン酸メチル、ヘキセン酸エチル、ヘキセン酸プロピル、これらのメチル置換類似体およびこれらの混合物が挙げられる。上記の各化合物の異性体もまた、立体異性体であっても構造異性体であっても、本発明により明確にカバーされる。
【0030】
最も好ましくは、成分Aは、ペンテン酸エチルを含みまたはペンテン酸エチルであり、ペンテン酸エチルは、いずれかの単一異性体、例えば2−ペンテン酸エチル、3−ペンテン酸エチルまたは4−ペンテン酸エチルの形態であっても、いずれか2種以上の異性体の混合物であってもよい。
【0031】
混合異性体形態にある場合、存在する主な異性体は、最も好適には、3−ペンテン酸エチルのトランス異性体であり、該異性体は、存在する異性体の全体量の45から50重量%の量で好適には存在し得る。3−ペンテン酸エチルおよび4−ペンテン酸エチルのシス異性体は、それぞれ、混合異性体の全体の20から25重量%の範囲の量で好適には存在し得る。2−ペンテン酸エチルもまた、全異性体混合物の例えば5から10重量%の範囲の量で好適には存在し得る。当然ながら、ペンテン酸エチルの合計百分率は、いずれの異性体形態が異性体混合物中に存在していても、100重量%を超えることはできない。異性体混合物の起源に応じて、少量、例えば2重量%未満の他の化合物、例えば、ジエチルエーテルおよび/または未反応の出発物質が、異性体混合物中に存在している可能性がある。かかる成分は、全混合物の例えば0.1から1.5重量%の範囲の量で存在し得る。
【0032】
成分Bはエタノールである。
【0033】
成分Cは、式IIもしくは式IIIを有する化合物または該化合物の混合物:
【0034】
【化4】

[式中、R基、R基、R基およびR基は、水素およびC1−6ヒドロカルビル基から独立して選択される。]であり、但し、成分Cは、最高で110℃の沸点または沸点範囲を有する。
【0035】
好ましくは、R基、R基、R基およびR基の1つまたは2つが、C1−6ヒドロカルビル基から独立して選択され、残りのR基、R基、R基およびR基が水素である。より好ましくは、R基およびR基が水素であり、R基およびR基が、水素およびC1−6ヒドロカルビル基から独立して選択され、R基およびR基の少なくとも一方が、C1−6ヒドロカルビル基である。
【0036】
好ましくは、C1−6ヒドロカルビル基は、C1−6アルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基およびプロピル基である。
【0037】
成分Cの沸点または沸点範囲は、好ましくは最高で105℃、より好ましくは最高で100℃である。典型的には、成分Cの沸点または沸点範囲は、40から110℃の範囲、より典型的には50から105℃の温度範囲、最も典型的には60から100℃の温度範囲である。
【0038】
式IIによる好適な化合物の例として、2−メチルフラン、3−メチルフラン、2−エチルフラン、3−エチルフラン、2,5−ジメチルフラン、2,5−ジエチルフランおよび2−メチル−5−エチルフランならびにこれらの混合物が挙げられる。式IIIによる好適な化合物の例として、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、2−エチルテトラヒドロフラン、3−エチルテトラヒドロフラン、2,5−ジメチルテトラヒドロフラン、2,5−ジエチルテトラヒドロフランおよび2−メチル−5−エチルテトラヒドロフランならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0039】
最も好ましくは、成分Cは、2−メチルフラン、2,5−ジメチルフランおよびこれらの混合物から選択される。
【0040】
成分Dはブタノールである。
【0041】
成分Eは、一般式IVのエーテル:
−O−C(Me) (IV)
[式中、Rは、メチル、エチルまたはこれらの混合物から選択される。]
である。
【0042】
本発明の組成物は、ベースガソリンとブレンドしてガソリン組成物を形成するのに好適である。
【0043】
成分A、B、CおよびDは、当該分野において公知の方法を用いて生物源から誘導され得、したがって、本発明による組成物は、生物源材料から部分的に誘導されても全体に誘導されてもよく、したがって、バイオ燃料成分としてガソリン組成物中に含まれていてよい。好ましくは、成分AからDのうち少なくとも1種が生物源材料から誘導されている。
【0044】
有利には、本発明の組成物中の少なくとも2種の異なる成分の相対濃度を変動させることにより、本発明の組成物の等しい濃度の任意の個々の成分をブレンドしたときと比較して、ブレンドされるべきベースガソリンの乾燥蒸気圧当量(DVPE)(EN13016−1)、E70(EN ISO3405によって測定したとき、70℃で蒸発した体積%)およびE100(EN ISO3405によって測定したとき、100℃で蒸発した体積%)に対する影響が低減されたガソリン成分の形成を可能にする。
【0045】
ベースガソリンの所与のE70およびE100に関して、形成されたガソリン組成物におけるE70値およびE100値を大幅に改変しない、本発明による組成物がブレンドされ得ることが見出された。表記「E70値およびE100値を大幅に改変しない」により、配合されたガソリン組成物のE70値およびE100値の両方が、ベースガソリンのE70値およびE100値の両方の25%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは15%以内に保持され、E70+E100の値が、ベースガソリンのE70+E100の値の15%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内に保持されることが意味される。この結果を達成するために、ベースガソリンの所与のE70およびE100(それぞれE70ベースおよびE100ベース)に関して、本発明の組成物の2種または3種の成分の最も好ましい濃度は、以下の方程式(方程式I):
【0046】
【数2】

[式中、
n=1は、成分Bであり、
n=2は、成分Aであり、
n=3は、成分C、DまたはEのいずれか1種であり、
fnは、成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分を含む組成物中の成分n=1、2または3の体積分率であり、
E70は、nによって表される成分のブレンドE70値であり、
E100は、nによって表される成分のブレンドE100値であり、
E70ベースは、ベースガソリンのE70値であり、
E100ベースは、ベースガソリンのE100値である。]
を用いて算出され得る。
【0047】
成分A、B、C、DおよびEのブレンドE70値およびE100値は、ブレンド比の範囲に応じて添加された単一の酸素含有成分(n=A、B、C、DまたはE)を含有するベース燃料において収集されたデータから求められた平均値である。E70値およびE100値は、以下の方程式IIおよびIII:
【0048】
【数3】

[式中、
nは、成分A、B、C、DまたはEであり、
fnは、ベースガソリンと組み合わされたときの成分A、B、C、DまたはEの体積分率であり、
E70ベースは、ベースガソリンのE70値であり、
E100ベースは、ベースガソリンのE100値であり、
E70ブレンドは、成分A、B、C、DまたはEと組み合わされたベースガソリンのE70値であり、
E100ブレンドは、成分A、B、C、DまたはEと組み合わされたベースガソリンのE100値である。]
にしたがって求められる。
【0049】
E70ベース値は、好ましくは5から65体積%の範囲、より好ましくは10から60体積%の範囲、最も好ましくは15から55体積%の範囲である。
【0050】
E100ベース値は、好ましくは30から85体積%の範囲、より好ましくは35から80体積%の範囲、最も好ましくは40から75体積%の範囲である。
【0051】
現在、EN228ガソリンの仕様書は、E70値が20から50体積%の範囲であること、具体的には、夏季ガソリンではE70値が20から48体積%の範囲であること、冬季ガソリンではE70値が22から50体積%の範囲であること、E100値が46から71体積%の範囲であることを明記している。したがって、E70ベース値およびE100ベース値は、好都合には、それぞれ、20から50体積%の範囲および46から71体積%の範囲である。
【0052】
したがって、本発明の組成物は、DVPE、E70およびE100に関して現在のガソリン仕様書(例えば、EN228)に準拠しているベースガソリンとブレンドされて、DVPE、E70およびE100に関して同じガソリン仕様書に依然として準拠するガソリン組成物を形成することができる。
【0053】
有用には、成分AからEの少なくとも1種が生物源材料から誘導され得るため、また、本発明による組成物が、E70値およびE100値を大幅に改変することなくベースガソリンとブレンドされ得るという事実のため、本発明の組成物は、ガソリン組成物のバイオエネルギー含量を最大限にするために用いられ得る。
【0054】
しかし、ベースガソリンは、E70値および/またはE100値がベースガソリンのE70値および/またはE100値と異なるガソリン組成物を形成するように、上記方程式Iによって定義されていない相対濃度の成分AからEを有する本発明の組成物とブレンドされる場合があるため;また、本発明による組成物と上記ベースガソリンとのブレンドによって引き起こされる、ベースガソリンのE70値およびE100値の変化が、ブレンドされたガソリン組成物中の本発明による組成物の濃度と比例するため、本発明による組成物の濃度が高いと、ベースガソリンのE70値および/またはE100値の変化が大きくなる。以下に定義される相対濃度を有する成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分の組成物を具体的に包含する、本発明の代替の好ましい実施形態も提供される。
【0055】
本発明の組成物が成分Aおよび成分Bのみを含むときには、該組成物は、少なくとも50体積%の成分Aおよび最大で50体積%の成分Bを好ましくは含む。より好ましくは、本発明の組成物が成分Aおよび成分Bのみを含むときには、該組成物は、少なくとも58体積%の成分Aおよび最大で42体積%の成分Bを好ましくは含む。
【0056】
本発明の組成物が成分Aおよび成分Cのみを含むときには、該組成物は、成分Aおよび成分Cの合計量が100体積%になるように、最大で70体積%の成分Aおよび少なくとも30体積%の成分Cを好ましくは含む。より好ましくは、本発明の組成物が成分Aおよび成分Cのみを含むときには、該組成物は、成分Aおよび成分Cの合計量が100体積%になるように、最大で49体積%の成分Aおよび少なくとも51体積%の成分Cを好ましくは含む。
【0057】
本発明の組成物が成分Aおよび成分Dのみを含むときには、該組成物は、成分Aおよび成分Dの合計量が100体積%となるように、最大で50体積%の成分Aおよび少なくとも50体積%の成分Dを好ましくは含む。より好ましくは、本発明の組成物が成分Aおよび成分Dのみを含むときには、該組成物は、成分Aおよび成分Dの合計量が100体積%となるように、最大で15体積%の成分Aおよび少なくとも85体積%の成分Dを好ましくは含む。
【0058】
本発明の組成物が成分Aおよび成分Eのみを含むときには、該組成物は、成分Aおよび成分Eの合計量が100体積%となるように、最大で50体積%の成分Aおよび少なくとも50体積%の成分Eを好ましくは含む。より好ましくは、本発明の組成物が成分Aおよび成分Eのみを含むときには、該組成物は、成分Aおよび成分Eの合計量が100体積%となるように、最大で41体積%の成分Aおよび少なくとも59体積%の成分Eを好ましくは含む。
【0059】
本発明の組成物が成分A、BおよびCを含むときには、該組成物の濃度は、
・23から72体積%の成分A;
・0.1から42体積%の成分B;
・0.1から77体積%の成分C;
を好ましくは含み、
本発明の組成物が成分A、BおよびDを含むときには、該組成物の濃度は、
・0.1から72体積%の成分A;
・0.1から42体積%の成分B;
・0.1から99.9体積%の成分D;
を好ましくは含み、
本発明の組成物が成分A、BおよびEを含むときには、該組成物の濃度は、
・10から72体積%の成分A;
・0.1から42体積%の成分B;
・0.1から90体積%の成分E;
を好ましくは含む。
【0060】
本発明の組成物は、高いRON(リサーチオクタン価)値および高いMON(モータオクタン価)値を典型的には有し、したがって、ベースガソリンのRONおよび/またはMONを増加させるのに用いられてもよい。
【0061】
本発明はまた、
(i)ベースガソリン;ならびに
(ii)先に記載されている、成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分を含む組成物
を含むガソリン組成物も提供する。
【0062】
本発明によるガソリン組成物は、ベースガソリンを成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分とブレンドすることによって調製されてよい。ベースガソリンおよび成分AからEが組み合わされる順序は、重要ではない。したがって、本発明のガソリン組成物はまた、
(i)ベースガソリン;ならびに
(ii)先に記載されている、成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分
を含むとして記載されてもよい。
【0063】
ガソリン組成物中の成分AからEの好ましい相対濃度は、先に記載されている通りであり、かかる組成物が成分AからEをベースガソリンと組み合わせる前に調製されているか否かによらず、ベースガソリンの非存在下に、成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分を含む組成物を基準にして算出される。
【0064】
成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分を含み、先に記載されている通り、ベースガソリンとブレンドされて本発明によるガソリン組成物を形成することができる組成物の、ガソリン組成物全体を基準にした濃度は、以下のパラメータ(i)から(v)の1つ、またはパラメータ(i)から(v)の1つとパラメータ(vi)から(x)の1つとの組合せに好ましくは一致し、
(i)最大で40体積%;
(ii)最大で35体積%;
(iii)最大で30体積%;
(iv)最大で25体積%;
(v)最大で20体積%;
ここで、特徴(i)、(ii)、(iii)、(iv)および(v)が次第により好ましくなり;
(vi)少なくとも0.5体積%;
(vii)少なくとも1.0体積%;
(viii)少なくとも2.0体積%;
(ixi)少なくとも3.0体積%;
(x)少なくとも5.0体積%;
ここで、特徴(vi)、(vii)、(viii)、(ix)および(x)が次第により好ましくなる。
【0065】
成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分を含む組成物の濃度は、かかる組成物が成分AからEをベースガソリンと組み合わせる前に調製されているか否かによらず、ベースガソリンの非存在下に、成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分を含む組成物を基準にして算出される。
【0066】
上記(i)から(v)から選択されるいずれかの特徴と上記(vi)から(x)から選択されるいずれかの特徴との組合せを有する範囲は、本発明によって提供されているガソリン組成物に特に適用可能である。上記特徴の具体的な組合せの例として、(i)および(vi)、(ii)および(vii)、(iii)および(viii)、(iv)および(ix)ならびに(v)および(x)が挙げられ、それぞれ、次第により好ましくなる。
【0067】
本発明の組成物が一緒にブレンドされ得るベースガソリンは、当該分野において公知の火花点火(ペトロール)型の内燃エンジンにおける使用に好適ないずれのガソリンであってもよい。
【0068】
ベースガソリンは、25から230℃の範囲で沸騰する炭化水素の混合物(EN−ISO3405)を典型的には含み、最適範囲および蒸発曲線は、その年の気候および季節したがって典型的には変動する。ガソリンベース燃料中の炭化水素は、当該分野において公知のいずれの手段によって誘導されてもよく、好都合なことに、該炭化水素は、直留ガソリン、合成によって生成された芳香族炭化水素混合物、熱分解もしくは接触分解された炭化水素、水素化分解された石油留分、接触改質された炭化水素またはこれらの混合物から、いずれの公知の方法において誘導されてもよい。
【0069】
ガソリンベース燃料の具体的な蒸発曲線、炭化水素組成物、リサーチオクタン価(RON)およびモータオクタン価(MON)は重要ではない。
【0070】
好都合なことに、ガソリンベース燃料のリサーチオクタン価(RON)は、80から110の範囲であってよく、好ましくは、90から105の範囲であり、より好ましくは、93から102の範囲であり、最も好ましくは、94から100の範囲であり(EN25164);ガソリンベース燃料のモータオクタン価(MON)は、好適には70から110の範囲であってよく、好ましくは、75から105の範囲であり、より好ましくは、80から100の範囲であり、最も好ましくは、84から95の範囲である(EN25163)。
【0071】
典型的には、ガソリンベース燃料は、以下の基;飽和炭化水素、オレフィン炭化水素、芳香族炭化水素および含酸素炭化水素のうちの1種以上から選択される成分を含む。好都合なことに、ガソリンベース燃料は、飽和炭化水素、オレフィン炭化水素、芳香族炭化水素および場合によって含酸素炭化水素の混合物を含んでいてよい。
【0072】
典型的には、ガソリンベース燃料のオレフィン炭化水素含量は、ガソリンベース燃料を基準にして0から40体積%の範囲であり;好ましくは、ガソリンベース燃料のオレフィン炭化水素含量は、ガソリンベース燃料を基準にして0から30体積%の範囲である。
【0073】
典型的には、ガソリンベース燃料の芳香族炭化水素含量は、ガソリンベース燃料を基準にして0から70体積%の範囲であり;好ましくは、ガソリンベース燃料の芳香族炭化水素含量は、ガソリンベース燃料を基準にして10から60体積%の範囲である。
【0074】
ガソリンベース燃料のベンゼン含量は、ガソリンベース燃料を基準にして最大で10体積%、より好ましくは最大で5体積%、とりわけ最大で1体積%である。
【0075】
典型的には、ガソリンベース燃料の飽和炭化水素含量は、ガソリンベース燃料を基準にして少なくとも40体積%であり;好ましくは、ガソリンベース燃料の飽和炭化水素含量は、ガソリンベース燃料を基準にして40から80体積%の範囲である。
【0076】
ガソリンベース燃料は、低硫黄含量または超低硫黄含量、例えば、最大で1000ppmw(ppmw:重量で100万分の1)、好ましくは500ppmw以下、より好ましくは100以下、さらにより好ましくは50以下、最も好ましくは実に10ppmw以下を好ましくは有する。
【0077】
ガソリンベース燃料はまた、低い全鉛含量、例えば、最大で0.005g/lを好ましくは有し、最も好ましくは鉛フリーであり−該燃料に鉛化合物が添加されていない(すなわち、無鉛)。
【0078】
ガソリンが、含酸素炭化水素を含むとき、酸素非含有炭化水素の少なくとも一部が、含酸素炭化水素に置換されることとなる。
【0079】
ガソリンベース燃料に含まれていてよい含酸素炭化水素は、本明細書に記載されている成分AからE以外の含酸素成分である。ベースガソリンが、成分AからEによって記載されている種類の含酸素成分を含有するときには、この成分は、本発明による組成物の成分として考えられるべきであり、他の成分AからEの相対量がこれに応じて調整されることとなる。
【0080】
好適なガソリンベース燃料の例として、0から20体積%のオレフィン炭化水素含量(ASTM D1319)、0から5重量%の酸素含量(EN1601)、0から50体積%の芳香族炭化水素含量(ASTM D1319)および最大で1体積%のベンゼン含量を有するガソリンベース燃料が挙げられる。
【0081】
本発明にとって重要なことではないが、本発明のガソリンベース燃料またはガソリン組成物は、1種以上の燃料添加剤を好都合にさらに含んでいてよい。本発明のガソリンベース燃料またはガソリン組成物に含まれていてよい燃料添加剤(複数可)の濃度および性質は重要でない。本発明のガソリンベース燃料またはガソリン組成物に含まれ得る好適な種類の燃料添加剤の非限定例として、抗酸化剤、腐食防止剤、洗浄剤、曇り防止剤、アンチノック添加剤、金属不活性化剤、バルブリセッション防止剤化合物、染料、摩擦調整剤、キャリア流体、希釈剤およびマーカーが挙げられる。好適なかかる添加剤の例は、米国特許第5,855,629号に概して記載されている。
【0082】
好都合なことに、燃料添加剤は、1種以上の希釈剤またはキャリア流体とブレンドされて、添加剤濃縮物を形成することができ、添加剤濃縮物は、次いで、ガソリン組成物またはガソリンベース燃料と混合されてよい。
【0083】
ガソリンベース燃料またはガソリン組成物に存在するいずれの添加剤の(活性分)濃度も、好ましくは多くて1重量%、より好ましくは5から1000ppmwの範囲、有利には75から300ppmwの範囲、例えば、95から150ppmwである。
【0084】
本発明によるガソリン組成物は、ベースガソリン、成分Aならびに成分B、C、DおよびEの少なくとも1種を含む組成物、ならびに場合によって他の従来のガソリン成分、例えば1種以上の燃料添加剤と混合させることを含むプロセスによって調製されてよい。先に説明しているように、成分Aならびに成分B、C、DおよびEの少なくとも1種を含む組成物がベースガソリンとブレンドする前に形成されることは重要ではないが、但し、成分Aならびに成分BからEの少なくとも1種はベースガソリンと混合される(すなわち、組成物がインサイチュで形成され得る。)。
【0085】
したがって、本発明は、ベースガソリンを、成分Aならびに以下のカテゴリー(a)および(b):
(a)成分Bならびに
(b)成分C、DおよびEから選択される一成分
から選択される少なくとも1種の成分を含む組成物と混合させることを含む、先に記載されているガソリン組成物の調製のためのプロセスを提供する。
【0086】
代替的には、本発明は、ベースガソリンを、成分Aならびに以下のカテゴリー(a)および(b):
(a)成分Bならびに
(b)成分C、DおよびEから選択される一成分
から選択される少なくとも1種の成分と混合させることを含む、先に記載されているガソリン組成物の調製のためのプロセスを提供する。
【0087】
ガソリン組成物が1種以上の燃料添加剤をさらに含むときには、1種以上の燃料添加剤、または添加剤濃縮物は、ガソリン組成物の1種以上の構成成分(例えば、成分A、成分B、成分C、成分D、成分Eまたは成分Aならびに先に記載されているカテゴリー(a)および(b)から選択される少なくとも1種の成分を含む組成物、ならびにベースガソリン)またはガソリン組成物自体と混合されていてよい。1種以上の燃料添加剤が、ガソリン組成物の1を超える構成成分に添加されているときには、ガソリン組成物の各構成成分に添加されている燃料添加剤は、同一であっても異なっていてもよい。
【0088】
本発明はまた、先に定義されているガソリン組成物を火花点火内燃エンジンの燃焼室内に導くことを含む、上記エンジンを操作する方法も提供する。
【0089】
有利には、本発明によるガソリン組成物の使用が、成分Aを含有しないガソリン組成物と比較して、ガソリン組成物の改善された潤滑性の観点から予想外に利益を提供することもできることもここで見出された。
【0090】
本発明は、以下の実施例からさらに理解されることとなる。別途示さない限り、部および百分率(濃度)は、体積基準(%v/v)であり、温度は、摂氏温度(℃)である。
【実施例】
【0091】
比較例AからC
比較例AからCにおいて用いたベースガソリンは、以下の表1に詳述する具体的な特性を有するEN228無鉛ガソリンであった:
【0092】
【表1】

【0093】
上記表1に記載されているベースガソリンならびにベースガソリンと、配合されたガソリン組成物の体積を基準にして5体積%および10体積%のペンテン酸エチル(EP)とのブレンドを調製した。
【0094】
用いたペンテン酸エチルは、WO2005/058793A1において記載されているプロセスにしたがって調製された混合異性体ペンテン酸エチル成分であった。13C NMR分析によって決定された、混合異性体ペンテン酸エチル成分の組成を以下の表2に詳述する。
【0095】
【表2】

【0096】
各ガソリン組成物の特性を以下の表3に提供する。
【0097】
【表3】

【0098】
比較例DからG
比較例EからHにおいて用いたベースガソリンは、以下の表4に詳述する具体的な特性を有するEN228無鉛ガソリンであった:
【0099】
【表4】

【0100】
上記表4に記載されているベースガソリンならびにベースガソリンと、配合されたガソリン組成物の体積を基準にして5体積%、10体積%および20体積%のエタノール(EtOH)とのブレンドを調製した。
【0101】
用いたエタノール(無水)は、Sigma−Aldrichによって供給されたものであり、>99%の純度を有した。
【0102】
各ガソリン組成物の特性を以下の表5に提供する。
【0103】
【表5】

【0104】
比較例Hおよび実施例1から16
本発明による組成物を含有する数種のガソリン組成物の特性を以下に与える。
【0105】
以下の例において用いたベースガソリンは、以下の表6に詳述する具体的な特性を有するEN228無鉛ガソリンであった:
【0106】
【表6】

【0107】
用いたペンテン酸エチルは、4−ペンテン酸エチル(例Bedoukian Chemicals製)であった。
【0108】
用いたエタノール(無水)は、Sigma−Aldrichによって供給されたものであり、>99%の純度を有した。
【0109】
用いた2−メチルフランは、Sigma−Aldrichによって供給されたものであり、99%の純度を有した。
【0110】
ガソリン組成物を調製するために、本発明による4種の別個の組成物を調製した。これらの組成物を以下の表7に詳述する。
【0111】
【表7】

【0112】
上記4種の含酸素組成物(Ox1からOx4)を用いて、上記含酸素組成物(Ox1、Ox2、Ox3およびOx4)のそれぞれを、配合されたガソリン組成物の体積を基準にして5体積%、10体積%および20体積%の濃度において表6に詳述したベースガソリンと個々に混合することによって、12種の異なるガソリン組成物を調製した。
【0113】
各ガソリン組成物の特性を以下の表8に提供する。
【0114】
【表8】

【0115】
本発明によるガソリン組成物のE70値、E100値およびE70+E100値が、ベースガソリン(比較例H)のE70値、E100値およびE70+E100値から大幅に改変されていないことが明らかに分かる。特に、ベースガソリンのE70値、E100値およびE70+E100値への影響は、エタノールのみまたはペンテン酸エチルのみがベースガソリンとブレンドされたとき(比較例AからG)と比較して低減されている。さらに、本発明によるガソリン組成物のE70値およびE100値が十分に現在のEN228ガソリンの仕様書の範囲内であることが明らかに分かる。
【0116】
本発明によるガソリン組成物のRVP値がベースガソリン組成物のRVP値から大幅に改変されなかったことがさらに分かる。大部分の例において、本発明によるガソリン組成物のRVPは、ベースガソリンのRVP値と比べてRVP値の僅かな低下を結果としてもたらし、ガソリンのRVPがベースガソリンのRVPよりも高い場合、このRVPの増加は、ベースガソリンと比べて2%未満の変化であった。
【0117】
実施例17および18
方程式Iを利用した実施例
【0118】
【数4】

[式中、
E100ベース+Oxは、ベースガソリンと含酸素物質との混合物のE100であり
E100ベースは、ベース燃料のE100であり
E100Oxは、含酸素物質の混合物のE100であり
は、ベースガソリンおよび含酸素物質の混合物中の含酸素物質(複数可)の体積分率であり
E100は、100℃の温度にて蒸発した百分率である。]
【0119】
【数5】

[式中、
Oxは、含酸素物質Aとカテゴリー(a)および(b)から選択される少なくとも一方の成分との混合物であり、ここで、(a)は成分Bであり、(b)は、C、DおよびEから選択される一成分であり、
n=1は、成分Bであり、
n=2は、成分Aであり、
n=3は、成分C、DまたはEのいずれかであり、
fnは、n=1、2または3の体積分率であり、
E100は、成分nのブレンドE100値である。]
含酸素物質の体積分率の合計は1に等しい:
【0120】
【数6】

含酸素物質(複数可)の混合物がベースガソリンに添加されているときのE100(ΔE100)の変化は、
【0121】
【数7】

であり、[式中、
E70ベース+Oxは、ベースガソリンおよび含酸素物質の混合物のE70であり
E70ベースは、ベース燃料のE70であり
E70Oxは、含酸素物質の混合物のE70であり
は、ベースガソリンおよび含酸素物質の混合物中の含酸素物質の体積分率であり
E70は、70℃の温度にて蒸発した百分率である。]
【0122】
【数8】

[式中、
Oxは、含酸素物質Aとカテゴリー(a)および(b)から選択される少なくとも一方の成分との混合物であり、ここで、(a)は成分Bであり、(b)は、C、DおよびEから選択される一成分であり、
n=1は、成分Bであり、
n=2は、成分Aであり、
n=3は、成分C、DまたはEのいずれかであり、
fnは、n=1、2または3の体積分率であり、
E70は、成分nのブレンドE70値である。]
含酸素物質の混合物がベースガソリンに添加されているときのE70(ΔE70)の変化は、
【0123】
【数9】

である。
【0124】
ベースガソリンと含酸素物質との混合物の望ましい結果は、
【0125】
【数10】

である。
【0126】
再編成により方程式7および4を方程式8に代入すると、
【0127】
【数11】

または
【0128】
【数12】

を与える。
【0129】
結果として、所与のベース燃料に関して、方程式Iの要件を満たすVf1、Vf2およびVf3の値が定義され得るため、結果としてΔE70+ΔE100=0となる−含酸素物質の混合物が添加されているときのベースガソリンの蒸留プロファイルの変化に対する制御である。
【0130】
一方は揮発性がより低いガソリン(実施例17)であり一方は揮発性がより高いガソリン(実施例18)である2種のガソリン配合物に関して、10体積%のブレンド比のエタノール(n=1;成分B)を含酸素物質の組成物に用いることとなる。各ベースガソリンについて、EN ISO3405によりE70およびE100が得られる。ペンテン酸エチル(n=2;成分A)および2−メチルフラン(n=3、成分C)を、含酸素物質の組成物としてさらに用いることとなる。用いる各含酸素物質について、ブレンドE70値およびブレンドE100値を決定する。次いで、含酸素物質の組成物のペンテン酸エチル成分および2−メチルフラン成分の体積分率を、方程式Iを満足するように決定する:
【0131】
【表9】

【0132】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分を含む組成物であって、
成分Aは、式Iの化合物:
【化1】

[式中、Rは、メチル基によって場合によって置換された、3から5個の炭素原子を含有する直鎖状アルケニル基であり、ならびにRは、1から6個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状のアルキル基である。]から選択されるアルケン酸アルキル化合物またはアルケン酸アルキル化合物の混合物であり、但し、成分Aは、90から200℃の温度範囲内の沸点または沸点範囲を有し、
成分Bはエタノールであり、
成分Cは式(II)または式(III)の化合物:
【化2】

[式中、R基、R基、R基およびR基は、水素およびC1−6ヒドロカルビル基から独立して選択される。]であり、但し、成分Cは、最高で110℃の沸点または沸点範囲を有し、
成分Dはブタノールであり;ならびに
成分Eは一般式(IV)のエーテル:
−O−C(Me)
[式中、Rは、メチル、エチルまたはこれらの混合物から選択される。]である
組成物。
【請求項2】
成分Aにおいて、R基は、3個または4個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状のアルケニル基であり、ならびにR基は、2から4個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状のアルキル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分Aがペンテン酸エチルである、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
成分Aが、ペンテン酸エチルの異性体の混合物である、請求項3に記載のガソリン組成物。
【請求項5】
成分Cにおいて、R基およびR基が水素であり、R基およびR基が水素およびC1−6ヒドロカルビル基から独立して選択され、R基およびR基の少なくとも一方がC1−6ヒドロカルビル基であり、ならびに成分Cは最高で100℃の沸点または沸点範囲を有することを条件とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
成分Cが、2−メチルフラン、2,5−ジメチルフランおよびこれらの混合物から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
成分Aならびに以下のカテゴリー(a)および(b):
(a)成分Bならびに
(b)成分C、DおよびEから選択される一成分
から選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項1から6に記載の組成物。
【請求項8】
成分の濃度が、以下の方程式(方程式I):
【数1】

[式中、
n=1は、成分Bであり、
n=2は、成分Aであり、
n=3は、成分C、DまたはEのいずれか1種であり、
fnは、成分Aならびに成分B、C、DおよびEから選択される少なくとも1種の成分を含む組成物中の成分n=1、2または3の体積分率であり、
E70は、nによって表される成分のブレンドE70値であり、
E100は、nによって表される成分のブレンドE100値であり、
E70ベースは、5から65体積%の範囲であり、
E100ベースは、30から85体積%の範囲である]
を用いて算出される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
(i)ベースガソリン;および
(ii)請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物
を含むガソリン組成物。
【請求項10】
(ii)の濃度が、ガソリン組成物を基準にして0.5から40体積%の範囲である、請求項9に記載のガソリン組成物。

【公表番号】特表2012−528219(P2012−528219A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512337(P2012−512337)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057133
【国際公開番号】WO2010/136437
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】